JP2655600B2 - 光フィルタ素子 - Google Patents

光フィルタ素子

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JP2655600B2 JP8827387A JP8827387A JP2655600B2 JP 2655600 B2 JP2655600 B2 JP 2655600B2 JP 8827387 A JP8827387 A JP 8827387A JP 8827387 A JP8827387 A JP 8827387A JP 2655600 B2 JP2655600 B2 JP 2655600B2
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貴陽 沼居
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、光交換用の光フィルタ素子に関する。
(従来の技術) 波長多重化光信号から任意の光信号を選択する機能を
有する光フィルタ素子は、光伝送、光交換、光情報処理
等において広範な用途に応用可能なキーデバイスの1つ
である。そして、いづれの用途においても光フィルタ素
子の特性として十分な波長選択度と選択波長の広い可変
・同調幅が必要とされている。また、構造として光集積
回路化が不可欠なことから、任意の選択したい波長のみ
を透過する透過型の波長選択フィルタであることも必要
である。
従来から、透過型の波長選択フィルタに関してはいく
つかの検討がなされている。その中で、半導体活性層を
用いた光増幅素子内に波長選択性のある光帰還構造を設
けた構造の光フィルタ素子が、活性層への注入キャリア
濃度により選択波長の可変同調が可能で、かつ透過型の
集積化の適しているという点から期待を集めている。特
に光帰還構造としては、劈開によるファブリ・ペロー共
振器よりも回折格子から成る分布帰還構造の方が、波長
選択性および光集積化の点で有利であり、それらの構造
を用いた光フィルタ素子の提案および理論的検討もされ
ている。(オプティクス・コミュニケーションズ(Opti
cs Communications)第10巻120ページ参照) (発明が解決しようとする問題点) しかしながら、これら従来から提案され、検討されて
きた光増幅素子内に分布帰還構造を有する光フィルタ素
子は、選択波長の同調のために活性層への注入キャリア
濃度を調整した場合、同時に選択波長に対する光利得お
よび自然放出光強度も変化するため、光フィルタ素子と
して必要な波長選択度を得るため、および対雑音信号強
度比を得るためには、活性層への注入キャリア濃度が原
理上狭く限定され、その結果として選択波長の可変幅が
数Å程度と小さいため、数チャンネルのフィルタとして
しか使えないという欠点があった。
本発明の目的は、増幅機能を有し、かつ上述の欠点を
除去した大きな選択波長の可変同調幅を得ることのでき
る数十チャンネル以上の光フィルタ素子を提供すること
にある。
(問題を解決するための手段) 本発明の光フィルタ素子は、位相シフト構造を有する
分布帰還領域と活性領域とが光学的に結合して直列に配
置され、かつ素子の両端面が無反射構造になっており、
かつ前記位相シフト領域が外部からシフト量制御可能で
あることを特徴としている。
(作用) 分布帰還領域を有する光導波路の光透過特性は、透過
波長域において光利得をもたない場合、各分布帰還領域
の光学的位相がそろっている場合は、その回折格子の光
学的周期から定まるブラッグ波長を中心に数10Å程度の
1つの透過阻止波長域を形成する。一方、分布帰還領域
の中央を境にして両側で光学的位相がπずれた場合(こ
の場合、素子内を伝播する光の波長をλとすると、回折
格子のピッチがλ/4だけずれたことに対応するので、λ
/4シフト構造と呼ばれる)は、透過阻止波長域は分裂
し、上述の数10Å程度の透過阻止波長域の中央に1〜2
Å程度以下の狭い幅の透過波長域が生じる。このλ/4シ
フト構造を有する分布帰還領域をもつ光導波路層を透過
波長より短波側の組成の半導体で構成すれば光利得がな
いため、キャリア注入によりブラッグ波長を中心とする
1〜2Å程度以下の狭い幅で大きな波長選択幅が得ら
れ、さらに自然放出光による対雑音強度比の劣化を生じ
ることもない。また、外部から位相シフト領域に電流を
注入すると、位相シフト量を調節することができる。位
相シフト量によって、透過特性は第3図のように変化
し、ブラッグ波長を中心とする数Å〜数10Å程度の波長
域の任意の波長を選択できる可変同調可能な透過型光フ
ィルタ素子が得られる。すなわち、位相シフト量を可変
することによって、位相シフト量がλ/4のみに固定され
た場合よりも、さらに可変波長幅を大きくすることがで
きる。
前述の光導波路層は、利得をもっていないので、増幅
機能を有する光フィルタ素子を構成するためには活性領
域と分布帰還領域とを光学的に結合させてやればよい。
すなわち、光を活性領域に注入して増幅した後に分布帰
還領域に透過させる構造にすれば、増幅機能をもった光
フィルタ素子を得ることができる。
ここで注意すべきことが1つ存在する。すなわち、素
子の両端面を無反射構造としなければならない。この理
