JP2002086465A - ポリイミド系多層無端管状フイルムの製造方法及びその使用 - Google Patents

ポリイミド系多層無端管状フイルムの製造方法及びその使用

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JP2002086465A
JP2002086465A JP2000277666A JP2000277666A JP2002086465A JP 2002086465 A JP2002086465 A JP 2002086465A JP 2000277666 A JP2000277666 A JP 2000277666A JP 2000277666 A JP2000277666 A JP 2000277666A JP 2002086465 A JP2002086465 A JP 2002086465A
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tubular film
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Takashi Kuraoka
隆志 鞍岡
Naoki Nishiura
直樹 西浦
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Gunze Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐電圧性と電気抵抗性に関し、より改善された
ポリイミド系多層無端管状フイルムの製造方法を提供す
ること。 【解決手段】第一〜第三の各工程を順次行う。ポリアミ
ド酸(PA酸)と有機溶媒(S媒)とからなる電気絶縁
ポリアミド酸液(電絶PA酸液)又はPA酸と導電性カ
ーボンブラック粉体(CB粉体)とS媒とを含有する半
導電PA酸液を、回転ドラム内面に均一に供給・加熱し
て、該S媒の一部を残存含有する電気絶縁(EI)又は
半導電(SC)のPA酸無端管状フイルム(PAフイル
ム)に成形する第一工程、(B)前記ドラム内のEI又
はSCのPAフイルム内面に、溶液粘度1Pa・s以上
の半導電PA酸液又は溶液粘度1Pa・s以上の電絶P
A酸液を無遠心力回転速度で且つ噴霧状で均一に供給・
加熱しSC又はEIのPA酸を積層成形する第二工程、
(C)前記積層PAフイルムを熱風加熱して残存溶媒の
除去とイミド化を行う第三工程。中間転写ベルトに使
用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に半導電層と電
気絶縁層との積層界面が明確に区別され、且つ強固な接
着力でもって一体的に密着積層され、安定した電気抵抗
性をもってより高い絶縁耐力(耐電圧性)の付与された
ポリイミド系多層無端管状フイルムを製造する方法とそ
の使用に関する。その使用の一例としてカラー複写機の
中間転写ベルトが有効である。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド系樹脂をマトリックス樹脂と
する半導電層と電気絶縁層とよりなる多層のポリイミド
系無端管状フイルム(ベルト)については、例えば特開
平07−156287号公報(A号公報)(本件特許出
願人による)と特開平11−235765号公報(B号
公報)とに開示されていて公知である。これら各号公報
で開示されている該フイルムの積層手段については、コ
ーティング法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、遠心成形
法が記載され、就中特に遠心成形法が(実施例を伴っ
て)好ましい方法であるものとして挙げられてもいる。
又、この方法に関しB号公報では、予め50〜90%イ
ミド化したポリイミド前駆体皮膜を第一層として形成
し、そしてこの内面にポリイミド前駆体の皮膜を第二層
として形成することを条件としてもいる。又、塗布する
ポリアミド酸の溶液粘度に関しては、B号公報には一切
記載はないが、A号公報では300〜2000cpsが
示され、実施例では400〜700cps(0.4〜
0.7Pa・s)の極低粘度のポリアミド酸溶液を使
い、遠心成形法によって積層することを開示している。
【0003】一般に遠心成形法は、金属ドラムを高速回
転(例えばA,B号公報では400rpm=40rad
/sで実施している)して遠心力を作用させて、この力
でポリアミド酸溶液を全体に流延して均一塗布し積層す
るものであることから、ポリアミド酸溶液の溶液粘度は
低粘度でないと均一に塗布できない。従って、逆に溶液
粘度の高いポリアミド酸溶液を使うとすると、より一層
高速回転での成形が必要になる。より高速回転になれば
なる程、種々のトラブルが発生し自ずとこの粘度には限
界があることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記の多層無端ポリイ
ミド系管状フイルムは、特にカラー複写機の中間転写ベ
ルトとして有効であることから、その需要は年々増加す
る傾向にあるが、それに伴ってユーザからの品質・性能
要求もより高くなってきてもいる。前記本出願人による
A号公報にしても、又B号公報に記載する技術にして
も、それから得られる品質・性能では、受け難いものに
なってきているのが実状である。
【0005】その受け難い品質・性能の一つに絶縁耐力
(絶縁破壊強さとか、耐電圧で呼んでいる)に欠けてい
ると言うことがある。該中間転写ベルトとして使用する
場合は、帯電器により帯電動作を行って蓄電させておく
必要があるが、特に2色以上のカラー複写では、それぞ
れ色によって必要とする帯電量が異なり、広い範囲での
帯電が容易に得られるものである以外に、更にはより高
い電圧で印加して帯電量をより多くしたいことも求めら
れている(例えば、より多くのトナーを複写紙に転写し
て濃度を高くしたい場合)。ところがより高い印加電圧
で帯電させようとすると、絶縁破壊を起こしあまり高く
上げられないのが実状であった(せいぜい耐電圧2kV
まで)。この理由ははっきりしないが、層間に微細な気
泡が発生しているためではないかと言うことの他に、半
