JP3037349B2 - 酵素固定化用担体及び固定化酵素の製造方法 - Google Patents

酵素固定化用担体及び固定化酵素の製造方法

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JP3037349B2 JP1298961A JP29896189A JP3037349B2 JP 3037349 B2 JP3037349 B2 JP 3037349B2 JP 1298961 A JP1298961 A JP 1298961A JP 29896189 A JP29896189 A JP 29896189A JP 3037349 B2 JP3037349 B2 JP 3037349B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、酵素固定化用担体、並びに油脂及び脂肪酸
誘導体のエステルの合成及び交換反応に適した固定化酵
素の製造方法に関する。
エステル類の合成反応は、アルコールと脂肪酸からア
ルコール脂肪酸エステルの合成、モノグリセリド、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、糖エステルといった多価ア
ルコール脂肪酸エステルの合成、ゲラニルブチレイトと
いった香料の製造方法として重要な技術である。
他方、油脂類のエステル交換反応は、マーガリン・シ
ョートニング等の食用加工油脂の改質等に水素添加と並
ぶ重要な技術である。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
近年、各方面で酵素としてリパーゼを利用した油脂及
びエステル類の合成・変換反応の研究或いは工業化が活
発化してきている。これはリパーゼが穏和な条件下で反
応すること、位置選択性、アルキル選択性を持つことを
利用したものである。しかし、これらの反応はリパーゼ
本来の加水分解反応と異なり、水分の限定された系での
み進みうる反応である。一方、リパーゼのエステル合
成、交換活性を増大せしめるためには、酵素として水分
を必要とする。例えば、特開昭55−71797号公報に開示
された低水分系の反応では十分な反応速度が得られず、
また反応速度を増大させるために必要以上の水分を与え
ると、エステルの分解反応が優先的に進行するという問
題点がある。また特開昭60−19495号公報、及び特開昭6
0−203196号公報に開示された如く、反応を多水分系の
分解工程と水分を除去する合成工程の二段階に分けて行
う方法の提案もあるが、後者の合成反応速度は通常のエ
ステル交換速度に比して十分であるとは言えず、工程操
作の複雑化も避けられない。
以上の問題点を解決し、かつリパーゼを効率的に使用
する目的で、リパーゼを固定化する試みが行われてき
た。リパーゼの固定化により期待される利点は次の通り
である。即ち、(i)従来リパーゼを水溶液の状態で使
用すると油中に均一に混合・分散することが困難であっ
たが、リパーゼを不溶性担体表面に固定化することによ
り油中に容易に分散可能となり、かつ担体に適当量の水
分を保持できるため、低水分下でのエステル合成・交換
反応が行いやすくなる。(ii)触媒としてコストの高い
リパーゼの回収再使用がしやすく、エステル合成反応又
は交換反応の工業的実施においても反応装置の連続化が
容易となる等である。
しかし、以上のような利点を有する固定化酵素におい
ても、リパーゼの合成活性増大のために必要な水分量を
保持すること、逆反応である加水分解の抑制とを両立す
るには至っていない。例えば、Journal of American Oi
l Chemist's Society,第60巻,291〜294(1983)にも、
微量な水分を与えた場合加水分解反応が進行することが
指摘されている。また、水に加えてグリセリンのような
多価アルコールを添加した場合では加水分解反応はある
程度抑制されるが、エステル合成・交換反応は極端に遅
くなる。また、酵素水分の保持を狙って多孔質担体と高
吸収水樹脂をキトサンで包括結合後、粉砕した担体を用
いる方法(特開昭59−213390号公報)に於いても、固定
化酵素のエステル合成・交換反応と分解反応を両立させ
るため、二段階反応法(特開昭60−213196号公報)を採
用している。しかし、このような方法は操作が煩雑な上
に、副生成物のジグリセリドの抑制が困難であるという
欠点がある。
以上のように、エステル合成及び交換反応において
