JP3116912B2 - 半導体光集積素子及びそれを用いた光通信用モジュール並びに光通信システムとその製造方法 - Google Patents

半導体光集積素子及びそれを用いた光通信用モジュール並びに光通信システムとその製造方法

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JP3116912B2 JP10216674A JP21667498A JP3116912B2 JP 3116912 B2 JP3116912 B2 JP 3116912B2 JP 10216674 A JP10216674 A JP 10216674A JP 21667498 A JP21667498 A JP 21667498A JP 3116912 B2 JP3116912 B2 JP 3116912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第一の半導体導波
層と、前記第一の半導体導波層とはバンドギャップエネ
ルギーの異なる第二の半導体導波層とを含む半導体光集
積素子と、この半導体光集積素子を含む光通信用モジュ
ール並びに光通信システムと、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機金属気相成長法(以下、MOVPE と称
する)における、ストライプ状誘電体マスクを用いた選
択成長は、誘電体マスクの幅を変えることのみで誘電体
マスクに挟まれた成長領域に成長される半導体結晶の組
成及び層厚を変化させることができるため、光集積素子
等を作製する基本技術として研究が盛んに行われてい
る。選択成長による光素子の作製においては、InP 等の
半導体基板上に幅1.5 μm程度の成長領域をはさんだ一
対のストライプ状誘電体薄膜のマスクを形成し、MOVPE
を用いて、InGaAsP 等の結晶を選択的に成長させる。こ
のとき、成長領域に形成される結晶のバンドギャップ波
長組成及び結晶層厚は、前記誘電体マスク幅及び前記成
長領域幅を変えることのみで制御することが可能であ
る。誘電体マスク幅により波長組成を変化させることが
できる原理については、加藤らによって、ELECTRONICS
LETTERS 誌VOL.28, No.2(1992 年1 月16日号) 第153 ペ
ージから154 ページに記述されている。この技術を用い
ると、各機能部ごとに誘電体マスク幅及び成長領域幅を
変えた誘電体マスクパターンを用いて選択成長を行うこ
とにより、半導体レーザ、光変調器、光増幅器等の光素
子と受動光導波路を集積した光集積素子を一度の結晶成
長工程で一括して形成できるという大きな特徴を有す
る。このとき、各機能部間の境界はコア層がなめらかに
連続して形成されるためほとんど結合損を生じない。
【0003】また、マスク幅を変化させることにより、
結晶組成変化のみでなく結晶層厚も変化するため、これ
を利用したスポットサイズ変換導波路の一括形成なども
可能である。さらに、成長領域幅が光導波路のシングル
モード動作を維持する幅である場合、光導波路構造を半
導体エッチング工程なしで形成することが可能であるた
め、エッチングダメージのない高品質な導波路が得られ
る。これに対し、選択成長技術を用いない従来の光集積
素子の作製方法では、結晶成長と半導体エッチング工程
の繰り返しにより各機能部を形成するため、結晶成長や
プロセス工程の増加による歩留まり低下や、エッチング
ダメージによる活性層品質の低下、突き合わせ結合( バ
ットジョイント) により接続される各機能部間で結合損
失が生ずるなどの問題がある。
【0004】選択成長による光素子の例としては、例え
ば1997年春季応用物理学関係連合講演会講演予稿集No.3
の1085ページに記載のスポットサイズ変換(Spot-size c
onverter: 以下、SSC と称する)部付き半導体光増幅器
があげられる。近年、半導体光増幅器を電流注入型のス
イッチングゲートとして応用することが注目されてい
る。半導体光増幅器は一般的に50dB以上の高い消光比を
容易にとることができるため、低クロストークなマトリ
クス光スイッチを実現するためのスイッチングゲートと
して有望である。近年、半導体レーザ、半導体光増幅器
と光ファイバあるいは石英系光導波路とをレンズなしで
光結合するために、これらの光素子の入出射端にSSC を
集積する研究が盛んに行われている。SSC は半導体のコ
ア層断面積が素子端に向かい徐々に小さくなる構造であ
り、素子の入出射端に向かい信号光の光閉じ込めを弱く
することによりスポットサイズを拡大し、スポットサイ
ズの大きな光ファイバや石英系光導波路とレンズなしで
光結合したときの光結合特性を改善するものである。こ
の半導体光増幅器の素子構造及び素子作製方法を図12
及び図13を用いて説明する。
【0005】図13はこの半導体光増幅器の構造を模式
的に示した素子長手方向の断面斜視図である。この素子
では、偏光無依存な光増幅特性を得るために、InP 基板
110上に活性層108、P-InP クラッド層203、P-
InGaAsコンタクト層202を積層し、その表面をSiO2
113で覆い、かつ上面の開口にTi/Au 電極201を形
成したものである。ここで、前記活性層108の断面形
状が幅420nm 高さ300nm と正方形に近く、また活性層1
08はSSC 部102において素子の入出射端に向かい層
厚が徐々に薄くなる形状となっており、この構造により
信号光のスポットサイズの変換を行っている。活性層1
08の全体は前記した厚さ6 μmのp-InP クラッド層2
03で埋め込まれる。また、素子両端には反射戻り光低
減のための無反射被覆(AR コート)204および窓部1
01が形成されている。
【0006】図12は前記半導体光増幅器の活性層10
8を選択成長により形成するために用いた誘電体マスク