導電層と電気絶縁層の境界が明確に区別されずに、半導
電層中に存在すべきはずの導電性カーボンブラックが、
電気絶縁層中に若干でも移動したことによるのではない
かと考えられる。
【0006】更に前記受け難い品質・性能の一つに、半
導電層の有する体積抵抗値のバラツキと電圧(印加)の
変化に対して該抵抗値が変わり安い傾向があった。この
原因ははっきりしないが、ポリイミド中に分散する導電
性カーボーンブラックが全体に均一に分散し難く、どう
しても表面の方向に偏在する傾向になるためではないか
と考えられる。
【0007】本発明は、主として前記の問題点を解決し
てより一層の高い品質と性能を持ったポリイミド系多層
無端管状フイルムを開発するために、更なる検討を行っ
た結果見出されたものである。その解決手段は次の通り
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、請求項1
に記載するように、次の第一〜第三の各工程が順次行わ
れてなることを特徴とするポリイミド系多層無端管状フ
イルムの製造方法である。 (A)ポリアミド酸と有機溶媒とを含有する実質的電気
絶縁性ポリアミド酸溶液又はポリアミド酸と導電性カー
ボンブラック粉体と有機溶媒とを含有する半導電性ポリ
アミド酸溶液を、回転する金属ドラムの内面に均一に供
給し加熱して、該溶媒の一部を残存含有する実質的電気
絶縁性又は半導電性のポリアミド酸無端管状フイルムに
成形する第一工程、(B)前記第一工程により成形され
た金属ドラムに付着支持されている実質的電気絶縁性又
は半導電性のポリアミド酸無端管状フイルムの内面に、
ポリアミド酸と導電性カーボンブラック粉体と有機溶媒
とからなる溶液粘度1Pa・s以上のの半導電性ポリア
ミド酸溶液又はポリアミド酸と有機溶媒とからなる溶液
粘度1Pa・s以上の実質的電気絶縁性ポリアミド酸溶
液を、実質的無遠心力の速度で回転する該ドラムの内面
に噴霧状で均一に供給し加熱して、半導電性又は実質的
電気絶縁性の無端管状のポリアミド酸を積層成形する第
二工程、(C)前記第二工程で得られた、各積層ポリア
ミド酸無端管状フイルムを熱風加熱して残存有機溶媒の
蒸発除去と共に、ポリアミド酸成分をイミド化して相当
するポリイミド系無端多層管状フイルムに変える第三工
程。
【0009】更に請求項1に関連して、好ましい形態で
請求項2〜6に記載の発明も提供する。
【0010】又、前記各発明におけるポリイミド系無端
多層管状フイルムの用途に関して、有効な分野の一つと
してカラー複写機の中間転写ベルトがあり、これを請求
項7で用途発明としても提供する。以上の発明により本
発明の課題は一挙解決されることになるが、これを次の
実施形態でより具体的に説明することにする。
【0011】
【発明の実施の形態】まず本発明のポリイミド系多層無
端管状フイルムは、基本的には同一のポリイミド樹脂を
マトリックス樹脂とする半導電層と実質的電気絶縁層の
二層からなる。つまり表面層と裏面層からなると言うこ
とであるが、勿論表面層が半導電性で裏面層が実質的電
気絶縁性の場合もあれば、この逆の場合もある。いずれ
の構成にするかは、使用の仕方によるところが大きい。
しかし(回転)屈曲耐久性に関しては、表面層を実質的
電気絶縁性にして、裏面層を半導電性とした二層である
のが良い。ここでの説明は主にポリイミド系二層無端管
状フイルムの製造方法について行うが、しかしながら本
発明は、この二層に限らず半導電層と実質的電気絶縁層
との間に、例えば導電性カーボンブラック粉体(以下単
にCB粉体と呼ぶ)以外の無機粉体(強化剤とか、誘電
剤とか)を含有するポリイミド樹脂を積層するとか、両
層を反復積層すると言った3層以上の多層とすることを
否定するものではない。
【0012】本発明のポリイミド系多層無端管状フイル
ム(以下単にML管状フイルムと呼ぶ)の製造方法は、
前記の通り(A)〜(C)の三工程を順次行ってなる
が、まず最初に行う(A)の第一工程(以下A1工程)
から説明する。
【0013】まず、A1工程で使用される成形原液は、
ポリアミド酸(以下とPA酸と呼ぶ)と有機溶媒とを含
有する実質的電気絶縁性ポリアミド酸溶液(以下電絶P
A酸溶液1と呼ぶ)か、又はPA酸とCB粉体と有機溶
媒とを含有する半導電性ポリアミド酸溶液(以下半導電
PA酸溶液1と呼ぶ)のいずれかである。これにより二
層の中の表面層となる部分が形成されるが、該層は実質
的電気絶縁性(誘電層)と半導電性のいずれかと言うこ
とになる。
【0014】ここでPA酸は、一般に知られているよう
に、芳香族基が2つのイミド基に結合されて、これが反
復単位となって高分子(少なくともフイルムとして使用
できる高分子量体)化している芳香族ポリイミド(PI
樹脂)の前駆体、芳香族基が1つのイミド基とアミド基
に結合されてこれが反復単位となって同様に高分子量化
している芳香族ポリアミドイミド(PAI樹脂)の前駆
体を言う。従って、基本的にはイミド基を有しないPA
酸を言うが、しかしある程度のイミド基が含有されてい
ても、全体として(有機溶媒によって)溶液状で得られ
ればかまわない。そのレベルは、イミド基が約40%程
度まで、好ましくは30%程度まで、更には20%程度
までである。ここで、約40%程度までを例示している
のは、勿論溶液状で得られ難くなるからであるが、その
他に、次に行う(B)の第二工程による(表面層と)内
面層との間の密着性が弱くなる傾向になることと、特に
半導電層とする場合に使用するCB粉体の分散性が悪く
なる為でもある。
【0015】尚、前記PA酸は、最終的には完全イミド
化して各々PI樹脂又はPAI樹脂に変化するが、これ
を合成する出発原料の種類によって、熱的性質が熱硬化
性と熱可塑性とになる。特にこれはPI樹脂に顕著に現
れる。従ってその特性に適した使われ方がなされるが、
より高い耐熱性、機械的性質、耐薬品性をもってなるも
のは熱硬化性PI樹脂であり、この場合のPA酸は、熱
硬化性芳香族PI樹脂のPA酸と言うことになる。
【0016】そしていずれかの層を半導電性とする場合
には、その付与剤には特にCB粉体が選択される。これ
は他の導電化剤に比較して、PA酸との親和性がよく均
