JPH0715796Y2 - 車両用ステップ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、上下複数段に並列する
車体上への乗降用ステップを備えている車両用ステップ
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば消防用車両や建設用車両にあって
は車体上での作業を行なうため、上下複数段に並列する
車体上への乗降用ステップを備えている。従来、そのよ
うなステップは車体に固定され、車体から外方に突出し
ていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ステップが車体から外
方に突出していると、ステップが障害物に衝突したり、
狭い道に侵入する際の妨げになる。

【０００４】そこで本考案は、複数の乗降用ステップを
能率的に車体に収納することのできる車両用ステップ装
置を提供することで、上記従来技術の問題を解決するこ
とを目的とする。なお、上下複数段に並列する車体上へ
の乗降用ステップを備え、各ステップは、使用状態では
車体から突出すると共に非使用状態では車体に収納され
るように揺動可能とされ、一つのステップを揺動させる
と他のステップが揺動するように各ステップを連結する
連動機構が設けられ、各ステップを使用状態と非使用状
態に姿勢保持する保持機構が設けられ、各ステップを揺
動させる駆動手段を備えたステップ装置が提案されてい
る（実開平２−１１５０４４号参照）。 しかし、そのス
テップ装置は、各ステップが非使用状態では非使用状態
になる方向の弾性力に基づくモーメントを作用させ、各
ステップが使用状態では使用状態になる方向の弾性力に
基づくモーメントを作用させるバネを有し、その弾性力
は各ステップが非使用状態と使用状態との間の一定位置
にある時に最大になる。そのため、各ステップを使用状
態から非使用状態に揺動させる場合、非使用状態と使用
状態との間の一定位置に至るまではその揺動を阻止する
モーメントが次第に大きくなり、しかも、各ステップの
自重に基づくモーメントも作用する。そうすると、使用
状態にある各ステップを非使用状態に揺動させるには大
きなモーメントを作用させることが必要になる。そのた
め、その従来のステップ装置は各ステップを揺動させる
駆動手段を備えており、手動にて揺動させるのに適した
構成ではない。 また、そのステップ装置の各ステップは
非使用状態状態において上下に並列せず、車体の奥行き
方向に沿って並列する。また、各ステップはリンクを介
し互いに連結されることで連動するが、そのリンクと前
記弾性力に基づくモーメントを作用させるバネとは使用
状態と非使用状態の双方の状態において車体の奥行き方
向に沿って並列する。そのため、車体の奥行き方向に関
するそのステップ装置の寸法は大きく、そのステップ装
置を非使用状態において車体に収納するには車体の奥行
き方向に関し大きな収納スペースを必要とする。しか
し、内部スペースが制限された車両においては、奥行き
方向に関し大きな収納スペースを確保するの は困難であ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案の特徴とするとこ
ろは、上下複数段に並列する車体上への乗降用ステップ
を備え、各ステップは、使用状態では車体から突出する
と共に非使用状態では車体に収納されるように揺動可能
とされ、一つのステップを揺動させると他のステップが
揺動するように各ステップを連結する連動機構が設けら
れ、各ステップを使用状態と非使用状態に姿勢保持する
と共に弾性力に基づくモーメントを各ステップに非使用
状態になる方向に作用させる保持機構が設けられ、その
弾性力に基づき作用するモーメントは各ステップの使用
状態においては非使用状態におけるよりも小さくされ、
各ステップは、使用状態においてはその弾性力に基づき
作用するモーメントよりも自重に基づき作用するモーメ
ントの方が大きくされると共に突出方向の揺動が規制さ
れることで姿勢保持される点にある。各ステップは支持
コラムに使用状態と非使用状態の双方の状態において上
下に並列するよう揺動可能に取り付けられ、各ステップ
はリンクを介し互いに連結されることで連動され、一つ
のステップとコラムとが、シリンダチューブに内蔵され
るバネの弾性力により付勢される伸縮ロッドを有するダ
ンパを介し連結され、そのダンパにより各ステップに非
使用状態になる方向に前記弾性力に基づくモーメントが
作用され、そのリンクとダンパとは使用状態と非使用状
態の双方の状態において上下に並列して配置されるのが
好ましい。

【０００６】

【作用】本考案の構成によれば、複数の乗降用ステップ
のうちの一つのステップを揺動させて車体から突出させ
ると、そのステップに連動して残りのステップも揺動し
て車体から突出し、各ステップは使用状態になる。

