JPH0716413B2 - 固定化リパ−ゼの製造方法および該固定化リパ−ゼを用いた脂質の加水分解方法 - Google Patents

固定化リパ−ゼの製造方法および該固定化リパ−ゼを用いた脂質の加水分解方法

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JPH0716413B2 JP31064486A JP31064486A JPH0716413B2 JP H0716413 B2 JPH0716413 B2 JP H0716413B2 JP 31064486 A JP31064486 A JP 31064486A JP 31064486 A JP31064486 A JP 31064486A JP H0716413 B2 JPH0716413 B2 JP H0716413B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、リパーゼを担体に固定化したいわゆる固定化
リパーゼの製造方法と固定化リパーゼを用いた脂質の化
水分解方法に関するものであり、油脂工業、食品工業、
化学工業などの分野への広範囲な応用が可能である。
従来の技術 従来、油脂を分解する方法としては、高圧法、ケン化分
解法等が知られているが、いずれも高温を要するため、
エネルギーを多量に消費し、しかも副反応が多いという
欠点を有していた。従来の油脂分解法の欠点を解消する
ために、近年酵素を用いて油脂を加水分解する技術が注
目を集めている。
油脂類の加水分解を触媒する酵素としてはリパーゼがよ
く用いられてるが、中でも微生物由来のカンジダ属(Ca
ndida)由来リパーゼが工業的に入手が容易であり、し
かも油脂分解力が高いため広く用いられている。しか
し、遊離のリパーゼでは、長期間繰り返し使用すことが
困難があり、またカラムを用いた連続反応に使用するこ
とができないため、工業的にリパーゼを利用する場合、
経済的観点からもリパーゼを固定化する必要があり、そ
の技術開発が望まれている。酵素の一般的な固定化方法
としては、共有結合法、包括法、吸着法などが公知であ
るが、処理が簡単で工業的実施可能な方法のひとつとし
て、イオン交換樹脂による吸着法が知られている。
リパーゼのイオン交換樹脂を用いた固定化方法として、
特開昭59−179091号および特開昭60−98984号の方法が
公知である。特開昭59−179091号には、陰イオン交換樹
脂にシュードモナス(Pscudomonasu)属由来のリパーゼ
を吸着させた後、グルタールアルデヒドで架橋して固定
化する方法が記載されている。特開昭60−98984号に
は、エステル交換もしくは加水分解を用いるムコール
(Mucor)属由来のリパーゼを弱塩基性アニオン交換樹
脂に特定のpHで吸着させる方法が記載されている。
特開昭59−179091号の方法は、リパーゼがシュードモナ
ス属由来のものであり、吸着後にグルタールアルデヒド
で架橋しなければならず、操作が繁雑である。特開昭60
−98984号の方法は、弱塩基性アニオン交換樹脂に特定
のpHで吸着させるだけであり工業的実施が容易である
が、主としてムコール属由来リパーゼをデュオライト系
弱塩基性アニオン交換樹脂に固定化し、かつエステル交
換反応に利用することに限定されており、脂質の加水分
解に広く用いられているカンジダ属由来のリパーゼをデ
ュオライト系またはデュオライト系以外のアニオン交換
樹脂に固定化し、加水分解反応以外に利用する方法につ
いては全く示されていない。さらに、カンジダ属由来の
リパーゼを特開昭60−98984号記載の方法に準じて弱塩
基性アニオン交換樹脂に固定化し、脂質の加水分解を行
っても、一般に活性が低く、繰り返しの使用にも耐えな
いことが分かった。その理由は不明であるが、リパーゼ
の起源が異なると固定化の条件も異なってくるのは当然
であると思われる。
発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、脂質の加水分解反応に広く用いられて
いるカンジダ属由来のリパーゼの固定化方法を提供する
ことであり、さらに詳しくは工業的実施が容易で、固定
化率が高く、高活性が持続し、繰り返しの使用に耐えう
るカンジダ属由来のリパーゼの固定化方法を提供するこ
