JPH07157878A - 耐白錆性および耐変色性に優れた表面処理鋼板並びにその製造方法 - Google Patents

耐白錆性および耐変色性に優れた表面処理鋼板並びにその製造方法

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JPH07157878A
JPH07157878A JP5305488A JP30548893A JPH07157878A JP H07157878 A JPH07157878 A JP H07157878A JP 5305488 A JP5305488 A JP 5305488A JP 30548893 A JP30548893 A JP 30548893A JP H07157878 A JPH07157878 A JP H07157878A
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steel sheet
resistance
chromate
plating
film
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JP5305488A
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Masatoshi Iwai
正敏 岩井
Jiyunji Kawafuku
純司 川福
Koji Irie
広司 入江
Haruhiro Ayabe
東太 綾部
Shoji Miyake
昭二 三宅
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 素地鋼板を防錆するという機能に加え、更に
めっき層自体の耐食性、特に耐白錆性および耐変色性に
優れ、綺麗な外観を長期に亙って維持することのできる
表面処理鋼板を提供する。 【構成】 Al−Cr系合金蒸着めっき層が鋼板表面に
形成された表面処理鋼板において、該めっき層最表面の
Cr含有量が1〜20重量%であり、更にその上に全C
r付着量として3〜200mg/m2 のクロメート皮膜
が最表面層として形成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性特にめっき層自
体の耐白錆性および耐変色性に優れ、綺麗な外観を長期
に亙って維持することのできる表面処理鋼板、並びにそ
の様な表面処理鋼板を製造する為の方法に関するもので
あり、本発明に係る表面処理鋼板は自動車、家庭用電気
製品、建築材料等の様々な分野で有用である。
【0002】
【従来の技術】Al系めっき鋼板は、耐熱性、耐候性、
熱反射性、審美性等において非常に優れたものであり、
且つ生産コストも比較的安価であるところから、上記の
様な用途を中心にして広く利用されている。上記Al系
めっきは、素地鋼板に対する犠牲防食能を利用して鋼板
の防錆を行うものである。またAl系めっきを形成する
にあたっては、真空または希薄ガス雰囲気下で蒸発原料
を加熱蒸発させて、被めっき材表面に蒸着めっき層を施
す真空蒸着めっき法は、従来の電気めっき法や溶融めっ
法に比べ製造上の自由度が高く、各種蒸発原料の単独ま
たは複数を同時に加熱蒸発できるので、Al系めっきの
形成方法として汎用されている。
【0003】しかしながらAl系めっきは、塩素イオン
などのハロゲンイオンが存在する腐食環境下で孔食を起
こし易いものであるため、Alめっき層の孔食が進行し
て素地鋼板まで達すると、素地鋼板の腐食により赤錆が
発生して外観を損ねる。そこで耐食性を高めるため、A
lめっき鋼板上にクロメート皮膜を形成することも行な
われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Al系めっき層上にク
ロメート皮膜を形成した表面処理鋼板は、素地鋼板の防
食という観点からすれば優れているといえるが、使用環
境によってはめっき層の腐食生成物である白錆が早期に
発生したり、めっき層の変色によって外観が著しく損な
われる場合があり、表面外観が厳しく要求される部位や
多湿雰囲気で人目に触れる様な部位等への使用は困難で
