JP2002072703A - 半導電性ポリイミド系無端管状フイルム及びその使用 - Google Patents
半導電性ポリイミド系無端管状フイルム及びその使用Info
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Abstract
滑な裏表面を有する半導電性ポリイミド系無端管状フイ
ルムを提供すること 【解決手段】ポリアミド酸と導電性カーボンブラックと
pKb≧5の塩基性有機化合物とを主成分とする半導電
性ポリアミド酸溶液を金属製円筒体内で回転成形し加熱
してなる半導電性ポリイミド系無端管状フイルム。この
回転成形は例えば実質的無遠心力の回転速度下にある金
属性円筒体内に噴射状で供給して行われる。該フィルム
は体積抵抗値のバラツキが0.8桁以内で、且つ裏面に
鱗状及び/又は痘痕状模様を有していない平滑面でもっ
てなってもいる。該フイルムは例えばカラー複写機の中
間転写用ベルトすることでより一層高画質で長期間安定
してカラー複写ができる。
Description
系無端管状フイルムとその使用に関する。該フイルムは
極めて均一で、安定した電気抵抗特性と高い裏面(及び
表面)精度を有していることで、例えがカラー複写機の
中間転写用ベルトとして有効である。
に比較して耐熱性、機械的強度、耐薬品性等の特性にお
いて卓越していることから、これに導電性カーボンブラ
ック粉体を混合分散して成形して得た半導電性の無端管
状フイルムが、例えばカラー複写機の中間転写用のベル
トとして使用されていることについては良く知られてい
る。そして該無端管状フイルムの形に製造する手段が、
例えば遠心力を使う金属ドラムによる遠心成形法による
ことも知られている。
フイルムが、特にカラー複写機の中間転写用のベルトと
して使用される場合は、(前記特性は勿論であるが)特
に画質が重要視され、最近では如何にして原稿画像に近
い画質で、且つより長期間に渡って安定した状態で複写
することができるかが、唯一の研究課題になっていると
言っても過言ではない。
気抵抗と表面(顕像トナーが転写される面)性にあるも
のとして、これについての特許出願も多数なされてい
る。この特許出願に見られる技術は、混合分散する導電
性カーボンブラック粉体の特性を変えたもの、成形方法
を変えたものが多い。しかし、いずれの技術も最近のよ
り一層高い画質要求に対しては、満足されるレベルには
なっていないのが実状である。
討した。その結果、特に前記無端管状フイルムを前記遠
心成形法によって遠心成形して得る場合に、付与される
電気抵抗性と裏面の状態に影響しているが判明した。つ
まり電気抵抗性に関しては、特に該フイルムの横(幅)
方向(回転方向に対して)でバラツキが発生する傾向に
なり、常に全面均一な電気抵抗値をもって再現されない
ことであった。一方該フイルムの裏面状態に関しては、
薄い鱗模様が着いていたり、丸味の痘痕模様が着いてい
たりし、(それが若干は解消されてはいるが)表面にま
で達している。この模様に付いては、厚さのバラツキと
なって現れるようなものではないが、特にロングランで
の複写において後半画質が徐々に悪くなると言うもので
あった。本発明は、この電気抵抗性の横バラツキと裏面
の異常模様を一挙に解決し、従来にない高画質を得るべ
き手段について鋭意検討した結果得られたものである。
それは次の手段によるものである。
項1、好ましくは請求項2に記載する方法をもってなる
半導電性ポリイミド系無端管状フイルム(以下半導電性
PIフイルムと呼ぶ)である。つまり請求項1の半導電
性PIフイルムは、ポリアミド酸(以下PA酸と呼ぶ)
と導電性カーボンブラック(以下CB粉体と呼ぶ)とp
Kb≧5の塩基性有機化合物とを主成分とする半導電性
ポリアミド酸溶液(以下成形原液と呼ぶ)を金属製円筒
体(以下金属ドラムと呼ぶ)内で回転成形し加熱してな
るものである(以下回転成形と呼ぶ)。
請求項1で特定した回転成形を、特に実質的無遠心力の
回転速度下にある金属ドラム内で噴霧状で供給・成形し
加熱してなるもので、より優れた該フイルムとして提供
するものである。
又は2で記載する半導電性PA酸溶液の主成分であるP
A酸、CB粉体及びpKb≧5の塩基性有機化合物の組
成比及びpKb≧5の塩基性有機化合物について、好ま
しい形態で提供するものである。
ムを電気抵抗値(体積)と裏面の状態とをもって更に特
定し提供している。
フイルムの用途に関し提供する。以上本発明は、7つの
発明をもって提供するが、これらについて次の実施形態
でより詳細に説明する。