一分散し易く、その結果より安定した電気抵抗値を有す
る層が得られ易い等の理由による。
【0017】CB粉体は、その製造原料(天然ガス、ア
セチレンガス、コールタール等)と製造条件(燃焼条
件)とによって種々の物性(電気抵抗、揮発分、比表面
積、粒径、pH値、DBP吸油量等)を有したものがあ
る。可能なかぎり少量の混合分散でもって、より低い電
気抵抗値が容易に得られるようなCB粉体、例えばスト
ラクチャーの発達した導電指標の高いものとか(これは
アセチレンガスを原料として製造して得たCB粉体に多
い)、或いは導電指標はあまり高くないが、pH値を低
くするような、揮発成分を多く含有するようなCB粉体
を選ぶのが良い。しかしながら、余りにも少量添加で、
より低い電気抵抗値が得られるようなCB粉体は、付与
される電気抵抗値にバラツキが発生し易い場合もあるの
で、その点事前に十分チェックして支障をきたさないよ
うに適正なCB粉体を選ぶのがよい。
【0018】又、有機溶媒は前記PA酸を均一に溶解さ
せるものであるが、これは一般にPA酸の溶媒として知
られている、非プロトン性の有機極性化合物である。例
えばN−メチル−2−ピロリドン(NMPと略す)、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ヂメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホン等である。
【0019】そして、前記各成分を組成とすることで電
絶PA酸溶液1又は半導電PA酸溶液1が調製される
が、その調製法は例えば次のような手順で行われる。ま
ず電絶PA酸溶液1の場合は、PA酸を有機溶媒中で合
成することで一挙に調製される。つまりその出発原料
(例えばPAI樹脂の場合は芳香族トリカルボン酸無水
物と芳香族ジアミンとの当量、PI樹脂の場合は芳香族
テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの当量)
を、該溶媒中で常温以下(以上では溶解に困難をきた
す、イミド化反応も起こる)の低温で重縮合反応する。
重縮合したPA酸(固形分)は、所定の溶液粘度をもっ
て溶液状で得られるが、該粘度の調整が必要である場合
は、該溶媒を追加して溶解希釈すれば良い。ここで必要
とする(固形分のPA酸に対する)該溶媒量は、後記す
る成形法の差によって異なる。つまり溶液粘度との関係
で決まる。尚、該溶液1にはある特性を付加する意味
で、一般に知られている有機又は無機系の化合物を添加
することは妨げるものではない。
【0020】そして、半導電PA酸溶液1の場合は、前
記得られた電絶PA酸溶液1に所定のCB粉体を添加し
て、まず羽根付きハイミキサーで予備的混合を行い、最
後にボールミルで本格的に混合分散する。この場合も粘
度の調整が必要であるに場合は、有機溶媒を追加して溶
解希釈すれば良い。ここでCB粉体の混合量は、前記す
るCB粉体の特性の差、所望する電気抵抗値(ここでは
表面抵抗値)によって変わる。例えば請求項5の発明と
して提供する、表面抵抗値で10〜1015Ω/□を
必要とする場合には、固形分に対して約5〜25重量%
である。そしてこの場合の有機溶媒量も、後記する成形
法の差によって異なる。つまり溶液粘度との関係で決ま
る。一方、電絶PA酸溶液1では、基本的にはCB粉体
は存在しないが、仮に半導電性を有する層の表面抵抗値
が1012Ω/□程度以下であれば、CB粉体を微量混
合して1015Ω/□程度に調製し、これを電気絶縁層
としても良い。尚、この混合分散の際に、例えば分散性
を良くする添加剤(例えばフッ素系の界面活性剤)と
か、前記同様にある作用効果を付加する意味で、一般に
知られている有機又は無機系の化合物を添加しても良
い。
【0021】前記成形原液としての電絶PA酸溶液1と
半導電PA酸溶液1の溶液粘度については、ここで行う
回転する金属ドラム内面での成形(以下回転成形手段と
呼ぶ)が有効に行われる為の適正な溶液粘度と言うこと
になり、従って、この回転成形手段がどの様な方法によ
るものかによる。ここでの回転成形手段としては、一般
に知られている遠心成形法と本発明者等が新たに見出し
た無遠心・噴霧成形法のいずれかである。つまり遠心成
形法は、成形原液をそのまま金属ドラム内面に供給し、
高速回転して遠心力の作用で該原液を流延成形するもの
である。一方無遠心・噴霧成形法は、(B)の第二工程
で特定して行う、実質的無遠心力の速度で回転する該ド
ラムの内面に噴霧状で均一に供給・成形する方法であ
る。具体的に有効な成形可能な溶液粘度を例示すると、
遠心成形法では、その成形特性上、後記するようにせい
ぜい1Pa・sまでの低粘度溶液で行なわないと、所望
する品質のML管状フイルムが得られがたい。これに対
して、無遠心・噴霧成形法では、より高粘度溶液で行う
ことも極めて容易で、1Pa・s以上7Pa・s程度ま
ででも高品質で成形ができる。
【0022】ここで第一層としての表面層の形成手段と
しては、前記するように遠心成形法でも無遠心・噴霧成
形法のいずれの方法でも良いと言うことであるが、その
主たる理由は次の通りである。つまり該層は、鏡面仕上
げされた金属ドラムの面で直接形成されるが、その面が
滑性であることから、特に遠心成形法による場合に、成
形原液の濃度が高くても、より小さい遠心力でスムース
に流延して均一に塗布され易いと言うことからである。
【0023】しかしながら前記いずれの方法でも良いと
は言っても、作用効果上に次のような差があり、総合的
にはここでも後者の無遠心・噴霧成形法によってA1工
程を実施するのが望ましい。
【0024】つまり遠心成形法では、まず成形原液に、
CB粉体に限らず比重の重い添加剤が含有される場合に
は、その分散状態が表面に偏在し易く均一分散状態にな
り難いこと、そして成形可能な成形原液の上限濃度に限
界があり、高くてもせいぜい1Pa・s程度までである
こと、成形原液濃度の上昇と共に、金属ドラムの回転速
度を上げて行く必要があることである。この中で分散状
態に関しては、得られるML管状フイルムの使い方によ
っては偏在的分散状態にあるのが好ましい場合もある
