JPH0715092A - 半導体レーザアレイおよびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザアレイおよびその製造方法

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JPH0715092A
JPH0715092A JP15404093A JP15404093A JPH0715092A JP H0715092 A JPH0715092 A JP H0715092A JP 15404093 A JP15404093 A JP 15404093A JP 15404093 A JP15404093 A JP 15404093A JP H0715092 A JPH0715092 A JP H0715092A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発振波長の異なる半導体レーザがアレイ状に
集積された素子を簡単な作製工程によって再現性よく製
作する。 【構成】 活性領域31、位相制御領域32、およびD
BR領域33からなる波長可変半導体レーザがn素子ア
レイ状に配置された素子をMOVPE選択成長を用いて
製作する。均一な周期を有する回折格子がDBR領域3
3に形成された、InP基板1の表面に誘電体薄膜スト
ライプマスク20を形成する際、DBR領域33でのマ
スク幅をチャンネルごとにWm 1 、Wm 2 、・・・W
m n と変化させ、それぞれのストライプマスク20に挟
まれた導波領域21に、少なくとも量子井戸光導波層か
らなる多層構造を選択的に形成する。チャンネルごとに
DBR領域33の導波層厚が変化するために導波層の等
価屈折率が変化し、発振波長が変化する。こうして回折
格子の周期を変える必要なく一回の結晶成長で導波層を
作製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光多重伝送などに用い
られる、異なる発振波長を有する複数の半導体レーザを
同一基板上にアレイ状に形成した半導体レーザおよびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ通信において、伝送容量の拡
大を目的として、波長もしくは周波数の異なる複数の光
信号を1本の光ファイバを通して同時に伝送する、光多
重伝送が重要になりつつある。その光源としては、複数
の半導体レーザモジュールを各々ファイバに接続してか
らファイバを1本に結合する方法もあるが、複数の半導
体レーザを集積化した半導体レーザアレイを用いる方が
実装が容易である。さらに合波器がモノリシックに集積
された半導体レーザアレイを用いれば、ファイバとの結
合数が減少し実装が格段に容易になる。こうした理由に
より、多波長半導体レーザアレイの研究開発が進められ
ている。
【0003】多波長半導体レーザアレイを製作するため
には、発振波長を各チャンネルごとに変化させる必要が
ある。その方法の一つとして、波長可変レーザをアレイ
化することが挙げられる。例えば4チャンネルの分布反
射型(DBR)半導体レーザと半導体光変調器、ならび
に合波器を集積した半導体光集積回路が報告されてい
る。12回アイイーイーイー セミコンダクターレーザ
カンファレンス テクニカル ダイジェスト 160−
161頁(1990年)参照。(M.Yamaguch
i et al.,Technical Diges
t,12th IEEE Int.Semicondu
ctor Laser Conf.,Davos,Sw
itzerland,pp.160−161,199
0)。その構造を図8に模式的に示す。図8(a)に素
子の平面図を示す。DBR半導体レーザはチャンネル
(ch)1から4までの4素子からなり、それぞれが活
性領域31、位相制御領域32およびDBR領域33か
ら構成されている。一定の周期を有する回折格子15を
DBR領域33に形成した後に、結晶成長工程を含む素
子作製を行った。素子特性を図8(b)に示す。DBR
領域に電流Id を注入することにより、発振波長を短波
側にシフトさせることができる。この素子では、各チャ
ンネルについて8nm以上の波長シフト幅が得られた。
各チャンネルごとにDBR電流を調節することにより、
