JP2002086599A - ポリイミド系多層無端管状フイルムとその製造方法及びその使用 - Google Patents
ポリイミド系多層無端管状フイルムとその製造方法及びその使用Info
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Abstract
ド系多層無端管状フイルム、その製造方法及びその使用
の提供。 【解決手段】導電性カーボンブラックにより付与された
半導電性ポリイミド層と実質的電気絶縁性ポリイミド層
からなるポリイミド系多層無端管状フイルムにおいて、
該実質的電気絶縁性ポリイミド層の有する線膨張係数
が、該半導電性ポリイミド層の有する線膨張係数に対し
て0.8〜1.3倍であることを特徴とするポリイミド
系多層無端管状フイルム。該フイルムは金属ドラムを使
って無遠心噴霧成形により効果的に製造される。カラー
複写機の中間転写ベルトとして有効に使用される。
Description
マトリックとする半導電層と電気絶縁層とからなるポリ
イミド系多層無端管状フイルムの湾曲を改善し、合わせ
て安定した電気抵抗性と高絶縁耐力(耐電圧性)を有し
たポリイミド系多層無端管状フイルムとその製造方法及
びその使用に関し提供するものである。その使用の一例
としてカラー複写機の中間転写ベルトが有効である。
ト)については、次のような事が知られている。 (D)導電性カーボンブラックにより付与したポリイミ
ド半導電層(内面層)を内層とし、外層(表面層)とし
てフッ素系樹脂を積層して電気絶縁層(誘電層)とした
該フイルム。 (E)導電性カーボンブラックにより付与したポリイミ
ド半導電層を内層又は外層(表面)とし、これにポリイ
ミド電気絶縁層(誘電層)を外層又は内層として積層し
た該フイルム(例えば本件特許出願人による特開平07
−156287号公報、特開平11−235765号公
報)。そして(D)の製造方法としては、まず半導電性
ポリアミド酸溶液を既知の遠心成形法等で成形・加熱し
て半導電性ポリイミド(半導電層)の該フイルムを得
る。そしてこのフイルムの表面にエマルジョン状フッ素
系樹脂をスプレー塗布し焼き付けるとか、予め成形され
た無端管状フッ素系樹脂を該半導電層に嵌着して、各々
表面層を絶縁層とする二層の該フイルムとするもので
あ。一方(E)の製造方法は、まず絶縁性又は半導電性
のポリアミド酸溶液を既知の遠心成形法等により相当す
る一層を成形し、次にその一層の内面に半導電性又は絶
縁性のポリアミド酸溶液を同様に遠心成形法により成形
する。そして最後に完全脱溶媒とイミド化のための加熱
を行って、相当する二層の該フイルムとするものであ
る。そしてこれら該フイルムは、例えばカラー複写機の
中間転写ベルトとして使用されることも知られている。
いる該フイルムは、(D)に記載する該フイルムに比較
して、表面耐摩耗性が卓越し、且つ層間剥離するような
危険性のないのが特長である。このことは、電気絶縁層
(誘電層)の有する静電容量に経時変化がないので常に
一定した電圧で帯電でき、且つ使用耐久性にも卓越して
いるものと言える。従って、最近では該(E)のフイル
ムに関心が向けられ、カラー複写機の中間転写ベルトへ
の使用検討が積極的に進められている。ところが、この
検討の中で新たに次のような問題のあることも判ってき
た。それは得られた該フイルムが、外側に又は内側に向
かって湾曲している場合があること。実質的に湾曲して
いない場合でも、ベルトとして長時間使用すると徐々に
湾曲してくる場合があることである。この湾曲は、(程
度にもよるが)画像の乱れ(前記中間転写ベルトとして
使用の場合)とか、回転蛇行の原因になるので、製品品
質検査の点で重要である。その他に、特に積極的に電圧
を印加してポリイミド電気絶縁層を帯電させて使用する
場合(例えば前記中間転写ベルトとして使用する場
合)、より低電圧印加でも絶縁破壊し易い場合があるこ
と、つまり絶縁耐力に弱い面があることであった。
て検討した。その結果湾曲については半導電層と電気絶
縁層の有する熱的特性に、そして絶縁耐力については製
造の仕方に原因がありそうであることが判った。そこで
今度はこの原因を一挙に解決すべく鋭意検討した。その
結果前記請求項1と6とに記載する手段を見出し本発明
に到達したのである。
項1に記載するように、導電性カーボンブラックにより
付与された半導電性ポリイミド層と実質的電気絶縁性ポ
リイミド層からなるポリイミド系多層無端管状フイルム
において、該実質的電気絶縁性ポリイミド層の有する線
膨張係数が、該半導電性ポリイミド層の有する線膨張係
数に対して0.8〜1.3倍であることを特徴とするポ
リイミド系多層無端管状フイルムである。
に請求項2〜5も提供し好ましく解決をはかるものであ
る。
ミド系多層無端管状フイルムは、請求項6で提供する特
殊の製造方法によって最も効果的に得ることができる
が、その製造方法は、次の(A)〜(C)に記載の各工
程が順次行われてなることを特徴とするものである。 (A)ポリアミド酸と有機溶媒とを含有する実質的電気
絶縁性ポリアミド酸溶液又はポリアミド酸と導電性カー
ボンブラック粉体と有機溶媒とを含有する半導電性ポリ
アミド酸溶液を、実質的無遠心力の速度で回転する該ド
ラムの内面に噴霧状で均一に供給し加熱して、該溶媒の
一部を残存含有する実質的電気絶縁性又は半導電性のポ
リアミド酸無端管状フイルムに成形する第一工程、
(B)前記金属ドラム内面に成形された実質的電気絶縁
性又は半導電性のポリアミド酸無端管状フイルムの内面
