JPH0716028U - エンジンの補機駆動用伝動機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡単な構成で、駆動軸と補機シャフトの同心精
度の向上および回転力伝達時の心ブレ防止を図り、ポン
プ等の補機類の駆動の一層円滑化および静粛化を図る。 【構成】補機シャフト１６の先端部に形成したスリ割り
１７を駆動軸１１に形成した中心孔１８に嵌合挿通し、
駆動軸１１の前記中心孔１８の部分に前記スリ割り１７
と係止するピン１９を外周面から突出しない状態で固定
し、駆動軸１１の先端部の外周面をクランクケース２に
形成した軸受孔２４により回転自在に軸支する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンの駆動力をオイルポンプや水ポンプ等の補機に伝達するた めの補機駆動用伝動機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車、自動２輪車、舟艇、各種産業機械などのエンジンにおいては、車両や 機械等の本来の機器を駆動するための出力を取り出す他に、オイルポンプや水ポ ンプなどの補助機器（補機）を駆動するのにエンジン出力の一部を利用すること が行なわれている。このような補機を駆動するための伝動機構は、クランクシャ フトまたは該クランクシャフトで回転駆動される駆動軸から補機の入力軸（補機 シャフト）へ回転力を伝達するためのものである。従来のこの種の伝動機構とし ては、駆動軸の先端に形成した角形の突起部を補機シャフトの先端に形成したス リ割りに回転力伝達可能に係合させる機構が用いられている。このような従来例 を示す文献には、例えば実公平３−４７４６号がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の補機駆動用伝動機構にあっては、オーバーハング量 が増大した場合には補機シャフトの端部を駆動軸の端部に回転力伝達可能に係合 させる構成を採っているので、回転力伝達時に補機シャフトの先端にブレが生じ やすく、また、このブレを防ぐためには軸径を大きくする必要がある。

【０００４】 本考案はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本考案の目的は 、簡単な構成で、駆動軸および補機シャフトの組立時の同心度を精度向上および 回転力伝達時の心ブレ防止を図ることができ、ポンプ等の補機類の駆動を一層円 滑にかつ静粛に行ない得るエンジンの補機駆動用伝動機構を提供することである 。

【０００５】

【課題解決のための手段】

本考案のエンジンの補機駆動用伝動機構は、補機シャフトの先端部にスリ割り を形成し、エンジンにより回転駆動される駆動軸に前記スリ割りが嵌合する孔を 形成し、該駆動軸の前記孔の部分に前記スリ割りに係止するピンを該駆動軸の外 周面から突出しない状態で固定し、前記駆動軸を前記ピンが固定される部分で回 転自在に軸支する構成とすることにより、上記目的を達成するものである。

【０００６】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。図１は本考案を適用したエ ンジンの補機駆動用伝動機構の一実施例を示す縦断面図である。図１において、 エンジンのクランクケース１の内部にはクランクシャフト２が回転自在に軸支さ れている。図示のエンジンは２気筒の場合を示し、前記クランクシャフト２の軸 方向２箇所でそれぞれクランクウエブ３、３を介してクランクピン４が固定され ている。各クランクピン４には不図示のコネクティングロッドが連結され、これ らのコネクティングロッドの他端はそれぞれ対応する気筒（シリンダ）内のピス トン（不図示）に連結されている。

【０００７】 前記クランクシャフト２は、クランクケース１の両側面部５、６および２箇所 の中央壁部７Ａ、７Ｂの合計４箇所に設けた軸受により支持されている。また、 図示のクランクシャフト２には、エンジン出力を取り出すための出力ギア８や吸 排気弁作動用のカムを駆動するためのカム用ギア９などが設けられている。

【０００８】 クランクケース１内には、クランクシャフト２により回転駆動される駆動軸１ １が装着されている。この駆動軸１１は、前記クランクケース１の側面部５と一 方の中央壁部７Ｂの２箇所で回転自在に軸支されている。前記クランクシャフト ２には補機駆動用ギア１２が一体に形成されており、前記駆動軸１１には駆動軸 ギア１３が形成されており、これらのギア１２、１３は常に噛み合っている。な お、本実施例の前記駆動軸１１は、クランクシャフト２のバランサーを兼ねてお り、該クランクシャフト２の慣性モーメントと対抗する部材偏心質量（錘）１４ を有する回転部材で構成されている。

【０００９】 クランクケース１の所定位置には、オイルポンプまたは水ポンプなど、クラン クシャフト２の回転に同期して駆動される補機１５が装着されている。この補機 １５には入力軸（補機シャフト）１６が設けられている。そして、この補機シャ フト１６は前記駆動軸１１と同一軸心で回転力伝達可能に連結されており、該駆 動軸１１の回転力により前記補機１５を駆動するように組み立てられている。な お、本実施例では、前記補機１５はクランクケース１の側面部６に位置決め固定 され、該補機１５の入力軸（補機シャフト）１６は該側面部６を貫通してクラン クケース１内へ延びている。

