JP2871194B2 - カム軸のシザーズギヤ機構 - Google Patents

カム軸のシザーズギヤ機構

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JP2871194B2
JP2871194B2 JP19500091A JP19500091A JP2871194B2 JP 2871194 B2 JP2871194 B2 JP 2871194B2 JP 19500091 A JP19500091 A JP 19500091A JP 19500091 A JP19500091 A JP 19500091A JP 2871194 B2 JP2871194 B2 JP 2871194B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カム軸に備えられたシ
ザーズギヤ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】図6に示すように、ダブルオーバヘッド
カムシャフト型エンジンでは、2本のカム軸2、4のう
ち、一方のカム軸2のみをクランク軸6から駆動し、こ
の一方のカム軸2を駆動側とし、他方のカム軸4を被駆
動側として、ギヤ8、10により、駆動側カム軸2から
被駆動側カム軸4に動力を伝達するようにしたものがあ
る。
【0003】そして、被駆動側カム軸4のギヤ10とし
て、シザーズギヤ機構を用いたものがある(たとえば、
実開昭62−119563号公報)。ここで、シザーズ
ギヤ機構10とは、ギヤを軸方向に2つのギヤエレメン
ト(ドリブンギヤ、サブギヤ)に分割し、両ギヤエレメ
ントをばねによって周方向に連結して周方向に互いに振
動可能とし、ドライブギヤ8の歯をシザーズギヤ機構
0の2つのギヤエレメントの歯で挟み込んで、ギヤバッ
クラッシュをとるようにしたギヤ機構を云う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のカム軸
のシザーズギヤ機構には、次の問題があった。シザーズ
ギヤ機構がカム軸端部に配置されず、気筒間に配置され
た場合、サブギヤは少なくとも1個のカムロブを通り越
して組付けされなければならない。そのため、カムロブ
の長径はサブギヤ内周で制約を受けることになり、した
がって、カムベース円およびバルブリフトが制約され
る。
【0005】また、カム軸本体に圧入されるドリブンギ
ヤは、従来、カム軸本体のフランジ状のストッパにより
長手方向の位置決めをされている。サブギヤはドリブン
ギヤと同方向に装着されるが、サブギヤとカム軸本体の
はめ合いは、シザーズギヤ機構の機能上、すき間ばめで
ある必要があり、カム軸本体側にドリブンギヤの圧入に
よる傷付き、かじり等があってはならない。そのため、
サブギヤのはめ合い部の径はドリブンギヤの圧入径より
も小さい径とされていた。カム軸ピッチが狭い場合、ギ
ヤ径も小さくなり、ドリブンギヤの内部にシザーズスプ
リングのスペースをとると、ドリブンギヤの内径はある
大きさ以下にきまり、サブギヤは上記の理由で内径がさ
らに小さくなる。これがカムロブの長径を制約する。
【0006】本発明の目的は、カムロブの長径を増大で
きるカム軸のシザーズギヤ機構を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のカム軸のシザーズギヤ機構は、次のように
構成されている。すなわち、カム軸本体の気筒間部位に
固定されて前記カム軸本体と一体に回転するドリブンギ
ヤ、前記ドリブンギヤに隣接され前記カム軸本体に隙間
嵌めされたサブギヤ、および前記ドリブンギヤと前記サ
ブギヤとを周方向に連結するスプリング、から成るカム
軸のシザーズギヤ機構において、 sinθ=l/l′ ただし、 θ:前記サブギヤの回転軸芯を通り前記スプリングの作
用力と反対方向に延びる軸線に対する位相角 l:前記サブギヤの中心から前記スプリングの作用点ま
での距離 l′:前記サブギヤの中心からギヤ作用線までの距離 で特定される±θの範囲を除く、前記サブギヤの内周部
に、サブギヤ内周円から半径方向外方に後退する凹部を
形成したことを特徴とするカム軸のシザーズギヤ機構。
【0008】
【作用】上記±θの範囲を除く部位は、サブギヤの内周
部のうち荷重を受けない部位に対応する。この部位に凹
部を設けることによって、凹部の量だけ従来よりもカム
ロブとの干渉を避けることができ、カムロブの長径を増