が、成形原液濃度と回転速度の点に関しては、好ましい
ことではない。つまり成形原液濃度がより高く上げられ
ないことは、より厚いML管状フイルムを得ようとすれ
ばする程、何回も同じ動作を行って重ね塗りをする必要
があり、これは製造時間の他に厚み精度にも悪影響を及
ぼすことになる。又、使用する有機溶媒量も多いので蒸
発除去するのに困難を来す。一方回転速度はこれを上げ
れば上げる程、金属ドラム自身の揺れが大きくなり易
く、これはより大口径の金属ドラムにとってはより一層
大きくなる。揺れが大きくなることはML管状フイルム
の厚み精度を悪くするので、より大口径のML管状フイ
ルムを製造することが困難になる。又装置の面でも問題
が発生し易いことにもなるからである。更に、微細気泡
の入った表面層になり易いといった点である。以上のよ
うな点を全てクリヤーしようとすると、かなりの条件制
限をすることにもなる。
【0025】一方無遠心・噴霧成形法では、後述から理
解されるように別途噴霧化手段により、成形原液は既に
一定厚みを持った状態で噴霧状で内面に噴射供給される
ので、遠心力による流延は必要でない。従って、噴霧供
給速度と回転速度とをバランスすればよいので、極めて
低速回転(例えば遠心成形の1/10〜20程度)で良
いことになり、従ってより大口径のML管状フイルムで
も容易に製造できることになる。又、溶液粘度も前記す
るように、より高濃度で容易に成形され、むしろより高
濃度成形原液にとって有効な手段と言うことになる。微
細気泡もなく緻密な表面層が形成され、広い範囲の条件
の下で成形もできると言った点である。
【0026】前記遠心成形法は、一般に行われている条
件で実施されるので詳細は割愛するが、無遠心・噴霧成
形法は次のような条件で行われる。
【0027】まず前記方法に使用される製造装置として
は、概略次のような機構によりなる。両端開口の金属ド
ラムが2本の回転ローラ上に(着脱自在に)載置され
る。該ドラムは、該ローラの回転によって間接回転する
機構を採る。そして該ドラム内を加熱するための加熱源
(例えば遠赤外線)が外側上部に設けられている。ここ
で該ローラ内にも加熱源が設けられ、該ドラムの補助的
加熱を行う。そして、該ドラム内には、内表面から所定
間隔離して水平に左右動し、且つ挿脱自在機構を有して
なる成形原液吐出用スリット状ノズルが設けられてい
る。このノズルにはこの吐出口を挟んで圧空供給ノズル
も合体して設けられている。これはギヤポンプ等を使っ
て該ノズルに向かって供給されてくる成形原液を吐出口
で圧空と合流させて噴霧化するためのものである。ここ
で該ノズルの出口幅(スリット幅)は、約0.2〜3m
m、長さは約10〜100mmと言ったところである。
これにより供給幅と供給量(塗布厚さ)が決まる。そし
て、少なくとも該ドラムの全体は排気フアンを持った筐
体で囲まれるようになっていて、回転成形中に加熱蒸発
される有機溶媒を速やかに系外に除去される。勿論、成
形原液は一回の噴射供給動作で全面均一に塗布されて、
且つ所望するフイルム厚さが自由に得られるように、成
形原液の供給量と該ドラムの回転速度と該ノズルの左動
又は右動の速度とが自動的に制御されるようにコンピュ
ーターが組み込まれてもいる。
【0028】そして前記製造装置による成形手順は、概
略次の通り行われる。まず前記ノズルが、金属ドラムの
内右端の上位置に30〜50mm程度離して配置され
る。そして該ドラムは、コンピューター制御された所定
の回転速度(勿論遠心力の作用しない角速度、例えば4
〜6rad/s程度の低速度で回転を始める。次に(若
干時差をおいて)所定量の成形原液の噴霧状供給と共
に、該ノズルの右端から左端への移動がコンピューター
制御下でスタートする。右端から左端への供給が終わっ
たら直ちに噴射供給を停止し、該ノズルは一旦原位置に
自動復帰させ、更に後退させて系外に出される。次に回
転し続けている金属ドラムを筐体で囲み、前記加熱源に
よる加熱をスタートし、該ドラム内を所定温度に保つ。
この加熱の開始と共に、前記筐体の排気フアンの稼働も
スタートする。この時の回転速度は、当初の速度と同じ
である場合と、更に若干速く又は遅く(勿論無遠心力下
の速度で、一般には前記最初の速度の0.5〜3倍程
度)する場合がある。ここでの加熱条件は基本的には、
有機溶媒の蒸発温度よりも高いが、イミド化温度(20
0〜450℃程度)よりも低い温度(約100〜150
℃)とする。これはここで有機極性溶媒の全てを除去せ
ずに一部を残存させておく為と、イミド化を実質的に進
めない為である。
【0029】前記A1工程で条件とする有機溶媒の一部
残存のことと、(ここでイミド化は実質的に行わずに)
実質的電気絶縁性又は半導電性のポリアミド酸無端管状
フイルムの状態で止めておく理由は次の通りである。ま
ず有機溶媒の一部残存の必要性は、前記表面層の内面に
対して裏面層用成形原液が弾くようなこともなく、極め
て濡れ良く均一に積層塗布できることと、両層が一体的
に密着積層され、層間剥離を起こすようなことも起こら
ない等による。ここで一部残存の一部の意味は、上記作
用効果の最も有効な発現はその残存量が多くても少なく
ても良くなく、適正な残存範囲がありそれを一部と表現
している。従ってその一部の適正量はこの作用効果との
関係から導き出されるが、本発明者等の検討では、請求
項3で提供するように、固形分(PA酸)に対して20
〜60重量%、好ましくは30〜50重量%と言ったと
ころである。一方、ポリアミド酸無端管状フイルムの状
態で止めておくのは、主として前記一部溶媒残存の作用
効果中、特に裏面層との一体的に密着をより効果的に作
用させる為と、表面層に発生し易いクラックの防止のた
めである。
【0030】次に(B)の第二工程(以下B2工程と呼
ぶ)について説明する。該工程は、前記A1工程により
成形された表面層の内面に、該層が実質的電気絶縁性で
ある場合には、半導電PA酸溶液2(前記半導電PA酸
溶液1に対して2と呼ぶことにする)を、そして該層が
半導電性である場合には、電絶PA酸溶液2(前記電絶
PA酸溶液1に対して呼ぶことにする)を形成しこれを
内面層とする工程である。そして、ここでは特に該半導