【０００７】複数の乗降用ステップのうちの一つのステ
ップを揺動させて車体に収納させると、そのステップに
連動して残りのステップも揺動して車体に収納され、各
ステップは非使用状態となる。この非使用状態にある各
ステップは保持機構により姿勢保持される。また、各ス
テップを使用状態から非使用状態に揺動させる場合、各
ステップに非使用状態になる方向に作用する弾性力に基
づくモーメントは大きくなり、使用状態になる方向に作
用する自重に基づくモーメントは小さくなる。これによ
り、各ステップを使用状態から非使用状態に揺動させる
のに必要なモーメントの大きさを、その使用状態におい
て各ステップに作用するモーメントの大きさ以上にする
必要はなく、不必要に大きな力で各ステップを揺動させ
る必要はなくなり、手動にて揺動させるのに適した構成
になる。 さらに、各ステップを支持コラムに使用状態と
非使用状態の双方の状態において上下に並列するよう取
り付けると共にリンクを介し互いに連結し、一つのステ
ップとコラムとを連結するダンパにより各ステップに非
使用状態になる方向に前記弾性力に基づくモーメントを
作用させ、そのリンクとダンパとを使用状態と非使用状
態の双方の状態において上下に並列して配置すること
で、車体の奥行き方向に関するステップ装置の寸法を小
さくし、ステップ装置を非使用状態において車体に収納
するのに必要とされる車体の奥行き方向に関する収納ス
ペースを小さくできる。

【０００８】

【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施例を説明
する。

【０００９】図８に示す消防用はしご車両１は、前輪２
および後輪３により車体４が支持され、その車体４に伸
縮はしご６が装備され、その車体４上へ乗降するための
ステップ装置７が設けられている。

【００１０】そのステップ装置７は図１〜図３に示すよ
うに、車体４の内部に固定される前後支持コラム８、９
と、この支持コラム８、９を介して車体４に取り付けら
れる上下２段に並列するステップ１０、１１とを備えて
いる。その下ステップ１１は上ステップ１０よりも車体
４からの突出寸法が大きくされている。

【００１１】上ステップ１０には一対の筒部材１２、１
３が、各筒部材１２、１３から突出するブラケット１
４、１５を介して固定されている。両筒部材１２、１３
に車両の前後方向に沿う支軸１６が挿通され、両筒部材
１２、１３と支軸１６とは回り止めされている。各コラ
ム８、９には筒部材１７、１８が、各筒部材１７、１８
から突出するブラケット１９、２０を介して固定され、
両筒部材１７、１８に前記支軸１６が軸中心に回転可能
に挿通されている。これにより、上ステップ１０は支軸
１６を中心として揺動可能とされ、図１、図３に示すよ
うに車体４から突出する使用状態と、図２、図４に示す
ように車体４に収納される非使用状態とに姿勢変更され
る。また上ステップ１０には、図８に示すように揺動さ
せる際に指を掛けるための開口１０ａが形成されてい
る。

【００１２】各コラム８、９の上部間は上カバー２１ａ
により覆われ、この上カバー２１にはゴム２２ａが取り
付けられている。そのゴム２２ａに上ステップ１０が収
納時に当接することで衝撃が吸収される。

【００１３】下ステップ１１には一対の筒部材２５、２
６が、各筒部材２５、２６から突出するブラケット２
７、２８を介して固定されている。両筒部材２５、２６
に車両の前後方向に沿う支軸２９が挿通され、両筒部材
２５、２６と支軸２９とは回り止めされている。各コラ
ム８、９には筒部材３０、３１が、各筒部材３０、３１
から突出するブラケット３２、３３を介して固定され、
両筒部材３０、３１に前記支軸２９が軸中心に回転可能
に挿通されている。これにより、下ステップ１１は支軸
２９を中心として揺動可能とされ、その揺動により図
１、図３に示すように車体４から突出する使用状態と、
図２、図４に示すように車体に収納される非使用状態と
に姿勢変更される。

【００１４】各コラム８、９の下部間は下カバー２１ｂ
により覆われ、その下カバー２１ｂにゴム２２ｂが取り
付けられている。そのゴム２２ｂに下ステップ１１が収
納時に当接することで衝撃が吸収される。

【００１５】上ステップ１０に連動して下ステップ１１
が揺動するように、各ステップ１０、１１を連結する連
動機構３５が設けられている。すなわち、上ステップ１
０を支持する支軸１６の一端にブラケット３６が固定さ
れ、下ステップ１１を支持する支軸２９の一端にブラケ
ット３７が固定され、両ブラケット３６、３７はリンク
３８により連結されている。これにより、上ステップ１
０を揺動させると支軸１６が回転し、この支軸１６の回
転がブラケット３６とリンク３８とブラケット３７を介
して支軸２９に伝達され、支軸２９が回転することで下
ステップ１１が揺動する。