パターンの平面図であり、斜線部が誘電体マスク、ここ
ではSiO2マスクを示している。従来、活性層部103と
SSC 部102の活性層は二度の結晶成長工程により形成
されていたが、この報告例では選択成長のマスク開口幅
を0.7 μm程度に狭くし、さらにSSC 部102における
SiO2マスク幅を素子入出射端に向かって狭くすることに
より、活性層部103とSSC 部102を一括して成長し
ている。これにより半導体のエッチング工程を用いずに
活性層部103とSSC 部102を同時に形成することが
可能である。また、SSC 部を待たない従来の半導体光増
幅器と同様、活性層形成と埋め込み成長の二度の結晶成
長のみでSSC 付き半導体光増幅器が作製されている。
【0007】選択成長による光集積素子の例としては、
例えば、ELECTRONICS LETTERS vol.32の2265ページから
2266ページに記載のK. Hamamoto et.al.による1×4半
導体光増幅器ゲート型モノリシックマトリクス光スイッ
チが挙げられる。図4にこの素子の構成を模式的に示す
平面図を示した。同図のように、この光スイッチでは、
InP 基板110上の両端に設けた窓部101を除く受動
光導波路部301から半導体光増幅器部302の領域に
わたってY分岐型の受動光導波路402が形成され、か
つ4つの分岐路上にそれぞれ図13に示したような半導
体光増幅器404が形成されている。入力信号光401
は受動光導波路402を導波されて4分岐され、それぞ
れ半導体光増幅器404で増幅されて出力信号403と
して出力される。
【0008】また、図14にこの素子の作製に用いた選
択成長用マスクの平面図を示した。この例では、[011]
方向に活性層のストライプを持つ4つの半導体光増幅器
404とこれらを結ぶY分岐型の受動光導波路402を
選択成長時の誘電体(SiO2)マスク104の開口幅を変
化させることにより一括形成し、1入力4出力の分岐/
半導体光増幅器ゲート型マトリクス光スイッチを形成し
ている。半導体光増幅器部302及び受動光導波路部3
01のマスク開口幅をそれぞれ、30μm、6 μmとし、
成長圧力760Torr のMOVPE により両領域のコア層を一括
形成する。このとき、半導体光増幅器404及び受動光
導波路402における結晶のバンドギャップ波長はそれ
ぞれ1.55μm、1.40μmとなり、受動光導波路402は
波長1.55μmの信号光に対して吸収を持たない透明な組
成となる。このような光集積素子を従来の製造方法によ
り作製した場合、半導体光増幅器と受動光導波路部を二
度の結晶成長工程により別々に形成する必要があった
が、選択成長を用いることにより種々の光素子をより簡
便に作製することが可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、選択成長技術
を用いることにより種々の光集積素子の作製が容易にな
る反面、素子作製の自由度が制限されることが問題であ
った。例えば、図13に示したSSC 付き半導体光増幅器
では、SSC 部102におけるバンドギャップ波長は活性
層部103との境界からSSC 部102の先端に向けて短
くなり、SSC 部102の先端では波長1.55μmの信号光
に対して吸収を持たない組成となる。しかし、SSC 部1
02における組成変化は連続的であるため、SSC 部10
2の中央付近までは信号光とのバンドギャップ波長組成
差が十分でなく、信号光に対して吸収を持つ組成とな
る。このため、SSC 部102における光吸収損を補償す
るためにSCC 部102の一部に電極をかけて電流注入す
る必要があり、素子の駆動電流を大きくする要因となっ
ている。
【0010】また、選択成長技術を用いた光集積素子の
作製においては素子サイズの自由度が制限される。例え
ば、図4に示した1×4分岐半導体増幅器型マトリクス
光スイッチの場合には、半導体光増幅器部302と受動
光導波路部301を図14に示したSiO2マスク104を
用いて選択成長により一括形成する場合、受動光導波路
部301のバンドギャップ波長組成は信号光波長に対し
て光吸収を持たないような組成である必要があるため、
光増幅器部302に対する受動光導波路部301のマス
ク開口幅の上限は一意的に決定される。このとき受動導
波路部301のコア層厚も一意的に決定される。しか
し、このようにして決定された受動光導波路部301の
コア層は、埋め込み構造の光導波路としては光閉じ込め
が強くない構造であるため、曲線導波路形成時における
最小の曲率半径が数mm程度に制限される。従って、従来
の選択成長技術による作製方法では導波路形状を独立し
て最適化することが困難であるため、マトリクス規模の
大きな光スイッチや導波路格子型光合分波器の様な大規
模な光導波路を有する光集積素子の小型化を図ることが
困難であった。
【0011】本発明の目的は、素子の駆動電流を低減す
るとともに、光機能部と受動光導波路部の素子構造を独
立して最適化することで素子サイズの自由度を高め、光
集積素子の小型化を実現した半導体光集積素子とその製
造方法、及び当該光集積素子を用いた光通信用モジュー
ルと光通信システムを提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体基板上
にパターニングされた成長阻止マスクのマスク開口部に
有機金属気相成長法により半導体層を選択的に形成する
複数の工程によってバンドギャップエネルギーの異なる
複数の半導体導波層を形成することにより、複数の光機
能部からなる半導体光集積素子を製造する方法におい
て、前記成長阻止マスクとして少なくとも一つの材質に
よる第一の成長阻止マスクと、前記第一の成長阻止マス
クとは異なる材質による第二の成長阻止マスクを利用
し、前記第一の成長阻止マスクのマスク開口部に前記半
導体導波層を形成する際に、前記第二の成長阻止マスク