電PA酸溶液2又は電絶PA酸溶液2の溶液粘度を1P
a・s以上、好ましくは2〜7Pa・s、更に好ましく
は2.1〜6Pa・sの高粘度溶液とし、且つこれを
(前記A1工程で好ましい回転成形法として説明した)
無遠心・噴霧成形法によることを必須するものである。
これは次のような理由からである。
【0031】つまりここで仮に遠心成形法を使うと、い
ずれの該PA酸溶液2も表面層内面に容易に迅速に流延
塗布できないばかりか、仮に流延塗布されても塗布精度
が悪いものになる。無遠心・噴霧成形法ではこれが全く
ないことである。これは遠心成形法では、塗布積層する
成形原液は、表面層内面に対して滑り易いことも必要で
あるが、前記もするように極めて濡れが良い(親和
性)。この濡れが良いことは、逆に滑り難くなり、その
結果流延性が悪くなるからと考えられる。無遠心・噴霧
成形法では、遠心力による流延塗布ではないので、この
場合は逆にこの良濡れ性が有効になる。
【0032】又、ここで遠心成形法を使うと表面層と裏
面層との層界面で両者が混ざり合うような作用をする。
これは設定した半導電層の電気抵抗値が変化することに
なる。無遠心・噴霧成形法では、この現象は全く起こら
ずはっきりと区別されて形成される。
【0033】更に、遠心成形法では、前記するように微
細気泡が入り易いことである。気泡は微細でも、少なく
ても種々の面で好ましくないことである。例えば積極的
に帯電をして使用する用途では、より低電圧印加の下
で、必要とする帯電量がより容易に得られる必要があ
る。ところがこの気泡があると、これが満たされずより
大きい電圧印加が必要になる。これは絶縁破壊に繋がり
ベルトとして使用できなくなるばかりか、感光ドラム
(複写機の中間ベルトに使用する場合)の感光面を破壊
することにもなる。無遠心・噴霧成形法では、より低電
圧印加下で、必要とする帯電量がより容易に得られるば
かりか、より大きい電圧印加の下でも絶縁破壊を起こさ
ないものが得られ易い等である。
【0034】そして半導電PA酸溶液2又は電絶PA酸
溶液2の溶液粘度を1Pa・s以上、好ましくは2〜7
Pa・s、更に好ましくは2.1〜6Pa・sの高粘度
溶液とするのは、前記するように無遠心・噴霧成形法は
より高粘度の該溶液2が使用でき、これは使用する有機
溶媒量がより少量になるので、製造時間が大幅に短縮さ
れることになる。更に有機溶媒量が少ないことは、該成
形法自身の効果として説明する前記の表面層と裏面層の
層界面での混合作用も働かず、その結果両層それぞれの
特性をもって形成されると言うものである。
【0035】尚、前記B2工程における成形原液として
の半導電PA酸溶液2及び電絶PA酸溶液2は、これを
組成する成分、組成比、調製法は前記A1工程で説明し
たのと同じである。また無遠心・噴霧成形法も前記A1
工程で説明と同じであるので再度の説明は割愛する。但
し実際に積層する場合の諸条件は、同じ場合もあれば異
なる場合もある。又、該工程での加熱条件は、必ずしも
前記A1工程と同じにするものではないが、しかし該A
1工程と同じように、有機溶媒一部残存と更にイミド化
が進行しない加熱条件で行うのが望ましい。これは両層
同じ条件の範囲で形成されていることになるので、最後
に行う第三の(C)工程は同一の加熱条件で同時に終了
させることができ、製品として得られるML管状フイル
ムも最高の品質・性能をもって取得できる。
【0036】又、前記A1工程とB2工程で積層する各
無端管状PA酸フイルムの層厚には、特に制限はない
が、最終得られるML管状フイルムの耐屈曲強度の点か
らは実質的電気絶縁性を有する方の層厚を厚くした方が
よいが、帯電に要する印加電圧は高くすることになるの
で、総合的に見てバランスをとって決めるのがよい。
【0037】次に最後に行う、(C)の第三工程(以下
C3工程と呼ぶ)について説明する。C3工程は、前記
B2工程で得られた実質的電気絶縁性と半導電性を有し
てなる二層PA酸無端管状フイルムを、残存有機溶媒の
実質的完全除去とPA酸成分の実質的完全イミド化を、
特に熱風加熱手段により行うものである。従って熱風温
度は、この両者が円滑に進行するような温度での処理と
言うことになる。この具体的温度は、まず常温から徐々
に昇温して110〜200℃程度に到達したら一旦この
昇温を停止して、その温度で一定時間(一般に40〜1
00分間程度)加熱して残存溶媒の大部分を蒸発除去す
る。そして引き続き徐々に昇温して行き、350〜45
0℃程度に到達したら昇温を停止して、その温度で一定
時間(一般に40〜80分間程度)し、終わったら冷却
して製品としてのML管状フイルムを得る。ここで特に
熱風を加熱媒体とするのは、単なる加熱に比べて、発生
する残存溶媒とイミド化の際に発生する縮合水が素早く
系外に除去されることによる。その結果得られるML管
状フイルムは、本来有する特性を変えることなく高品質
・高性能をもってなる。
【0038】前記熱風加熱手段としては、次の二つの方
法がある。尚、いずれの方法を採るかは加熱収縮の程度
で決めるのがよい。つまり加熱収縮傾向のものは(例え
ば3〜8%程度)はA法で行うのが良い。 (A法)・・金属ドラム内周面に付着している積層PA
酸無端フイルムを剥離し、これを別設の中空管状金型
(該フイルムの内径よりも若干小さ目の外径)に嵌挿し
て、これを熱風乾燥機の中で熱風加熱する。 (B法)・・金属ドラム内周面に付着したままで、該ド
ラムごと熱風乾燥機に投入して熱風加熱する。尚、ここ
での加熱で特に前記設定した各層の層厚は薄くなるが、
この設定厚範囲を越脱するような大きな収縮はなく、小
さなものである。
【0039】ML管状フイルムの厚さについては、まず
全厚としては使用目的によって変わる。例えばベルトと
して使用する場合は、まず円滑なベルト回転の下での耐
屈曲性と強度とのバランスの上に立って判断する必要が
ある。これを例示すると50〜120μm、好ましくは
60〜100μmである。そしてこの全厚を構成する電
気絶縁層と半導電層の厚さの関係は、使用する目的によ
り変わる。特にベルトが帯電手段により積極的に帯電し
て使用される分野、例えばカラー複写機の中間転写ベル