は、これは一般に知られているように、芳香族基が2つ
のイミド基に結合されて、これが反復単位となって高分
子(少なくともフイルムとして使用できる高分子量体)
化している芳香族ポリイミド(PI樹脂)の前駆体、芳
香族基が1つのイミド基とアミド基に結合されてこれが
反復単位となって同様に高分子量化している芳香族ポリ
アミドイミド(PAI樹脂)の前駆体を言う。ここで特
に前駆体であるのは、後記する有機極性溶媒に対してよ
り一層高濃度で溶解し、より優れたCB粉体の混合分散
の下で、より円滑に金属ドラムによる回転成形ができる
からである。従って該前駆体が閉環してイミド化してい
るもでは、この作用効果に欠けるので対象外となるが、
しかし完全PA酸でなくとも、この作用効果に実質的影
響がでない範囲であれば、ある程度のイミド化PA酸で
あっても良い。
て各々PI樹脂又はPAI樹脂に変化するが、これを合
成する出発原料の種類によって、熱的性質が熱硬化性と
熱可塑性とに変わる。特にこれはPI樹脂に顕著に現れ
る。従って本発明に係わる半導電性PIフイルムの特性
も異なっていて、その特性に適した使われ方がなされ
る。中でもより高い耐熱性、より高い機械的性質、より
高い耐薬品性をもってなるものは熱硬化性PI樹脂であ
り、従って前駆体として好ましく選ばれるのは、該ポリ
イミドの前駆体である。これによる、半導電性熱硬化P
Iフイルムは、後述するカラー複写機の中間転写用ベル
トとしての使用により有効である。尚、各々の該前駆体
の合成は、一般に行われている有機極性溶媒中での常温
以下での重縮合によって得られるが、その他特に制限条
件はない。
るために、本発明では特にCB粉体が選択される。一般
に半導電性付与剤には、CB粉体以外に多数知られてい
る。しかし、PA酸との親和性(混合分散性)、そし
て、特に回転成形法によって得られる半導電性PIフイ
ル中でのより良好な分散状態(可能な限り均一であるの
がよい)と、より少量の使用で所望する電気抵抗値が容
易に得られることと、そしてその抵抗値も安定維持でき
る等の点から総合判断してCB粉体が最も優れている。
これがCB粉体を選択した理由である。
ス、アセチレンガス、コールタール等)と製造条件(燃
焼条件)とによって種々の物性(電気抵抗、揮発分、比
表面積、粒径、pH値、DBP吸油量等)を有したもの
がある。可能なかぎり少量の混合分散でもって、より所
望する電気抵抗値(半導電性)が安定して得られるよう
なものを選ぶのがよい。例えばストラクチャーの発達し
た導電指標の高いものとか(これはアセチレンガスを原
料として製造して得たCB粉体に多い)、或いは導電指
標はあまり高くないが(pH値を低くするような)、揮
発分を多く含有するもの等適当なパラメターでもって選
択する。
b≧5を選択して、これが組成される。これは次のよう
な理由による。一般に、CB粉体を含有するPA酸溶液
を遠心力下で回転成形して、無端の管状フイルムを製造
することは、他の成形手段よりも有効である。しかしな
がら、次のような問題点があり、より高品質・高性能の
要求には十分に満足されている方法ではない。その問題
点は、前記課題として提起するように、該フイルムの有
する電気抵抗値の、特に横(幅)方向のバラツキの出易
さと、該フイルムの裏面(金属ドラム面に対して反対側
の内側に相当)に薄い鱗模様とか、丸状の痘痕模様が着
き易いことである。これも常に同じバラツキ、該模様で
もって再現されなくて、実質的にこれ等問題のない場合
もあれば、かなりはっきりした差で発生する場合もある
と言うことである。これは生産管理上も極めて不都合な
ことでもある。この2つの問題点の解決が、特に該塩基
性有機化合物の組成によって一挙になされたと言うもの
である。
のどの様な作用機構でもって行われるかは定かでない。
しかし一般に知られているように、PA酸をイミド化す
る際に塩基性有機化合物が脱水剤(例えば無水酢酸)と
共に添加され、その反応(分子内脱水)を促進すると言
う触媒作用によるものではないことは推定される。それ
は次の理由による。つまり前記2つの問題現象は、イミ
ド化の前工程である回転成形により成形・加熱して得る
(自己支持性のある)半導電性のPA酸無端管状フイル
ムの段階から発生し、それがほぼそのままで終局の半導
電性PIフイルムに持ち込まれている。ところが本発明
の該塩基性有機化合物の存在下では、この前段階の半導
電のPA酸無端管状フイルムの段階、つまりイミド化反
応は実質的に行われずに得られる該フイルムの段階で、
これらの問題現象は解消され、以後発生するようなこと
