JPH07156287A - 半導電性ポリイミド系無端ベルトとその製造方法 - Google Patents

半導電性ポリイミド系無端ベルトとその製造方法

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JPH07156287A
JPH07156287A JP34575093A JP34575093A JPH07156287A JP H07156287 A JPH07156287 A JP H07156287A JP 34575093 A JP34575093 A JP 34575093A JP 34575093 A JP34575093 A JP 34575093A JP H07156287 A JPH07156287 A JP H07156287A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 導電性、即ち、電気抵抗値のバラツキが極め
て小さく、安定していてベルトの表面精度、厚み精度等
における抜群の品質を有し、使用中に層間剥離も生ぜ
ず、しかも耐熱性が良好で機械的特性も卓越している半
導電性ポリイミド系無端ベルトとその製造方法を提供す
る。 【構成】 導電性物質を含有するポリイミド系前駆体を
閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミド系樹脂層
(a)と、導電性物質を含有する又は含有しないポリイ
ミド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミ
ド系樹脂層(b)との少なくとも2層を有する無端ベル
トであって、前記熱硬化性ポリイミド系樹脂層(a)と
熱硬化性ポリイミド系樹脂層(b)との少なくとも2層
が同時に閉環イミド化されてなり、かつ前記層(a)と
層(b)との表面電気抵抗値が異なる値を有することを
特徴とする半導電性ポリイミド系無端ベルトに構成する
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導電性ポリイミド系
無端ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりカーボンブラック等の混合によ
り導電性が付与された合成樹脂製の無端ベルトは知ら
れ、実用もされているが、その無端ベルトの電気抵抗値
が充分でないとか、電気抵抗値のバラツキが大きくて安
定した状態で半導電性を付与できにくいのが実状であ
る。これは、最近の複写機等の中間転写ベルト等におけ
る極めて高品質で高性能の要求に対しては、極めて不満
足なものとなっている。更に、耐熱性、機械的特性にお
いてもより一層の改良が求められてきている。
【0003】このような状況の中で、導電性の付与され
た単層のポリイミド系樹脂からなる無端ベルトが開発さ
れ、これを複写機等の中間転写ベルトに使用した例があ
る。これは従来のものよりも改良はされているが、前記
転写ベルトにおける極めて重要な要素である転写効率と
除電効率とが相反する関係にあり、電気抵抗値もバラツ
キ、安定して製品が得がたく、十分満足できる製品とな
っていない。
【0004】また、ポリイミド系樹脂の優れた耐熱性と
機械的特性を考慮して面状発熱体等に利用しようとする
と、より高い導電性の付与が必要になり、その結果、多
くの導電性物質を混合することになる。しかしながら、
この場合導電性は高くなるが、ポリイミド系樹脂自体の
機械的物性の低下を招き、表面精度、厚み精度等も悪く
なり実用できなくなる。
【0005】一方、ポリイミド前駆体溶液を、他種素材
でつくられた導電性無端ベルト表面に塗布し乾燥して複
数層の無端ベルト状物を形成し、前記ポリイミド系前駆
体のみを閉環イミド化してなる複数層の無端ベルトも知
られている。このものは、耐熱性を付与せしめるという
趣旨から開発されていると考えられるが、層間の接着が
不十分なためか層間剥離を生じ、耐久性に欠ける。更に
表面精度や厚み精度も充分ではなく、その結果、電気抵
抗値がバラツキ、満足されるものとなっていない。いず
れの場合も、高品質、高性能の要求に対しては十分に答
えられるものとなっていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、前記従来技術の種々の欠点を解決し、厳しい要望に
対して十分満足できる半導電性の無端ベルトを開発すべ
く鋭意検討した結果、ついに本発明をするに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の手段によ
って達成される。即ち、導電性物質を含有するポリイミ
ド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミド
系樹脂層(a)と、導電性物質を含有する又は含有しな
いポリイミド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性
ポリイミド系樹脂層(b)との少なくとも2層を有する
無端ベルトであって、前記熱硬化性ポリイミド系樹脂層