大できる。
【0009】
【実施例】以下に、本発明に係るカム軸のシザーズギヤ
機構の望ましい実施例を、図1−図5を参照して説明す
る。図1において、4は図6に示した被駆動側カム軸4
と同様な被駆動側カム軸本体で、気筒間に相当する部位
に、シザーズギヤ機構10から成るドリブンギヤが装着
され、図6に示した駆動側カム軸2のドライブギヤ8と
シザーズギヤ機構10とを噛合させることにより、動力
が駆動側カム軸2から被駆動側カム軸4に伝達されるよ
うになっている。
【0010】シザーズギヤ機構10は、カム軸本体4の
気筒間に相当する部位に固定されてカム軸本体4と一体
に回転するドリブンギヤ12、ドリブンギヤ12にギヤ
軸方向に隣接されカム軸本体4に遊嵌(すきま嵌め)さ
れたサブギヤ14、およびドリブンギヤ12とサブギヤ
14とを周方向に連結するスプリング16から成る。
【0011】スプリング16は周方向にほぼ1周延び、
一端でドリブンギヤ12に固定されるピン18と当接
し、他端でサブギヤ14に固定されたピン20と当接し
ている(図2参照)。ドリブンギヤ12のサブギヤ14
側側面には軸方向に凹まされた環状の凹部32が形成さ
れており、スプリング16はそこに収納されている。こ
のスプリング16による連結により、サブギヤ14はド
リブンギヤ12と共に回転しつつドリブンギヤ12に対
して回転方向に微小振動し、ドリブンギヤ12の歯とサ
ブギヤ14の歯は、はさみ(シザーズ)のようにドライ
ブギヤ8(図6参照)の歯を挟み、バックラッシュをと
る。このためギヤ騒音が低減される。
【0012】カム軸本体4には軸方向に延びる油通路2
2が設けられ、サブギヤ装着部には、油通路22からカ
ム軸本体外周面まで延びてサブギヤ装着部に油を供給す
る給油穴24が設けられている。
【0013】サブギヤ14は外周に歯が形成された環状
の歯車で、内周部に、サブギヤ内周円26から半径方向
外方に後退する凹部28が形成されている。サブギヤ1
4には、ドライブギヤ8からの反力およびスプリング1
6からの力がかかり、これらの合力がカム軸本体4から
の反力によって支持される。したがって、サブギヤ14
のカム軸本体4との接触面にはカム軸本体4からの反力
がかかる。そして、凹部28はこのカム軸本体からの反
力がかかる部位を除いたサブギヤ内周部位に形成されて
いる。これを、図3−図5を参照してさらに詳しく説明
する。
【0014】図3において、サブギヤ14はピン20の
位置でスプリング16からの一定のスプリング力Fs
(ベクトル量)を受ける。一方、サブギヤ14はドライ
ブギヤ8からの反力を受けるが、このドライブギヤ8か
らの反力は、スプリング力Fsが作用する方向を固定し
て見た場合、図3に示すように、Fg1 から、Fg2
Fg3 、・・・、Fg8 (ベクトル量)と回転してい
く。これに伴ない、FsとFgn(n=1、2、・・
・、8)の合力は、図4に示すように、F1 、F2 、・
・・、F8 (ベクトル量)と大きさと方向が変ってい
く。したがって、サブギヤ内周とカム軸本体4の着力点
は、図5の点A−B間を往復運動する。そして、荷重も
1 、F2 、・・・、F8 (ベクトル量)と変化する。
【0015】図3で、加減速によるサブギヤ14の慣性
力を無視できるとすると、 │Fs│×l=│Fgi│×l′、i=1、2、3、・・・ │Fgi│=│Fs│×l/l′・・・(1) ただし、 l:ギヤ中心とシザーズスプリング作用点間の距離 l′:ギヤ中心とギヤ作用線間の距離(インボリュート
歯車の場合は基礎円半径)
【0016】l′<lの場合、図4の点が円の中に入
り、合力Fi(i=1、2、3、・・・)は全方向を向
くことになり、図5で荷重を受けない範囲はなくなる。
l′≧lの場合、図4および図5より、荷重を受ける範
囲ABの中心角AOBの大きさを2θとすると、 |Fgi|=|Fs|sinθ、(0≦θ≦90°) (1)式より、 |Fs|×l/l′=|Fs|sinθ sinθ=l/l′(≦1) となる。
【0017】したがって、サブギヤ14内周に凹部を設
ける条件は、 l′≧l、かつ 角∠AOB=2θのとき、sinθ=l/l′(ただ
し、0≦θ≦90°)となる弧ABの範囲外に凹部を設
けることである。なお、l′≧lなら、角AOB≦18
0°なので、図5の円の右半分であれば、凹部をどこに
設けてもよい。
【0018】次に、作用を説明する。被駆動側カムシャ
フトはドライブギヤ8、シザーズギヤ機構10を介して