で前記第一の成長阻止マスクのマスク開口部を局所的に
覆い、或いは覆わない状態で前記複数の半導体導波層を
形成することを特徴とするものである。
【0013】すなわち、本発明の製造方法の第1の形態
としては、マスク開口部を有する前記第一の成長阻止マ
スクが形成された半導体基板上に、前記第一の成長阻止
マスクのマスク開口部を局所的に覆うように、前記第二
の成長阻止マスクを形成する工程と、前記第二の成長阻
止マスクにより覆われていない前記第一の成長阻止マス
クのマスク開口部に第一の半導体導波層を選択的に形成
する工程と、前記第二の成長阻止マスクを除去して前記
第一の成長阻止マスクを露出させる工程と、前記第一の
成長阻止マスクのマスク開口部にバンドギャップエネル
ギーの異なる第二の半導体導波層を選択的に形成する工
程を含んでいる。
【0014】また、本発明の製造方法の第2の形態とし
ては、マスク開口部を有する前記第一の成長阻止マスク
が形成された半導体基板上に、前記第一の成長阻止マス
クのマスク開口部を局所的に覆うように前記第二の成長
阻止マスクを形成する工程と、前記第二の成長阻止マス
クにより覆われていない前記第一の成長阻止マスクのマ
スク開口部に第一の半導体導波層を選択的に形成する工
程と、前記第二の成長阻止マスクを除去して前記第一の
成長阻止マスクを露出させる工程と、前記第一の半導体
導波層の表面に別の第二の成長阻止マスクを形成する工
程と、前記別の第二の成長阻止マスクにより覆われてい
ない前記第一の成長阻止マスクのマスク開口部にバンド
ギャップエネルギーの異なる第二の半導体導波層を選択
的に形成する工程を含んでいる。
【0015】さらに、本発明の製造方法の第3の形態と
しては、半導体基板上にマスク開口部を有する前記第1
の成長阻止マスクが形成し、前記第一の成長阻止マスク
のマスク開口部に第一の半導体導波層を選択的に形成す
る工程と、前記第一の半導体導波層を局所的に覆うよう
に第二の成長阻止マスクを形成する工程と、前記第二の
成長阻止マスクに覆われていない前記第一の半導体導波
層を選択的に除去する工程と、前記第二の成長阻止マス
クに覆われていない前記第一の成長阻止マスクのマスク
開口部にバンドギャップエネルギーの異なる第二の半導
体導波層を選択的に形成する工程を含むことを特徴とす
る請求項1又は2に記載半導体光集積素子の製造方法。
【0016】ここで、前記本発明の製造方法において
は、前記第一の成長阻止マスクのマスク開口部の幅が3
μm以下であることが好ましい。また、前記第一の半導
体導波層として少なくとも量子井戸層を形成し、前記第
二の半導体導波層としてバルク半導体層を形成する。ま
た、前記成長阻止マスクの材質として少なくとも2種類
の誘電体薄膜を使用する。例えば、前記成長阻止マスク
の材質としてSiO2およびSiN を使用する。
【0017】また、本発明の半導体光集積素子は、導波
路領域の一部に選択的に形成された第一の半導体導波層
と、前記導波路領域全体に選択的に形成されているとと
もに、前記第一の半導体導波層を覆うように形成された
バンドギャップエネルギーの異なる第二の半導体導波層
を備えることを特徴とする。あるいは、導波路領域の一
部に選択的に形成された第一の半導体導波層と、前記第
一の半導体導波層の形成されていない前記導波路領域に
選択的に形成されたバンドギャップエネルギーの異なる
第二の半導体導波層を備えることを特徴とする。ここ
で、前記第一の半導体導波層が少なくとも量子井戸層を
含み、前記第二の半導体導波層がバルク半導体層からな
ることを特徴とする。あるいは、前記第一の半導体導波
層が電流注入あるいは電圧印加型の光機能部であり、前
記第二の半導体導波層が受動光導波路であることを特徴
とする。
【0018】さらに、本発明は、前記した半導体光集積
素子を用い、これに前記半導体光集積素子からの出力光
を外部に導波するための導波手段と、前記導波手段に前
記半導体光集積素子からの出力光を集光するための集光
手段と、前記半導体光集積素子を駆動するための駆動手
段とを有する光通信用モジュールとして構成する。ある
いは、前記半導体光集積素子と、前記半導体光集積素子
に入力光を導波させるための導波手段と、前記導波手段
から前記半導体光集積素子へ入力光を集光するための集
光手段と、前記半導体光素子からの出力光を外部に導波
するための導波手段と、前記導波手段に前記半導体光集
積素子からの出力光を集光するための集光手段と、前記
半導体光集積素子を駆動するための駆動手段とを有する
光通信用モジュールとして構成する。さらに、これらの
光通信用モジュールを用い、送信手段と受信手段とを備
える光通信システムとして構成する。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図8から図10は本発明の第1から
第3の各実施形態をそれぞれ説明するための図であり、
光機能部と受動光導波路からなる光集積素子のそれぞれ
異なる作製プロセス例におけるマスクパターンの平面図
及び、該マスクパターンを用いて形成したコア層のスト
ライプ方向に平行な方向の側面図を模式的に示したもの
である。また、以下に説明する素子作製法は、選択成長
時において、主として導波路幅及び選択成長時に形成さ
れる結晶組成を決定する第一のマスク材質からなるパタ
ーンと、主として光伝搬方向における各機能部の長さを
決定する第二のマスク材質からなるパターンを使用する
点で共通している。
【0020】図8は本発明の第1の実施形態の素子作製
プロセスを説明するための図である。はじめに、同図
(a)において、半導体基板804上に第一のマスク材
質802により、光機能部801及び受動光導波路部3
01を選択成長するためのマスクパターンを形成する。
つぎに全面に第二のマスク材質803を一様に堆積した
後、導波路形成領域105の受動光導波路部301を覆
う形状のパターニングを施す。このマスクを用いて、光