は、よりエステル合成及び交換活性の高い耐久性に優れ
た固定化酵素の開発が望まれている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、先にリパーゼのエステル合成及びエステ
ル交換活性を増大させる因子について研究を重ねた結
果、特開昭60−25188号公報に開示されたリパーゼに油
脂を加え加水分解反応をさせながら固定化を行い高活性
な固定化酵素を得る方法において、脂肪酸、脂肪酸誘導
体、アルコール、もしくはリン脂質の共存下で固定化を
行うとエステル合成及びエステル交換活性の増大が見ら
れることを見出し特許出願した(特開平1−153090
号)。しかし、このようにして固定化した酵素も、50℃
以上の高温下で長時間使用することにより活性が徐々に
低下すること、共存の脂肪酸誘導体の脱落などの問題が
あった。そこで、酵素と担体との結合を強め、かつ共存
脂肪酸誘導体の脱離を防ぎ、より耐久性が高い固定化方
法を見出すべく種々検討した結果、より好適な担体とし
て特定のイオン交換基を有する両性イオン交換樹脂を見
出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、陽イオン交換基がカルボキシアルキル
基又はアルケニル基(アルキル基又はアルケニル基が炭
素数2〜6の直鎖又は分岐鎖であり、アルキル基又はア
ルケニル基は置換基を有していても良い)であって、陰
イオン交換基が1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミ
ノ基、4級アンモニウム基の群から選ばれる1種もしく
は2種以上である両性イオン交換樹脂よりなることを特
徴とする酵素固定化用担体、及びこの固定化用担体と、
脂質分解酵素の水溶液とを接触させることを特徴とする
固定化酵素の製造方法を提供するものである。
本発明に係る両性イオン交換樹脂の陽イオン交換基は
カルボキシアルキル基又はアルケニル基(アルキル基又
はアルケニル基が炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖であ
り、アルキル基又はアルケニル基は置換基を有していて
もよい)であり、樹脂にカルボキシアルキル基又はアル
ケニル基を導入する好適な方法としては、一般式XR1COO
H(Xはハロゲン原子、R1は炭素数2〜6のアルキレン
基又はアルケニレン基)又は (Xはハロゲン原子、R2,R3はアルキレン基又はアルケ
ニレン基であって、R2とR3の炭素数の和が0〜4であ
る)で表されるカルボン酸、或いは不飽和結合を有する
ポリカルボン酸又はその酸無水物を、水酸基、1級アミ
ノ基、2級アミノ基、イミノ基、スルフヒドリル基等を
有する合成樹脂又はその誘導体とアルカリ化合物の存在
下或いは加熱下で反応させる方法がある。
カルボキシアルキル基又はアルケニル基導入に用いら
れる好適なカルボン酸の具体例としては、α−クロルプ
ロピオン酸、β−クロルプロピオン酸等のモノカルボン
酸;マレイン酸、イタコン酸等のポリカルボン酸;無水
マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸等のポリカ
ルボン酸の酸無水物が挙げられる。
又、本発明に係る両性イオン交換樹脂の陰イオン交換
基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ
基或いは4級アンモニウム基の群から選ばれる1種もし
くは2種以上のものが挙げられ、又、単なるアミノ基で
はなく、メチルグルカミル基、ポリアルキレンポリアミ
ン基、置換基を有するポリアルキレンポリアミン基等が
一部に導入されている方がよい。
本発明では、陽イオン交換基導入にあたり、上記した
陰イオン交換基を有する市販の陰イオン交換樹脂であれ
ば何れも好適に用いることができる。
さらには、1級或いは2級のアミノ基を有するチタン
カップリング剤(例えば、イソプロピル(N−アミノエ
チル−アミノエチル)チタネート)によって、上記した
陽イオン交換基を有する市販の陽イオン交換樹脂に陰イ
オン交換基を導入し、両性イオン交換樹脂とすることも
できる。
本発明に係る担体の形状としては、粉末状、顆粒状、
繊維状、スポンジ状等種々あるが、そのいずれでも使用
できる。そして比表面積の大きい多孔性のものが好適で
ある。特に工程操作上の面からは400〜1000μmの粒径
を有し、細孔径100〜1500Åの多孔性樹脂よりなるもの
を用いるのが良い。