(a)と熱硬化性ポリイミド系樹脂層(b)との少なく
とも2層が同時に閉環イミド化されてなり、かつ前記層
(a)と層(b)との体積電気抵抗値が異なる値を有す
ることを特徴とする半導電性ポリイミド系無端ベルトに
構成するものである。また、少なくとも1層が導電性物
質を含有する複数層の無端ベルト状ポリイミド系前駆体
を積層形成し、無端ベルト状物とした後、該ベルト状物
を閉環イミド化して、少なくとも2層がその表面電気抵
抗値を異にする複数層の熱硬化性ポリイミド系樹脂層か
らなる無端ベルトに形成する半導電性ポリイミド系無端
ベルトの製造方法に構成するものである。
【0008】本発明において、ポリイミド系前駆体と
は、一般に耐熱性ポリマーとして知られるポリイミドに
おいて、加熱処理することによって縮合反応して、閉環
イミド化する前段階のもので、別名ポリアミック酸又は
ポリアミド酸と呼ばれているものである。このポリアミ
ック酸の合成法は特に制限はないが、一般には、例えば
テトラカルボン酸二無水物と有機ジアミンの当モル量を
低温にてN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチ
ルアセトアミド等の有機極性溶媒中で重合反応させるこ
とによって行われる。そして、一般にはポリアミック酸
溶液として得られる。この原料となるテトラカルボン酸
二無水物としては、具体的に例えばピロメリット酸二無
水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物等であるが、これらの化合物に限定されな
い。一方、有機ジアミンとしては、4,4′−ジアミノ
ジフェニルエーテル、P−フェニレンジアン等が例示で
きる。勿論これらの化合物に限定されものではない。
【0009】本発明においては、少なくとも分子鎖中に
イミド結合を形成するポリアミック酸であれば、同様に
目的は達成されるものである。従って用途、目的によっ
て出発原料を選択してポリアミック酸を合成すればよ
い。このポリアミック酸が本発明でいうポリイミド系前
駆体に相当する。
【0010】又、導電性物質とは、該ポリイミド系前駆
体に混合することによって最終的に得られるポリイミド
系無端ベルトの電気抵抗特性、つまり半導電性領域をつ
くり出す機能を有する物質で、一般にはその微粉末を混
合することによって達成されるものである。
【0011】具体的には、例えば、天然ガス、油あるい
はアセチレンガス等の焼成によって生成するカーボンブ
ラックや、酸化インジュウム、酸化第2錫、チタン酸ブ
ラック、チタン酸ウィスカー等の金属化合物の微粉末な
どが例示できるが、これに限定されるものではない。こ
れらの中で、カーボンブラックが好ましく用いられる。
このカーボンブラックの中でもDBP吸油量が100乃
至360ml/100gの範囲のものはより好ましい。
例えば、アセチレンブラックEC(電気化学工業(株)
製)、三菱カーボン#3250、#3750、MA−1
00(三菱化成(株)製)、ケッチェンブラック(ライ
オン(株)製)等をあげることができる。ここでDBP
吸油量とは、ASTM(アメリカ標準試験法)D241
4−6TTによって測定されたもので、カーボンブラッ
ク100gに吸収されたDBP(ジブチルフタレート)
の量をmlにて現わした値である。
【0012】前記導電性物質は2種以上混合してもよ
く、組合せによってはより安定した半導電性が得られる
場合もある。混合量については、希望する半導電領域等
を勘案して適宜決定すればよいが、一般には約2乃至3
0%(重量)(対該前駆体固形物)、好ましくは3乃至
15%(重量)である。この混合量からも明らかなよう
に従来技術に比較して、少量の混合で大きな半導電性効
果が得られる。
【0013】更に、電気抵抗とは、体積電気抵抗又は表
面電気抵抗のことであり、これは三菱油化(株)製の抵
抗測定機「ハイレスタ」又は「ロレスタ」(いずれも商
品名)によって測定したものである。体積電気抵抗値か
表面電気抵抗値かは該機に付設されている切りかえスイ
ッチによって測定できる。
【0014】前記前駆体に導電性物質を混合する場合
に、必要ならば更に他の第三成分を更に混合することも
できる。例えばフッ素系又はシリコーン系の各有機化合
物、ワックス類、カップリング剤等の相溶化剤等を第三
成分の一つとしてあげることができるが、これに限定さ
れるものではない。この相溶化剤の中でも界面活性能を
有するフッ素有機化合物は、該前駆体と導電性物質との
混合において、より相溶性が改善され、その結果、分散
が均一に行われ多層成形性及び表面精度並びに厚み精度
においてより好ましい結果をもたらす。
【0015】この際、以上の相溶化剤は、2種以上混合
してもよく、また層(a)及び層(b)を形成するポリ
イミド系前駆体の双方又は一方に加えればよい。混合量
は、該前駆体(固形分)に対して2%(重量)以下、好
ましくは0.001乃至0.1%(重量)であるが、こ
れに限定されるものではない。
【0016】前記界面活性能を有するフッ素有機化合物
について、更に詳細に説明する。これは、疎水性グルー