波長シフト幅の範囲内で等間隔の光信号が得られた。
【0004】さらに広い波長分布を実現した例として、
20チャンネルの分布帰還型(DFB)半導体レーザア
レイがある。エレクトロニクスレターズ 28巻 82
4〜826頁(1992年)参照。(C.E.Zah
et al.,Electron.Lett.,vo
l.28,pp.824−826,1992)。ここで
は図9(a)に模式的に示すように、電子ビーム露光を
用いることによってチャンネルごとに異なる周期の回折
格子15を形成し、同時に結晶成長を行った。図9
(b)に模式的に示すように、回折格子の周期を変化さ
せることによって発振波長をシフトさせることができ
る。周期を232.5nmから245.0nmまで段階
的に変化させることにより、80nmという広い波長分
布範囲が得られ、波長間隔約3.7nmの20本の光信
号が得られた。さらにこの素子では、20チャンネルの
半導体レーザを1本に合波する合波器(スターカプ
ラ)、および減衰した光信号を増幅する半導体光アンプ
を集積していた。
【発明が解決しようとする課題】DBR半導体レーザな
どの波長可変半導体レーザの波長可変範囲は一般に10
nm以下に制御される。このため波長可変半導体レーザ
を単にアレイ化しただけでは、広い波長範囲を得ること
は困難である。より広い波長範囲を得るためには、さら
に複雑な回折格子パターンや電極構造が必要となり、素
子の歩留まりや製造コストの点で課題が生じる。また電
子ビーム露光を用いる方法は描画に多大な時間を要する
ため、生産性の点で課題となる。
【0005】
【発明を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの半導体レーザアレイの構造および製造方法は以下の
通りである。
【0006】活性領域、位相制御領域ならびにDBR領
域からなり、選択的に形成され少なくとも量子井戸構造
からなる光導波層を有する半導体レーザが複数個並列に
配置された半導体レーザアレイにおいて、複数の前記D
BR領域に形成された回折格子の周期がすべて同一であ
り、かつ前記光導波層の層厚が異なることを特徴とす
る、半導体レーザアレイである。
【0007】または、上記の半導体レーザアレイにおい
て、さらに半導体光変調器領域が形成されていることを
特徴とする、半導体レーザアレイである。
【0008】または、上記の半導体レーザアレイにおい
て、さらに合波領域が形成されており、合波領域におい
ては少なくとも量子井戸構造からなる光導波層が途切れ
ることなく全面に形成されており、かつ合波領域内の光
導波路領域に半導体クラッド層が選択的に形成され、前
記光導波路領域が複数の半導体レーザを結合するように
形成されていることを特徴とする、半導体レーザアレイ
である。
【0009】表面が平坦な活性領域と位相制御領域、お
よび表面に均一な周期を有する回折格子が形成されたD
BR領域とに分割された半導体基板の上に、間に光導波
路領域を挟んで対向する2本の誘電体薄膜ストライプを
複数組形成する工程と、前記誘電体薄膜ストライプ以外
の前記半導体基板上に量子井戸層を含む光導波層を積層
する選択結晶成長工程とを含み、かつ前記DBR領域に
おいて、異なる光導波路領域に対向した前記誘電体薄膜
ストライプの幅を変化させることを特徴とする、半導体
レーザアレイの製造方法である。
【0010】または、上記の半導体レーザアレイの製造
方法において、活性領域、位相制御領域、DBR領域に
加えて半導体光変調器領域が形成され、前記半導体光変
調器領域において誘電体薄膜ストライプの幅が前記活性
領域より狭いことを特徴とする、半導体レーザアレイの
製造方法である。
【0011】または、上記の半導体レーザアレイの製造
方法において、活性領域、位相制御領域、DBR領域に
加えて少なくとも合波領域が形成され、前記合波領域に
おいては誘電体薄膜ストライプを形成せずに少なくとも
量子井戸構造を含む光導波層を全面に積層した後、表面
に2本の誘電体薄膜ストライプを形成し、前記誘電体薄
膜ストライプに挟まれた光導波路領域に半導体クラッド
層を選択的に形成する工程を含むことを特徴とする、半
導体レーザアレイの製造方法である。
【0012】または、上記の半導体レーザアレイの製造
方法において、部分的に回折格子が形成された半導体基