本発明に用いる脂質分解酵素としては、リパーゼ、ホ
スホリパーゼ、コレステロールエステラーゼ、スフィン
ゴミエリエーゼ及び各種のエステラーゼが挙げられる。
これらのうちリパーゼとしては、グリセリドの1,3位に
のみ反応し、位置選択性に優れたリゾプス(Rhizopus)
属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Muc
our)属、脂肪酸特異性を有するジオトリケム(Geotric
hum)属、特異性を示さないキャンディダ(Candida)
属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ペニシリウム
(Penicillium)属、クロモバクテリウム(Chromobacte
rium)属等の微生物起源のリパーゼ及び膵臓リパーゼ等
の動物リパーゼが挙げられる。これらのうち、特に合成
活性の増加し易いリパーゼとしては、中鎖以上のアルキ
ル基に活性位の強いリゾプス属、ムコール属、クロモバ
クテリウム属起源のリパーゼが一層好ましい。コレステ
ロールエステラーゼの例としては、キャンディダ(Cand
ida)属等の微生物起源のものが挙げられる。また、ホ
スホリパーゼの例としては、キャベツ、ピーナッツ、ニ
ンジン、大豆、菜種等の植物やコケ植物由来のホスホリ
パーゼD、ストレプトマイセス属等の微生物起源のホス
ホリパーゼD、さらには酵母由来のホスホリパーゼA、
毒蛇由来のホスホリパーゼA2などが挙げられる。
酵素の固定化は、前述した多孔性の両性イオン交換樹
脂を使用し、好ましくはこの担体に疎水基を導入したも
のを酵素の安定pHで平衡化し、酵素水溶液と接触させ酵
素を吸着させて行われる。酵素水溶液は炭素数1〜6の
1価アルコール或いは多価アルコールの溶剤や、塩化ナ
トリウム、硫酸アンモニウムなど、一般的に酵素処理剤
として用いられる塩の混合溶液であってもよい。
本発明において固定化を行う温度としては、脂質分解
酵素の失活の起きない温度であればよく、0〜60℃、好
ましくは25〜40℃がよい。また脂質分解酵素水溶液のpH
は脂質分解酵素の変性が起きないような範囲であればよ
く、pH3〜9が好ましい。特に至適pHが酸性とされてい
るリパーゼを用いる場合に最大の活性を得るには、pH4
〜6とすることがよい。また酵素水溶液に用いる緩衝液
の種類は特に限定しないが、一般的な酢酸緩衝液、リン
酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等を用いることができる。
本発明による酵素の固定化に際して、水溶液中の酵素
濃度は特に規定しないが、固定化効率の点から前記脂質
分解酵素の溶解度以下で、かつ十分な濃度であることが
望ましい。また必要に応じて不溶部を遠心分離により除
去し、上澄を使用しても良い。また酵素と固定化担体の
使用割合(重量比)は固定化担体1部に対して酵素0.01
〜1部が好ましいが、特にこれに限定されるものではな
い。
本発明の実施に際し更に好ましくは、固定化前の担体
について多官能性試薬を用いて架橋することにより、固
定化酵素の繰り返し使用におけるより一層の耐久性向上
を図ることができる。多官能性の架橋試薬としては、グ
リオキザール、グルタルアルデヒド、マロンアルデヒ
ド、スクシニルアルデヒドなどのポリアルデヒド類が好
ましく、ヘキサメチレンジチオイソシアネート、N,N′
−エチレンビスマレイミドなども使用可能である。ま
た、カルボジイミド類も使用できる。また、固定化後に
PVA等によって包括し、より一層の安定性の向上も図る
ことができる。
また、固定化前もしくは固定化と同時に両性イオン交
換樹脂を脂肪酸、脂肪酸誘導体、リン脂質、アルコール
類、エーテル類、カルボニル化合物類、並びにハロゲン
化アルキル類から選ばれる1種もしくは2種以上の油溶
性化合物で吸着処理することにより、高活性、高耐久性
の固定化酵素が得られる。その際、不純物の混入を防止
するため、前処理、即ち揮発性溶剤にこれらの油溶性化
合物を溶解し、この溶液を両性イオン交換樹脂と接触さ
せ、濾別後乾燥するのが好ましい。前記油溶性化合物と
固定化担体の比率は、固定化担体1重量部に対し油溶性
化合物0.001〜1重量部が適当であるが、これに限定さ
れるものではない。過剰量の前記油溶性化合物は固定化
担体に吸着されず溶液中に遊離して酵素を吸着するた
め、固定化担体上への固定化収率の低下を引き起こすこ
とになるため有効ではない。適当な吸着温度としては0