プであるフッ素結合有機基と親水性グループである例え
ばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、第4級アンモニュ
ウム塩基、水酸基等とが結合した化合物である。このフ
ッ素結合有機基は、炭素数が5乃至18程度の鎖状アル
キル又はこれにエーテル結合が導入された有機基にフッ
素原子が複数個結合された場合が多いが、これに限定さ
れるものではない。ここで疎水性は、炭素数、エーテル
結合の度合、フッ素原子の数によって左右される。親水
性はその結合基の種類によって左右される。従って、全
体の界面活性能は両基の種類のバランスによって異なる
ので、実際に混合する場合には予備的に実験し選択して
おくことが望ましい。
【0017】ここで親水性基が、スルホン酸塩又はカル
ボン酸塩の場合には、アニオン型、アンモニュウム塩で
は、カチオン型、水酸基では非イオン型としても区別で
きる。本発明では特に限定はされないが、好ましくは非
イオン型である。更に具体的に非イオン型の化合物とし
て、例えば三菱マテリアル(株)製のEFTOP(エフ
トップ、商品名)のタイプEF−351,−352,1
22A3等があり、アニオン型の化合物としては、EF
TOPのタイプEF−104,−112,123B等が
例示できる。尚、以上の第三成分は、必要ならば添加す
ればよいことは勿論である。
【0018】次に前記導電性物質の混合方法について、
その具体例を述べる。この方法としては、例えば、まず
前記例示する重合反応等によって得られたポリイミド系
前駆体(ポリアミック酸)の溶液を、そのまま、もしく
は更に同種又は異種の有機極性溶媒を混合し、スラリー
状の液体とする。これに該物質の所定量を添加し、均一
に分散混合する。この混合においては、十分分散せしめ
ることが好ましいので、例えば、超音波、粘りローラ、
ボールミルあるいはサンドミル等を使うことが効果的で
ある。しかしこれらに限定されるものではない。ここで
有機極性溶媒は、前記したポリアミック酸の合成の際に
使用するものの他に、例えばジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、ジエチレングリコールエーテル等
も例示できる。
【0019】該溶媒の使用量は、導電性物質等の混合量
と後工程の積層形成性等との関係において、好ましい条
件で決められる。特に成形性においては、妥当な溶液粘
度が必要となるので、その粘度との関係を予備的に検討
し、使用量を決めておくことが好ましい。好ましい溶液
粘度は、約300乃至2000センチポイズ(以下、c
psと呼ぶ)であるが、この値に特に制限はない。
【0020】次に積層成形について説明する。この成形
法については、例えばコーテング法、スプレー塗布法、
浸漬塗布法、遠心成形法等が例示できるが、中でも効果
的な方法として、遠心成形法が好ましく利用される。こ
の方法は、例えば円筒シリンダーの回転により、遠心力
によって該シリンダーの内面に無端ベルト状に流延成形
するものであり、閉環イミド化前にこの操作を繰り返す
ことにより幾層にも効率的に積層可能で、必要な厚さで
もって表面精度の良い無端ベルト状物が成形できる。し
かし、本発明はこれらの方法に限定はされない。
【0021】前記した遠心成形法の1例を更に具体的に
説明すると次のとおりである。回転可変式駆動モーター
敷設の回転ドラムの内面に、必要に応じてシリコーンオ
イル等の離型剤を稀く塗布する。予め必要な塗布厚が得
られるように、前記ポリイミド系前駆体のスラリー溶液
の供給量と決めておき、該ドラムをゆっくりと回転しな
がら、その内側に例えば、スリット状供給装置から該溶
液をほぼ均一に供給する。その後回転速度をあげ、一定
の回転速度で一定時間回転する。時間と共に全体が均一
に流延され、一定厚みをもった塗布膜となる。ここで回
転速度と回転時間とは、対称となるポリイミド系前駆体
スラリー溶液の状態、必要な塗布厚み、精度等によって
異なるので、予備的実験により決めておくことが望まし
い。
【0022】次に、その回転を続けながら塗布面を直接
及び/又は間接的に溶媒が蒸発除去される温度で一定時
間加熱する。この加熱温度と時間は、溶媒の種類、塗布
厚み等によって異なるので、これについても予備的に決
めておくことが望ましい。しかし、この段階で閉環イミ
ド化反応が実質的に行われないような条件設定が必要で
ある。温度については、約50乃至150℃であり、1
50℃よりも高くしないようにすることが好ましい。溶
媒が蒸発するにしたがって固化し、形態が維持され、へ
たりのない自己支持性を有するポリイミド前駆体の無端
ベルト状物が成形され、この時点で温度を常温に下げ
る。この際、例えば有機溶媒を用いたポリイミド系前駆
体を用いて形成された前記自己支持性を有するポリイミ
ド前駆体の無端ベルト状物は、その時点で有機溶媒を1
0重量%以上含有していることが望ましく、更に、15
〜50重量%含有していることがより望ましい。有機溶
媒が10重量%未満では自己支持性を有するポリイミド
前駆体の無端ベルト状物が収縮する傾向を有し、次の層