機能部801の導波路形成領域105に活性層108を
MOVPE により選択的に形成する。次いで、同図(b)に
おいて、活性層108を形成した後、第二のマスク材質
803のみを選択的にエッチングするエッチング手段を
用いて第二のマスク材質803を除去する。第二のマス
ク材質803を除去したことにより現れる第一のマスク
材質802からなるパターンを用いて、活性層よりも十
分にバンドギャップ波長が大きく、信号光に対して光吸
収をもたない組成のコア層112を受動光導波路部30
1の導波路形成領域105及び光機能部801の活性層
108上に自己整合的に選択成長により形成する。
【0021】このような容易な素子作製プロセスによ
り、光吸収損の少ない受動光導波路301を作製でき
る。本作製方法は、従来と比較し結晶成長工程が1回増
えるものの、導波路形成において半導体のエッチング工
程を含まない、活性層108とコア層112がなめらか
に接続されるため結合損を小さくできる、という従来の
選択成長の特徴を生かしたまま、光機能部801と受動
光導波路部301の素子構造を独立して最適化すること
が可能な点で大きな特徴がある。このため、光集積素子
作製時には、従来の選択成長技術では実現できなかった
曲率半径が500 μm以下の埋め込み構造曲線光導波路を
実現できる。さらに、埋め込み構造のみならず、コア層
を埋め込まないハイメサ型導波路構造や、リッジ構造型
導波路構造の受動光導波路の形成も可能であり、この場
合受動導波路の埋め込み成長工程が不要である利点があ
る。また、他の特徴として、本作製方法において二度の
結晶成長の間に入るプロセス工程は第二のマスク材質8
03の除去のみであり、結晶成長の合間に入るプロセス
工程による歩留まり低下のリスクを結晶成長の前工程に
位置させることができるため、素子作製の歩留まり向上
を図ることが可能である。
【0022】図9は本発明の第2の実施形態の素子作製
プロセスを説明する図である。同図(a)において、第
1の実施形態と同様に、第一のマスク材質802及び第
二のマスク材質803により形成したパターンを用い
て、活性層108をMOVPE により選択的に形成する。次
いで、図9(b)において、活性層108を形成した
後、第二のマスク材質803のみを選択的にエッチング
するエッチング手段により第二のマスク材質803を除
去する。つぎに、同図(c)において、再度の第二のマ
スク材質803Aの基板全面への堆積とパターニング工
程により、活性層108上部を覆う形状のパターンを形
成する。その後受動光導波路部301にのみ、活性層ス
トライプに対して自己整合的に選択成長を行いコア層1
12を形成する。以上の素子作製プロセスにより、受動
光導波路部301のコア層112と光機能部801の活
性層108とが突き合わせ結合( バットジョイント) さ
れた構造の光集積素子を作製できる。本作製方法におい
ても、導波路形成において半導体のエッチング工程を含
まず、光機能部801と受動光導波路部301の素子構
造を独立して最適化することが可能である。
【0023】図10は本発明の第3の実施形態の素子作
製プロセスを説明する図である。はじめに、同図(a)
において、第一のマスク材質802により形成したパタ
ーンを用いて、光機能部801および受動光導波路部3
01の導波路形成領域105に活性層108を選択成長
する。この工程は従来例の素子作製法による一括形成工
程と同一である。つぎに、同図(b)において、第二の
マスク材質803の基板全面への堆積とパターニング工
程により、光機能部801の活性層上部を覆う形状のパ
ターンを形成する。その後、受動光導波路部301と導
波路形成領域105に形成された活性層108をエッチ
ングにより除去する。その後、同図(c)において、第
一及び第二のマスク材質802,803からなるパター
ンを用いて、活性層ストライプに対し、自己整合的に受
動光導波路部301のコア層112を形成する。以上の
素子作製プロセスにより、コア層112と活性層108
とが突き合わせ結合( バットジョイント) された構造の
光集積素子の導波路構造を作製できる。本作製方法で
は、はじめに受動光導波路部301に形成された活性層
108をエッチング工程により除去する工程を含むが、
第1及び第2の実施形態の作製方法と同様、活性層10
8とコア層112を選択的に、かつ自己整合的に形成で
きる上に、光機能部801と受動光導波路部301の素
子構造を独立して最適化することが可能である。
【0024】さらに本作製法は、埋め込み成長まで含め
て考えた場合の工程上の利点が大きい。即ち、前述した
工程において受動光導波路部301にコア層112を選
択的に形成するために活性層108の上部に形成された
第二のマスク材質803によるパターンを、受動光導波
路部301における第一のマスク材質802によるパタ
ーンのみを選択的にエッチングするマスクとして使用で
きる。図11に光機能部801と受動光導波路部301
における断面図を示す。図11(a)は受動光導波路部
301のコア層112を成長した後の状態を示す。次い
で、同図(b)のように、活性層108の上部を覆う第
二のマスク材質803によるパターンをマスクとして、
受動光導波路部301の第一のマスク材質802による
パターンを選択的に除去し、受動光導波路部301のみ
をアンドープクラッド層205で埋め込む。最後に、同
図(c)のように、すべてのマスクパターンを除去して
全面にpドープクラッド層203で光機能部801の活
性層108を埋め込む工程により、受動光導波路の低損
失化を実現できる。
【0025】以上述べたように、本発明による光集積素
子作製技術を用いることにより、選択成長技術を用いた
光集積素子作製の自由度が飛躍的に向上する。本発明に
おける概念上最も重要な点は、はじめに形成された第一
のマスク材質802によるパターンを、2回目以降の結
晶成長工程においても導波路幅及び位置を決定するパタ