はないと言うことからである。又、仮に該脱水剤も併用
されると、逆に前記2つの問題現象が余計に助長されて
大きくなること。更に(後記の実施例からも判るよう
に)、特にイミド化がより低い温度で行われるようなこ
ともないこと。以上のことから考えて、本発明に使用す
る該塩基性有機化合物は、イミド化における化学的触媒
作用とは異なることが考えられる。つまり異質の作用が
働くことによる結果と考えられる(例えばPA酸とCB
粉体と有機極性溶媒との間に生じている親和挙動を物理
化学的に変える作用)。
PA酸に変えて他の樹脂に置換するとか、CB粉体に変
えて他の導電粉体に置換するとか、5よりも小さいpK
bの塩基性有機化合物に変えるとかしても、前記問題現
象そのものが発生しない系もあれば、発生してもこの問
題は解決されない。つまり、これは本発明に係わる系で
のみの唯一のもので、有機極性溶媒を含め3成分と回転
成形法との不可避的結合によって達成されると言えるも
のである。
た理由は前記の通りであるが、このものについて詳細に
説明する。まずpKbなるものは、塩基性の有機化合物
の電離的解離度を示す電離指数であり、これはその化合
物の有する電離定数Kbの逆数の対数値として求められ
る。この数値は最大14までであり、大きい程塩基性と
しての作用は小さくなる。本発明では、まず塩基性の有
機化合物に特定されるが、本発明に言う前記問題が同等
に効率的に解決されるわけではなく、更に弱塩基性サイ
ド、これをpKbで示せば5以上、好ましくは5.5以
上、好ましくは6以上の該化合物群に限られるのであ
る。ここで下限を5とするのは、これより小さい、つま
りより塩基性の強い有機化合物では、前記2つの問題現
象、中でも横方向の電気抵抗値のバラツキの方が強く発
生する傾向に走るからである。上限については、少なく
とも塩基性を示す必要があるので、14よりも小さいも
のと言うことになるが、しかし余りにも14に近いもの
では、該問題現象中でも前記裏面の異常模様に対しての
改善効果が小さくなる。このことから上限は12以下、
好ましくは11以下、更には10以下のものであるのが
良い。
的に例示すると、次の通りである。アニリン、N―メチ
ルアニリン、N,N´―ジメチルアニリン、o,m,p
位のいずれかのメチル置換アニリン、o,m,p位のい
ずれかのヒドロキシ置換アニリン等のアニリン系化合物
に代表される1〜3級の芳香族アミン類。ピリジン、
2,3,4位のいずれかのメチル置換ピリジン、ベンゾ
ピリジン、iso−ベンゾピリジン等のピリジン系化合
物に代表されるヘテロ窒素原子1個を含む6員環芳香族
複素環化合物類。ピリダジン,ピリミジン,ピラジン又
はこれらのメチル置換体等に代表されるヘテロ窒素原子
2個を含む6員環芳香族複素環化合物類。ピロール,2
〜3位置換メチルピロール,iso−ピロール等に代表
されるヘテロ窒素原子1個を含む5員環芳香族複素環化
合物類。2−イミダゾリン,3−イミダゾリン,4−イ
ミダゾリン,ピラゾール,イミダゾール,2−メチルイ
ミダゾール,1,2−ジメチルイミダゾール,2−メチ
ル−4−メチルイミダゾール,2−エチル−4−エチル
イミダゾール,2−フェニルイミダゾール等のイミダゾ
ール(イミダゾリンゾール)系化合物等に代表されるヘ
テロ窒素原子2個を含む5員環芳香族複素環化合物類が
挙げられる。
bが6〜10の範囲にあるヘテロ窒素原子1個を含む6
員環芳香族複素環化合物類又はヘテロ窒素原子2個を含
む5員環芳香族複素環化合物類の中から適宜選択して使
用するのが好ましい。更に好ましいのは、pKbが6〜
9のヘテロ窒素原子2個を含む5員環芳香族複素環化合
物類である。尚、該化合物は、一般にはいずれか一種類
のみで組成されるが、複数であっても良い。
の塩基性有機化合物とを主成分とするPA酸溶液につい
て説明する。該主成分の組成比は、まず半導電性を有
し、且つ無端管状フイルムとしての基本機能(機械的性
質)を保持することを前提で、PA酸とCB粉体との組
成比が決められるが、それはPA酸の約75〜97重量
%、好ましくは80〜95重量と約25〜3重量%、好
ましくは20〜5重量によって達成される。これにより
最終的に得られる半導電性PIフイルムは、体積抵抗値
で101〜1014Ω・cm(表面抵抗値では103〜
1014Ω/□)を発現し、基本機能にも実質的変化も
ないものとなる。そして前記2つの課題を解決するため
の該塩基性有機化合物は、マトリックス樹脂であるPA
酸に対して添加することで良く、その量は0.4〜4.
