JP3769272B2 - 負圧ポンプ - Google Patents

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本発明は、椀状のハウジング主体と、該ハウジング主体の開口部を塞ぐようにしてハウジング主体に結合される蓋部材とでポンプハウジングが構成され、該ポンプハウジングに回転自在に支承される回転軸に、前記ポンプハウジングに収容されるロータが相対回転不能に連結され、前記蓋部材を貫通して該蓋部材から突出した回転軸の突出端部に被動輪が固定され、無端状の伝動部材が前記被動輪に巻き掛けられる負圧ポンプに関する。
クランクシャフトから補機ベルトを介して回転軸に動力が伝達されるようにしてエンジンにポンプハウジングが取付けられる負圧ポンプが、たとえば特許文献1等で既に知られている。
特開平7−189728号公報
ところで、負圧ポンプの回転軸に、ベルトやチェーン等の無端状の伝動部材から動力が伝達される構成では、負圧ポンプの駆動時には回転軸にその軸線を傾ける方向の荷重がかかり、回転軸に傾きが生じてしまい、ポンプハウジングの内面にロータの両端面が片当たりし、充分な負圧性能を確保し得なくなる可能性があるが、上記従来のものでは、そのような回転軸の傾きに対する対策がなされていない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、回転軸の傾きを有効に防止して信頼性の向上を図った負圧ポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、椀状のハウジング主体と、該ハウジング主体の開口部を塞ぐようにしてハウジング主体に結合される蓋部材とでポンプハウジングが構成され、該ポンプハウジングに回転自在に支承される回転軸に、前記ポンプハウジングに収容されるロータが相対回転不能に連結され、前記蓋部材を貫通して該蓋部材から突出した回転軸の突出端部に被動輪が固定され、無端状の伝動部材が前記被動輪に巻き掛けられる負圧ポンプにおいて、前記被動輪および前記蓋部材間で前記回転軸には、該回転軸の半径方向外方に張り出す鍔部が設けられ、前記蓋部材との間で前記鍔部を軸方向両側から挟むカバーが、前記蓋部材に取付けられることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記蓋部材には、前記回転軸との間に軸受を介在させて該回転軸を囲繞する円筒状の支持筒部が一体に設けられ、前記カバーは、前記支持筒部を嵌合せしめる円筒部と、該円筒部の一端から半径方向内方に張り出して前記支持筒部の先端との間に前記鍔部を挟む挟持鍔部と、前記円筒部の他端から半径方向外方に張り出す取付け鍔部とを一体に備え、取付け鍔部が前記蓋部材に締結されることを特徴とする。
さらに請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明の構成に加えて、円筒状のプレーンベアリングである前記軸受および前記回転軸間にオイルを供給するオイル供給路が前記回転軸に設けられ、前記ロータが、前記回転軸にスプライン嵌合されることを特徴とする。
上記請求項1記載の発明によれば、回転軸に設けられた鍔部を軸方向両側からカバーおよび蓋部材で挟むので、回転軸の傾きを有効に防止して信頼性を高めることができる。
また請求項2記載の発明によれば、カバーの取付け鍔部を回転軸の軸方向に沿って被動輪から比較的離れた位置に配置することで、被動輪の回転軸への固定位置を蓋部材側に極力近接させつつ、カバーの蓋部材への取付け部が被動輪と干渉することを防止することができ、負圧ポンプのコンパクト化に寄与することができる。
さらに請求項3記載の発明によれば、安価なプレーンベアリングを用いて回転軸を蓋部材で回転自在に支承することが可能となり、しかも特別のシール部材を用いることなく、プレーンベアリングおよび回転軸間に充満するオイルで充分なシール機能を発揮させることができ、またカバーの挟持鍔部および蓋部材の支持筒部と、回転軸の鍔部との間をプレーンベアリングおよび回転軸間から鍔部側に流出したオイルで潤滑することが可能であり、さらに前記挟持鍔部および支持筒部と鍔部の両面との間のごくわずかな間隙に対応する分だけ回転軸がわずかに傾いたとしても、ポンプハウジング内でロータの回転軸線が傾くことを防止しつつ回転軸およびロータの相対回転不能な連結状態を維持することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1および図2は本発明の一実施例を示すものであり、図1はクランクシャフトの軸方向に沿う一端側のエンジンの側面図、図2は図1の2−2線拡大断面図である。