あり、使用用途が限られているのが実情である。こうし
たことから、素地鋼板を防錆するという機能に加え、更
にめっき層自体の耐食性、特に上記の様な耐白錆性およ
び耐変色性に優れ、綺麗な外観を長期に亙って維持する
ことのできる表面処理鋼板の実現の要求が高まってい
る。
【0005】一方、Al系めっき鋼板にクロメート皮膜
を形成するに際しては、下記の様な問題も指摘されてい
る。一般に、蒸着めっき後のAl系めっき鋼板は、蒸発
原料上記から受ける凝縮熱や蒸発浴表面から受ける輻射
熱によって鋼板表面温度はかなり上昇している。この様
なAl系めっき鋼板を高温状態のままで真空中から大気
中に導くと、めっき表面が大気中の酸素や水分等の酸化
性ガスと反応して酸化皮膜(不動態皮膜)が形成され、
Al系めっき表面の外観が損なわれてしまうという問題
がある。これを防止するために、蒸着めっき後に表面が
高温になっている表面処理鋼板を非酸化性雰囲気下にて
十分に冷却し、その後に大気中に導く方法を採用するの
が一般的である。しかしながら、蒸着めっき後のAlめ
っき鋼板は、めっき後に非酸化性雰囲気下に冷却した場
合であっても、僅かに残存した酸化性ガス成分によって
容易にめっき表面に希薄なAl系酸化皮膜が形成されて
しまい、その後にクロメート処理を行っても、めっき表
面の酸化皮膜によって、クロメート液とめっき層の接触
および反応が阻害されてしまい、均一なクロメート皮膜
を形成することが困難になり、クロメート処理による外
観不良が発生しやすくなる。
【0006】本発明は上記の様な事情に着目してなされ
たものであって、その目的は、素地鋼板を防錆するとい
う機能に加え、更にめっき層自体の耐食性、特に上記の
様な耐白錆性および耐変色性に優れ、綺麗な外観を長期
に亙って維持することのできる表面処理鋼板を提供しよ
うとするものである。
【0007】本発明の他の目的は、上記した様なクロメ
ート処理時の不都合を生じることなく、耐白錆性および
耐変色性に優れ、綺麗な外観を長期に亙って維持するこ
とのできる表面処理鋼板を製造する為の方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明に係る表面処理鋼板の構成は、Al−C
r系合金蒸着めっき層が鋼板表面に形成された表面処理
鋼板において、該めっき層最表面のCr含有量が1〜2
0重量%であり、更にその上に全Cr付着量として3〜
200mg/m2 のクロメート皮膜が最表面層として形
成されたものであるところに要旨を有するものである。
【0009】また上記目的を達成し得た本発明方法の構
成とは、鋼板表面にAl−Cr系合金蒸着めっき層を形
成した後、該Al−Cr系合金蒸着めっき鋼板に対して
圧下率:0.3〜3.0%のスキンパス圧延を行ない、
次いでクロメート皮膜を形成する点に要旨を有するもの
である。
【0010】
【作用】本発明者らは、鋼板の耐食性の付与方法として
かねてより研究を行っており、こうした研究の一環とし
て、鋼板表面にAl−Cr系合金蒸着めっき層を形成す
ることによって、耐赤錆性および加工性に優れた表面処
理鋼板を開発し、その技術的意義が認められたので、先
に特許出願している(例えば、特開平5−36940
号,特願平5−62804号等)。
【0011】本発明者等は上記技術における知見に基づ
き、素地鋼板を防錆するという機能に加え、更にめっき
層自体の耐食性、特に上記の様な耐白錆性および耐変色
性に優れ、綺麗な外観を長期に亙って維持することので
きる表面処理鋼板の実現を目指し更に研究を進めた。そ
の結果、Al−Cr系合金蒸着めっき層が形成された表
面処理鋼板において、上記Al−Cr系合金蒸着めっき
層最表面のCr量を特定の範囲に調整すると共に、その
上に特定の成分組成からなるクロメート皮膜を形成すれ
ば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明
を完成した。
【0012】本発明の構成によって上記の効果が得られ
た理由については、そのすべてを解明した訳ではない
が、おそらくAl−Cr系合金蒸着めっき層中のCrと