板上に全面に半導体ガイド層を含む半導体多層膜を積層
した後に、誘電体薄膜ストライプを形成し、少なくとも
量子井戸構造を含む半導体多層膜を選択的に形成して光
導波層を構成することを特徴とする、半導体レーザアレ
イの製造方法である。
【0013】または、上記の半導体レーザアレイの製造
方法において、量子井戸構造を含む半導体多層膜を選択
的に形成する際、成長圧力を成長層によって変化させ、
少なくとも量子井戸構造の成長時の圧力が他の半導体層
の成長時の圧力より高いことを特徴とする、半導体レー
ザアレイの製造方法である。
【0014】
【作用】DBR半導体レーザなどの光半導体素子、なら
びに半導体光集積素子の新しい作製方法として、有機金
属気相成長法(MOVPE)を用いた選択成長による方
法がある。特開平4−105383号公報、特開平4−
303982号公報、特開平5−37092号公報参
照。この方法は、一対の誘電体薄膜ストライプマスクに
挟まれた導波領域に量子井戸(MQW)構造などを含む
光導波層を選択的に形成することにより、半導体のエッ
チングなしに光導波構造を形成できる特徴がある。さら
に、誘電体薄膜ストライプマスクの幅を変化させること
により、選択成長した量子井戸層の層厚および組成が変
化するため、ストライプマスクの幅が導波路方向で変化
したパターンを用いれば、1回の選択成長で異なるバン
ドギャップエネルギー(Eg)を導波路方向で有する光
導波層を得ることができる。このEg制御技術によっ
て、複雑な方法により製作していたバット−ジョイント
構造などを用いることなく、DBR半導体レーザなどの
素子を高い均一性、歩留まりのもとに製作することがで
きる。一例として、選択成長時のマスク幅とバンドギャ
ップエネルギーの関係に関する報告が、第40回応用物
理学関係連合講演会講演予稿集第1分冊264〜265
頁、30a−ZR−7、30a−ZR−8(1993
年)に記載されている。
【0015】本発明ではストライプマスク幅が広いほ
ど、光導波路領域に選択成長した半導体多層膜の層厚が
増加することから、光導波路の等価屈折率が増加する。
したがって、図2にマスクパターンを示すように、DB
R半導体レーザのDBR領域33におけるマスク幅Wm
を導波路間で変化させれば、同一の周期を有する回折格
子を用いても、発振波長を変化させることが可能とな
る。
【0016】こうしたマスク幅によって発振波長を変化
させたDBR半導体レーザアレイは、さらに他の光半導
体素子を集積することが可能である。例えば半導体光変
調器は、選択成長時のマスク幅を適当にとって量子井戸
構造の吸収端が発振波長に対して一定の波長差になるよ
うにすれば、まったく同じ作製プロセスでDBR半導体
レーザに集積することが可能である。
【0017】また複数の光導波路を合波する合波器を集
積するためには、光導波層を全面に形成した後、半導体
クラッド層を選択的に形成したリッジ構造(特開平4−
243216号公報に記載)を用いればよい。DBR半
導体レーザと合波器を集積するためには、図5(a)に
示すように誘電体薄膜ストライプ20を部分的に形成す
ることによって、量子井戸構造を含む多層構造をDBR
半導体レーザ領域などの電流注入領域31〜34および
36ではストライプマスク20に挟まれた光導波路領域
21に選択的に形成する一方、合波器領域35では全面
に形成する。次に図5(b)に示すように、ストライプ
マスク22を全領域に形成して、光導波路領域23に半
導体クラッド層を形成する。このとき、半導体クラッド
層はDBR半導体レーザ領域では選択的に形成された光
導波路構造を埋め込むように成長し、一方合波器領域で
は全面に成長した光導波路構造の上に選択的に形成され
る。このようにして、作製工程を変化させることなく合
波器構造などを集積することが可能である。
【0018】
【実施例】以下に本発明を用いた実施例について述べ
る。図1はDBR半導体レーザアレイのDBR領域にお
ける断面図で、(a)がマスク幅の広いチャンネル、
(b)が狭いチャンネルである。また図2はその製造方
法を示すマスクパターンである。本素子は活性領域3
1、位相制御領域32、DBR領域33からなる。以下
に製造工程を記す。n型InP基板1上のDBR領域3
3のみに一定の周期を有する回折格子15を形成した