〜60℃、好ましくは5〜30℃が適当である。吸着時間と
しては5分〜2時間が適当である。以上の温度・時間は
何れもこれらに限定されるものではない。
本発明で両性イオン交換樹脂処理に用いられる脂肪酸
としては、炭素数4〜24の直鎖状の飽和脂肪酸、不飽和
脂肪酸或いは分岐脂肪酸等が挙げられる。好ましい脂肪
酸としては、例えばオレイン酸、リシノール酸、リノー
ル酸などが挙げられる。
本発明で両性イオン交換樹脂処理に用いられる適当な
脂肪酸誘導体としては、モノグリセリド、ジグリセリ
ド、及びその誘導体、トリグリセリド、或いはプロピレ
ングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール脂肪
酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等の糖エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル等の糖アルコールエステル等が挙
げられる。
本発明で両性イオン交換樹脂処理に用いられるアルコ
ール類としては、炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の脂肪
族1価アルコール、炭素数2〜6の多価アルコールが挙
げられる。このほかに、フェノール化合物、ステロール
類、炭素数10〜20のテルペンアルコール類、脂溶性ビタ
ミン類も有効である。
本発明で両性イオン交換樹脂処理に用いられエーテル
類の例としては、炭素数10〜18のエーテル類、炭素数12
〜18のグリセリルエーテル類、又は炭素数10〜18のグリ
シジルエーテル等のグリセリド類似化合物、ポリオキシ
化合物、前記アルコールのシリコン化合物が挙げられ
る。
本発明で両性イオン交換樹脂処理に用いられるカルボ
ニル化合物の例としては、炭素数10〜18の脂肪族アルデ
ヒド類、或いは脂肪族ケトン類等が挙げられる。
本発明で両性イオン交換樹脂処理に用いられるハロゲ
ン化アルキルの例としては、炭素数8〜18のアルキルハ
ライド等が挙げられる。
上記の油溶性化合物はいずれも常温で液状であること
が工程操作上好ましいが、これに限定されるものではな
い。また、これらは単独で用いてもよいが、適当な組み
合わせにより一層の効果が発揮されることもある。
本発明で得られる固定化酵素を用いた脂質類の反応と
しては、固定化リパーゼを用いるエステル交換反応が挙
げられ、かかるエステル交換反応としては、例えばエス
テルと脂肪酸によるアシドリシス反応、エステルとアル
コールによるアルコリシス反応、エステル同士によるイ
ンターエステル化反応等が挙げられる。
また本発明で得られる固定化酵素を用いたエステル交
換反応の基質の例としては、大豆油、オリーブ油、パー
ム油等の植物油脂、牛脂、豚脂、魚油などの動物油脂が
挙げられる。これらの油脂は単独で用いてもよいが、2
種以上の油脂を用いるか、油脂と高級脂肪酸あるいは油
脂と高級脂肪酸の低級アルコールエステル間でエステル
交換することが好ましい。特定の油脂と他の油脂、脂肪
酸もしくはその誘導体間でエステル交換する場合、両者
の量比は特定の油脂1重量部に対し他物質は0.05〜20重
量部、好ましくは0.1〜10重量部でないと油脂の改質効
果は得られにくい。特に好ましくは、パーム油等の2位
にオレイン酸残基を多く有する油脂とステアリン酸との
エステル交換である。この反応においてはステアリン酸
の融点が高く、油脂の粘度が高いため、カラム反応で連
続エステル交換反応を無溶剤で行うためには、反応系の
温度を60〜90℃に保つ必要がある。本発明の固定化酵素
はこの目的に好適であり、また得られる油脂はチョコレ
ート用として有用なものである。
本発明で得られる固定化ホスホリパーゼを用いるエス
テル交換反応の他の例としては、天然リン脂質と各種脂
肪族アルコール、多価アルコール類、テルペンアルコー
ル類、糖類、糖アルコール類、ステロール類等の他、グ
アニン、アデニン、チミン、ウラシル等の塩基とのトラ
ンスホスファチジレーション等が挙げられる。
更に本発明で得られる固定化酵素を用いたエステル合
成反応の例としては、通常のメタノール、エタノール、
プロパノール、オレイルアルコール等の1価アルコー
ル、ないしはプロピレングリコール、グリセリン、ソル
ビトール及びポリグリセリン等の多価アルコール、又は
ゲラニオール、シトロネロール、メントール等のテルペ
ンアルコール、あるいはコレステロール等のステロール