クロメート皮膜中のCrとの相互作用によって、表面処
理鋼板の初期腐食として問題のとなるAl系めっき自体
の腐食による耐白錆性が向上し、また同時に表面の耐変
色性も向上したものと考えられる。即ち、Al−Cr系
合金蒸着めっき層の様にCrが存在するめっき層が表層
部に形成されると、めっき最表面に生成するAlの酸化
物からなる不動態皮膜をより強固にし、またクロメート
皮膜の自己修復との相互作用によって、ハロゲンイオン
によるAl系めっきの孔食によって発生する白錆発生を
効果的に抑制すると共に、めっきの変色も防止するもの
と考えられる。
【0013】Al−Cr系合金蒸着めっき層における最
表面のCr含有率は、1〜20重量%とする必要があ
る。即ち、Al−Cr系合金蒸着めっき層最表面のCr
含有率が1重量%未満であると、耐白錆性および耐変色
性の向上効果が認められず、一方20重量%を超えると
Al−Cr系金属間化合物の析出によってめっき層自身
の硬度が高くなり、加工時のめっき密着性が劣化して加
工後の耐食性が低下する。
【0014】尚本発明においては、Al−Cr系合金蒸
着めっき層最表面のCr含有量を規定したものである
が、本発明の表面処理鋼板の耐熱性や耐食性を更に向上
させるという観点から、Al−Cr系合金蒸着めっき層
中に第3の元素として、Si,Zr,Ti,Ni,M
n,Fe等を含有させるようにしても良く、このような
構成も本発明の技術的範囲に含まれるものである。また
めっき層構造としては、少なくともAl−Cr系合金蒸
着めっき層が鋼板表面に形成されていれば良く、その下
層に他のAl系めっき層やZn系めっき層等が形成され
る様な多層構造のめっき層構造であっても良い。更にA
l−Cr系合金蒸着めっき層の膜厚は特に限定されない
が、耐食性を付与するめっき層としての機能を十分に発
揮させるには、1μm以上であるのが好ましく、また加
工性の低下および製造コストの上昇という観点から50
μm以下であることが好ましい。
【0015】上記Al−Cr系合金蒸着めっき層上に施
されるクロメート皮膜の付着量としては、全Cr付着量
として3〜200mg/m2 とする必要があり、より好
ましくは5〜100mg/m2 程度である。即ち、クロ
メート皮膜の付着量が全Cr付着量として3mg/m2
未満であると、クロメート皮膜が均一に形成されないの
で、Al−Cr系合金蒸着めっき層中のCrとクロメー
ト皮膜との相互作用が殆ど発揮されず、一方200mg
/m2 を超えてもそれ以上の耐食性向上効果が望めず、
却って溶接性や塗装性を劣化させるので好ましくない。
【0016】クロメート皮膜中に存在するCrは各種の
陽イオン(例えば三価Cr3+,六価Cr6+)が含まれる
が、このうち六価の陽イオン(Cr6+)の量は、全Cr
量に対して30〜80%の範囲にするのが好ましい。即
ち、クロメート皮膜中のCr 6+の量が30%未満である
と、クロメート皮膜の自己修復作用が殆ど期待されず、
80%を超えるとアルカリ脱脂時のCr6+溶出性が劣化
し、また上層に有機樹脂皮膜を形成する場合には、該有
機樹脂皮膜との密着性が劣化する。
【0017】クロメート皮膜中には、シリカが全Cr量
に対して0.1〜3倍(重量比)の範囲で添加されるこ
とが、耐白錆性の観点から好ましい。クロメート皮膜中
のシリカは、腐食環境下に曝された際に発生する初期腐
食生成物を安定して保持させる機能を有しており、クロ
メート皮膜による耐食性向上をより高める作用がある。
シリカ量が全Cr量に対して0.1倍未満であると、腐
食生成物を安定化させる効果が認められず、3倍を超え
るとクロメート体皮膜が硬化して加工性が劣化する。ま
たクロメート皮膜上に有機樹脂皮膜を形成させる場合に
は、クロメート皮膜と有機樹脂皮膜の密着性を確保する
という観点からも,シリカ量は全Cr量に対して3倍以
下とするのが好ましい。
【0018】クロメート皮膜を施す方法としては、反応
性クロメート法、電解クロメート法、塗布型クロメート
法等があるが、反応性クロメート法と電解クロメート法
はその処理の原理からクロメート皮膜中にCr6+が殆ど
存在しないので、塗布型クロメート法を採用するもが好
ましい。