トとして使用する場合には、半導電層に電圧を印加して
それを電気絶縁層で帯電蓄積するが、その時の電圧は可
能な限り低いのが良いことと、逆により高電圧(例えが
3kV以上)が印加された場合に、絶縁破壊するような
こともなく、優れた絶縁耐力が備わっている必要があ
る。かかる用途の場合を考えると全厚60〜100μm
の中で電気絶縁層部分を若干厚く設定するのがよい(よ
り具体的には実施例中で例示する)。こうすることで全
厚100μm以下と言った薄い全厚でも、3kV以上、
更には5kV以上の耐電圧を有する中間転写ベルトとな
る。
【0040】尚、前記中間転写ベルトとして使用の場合
は、表面層を電気絶縁層(誘電層)とし、内面層を半導
電層として構成するのが良いが、この場合の半導電層の
有する表面抵抗値は10〜1013Ω/□の範囲に、
そして誘電層のそれは10 〜1016Ω/□の範囲
にあるのが良い。
【0041】尚、前記中間転写ベルトとして切断加工さ
れたML管状フイルムは、多くの場合そのまま既存のカ
ラー複写機に組み込まれるが、例えば表面層及び/又は
内面層に微細凹凸を設けて、面の静(動)摩擦状態を変
えたものを使うとか、更には端部に蛇行防止用リブを設
けたものを使うとかの場合もある。尚、中間転写ベルト
として使用する場合、特に機構変更と言ったことはな
く、既存のカラー複写機にそのまま使用できるので、装
置としての説明は割愛する。
【0042】
【実施例】次に比較例と共に実施例によって更に詳述す
る。尚、本例で言う表面抵抗値(Rs、Ω/□)及び耐
電圧は次の方法により測定したものである。 ●Rv・・サンプルに付き、三菱化学株式会社製の抵抗
測定器“ハイレスタIP・HRプローブ”を使って、等
ピッチで幅方向に5カ所と縦(周)方向に8カ所を全体
(合計40カ所)に渡って測定し、各々平均して幅方向
と縦(周)方向の測定値として示す。ここでの測定は、
100V印加の下10秒経過後に行う。 ●耐電圧・・測定器は“KIKUSUI ELECTR
ONICS CORP社製の電圧テスター(WITHS
TANDING VOLTAG TESTER)/機種
TOS8750”を使用。測定は110×110mm
にカットしたサンプルを、100×100mmの板状電
極に挟んで1kV/10秒の昇電速度で電圧を印加し、
電流値が10mAを超えた時点の電圧をもって耐電圧と
した。尚、印加電圧に対してどの程度耐えるかが絶縁耐
力であるが、これには絶縁破壊強さと耐電圧の2種の表
示法がある。ここでは全厚が薄くても、つまり電気絶縁
層が薄くても優れた絶縁耐力を有するので、その厚さに
関係なく、そのML管状フイルムの有する絶縁耐力とし
て耐電圧で表すことにした。
【0043】(実施例1)まず第一層(表面層)形成の
為の成形原液の電絶PA酸溶液1と第二層(内面層)形
成の為の成形原液の半導電PA酸溶液1とを次のように
して調製した。 <電絶PA酸溶液1>・・3,3´,4,4´−ビフエ
ニルテトラカルボン酸二無水物とp−フエニレンジアミ
ンとの当モル量をNMP溶媒中、20℃で重縮合反応さ
せて、固形分濃度16重量%の芳香族PA酸溶液4kg
を得た。このものの溶液粘度は2.5Pa・sであっ
た。 <半導電PA酸溶液1>・・電絶PA酸溶液1の1kg
を採取し、これに27.1gのCB粉体(pH3、比表
面積180m/g、粒子径25μm、体積抵抗値10
−1Ω・cm)(固形分に対して14.5重量%)とN
MP142g(溶液粘度調製用)とを羽根付きの攪拌機
で攪拌しつつ予備的混合し、更にこれをボールミルに移
し換えて十分に混合分散した。このものの溶液粘度は
2.2Pa・sであった。
【0044】次にまず電絶PA酸溶液1を使って、次の
条件で無遠心・噴霧成形を行った。尚、ここで使用した
製造装置と製造手順は、前記本文中の記載に基づくが、
詳細は次の通りであった。
【0045】<製造装置> ◎金属ドラム・・内面鏡面仕上げ(クロムメッキ、Rz
=0.6μm)、両端開口の幅550mm、内径260
mmのステンレス製円筒体、 ◎スリット状ノズル(ヘッド)・・吐出口幅0.5m
m、長さ80mmのノズル。
【0046】<製造手順>まず、スリット状ノズルを金
属ドラム内右端に該ドラム面から50mm離してセット
したら、4rad/sの角速度でゆっくりと回転を始め
た。この回転の10秒後に、左方向移動速度5.0mm
/秒に制御された該ノズル(この速度は終始一定)から
噴霧供給量114.6g/分で移動しつつ噴射を開始し
た。そして該ノズルが左端にきたら直ちに噴射と移動を
停止し、原位置に復帰させると共に、一旦系外に取り出
した。
【0047】次に前記回転速度を維持しつつ、金属ドラ
ムを筐体で囲い加熱を開始した。加熱条件は、まず13
0分間を要して120℃(該ドラム内温度)まで昇温
し、まずその温度で30分間加熱した(この加熱の間
は、筐体に付設された排気フアンによって蒸発する有機
溶媒は、積極的に系外に排出除去されている)。加熱が
終了したら、加熱を停止し常温に冷却し回転を停止し
た。金属ドラム内面には固形化した電気絶縁性のPA酸
無端管状フイルムが展着されていた。この端部を切り出
して残存NMP量を測定したところ30重量%あり、そ
してIR分析によりイミド基の有無を確認したが、その
吸収ピークは見られなかった。
【0048】そして、引き続き前記金属ドラム展着の電
気絶縁性のPA酸無端管状フイルムの内面に、半導電P
A酸溶液2を前記同様にして無遠心力下、噴霧供給して
塗布積層、加熱した。この時の条件は次を除き、前記と
同じであった。 噴霧供給量=69.0g/分、加熱=140分間を要し
て140℃(該ドラム内温度)、140℃で60分間加
熱。
【0049】そして前記積層されたPA酸無端管状フイ
ルムを金属ドラムから剥がして、端部の一部を切り出し
て全体の残存有機溶媒量を測定したら20重量%であ
り、又全厚は100±1μmであった。
【0050】最後に、前記得られた積層PA酸無端管状
フイルムを、本文中(A法)として例示する熱風加熱手
段により熱風加熱して、残存溶媒の蒸発除去とイミド化
とを行い目的とする二層ML管状フイルムを得た。尚、
ここでA法条件は次の通りであった。 ●中空管状金型=外径250mm、長さ450mmで表