【００１０】 図２は前記駆動軸１１と前記補機シャフト１６の連結部の組立前の分解斜視図 であり、図３は前記駆動軸１１と前記補機シャフト１６の連結部の組立状態を示 す縦断面図である。図１〜図３において、前記補機シャフト１６の先端部２６に は端面に開放した一定幅の縦溝から成るスリ割り１７が形成されており、前記駆 動軸１１の先端部には中心孔（同心孔）１８が形成されており、前記スリ割り１ ７を有する前記補機シャフト１６の先端部２６は前記中心孔１８に嵌合挿通され ている。すなわち、前記補機シャフト１６のオーバーハングした先端部２６は、 自由端ではなく、前記駆動軸１１の中心孔１８により支持されている。

【００１１】 図１〜図３において、前記駆動軸１１の前記中心孔１８の部分には、嵌合され た前記補機シャフト１６のスリ割り１７に係止するピン１９が固定されている。 図示の例では、前記ピン１９は駆動軸１１に形成した直径方向の孔２０に対して 該駆動軸１１の外周面から突出しない状態で嵌合され、該駆動軸１１の前記直径 方向の孔２０の位置には円周方向の溝２１が形成されており、該円周方向の溝２ １には前記ピン１９を抜け止めするためのサークリップ２２が装着されている。 なお、前記直径方向の孔２０に対して前記ピン１９が圧入等で固定される場合は 、前記円周溝２１および前記サークリップ２２を省略してもよい。

【００１２】 前記駆動軸１１の先端部（前記直径方向の孔２０が形成された部分を含む）の 外周は円形断面のジャーナル部２３となっている。そして、前記駆動軸１１は、 図１および図３に示すように、前記ジャーナル部２３の部分において、前記クラ ンクケース１の一方の中央壁部７Ｂに形成された軸受孔２４に回転自在に軸支さ れている。すなわち、前記駆動軸１１は、クランクケース１の前記側面部５およ び前記中央壁部７Ｂの２箇所で回転自在に軸支されている。

【００１３】 以上説明した実施例によれば、補機シャフト１６の先端部２６を駆動軸１１の 中心孔１８に嵌合挿通するとともに、該補機シャフト１６に形成されたスリ割り １７を駆動軸１１の中心孔１８内に固定したピン１９に回転力伝達可能に係止さ せ、前記駆動軸１１の先端ジャーナル部２３を軸受孔２４で回転自在に軸支する ように構成したので、簡単な構成で、補機シャフト１６のセンタリングと軸受の 効果を実現することができ、補機シャフト１６の組立精度の向上および回転時の ブレ防止を図ることが可能なエンジンの補機駆動用伝動機構が得られる。

【００１４】 なお、上記実施例では、補機シャフト１６の駆動軸１１としてクランクシャフ ト２で駆動されるバランサー自体を使用する場合を示したが、前記駆動軸として は、補機シャフト１６を回転駆動し得る軸部材であれば、クランクシャフト自体 あるいは該クランクシャフトで回転駆動される種々の軸部材など、任意の部材を 使用することができる。また、前記補機１５としては、オイルポンプ、水ポンプ 、ゼネレータ（発電機）など、エンジンで駆動される比較的軽負荷の機器（補機 ）であれば、任意の機器（補機）を選定することができる。

【００１５】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなごとく、本考案のエンジンの補機駆動用伝動機構によ れば、補機シャフトの先端部にスリ割りを形成し、エンジンにより回転駆動され る駆動軸に前記スリ割りが嵌合する孔を形成し、該駆動軸の前記孔の部分に前記 スリ割りに係止するピンを該駆動軸の外周面から突出しない状態で固定し、前記 駆動軸を前記ピンが固定される部分で回転自在に軸支する構成としたので、簡単 な構成で、駆動軸および補機シャフトの組立時の同心度を精度向上および回転力 伝達時の心ブレ防止を図ることができ、ポンプ等の補機類の駆動を一層円滑にか つ静粛に行ない得るエンジンの補機駆動用伝動機構が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用したエンジンの補機駆動用伝動機
構の一実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１中の駆動軸と補機シャフトの連結部の組み
付け前の分解斜視図である。

【図３】図１中の駆動軸と補機シャフトの連結部の組み
付け状態を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ クランクケース ２ クランクシャフト ５ 側面部（クランクケース） ６ 側面部（クランクケース） ７Ｂ 中央壁部（クランクケース） ８ 出力ギア １１ 駆動軸 １２ 補機駆動用ギア １３ 駆動軸ギア １４ 偏心質量部分 １５ 補機 １６ 補機シャフト １７ スリ割り １８ 中心孔 １９ ピン ２０ 直径方向の孔 ２１ 円周溝 ２２ サークリップ ２３ ジャーナル部（駆動軸） ２４ 軸受孔（中央壁部） ２６ 先端部（補機シャフト）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 補機シャフトの先端部にスリ割りを形
   成し、エンジンにより回転駆動される駆動軸に前記スリ
   割りが嵌合する孔を形成し、該駆動軸の前記孔の部分に
   前記スリ割りに係止するピンを該駆動軸の外周面から突
   出しない状態で固定し、前記駆動軸を前記ピンが固定さ
   れる部分で回転自在に軸支することを特徴とするエンジ
   ンの補機駆動用伝動機構。