と、炭素数2〜24の脂肪酸とのエステル化反応が挙げら
れる。
エステル合成反応は20℃〜90℃、より好ましくは30〜
80℃で無溶剤、もしくは炭化水素、エーテル等の不活性
溶剤中で行う。またアルコールと脂肪酸の量はこれらの
価数、目的物に応じ適宜調整する。例えばジグリセリド
の合成を目的とする場合はグリセリン1モルに対し脂肪
酸約2モル、モノグリセリドの合成を目的とするときは
グリセリン1モルに対し脂肪酸約1モルに反応させる。
これらのエステル交換反応、エステル化反応あるいは
トランスホスファチジレーション等の反応に於いては、
固定化酵素中の水分量も含め、反応系中の水分量を5重
量%以下、好ましくは0.1〜1重量%に保持するのが好
ましい。
尚、本発明で得られる固定化脂質分解酵素は、脂質分
解酵素本来の性質を利用して、油脂或いは各種脂質の加
水分解反応にも好適に利用できる。
〔発明の効果〕
本発明方法の固定化で得られた固定化脂質分解酵素を
用いた場合、例えば固定化リパーゼを用いた油脂のエス
テル交換或いはグリセリドのエステル化反応では、耐久
性が顕著に向上することにより、経済的効果が一層増進
される。
さらに、本発明の固定化酵素は耐熱性にも優れること
から反応が50〜80℃の温度で実施できるため、反応溶剤
が不要であること、反応速度が高まる等の工業的な実施
を図る上で大きな経済的効果が得られる。
〔実 施 例〕
以下に本発明をエステル交換反応とエステル合成反応
についてそれぞれ実施例、比較例をもって詳細に説明す
る。
実施例 1 表1に示した市販の陰イオン交換樹脂各10gに、エタ
ノール100mlと水酸化ナトリウム8g及び水6gを添加し、3
0分攪拌させた後、β−モノクロルプロピオン酸10gを添
加して室温にて5時間反応させた。その後濾取し、水に
より洗浄後、0.5M酢酸緩衝液(pH5)で平衡化を行い、
最終的に50mM酢酸緩衝液(pH5)で平衡化し、減圧乾燥
後、各々を担体として用いた。この担体5gに2gのリシノ
ール酸を酢酸緩衝液中で吸着させた場合(C)と、その
まま担体として使用した場合(B)と、β−モノクロル
プロピオン酸処理(以下CE化と略すことがある)をして
いない元の樹脂そのものを使用した場合(A)について
検討を行った。各担体5gにリパーゼ水溶液50mlを加え30
℃で2時間攪拌した。リパーゼ水溶液はリパーゼ〔リゾ
プス・ジャポニカス(Rhizopus japonicus)起源のリパ
ーゼ製剤、商品名“リパーゼ・サイケン100"大阪細菌研
究所株式会社製、18000 Unit/g〕5gをpH5.0の50mMの酢
酸緩衝液45mlに溶解し作成した。該懸濁液より樹脂を濾
別し、緩衝液で洗浄した後、水分5%となるように常温
にて減圧乾燥を行い、固定化リパーゼを得た。
こうして得られた固定化リパーゼ5gを、グリセリン23
g(水分含量0.8%、花王株式会社製)及びオレイン酸
(商品名“ルナックO−LL"花王株式会社製)70.5gと混
合し、65℃にて攪拌しながらエステル化反応を行った。
経時的に反応液の一部を試料として取り出し、基準油脂
分析試験法に従って試料の酸価を測定した。試料の酸価
より次式によりエステル化率を求めた。
ここで、AVt,AVoは各々 AVt:t時間後の試料の酸価 AVo:反応前の混合試料の酸価 をあらわす。
また、酸素吸着率は、酵素原液の活性から固定化後の
濾液の活性を差し引き、百分類で示した。試験結果を表
1に示す。
実施例 2 実施例1において、β−モノクロルプロピオン酸に代
えてα−クロルプロピオン酸を10g用いた他は、全て実
施例1と同一条件で担体を調製し、次いで同一の条件で
リパーゼを固定化せしめて固定化リパーゼを調製した。
得られた固定化リパーゼ5gを用い、実施例1のエステル
化反応を同様に行い、結果を表2に示した。
実施例 3 実施例1において使用したDuolite A−568の未処理
(A)、処理(B),(C)をそれぞれ10g用意し、実
施例1と同様にして酵素を固定化した。この固定化酵素
10gに対してグリセリン16.2g、オレイン酸100gを添加
し、40℃,減圧度3mmHgで反応を6時間行った。さらに
固定化酵素回収による繰り返し反応を5回行い、各回の
反応の酵素吸着率を測定した。その結果を表3に示し
た。表3より(A)の樹脂そのままで固定化した場合に
比べ安定性が顕著に上昇することがわかる。
実施例 4 実施例3で得られた固定化リパーゼをそれぞれ1g用い
て、パーム油中融点部(沃素価32.5、ジグリセリド含量