ーンとして使用することである。これにより、2回目以
降の結晶成長による導波路構造を、最初の成長で形成さ
れた導波路に対して自己整合的に形成することが可能と
なる。また、本発明による素子作製は、第一のマスク材
質802によるパターン上に第二のマスク材質803に
よるパターンを形成する工程、および第一のマスク材質
802によるパターン上の第二のマスク材質803によ
るパターンを選択的に除去する工程、および第一のマス
ク材質802によるパターン上の第二のマスク材質80
3によるパターンをエッチングマスクとして用いて、第
一のマスク材質802によるパターンを選択的に除去す
る工程を必要とするが、これは第二のマスク材質803
もしくは第一のマスク材質802のみを選択的にエッチ
ングするエッチング手段か、或いは第一のマスク材質8
02と第二のマスク材質803のエッチング速度を大き
く異ならせることにより一方のマスク材質のみを選択的
にエッチングするエッチング手段を用いることより可能
となる。
【0026】
【実施例】(第1の実施例)第1の実施例である、スポ
ットサイズ変換導波路付き半導体光増幅器について説明
する。図1は本素子の活性層を選択成長で形成する際に
用いる誘電体マスクパターンの平面図及び該マスクパタ
ーンを使用して形成した導波路構造を示す素子断面図で
ある。である。図2は本素子の構造を表す素子長手方向
の断面斜視図である。以下に、素子の具体的な作製方法
について説明する。はじめに、図1(a)において、n-
InP 基板110上に第一のマスク材質であるSiO2膜を10
0nm 成膜したのち、入出力導波路のストライプ方向が[0
11] 方位となるように選択成長用パターンを形成した。
前記SiO2マスク104は活性層部103、SSC 部10
2、および窓部101からなる。活性層部103でのマ
スク幅は6 μmとした。SSC 部102では素子の入出射
端に向かい、マスク幅が25μmから4 μmまで徐々に狭
くなる形状とした。前記SiO2マスク104のマスク開口
幅は素子各部にわたり0.7 μmで一定とした。次に、基
板110の全面に第二のマスク材質であるSiN 膜を100n
m 成膜したのち、SSC 部102及び窓部101の導波路
形成領域105を覆うような形状のSiN マスク106を
形成した。このときSiN 膜のエッチング液としてはリン
酸を使用し、SiN 膜のみが選択的にエッチングされるよ
うにした。以上のように形成したSiO2マスク104及び
SiN マスク106を用いて波長組成1.3 μmの無歪InGa
AsP からなる下部SCH 層109を50nm、波長組成1.5 μ
mの無歪InGaAsP からなる活性層108を250nm 、上部
InP 層107を10nm、成長圧力760Torr のMOVPE 選択成
長により順次形成した。
【0027】次に、図1(b)において、SiN マスク1
06をリン酸により除去し、SiO2マスク104が全面に
現れるようにし、このSiO2マスク104のパターンを用
いて波長組成1.3 μmの無歪InGaAsP からなるコア層1
12及び活性層部103の上部SCH 層111を一括形成
した。SSC 部102は、SiO2マスク104の開口幅が活
性層部103から素子の入出射端に向かい25μmから4
μmまで緩やかに減少するパターンを使用したため、コ
ア層厚が300nm から100nm まで徐々に薄くなるテーパ形
状となる。これにより素子の入出射端において信号光の
光スポットサイズが拡大される。活性層部103の断面
形状は上下にSCH 層109,111を有する構造となっ
ており、活性層断面積が従来よりも小さくなった結果、
素子の飽和出力特性の改善が期待できる。活性層部10
3とSSC 部102の境界は、2 回目の結晶成長により形
成された上部SCH 層111とSSC 部102のコア層11
2が共通しているため滑らかに結合されており、過剰な
損失は生じない。
【0028】次に、図2を参照して、導波路形成領域以
外のInGaAsP 成長層をエッチングにより除去した。その
後活性層形成に使用したSiO2マスク104を除去し、基
板全面にわたり、ドーピング濃度7.0 ×1017/cm3のp-In
P クラッド層203(層厚6μm) およびドーピング濃
度1.0 ×1019/cm3のp-InGaAsコンタクト層202(層厚
100nm)をMOVPE により形成した。埋め込み成長の後、Si
O2膜を全面に形成し、メサ形成のためのパターニングを
施し、反応性イオンエッチング法(RIBE)により活性層メ
サを形成した。その後再びSiO2膜113を全面に形成
し、Ti-Au 電極201のコンタクト窓をパターニングし
た。その後、Ti-Au スパッタ膜を全面にスパッタしたの
ち、Ti-Au 電極201のパターニングを行った。つぎ
に、InP 基板110の裏面の研磨と裏面電極(図2には
記載されていない)形成、劈開による素子端面の形成を
行った。最後に劈開後の素子端面にSiON膜により無反射
被覆(AR コート)204を形成し、図2に示した素子の
作製を完了した。
【0029】このように作製された図2の半導体光増幅
器について、はじめに、半導体光増幅器とフラット端フ
ァイバとの光結合損失を測定した。フラット端ファイバ
を近づけた後、外部からファイバを通して光挿入し半導
体光増幅器に流れるフォトカレントを測定した。これよ
りファイバと本半導体光増幅器間の光結合損失は片側1.
5dB と見積もられた。次に本半導体光増幅器の利得特性
を測定した。半導体光増幅器に10mAを電流注入し、波長
λ=1.55 μm、強度-10dBmの信号光をファイバを通して
入力をしたところ、挿入損失無し(ファイバ間利得0dB
)で出力側ファイバから信号光が出力された。なお、
比較のため、従来の選択成長技術により作製した素子に
ついても同様に光結合損を測定した結果、光結合損は3.