に、ポリアミド酸と導電性カーボンブラック粉体と有機
溶媒とからなる半導電性ポリアミド酸溶液又はポリアミ
ド酸と有機溶媒とからなる実質的電気絶縁性ポリアミド
酸溶液を、実質的無遠心力の速度で回転する該ドラムの
内面に噴霧状で均一に供給し加熱して、半導電性又は実
質的電気絶縁性の無端管状のポリアミド酸を積層成形す
る第二工程、(C)前記第二工程で得られた積層ポリア
ミド酸無端管状フイルムを熱風加熱して残存有機溶媒の
蒸発除去と共に、ポリアミド酸成分をイミド化して相当
するポリイミド系無端多層管状フイルムに変える第三工
程。
て請求項7と8も提供し、好ましく解決をはかるのであ
る。
ルムの用途に関し、請求項9でカラー複写機の中間転写
ベルトとして有効に使用できることも提供するものであ
る。以下に本発明を次の実施形態で詳細に説明する。
端管状フイルム(以下単にMLフイルムと呼ぶ)は、導
電性カーボンブラック(以下CB粉体)により付与され
た半導電性のポリイミドを半導電層(PI半導電層)と
し、そして(実質的にCB粉体等の導電剤を使用しな
い)実質的電気絶縁性にあるポリイミドを電気絶縁層
(PI絶縁層)を積層してなる。つまり基本的にはこの
二層により構成され、そして該半導電層と該電気絶縁層
の配置関係は特に限定されず、該半導電層が表面層とな
る場合もあれば、裏面層となる場合もあると言う構成を
採る。尚、該フイルムは基本的には二層であるが、該両
層の間に更に同様層を交互に積層するようなことを排除
するものではない。
るが、本発明では単にPI半導電層とPI絶縁層とで構
成するのではなくて、特に線膨張係数でもって特定し、
それでもって構成するものである。つまりその線膨張係
数は、該PI絶縁層の有する線膨張係数が、該PI半導
電層の有する線膨張係数に対して0.8〜1.3倍、好
ましくは0.9〜1.2倍、更には1〜1.1倍である
必要がある。このように特定された範囲で両層が構成さ
れることで、前記するMLフイルムの湾曲の問題は一挙
に解決されることになる。この範囲の意味は、両層の有
する線膨張係数が同一か、PI絶縁層の有する線膨張係
数が大きい場合は、PI半導電層のそれを小さくし、逆
にPI絶縁層の有する線膨張係数が小さい場合は、PI
半導電層のそれを大きくすることであるが、それも最小
0.8倍まで、最大1.3倍までとすることでのみ達成
される。つまりPI絶縁層の有する線膨張係数が、PI
半導電層のそれよりも大きく1.3倍を超えてしまって
も、又逆に小さく0.8倍未満になっても湾曲現象が発
生し、満足できる解決が得られない。
囲で解決されるが、更により効果的であるのは、請求項
2に記載する前記PI半導電層とPI絶縁層の各々の有
する線膨張係数が同桁数の中で異なり、それでもって前
記好ましく設定する0.9〜1.2倍、更に1〜1.1
倍の範囲にある場合である。つまり、例えばPI半導電
層の有する線膨張係数が1×10−5cm/cm/℃で
あれば,PI絶縁層のそれも同じ桁数をもって1〜1.
2×10−5cm/cm/℃の範囲にあると言うことで
ある。
うな線膨張関係にあるが、この線膨張を支配するのは、
得られたMLフイルムの分子配向の有無(程度)にもあ
るが、主体はポリイミド(PI)、つまりPI自身であ
る。これに付随してCB粉体もその混合分散により影響
し、PI自身の線膨張係数を若干下げる場合もあれば、
逆に上げる方向に作用する場合もある。
的にはPIを構成する分子構造により違いがでるが、ほ
ぼ全てのものが(1〜9.9×10-5)〜(1〜9.
9×10-6)cm/cm/℃の範囲にある。線膨張係
数が1〜9.9×10-5cm/cm/℃の範囲にある
ものは、一般に二次転移点を有するもので、約250〜
420℃程度のPI、そして1〜9.9×10-6cm
/cm/℃の範囲にあるものは、一般に二次転移点がよ
り高いか又は実質的にないもので、約470℃以上のP
Iである。つまり10-5cm/cm/℃桁のPIは、
比較的動きやすい分子構造を有するものに見られる。例
えばイミド基に結合する有機基(フエニル基、ビフエニ
ル基、フエニレン基)の2つ以上が−O−、−SO
2−、−CO2−、−(CH2)1〜3−等で繋がれて
いるPIグループに見られる。一方10-6cm/cm
/℃桁のPIは、動き難い硬直な分子構造を有するもの
に見られる。これは該−O−、−SO2−、−CO
2−、−(CH2)1〜3−等を有しない有機基(フエ
ニル基、ビフエニル基、フエニレン基)のみでイミド基
が繋がれているPIグループに見られる。
宜妥当なPIが選択され、各々の層のマトリックス樹脂
として使用される。例えば次のような場合が例示でき
る。それは請求項3に記載するもので、半導電層のPI
としては(1〜9.9×10-6)cm/cm/℃桁の
ものを、そして絶縁層のPIとしては(1〜9.9×1
0-5)cm/cm/℃桁のものを各々選ぶのが良い。
cm/cm/℃桁のPIと10-6cm/cm/℃桁の
PIの二種ブレンドポリイミドによっても10-5cm
/cm/℃オーダのPIにすることができる。両者の混
合比については、両者約5〜95重量%の間で適宜変え
れば良いが、この範囲にあっても次のようにするのがよ
い。つまり半導電層の線膨張係数が10-5cm/cm
/℃桁である場合は、10-6cm/cm/℃桁のPI
の混合率を少なくし、逆に半導電層の線膨張係数が10
-5cm/cm/℃桁である場合は、10-6cm/cm
/℃桁のPIの混合率を少なくする。
うに表面層がPI半導電層であっても、逆に裏面層であ
っても良いが、例えば前記する中間転写ベルトとして使