先ず図1において、多気筒のディーゼルエンジンは、そのクランクシャフト11の軸線を車体の幅方向に沿わせるようにして自動車に搭載されるものであり、エンジン本体12は、ケース部13aを下部に一体に備えるシリンダブロック13と、前記ケース部13aと協働してクランクケース14を構成するようにしてシリンダブロック13の下部に結合されるロアブロック15と、該ロアブロック15の下面に結合されるオイルパン16と、前面に排気系19が接続されるとともに後面に排気系20が接続されるようにして前記シリンダブロック13の上部に結合されるシリンダヘッド17と、シリンダヘッド17の上部に結合されるヘッドカバー18とを備える。
クランクケース14で回転自在に支承されたクランクシャフト11の一端部には第1駆動スプロケット21と、第1駆動スプロケット21よりも大径である第2駆動スプロケット22とが固定される。またシリンダヘッド17には、クランクシャフト11と平行な軸線を有するカムシャフト23が動弁装置の一部を構成するようにして回転自在に支承されており、このカムシャフト23の一端部には第1被動スプロケット24が固定される。さらにシリンダブロック13には、前記クランクシャフト11およびカムシャフト23と平行な回転軸線を有する負圧ポンプ25が取付けられており、その負圧ポンプ25の回転軸26には被動輪である第2被動スプロケット27が固定される。
第1駆動スプロケット21、第1被動スプロケット24および第2被動スプロケット27には、無端状の伝動部材であるタイミングチェーン28が巻き掛けられており、負圧ポンプ25の回転軸26およびカムシャフト23には、クランクシャフト11からの回転動力がタイミングチェーン28を介して伝達される。
またオイルパン16内には、二次振動を低減するための二次バランサ装置31が収容されており、該二次バランサ装置31は、上および下ハウジング32,33が相互に結合されて成るバランサハウジング34に、前記クランクシャフト11と平行な軸線を有するとともに相互に連動、連結された一対のバランサ軸35…が回転自在に支承されて成り、前記バランサハウジング34は、エンジン本体12のロアブロック15に結合される。
前記両バランサ軸35…の一方の端部には第3被動スプロケット36が固定されており、第2駆動スプロケット22および第3被動スプロケット36には、無端状の駆動チェーン37が巻き掛けられ、両バランサ軸35…はクランクシャフト11からの回転動力伝達によって回転する。
第2駆動スプロケット22および第3被動スプロケット36間で駆動チェーン37の緩み側には、ロアブロック15で揺動可能に支承される弓型のシュー54が摺接されており、このシュー54を駆動チェーン37側に押圧して駆動チェーン37に一定の張力を付与する液圧式のテンショナー55のテンショナーボディ56が、前記バランサハウジング34に取付けられる。
図2において、負圧ポンプ25は、ブレーキアシスト、可変ターボ制御およびスワールコントロールバルブ制御等に用いられる負圧を発生するためのものであり、ポンプハウジング38と、該ポンプハウジング38で回転自在に支承される回転軸26と、相対回転不能にして回転軸26に連結されてポンプハウジング38に収容されるロータ41とを備える。
ポンプハウジング38は、椀状のハウジング主体39と、該ハウジング主体39の開口部を塞ぐようにしてハウジング主体39に結合される蓋部材40とで構成され、該ポンプハウジング38は、シリンダブロック13に一体に設けられた支持板部13bに前記蓋部材40を対向させるようにして取付けられる。
前記蓋部材40には、前記支持板部13bに設けられた円筒状の筒部42に環状のシール部材43を介して嵌合される嵌合筒部44と、該嵌合筒部44よりも小径に形成されて嵌合筒部44と同軸に配置される円筒状の支持筒部45とが、軽量化を図るための環状の肉抜き部59を前記量筒部44,45間に形成するようにして一体に設けられる。
前記ポンプハウジング38内には、前記嵌合筒部44および支持筒部45とは偏心した軸線を有するポンプ室46が形成されており、前記回転軸26にスプライン嵌合された前記ロータ41が該ポンプ室46に収容される。しかもロータ41には、該ロータ41の一直径線上に配置される一対のベーン52,52がロータ41の半径方向に沿う摺動を可能として嵌合されており、ロータ41の回転に応じて両ベーン52,52にはロータ41の半径方向外方に向けての遠心力が作用し、それにより両ベーン52,52は、ポンプ室46の内周面に摺接することになる。