【0019】本発明の表面処理鋼板には、更に高度の耐
食性、耐指紋性および潤滑性等を付与するという観点か
らすれば、上記クロメート皮膜上に更に有機樹脂皮膜を
形成するのが好ましい。このときの有機樹脂皮膜の膜厚
は、0.3〜2.0g/m2の範囲にするのが良い。即
ち、有機樹脂皮膜の膜厚が0.3g/m2 未満では、ク
ロメート皮膜上に有機皮膜が均一に形成されず、有機樹
脂皮膜を形成する効果が認められない。また2.0g/
2 を超えると、導電性が消失してしまい、溶接性およ
び電着塗装性が劣化する。この様な有機樹脂皮膜の種類
については、特に限定するものではないが、ウレタン系
樹脂,ポリエチレン系樹脂,エポキシ系樹脂等が挙げら
れる。またこの有機樹脂皮膜の耐食性を更に向上させた
い場合には、該樹脂中にシリカを混入するのが効果的で
ある。即ち、この様なシリカを樹脂中に混入させれば、
腐食環境下に曝された際に発生する初期腐食生成物を更
に安定させ、耐食性がより一層向上することになる。
【0020】本発明で用いる素地鋼板としては、何等限
定されるものではなく、一般の冷延鋼板のみならず、耐
熱性や光学反射性等、他の性質を向上させることを目的
とした塗装鋼板,ステンレス鋼板等、その用途や目的に
応じて適宜選定すれば良い。
【0021】以上の様に構成される表面処理鋼板は、素
地鋼板に対する耐食性に優れ、且つめっき層自体も優れ
た耐白錆性および耐変色性を示すものとなる。従って、
綺麗な外観を長期間要求される部位にも使用することが
できる。また最上層に形成れることのある有機樹脂皮膜
は、耐指紋性および潤滑性等のクロメート皮膜だけでは
得られない特性を発揮することができる。
【0022】ところでAl系めっき層上にクロメート皮
膜を施す場合には、Al系めっき層表面の外観不良が発
生し易いのは上述した通りであるが、この様な傾向は、
めっき層中にCrが存在する様なAl−Cr系合金蒸着
めっきであるときに顕著に発生することがわかった。こ
れは、Al−Cr系合金蒸着めっきの表面に形成される
酸化皮膜中には、Crが存在しているために、酸化皮膜
が純Al蒸着めっき層のときに比べてより欠陥のない緻
密なものとなり、クロメート液とめっき層との接触およ
び反応をより一層阻害することによるものと考えられ
る。
【0023】クロメート処理時の酸化皮膜による外観不
良を防止する対策としては、めっき表面に形成された酸
化皮膜を除去するために、Al−Cr系合金蒸着めっき
後にクロメート処理を施すに先立って、塩酸等による酸
洗によって化学的に酸化皮膜を除去する方法や、砥石入
りブラシ等で酸化皮膜を機械的に研削する方法等が考え
られる。しかしながら、前者の方法は酸洗むらが生じる
ことがあり、そうするとクロメート処理後に酸洗むらが
一層目立ち易くなり、また酸洗液にめっき液が溶解して
AlイオンやCrイオン濃度が増加すると酸洗後のめっ
き表面にスラッジが付着して外観不良を引き起こすこと
がある。一方、後者の方法では、めっき表面に研削模様
が発生し、製造した製品のめっき外観を低下させてしま
う。またいずれの方法においても、めっき表層の酸化皮
膜のみを除去することは困難であり、めっき層まで溶
解,研削してしまうので、目標のめっき付着量を得るに
は、溶解,研削による減少量も考慮して余分にめっきを
施さなければならず、しいてはめっき原料の歩留低下を
招くことになる。
【0024】本発明者らは、クロメート処理時の酸化皮
膜による外観不良を防止するという観点からも検討し
た。その結果、Al−Cr系合金蒸着めっきを施した鋼
板に、スキンパス圧延を行なうことによって、Al−C
r系合金蒸着めっき鋼板上に均一なクロメート皮膜を形
成でき、前述した様な不都合が発生しなくなることを見
いだした。
【0025】この様なスキンパス圧延を行なうことによ
って、めっき表面を緻密に覆っている酸化皮膜にミクロ
なクラックが多数生じ、Al−Cr系合金蒸着めっき層
の新生面が露出するため、その後のクロメート処理時に
クロメート液とめっき層との濡れ性が良好になり、均一
なクロメート皮膜が形成されると考えられる。
【0026】スキンパス圧延するときの圧下率は、0.