面はクロムメッキ仕上げ、●熱風加熱=熱風乾燥機を使
い、この中でまず120℃で60分間、次に120分間
要して450℃まで昇温して、その温度で60分間加熱
して終了。
【0051】前記得られた二層ML管状フイルムは、両
端を50mmずつトリミングして幅450mmに仕上げ
た。該フイルムの全厚は80±1μmで、表面層として
は50μmであった。又内面層の有するRvは1〜3×
1011Ω/□であり、そして耐電圧テストでは5kV
でも破壊しなかった。
【0052】(実施例2)まず第二層(内面層)形成の
為の成形原液の電絶PA酸溶液2と第一層(表面層)形
成の為の成形原液の半導電PA酸溶液2とを次のように
して調製した。 <電絶PA酸溶液2>・・ピロメリット酸二無水物と
4,4´−ジアミノジフェニルエーテルとの当モル量を
NMP溶媒中、20℃で重縮合反応させて、固形分濃度
18重量%のPA酸溶液4kgを得た。このものの溶液
粘度は5Pa・sであった。 <半導電PA酸溶液1>・・電絶PA酸溶液2の1kg
を採取し、これに30.52gのCB粉体(実施例1と
同一)(固形分に対して14.5重量%)とNMP15
0g(溶液粘度調製用)とを羽根付きの攪拌機で攪拌し
つつ予備的混合し、更にこれをボールミルに移し換えて
十分に混合分散した。このものの溶液粘度は4.5Pa
・sであった。
【0053】次にまず半導電PA酸溶液2を使って、次
の条件で無遠心・噴霧成形を行ない表面層を形成した。 <製造装置>・・実施例1と同一、 <製造手順>・・該溶液2の噴霧供給量を63.1g/
分とする以外は実施例1と同じに行った。
【0054】前記により金属ドラム内面には固形化した
半導電性のPA酸無端管状フイルムか展着され、端部の
一部を切り出して残存NMP量を測定したところ40重
量%であった。
【0055】そして、引き続き前記金属ドラム展着の半
導電性PA酸無端管状フイルムの内面に、電絶PA酸溶
液2を前記同様にして無遠心力下、噴霧供給して塗布積
層、加熱した。この時の条件は噴霧供給量を104.0
g/分とする以外は実施例1と同じであった。
【0056】そして前記積層されたPA酸無端管状フイ
ルムを金属ドラムから剥がして、端部の一部を切り出し
て全体の残存有機溶媒量を測定したら27重量%であ
り、又全厚は100±1μmであった。
【0057】最後に、前記得られた積層PA酸無端管状
フイルムを、実施例1のA法により熱風加熱して、残存
溶媒の蒸発除去とイミド化とを行い目的とする二層ML
管状フイルムを得た。但し条件は次の通りであった。 ●中空管状金型=外径255mm、長さ450mmで表
面はクロムメッキ仕上げ、●熱風加熱=120℃で60
分間、次に120分間要して400℃まで昇温して、そ
の温度で60分間加熱して終了。
【0058】前記得られた二層ML管状フイルムは、両
端を50mmずつトリミングして幅450mmに仕上げ
た。該フイルムの全厚は80±1μmで、表面層として
は31μmであった。又表面層の有するRvは5〜8×
10Ω/□であり、そして耐電圧は5kVでも絶縁破
壊するようなことはなかった。
【0059】(比較例1)まず実施例1で得た電絶PA
酸溶液1と半導電PA酸溶液1を使って次の電絶PA酸
溶液3と半導電PA酸溶液3を調製した。 <電絶PA酸溶液3>・・電絶PA酸溶液1の1kgを
採取し、これに231.0gのNMPを攪拌しながら添
加して希釈した。このもの溶液粘度は0.78Pa・s
であった。 <半導電PA酸溶液3>・・半導電PA酸溶液1の1k
gを採取し,これに185.1gのNMPを攪拌しなが
ら添加して希釈した。このものの溶液粘度は0.85P
a・sであった。
【0060】次にまず前記電絶PA酸溶液3を使って、
次の条件で遠心成形を行ない表面層を形成した。 <製造装置>・・実施例1と同じもの。但し金属ドラム
の両端縁内周面には、幅3mm・高さ3mmのバリヤー
(液漏れ防止)を周設した。 <製造手順>・・まず、回転停止の金属ドラムの内面下
に、電絶PA酸溶液3の214.0gをスリット状ノズ
ルを使って右端から左端へ帯状で均一に液状で供給した
(液状で供給した為に、圧空の供給は停止)。供給終了
したら該ノズルは実施例1と同様に一旦系外に取り出し
た。次に該ドラムの回転を開始した。その回転条件は、
最初は8rad/s(無遠心下)で回転しほぼ内全面に
均一に流延塗布されたことを確認したら、今度は徐々に
加速しつつ更に均一になるように流延回転(遠心力下)
を行いつつ50rad/sまで加速した。そしてこの速
度を維持しつつ、金属ドラムの加熱を開始した。加熱条
件は、まず120分間を要して130℃(該ドラム内温
度)まで昇温し、その温度で60分間加熱した。この加
熱が終了したら加熱を停止して、常温に冷却し回転を停
止した。金属ドラム内面には固形化した電気絶縁性PA
酸無端管状フイルムが展着されていた。この端部を切り
出して残存NMP量を測定したところ28.7重量%あ
った。
【0061】そして、引き続き前記金属ドラム展着の電
気絶縁性PA酸無端管状フイルムの内面に、半導電PA
酸溶液3の129gを使って、前記同様にして液状供給
・高速回転して遠心力により均一に流延・塗布積層後、
加熱して有機溶媒を蒸発除去した。但しこの時の加熱条
件は、まず140分間を要して140℃(該ドラム内温
度)まで昇温し、その温度で60分間加熱した。
【0062】そして前記積層されたPA酸無端管状フイ
ルムを金属ドラムから剥がして、端部の一部を切り出し
て全体の残存有機溶媒量を測定したら24重量%であ
り、又全厚は100±7μmであった。
【0063】最後に、前記得られた積層PA酸無端管状
フイルムを、実施例1と同一条件で中空管状金型に嵌入
し熱風加熱して、残存溶媒の蒸発除去とイミド化とを行
い遠心成形によるポリイミド二層無端管状フイルムを得
た。尚、ここでA法条件は次の通りであった。
【0064】前記得られたポリイミド二層無端管状フイ
ルムは、両端を47mmずつトリミングして幅450m
mに仕上げた。該フイルムの全厚は79±5μmで、表
面層としては48μmであった。又内面層の有するRv
は3〜9×1012Ω/□であり、そして耐電圧は1.