用する場合PI半導電層を表面層に、PI絶縁層を裏面
層に設定する(請求項5)と次の点で好ましい場合もあ
る。しかし、これはカラー複写機の機種(ユーザー)に
よっても異なり、必ずしもこれが良いと言うものでもな
い。その好ましい点は、表面層にCB粉体が分散存在し
ていることで、ベルト表面と(トナー)クリーニング部
材(例えばウレタン製ブレード)との間の静摩擦(又は
動摩擦)の度合いが適正に制御され、回転起動が円滑に
行われ易くなることと(起動電流が過度に負荷されな
い)、該ドラム上のトナー顕像の一次転移が忠実に行わ
れや易いと言うことからである。
(又は動摩擦)効果の点に関しては、裏面のPI絶縁層
に微細酸化ケイ素(例えば二酸化ケイ素)を分散存在さ
せると、ベルト裏面と回転ローラとの間の該摩擦も適正
に制御されるようになる。つまり表面はCB粉体によ
り、裏面は酸化ケイ素によって摩擦制御されることにな
り、より一層回転起動が円滑に行われるようになる。
尚、この摩擦制御手段については、特に表面層を物理
(物理化学)的に粗面化するとか、無機粉体(酸化ケイ
素、酸化チタン、炭酸カルシュウム、アルミナ等)、熱
硬化樹脂粉体等を混合分散して粗面化する方法が知られ
ている。本発明では特に表面をCB粉体で、裏面を酸化
ケイ素と言う組み合わせでも適正な摩擦制御が行えるよ
うにもなったことで、もう一つの特長が加わったと言え
る。
いて説明する。本製造方法については、一般に知られて
いる遠心成形法等でも製造できるので制限はないが、そ
の中でも請求項6で提供する製造方法における“実質的
無遠心力の速度で回転する該ドラムの内面に噴霧状で均
一に供給し加熱”(以下無遠心噴霧成形法と呼ぶ)は、
既知の遠心成形法に比較して次の点でより有効であるの
で、ここでは請求項7に記載する製造方法について説明
する。 ◎成形原液を高速回転して遠心力で流延塗布することは
ないので、被塗布面の状態(性質)にも関係なく円滑
に、且つ高厚み精度でもって迅速に塗布・積層できる。 ◎表面層と裏面層との層界面で両者が混ざり合うような
作用をしないので、PI絶縁層とPI半導電層との特性
が変化することなくそのまま形成される。 ◎形成層に微細気泡が入いるようなことはなく緻密層で
ある。この効果は絶縁耐力にも優れている作用に繋がっ
て発現するものと考えらる。 ◎特に無機系の添加剤を混合して成形する場合、該添加
剤が表面部分に偏在して分散するようなことは全くな
く、全体に均一に分散した状態で得られる。 ◎より高い溶液粘度の成形原液を使うのにより有効な成
形方法である。これは使用する有機溶媒量がより少量に
なるので、製造時間が大幅に短縮されることになる。 ◎無遠心(低速回転)であるので、金属ドラムの回転ブ
レの心配もないので、より大きい径の該ドラムが使用で
きる。つまりより大きい径の該フイルムが容易に製造で
きることになる。又厚み精度も極めて高くムラのより一
層の改善がはかれる。 以上の特長は、結局湾曲の解消作用にも寄与することに
繋がることになる。
程)から説明する。A1工程は、ポリアミド酸(以下P
A酸と呼ぶ)と有機溶媒とを含有する実質的電気絶縁性
ポリアミド酸溶液(電絶PA酸溶液1と呼ぶ)又はポリ
アミド酸とCB粉体と有機溶媒とを含有する半導電性ポ
リアミド酸溶液(以下半導電PA酸溶液1と呼ぶ)を、
実質的無遠心力の速度で回転する該ドラムの内面に噴霧
状で均一に供給し加熱して(以下無遠心噴霧成形法1と
呼ぶ)、該溶媒の一部を残存含有する実質的電気絶縁性
又は半導電性のポリアミド酸無端管状フイルム(以下電
絶PA酸管状フイルム又は半導電PA酸管状フイルムと
呼ぶ)に成形する工程である。
電PA酸溶液1のPA酸は、前記MLフイルムのマトリ
ックス樹脂であるポリイミド(PI)又はポリアミドイ
ミド樹脂(PAI)の前駆体であり、まずこのPA酸段
階で自己支持性のある、一部有機溶媒残存の無端管状フ
イルムに成形して後、完全脱溶媒とイミド化してMLフ
イルムとする二段階方式を採る。ここで各層をどの様な
線膨張係数にするかは、選ぶPI、つまりPA酸を合成
する出発原料の選択にある。それを具体的に例示すると
次の通りである。10-6cm/cm/℃桁のもので
は、例えばピロメリット酸二無水物又は3,3´,4,
4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フエ
ニレンジアミンとの重縮合反応によって得られるPA
酸、ピロメリット酸二無水物と4,4´−ジアミノジフ
ェニルメタンとの重縮合反応によって得られるPA酸等
である。一方10-5cm/cm/℃桁のものでは、例
えばピロメリット酸二無水物又は3,3´,4,4´−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4´−ジア
ミノジフェニルエーテルとの重縮合反応によって得られ
るPA酸、ピロメリット酸二無水物と4,4´−ビス
(3アミノフェノキシ)ビフェニルとの重縮合反応によ
って得られるPA酸、3,3´,4,4´−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物と4,4´−ジアミノジ
フェニルケトンとの重縮合反応によって得られるPA
酸、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物と4,4´−ジアミノジフェニルスルホン
との重縮合反応によって得られるPA酸、トリメリット
酸無水物と4,4´−ジアミノジフェニルエーテルとの
重縮合反応によって得られるPA酸(PAIの前駆体)