後、SiO2 ストライプマスク20を形成した。マスク
パターンは幅W0 の導波領域21を挟んで対向した一対
のパターンがアレイ状に形成されており、そのマスク幅
は活性領域31でWm a 、位相制御領域32でWm p
一定であるのに対し、DBR領域33ではWm 1 、W
m 2 、・・・Wmn と変化している。ここではW0
1.5μm、Wm a =30μm、Wm p =4μm、DB
R領域ではWm 1 =4μmからWm 1 0 =22μmまで
2μm間隔とした。
【0019】このパターン上にMOVPE法により、n
型InGaAsPガイド層2(層厚0.15μm)、n
型InPスペーサ層3(層厚0.1μm)、MQW導波
層4、InGaAsP光閉じ込め層5(層厚0.2μ
m)、p型InPクラッド層6(層厚0.5μm)を選
択成長した。層厚はいずれも活性領域での値であり、M
QW導波層はInGaAsウェル8層とInGaAsP
バリアからなる。InGaAsウェルの厚さは活性領域
では7nmであるのに対し、DBR領域ではマスク幅に
よって変化し、2.5nmから5.5nmの間となっ
た。他の成長層についても、マスク幅の広い領域ほど厚
くなった。次に、導波領域21に接したマスクストライ
プ20の内縁部をエッチングで除去し、導波領域21の
幅を6μmに広くした。一方、すべてのマスクストライ
プ20の幅が10μm以下になるように活性領域31お
よびDBR領域33のマスクストライプ20の外縁部も
除去した。
【0020】次に、2回目の結晶成長として、p型In
Pクラッド層7(層厚1.5μm)、p型InGaAs
キャップ層8(層厚0.3μm)を、MQW導波層4を
含む光導波層を埋め込むように成長した。結晶成長終了
後に各領域間のp型InGaAsキャップ層8を幅20
μmにわたって除去して素子分離を行った後、全面にS
iO2 膜12を形成し、各領域ごとにp型InGaAs
キャップ層8に面したメサ上部を窓開けした後にp側電
極13をパターン状に形成し、n型InP基板1を研磨
後にn側電極14を形成した。
【0021】各素子は活性領域31に電流注入すること
によってレーザ発振した。発振しきい値電流は10個の
アレイにおいて8mAから15mAの間であった。また
最大光出力は30mWから38mWであった。図3は1
0本のアレイ素子における発信波長λb の変化を示して
いる。λb は約1.529μmから1.547μmの間
で変化し、波長範囲は18nm、素子間の波長差は約
1.8nmであった。また各素子の発振波長はDBR領
域および位相制御領域に電流注入することにより変化
し、その波長変化量は3.5nmから8nmであった。
このことから、約20nmの波長範囲において、10素
子の波長間隔を高精度で等間隔に配置することが可能と
なった。
【0022】次にDBR半導体レーザと半導体光変調器
の集積素子の作製結果について述べる。図4にマスクパ
ターンを示すように、活性領域31、位相制御領域3
2、DBR領域33からなるDBR半導体レーザに半導
体光変調器領域34が加わった構成となっていて、光変
調器領域34におけるマスク幅Wm m はゲインピーク波
長が約1.48μmとなるように20μmとした。その
後の製作方法はDBR半導体レーザと同一である。なお
光変調器側の端面が低反射率となるように誘電体多層膜
をコーティングした。
【0023】この素子の光変調器側からの光出力は10
本のアレイにおいて12mWから18mWであり、光変
調器領域に−3Vの電圧を印加した時の消光比は15d
Bから19dBであった。また発振波長の分布、波長可
変特性等はDBR半導体レーザアレイの結果と同等であ
った。なお本実施例では光変調器領域34でのマスク幅
m m はここでは一定としたが、吸収端波長が各チャン
ネルでの発振波長に合わせた最適値となるように、チャ
ンネル間で変化させてもよい。
【0024】次に4チャンネルのDBR半導体レーザと
光変調器、それぞれの信号光を1本の導波路に合波する
合波器、および信号光を増幅する半導体光アンプを集積
した素子の作製結果について述べる。図5(a)のよう
に活性領域31、位相制御領域32、DBR領域33お
よび半導体光変調器34からなる素子4チャンネルと半
導体光アンプ領域36にストライプマスク20を形成
し、それぞれのストライプマスク20に挟まれた幅1.