とである。さらに本発明のもうひとつの目的は、上記固
定化酵素を用いた脂質の加水分解方法を提供することで
ある。
問題点を解決するための手段 上記目的は本発明の方法により解決される。
すなわち、本発明は脂質の加水分解することを目的とす
る固定化酵素の製造方法において、水溶性脂肪族モノカ
ルボン酸または水溶性脂肪族ポリカルボン酸を用いて完
全に四級化した弱塩基性アニオン交換樹脂を担体とし、
水溶性脂肪族モノカルボン酸で四級化した場合はpH4.5
〜5.5、水溶性脂肪族ポリカルボン酸で四級化した場合
はpH5.5〜7.0の範囲でカンジダ属由来のリパーゼを固定
化することを特徴とする固定化リパーゼの製造方法と該
固定化リパーゼを用いた脂質の加水分解方法に関するも
のである。
本発明において用いるリパーゼは、カンジダ属由来のリ
パーゼであり、特にカンジダ・シリンドラシア(Candid
a cylindracea)由来のリパーゼが好ましい。このカン
ジダ・シリンドラシア由来のリパーゼは市販されており
(名糖産業「リパーゼ−OF」、「リパーゼMY」;シグマ
社「リパーゼ タイプVII」等)容易に入手できる酵素
である。
本発明の固定化リパーゼの担体となるのは、弱塩基性ア
ニオン交換樹脂であり、多孔性、非多孔性を問わず酸成
分と反応して四級塩を生成し、陰イオンと交換しうるよ
うな三級アミン基もしくはそれと同等の性質を有するア
ミン性残基を持つイオン交換樹脂である。このような弱
塩基性アニオン交換樹脂としては、ダウエックス[Dowe
x]MWA−1(スチレン/ジビニルベンゼン系、ダウ・ケ
ミカル社製)、ダウエックス[Dowex]WGR(エポキシア
ミン系、ダウ・ケミカル社製)、ダイアイオン WA10
(アクリルアミド系、三菱化成工業社製)、ダイアイオ
ン WA30(スチレン型、三菱化成工業社製)、アンバー
ライト[Amberlite]IRA93(ジビニルベンゼン/スチレ
ン系、ローム・アンド・ハンス社製)、デュオライト
[Duolite]ES562(フェノール/ホルムアルデヒド系、
ダイアモンド・シャムロック社製)などが挙げられる。
本発明のリパーゼの固定化には、特にダウエックスMWA
−1が好ましい。
本発明のカンジダ属由来のリパーゼの固定化において、
特徴となる最大の点は担体の弱塩基性アニオン交換樹脂
を予め水溶性脂肪族モノまたはポリカルボン酸で完全に
四級化することにある。
本発明方法の弱塩基性アニオン交換樹脂の四級化に用い
る酸は有機酸であり、さらに詳しくは水溶性脂肪族モノ
カルボン酸または水溶性脂肪族ポリカルボン酸である。
本発明に用いられる水溶性脂肪族モノカルボン酸として
は酢酸、プロピオン酸、n−酪酸またはn−吉草酸が挙
げられ、水溶性脂肪族ポリカルボン酸としてはコハク
酸、クエン酸または酒石酸が挙げられる。
本発明における弱塩基性アニオン交換樹脂の四級化は、
該アニオン交換樹脂を樹脂の総イオン交換容量の1.2〜
4倍当量に相当する有機酸を含む水溶液中で室温下0.5
〜2時間撹拌することにより完全に行われる。このよう
にして四級化した弱塩基性アニオン交換樹脂は、充分に
水洗して遊離酸を除去した後、リパーゼの固定化に用い
る。
本発明方法において、四級化した弱塩基性アニオン交換
樹脂へのカンジダ属由来のリパーゼを固定化する際に
は、固定化時のpHを四級化に用いた有機酸の種類によっ
て調整する必要がある。すなわち、水溶性脂肪族モノカ
ルボン酸で四級化された弱塩基性アニオン交換樹脂を担
体とした場合はpH4.5〜5.5、水溶性脂肪族ポリカルボン
酸で四級化した場合はpH5.5〜7.0の範囲で固定化を行う
必要がある。なお、本発明の固定化時のpHとは、固定化
終了後の懸濁液のpHを意味する。
固定化時のpHを調整する実施態様としては、以下のよう
な方法がある。すなわち、四級化された該樹脂上へのリ
パーゼの固定化は、水溶性脂肪族モノカルボン酸で四級
化した弱塩基性アニオン交換樹脂の場合、pH4.0〜7.4の
10〜100mMマックイルベイン緩衝液(1ml/1g湿潤樹脂)
を使用することによって固定化時の液相のpHを4.5〜5.5
に保持しうるようにするか、または予め四級化した弱塩
基性アニオン交換樹脂のpHを4.5〜5.5に調整、保持した
懸濁水を用いて行う。一方、水溶性脂肪族ポリカルボン
酸で四級化した弱塩基性アニオン交換樹脂の場合、pH5.