0重量%、好ましくは0.5〜3.5重量%、更には
0.6〜3.0重量%である。これは0.4重量%未満
では、実質的な改良効果が現れず、逆に4.0重量%を
超えると(改良は行われるが)、該フイルムの強度の点
で下降傾向になることによる。
用で溶液状で保たれるが、これは回転成形を行うために
必要であるからである。該溶媒量は、主としてPA酸の
完全な溶解とこの回転成形を円滑に行うのに必要な溶液
粘度とから決まる。この量は実験的に決められるが、一
般的には、PA酸に対して約300〜500重量%であ
る。尚、該溶媒としては、一般にPA酸の溶媒として知
られているものが使用される。例えばN−メチル−2−
ピロリドン(NMPと略す)、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホン等の非プロトン性の極性化合物である。
り液状に調製され、回転成形に供せられるが、その調製
の一般的手順は次の通りである。まずPA酸を合成する
ために、その出発原料(例えばPAI樹脂の場合は芳香
族トリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの当量、P
I樹脂の場合は芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香
族ジアミンとの当量)を、該溶媒中で常温以下(以上で
は溶解に困難をきたす、イミド化反応も起こる)の低温
で重縮合反応する。重縮合したPA酸(固形分)は、所
定の溶液粘度をもって溶液状で得られるが、該粘度の調
整が必要であるに場合は、該溶媒を追加して溶解希釈す
れば良い。
B粉体を添加して、まず羽根付きハイミキサーで予備的
混合を行い、最後にボールミルで本格的に混合分散す
る。この混合分散の際に、例えば分散性を良くする添加
剤(例えばフッ素系の界面活性剤)とか、ある種の特性
を、更に付加するための添加剤を添加しても良い。次
に、このCB粉体含有PA酸溶液に、所定の前記塩基性
有機化合物を攪拌しながら添加して溶解混合する。以上
で所望する回転成形用の成形原液(半導電性PA酸溶
液)が調製される。尚、本調製手順において、CB粉体
を添加する前に該塩基性有機化合物を添加しても良い。
導電性のPIフイルムについて説明する。まずここで回
転成形における回転の意味は、金属ドラム内に液状で供
給された成形原液が遠心力によって内面均一に流延され
る場合の高速回転と、他の手段を付加することで、実質
的無遠心力下で成形原液を噴霧状で供給して成形する場
合の低速回転である。一般に知られているのは、前者の
遠心力の働く高速回転下での成形、つまり遠心注形法で
ある。勿論本発明の場合も、この遠心注形法によっても
前記効果をもって同様に2つの課題が解決される。しか
し、一方では特に該PIフイルム中のCB粉体の分散状
態に関し、どうしても該フイルム表面に多く偏在する分
散傾向になる。この偏在分散傾向は、場合(用途)によ
っては好ましいこともあるが、電気抵抗の均一性を必要
とする用途には好ましいことではない。ところが、この
従来の遠心注形法に替えて、後者の実質的無遠心力の回
転下での噴霧状成形を行うと、(新たな手段の一つとし
て、請求項2でも提供するように)この偏在分散傾向は
全くなく、全体分散状態をとることができる。尚、一般
の該遠心注形法に関しては、一般的成形条件で行われる
ので、ここでは請求項2に記載する回転成形法を中心に
以下に説明する。
形法に比べて、次のよう点で有効である。 ◎半導電性PIフイルム中に分散するCB粉体は、(表
面に多く偏在するようなことは全くなく)均一分散状態
をとる。 ◎より高い濃度の成形原液が使えるので、製造時間がよ
り短縮される。 ◎より大口径の無端管状フイルムでも、高精度でもって
容易に製造するができる等である。
ては、概略次のような機構によりなるものを例示するこ
とができる。
ーラ上に(着脱自在に)載置される。該ドラムは、該ロ
ーラの回転によって間接回転する機構を採る。そして該
ドラム内を加熱するための加熱源(例えば遠赤外線)が
外側上部に設けられている。ここで該ローラ内にも加熱
源が設けられ、該ドラムの補助的加熱を行う。そして、
該ドラム内には左右動と挿脱自在機構を有してなる成形
原液吐出用スリット状ノズルが設けられるが、このノズ