等である。
℃桁のPIは、10-5cm/cm/℃桁のPIと10
-6cm/cm/℃桁のPIの二種ブレンドポリイミド
のPA酸ても良いが、これは例えば前記する3,3´,
4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,
4´−ジアミノジフェニルエーテルとの重縮合反応によ
って得られるPA酸と3,3´,4,4´−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物とp−フエニレンジアミンの
重縮合反応によって得られるPA酸とのブレンドPA酸
が挙げられる。因みに前者のPA酸による線膨張係数は
4.1〜4.3×10-5cm/cm/℃、後者のそれ
は6〜7×10-6cm/cm/℃であり、この両者を
例えば前者10〜40重量%、後者90〜60重量%を
ブレンドして得られるPI絶縁層の有するで線膨張係数
は1.6〜2.0×10-5cm/cm/℃程度にな
る。
ようなものである。これにはその製造原料(天然ガス、
アセチレンガス、コールタール等)と製造条件(燃焼条
件)とによって種々の物性(電気抵抗、揮発分、比表面
積、粒径、pH値、DBP吸油量等)を有したものがあ
る。可能なかぎり少量の混合分散でもって、より低い電
気抵抗値が容易に得られるようなCB粉体、例えばスト
ラクチャーの発達した導電指標の高いものとか(これは
アセチレンガスを原料として製造して得たCB粉体に多
い)、或いは導電指標はあまり高くないが、pH値を低
くするような、揮発成分を多く含有するようなCB粉体
を選ぶのが良い。しかしながら、余りにも少量添加で、
より低い電気抵抗値が得られるようなCB粉体は、付与
される電気抵抗値にバラツキが発生し易い場合もあるの
で、その点事前に十分チェックして支障をきたさないよ
うに適正なCB粉体を選ぶのがよい。
させるものであるが、これは一般にPA酸の溶媒として
知られている、非プロトン性の有機極性化合物が例示で
きる。例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMPと略
す)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホン等である。
液1又は半導電PA酸溶液1が得られるが、その調製は
例えば次のような手順で行われる。まず電絶PA酸溶液
1の場合は、前記二種(三種でも良い)の出発原料を有
機溶媒中で重縮合反応して相当する高分子量PA酸の溶
液を得て、これを該溶液1とするのが良い。つまり前記
例示する2つの出発原料の当量を、該溶媒中で常温以下
(以上では溶解に困難をきたす、イミド化反応も起こ
る)の低温で重縮合反応する。重縮合したPA酸(固形
分)は、所定の溶液粘度をもって溶液状で得られる。こ
こで微細酸化ケイ素を含有させようと思えば、この得ら
れた溶液に所定量(一般にPA酸に対して1〜3重量%
でよい)添加し十分に攪拌混合しておけばよい。該粘度
の調整が必要である場合には、該溶媒を追加して溶解希
釈する。ここでのPA酸と有機溶媒との組成比は、後記
する無遠心噴霧成形との間で自ずから決まるが、この成
形法ではより高粘度溶液(1Pa・s以上、2〜7Pa
・s)の該溶液1が使用できるので(請求項7)、より
高いPA酸濃度とするのがよい。又該溶液1には、基本
的にはCB粉体は勿論、他の導電剤も混合されないが、
仮にPI半導電層の有する表面抵抗値が1012Ω/□
程度以下であれば、CB粉体を微量混合して1015Ω
/□程度に調製してこれをPI絶縁層としても良い。
尚、PA酸は基本的には閉環イミド基は有しないが、有
機溶媒に溶解する範囲以内であれば該イミド基を有する
PA酸であっても良い。
調製される。前記得られた電絶PA酸溶液1に所定のC
B粉体を添加して、まず羽根付きハイミキサーで予備的
混合を行い、最後にボールミルで本格的に混合分散す
る。この場合も該粘度の調整が必要であるに場合は、該
溶媒を追加して溶解希釈すれば良い。ここで該CB粉体
の混合量は、前記する該粉体の特性の差、所望する電気
抵抗値(ここでは表面抵抗値)によって変わる。例えば
表面抵抗値で103〜1015Ω/□の間での半導電性
を必要とする場合には、固形分(PA酸)に対して約5
〜25重量%である。そしてこの場合の有機溶媒量も、
後記する成形法の差によって異なる。つまり溶液粘度と
の関係で決まる。
は半導電PA酸溶液1は成形原液として次の無遠心噴霧
成形法に供せられる。以下この成形法について説明す
る。
としては、概略次のような機構によりなる。両端開口の
金属ドラムが2本の回転ローラ上に(着脱自在に)載置
される。該ドラムは、該ローラの回転によって間接回転
する機構を採る。そして該ドラム内を加熱するための加
熱源(例えば遠赤外線)が外側上部に設けられている。
ここで該ローラ内にも加熱源が設けられ、該ドラムの補
助的加熱を行う。そして、該ドラム内には、該面から所
定間隔離して水平に左右動し、且つ挿脱自在機構を有し
てなる成形原液吐出用スリット状ノズルが設けられてい
る。このノズルにはこの吐出口を挟んで圧空供給ノズル
も合体して設けられている。これはギヤポンプ等を使っ
て該ノズルに向かって供給されてくる成形原液を吐出口
で圧空と合流させて噴霧化するためのものである。ここ
で該ノズルの出口幅(スリット幅)は、約0.2〜3m
m、長さは約10〜100mmと言ったところである。
これにより供給幅と供給量(塗布厚さ)が決まる。そし
て、少なくとも該ドラムの全体は排気フアンを持った筐