前記回転軸26は、その一端を蓋部材40の支持筒部45から突出させるようにして支持筒部45を同軸に貫通するものであり、支持筒部45および回転軸26間には、軸受である円筒状のプレーンベアリング47が介装される。また回転軸26の他端は、ポンプハウジング38におけるハウジング主体39の閉塞端部に設けられた有底円筒状の軸受け部39aに摺動可能に嵌合される。すなわち回転軸26は、蓋部材40の支持筒部45にプレーンベアリング47を介して回転自在に支承されるとともに、ハウジング主体39の軸受け部39aで回転自在に支承される。
前記回転軸26には、該回転軸26および前記プレーンベアリング47間に潤滑のためのオイルを供給するためのオイル供給路48が設けられるものであり、このオイル供給路48は、前記プレーンベアリング47に対応する部分で一端を閉じるとともに他端を回転軸26の他端に開口するようにして回転軸26に同軸に設けられる通路48aと、該通路48aの一端部および回転軸26の外面間にわたるようにして回転軸26に放射状に設けられる複数の連通孔48b…とで構成される。しかもポンプハウジング38には、前記軸受け部39a内で前記オイル供給路48の通路48aに通じるようにしてオイル通路49が設けられており、このオイル通路49はエンジン本体12内に形成されているオイル通路(図示せず)に連通している。
ところで、第2被動スプロケット27は、前記ポンプハウジング38の蓋部材40における支持筒部45から突出した回転軸26の一端部、すなわち嵌合筒部44よりも外方に突出するようにして支持筒部45から突出した回転軸26の突出端部に固定されており、この第2被動スプロケット27および前記支持筒部45間で回転軸26には、半径方向外方に張り出す鍔部26aが一体に設けられる。一方、蓋部材40には、該蓋部材40との間で前記鍔部26aを軸方向両側から挟むカバー50が取付けられる。
前記カバー50は、前記支持筒部45を嵌合せしめる円筒部50aと、該円筒部50aの一端から半径方向内方に張り出して前記支持筒部45の先端との間に前記鍔部26aを挟む挟持鍔部50bと、前記円筒部50aの他端から半径方向外方に張り出す取付け鍔部50cとを一体に備えるものであり、取付け鍔部50cが前記蓋部材40における嵌合筒部44の先端に複数のボルト51…により締結される。
また前記鍔部26aの外径は、前記カバー50における円筒部50aの内面および前記鍔部26aの外面間に、前記カバー50の挟持鍔部50bおよび支持筒部45の先端で軸方向両端が規定されるようにした環状のオイル溜まり57を形成するように設定される。しかも挟持鍔部50bの内周の一部には、前記オイル溜まり57に通じる切欠き58が設けられており、この切欠き58は、負圧ポンプ25をシリンダブロック13に取り付けた状態では挟持鍔部50bの内周のうち最上方位置となる位置に配置される。
次にこの実施例の作用について説明すると、ポンプハウジング38における蓋部材40と、該蓋部材40から突出した回転軸26の突出端部に固定される第2被動スプロケット27との間で回転軸26には、該回転軸26の半径方向外方に張り出す鍔部26aが設けられ、蓋部材40との間で鍔部26aを軸方向両側から挟むカバー50が蓋部材40に取付けられているので、駆動チェーン37からの動力伝達により回転軸26にその軸線を傾ける方向の荷重がかかっても、回転軸26の傾きを有効に防止することが可能であり、ポンプハウジング38の内面にロータ41の両端面が片当たりすることを防止して、充分な負圧性能を確保して信頼性を高めることができる。
しかも蓋部材40には、回転軸26との間にプレーンベアリング47を介在させて該回転軸26を囲繞する円筒状の支持筒部45が一体に設けられ、カバー50は、支持筒部45を嵌合せしめる円筒部50aと、該円筒部50aの一端から半径方向内方に張り出して支持筒部45の先端との間に鍔部26aを挟む挟持鍔部50bと、円筒部50aの他端から半径方向外方に張り出す取付け鍔部50cとを一体に備え、取付け鍔部50cが蓋部材40の嵌合筒部44に締結されるので、カバー50の取付け鍔部50cを回転軸26の軸方向に沿って第2被動スプロケット27から比較的離れた位置に配置することで、第2被動スプロケット27の回転軸26への固定位置を蓋部材40側に極力近接させつつ、カバー50の蓋部材40への取付け部が第2被動スプロケット27と干渉することを防止することができ、負圧ポンプ25のコンパクト化に寄与することができる。