ルにはこの吐出口を挟んで圧空供給ノズルも合体して設
けられている。これは成形原液を噴霧化して金属ドラム
に供給するためである。ここで該ノズルの出口幅(スリ
ット幅)は、約0.2〜3mm、長さは約10〜100
mmと言ったところである。そして、少なくとも該ドラ
ムの全体は排気フアンを持った筐体で囲まれるようにな
っていて、回転成形中に加熱蒸発される有機溶媒を速や
かに系外に除去するようにされている。勿論、成形原液
は一回で全面均一に供給されて、且つ所望するフイルム
厚さが自由に得られるように、成形原液の供給量と該ド
ラムの回転速度と該ノズルの左動又は右動の速度とが自
動的に制御されるようにコンピューターが組み込まれて
もいる。
フイルムを製造する場合の手順について説明する。まず
前記ノズルが、金属ドラムの内右端の上位置に30〜5
0mm程度離して配置される。そして該ドラムは、コン
ピューター制御された所定の回転速度(勿論遠心力の作
用しない角速度、例えば4〜6rad/s程度の低速度
で回転を始める。そして、(若干時差をおいて)所定量
の成形原液の噴霧状供給と共に、該ノズルの右端から左
端への移動がコンピューター制御下でスタートする。右
端から左端への供給が終わったら直ちに噴射供給を停止
し、該ノズルは一旦原位置に自動復帰させ、更に後退さ
せて系外に出す。
囲み、前記加熱源による加熱をスタートし、該ドラム内
を所定温度に保つ。この加熱の開始と共に、前記筐体の
排気フアンの稼働もスタートする。この時の回転速度
は、当初の速度と同じである場合と、更に若干速く又は
遅く(勿論無遠心力下の速度で、一般には前記最初の速
度の0.5〜3倍程度)する場合がある。ここでの加熱
条件は基本的には、有機溶媒の蒸発温度よりも高いが、
イミド化温度よりも低い温度(一般に130〜200
℃)とする。これはここで有機極性溶媒の全てが除去さ
れ、且つイミド化も行われてしまうと、得られる半導電
性PIフイルム中に気泡が内在したり、場合によっては
フイルム強度の低下を招くようなこともあるからであ
る。従って、ここでは該溶媒のある程度が蒸発除去さ
れ、少なくと自己支持性を有する半導電性PA酸フイル
ムになる迄、加熱(時間は2時間前後)して一旦終わる
のがよい。ここでの回転・加熱が終了したら、加熱を停
止して常温にまで冷却し最後に回転を停止する。
は、残存する有機極性溶媒の実質的完全除去とイミド化
のために更に加熱処理を行うが、これには次の二方法が
ある。この加熱方法で、ある程度の率で加熱収縮を起こ
すもの(例えば3〜8%程度)はA法で行うのが良い。 (A法)・・金属ドラム内周面に付着している該フイル
ムを剥離し、これを別設の中空管状金型(該ポリアミド
酸無端管状フイルムの内径よりも若干小さ目の外径)に
嵌挿して、これを熱風乾燥機の中で熱風加熱する。 (B法)・・金属ドラム内周面に付着のままで、この全
体を熱風乾燥機に投入して熱風加熱する。ここでの熱風
加熱温度は、いずれの方法も常温から徐々に昇温して2
50〜450℃を上限とし、この温度で約40〜80分
間加熱する。
イルム、熱可塑性又は熱硬化性のPIフイルムは、いず
れもその裏面(従ってその表面にも)に鱗状及び/又は
痘痕状模様は全くなく平滑面を有し、しかも体積抵抗値
のバラツキは、どの位置をとって見てもほぼ0.8桁以
内、更には0.6桁以内の高精度にある。これは新たに
高品質・高機能を持った該フイルムが創出されたことに
なり、より一層有効活用されるようになるが、取り分け
請求項7でも提供するように、カラー複写機の中間転写
用ベルトとして使用は、より一層の高画質で長期安定し
て複写できるようになったと言うものである。尚、該フ
イルムがこの中間転写用ベルトとして使用される場合
は、既に確立されている機構の中で単に置き換えられれ
ば良いので、装置としての説明は割愛する。
る。尚、本例で言う体積抵抗値(Rv)、表面抵抗値
(Rs)及び鱗模様及び/又は痘痕模様は、得られた半
導電性PIフイルム(サンプル)につき次の測定器で測
定たしたものである。 ●Rv、Rs・・サンプルに付き、三菱化学株式会社製
の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブローブ”を使っ
て、その幅方向に等ピッチで5カ所と縦(周)方向に8
カ所を全体に渡って測定し、各々平均して幅方向と縦