体で囲まれるようになっていて、回転成形中に加熱蒸発
される有機溶媒を速やかに系外に除去される。勿論、成
形原液は一回の噴射供給動作で全面均一に塗布されて、
且つ所望するフイルム厚さが自由に得られるように、成
形原液の供給量と該ドラムの回転速度と該ノズルの左動
又は右動の速度とが自動的に制御されるようにコンピュ
ーターが組み込まれてもいる。
略次の通り行われる。まず前記ノズルが、金属ドラムの
内右端の上位置に30〜50mm程度離して配置され
る。そして該ドラムは、コンピューター制御された所定
の回転速度(勿論遠心力の作用しない角速度、例えば4
〜6rad/s程度の低速度で回転を始める。次に(若
干時差をおいて)所定量の成形原液の噴霧状供給と共
に、該ノズルの右端から左端への移動がコンピューター
制御下でスタートする。右端から左端への供給が終わっ
たら直ちに噴射供給を停止し、該ノズルは一旦原位置に
自動復帰させ、更に後退させて系外に出される。次に回
転し続けている金属ドラムを筐体で囲み、前記加熱源に
よる加熱をスタートし、該ドラム内を所定温度に保つ。
この加熱の開始と共に、前記筐体の排気フアンの稼働も
スタートする。この時の回転速度は、当初の速度と同じ
である場合と、更に若干速く又は遅く(勿論無遠心力下
の速度で、一般には前記最初の速度の0.5〜3倍程
度)する場合がある。ここでの加熱条件は基本的には、
有機溶媒の蒸発温度よりも高いが、イミド化温度(20
0〜450℃程度)よりも低い温度(約100〜150
℃)とする。これはここで有機極性溶媒の全てを除去せ
ずに一部を残存させておく為と、イミド化を実質的に進
めない為である。
残存のことと、(ここでイミド化は実質的に行わずに)
実質的電気絶縁性又は半導電性のポリアミド酸無端管状
フイルムの状態で止めておく理由は次の通りである。ま
ず有機溶媒の一部残存の必要性は、前記表面層の内面に
対して裏面層用成形原液が弾くようなこともなく、極め
て濡れ良く均一に積層塗布できることと、両層が一体的
に密着積層され、層間剥離を起こすようなことも起こら
ない等による。ここで一部残存の一部の意味は、上記作
用効果の最も有効な発現はその残存量が多くても少なく
て良くなく、適正な残存範囲がありそれを一部と表現し
ている。従ってその一部の適正量はこの作用効果との関
係から導き出されるが、本発明者等の検討では、請求項
8で提供するように、固形分(PA酸)に対して20〜
60重量%、好ましくは30〜50重量%と言ったとこ
ろである。一方、ポリアミド酸無端管状フイルムの状態
で止めておくのは、主として前記一部溶媒残存の作用効
果中、特に裏面層との一体的密着をより効果的に作用さ
せる為と、表面層に発生し易いクラックの防止のためで
ある。
ぶ)について説明する。
ドラムに付着支持されている実質的電気絶縁性又は半導
電性のポリアミド酸無端管状フイルムの内面に、PA酸
とCB粉体と有機溶媒とからなる半導電性ポリアミド酸
溶液(以下半導電PA酸溶液2と呼ぶ)又はPA酸と有
機溶媒とからなる実質的電気絶縁性ポリアミド酸溶液
(以下電絶PA酸溶液2と呼ぶ)を、実質的無遠心力の
速度で回転する該ドラムの内面に噴霧状で均一に供給し
加熱して(以下無遠心噴霧成形法2と呼ぶ)半導電性又
は実質的電気絶縁性の無端管状のポリアミド酸を積層成
形する工程である。
及び電絶PA酸溶液2の調製法、組成比、溶液粘度を始
め、無遠心噴霧成形法2は、前記A1工程で説明した半
導電PA酸溶液1、電絶PA酸溶液1及び無遠心噴霧成
形法1と同じ条件内で行われるので再度の説明は割愛す
る。但し実際に積層する場合の諸条件は、同じ場合もあ
れば異なる場合もある。又、該工程での加熱条件は、必
ずしも前記A1工程と同じにするものではないが、しか
し該A1工程と同じように、有機溶媒一部残存と更にイ
ミド化が進行しない加熱条件で行うのが望ましい。これ
は両層同じ条件の範囲で形成されていることになるの
で、最後に行う第三の(C)工程は同一の加熱条件で同
時に終了させることができ、製品として得られるMLフ
イルムも最高の品質・性能をもって製造するのにより有
効であるからである。
無端管状PA酸フイルムの層厚は、次の要因を加味して
総合的に決められる。まず最終得られるMLフイルムの
屈曲性、強度の点から全厚が決められる。これは約50
〜150μmの範囲が例示できる。そしてこの全厚の中
でPI半導電層とPI絶縁層の各層厚が決められるが、
これはPI絶縁層が必要とする帯電量(静電容量)と耐
電圧(絶縁耐力)を得るに要する層厚、それを帯電させ
るに必要とするPI半導電層の厚さ、更には本発明の課
題である湾曲の点を考慮して、最適各層厚が設定され
る。ここで特に湾曲解消の点からは、線膨張係数の小さ
い層の層厚は、これの大きい層の層厚よりも厚く設定し
た方が好ましい。
C3工程と呼ぶ)について説明する。C3工程は、前記
B2工程で得られた実質的電気絶縁性と半導電性を有し
てなる二層PA酸無端管状フイルムを、残存有機溶媒の
実質的完全除去とPA酸成分の実質的完全イミド化を、
特に熱風加熱手段により行うものである。従って熱風温
度は、この両者が円滑に進行するような温度での処理と
言うことになる。この具体的温度は、まず常温から徐々
に昇温して110〜200℃程度に到達したら一旦この
昇温を停止して、その温度で一定時間(一般に40〜1
00分間程度)加熱して残存溶媒の大部分を蒸発除去す
る。そして引き続き徐々昇温して行き、350〜450
℃程度に到達したら昇温を停止して、その温度で一定時