由は、もし、無反射構造にしなければ、DBRレーザとし
て発振してしまうからである。
(実施例) 次に図面を参照して本発明を詳細に説明する。第1図
は、本発明の一実施例の光フィルタ素子の構造を示す斜
視図である。以下、製作手順に従いながら本実施例の構
造について説明する。まず、n形InP基板110上のDBR領
域200に周期2400Åのλ/4シフト回折格子を形成する。
次に1回目のLPE成長によってノンドーブInGaAsP光ガイ
ド層120(λg=1.3μm、厚さ0.3μm)、n形InPバッ
ファ層130(厚さ0.1μm)、ノンドーブ活性層140(λ
g=1.53μm、厚さ0.1μm)、p形InPクラッド層150
(厚さ0.2μm)を順序成長する。次に活性領域100を除
いた他の部分のInPクラッド層150と活性層140とを選択
的に除去する。次に2回目のLPE成長において全体にp
形InPクラッド層160を形成する。
次に埋め込み構造とするために、メサエッチングを行
なった後、3回目のLPE成長によって埋め込み成長を行
なう。ここでは、埋め込み構造として二重チャンネルプ
レーナ埋め込み構造を用いた。最後に基板側と成長層側
に電極を形成した後、活性領域100とDBR領域200、およ
びDBR領域200と位相制御領域210との間の電気的な分離
を行なうために、中央のメサ付近を除いて幅20μmの溝
を形成する。その後、プラズマCVD装置を用いて素子の
両端の反射率を1%以下に低減するためにSiN膜170を形
成する。活性領域100、DBR領域200、位相制御領域210の
長さは、それぞれ100μm、240μm、20μmである。こ
の実施例では位相シフト構造を有する分布帰還領域はDB
R領域200と位相制御領域210とから成っている。
こうして試作した素子の特性の一例を次に示す。増幅
機能100に50mAの電流を注入した時、消光比は20dB以
上、透過波長の10dB減衰幅は0.5Åであった。また、DBR
領域200、位相制御領域210に電流を流さない時は、透過
波長は1.5563μm、DBR領域200、位相制御領域210の両
方に80mAの電流を注入した時は、透過波長は1.5505μm
となり、透過波長は連続して58Å変化した。さらに、DB
R領域200に注入する電流を80mAに固定しておき、位相制
御領域210への注入電流を80mAから160mAまで増加させる
と、透過波長は連続して8Å短波側へずれ、1.5497μm
となった。この時の位相シフト量は3λ/16に対応して
いる。なお、結晶成長後の回折格子の深さは500Å、透
過阻止波長域は65Åであった。
第2図にDBR領域200、位相制御領域210の両方に同じ
大きさの電流を注入した時の透過特性を示す。この図か
ら、透過阻止波長域の約半分すなわち30Å程度の範囲内
に0.5Å程度の間隔で波長多重化された信号から任意の
波長選択が可能となる。さらにDBR領域200への注入電流
を固定しておき、位相制御領域に電流を注入していくと
最大38Åの範囲内に0.5〜0.7Åの間隔で波長多重化され
た信号から任意の波長選択が可能となる。すなわち、70
チャンネル程度の波長可変フィルタとして使うことがで
きる。
なお、素子の材料および組成は、上述の実施例に限定
する必要はなく、他の半導体材料や誘電体材料などであ
ってもよい。また、位相シフト構造も均一な回折格子を
有し、かつ導波路の幅を変えたり、導波路の厚みを変え
たようないわゆる等価的な位相シフト構造であってもよ
い。また、光導波路構造は光を導波する機能をもつなら
ばプレーナ構造や埋め込み構造に限らず、いかなる構造
であってもよく、例えば積層方向に光を入射、透過させ
る面型構造であってもよい。さらに、分布帰還構造も光
導波路に回折格子を構成した導波路型に限らず、屈折率
の異なる層を交互に積層した面型構造であってもよい。
また、無反射構造もウィンドウ構造や多層膜コートであ
ってもよい。
(発明の効果) 従来の光フィルタ素子では、数チャンネルが限度であ
ったが、本発明の光フィルタ素子によって70チャンネル
迄の波長多重化された光信号からの任意の波長選択が可
能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の光フィルタ素子の構造を
示す斜視図である。第2図は本実施例の光フィルタ素子
のDBR領域と位相制御領域に同じ大きさの電流を流した
時の透過特性である。第3図は、位相シフト量が変化し
た時の透過特性である。 図において、 100……活性領域、200……DBR領域 110……基板、120……光ガイド層 130……バッファ層、140……活性層 150……クラッド層、160……クラッド層 170……SiN膜、210……位相制御領域

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】位相シフト構造を有する分布帰還領域と活
    性領域とが光学的に結合して直列に配置され、かつ素子
    の両端面が無反射構造になっており、かつ前記位相シフ
    ト領域が外部からシフト量制御可能であることを特徴と
    する光フィルタ素子。
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