0dB であった。即ち、本実施例により作製した素子のSS
C 部102は活性層部103と独立して最適化可能であ
ったため最適なSSC 形状を有し、約1.5dB の光結合損の
低減が図られた。つぎに、従来素子の利得特性の測定を
行ったところ、ファイバ間利得0dB となる注入電流は30
mAであった。即ち本実施例の素子作製方法により、SSC
部102の光吸収損は大幅に低減されたため、動作電流
を20mA低減することができた。
【0030】(第2の実施例)第2の実施例である1×
4半導体光増幅器ゲート型モノリシックマトリクス光ス
イッチについて説明する。図4は従来技術の説明で準用
したが、本素子の構成を示した平面図である。また、図
3は本素子の活性層および受動分岐光導波路のコア層を
選択成長により形成する際に使用した誘電体マスクパタ
ーンの平面図である。本素子の素子構成は従来例で示し
たマトリクス光スイッチと同一であり、4つの半導体光
増幅器404とこれらを結ぶY分岐型の受動光導波路4
02により1入力4出力の分岐/半導体光増幅器ゲート
型マトリクス光スイッチを形成している。
【0031】本素子の作製方法の埋め込み成長以後の工
程は第1の実施例のSSC 付き半導体光増幅器と同一であ
るため、簡単に述べるにとどめる。はじめに、図3
(a)において、n-InP 基板110上に第一のマスク材
質であるSiO2膜を100nm 成膜したのち、入出力導波路の
ストライプ方向が[011] 方位となるように選択成長用パ
ターンを形成した。SiO2マスク104は光増幅器部30
2、および受動光導波路部301からなり、マスク幅及
びマスク開口幅はそれぞれ25μm、0.7 μmで素子各部
にわたり一定とした。つぎに基板110の全面に第二の
マスク材質であるSiN 膜を100nm 成膜したのち、受動光
導波路部301を覆うような形状のSiN マスク106を
形成した。このときSiN 膜のエッチング液としてはリン
酸を使用し、SiN 膜のみが選択的にエッチングされるよ
うにした。以上のように形成したSiO2マスク104及び
SiN マスク106からなるパターンを用いて、図1を参
照して、波長組成1.5 μmの無歪InGaAsP からなる活性
層108を300nm 、InP 上部クラッド層107を10nm、
MOVPE 選択成長により順次形成した。
【0032】次に、図3(b)において、SiN マスク1
06をリン酸により除去し、SiO2マスク104が全面に
現れるようにした。その後再び基板全面にSiN 膜を100n
m 成膜したのち、今度は半導体光増幅器部302を覆う
ような形状のSiN マスク106Aを形成した。このパタ
ーンを用いて波長組成1.3 μmの無歪InGaAsP からなる
受動光導波路部301のコア層112を300nm 、MOVPE
により選択成長した。このため半導体光増幅器部302
と受動光導波路部301の境界は突き合わせ結合により
連結されているが、半導体エッチングを含まない素子作
製工程により、損失は抑えられている。その後、半導体
光増幅器部302に形成されたSiN マスク106Aをマ
スクとして、受動光導波路部301および窓部101の
SiO2マスク104をバッファードフッ酸のエッチング時
間を適切に設定することにより選択的に除去し、受動光
導波路部301を2μm厚のアンドープInP 層で埋め込
んだ。次に、半導体光増幅器部302に形成されたSiN
マスク106AおよびSiO2マスク104を順次除去した
後、図2を参照して、基板全面をドーピング濃度7.0 ×
1017/cm3のp-InP クラッド層 (層厚2 μm) 203およ
びドーピング濃度1.0 ×1019/cm3のp-InGaAsコンタクト
層( 層厚40nm) 202で埋め込んだ。埋め込み成長の
後、SiO2膜を全面に形成し、メサ形成のためのパターニ
ングを施し、RIBEにより活性層メサを形成した。その
後、Ti-Au 電極パターンニング工程、裏面電極形成工
程、劈開による素子端面形成工程、無反射被覆(AR コー
ト) 形成工程を経て、素子の作製を完了した。
【0033】本素子では受動光導波路301のコア層1
12を半導体光増幅器部302の活性層108と独立に
形成した結果、曲率半径300 μmの光閉じ込めの強い光
導波路構造を実現でき、1×4分岐のY分岐光導波路の
長さを850 μmに低減できた。その結果、素子サイズが
1000×1400μmとなり、従来例の素子サイズである1000
×5000μmと比較し大幅な小型化が図られた。このよう
に、本実施例によるマトリクス光スイッチは従来構造と
比較し素子の大幅な小型化が図られ、マトリクス規模の
拡大が容易であり、4×4、1×8、8×8等のモノリ
シック集積型マトリクス光スイッチを実現するために有
効であることが明らかになった。
【0034】次に、前記第1の実施例、第2の実施例で
作製された光素子を用いて光通信モジュール、光通信シ
ステムを構築した実施例を第3ないし第5の実施例とし
て説明する。 (第3の実施例)図5はサブマウント504上に半導体
光集積素子501として第1の実施例のスポットサイズ
変換部付き半導体光増幅器を固定し、その光軸上の両素
子端において光ファイバ502を光結合させ、さらに駆
動回路505を内蔵した光通信用中継モジュール503
である。本モジュールを用いれば、毎秒10ギガビット程
度の高速光信号の光経路切り替えにおいて、低消費電
力、高ON/OFF比の光スイッッチングが可能となる。
【0035】(第4の実施例)図6はサブマウント50
4上に第2の実施例の1×4半導体光増幅器ゲート型モ
ノリシックマトリクス光スイッチ501と、その入出力
光導波路の光軸上にそれぞれ光ファイバ502をレンズ
505,601を介して光結合させ、さらに駆動回路6
03を内蔵した光通信用中継モジュール602である。
本モジュールを用いれば、毎秒10ギガビット程度の高速
光信号の光経路切り替えにおいて、小型、低消費電力、
高ON/OFF比の光スイッチング特性が容易に得られる。
【0036】(第5の実施例)図7は第4の実施例の光
通信用中継モジュール602を用いたクロスコネクト系
光通信システムである。送信装置701は送信モジュー
ル703と、このモジュールを駆動するための駆動系7
02とを有する。送信モジュール703からの光信号
は、光ファイバ502で伝送され、光通信用中継モジュ
ール602及び中継モジュール駆動系705を有する中
継装置704により光経路を選択されたのちさらに光フ
ァイバ502で伝送され、受光部706を有する受信装
置707により受信される。本実施例に係る光通信シス
テムによれば、低消費電力、低クロストークでスケーラ
ビリティに優れた光クロスコネクトシステムを容易に構
築できる。
【0037】なお、本発明は前記各実施例の構成に限定
されるものではない。実施例としては、InP 系のSSC 部
付き半導体光増幅器、および半導体モノリシック集積型
マトリクス光スイッチの例のみを示したが、この実施例
に限る必要はない。例えば、SSC 部付き半導体レーザ、