5〜7.0の10〜100mMマックイルベイン緩衝液(1ml/1g湿
潤樹脂)を使用するか、またはpH5.5〜7.0に直接再調整
した懸濁水を用いて行うことができる。
固定化時のpHを調整する際に、四級化した樹脂を予め特
定のpHに調整しておくことによって、固定化の最適pH範
囲に容易に保持することができ好ましい。すなわち、有
機酸で四級化処理した弱塩基性アニオン交換樹脂にリパ
ーゼを固定化する直前に、水に懸濁した状態で1N水酸化
ナトリウム水溶液で特定のpHに調整する。すなわち、水
溶性脂肪族モノカルボン酸で四級化した弱塩基性アニオ
ン交換樹脂の場合、pH3.5〜5.5に、また水溶液脂肪族ポ
リカルボン酸で四級化した弱塩基性アニオン交換樹脂の
場合、pH5.5〜7.0に予めpH調整しておくとよい。
固定化時に要するリパーゼの量は、弱塩基性アニオン交
換樹脂の1g湿潤重量あたり1500〜2000単位のリパーゼを
用いて吸着処理すれば90%以上の固定化率が達成され
る。なお、固定化温度は4〜15℃、また固定化時間は4
〜15時間が適当である。
このようにして固定化されたリパーゼを用いる本発明の
第2の発明である脂質の加水分解は、反応時のpHを特定
の範囲に保持することが重要である。すなわち、脂質で
ある油脂または高級脂肪酸エステルを加水分解する際、
pH5.5〜7.4の10〜100mMマックイルベイン緩衝液(1ml/1
g−油脂)を使用することによって反応時の水層のpHを
4.5〜7.0、好ましくは4.7〜6.5に保持する。なお本発明
における反応時のpHとは、反応終了後の水層のpHを指
す。本発明の脂質を加水分解する時の反応温度は、固定
化リパーゼを熱的に失活させない50℃以下の温度が好ま
しい。
本発明の固定化リパーゼを用いての脂質の加水分解反応
は、バッチ式もしくは該固定化リパーゼをカラムに充填
して連続反応させてもよい。
作用 本発明の固定化リパーゼの活性が高く、しかも繰り返し
の使用に耐える作用機構の詳細な理由は不明であるが、
担体となる弱塩基性アニオン交換樹脂を有機酸で四級化
してあるため樹脂の表面の疎水性が向上し、吸着リパー
ゼの脱離を抑制し、かつ安定化に寄与しているものと推
測される。
実施例1 弱塩基性アニオン交換樹脂としてダウエックスMWA−1
(ダウ・ケミカル社製)、ダウエックスWGR(ダウ・ケ
ミカル社製)の各湿潤樹脂10gを40mlのイオン交換水に
懸濁後、プロピオン酸3g(樹脂の総イオン交換容量の約
3倍当量)を加えて室温で2時間撹拌して完全に樹脂を
四級化した。各四級化樹脂を0.5のイオン交換水を用
いて充分に水洗し、過剰のプロピオン酸を除去した後、
50mlのイオン交換水に懸濁し、1Nの水酸化ナトリウム水
溶液でpH4.0に調整後、濾別、水洗し、すぐにリパーゼ
の固定化に使用した。四級化した弱塩基性アニオン交換
樹脂14g(湿潤)を15mlの20mMマックイルベイン緩衝液
(pH6.0)に懸濁し、さらにカンジダ・シリンドラシア
由来リパーゼ(シグマ社製)40mg(20000単位)を溶解
し、4℃、6時間スターラーで撹拌して該リパーゼを弱
塩基性アニオン交換樹脂に固定化した。次に、固定化リ
パーゼを濾別、水洗後、20mMマックイルベイン緩衝液
(pH7.4)20mlおよびオリーブ油(ケン化価187〜193、
酸価0.4未満)20gと一緒に200mlエルレンマイヤー・フ
ラスコに入れ、37℃、24時間、120回/分で振盪培養し
てオリーブ油を加水分解した。反応終了後、固定化リパ