(周)方向の測定値として示す。ここで各測定は100
V印加の下、10秒経過後に行う。 ●鱗模様及び/又は痘痕模様・・サンプルの裏・表面を
ビデオマイクロスコープで写し出し、50倍に拡大して
肉眼観察にてその有無を判断した。
酸溶液を次のようにして調製した。ビフエニルテトラカ
ルボン酸二無水物とp−フエニレンジアミンとの当モル
量をNMP溶媒中、20℃で重縮合反応させて、固形分
濃度15重量%の芳香族PA酸溶液4kgを得た(溶液
粘度は2.0Pa・s)。そしてこの2kgを採取し
て、これに48gのCB粉体(10−1Ω・cm)(固
形分の該PA酸との組成比13.8重量%)添加し、ま
ず羽根付きの攪拌機で予備的混合し、次にボールミルに
移し換えて更に混合した。次に,この混合液にpKb=
6.3の2−フェニルイミダゾールを2.1g(該PA
酸に対して0.67重量%)を添加し、羽根付きの攪拌
機で攪拌しながら混合・溶解した。
条件で無遠心力下での回転成形を行った。ここで使用し
た製造装置と製造手順は、前記本文中の記載に基づく
が、詳細は次の通りであった。
=0.6μm)、両端開口の幅500mm、内径320
mmのステンレス製円筒体、 ◎スリット状ノズル(ヘッド)・・吐出口幅1.0m
m、長さ70mmのノズル。
金属ドラム内右端に該ドラム面から40mm離してセッ
トしたら、4rad/sの角速度でゆっくりと回転を始
めた。この回転の10秒後に、左方向移動速度4.0m
m/秒に制御された該ノズル(この速度は終始一定)か
ら噴霧量140g/分で移動しつつ噴射を開始した。移
動・噴射開始後106秒経過したら、該ノズルからの噴
射は停止し、直ちに原位置に復帰させると共に、一旦系
外に取り出した。
ムを筐体で囲い加熱を開始した。加熱条件は、まず60
分を要して150℃(該ドラム内温度)まで昇温し、ま
ずその温度で90分間加熱した。この加熱の間は、筐体
に付設された排気フアンによって蒸発する有機溶媒は、
積極的に系外に排出除去されている。該加熱が終了した
ら、加熱を停止し常温に冷却し回転を停止した。これに
より含有する有機極性溶媒の80%は除去され、しっか
りした自己支持性のある半導電性PA酸無端管状フイル
ムに成形された。ここで該フイルムの裏面を観察したが
鱗模様とか、痘痕模様のようなものは全く観察されず、
平滑面を有していた。
端管状フイルムを金属ドラムから剥がして、これを別設
の中空円筒金属金型(外径310mm、長さ400m
m)に外嵌して、これを熱風乾燥機に投入し熱風加熱し
た。ここでの加熱は、まず100分間要して450℃ま
で昇温し、その温度で40分間加熱した。そして冷却し
て両端を均等に50mmずつトリミングして嵌脱した。
ムの幅は400mm、内径309mmであり、更にこの
両端を25mmずつトリミングし、幅350mmに仕上
げた。このフイルムの厚さは全幅、全周長に渡って(横
15×縦50カ所の合計750カ所で測定)70±4μ
mであり、裏面は勿論表面にも鱗模様とか、痘痕模様は
一切ない極めて平滑性の高いものであった。更に幅方向
のRvは、(1.5±0.5)×1010Ω・cm(R
sで3.2±1×1011Ω/□)であり、縦(周)方
向のRvは、(1.5±0.4)×1010Ω・cm
(Rsで3.2±0.9×1011Ω/□)であった。
裏表面とも極めて高い平滑面で、且つ全面に渡ってバラ
ツキのない、極めて均一な電気抵抗値でもって半導電性
が付与されていることが判る。
二無水物と4,4´−ジアミジフエニルエーテルとの当
モル量をNMP溶媒中、20℃で重縮合反応させて、固
形分濃度15重量%の芳香族PA酸溶液4kgを得た
(溶液粘度は2.0Pa・s)。そしてこの2kgを採
取して、これに48gのCB粉体(10−1Ω・cm)
(固形分の該PA酸との組成比13.8重量%)添加
し、まず羽根付きの攪拌機で予備的混合し、次にボール
ミルに移し換えて更に混合した。次にこの混合液にpK
b=8.3の2−エチル−4−メチルイミダゾールを
4.3g(該PA酸に対して1.43重量%)、羽根付
きの攪拌機で攪拌しながら添加し、成形原液の半導電性
PA酸溶液を得た。
条件で無遠心力下での回転成形を行った。尚、ここで使
用した製造装置と製造手順は、次の条件を除き実施例1
と同じであった。 <製造装置> ◎金属ドラム・・内径310mm。 <製造手順>金属ドラムの角速度=5rad/s,噴霧