を形成するとき、その内面にポリイミド系前駆体のスラ
リー溶液を均一に塗布することができにくいこともあっ
て好ましくない場合が多い。しかしながら、前記値は特
に制限を受けるものではなく、好ましい多層ベルトを得
られるように考慮して行えば、どのような値であっても
よい。
【0023】次いで、2層目を積層形成するために準備
したポリイミド系前駆体のスラリー溶液を用い、前記自
己支持性を有するポリイミド前駆体の無端ベルト状物の
内面に、前記と同様にして2層目を積層形成すればよ
い。同様の操作を繰り返すことによって、幾層にもコー
ティングすることができる。積層数は特に限定されない
が、2乃至3層により、本発明の目的は達成できる場合
が多い。この際、例えば3層目を積層形成する時点で
も、前記2層目の有機溶媒の含有量については、前記に
述べたことと同様のことが云え、以下何層になっても同
様のことが云える。このようにして積層された層により
無端ベルト状物の膜厚は、特に制限はないが、一般に
は、約30乃至150ミクロンにすることができるが、
しかしながら、この厚みについては使用目的によって異
なるので、必要に応じて決めればよい。半導電性は、膜
厚によってもその領域に変化があるので、必要な半導電
性が得られるように、各層の厚みをどうするか、予備的
に検討しておくことが望ましい。以上、遠心成形法を具
体例で説明したが、この遠心成形法と他の例えば前記の
各コーティング法との併用も可能である。
【0024】多層成形して得られた自己支持性のポリイ
ミド前駆体の無端ベルト状物は、引き続き閉環イミド化
せしめて、目的とする熱硬化性ポリイミド系樹脂層を有
する無端ベルトを得ることができる。閉環イミド化によ
って、より安定した半導電性と精度のよい厚みと表面、
更に高い耐熱性と機械的特性を発現する。この閉環イミ
ド化は、前記した工程の温度より高温で、一般的には、
約200乃至400℃で一定時間加熱処理することによ
って達成される。しかしながら、その加熱温度や加熱方
法については特に制限されるものはない。例えば、引き
続き回転ドラム内で直接及び/又は間接的に回転しなが
ら加熱するか、あるいは回転ドラムから剥離し取り出し
て別の加熱装置にて加熱するなどの方法がとられる。こ
の際、別の加熱装置で加熱するばあいは、一旦遠心成形
機から取り出す必要があるので、こうした工程を行う場
合には、自己支持性を有する前記前駆体の複数層からな
る無端ベルト状物中の有機溶媒含有率については、前記
に述べたことと同様のことが云える。加熱に際しては、
一挙に約200乃至400℃に加熱してもよいが、ま
ず、例えば、100乃至200℃の低温からスタート
し、この段階で残存する溶媒を完全に除去して、更によ
り高温にするという多段階熱処理が、より好ましいもの
として例示できる。この加熱の際に、真空にするとか不
活性ガスを流すとか等の条件が加味されてもさしつかえ
ない。熱源は特に限定されない。例えば熱風炉、赤外線
加熱炉など既存のものが利用できる。この際、閉環イミ
ド化は、加熱処理以外の処理により行うこともいっこう
に差し支えないことは勿論である。
【0025】例えば前記したような製造方法によって得
られる多層形成された無端ベルトは少なくとも2層を有
するもので、具体的には、導電性物質を含有するポリイ
ミド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミ
ド系樹脂層(a)と、導電性物質を含有するまたは含有
しないポリイミド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬
化性ポリイミド系樹脂層(b)との少なくとも二層を有
する無端ベルトであると共に、前記熱硬化性ポリイミド
系樹脂層(a)と熱硬化性ポリイミド系樹脂層(b)と
の少なくとも2層が同時に閉環イミド化されているもの
である。その上、層(a)と層(b)との表面電気抵抗
値が異なる値を有するものであり、こうした無端ベルト
を作成するのは、前記の通り、遠心成形法で行うのが好
適である。
【0026】本発明における「同時に閉環イミド化され
る」旨の用語は、前記したような閉環イミド化が一工程
で達成されることを意味しており、閉環イミド化の際の
反応速度の異同は問わない。閉環イミド化の達成は、通
常では前記したとおり熱処理工程により行われ、本発明
では、このような閉環イミド化工程が一工程で行われる
ものである。この際、閉環イミド化工程を2回以上に分
割して行う場合であっても、それは本発明においては一
工程の範囲である。したがって、このような工程が行わ
れる前に、層(a)と層(b)の少なくとも二層が閉環
イミド化前の状態で積層されている必要がある。
【0027】本発明の無端ベルトの層構成は、前記の通
り少なくとも二層を有するものであるが、層の構成につ
いては、層(a)/層(b)の2層のみならず2層以上
であってもよい。この場合、層(a)/層(b)/層
(a)/層(b)/層(a)/層(b)のような構成を
例示でき、更に層(a)、層(b)とは別に層(c)を