駆動される。このとき、シザーズギヤ機構10のサブギ
ヤ14は、ドライブギヤ8からの噛合反力と、スプリン
グ16からのスプリング力とを受け、その合力に対する
つり合い力をカム軸本体4から受ける。そして、カム軸
本体4からの反力の着力点は、図5の弧ABに限定され
る。サブギヤ14の内周部の凹部28は弧ABを除く部
位に形成されているので、サブギヤ14の内周に凹部を
形成しても、サブギヤ支持上支障は生じない。
【0019】凹部28はサブギヤ14内周部に形成する
ことによって、図2に示すように、カムロブ30との干
渉を避けることができ、かつカムロブ30の直径を従来
よりも増大できる。シザーズギヤ機構10をカム軸4の
気筒間に相当する部位に設けた場合、サブギヤ14はカ
ムロブを乗り越えて取付けられなければならない。図2
の例で、もし凹部28がなければ、カムロブはサブギヤ
内周に干渉するので取付け不可能となるが、凹部28を
設けてあるので、干渉が防がれ、サブギヤ14の組付け
が可能かつ容易となっている。また、凹部28の弧面と
干渉しない範囲で、カムロブ30の長径を増大できる。
【0020】従来はサブギヤとカムロブの干渉を防ぐに
は、サブギヤしたがってシザーズギヤの外径を大にして
ギヤ内径を大にするしか方法がなかった。しかし、凹部
28をサブギヤ14に設けることによってサブギヤとカ
ムロブとの干渉が防止できることが分ったので、逆にギ
ヤ外径のコンパクト化が可能となる。したがって、駆動
側カム軸と被駆動側カム軸とのピッチも小にでき、バル
ブ挟み角の縮小も容易で、燃焼室をコンパクト化でき
る。
【0021】また、サブギヤ14に凹部28を設けたこ
とによりその分だけギヤは軽量化される。またサブギヤ
14の凹部28と向き合うカム軸本体ボス部も、荷重が
かからない部位のため、肉盗みすることで、さらに軽量
にできる。これらはカム軸のバランス取りに利用でき
る。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、カム軸のシザーズギヤ
機構において、sinθ=l/l′で規定される±θの
範囲を除くサブギヤの内周部に、凹部を設けたので、カ
ムロブ長径を増大化でき、さらにはカム軸ピッチの縮小
化、燃焼室のコンパクト化等をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るカム軸のシザーズギヤ
機構の分解斜視図である。
【図2】図1のシザーズギヤ機構のA矢視図である。
【図3】サブギヤにかかるスプリング力とドライブギヤ
反力のベクトル図である。
【図4】サブギヤにかかるスプリング力とドライブギヤ
反力との合力のベクトル図である。
【図5】サブギヤ内周とカム軸本体に働らく反力のベク
トル図である。
【図6】シザーズギヤ機構を装着したダブルオーバヘッ
ドカムシャフトエンジンの透視斜視図である。
【符号の説明】
4 カム軸本体 8 ドライブギヤ 10 シザーズギヤ機構 12 ドリブンギヤ 14 サブギヤ 16 スプリング 18 ピン 20 ピン 26 サブギヤ内周円 28 凹部 30 カムロブ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カム軸本体の気筒間に相当する部位に固
    定されて前記カム軸本体と一体に回転するドリブンギ
    ヤ、 前記ドリブンギヤに隣接され前記カム軸本体に隙間嵌め
    されたサブギヤ、および前記ドリブンギヤと前記サブギ
    ヤとを周方向に連結するスプリング、 から成るカム軸のシザーズギヤ機構において、 sinθ=l/l′ ただし、 θ:前記サブギヤの回転軸芯を通り前記スプリングの作
    用力と反対方向に延びる軸線に対する位相角 l:前記サブギヤの中心から前記スプリングの作用点ま
    での距離 l′:前記サブギヤの中心からギヤ作用線までの距離 で特定される±θの範囲を除く、前記サブギヤの内周部
    に、サブギヤ内周円から半径方向外方に後退する凹部を
    形成したことを特徴とするカム軸のシザーズギヤ機構。
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CN112360951A (zh) * 2020-10-29 2021-02-12 洪利星 一种周期可调节间歇主动齿轮结构

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