間(一般に40〜80分間程度)し、終わったら冷却し
て製品としてのMLフイルムを得る。ここで特に熱風を
加熱媒体とするのは、単なる加熱に比べて、発生する残
存溶媒とイミド化の際に発生する縮合水が素早く系外に
除去されることによる。その結果得られるMLフイルム
は、本来有する特性を変えることなく高品質・高性能も
って得られる。
方法がある。いずれの方法を採るかは基本的には加熱収
縮の程度で決める。つまり加熱収縮傾向のものは(例え
ば3〜8%程度)はA法の収縮規制下での加熱を行うの
が良い。 (A法)・・金属ドラム内周面に付着している積層PA
酸無端フイルムをを剥離し、これを別設の中空管状金型
(該フイルムの内径よりも若干小さ目の外径)に嵌挿し
て、これを熱風乾燥機の中で熱風加熱する。 (B法)・・金属ドラム内周面に付着したままで、該ド
ラムごと熱風乾燥機に投入して熱風加熱する。 尚、ここでの加熱で特に前記設定した各層の層厚は薄く
なるが、この設定厚範囲を越脱するような大きな収縮は
なく、小さなものである。
は外側のいずれ側にも湾曲のないものであることは勿
論、ムラのない電気抵抗値、安定した帯電性、優れた絶
縁耐力等も有する。これ等を具備する該フイルムは、種
々の用途に有効活用できる。取り分け請求項9でも提供
するように、カラー複写機の中間転写ベルトとしての使
用が有効である。尚、該中間転写ベルトとしての使用に
関しては、特に機構変更と言ったことはなく、既存のカ
ラー複写機に装着使用できるので、装置としての説明は
割愛する。
る。尚、線膨張係数、湾曲度、表面抵抗値(Rs、Ω/
□)及び耐電圧は次の方法により測定したものである。 ●線膨張係数(cm/cm/℃)・・各層を形成するP
I絶縁層とPI半導電層に相当する各フイルムを作製
し、これをサンプルとして、各々について次の条件で測
定したものである。測定器は株式会社島津製作所製の熱
機械分析装置TMA−50の熱分析システムTA−50
WS、サンプルは周方向にカットした長さ10mm、こ
の長さの範囲で、測定温度は100〜200℃の範囲
で、5℃/分の速度で昇温しつつ連続測定した。得られ
た各点での線膨張係数を平均して算出し該係数とした。 ●湾曲度・・正面図で示す図1の測定具により測定し
た。つまり直径40mmの張架ロール1が固定されてい
て、これにサンプルの一端を引っかけ垂下状態にし、そ
して他端に同径の重さ2kgの加重張架ロール2(フリ
ー)をはめて吊り下げる。そして該ロール1の中心線3
から100mm下の4の位置で内側(想像線7)又は外
側(想像線6)への湾曲幅を測定しmmで表す。全く湾
曲のない場合(実線5)の幅40mmと比較する。尚、
本発明に言う非湾曲は、少なくとも2個のローラに2k
gの張力で張架した場合、湾曲があっても回転に支障の
ない場合を言うが、数字的には全く湾曲のない場合に対
して±1.15倍以内、より小さく±1.10倍以内が
例示される。 ●Rv・・サンプルに付き、三菱化学株式会社製の抵抗
測定器“ハイレスタIP・HRプローブ”を使って、等
ピッチで幅方向に5カ所と縦(周)方向に8カ所を全体
(合計40カ所)に渡って測定し、各々平均して幅方向
と縦(周)方向の測定値として示す。ここでの測定は、
1kV印加の下10秒経過後に行う。 ●耐電圧・・測定器は“KIKUSUI ELECTR
ONICS CORP社製の電圧テスター(WITHS
TANDING VOLTAG TESTER)/機種
TOS8750”を使用。測定は110×110mm
にカットしたサンプルを、100×100mmの板状電
極に挟んで1kV/10秒の昇電速度で電圧を印加し、
電流値が10mAを超えた時点の電圧を測定した。
絶PA酸溶液2とを次のようにして調製した。 <半導電PA酸溶液1>まず3,3´,4,4´−ビフ
エニルテトラカルボン酸二無水物とp−フエニレンジア
ミンとの当モル量をNMP溶媒中、20℃で重縮合反応
させて、固形分濃度18重量%の芳香族PA酸溶液1
(溶液粘度5Pa・s)を4kg合成した。そしてこの
2kgを採取し、これに101.5gのCB粉体(pH
3、比表面積180m2/、粒子径25μm、体積抵抗
値100Ω・cm)(固形分に対して22重量%)とN
MP462.4g(溶液粘度調製用)とを羽根付きの攪
拌機で攪拌しつつ予備的混合し、更にこれをボールミル
に移し換えて十分に混合分散した。このものの溶液粘度
は4.3Pa・sであった。 <電絶PA酸溶液2>ピロメリット酸二無水物と4,4
´−ジアミノジフェニルエーテルとの当モル量をNMP
溶媒中、20℃で重縮合反応させて、固形分濃度18重
量%の該溶液2を2kg合成した(溶液粘度4.7Pa
・s)。
層の線膨張係数を知るため、予め次の通り製膜し、得ら
れた各フイルムについて該係数を求めた。前記の半導電
PA酸溶液1と電絶PA酸溶液2の一部を採取して、各
々をガラス板に塗布し、熱風乾燥機に入れて加熱乾燥し
た。加熱乾燥の条件は、まず130分間を要して120
℃まで昇温し、まずその温度で50分間加熱し、次に1
20分間要して450℃まで昇温して、その温度で60
分間加熱した。得られたフイルムをガラス板から剥離し
た。該フイルムの厚さは半導電性のものでは73μm、
電気絶縁性のものでは69μmであった。この各サンプ
ルの線膨張係数を測定した。測定結果は、半導電性フイ
ルムでは1.6〜1.7×10−5cm/cm/℃、絶
縁性フイルムでは1.9〜2.0×10−5cm/cm
/℃であった(両者平均値を採って倍率を見ると、これ
は半導電性フイルムの約1.19倍にある)。