形成してもよい。このような層(c)を加える場合は、
層(a)/層(b)/層(c)、層(a)/層(c)/
層(b)、層(c)/層(a)/層(b)のような構成
を例示でき、その積層順序は自由である。更に、層
(d)、層(e)、…を形成することも何等差し支えな
い。こうした層(c)、層(d)…は、導電性物質を含
有するまたは含有しないポリイミド系前駆体を閉環イミ
ド化してなる熱硬化性ポリイミド系樹脂で形成されるこ
とが好ましい。なぜ層(a)と層(b)と同じ前駆体を
用いるのが好ましいかというと、層間剥離を防ぐ狙いが
ある。しかしながら、前記した層(c)、層(d)…と
してはいかなる性質のものであっても差し支えないこと
は勿論である。また、その表面電気抵抗値は、層(a)
又は層(b)と同じ値であっても、層(a)及び層
(b)のそれぞれが異なる値であってもよく特に制限は
ない。このような層(c)、層(d)…の成形方法、そ
の条件等については、前記層(a)、層(b)の成形方
法と同様であることが好ましいが特に制限はない。ま
た、層(c)、層(d)…を形成する前駆体に前記した
相溶化剤を加えることは自由である。こうした層(c)
及び/又は層(d)…の形成については、ポリイミド系
前駆体を用いる場合、層(a)、層(b)と同時に閉環
イミド化されることが好ましいが、このことも特に制限
を受けるものではない。
【0028】また、層(a)と層(b)の表面電気抵抗
値については、それぞれ異なった値を示す限り特に制限
はないが、通常では、層(b)は10〜1015Ω/
□、好ましくは10〜1013Ω/□、層(a)は1
〜10Ω/□好ましくは10〜10Ω/□を
例示でき、このような範囲とすることにより、体積電気
抵抗値や表面電気抵抗値のバラツキが少ない半電導性ベ
ルトの提供が可能となる。この際、更に必要により設け
ることが可能な層(c)、層(d)…については導電性
材料を含有しなくてもよく、このような場合は、かかる
層の表面電気抵抗値は1015Ω/□を超え、かかる層
自体が電気絶縁層となる。このことについては後述す
る。
【0029】以上のとおりであり、これらの各層は、少
なくとも一層が、導電性物質を含有するポリイミド系前
駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性樹脂であれば、一
層は半導電性となるが、他層の一層以上が、電気絶縁層
である複層ベルトであってもよいことは前記した通りで
ある。このような電気絶縁層があっても、全体として半
導電性として機能する。
【0030】これは、本発明が、層(a)、層(b)の
ような構成を同じポリイミド前駆体を使い、かつ多層成
形したことにより不可避的に結合しているもので、これ
も大きな特徴となっており、これが層間強度の向上につ
ながり、ベルトとして使用する際の層間剥離を防止する
作用効果を奏する。この電気絶縁層の成形の場合には、
導電性物質の混合は必要でないが、積層成形と後処理の
閉環イミド化、その他の条件については前記と同様であ
る。
【0031】また、本発明の無端ベルトは、他の無端ベ
ルトの基体と複合成形することも可能である。この複合
成形は、例えば無端布製ベルトを基体として、これを例
えば遠心成形機の回転ドラムの内面に装着して、その上
に前記ポリイミド系前駆体のベルト状物を積層すること
によって行われ、こうして多層無端ベルトを得ることも
できる。この場合、前記他の基体自身は導電性を有して
も有していなくてもよい。
【0032】本発明によって得られた半導電性ポリイミ
ド系無端ベルトは、高い性能と品質を持っていることか
ら、その用途は多方面にわたる。例えば、複写機等の感
光ベルトの基体用ベルト、中間転写ベルトあるいは定着
ベルト、又は転写兼定着用ベルト等、更には、面状発熱
体あるいはOA機器等の各種プリンターの記録用ベルト
の基材としての利用がある。しかし、この用途について
は特に制限はなく、多方面の利用が期待できる。
【0033】
【実施例】次に実施例によって本発明を更に詳述する。 (実施例1)3,3′,4,4′−ビフェルテトラカル
ボン酸二無水物とP−フェニレンジアミンとの当量をN
−メチルピロリドン溶媒中で常温にて重合反応して得ら
れたポリアミック酸溶液に、更に溶媒のN,N−ジメチ
ルアセトアミドを混合し、稀釈した。次に、この中に1
00℃で2時間乾燥したDBP吸油量が100ml/1
00gのカーボンブラック(三菱化成(株)製の三菱カ
ーボンMA−100)を添加し、ボールミルで1時間
(25℃)十分混合した。得られたスラリー状液体の組
成は、ポリアミック酸固形分14%(重量)、カーボン
ブラック12.0%(重量)(対ポリアミック酸固形
分)、その他が溶媒量であり、溶液粘度は800cps
(25℃)であった(以下、原料Aと呼ぶ)。
【0034】一方、前記同様にして合成した、ポリアミ
ック酸溶液に、原料Aの場合よりも多量のN,N・ジメ
チルアセトアミドを加え稀釈し、これにカーボンブラッ
クとして100℃、2時間乾燥したDBP吸油量が36
0ml/100gのケッチンブラックックEC(ライオ