【００１６】そのリンク３８は、上端がブラケット３６
に車両の前後方向に沿う軸中心に回転可能に連結される
上部材３８ａと、下端がブラケット３７に車両の前後方
向に沿う軸中心に回転可能に連結される下部材３８ｂ
と、上部材３８ａの下端に形成された雄ねじと下部材３
８ｂの上端に形成された雄ねじとにねじ合わされるナッ
ト３８ｃと、上部材３８ａの下端に形成された雄ねじに
ねじ合わされるロックナット３８ｄとにより構成されて
いる。その上下部材３８ａ、３８ｂに形成される雄ねじ
は互いに逆ねじとされ、ナット３８ｃの回転によりリン
ク３８の長さ調節が可能とされている。

【００１７】各ステップ１０、１１を車体４から突出し
た使用状態と車体４に収納された非使用状態とに姿勢保
持させる保持機構４０が設けられている。すなわち、一
方のコラム９にブラケット４１が取り付けられ、このブ
ラケット４１にガスダンパ４２のシリンダチューブ４４
が、車両の前後方向に沿う軸４３中心に回転可能に取り
付けられ、そのガスダンパ４２の伸縮ロッド４５は前記
ブラケット３６に車両の前後方向に沿う軸４６中心に回
転可能に取り付けられている。そのガスダンパ４２のシ
リンダチューブ４４にはバネが内蔵され、伸縮ロッド４
５を伸長方向に付勢している。その支軸４３の中心と支
軸４６の中心とを結ぶ線分Ｌと、上ステップ１０の支軸
１６とのステップ使用状態における距離Ｓ１は、ステッ
プ非使用状態における距離Ｓ２よりも小さくされてい
る。これにより、各ステップ１０、１１は非使用状態に
おいてはガスダンパ４２の弾性力に基づき作用するモー
メントにより、車体４に収納された姿勢が保持される。
また各ステップ１０、１１は使用状態においては、ガス
ダンパ４２の弾性力に基づき作用するモーメントよりも
自重に基づき作用するモーメントの方が大きく、ガスダ
ンパ４２により突出方向の揺動が規制されることから、
車体４から突出する姿勢が保持される。

【００１８】また、車体４に収納された各ステップ１
０、１１が走行振動等により振動して車体４から突出す
るのを防止するロック機構５０が設けられている。すな
わち、図４〜図７に示すように、上ステップ１０の前面
に基板５１がボルトにより取り付けられ、この基板５１
に前記開口１０ａが形成されると共に、上ステップ１０
の裏側において基板５１に支持ケース５２が取り付けら
れている。この支持ケース５２内において、レバー５３
が車両前後方向に沿う支軸５４を介し揺動可能に取り付
けられている。その支軸５４の一端はケース５２から突
出されてクランク部５４ａとされている。このクランク
部５４ａに当接するアーム５５が、ケース５２に車両左
右方向に沿う支軸５６を中心に揺動可能に取り付けられ
ている。そのアーム５５の上端にリンク５８の後端が連
結され、このリンク５８の前端はストッパー５９に連結
されている。このストッパー５９は、上ステップ１０に
ブラケット６０を介し取り付けられたガイド６１に車両
前後方向に沿って移動可能に支持されている。このスト
ッパー５９の先端を上ステップ１０の車体への収納時に
車体４に取り付けられたブラケット６２に当接させるた
め、ガイド６１にバネ５７が内蔵されている。このバネ
５７は、一端がストッパー５９に取り付けられたバネ受
け６４に当接し、他端がガイド６１に取り付けられたバ
ネ受け６５に当接する。また、アーム５５の下端にリン
ク６３の前端が取り付けられ、このリンク６３の後端は
上記同様にストッパーに連結され、そのストッパーはガ
イドにより車両前後方向に沿って移動可能に支持され、
そのストッパーの先端は、上ステップ１０の車体への収
納時に車体４に取り付けられたブラケットに当接する。

【００１９】上記ロック機構５０によれば、各ストッパ
ー５９がブラケット６２に当接することで、各ステップ
１０、１１が収納時に車体４から突出するのが防止され
る。また、各ステップ１０、１１を車体４から突出させ
て使用する際には、開口１０ａ内に指先を挿入してレバ
ー５３を揺動させると、支軸５４が回転してクランク部
５４ａによりアーム５５が図６において仮想線で示すよ
うに回転する。このアーム５５の回転がリンク５８、６
３を介して各ストッパー５９に伝達され、各ストッパー
５９はバネ５７の弾性力に抗して前後動してブラケット
６２との当接が解除される。これにより、各ステップ１
０、１１を車体４から突出させることが可能とされる。