量=180g/分,該角速度下での、金属ドラムの加熱
条件=60分間を要して160℃まで昇温し、その温度
で90分間加熱。これにより得られた半導電性PA酸無
端管状フイルムは、金属ドラム面にしっかりした自己支
持性をもって付着していた。
ローラから外して、これをそのまま熱風乾燥機に投入し
て熱風加熱した。ここでの加熱は、まず60分間要して
300℃まで昇温し、その温度で60分間加熱した。そ
して冷却して該ドラムから剥離し、両端を均等に75m
mずつトリミングした。
ム(内径309mm、幅350mm)の厚さは、全幅、
全周長に渡って(横15×縦50カ所の合計750カ所
で測定)90±5μmであり、また裏面には(勿論表面
も)鱗模様とか、痘痕模様は一切ない極めて平滑性の高
いものであった。更に横方向のRvは、(1.6±0.
4)×1010Ω・cm(Rsで4.5±1×1011
Ω/□)であり、縦(周)方向のRvは、(1.7±
0.3)×1010Ω・cm(Rsで4.5±0.8×
1011Ω/□)であった。
ニルイミダゾールの2.1gに替えて、pKb=8.9
のピリジンを6.3g(PA酸に対して2.1重量%)
を使用する以外は、同一条件にて成形原液の調製から回
転成形及びイミド化を行った。
(内径309.4mm、幅350mm)の厚さは全幅、
全周長に渡って(横15×縦50カ所の合計750カ所
で測定)71±5μmであり、また裏面には(勿論表面
も)鱗模様とか、痘痕模様も一切なく、極めて平滑性の
高いものであった。更に横方向のRvは、(1.6±
0.5)×1010Ω・cm(Rsで3.3±0.8×
1011Ω/□)であり、縦(周)方向のRvは、
(1.7±0.5)×1010Ω・cm(Rsで3.5
±0.7×1011Ω/□)であった。
ニルイミダゾールの2.1gに替えて、pKb=9.5
のベンゾピリジンを8.4g(PA酸に対して2.8重
量%)を使用する以外は、同一条件にて成形原液の調製
から回転成形及びイミド化を行った。
(内径308.8mm、幅350mm)の厚さは,全
幅、全周長に渡って(横15×縦50カ所の合計750
カ所で測定)74±3μmであり、裏面には(勿論表面
も)鱗模様とか、痘痕模様も一切なく、極めて平滑性の
高いものであった。更に幅方向のRvは、(1.5±
0.9)×1010Ω・cm(Rsで3.1±0.6×
1011Ω/□)であり、縦(周)方向のRvは、
(1.6±0.3)×1010Ω・cm(Rsで3.2
±0.5×1011Ω/□)であった。
ない例) 実施例1において、2−フエニルイミダゾールを使用し
ない以外は同一条件にて成形原液の調製から回転成形及
びイミド化を行った。
ム(幅350mm、内径309.3mm)は、厚さは、
全幅、全周長に渡って(横15×縦50カ所の合計75
0カ所で測定)71±7μmであった。又、裏面を入念
に観察すると薄い痘痕模様が全面に見られ、その模様は
更に薄いが表面にも見られた。更に幅方向のRvを測定
すると、(3±2)×1010Ω・cmで、縦(周)方
向のRvは(2.7±0.7)×1010Ω・cmであ
った。実施例1と比較して、特に裏表面の模様と幅方向
の電気抵抗値に差が見られることが判る。
機化合物を使用した例) 実施例2において、2−エチル−4−メチルイミダゾー
ルの変わりに、pKb=3.3のトリブチルアミンを使
用する以外は、同一条件にて成形原液の調製から回転成
形及びイミド化を行った。
ム(幅350mm、内径310.2mm)の厚さは、全
幅、全周長に渡って(横15カ所、縦50カ所で測定)
89±9μmであった。又、該フイルムの裏面を観察す
ると、薄い模様ではあるが鱗模様を主体に所々に痘痕模
様が観察され、これが表面にも見られ、更に若干表面が
荒れ気味でもあった。更に、幅方向のRvを測定すると
5.0×109〜2.5×1010Ω・cm(Rsは
8.5×109〜1.5×1011Ω/□)であり、縦
(周)方向のRvは、8.7×109〜1.1×10
10Ω・cm(Rsでは5.5×1010〜1.5×1
011Ω/□)であった。比較例1よりも、更に悪化し
ているが、これは前記実施例とは異質の作用をしたこと
によると考えられる。
で、次のような効果を奏する。
リイミド系無端管状フイルムに関しては、その半導電性
(電気抵抗)が特に横(幅)方向に対してバラツキが出