5μmの導波領域21には量子井戸層を含む多層構造を
選択的に形成し、一方ストライプマスクのない合波領域
35および窓領域37には全面に形成した。半導体光ア
ンプ領域36のマスク幅は活性領域31と同じ30μm
とした。次に全面にSiO2 膜を形成した後、図5
(b)に示すように、図5(a)の導波領域21を挟む
ように幅10μmのストライプマスク22を形成し、マ
スク22に挟まれた導波領域23が4本のDBR半導体
レーザを合波して半導体光アンプに接続されるようにし
た。この光導波路領域23にp型InPクラッド層およ
びp型InGaAsキャップ層を選択的に形成した。
【0025】領域31、32、33、34、および36
にパターン電極を形成した後、窓領域側の側面に低反射
膜を形成した。こうして製作した素子の活性領域および
光アンプ領域に電流を流して窓領域側からの発光を測定
したところ、最大光出力2.5mWが得られた。このよ
うに本発明の半導体レーザアレイの製造方法を用いれ
ば、合波器を集積した素子も同様の方法で製作できるこ
とが明らかとなった。なお合波器構造は図6に示したよ
うなスターカプラでもよい。
【0026】なお上述の製造方法ではDBR半導体レー
ザと合波領域においてp型InPクラッド層を同時に形
成している。別の方法として、図5(a)のマスクパタ
ーンを用いて量子井戸構造を含む多層膜を形成した後
に、図7(a)に示すようにストライプマスク22を形
成して半導体レーザなどの電流注入領域のみにp型In
Pクラッド層およびp型InGaAsキャップ層を形成
し、続いて図7(b)に示すように新しいマスクストラ
イプ22を形成して、合波領域などの受動領域にアンド
ープInP層を選択的に形成する方法がある。成長回数
は1回増えることになるが、合波領域でのクラッド層に
おける吸収係数の低減により、合波領域での導波損失が
低下し、より高い光出力を得ることが可能となる。
【0027】なお今までの実施例ではn型InGaAs
Pガイド層2を含む多層構造を同時に形成していたが、
特開平4−303982号公報の例と同様に、まずn型
InGaAsPガイド層2とn型InPスペーサ層3を
全面に形成してから、ストライプマスク20を形成し、
MQW導波層4を含む多層構造を選択的に形成する方法
でもよい。但しこの場合は成長回数が1回多くなる。
【0028】さらにMOVPE選択成長においては成長
速度のマスク幅に対する変化量が成長圧力によって変わ
るため、成長の途中で成長圧力を層ごとに変化させれ
ば、特定の層の層厚のみを大きく変化させ、その他の層
厚はあまり変化させないことも可能である。たとえばM
QW導波層の成長時には高い圧力のもとに成長を行って
DBR領域のゲインピーク波長が発振波長より充分短波
長になるようにし、一方でガイド層2、閉じ込め層5な
どの成長時には比較的低い圧力を用いて成長し、層厚の
もっとも薄いDBR領域においても光閉じ込め係数の値
が小さくなりすぎないような層厚にすることなど、幅広
い層構造の設計が可能である。
【0029】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明の半導体
レーザアレイおよびその製造方法を用いれば、発振波長
の異なる半導体レーザからなるアレイ素子を作製するた
めに回折格子の周期をチャンネルごとに変化させたり、
活性層を別々に形成する必要がなく、均一な回折格子の
もとに1回の活性層の形成で比較的広い波長範囲を有す
るアレイ素子を実現することができる。また半導体レー
ザに半導体光変調器、半導体光アンプなどの素子、さら
には複数のチャンネルを結合する合波器をも集積化する
ことが可能であり、本発明によって、半導体レーザアレ
イを含む半導体光集積素子を簡便かつ高均一な特性のも
とで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザアレイを表わす断面図。
【図2】本発明の半導体レーザアレイの製造方法を表わ
す構造図。
【図3】本発明の半導体レーザアレイの波長分布を表わ
す図。
【図4】本発明の半導体レーザアレイと半導体光変調器
の集積素子の製造方法を表わす構造図。
【図5】本発明の半導体レーザアレイと半導体光変調
器、合波器および半導体光アンプによる集積素子の製造
方法を表わす構造図。
【図6】本発明の半導体レーザアレイと半導体光変調
器、合波器および半導体光アンプによる集積素子の製造
方法を表わす構造図。
【図7】本発明の半導体レーザアレイと半導体光変調
器、合波器および半導体光アンプによる集積素子の製造
方法を表わす構造図。
【図8】従来の半導体レーザアレイの製造方法および動
作特性を表わす図。
【図9】従来の別の半導体レーザアレイの製造方法およ
び動作特性を表わす図。
【符号の説明】