ン(株)製)を添加し、ボールミルで1時間(25℃)
十分混合しスラリー状の液体を得た。このものの組成
は、ポリアミック酸固形分11.2%(重量)、カーボ
ンブラック3.5%(重量)(対ポリアミック酸固形
分)、他は、溶媒量で、溶液粘度は500cps(25
℃)であった(以下、B原料と呼ぶ)。
【0035】また、成形機として次の構造の遠心成形機
を準備した。即ち、該成形機は一対の並設された回転ロ
ール上に、幅500mm、内周長500mmで内周面が
面粗さ0.6S以上に鏡面仕上げされた円筒状シリンダ
ーが載置された構造を有しており、かつロール全体を囲
むように配設された取外し自在な加熱炉を有しているも
のである。ここで円筒状シリンダーは回転ロールの回転
に連れて回転できる構造であり、このシリンダーを回転
させながら、その内周面にポリイミド系前駆体のスラリ
ー溶液を所定量供給し、乾燥工程を経ることにより自己
支持性のあるベルト状物が作成されるのである。本実施
例における無端ベルト状物はこのような遠心成形機によ
って得られたもので、以下該成形機をC装置と呼ぶこと
にする。
【0036】次にC装置を使って、原料Aと原料Bとに
よる二層無端ベルトの成形法について説明する。
【0037】まず、A原料の120gをC装置における
円筒状シリンダーの幅に相対する長さでスリット状の出
口を持つ容器に入れる。次にC装置をゆっくりと回転駆
動させながら、該シリンダーの内側に該容器からA原料
を供給した。ここでの供給は、該シリンダーの全内表面
積にわたって、ほぼ均一に塗布されるようにゆっくりと
行った。全量の塗布が終了したら、更に回転速度を高め
400回/分の速度で5分間回転した。全体が均一にな
った時点から外部加熱を開始した。徐々に温度を上げ
て、最終的には、100乃至120℃で約30分加熱し
た。加熱を停止し、常温に冷却し回転を止めた。この段
階で有機溶媒は60〜80重量%程度蒸発除去され、残
りの20〜40重量%程度を含有する自己支持性のある
ポリイミド前駆体の無端ベルト状物が得られた。この時
の厚みは50ミクロンであった。
【0038】次に、この状態で得られたボリイミド前駆
体の無端ベルト状物の上に、更に原料Bの120gを使
って前記同様の条件で塗布−加熱−冷却し、二層からな
る自己支持性のあるポリイミド前駆体の無端ベルト状物
を遠心成形した。この時の有機溶媒の含有量は20〜4
0重量%程度であった。最後に、この無端ベルト状物を
該シリンダーから剥離し、次いで該ベルト状物の内径よ
り約3%小さい外径を有する棒体を該ベルト状物に挿入
した後、別の加熱装置に入れて、徐々に温度を上げなが
ら200乃至300℃で40分間、300乃至400℃
で40分間加熱した。この段階では残存する有機溶媒を
上昇せしめつつ、ポリイミド前駆体のポリアミック酸を
閉環し、イミド化し、目的とする熱硬化性ポリイミド系
樹脂製の無端ベルトを得た。このものの厚みは70ミク
ロン±3ミクロンで、表面つまりA原料による層(b)
の表面電気抵抗値は5×1010〜1×1011Ω/
□、裏面、つまりB原料による層(a)のそれは1×1
〜3×10Ω/□であった。またこの無端ベルト
の体積電気抵抗値は5×10〜1×10Ω・cmで
あり、表面電気抵抗値ともバラツキが極めて少ないもの
であった。このベルトは耐熱性が極めて高く、又機械的
強度は、引張強度30kg/mm、引張伸度20%、
耐屈曲回数10000回以上と極めて優れたものであっ
た。
【0039】(実施例2)3,3′,4,4′−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物とP−フェニレンジアミ
ンとをN−メチルピロリドン液中で、常温にて重合反応
して得られたポリアミック酸溶液600gに、更にN−
メチルピロリドン250gを添加し稀釈する。この稀釈
溶液の中に100℃で2時間乾燥したDBP吸油量21
0ml/100gのカーボンブラック(電気化学工業
(株)製のアセチレンブラック)10gと界面活性能フ
ッ素有機化合物として非イオン型のEFTOP(三菱マ
テリアル(株)製)EF−351 0.1gとを加え、
混合後、更にボールミルで25℃で1時間撹拌混合し、
均一なスラリー液を得た。このものの組成は、ポリアミ
ック酸固形分13.9%(重量)、該カーボンブラック
剤濃度8.5%(重量)(対ポリアミック酸固形分)、
該界面活性剤0.087%(重量)、その他がN−メチ
ルピロリドンであり、溶液粘度は700cps(25
℃)であった。(以下、D原料と呼ぶ)。
【0040】一方、D原料と同じように反応して得たポ
リアミック酸溶液600gにN−メチルピロリドン30
0gを加えて稀釈し、これに100℃で2時間乾燥して
得たDBP吸油量210ml/100gのカーボンブラ
ック(三菱カーボンブラック#3750)10gと界面
活性能フッ化有機化合物として、アニオン型のEF−3
51 0.1gを加えて全体を混合して、最後にボール
ミルにて1時間(25℃)十分に分散混合し、スラリー
状の液体を得た。このものの組成は、ポリアミック酸固
形物として13.1%(重量)、カーボンブラック8.