液の芳香族PA酸溶液1についても前記同様にガラス板
に塗布し、加熱乾燥して71μmのPIフイルムを製膜
し、線膨張係数を求めた。それは6.2〜6.3×10
−6cm/cm/℃であった。この結果を前記半導電性
フイルムの線膨張係数と比較すると、CB粉体を混合分
散させたことで線膨張係数が一桁、大きくなっているこ
とが判る。
溶液2との必要量を使って、次の条件でまず無遠心噴霧
成形を行ない、半導電層が表面に、絶縁層が裏面になる
ようにして二層の無端管状PA酸フイルムに成形した。
尚、ここで使用した成形装置と成形手順は、前記本文中
の記載に基づくが、詳細は次の通りであった。
=0.6μm)、両端開口の幅550mm、内径260
mmのステンレス製円筒体、 ◎スリット状ノズル(ヘッド)・・吐出口幅0.5m
m、長さ80mmのノズル。
を用いて、該スリット状ノズルを金属ドラム内右端に該
ドラム面から50mm離してセットしたら、4rad/
sの角速度でゆっくりと回転を始めた。この回転の10
秒後に、左方向移動速度5.0mm/秒に制御された該
ノズル(この速度は終始一定)から噴霧供給量68.7
g/分で移動しつつ噴霧を開始した。そして該ノズルが
左端にきたら直ちに噴射と移動を停止し、原位置に復帰
させると共に、一旦系外に取り出した。
ムを筐体で囲い加熱を開始した。加熱条件は、まず13
0分間を要して120℃(該ドラム内温度)まで昇温
し、まずその温度で30分間加熱した(この加熱の間
は、筐体に付設された排気フアンによって蒸発する有機
溶媒は、積極的に系外に排出除去されている)。該加熱
が終了したら、加熱を停止し常温に冷却し回転を停止し
た。金属ドラム内面には固形化した半導電性の無端管状
PA酸フイルムか付着されていた。この端部を切り出し
て残存NMP量を測定したところ30重量%あり、そし
てIR分析によりイミド基の有無を確認したが、その吸
収ピークは見られなかった。又厚さを測定すると43μ
mであった。
導電性無端管状PA酸フイルムの内面に、前記電絶PA
酸溶液2を使って前記同様にして無遠心噴霧成形した。
但し、この時の噴霧供給量は99.8g/分、加熱は1
40分間を要して140℃、140℃で60分間加熱し
た。冷却して金属ドラムから剥がして、二層積層の無端
管状PA酸フイルムを得た。このものの全厚は98±2
μmであった。
ルムを、本文中(A法)として例示する熱風加熱手段に
より熱風加熱して、残存溶媒の蒸発除去とイミド化とを
行い目的とする二層MLフイルム得た。尚、ここで該A
法条件は次の通りであった。 ●中空管状金型=外径250mm、長さ450mmで表
面はクロムメッキ仕上げ、●熱風加熱=熱風乾燥機を使
い、この中でまず120℃で60分間,次に120分間
要して450℃まで昇温して、その温度で60分間加熱
して終了。
50mmずつトリミングして幅450mmに仕上げた。
該フイルムの全厚は79±1μmであった。そして該フ
イルムについて湾曲度、Rv、耐電圧を測定したところ
次の通りであった。湾曲度=外側に42mm(非湾曲4
0mmに対して1.05倍で極めて僅少)、Rv=7±
0.8×1014Ω/□、耐電圧=5kVでも絶縁破壊
なし。
絶PA酸溶液2とを次のようにして調製した。 <半導電PA酸溶液1>前記実施例1で調製した半導電
PA酸溶液1を使用。 <電絶PA酸溶液2>まず3,3´,4,4´−ビフエ
ニルテトラカルボン酸二無水物と4,4´−ジアミノフ
エニルエーテルとの当モル量をNMP溶媒中、20℃で
重縮合反応させて、固形分濃度18重量%の芳香族PA
酸溶液2(溶液粘度4.9Pa・s)を2kg合成し
た。そしてこの300gと前記実施例1で半導電PA酸
溶液1の原液として合成した芳香族PA酸溶液1の70
0gとを混合してブレンド液を調製して該溶液2とし
た。
膨張係数を測定するために、前記電絶PA酸溶液2のブ
レンド液の一部を採取して、前記実施例1と同様にして
ガラス板に塗布・熱風乾燥してブレンドPIフイルムを
製膜した。得られたフイルムの厚さは77μmであり、
線膨張係数は1.7〜1.8×10−5cm/cm/℃
であった。尚、前記半導電PA酸溶液1により形成され
る半導電層のフイルムの線膨張係数は、実施例1と同じ
の1.6〜1.7×10−5cm/cm/℃。従って、
この該絶縁層となるブレンドPIフイルムの線膨張係数
は該半導電性フイルムの約1.06倍と言うことにな
る。
溶液2とを使って、まず実施例1と同一条件で無遠心噴
霧成形を行ない、半導電層が表面に、絶縁層が裏面にな
るようにして二層の無端管状PA酸フイルムに成形し
た。金属ドラムから剥離し全厚を測定したら97±3μ
mであった。尚、第一回の無遠心噴霧成形により成形さ
れた半導電性の該フイルム中の残存溶媒量は29重量%
含有され、又厚さを測定すると42μmであった。
イルムを、前記実施例1と同一条件で熱風加熱して、残
存溶媒の蒸発除去とイミド化とを行い目的とする二層M
L管状フイルム得た。
50mmづつトリミングして幅450mmに仕上げた。
該フイルムの全厚は81±1μmであった。そして該フ
イルムについて湾曲度、Rv、耐電圧を測定したところ
次の通りであった。湾曲度=外側に40.8mm(非湾
曲40mmに対して1.02倍で実質的に反りなし)、
Rv=6±0.6×1014Ω/□、耐電圧=5kVで
も絶縁破壊なし。
未満の場合) まず(比較用)半導電PA酸溶液3と電絶PA酸溶液3
とを次のようにして調製した。 <半導電PA酸溶液3>前記実施例1で調製した半導電
PA酸溶液1を該溶液3に使用。 <電絶PA酸溶液3>前記実施例1で半導電PA酸溶液