【００２０】上記構成によれば、各ステップ１０、１１
を車体４から突出させて乗降用に使用することができる
と共に、非使用時には車体４に収納させることができ
る。よって、走行中におけるステップ１０、１１と障害
物との衝突を防止することができ、狭い道に侵入する際
にステップ１０、１１が邪魔になることもない。さら
に、上ステップ１０を揺動させれば下ステップ１１が連
動して揺動するため、能率良くステップ１０、１１を使
用状態あるいは非使用状態とすることができる。また、
各ステップ１０、１１を使用状態から非使用状態に揺動
させる場合、各ステップ１０、１１に非使用状態になる
方向に作用する弾性力に基づくモーメントは大きくな
り、使用状態になる方向に作用する自重に基づくモーメ
ントは小さくなる。これにより、各ステップ１０、１１
を使用状態から非使用状態に揺動させるのに必要なモー
メントの大きさを、その使用状態において各ステップに
作用するモーメントの大きさ以上にする必要はなく、不
必要に大きな力で各ステップ１０、１１を揺動させる必
要はなくなり、手動にて揺動させるのに適した構成にな
る。 さらに、各ステップ１０、１１を支持コラム８、９
に図１、図２に示すように使用状態と非使用状態の双方
の状態において上下に並列するよう取り付けると共にリ
ンク３８を介し互いに連結し、一つのステップ１０とコ
ラム９とを連結するダンパ４２により各ステップ１０、
１１に非使用状態になる方向に前記弾性力に基づくモー
メントを作用させ、そのリンク３８とダンパ４２とを図
１、図２に示すように使用状態と非使用状態の双方の状
態において上下に並列して配置することで、車体４の奥
行き方向に関するステップ装置７の寸法を小さくし、ス
テップ装置を非使用状態において車体に収納するのに必
要とされる車体の奥行き方向に関する収納スペースを小
さくできる。

【００２１】なお、本考案は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、上記実施例では消防用車両に本考
案を適用したが、車両の用途は限定されない。また、ス
テップは上下２段のものを示したが３段以上であっても
よい。また、連動機構としてリンク機構を用いるものを
示したが、例えば歯車機構を用いてもよい。また、保持
機構としてガスダンパを用いたが、例えばバネを用いて
もよい。

【００２２】

【考案の効果】本考案による車両用ステップ装置によれ
ば、車体上への乗降用ステップを非使用状態においては
車体に収納できるので、走行中に障害物と衝突すること
はなく、また、狭い道に侵入する際の妨げにもならな
い。しかも、一つのステップに連動して残りのステップ
も使用状態あるいは非使用状態とすることができるの
で、能率良くステップを収納しあるいは突出させること
ができる。また、各ステップを揺動させるのに不必要に
大きなモーメントを作用させる必要はなく、手動にてス
テップを揺動させるのに適した構成とできる。さらに、
ステップ装置は車体の奥行き方向に関する寸法を小さく
することで内部スペースが制限された車両においても収
納スペースを確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る車両用ステップ装置の使
用状態での側面図

【図２】本考案の実施例に係る車両用ステップ装置の非
使用状態での側面図

【図３】本考案の実施例に係る車両用ステップ装置の使
用状態での正面図

【図４】本考案の実施例に係るロック機構の正面図

【図５】本考案の実施例に係るロック機構の側断面図

【図６】本考案の実施例に係るロック機構の背面図

【図７】本考案の実施例に係るロック機構の平面図

【図８】本考案の実施例に係る車両の側面図

【符号の説明】

４ 車体 １０ 上ステップ １１ 下ステップ ３５ 連動機構 ４０ 保持機構

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下複数段に並列する車体上への乗降用
   ステップを備え、各ステップは、使用状態では車体から
   突出すると共に非使用状態では車体に収納されるように
   揺動可能とされ、一つのステップを揺動させると他のス
   テップが揺動するように各ステップを連結する連動機構
   が設けられ、各ステップを使用状態と非使用状態に姿勢
   保持すると共に弾性力に基づくモーメントを各ステップ
   に非使用状態になる方向に作用させる保持機構が設けら
   れ、その弾性力に基づき作用するモーメントは各ステッ
   プの使用状態においては非使用状態におけるよりも小さ
   くされ、各ステップは、使用状態においてはその弾性力
   に基づき作用するモーメントよりも自重に基づき作用す
   るモーメントの方が大きくされると共に突出方向の揺動
   が規制されることで姿勢保持されることを特徴とする車
   両用ステップ装置。
2. 【請求項２】 各ステップは支持コラムに使用状態と非
   使用状態の双方の状態において上下に並列するよう揺動
   可能に取り付けられ、各ステップはリンクを介し互いに
   連結されることで連動され、一つのステップとコラムと
   が、シリンダチューブに内蔵されるバネの弾性力により
   付勢される伸縮ロッドを有するダンパを介し連結され、
   そのダンパにより各ステップに非使用状態になる方向に
   前記弾性力に基づくモーメントが作用され、そのリンク
   とダンパとは使用状態と非使用状態の双方の状態におい
   て上下に並列して配置される請求項１に記載の車両用ス
   テップ装置。