1 n型InP基板 2 n型InGaAsPガイド層 3 n型InPスペーサ層 4 MQW導波層 5 InGaAsP光閉じ込め層 6 p型InPクラッド層 7 p型InPクラッド層 8 p型InGaAsキャップ層 12 SiO2 膜 13 p側電極 14 n側電極 15 回折格子 20 SiO2 ストライプマスク 21 導波領域 22 SiO2 ストライプマスク 23 導波領域 24 スターカプラ 31 活性領域 32 位相制御領域 33 DBR領域 34 半導体光変調器領域 35 合波領域 36 半導体光アンプ領域 37 窓領域

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性領域、位相制御領域ならびにDBR
    領域からなり、選択的に形成され少なくとも量子井戸構
    造からなる光導波層を有する半導体レーザが複数個並列
    に配置された半導体レーザアレイにおいて、複数の前記
    DBR領域に形成された回折格子の周期がすべて同一で
    あり、かつ前記光導波層の層厚が異なることを特徴とす
    る半導体レーザアレイ。
  2. 【請求項2】 請求項1の半導体レーザアレイにおい
    て、さらに半導体光変調器領域が形成されていることを
    特徴とする請求項1記載の半導体レーザアレイ。
  3. 【請求項3】 請求項1の半導体レーザアレイにおい
    て、さらに合波領域が形成されており、合波領域におい
    ては少なくとも量子井戸構造からなる光導波層が途切れ
    ることなく全面に形成されており、かつ合波領域内の光
    導波路領域に半導体クラッド層が選択的に形成され、前
    記光導波路領域が複数の半導体レーザを結合するように
    形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体
    レーザアレイ。
  4. 【請求項4】 表面が平坦な活性領域と位相制御領域、
    および表面に均一な周期を有する回折格子が形成された
    DBR領域とに分割された半導体基板の上に、間に光導
    波路領域を挟んで対向する2本の誘電体薄膜のストライ
    プを複数組形成する工程と、前記誘電体薄膜ストライプ
    以外の前記半導体基板上に量子井戸層を含む光導波層を
    積層する選択結晶成長工程とを含み、かつ前記DBR領
    域において、異なる光導波路領域に対向した前記誘電体
    薄膜ストライプの幅を変化させることを特徴とする半導
    体レーザアレイの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の半導体レーザアレイの製造方
    法において、活性領域、位相制御領域、DBR領域に加
    えて半導体光変調器領域が形成され、前記半導体光変調
    器領域において誘電体薄膜ストライプの幅が前記活性領
    域より狭いことを特徴とする請求項4記載の半導体レー
    ザアレイの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項4の半導体レーザアレイの製
    造方法において、活性領域、位相制御領域、DBR領域
    に加えて少なくとも合波領域が形成され、前記合波領域
    においては誘電体薄膜ストライプを形成せずに少なくと
    も量子井戸構造を含む光導波層を全面に積層した後、表
    面に2本の誘電体薄膜ストライプを形成し、前記誘電体
    薄膜ストライプに挟まれた光導波路領域に半導体クラッ
    ド層を選択的に形成する工程を含むことを特徴とする請
    求項4記載の半導体レーザアレイの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4または5または6の半導体レー
    ザアレイの製造方法において、部分的に回折格子が形成
    された半導体基板上に全面に半導体ガイド層を含む半導
    体多層膜を積層した後に、誘電体薄膜ストライプを形成
    し、少なくとも量子井戸構造を含む半導体多層膜を選択
    的に形成して光導波層を構成することを特徴とする請求
    項4また5または6記載の半導体レーザアレイの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項4または5または6または7の半
    導体レーザアレイの製造方法において、量子井戸構造を
    含む半導体多層膜を選択的に形成する際、成長圧力を成
    長層によって変化させ、少なくとも量子井戸構造の成長
    時の圧力が他の半導体層の成長時の圧力より高いことを
    特徴とする請求項4または5または6または7記載の半
    導体レーザアレイの製造方法。
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