SSC 部付きDFB レーザ/EA 変調器集積化光源、発振波長
の異なる複数のDFB レーザと光合波器、EA変調器、半導
体光増幅器により構成された波長選択光源、複数の半導
体光増幅器とアレイ導波路格子型光合・分波器(AWG) に
より構成される多波長レーザ、マッハツェンダ干渉器と
半導体光増幅器により構成される波長変換素子など、あ
らゆる形態の光集積素子に対して本発明は適用可能であ
る。
【0038】また、本発明では、分布帰還型半導体レー
ザ(DFBレーザ) 、分布ブラッグ反射器型半導体レーザ(D
BRレーザ) 、半導体光増幅器、電界吸収(EA)型半導体光
変調器、マッハツェンダ型半導体光変調器、電流注入型
分岐光スイッチ、半導体受光素子等の光機能部のコア層
を量子井戸構造とし、受動光導波路部のコア層をバルク
構造とすることが可能である点でも光集積素子作製の自
由度が拡げられている。例えば、実施例のSSC 部付き半
導体光増幅器及び半導体モノリシック集積型マトリクス
光スイッチにおいても、半導体光増幅器部の活性層を量
子井戸構造とし、SSC 部あるいは受動光導波路部のコア
層をバルク構造とすることも可能である。
【0039】さらに、本発明に使用するマスク材は、選
択エッチング工程において他のマスク材に対して完全な
選択性を有する材質である必要は必ずしもなく、他のマ
スク材のエッチングレートと充分に異なるエッチングレ
ートを有する材質であればよい。また、従来の選択成長
のマスク材質としては一般的に用いられる誘電体膜のみ
ならず、タングステンなどの金属をはじめ、選択成長可
能な全てのマスク材に対して本発明は適用可能である。
さらに、3種類以上のマスク材質を使用することにより
素子作製の自由度をさらに拡大することが可能である。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による光集積
素子の製造方法によれば、活性層や光導波路を選択成長
によって自己整合的に形成するという特徴を活かしたま
ま、各層のバンドギャップ波長や層厚を独立に設定する
ことができ、選択成長技術を用いた光集積素子作製の自
由度が飛躍的に向上する。これにより、光機能部と受動
光導波路部の素子構造を独立して最適化することが可能
となり、従来の選択成長技術では実現できなかった曲率
半径の小さい埋め込み構造曲線光導波路が形成できる等
のように素子サイズの自由度を高めて光集積素子の小型
化を実現するとともに、素子の駆動電流を低減すること
が可能となる。本発明は光素子単体だけに留まらず、本
発明の光素子を構成要素に持つ光通信モジュールや光通
信システムの性能を著しく向上させることが可能であ
り、光通信モジュールや光通信システムのスケーラビリ
ティ向上に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である半導体光増幅器の作
製に使用する誘電体マスクパターンを示す平面図及び該
マスクパターンを使用して形成した導波路構造を示す素
子断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例である半導体光増幅器の
構造を示す断面斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施例であるY分岐/ 半導体光
増幅器ゲート型1×4モノリシックマトリクス光スイッ
チを製作する際に用いられる選択成長マスクの形状を示
す平面図及び該マスクパターンを使用して形成した導波
路構造を示す素子断面図である。
【図4】本発明により製造される半導体光増幅器の第二
の実施例である、Y分岐/ 半導体光増幅器ゲート型1×
4モノリシックマトリクス光スイッチの構造を示す平面
図である。
【図5】本発明の第3の実施例である光中継モジュール
の構成を説明するための平面構成図である。
【図6】本発明の第4の実施例である中継モジュールの
構成を説明するための平面構成図である。
【図7】本発明の第5の実施例である光通信システムの
構成を説明するための平面構成図である。
【図8】本発明の半導体光素子の作製方法の第1の実施
形態における選択成長用マスクの形状を示す平面図及び
該マスクパターンを使用して形成した導波路構造を示す
素子断面図である。
【図9】本発明の半導体光素子の作製方法の第2の実施
形態における選択成長用マスクの形状を示す平面図及び
該マスクパターンを使用して形成した導波路構造を示す
素子断面図である。
【図10】本発明の半導体光素子の作製方法の第3の実
施形態における選択成長用マスクの形状を示す平面図及
び該マスクパターンを使用して形成した導波路構造を示
す素子断面図である。
【図11】第3の実施形態における、光機能部および受
動光導波路部における断面図である。
【図12】選択成長技術を用いて作製した半導体光素子
の従来例であるスポットサイズ変換部付き半導体光増幅
器の作製に用いられる誘電体マスクパターンの形状を示
す平面図である。
【図13】選択成長技術を用いて作製した半導体光素子
の従来例であるスポットサイズ変換部付き半導体光増幅
器の構造を示す断面斜視図である。
【図14】選択成長技術を用いて作製した半導体光素子
の従来例であるY分岐/ 半導体光増幅器ゲート型1×4
モノリシックマトリクス光スイッチを製作する際に用い
られる選択成長マスクの形状を示す平面図である。
【符号の説明】
101 窓部 102 SSC 部 103 活性層部 104 SiO2マスク(第一マスク) 105 導波路形成領域 106 SiN マスク(第二マスク) 107 InP 層 108 活性層 109 下部SCH 層 110 InP 基板 111 上部SCH 層 112 コア層 113 SiO2膜 201 Ti/Au 電極 202 p-InGaAsコンタクト層 203 p-InP クラッド層 204 ARコート 205 アンドープInP クラッド層 301 受動光導波路部 302 半導体光増幅器部 401 入力信号光 402 受動分岐光導波路 403 出力信号光 404 半導体光増幅器 501 半導体光集積素子 502 光ファイバ 503 光通信用送信モジュール 504 サブマウント 505 駆動回路 601 レンズ 602 光通信用中継モジュール 603 駆動回路 701 送信装置 702 送信モジュール駆動系 703 光通信用送信モジュール 704 中継装置 705 中継モジュール駆動系 706 受光部 707 受信装置 801 光機能部 802 第一のマスク材質 803 第二のマスク材質 804 半導体基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−226563(JP,A) 特開 平7−202334(JP,A) 特開 平8−292336(JP,A) 特開 平5−275356(JP,A) 特開 平9−252165(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上にパターニングされた成長
    阻止マスクのマスク開口部に有機金属気相成長法により