3%(重量)(対ポリアミック酸固形物)、EF−35
1が0.087%(重量)、残りは溶媒のN−メチルピ
ロリドンであり、溶液粘度は650cps(25℃)で
あった(以下、E原料と呼ぶ)。
【0041】次に前記C装置を使って、実施例1と同じ
手順と条件にて遠心成形した。つまりD原料からE原料
の順序で塗布・乾燥して2層からなる自己支持性のポリ
イミド前駆体からなるベルト状物を成形し、最後に実施
例1と同様にして加熱し閉環イミド化して、D原料から
なる層(a)及びE原料からなる層(b)を有する強靭
な半導電性無端ベルトを製造した。
【0042】ここで使用したD原料は130g、E原料
は120gであった。得られた該無端ベルトの厚さは7
0ミクロン±3ミクロン、D原料による層(a)の表面
電気抵抗値は1×10〜5×10Ω/□、E原料に
よる層(b)(裏面)のそれは5×10乃至1×10
Ω/□、またベルト自身の体積電気抵抗値は5×10
〜8×10Ω・cmであり、表面粗度は1ミクロン
以下の値を示した。
【0043】又、ここで、前記界面活性剤「EF−35
1」の代わりにアニオン型のものとしてEFTOPタイ
プEF−104(三菱マテリアル(株)製)についても
前記と全く同様にしてに層成形後に閉環イミド化し無端
ベルトを得た。これについての品質、電気的特性は前記
EF−351の場合と同じ値を示した。
【0044】又両者共、溶媒を蒸発させる時に発生する
表面の「浮きまだら」模様も見られなかった。遠心力に
よる流延も円滑で、その結果短時間で成形できた。
【0045】(実施例3)前記
【実施例1】と同じようにして得られたポリアミック酸
溶液に、更にN,N−ジメチルアセトアミドを混合し、
均一な稀釈溶液とした。この溶液の組成はポリアミド酸
固形物として10.8%(重量)、残りが溶媒量であ
り、溶液粘度は400cps(25℃)であった。(以
下F原料と呼ぶ。)
【0046】一方、実施例1と同じようにして得られた
ポリアミド酸溶液に、更にN,N−ジメチルアセドを混
合して稀釈溶液とし、これに100℃で2時間乾燥した
DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック
(三菱カーボン、MA−100)を添加し、ボールミル
で1時間(25℃)十分撹拌し混合して、スラリー状の
液体を得た。このものの組成は、ポリアミック酸固形物
として12.1%(重量)、カーボンブラック24.5
%(重量)(対ポリアミック酸固形物)、残りが溶媒量
であり、溶液粘度は700cps(25℃)であった
(以下、G原料と呼ぶ)。
【0047】次に原料Fと原料Gとにより装置Cによっ
て二層成形した。つまり原料G100gを使って、前記
実施例1と同じ手順と条件にて円筒シリンダー内に塗布
し、400回転/1分間の速度で5分間回転を続けた。
そして、そのまま回転しつつ、徐々に温度を上げて10
0乃至120℃で30分間加熱した。この間に溶媒が蒸
発され、次いで常温に冷却し回転を止めた。こうして得
られた自己支持性のあるポリイミド系前駆体からなる無
端ベルト状物の厚みは45ミクロンであった。引続き該
シリンダーを徐々に回転しながら、原料Fの150gを
同様にして該無端ベルト状物内面に供給塗布し、1分間
に400回転の速度で5分間回転を続けた。そのまま回
転しつつ、徐々に温度を上げて100乃至120℃で3
0分間加熱し、溶媒を蒸発せしめた。常温に冷却し回転
を止め、同様の無端ベルト状物が積層成形された二層ベ
ルト状物を該シリンダーから取り出した。そしてこれを
実施例1と同様にして別の加熱装置に入れて同様に20
0乃至300℃で40分間、更に昇温して300乃至4
00℃で40分間加熱した。完全なる溶媒の蒸発を伴っ
て、閉環イミド化が行われて、目的とする層(a)と層
(b)を有する二層の熱硬化性ポリイミド系樹脂製無端
ベルトが形成された。ベルトの内面、即ち層(b)の表
面電気抵抗値は1015Ω/□では電気絶縁性であっ
た。これは層(a)の影響を受けていたためと推測され
る。尚、層(a)の表面電気抵抗値は、5×10〜7
×10Ω/□で、ベルト自身の体積電気抵抗値は10
15Ω・cm以上で絶縁状態と云える値を示した。ま
た、厚みは70ミクロン±3ミクロンで、表面精度にも