やすかったことと、裏面(表面)の状態が良くなかった
が(鱗模様、痘痕模様)、これが本発明により一挙に解
決され、極めて品質・性能に優れた該フイルムが得られ
るようになった。
無端管状フイルムは、既存の用途に対してはより優れた
ものとして置き換えられ、別途新たな用途への展開も容
易になる。例えばカラー複写機の中間転写用ベルトとし
て使用することで、より一層高画質で、且つより長期間
に渡って安定した画質でカラー複写ができるようになっ
た。
Claims (7)
- 【請求項1】 ポリアミド酸と導電性カーボンブラック
とpKb≧5の塩基性有機化合物とを主成分とする半導
電性ポリアミド酸溶液を金属製円筒体内で回転成形し加
熱してなる半導電性ポリイミド系無端管状フイルム。 - 【請求項2】 ポリアミド酸と導電性カーボンブラック
とpKb≧5の塩基性有機化合物とを主成分とする半導
電性ポリアミド酸溶液を実質的無遠心力の回転速度下に
ある金属製円筒体内に噴霧状で供給・成形し加熱してな
る請求項1に記載の半導電性ポリイミド系無端管状フイ
ルム。 - 【請求項3】 前記半導電性ポリアミド酸溶液が、80
〜95重量%のポリアミド酸と20〜5重量%の導電性
カーボンブラックと該ポリアミド酸に対して0.4〜
4.0重量%のpKb≧5の塩基性有機化合物と有機極
性溶媒とをもってなる請求項1又は2に記載の半導電性
ポリイミド系無端管状フイルム。 - 【請求項4】 前記ポリアミド酸が熱硬化性ポリイミド
の前駆体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の半
導電性ポリイミド系無端管状フイルム。 - 【請求項5】 前記pKb≧5の塩基性有機化合物が、
pKbが6〜10のヘテロ窒素原子1個を含む6員環芳
香族複素環化合物又はヘテロ窒素原子2個を含む5員環
芳香族複素環化合物である請求項1〜4のいずれか1項
に記載の半導電性ポリイミド系無端管状フイルム。 - 【請求項6】 体積抵抗値のバラツキが0.8桁以内
で、且つ裏面に鱗状及び/又は痘痕状模様を有していな
い平滑面でもってなる請求項1〜5のいずれか1項に記
載の半導電性ポリイミド系無端管状フイルム。 - 【請求項7】 カラー複写機の中間転写用ベルトとして
の請求項3に記載の半導電性ポリイミド系無端管状フイ
ルムの使用。
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Cited By (3)
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WO2008035647A1 (fr) * | 2006-09-19 | 2008-03-27 | Gunze Limited | Composition de solution d'acide polyamique au noir de carbone dispersé, et procédé de fabrication d'une courroie de résine de polyimide semi-conductrice |
JP2008291264A (ja) * | 2008-06-23 | 2008-12-04 | Gunze Ltd | 半導電性ポリイミド系無端管状フイルムの製造方法 |
JP2010139925A (ja) * | 2008-12-15 | 2010-06-24 | Nitto Denko Corp | ポリイミド樹脂製ベルト及びその製造方法 |
-
2000
- 2000-08-29 JP JP2000258434A patent/JP4238959B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US8303852B2 (en) | 2006-09-19 | 2012-11-06 | Gunze Limited | Carbon black-dispersed polyamic acid solution composition, and process for producing semiconductive polyimide resin belt therewith |
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