3〜3.0%であることが必要である。即ち、圧下率が
0.3%未満では、酸化皮膜にクラックを導入する効果
が少なく、クロメート処理時に外観不良が生じる。また
圧下率が3.0%を超えると、スキンパス圧延を施して
もクラックを導入する効果がそれ以上向上しないばかり
か、材料の機械的性質特に伸びやn値が低下し、材料の
加工性が劣化してしまうため好ましくない。
【0027】尚スキンパス圧延で使用するロールの表面
粗度は、特に限定されるものではないが、スキンパス圧
延が施された鋼板の表面粗度はスキンパスロールの表面
粗度に影響されるので、この点を考慮してめっき鋼板の
使用用途によって適宜選定するのが良い。
【0028】以下、本発明を実施例を用いて説明する
が、下記実施例は本発明を制限する性質のものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0029】
【実施例】
実施例1 図1は本発明の表面処理鋼板を製造するための連続蒸着
めっき設備の一構成例を示す概略説明図であり、図中1
は還元炉、2は冷却帯、3は入側真空ロックシステム、
4a,4bは蒸着室、5は出側真空ロックシステム、6
はN2 冷却装置、7は電子銃、8は電子ビーム、9は蒸
発槽、10はスキンパス圧延機、11はクロメート処理
装置、12はドライヤーを夫々示す。
【0030】本発明者らは、図1に示した設備を用い
て、下記に示す条件でAl−Cr系合金蒸着めっきを行
ない、引き続きクロメート皮膜中のCr6+量が全Cr量
に対して60%となる様に塗布型クロメート処理を施
し、ドライヤーにて乾燥した。また一部の鋼板について
は、その上に水溶性ウレタン系有機樹脂を、コロイダル
シリカ量がウレタン系樹脂量に対して40%となる様に
ロールコーターにて塗布し、焼き付けた。
【0031】(めっき条件) 被処理帯:低炭素Alキルド鋼帯 蒸発原料の加熱源:ピアス型電子銃(出力:150〜2
50kw) 蒸発槽9中のめっき原料:Al−Cr系合金浴 蒸着室4a,4bの真空度:5×10-3〜2×10-2
a めっき最表面のCr濃度はEPMA分析装置によって測
定した。まためっき付着量、クロメート皮膜のCr付着
量およびクロメート皮膜中のSi量は、蛍光X線分析装
置にて測定し、有機樹脂付着量は重量法によって測定し
た。得られた表面処理鋼板の構成を下記表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示した各表面処理鋼板について、耐
食性、耐黒変性、密着性および溶接性等の各性能につい
て、下記の方法によって評価した。 (耐食性)JISZ2371に基づいて塩水噴霧試験を
行ない、1%白錆発生までの時間を評価した。評価基準
は以下の通りである。 ○:1%白錆発生時間1000時間以上 △:1%白錆発生時間1000時間未満500時間以上 ×:1%白錆発生時間500時間未満 (耐黒変性)黒変化促進試験(温度:49℃,湿度:9
8%中に168時間放置)を行ない、試験後の外観を目
視観察した。また試験前後の明度(L値)を測定し、L
値の変化によって評価した。 ○:黒変化認められず。試験前後のL値低下が−2未満 △:黒変化僅かに発生。試験前後のL値低下が−2以上
−5未満 ×:黒変化著しく発生。試験前後のL値低下が−5以上
【0034】(密着性)ボールインパクト試験後、イン
パクト部にテーピングし、テープ剥離試験を行ない、め
っき層の剥離の有無によって評価した。 ○:めっき層、クロメート皮膜および有機樹脂層のにい
ずれにも剥離なし ×:めっき層、クロメート皮膜および有機樹脂層の少な
くともにいずれかに剥離発生 (溶接性)先端径6mmφのCu−Cr合金溶接チップ
を使用し、加圧力:220kgf,溶接電流:9kA、
溶接時間:12Hzでスポット溶接を行ない、スポット
溶接強度で溶接性の良否を評価した。 ○:溶接性が優れている ×:溶接性が劣っている
【0035】各性能を一括して表2に示すが、本発明の
規定要件を満足する実施例においては優れた耐白錆性と
耐変色性を兼備しているがわかる。これに対し、上記規
定要件のいずれかに欠ける比較例では、耐白錆性及び耐
赤錆性の両方もしくはいずれか一方が劣化していること
が分かる。例えばクロメート皮膜を施していない、蒸着
Al−Cr系合金めっきのみの比較例(No.26)や、
蒸着Alめっきにクロメート皮膜を施した比較例(No.