優れていた。機械的物性は、引張強度(kg/mm)3
5、引張伸度(%)15、耐屈曲回数10000以上で
あった。
【0048】(比較例)実施例1と同様にして合成し
た、ポリアミック酸溶液を使って、これに更にN,N−
ジメチルアセトアミドを加えて稀釈した。この中に10
0℃で2時間乾燥したDBP吸油量100ml/100
gのカーボンブラック(三菱カーボンMA−100)を
添加混合し、ボールミルに入れて25℃で1時間撹拌し
均一なスラリー状の液体を得た。このものの組成は、ポ
リアミック酸固形分として14.2%(重量)、カーボ
ンブラック12.2%(対ポリアミック酸固形分)、残
りは溶媒量であり、溶液粘度は500cps(25℃)
であった。
【0049】このスラリー状液体の245gを用いて、
前記C装置を使って前記の実施例2の手順と条件に従っ
て、遠心成形し、100乃至120℃で30分間回転し
ながら加熱し、溶媒を蒸発せしめて自己支持性のあるポ
リイミド系前駆体の無端ベルト状物を得た。円筒シリン
ダーから取り出し、2段階加熱して残存溶媒の完全除去
を伴って閉環イミド化し、ポリイミド系樹脂からなる無
端ベルトを得た。このベルトの厚みは、70ミクロン±
5ミクロン、表面電気抵抗値は5×10〜5×10
11Ω/□であり、体積電気抵抗値は1×10〜5×
10Ω・cmであった。更にその機械的物性値は、引
張強度(kg/mm)20、引張伸度(%)20、耐
屈曲回数1200回であった。このベルトは、本発明の
多層成形品に比較して性能、品質が劣っていることがわ
かった。
【0049】
【発明の効果】以上、説明して明らかなように、本発明
の導電性ポリイミド系多層無端ベルトは、導電性、即
ち、電気抵抗値のバラツキが極めて小さく、安定してい
て該ベルトの表面精度、厚み精度等における抜群の品質
を有している。更に、使用中に層間剥離も生ぜず、しか
も耐熱性が良好で機械的特性も卓越している等あらゆる
品質及び性能において高度にバランスのとれている好適
なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // G03G 5/10 Z B29K 79:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性物質を含有するポリイミド系前駆
    体を閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミド系樹脂層
    (a)と、導電性物質を含有する又は含有しないポリイ
    ミド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミ
    ド系樹脂層(b)との少なくとも2層を有する無端ベル
    トであって、前記熱硬化性ポリイミド系樹脂層(a)と
    熱硬化性ポリイミド系樹脂層(b)との少なくとも2層
    が同時に閉環イミド化されてなり、かつ前記層(a)と
    層(b)との表面電気抵抗値が異なる値を有することを
    特徴とする半導電性ポリイミド系無端ベルト。
  2. 【請求項2】 層(a)の表面電気抵抗値が10Ω/
    □以上で10Ω/□未満で、層(b)の表面電気抵抗
    値10〜1015Ω/□である請求項1に記載の半導
    電性ポリイミド系無端ベルト。
  3. 【請求項3】 層(a)を形成するポリイミド系前駆体
    及び層(b)を形成するポリイミド系前駆体の一方もし
    くは双方に界面活性能を有するフッ素有機化合物を含有
    せしめてなる請求項1または請求項2に記載の半導電性
    ポリイミド系無端ベルト。
  4. 【請求項4】 少なくとも1層が導電性物質を含有する
    複数層の無端ベルト状ポリイミド系前駆体を積層形成
    し、無端ベルト状物とした後、該ベルト状物を閉環イミ
    ド化して、少なくとも2層がその表面電気抵抗値を異に
    する複数層の熱硬化性ポリイミド系樹脂層からなる無端
    ベルトに形成することを特徴とする半導電性ポリイミド
    系無端ベルトの製造方法。
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