ーゼを濾過、水洗し、同様の条件でオリーブ油を加水分
解し、繰り返し反応における加水分解率を測定した。加
水分解率は油層の酸価とケン化価から算出した。
同時に比較するため四級化処理を行わなかった弱塩基性
アニオン交換樹脂に固定化したリパーゼと、予め四級化
されている強塩基性アニオン交換樹脂ダウエックスMSA
−1(トリメチルベンジルアンモニウム型、ダウ・ケミ
カル社製)固定化リパーゼおよび遊離リパーゼ(8000単
位)の加水分解活性との比較を行い、結果を第1表に示
した。
実施例2 ダウエックスMWA−1 10g(湿潤重量)を22mlの1.7N酢
酸水溶液(樹脂の総イオン交換容量の約3倍当量)中、
実施例1と同様の条件で四級化して、ダウエックスMWA
−1の酢酸塩を調製し、さらに1Nの水酸化ナトリウム水
溶液でpH4.0に調整してダウエックスMWA−1の酢酸塩1
3.5gを得た。この四級化した樹脂を、pHの異なる20mMマ
ックイルベイン緩衝液(pH4.5〜8.0)13.5mlに懸濁した
後、カンジダ・シリンドラシア由来リパーゼ(シグマ社
製)40mg(20000単位)を溶解させて、4℃で6時間撹
拌して固定化し、第2表に示すような固定化時のpHの異
なる固定化リパーゼを調製した。その後樹脂を濾過、水
洗し、実施例1と同様の条件でオリーブ油を加水分解
し、繰り返し反応における残存酵素活性を比較して結果
を第2表に示した。このときの反応時の水層のpHは4.9
〜5.1であった。
実施例3 実施例2に準じて、ダウエックスMWA−1を第3表に示
す各種の有機酸または無機酸で四級化し、さらにpH4.0
に調整した。四級化した樹脂13.5gを20mMマックイルベ
イン緩衝液(pH6.0)13.5mlに懸濁した後、カンジダ・
シリンドラシア由来リパーゼ(シグマ社製)40mg(2000
0単位)を溶解させて、4℃で6時間撹拌して固定化し
た。次いでリパーゼを固定化した樹脂を濾過、水洗し、
実施例1と同様の条件でオリーブ油を加水分解し、繰り
返し反応における残存酵素活性を比較した。
第3表の結果は、固定化リパーゼの加水分解活性がダウ
エックスMWA−1の四級化の際の酸の種類に大きく依存
していることを示している。すなわち、本発明の範囲外
である塩酸、ギ酸で四級化した場合、第1回目の加水分
解率が90%前後となるにもかかわらず、第2回目以降急
激な活性低下を引き起こしたが、この原因は、別途実験
の結果、固定化されたリパーゼの失活よりはむしろ酵素
の脱離によることが判明した。
実施例4 ダウエックスMWA−1 10g(湿潤重量)をクエン酸7.0g
を含む水溶液40mlに懸濁し、室温で2時間撹拌して樹脂
を四級化し、ダウエックスMWA−1のクエン酸塩を調製
した。樹脂を濾別し、イオン交換水で洗浄して遊離の酸
を除去した後、40mlのイオン交換水に懸濁し、1N水酸化
ナトリウム水溶液を用いてpH5.0〜6.5に調整した。次
に、濾過、水洗し、イオン交換水15mlに懸濁したのち、
pHを5.0〜6.5に再調整し、カンジダ・シリンドラシア由
来リパーゼ(シグマ社製)40mg(20000単位)を溶解さ
せて、4℃で6時間撹拌して固定化した。実施例1と同
様の条件でオリーブ油を加水分解し、繰り返し反応にお
ける固定化リパーゼの加水分解率を比較し、結果を第4
表に示した。このときの反応時の水層のpHは6.2〜6.4で
あった。
実施例5 実施例4に準じてダウエックスMWA−1 10g(湿潤重
量)を、コハク酸4.3gを含む水溶液40ml、L−酒石酸5.