またプレーンベアリング47および回転軸26間にオイルを供給するオイル供給路48が回転軸26に設けられているので、安価なプレーンベアリング47を用いて回転軸26を蓋部材40で回転自在に支承することが可能となるとともに、特別のシール部材を用いることなく、プレーンベアリング47および回転軸26間に充満するオイルで充分なシール機能を発揮させることができる。
またカバー50の挟持鍔部50bおよび蓋部材40の支持筒部45との間で、回転軸26の鍔部26aを囲むように環状のオイル溜まり57が形成されており、挟持鍔部50bの内周の一部にはオイル溜まり57に通じる切欠き58が設けられているので、プレーンベアリング47および回転軸26間から前記オイル溜まり57側にオイルを円滑に流出させ、カバー50の挟持鍔部50bおよび支持筒部45の先端と、前記鍔部26aとの間を潤滑しており、鍔部26aに多少のがたつきが生じても破損や磨耗が生じることを防止することができる。
しかも前記切欠き58は、負圧ポンプ25をシリンダブロック13に取り付けた状態では挟持鍔部50bの内周のうち最上方位置にあるので、エンジン停止時にオイル溜まり57の下部にはオイルを極力ためたままとし、エンジン再始動時に、鍔部26aと、挟持鍔部50bおよび支持筒部45との間で焼きつきが生じるのを極力防止することが可能となる。
さらにロータ41が回転軸26にスプライン嵌合されるので、挟持鍔部50bおよび支持筒部45と鍔部26aの両面との間のごくわずかな間隙に対応する分だけ回転軸26がわずかに傾いたとしても、ポンプハウジング38内でロータ41の回転軸線が傾くことを防止しつつ回転軸26およびロータ41の相対回転不能な連結状態を維持することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば回転軸26に固定される被動輪が被動プーリであってもよく、その場合、無端状の伝動ベルトが伝動部材として被動プーリに巻き掛けられる。
クランクシャフト11の軸方向に沿う一端側のエンジンの側面図である。 図1の2−2線拡大断面図である。
符号の説明
25・・・負圧ポンプ
26・・・回転軸
26a・・・鍔部
27・・・被動輪としての第2被動スプロケット
28・・・伝動部材としてのタイミングチェーン
38・・・ポンプハウジング
39・・・ハウジング主体
40・・・蓋部材
41・・・ロータ
45・・・支持筒部
47・・・軸受としてのプレーンベアリング
48・・・オイル供給路
50・・・カバー
50a・・・円筒部
50b・・・挟持鍔部
50c・・・取付け鍔部

Claims (3)

  1. 椀状のハウジング主体(39)と、該ハウジング主体(39)の開口部を塞ぐようにしてハウジング主体(39)に結合される蓋部材(40)とでポンプハウジング(38)が構成され、該ポンプハウジング(38)に回転自在に支承される回転軸(26)に、前記ポンプハウジング(38)に収容されるロータ(41)が相対回転不能に連結され、前記蓋部材(40)を貫通して該蓋部材(40)から突出した回転軸(26)の突出端部に被動輪(27)が固定され、無端状の伝動部材(28)が前記被動輪(27)に巻き掛けられる負圧ポンプにおいて、前記被動輪(27)および前記蓋部材(40)間で前記回転軸(26)には、該回転軸(26)の半径方向外方に張り出す鍔部(26a)が設けられ、前記蓋部材(40)との間で前記鍔部(26a)を軸方向両側から挟むカバー(50)が、前記蓋部材(40)に取付けられることを特徴とする負圧ポンプ。
  2. 前記蓋部材(40)には、前記回転軸(26)との間に軸受(47)を介在させて該回転軸(26)を囲繞する円筒状の支持筒部(45)が一体に設けられ、前記カバー(50)は、前記支持筒部(45)を嵌合せしめる円筒部(50a)と、該円筒部(50a)の一端から半径方向内方に張り出して前記支持筒部(45)の先端との間に前記鍔部(26a)を挟む挟持鍔部(50b)と、前記円筒部(50a)の他端から半径方向外方に張り出す取付け鍔部(50c)とを一体に備え、取付け鍔部(50c)が前記蓋部材(40)に締結されることを特徴とする請求項1記載の負圧ポンプ。
  3. 円筒状のプレーンベアリング(47)である前記軸受および前記回転軸(26)間にオイルを供給するオイル供給路(48)が前記回転軸(26)に設けられ、前記ロータ(41)が、前記回転軸(26)にスプライン嵌合されることを特徴とする請求項2記載の負圧ポンプ。
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