1の原液として合成した芳香族PA酸溶液1を該溶液3
に使用。
れる半導電層の線膨張係数は、前記実施例1で測定した
ように1.6〜1.7×10−5cm/cm/℃、電絶
PA酸溶液3により形成される絶縁層の線膨張係数は、
前記実施例1で求めた6.2〜6.3×10−6cm/
cm/℃。従って、これにより積層形成される半導電層
と絶縁層の有する線膨張係数は、該絶縁層は半導電層の
約0.4倍と言うことになる。
溶液3とを使って、まず実施例1と同一条件で無遠心噴
霧成形を行ない、半導電層が表面に、絶縁層が裏面にな
るようにして二層の無端管状PA酸フイルムに成形し
た。金属ドラムから剥離し全厚を測定したら100±3
μmであった。尚、第一回の無遠心噴霧成形により成形
された半導電性の該フイルム中の残存溶媒量は32重量
%含有され、又厚さを測定すると44μmであった。
イルムを、前記実施例1と同一条件で熱風加熱して、残
存溶媒の蒸発除去とイミド化とを行い目的とする二層M
Lフイルム得た。
50mmずつトリミングして幅450mmに仕上げた。
該フイルムの全厚は84±1μmであった。そして該フ
イルムについて湾曲度、Rv、耐電圧を測定したところ
次の通りであった。湾曲度=外側に54mm(非湾曲4
0mmに対して1.33倍)、Rv=6.9±0.9×
1014Ω/□、耐電圧=5kVでも絶縁破壊なし。R
v、耐電圧については前記実施例と差はないが、本発明
が最小限必要とする非湾曲度よりもはるかに大きく実用
できないレベルである。例えばこのようなMLフイルム
をベルトとして使用すると、まず平面そのものが出な
い。又仮に蛇行防止対策を採って回転しても蛇行は避け
られないと言ったことが起きる。
で、次のような効果を奏する。
安定して製造できるようになったことと、合わせて安定
した帯電性と絶縁耐力、回転耐久性にも優れた品質・性
能を付与させることができるようになった。
層に種々の用途に有効に使用されるようになるが、就中
カラー複写機の中間転写ベルトとしての使用は、より一
層高品質・性能をもって有効なものとなる。
Claims (9)
- 【請求項1】導電性カーボンブラックにより付与された
半導電性ポリイミド層と実質的電気絶縁性ポリイミド層
からなるポリイミド系多層無端管状フイルムにおいて、
該実質的電気絶縁性ポリイミド層の有する線膨張係数
が、該半導電性ポリイミド層の有する線膨張係数に対し
て0.8〜1.3倍であることを特徴とするポリイミド
系多層無端管状フイルム。 - 【請求項2】前記半導電性ポリイミド層と実質的電気絶
縁性ポリイミド層との各々の有する線膨張係数が同桁数
をもって異なる請求項1に記載のポリイミド系多層無端
管状フイルム。 - 【請求項3】前記半導電性ポリイミド層を形成するポリ
イミドの有する線膨張係数が10−6cm/cm/℃
桁、実質的電気絶縁性ポリイミド層を形成するポリイミ
ドの有する線膨張係数が10-5cm/cm/℃桁であ
る請求項2に記載のポリイミド系多層無端管状フイル
ム。 - 【請求項4】前記実質的電気絶縁性ポリイミド層を形成
するポリイミドが、10-5cm/cm/℃桁のポリイ
ミドと10-6cm/cm/℃桁のポリイミドの二種の
ブレンドポリイミドである請求項3に記載のポリイミド
系多層無端管状フイルム。 - 【請求項5】前記半導電性ポリイミド層を表面層に、実
質的電気絶縁性ポリミド層を裏面層とする請求項1〜4
のいずれか1項に記載のポリイミド系多層無端管状フイ
ルム。 - 【請求項6】次の(A)〜(C)に記載の各工程が順次
行われてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
1項に記載のポリイミド系多層無端管状フイルムの製造
方法。 (A)ポリアミド酸と有機溶媒とを含有する実質的電気
絶縁性ポリアミド酸溶液又はポリアミド酸と導電性カー
ボンブラック粉体と有機溶媒とを含有する半導電性ポリ
アミド酸溶液を、実質的無遠心力の速度で回転する該ド
ラムの内面に噴霧状で均一に供給し加熱して、該溶媒の
一部を残存含有する実質的電気絶縁性又は半導電性のポ
リアミド酸無端管状フイルムに成形する第一工程、
(B)前記により金属ドラム内面に成形された実質的電
気絶縁性又は半導電性のポリアミド酸無端管状フイルム
の内面に、ポリアミド酸と導電性カ−ボンブラック粉体
と有機溶媒とからなる半導電性ポリアミド酸溶液又はポ
リアミド酸と有機溶媒とからなる実質的電気絶縁性ポリ
アミド酸溶液を、実質的無遠心力の速度で回転する該ド
ラムの内面に噴霧状で均一に供給し加熱して、半導電性
又は実質的電気絶縁性の無端管状のポリアミド酸を積層
成形する第二工程、(C)前記第二工程で得られた積層
ポリアミド酸無端管状フイルムを熱風加熱して残存有機
溶媒の蒸発除去と共に、ポリアミド酸成分をイミド化し
て相当するポリイミド系無端多層管状フイルムに変える
第三工程。 - 【請求項7】前記(A)と(B)の工程における各該ポ
リアミド酸溶液の溶液粘度が1Pa・s以上である請求
項6に記載のポリイミド系多層無端管状フイルムの製造
方法。 - 【請求項8】前記(A)の第一工程における溶媒の一部
残存含有量が、ポリアミド酸に対して20〜60重量%
である請求項6又は7に記載のポリイミド系多層無端管
状フイルムの製造方法。 - 【請求項9】カラー複写機の中間転写ベルトとしての請
求項5に記載のポリイミド系多層無端管状フイルムの使
用。
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