4gを含む水溶液40ml、または1N塩酸50mlに懸濁し、室温
で2時間撹拌して各々の四級化樹脂を調製した。樹脂を
濾別後、イオン交換水で洗浄して遊離の酸を除去した
後、40mlのイオン交換水に懸濁し、1N水酸化ナトリウム
水溶液を用いてpH5.5〜6.0に調整した。次に、濾過、水
洗し、イオン交換水15mlに懸濁したのち、pHを5.5〜6.0
に再調整し、カンジダ・シリンドラシア由来リパーゼ
(シグマ社製)40mg(20000単位)を溶解させて、4℃
で6時間撹拌して固定化した。実施例1と同様の条件で
オリーブ油を加水分解し、繰り返し反応における各固定
化リパーゼの加水分解率を比較し、コハク酸塩、L−酒
石酸塩および塩酸塩の結果を、それぞれ第5表に示し
た。
実施例6 ダウエックスMWA−1 10g(湿潤重量)を総交換容量の
3倍当量過剰の酸で実施例1と同様に四級化して調製し
た酢酸塩、プロピオン酸塩、n−酪酸塩、n−吉草酸
塩、クエン酸塩、L−酒石酸塩および塩酸塩を1N水酸化
ナトリウム水溶液でpH4.0またはpH6.1〜6.3(L−酒石
酸塩とコハク酸塩)にpH調整した。L−酒石酸塩とコハ
ク酸塩はイオン交換水15mlに懸濁後、pH6.1〜6.3に再調
整し、その他の四級塩は20mMマックイルベイン緩衝液
(pH6.0)15mlにそれぞれ懸濁し、カンジダ・シリンド
ラシア由来リパーゼ(シグマ社製)40mg(20000単位)
を固定化処理した。固定化リパーゼと可溶性リパーゼを
分離し、前者の場合は実施例1と同様に、また後者の場
合はオリーブ油20gを添加して、37℃、24時間、120回/
分で振盪培養して加水分解し、両者の加水分解率を比較
し、活性を第5表に示した。同様に遊離リパーゼのドー
ズ・レスポンスから検量した固定化率を合わせて表示し
た。
実施例7 ダウエックスMWA−1 7.5g(湿潤重量)を16mlの1.7N
酢酸水溶液(樹脂の総イオン交換容量の3倍当量)中、
実施例1と同様の条件で四級化して、ダウエックスMWA
−1の酢酸塩10gを調製した。予め、樹脂を50mlイオン
交換水に懸濁し、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH4.0に
調整後、濾別、水洗し、さらに20mMマックイルベイン緩
衝液(pH5.0)10mlとカンジダ・シリンドラシア由来リ
パーゼ(シグマ社製)40mg(20000単位)を加えて4
℃、6時間撹拌して固定化した。次に、該固定化リパー
ゼ・オリーブ油20g、および20mMマックイルベイン緩衝
液(pH6.0〜8.0)20mlの混合液を実施例1に示した条件
で加水分解し、繰り返し反応における残存酵素活性を比
較し、結果を第2表に示した。このときの固定化時のpH
は4.5、また反応時の水層のpHは4.9〜5.1であった。
発明の効果 本発明方法により、カンジダ属由来のリパーゼが簡単な
操作により容易に固定化でき、油脂や高級脂肪酸エステ
ルの加水分解反応に用いるとき、高分解率を維持しなが
ら繰り返し反応が可能となる。
固定化に際しては、市販の弱塩基性アニオン交換樹脂を
担体とし、安価な有機酸を用いるため、原料費が安くな
る。固定化も極めて簡単な操作によるため、設備費も軽
減され、樹脂の再生のみならず、リパーゼの回収、再活
性化も可能となることなどから、工業的に極めて有利な
方法である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂質を加水分解することを目的とする固定
    化酵素の製造方法において、水溶性脂肪族モノカルボン
    酸または水溶性脂肪族ポリカルボン酸を用いて完全に四
    級化した弱塩基性アニオン交換樹脂を担体とし、水溶性
    脂肪族モノカルボン酸で四級化した場合はpH4.5〜5.5、
    水溶性脂肪族ポリカルボン酸で四級化した場合はpH5.5
    〜7.0の範囲でカンジダ(Candida)属由来のリパーゼを
    固定化することを特徴とする固定化リパーゼの製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記リパーゼがカンジダ・シリンドラシア
    (Candida cylindracea)由来リパーゼである特許請求
    の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】前記水溶性脂肪族モノカルボン酸が酢酸、
    プロピオン酸、n−酪酸またはn−吉草酸である特許請
    求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】前記水溶性脂肪族ポリカルボン酸がコハク
    酸、クエン酸または酒石酸である特許請求の範囲第1項
    記載の方法。
  5. 【請求項5】水溶性脂肪族モノカルボン酸または水溶性
    脂肪族ポリカルボン酸を用いて完全に四級化した弱塩基
    性アニオン交換樹脂を担体とし、水溶性を脂肪族モノカ
    ルボン酸で四級化した場合はpH4.5〜5.5、水溶性脂肪族
    ポリカルボン酸で四級化した場合はpH5.5〜7.0の範囲で
    固定化したカンジダ(Candida)属由来のリパーゼを用
    いて、pH4.5〜7の範囲で油脂または高級脂肪酸エステ
    ルを加水分解することを特徴とする脂質の加水分解方
    法。
  6. 【請求項6】前記リパーゼがカンジダ・シリンドラシア
    (Candida cylindracea)由来リパーゼである特許請求
    の範囲第5項記載の方法。
  7. 【請求項7】前記水溶性脂肪族モノカルボン酸が酢酸、
    プロピオン酸、n−酪酸またはn−吉草酸である特許請
    求の範囲第5項記載の方法。
  8. 【請求項8】前記水溶性脂肪族ポリカルボン酸がコハク
    酸、クエン酸または酒石酸である特許請求の範囲第5項
    記載の方法。
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