23,24)等の特性が不良であることは明らかであ
る。また本発明の実施例のものは、密着性および溶接性
においても優れた性能を示していることがわかる。
【0036】
【表2】
【0037】実施例2 図2は本発明の表面処理鋼を製造するための連続蒸着め
っき設備の他の構成例を示す概略説明図であり、図2に
示した構成は、基本的には、前記図1と類似し、対応す
る部分には同一の符号を付して重複説明を回避する。こ
の図2の設備においては、蒸着室4a,4b内に夫々2
つの蒸発槽9a,9bを備えたものである。本発明者ら
は、図2に示した設備を用いて、下記に示す条件で蒸着
Al−Cr系合金めっきまたは蒸着Al−Cr/Siめ
っきを施し、下記に示す条件および下記表1に示す圧下
率のスキンパス圧延引を行なった後、クロメート処理を
施した。
【0038】(めっき条件) 被処理帯:低炭素Alキルド鋼帯(板厚:0.8mm) 被処理帯の表面粗度Ra:表面0.95/裏面0.92
(μm) 蒸発原料の加熱源:ピアス型電子銃(出力:150〜2
50kw) 蒸発槽9a中のめっき原料:Al−Cr系合金浴(浴組
成:35〜40%Cr) 蒸発槽9b中のめっき原料:Si 蒸着室4a,4bの真空度:5×10-3〜2×10-2
a めっき前鋼板温度:200〜250℃ (スキンパス条件) スキンパス方式:ドライ圧延 被処理帯ユニット張力:5.5kg/mm2
【0039】スキンパスロール表面粗度Ra:上ロール
1.05/下ロール0.95(μm) 得られた表面処理鋼板について、外観品質について目視
によって調査した。その結果を表3に示す。尚外観品質
の評価基準は下記の通りである。 (評価基準) ○:クロメート処理による外観不良の発生なし。 △:クロメート処理による外観不良の発生若干あり。 ×:クロメート処理による外観不良の発生が著しい。
【0040】
【表3】
【0041】表3から明らかな様に、本発明の規定要件
を満足する実施例のものは、クロメート処理後において
もクロメート処理による外観不良の発生がなく、優れた
表面外観を示していることがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、耐白錆性および耐変色性に優れた表面処理鋼板が得
られた。またスキンパス圧延を施すことによって、クロ
メート処理後においても優れた表面外観を有する表面処
理鋼板が得られ、その工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理鋼を製造するために連続蒸着
めっき設備の一構成例を示す概略説明図である。
【図2】本発明の表面処理鋼を製造するために連続蒸着
めっき設備の他の構成例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 還元炉 2 冷却帯 3 入側真空ロックシステム 4a,4b 蒸着室 5 出側真空ロックシステム 6 N2 冷却装置 7 電子銃 8 電子ビーム 9a,9b 蒸発槽 10 スキンパス圧延機 11 クロメート処理装置 12 ドライヤー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 綾部 東太 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 三宅 昭二 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al−Cr系合金蒸着めっき層が鋼板表
    面に形成された表面処理鋼板において、該めっき層最表
    面のCr含有量が1〜20重量%であり、更にその上に
    全Cr付着量として3〜200mg/m2 のクロメート
    皮膜が最表面層として形成されたものであることを特徴
    とする耐白錆性および耐変色性に優れた表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 クロメート皮膜中にシリカが含有された
    ものであり、且つ該シリカ含有量が全Cr含有量の0.
    1〜3倍(重量比)である請求項1に記載の表面処理鋼
    板。
  3. 【請求項3】 クロメート皮膜上に、付着量:0.3〜
    2.0g/m2 の有機樹脂皮膜が形成されたものである
    請求項1または2に記載の表面処理鋼板。
  4. 【請求項4】 鋼板表面にAl−Cr系合金蒸着めっき
    層を形成した後、該Al−Cr系合金蒸着めっき鋼板に
    対して圧下率:0.3〜3.0%のスキンパス圧延を行
    ない、次いでクロメート皮膜を形成することを特徴とす
    る耐白錆性および耐変色性に優れた表面処理鋼板の製造
    方法。
JP5305488A 1993-12-06 1993-12-06 耐白錆性および耐変色性に優れた表面処理鋼板並びにその製造方法 Withdrawn JPH07157878A (ja)

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