5kVで穴が開き絶縁破壊状態になった。尚、実施例1
に比較して、Rvが約一桁大きいのは、内面層のCB粉
体がその表面にあたる部分に偏在するような状態で分散
しているためと考えられる。
【0065】
【発明の効果】本発明は前述の通り構成されているの
で、次のような効果を奏する。
【0066】耐電圧性が飛躍的に改良された上に、より
低い印加電圧でもより多くの帯電量を容易に帯電できる
ようにもなった。
【0067】又、半導電層の有する表面抵抗値のバラツ
キもより改良され、より安定した状態で帯電持続が可能
になった(このことは、例えばカラー複写の場合はトナ
ー転写量にバラツキがないことにも繋がる)。
【0068】例えば、より一層改善された品質・性能を
有するカラー複写機の中間転写ベルトとして有効に使用
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 79:00 B29K 79:00 B29L 9:00 B29L 9:00 23:00 23:00 29:00 29:00 Fターム(参考) 2H032 AA05 AA15 BA09 BA23 4F071 AA60 AB03 AD02 AE15 AF37 AF37Y AF39 AF39Y AH16 BA02 BB02 BC01 BC02 BC12 4F205 AA40C AB18 AC05 AD12 AD20 AE10 AG03 AG08 AG16 AK01 GA02 GA05 GB01 GB11 GB20 GB26 GC04 GE02 GE24 GF01 GF02 GF23 GF25 GN02 GN13 GN17 GN22 GN28 4J002 CM041 DA036 FD116 GQ01 GQ02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の第一〜第三の各工程が順次行われてな
    ることを特徴とするポリイミド系多層無端管状フイルム
    の製造方法。 (A)ポリアミド酸と有機溶媒とを含有する実質的電気
    絶縁性ポリアミド酸溶液又はポリアミド酸と導電性カー
    ボンブラック粉体と有機溶媒とを含有する半導電性ポリ
    アミド酸溶液を、回転する金属ドラムの内面に均一に供
    給し加熱して、該溶媒の一部を残存含有する実質的電気
    絶縁性又は半導電性のポリアミド酸無端管状フイルムに
    成形する第一工程、(B)前記第一工程により成形され
    た金属ドラムに付着支持されている実質的電気絶縁性又
    は半導電性のポリアミド酸無端管状フイルムの内面に、
    ポリアミド酸と導電性カーボンブラック粉体と有機溶媒
    とからなる溶液粘度1Pa・s以上のの半導電性ポリア
    ミド酸溶液又はポリアミド酸と有機溶媒とからなる溶液
    粘度1Pa・s以上の実質的電気絶縁性ポリアミド酸溶
    液を、実質的無遠心力の速度で回転する該ドラムの内面
    に噴霧状で均一に供給し加熱して、半導電性又は実質的
    電気絶縁性の無端管状のポリアミド酸を積層成形する第
    二工程、(C)前記第二工程で得られた積層ポリアミド
    酸無端管状フイルムを熱風加熱して残存有機溶媒の蒸発
    除去と共に、ポリアミド酸成分をイミド化して相当する
    ポリイミド系無端多層管状フイルムに変える第三工程。
  2. 【請求項2】前記第一工程における実質的電気絶縁性ポ
    リアミド酸溶液又は半導電性ポリアミド酸溶液の溶液粘
    度が1Pa・s以上で、そして回転する金属ドラムの内
    面に均一に供給するのが、実質的無遠心力の速度で回転
    する該ドラムの内面に噴霧状で均一に供給することであ
    る請求項1に記載のポリイミド系多層無端管状フイルム
    の製造方法。
  3. 【請求項3】前記第一工程における溶媒の一部残存含有
    量が、ポリアミド酸に対して20〜60重量%である請
    求項1又は2に記載のポリイミド系多層無端管状フイル
    ムの製造方法。
  4. 【請求項4】前記各層のポリアミド酸無端管状フイルム
    のポリアミド酸が、イミド化率40%以下の実質的未閉
    環の芳香族ポリイミドの前駆体よりなる請求項1〜3の
    いずれか1項に記載のポリイミド系多層無端管状フイル
    ムの製造方法。
  5. 【請求項5】前記各層における半導電性ポリイミド系樹
    脂の有する表面抵抗値が、10〜1015Ω/□であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミド系多
    層無端管状フイルムの製造方法。
  6. 【請求項6】全厚60〜100μmで、それが有する耐
    電圧が3kV以上である請求項1〜5いずれか1項に記
    載のポリイミド系多層無端管状フイルム。
  7. 【請求項7】カラー複写機の中間転写ベルトとしての請
    求項6に記載のポリイミド系多層無端管状フイルムの使
    用。
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