4.6%)10gと市販のステアリン酸(商品名“ルナックS
−90"ステアリン酸純度93%、花王株式会社製)10gを加
え、60℃で5時間反応を行った。反応後、トリグリセリ
ド中に含まれるステアリン酸含量をガスクロマトグラフ
ィーにより分析し、次式で示される平衡値を100%とし
た反応率を算出した。
反応率(t時間後)= 100×(St−S0)/(S−S0) 上の式において、St,S0,Sは各々 St=時間tにおける油脂中のステアリン酸含量 S0=反応前の原料油脂中のステアリン酸含量 S=1,3ランダム平衡時のステアリン酸含量 を意味する。
結果は表4にまとめて示した。(C)の場合5時間以
内に反応が平衡に到達し、副生物の生成も(A)に比べ
少なかった。
実施例 5 実施例1において使用したDuolite A−568を10g用意
し、10%の水酸化ナトリウム溶液で洗浄した後に濾取し
乾燥した。この樹脂をアセトン40mlに浸漬させた後、無
水イタコン酸2gを添加し1時間攪拌反応させた。反応後
濾取し、実施例1に従って平衡化した後、減圧乾燥し
た。この樹脂に市販リパーゼ〔リゾプスデレマー起源の
リパーゼ(タリパーゼ)田辺製薬製〕を10g用いた以外
は実施例1と同様な(A),(B),(C)の処理を行
い、固定化リパーゼを得、実施例3と同様にエステル変
換反応を行った。その結果も併せて表4に示した。
実施例 6 実施例1において、β−モノクロルプロピオン酸に代
えてモノクロル酢酸を用い、同様の条件下(但し市販樹
脂としてDuolite A−568を用いた)でカルボキシメチル
化せしめた樹脂(CM化樹脂と略すことがある)を得た。
CE化樹脂及びCM化樹脂について、実施例1の方法に従
って各々リシノール酸処理をした後、リパーゼの固定化
を行った。得られた固定化酵素100gをカラムに充填し、
70℃にて、実施例4で用いたステアリン酸とパーム油中
融点部を基質として、ステアリン酸/パーム油中融点部
(重量比)=1.5にて実施例4で規定した反応率が90%
以上を保つ様な流速で通液し、連続反応を行い、固定化
酵素の耐久性を調べ、表5の結果を得た。
表5に示した如く、連続生産性(耐久性)の面におい
て、本発明のCE化樹脂に固定化したリパーゼはCM化樹脂
に固定化したリパーゼに比べ、耐久性が顕著に向上した
ことが明らかである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 11/00 - 11/18 JICSTファイル(JOIS) WPI/L(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽イオン交換基がカルボキシアルキル基又
    はアルケニル基(アルキル基又はアルケニル基が炭素数
    2〜6の直鎖又は分岐鎖であり、アルキル基又はアルケ
    ニル基は置換基を有していても良い)であって、陰イオ
    ン交換基が1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ
    基、4級アンモニウム基の群から選ばれる1種もしくは
    2種以上である両性イオン交換樹脂よりなることを特徴
    とする酵素固定化用担体。
  2. 【請求項2】両性イオン交換樹脂の陽イオン交換基がカ
    ルボキシエチル基及び/又はα−メチルカルボキシメチ
    ル基である請求項1記載の酵素固定化用担体。
  3. 【請求項3】脂質分解酵素の水溶液を、請求項1記載の
    固定化用担体と接触させることを特徴とする固定化酵素
    の製造方法。
  4. 【請求項4】固定化用担体の陽イオン交換基がカルボキ
    シエチル基及び/又はα−メチルカルボキシメチル基で
    ある請求項3記載の固定化酵素の製造方法。
  5. 【請求項5】脂肪分解酵素を固定化するにあたり、脂肪
    酸、脂肪酸誘導体、リン脂質、アルコール類、エーテル
    類、カルボニル化合物類、並びにハロゲン化アルキル類
    から選ばれた1種もしくは2種以上の化合物の存在下で
    固定化することを特徴とする請求項3又は4記載の固定
    化酵素の製造方法。
  6. 【請求項6】脂質分解酵素がリパーゼ、ホスホリパー
    ゼ、並びにコレステロールエステラーゼより選ばれたも
    のである請求項3、4又は5記載の固定化酵素の製造方
    法。
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