    半導体層を選択的に形成する複数の工程によってバンド
    ギャップエネルギーの異なる複数の半導体導波層を形成
    することにより、複数の光機能部からなる半導体光集積
    素子を製造する方法において、前記成長阻止マスクとし
    て少なくとも一つの材質による第一の成長阻止マスク
    と、前記第一の成長阻止マスクとは異なる材質による第
    二の成長阻止マスクを利用し、前記第一の成長阻止マス
    クのマスク開口部に前記半導体導波層を形成する際に、
    前記第二の成長阻止マスクで前記第一の成長阻止マスク
    のマスク開口部を局所的に覆い、或いは覆わない状態で
    前記複数の半導体導波層を形成することを特徴とする半
    導体光集積素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第一の成長阻止マスクのマスク開口
    幅によって複数の前記半導体導波層の幅を決定するとと
    もに、前記第二の成長阻止マスクによって複数の前記半
    導体導波層の形成位置を規定することを特徴とする請求
    項1に記載の半導体光集積素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 マスク開口部を有する前記第一の成長阻
    止マスクが形成された半導体基板上に、前記第一の成長
    阻止マスクのマスク開口部を局所的に覆うように、前記
    第二の成長阻止マスクを形成する工程と、前記第二の成
    長阻止マスクにより覆われていない前記第一の成長阻止
    マスクのマスク開口部に第一の半導体導波層を選択的に
    形成する工程と、前記第二の成長阻止マスクを除去して
    前記第一の成長阻止マスクを露出させる工程と、前記第
    一の成長阻止マスクのマスク開口部にバンドギャップエ
    ネルギーの異なる第二の半導体導波層を選択的に形成す
    る工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の
    半導体光集積素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 マスク開口部を有する前記第一の成長阻
    止マスクが形成された半導体基板上に、前記第一の成長
    阻止マスクのマスク開口部を局所的に覆うように前記第
    二の成長阻止マスクを形成する工程と、前記第二の成長
    阻止マスクにより覆われていない前記第一の成長阻止マ
    スクのマスク開口部に第一の半導体導波層を選択的に形
    成する工程と、前記第二の成長阻止マスクを除去して前
    記第一の成長阻止マスクを露出させる工程と、前記第一
    の半導体導波層の表面に別の第二の成長阻止マスクを形
    成する工程と、前記別の第二の成長阻止マスクにより覆
    われていない前記第一の成長阻止マスクのマスク開口部
    にバンドギャップエネルギーの異なる第二の半導体導波
    層を選択的に形成する工程を含むことを特徴とする請求
    項1又は2に記載の半導体光集積素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 半導体基板上にマスク開口部を有する前
    記第1の成長阻止マスクが形成し、前記第一の成長阻止
    マスクのマスク開口部に第一の半導体導波層を選択的に
    形成する工程と、前記第一の半導体導波層を局所的に覆
    うように第二の成長阻止マスクを形成する工程と、前記
    第二の成長阻止マスクに覆われていない前記第一の半導
    体導波層を選択的に除去する工程と、前記第二の成長阻
    止マスクに覆われていない前記第一の成長阻止マスクの
    マスク開口部にバンドギャップエネルギーの異なる第二
    の半導体導波層を選択的に形成する工程を含むことを特
    徴とする請求項1又は2に記載半導体光集積素子の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記第一の成長阻止マスクのマスク開口
    部の幅が3μm以下であることを特徴とする請求項1な
    いし5のいずれかに記載の半導体光集積素子の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記第一の半導体導波層として少なくと
    も量子井戸層を形成し、前記第二の半導体導波層として
    バルク半導体層を形成することを特徴とする請求項1な
    いし6のいずれかに記載の半導体光集積素子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記第一、第二の各成長阻止マスクの材
    質として少なくとも2種類の誘電体薄膜を使用すること
    を特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の半導
    体光集積素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記成長阻止マスクの材質としてSiO2
    よびSiN を使用することを特徴とする請求項8に記載の
    半導体光集積素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 基板上の導波路領域の一部に選択的に
    形成された第一の半導体導波層と、前記導波路領域全体
    に選択的に形成されているとともに、前記第一の半導体
    導波層を覆うように形成されたバンドギャップエネルギ
    ーの異なる第二の半導体導波層とを備えることを特徴と
    する半導体光集積素子。
  11. 【請求項11】 基板上の導波路領域の一部に選択的に
    形成された第一の半導体導波層と、前記第一の半導体導
    波層の形成されていない前記導波路領域に選択的に形成
    されたバンドギャップエネルギーの異なる第二の半導体
    導波層とを備えることを特徴とする半導体光集積素子。
  12. 【請求項12】 前記第一の半導体導波層が少なくとも
    量子井戸層を含み、前記第二の半導体導波層がバルク半
    導体層からなることを特徴とする請求項10又は11に
    記載の半導体光集積素子。
  13. 【請求項13】 前記第一の半導体導波層が電流注入あ
    るいは電圧印加型の光機能部であり、前記第二の半導体
    導波層が受動光導波路であることを特徴とする請求項1
    0又は11に記載の半導体光集積素子。
  14. 【請求項14】 請求項10から13のいずれかに記載
    の半導体光集積素子と、前記半導体光集積素子からの出
    力光を外部に導波するための導波手段と、前記導波手段
    に前記半導体光集積素子からの出力光を集光するための
    集光手段と、前記半導体光集積素子を駆動するための駆
    動手段とを有することを特徴とする光通信用モジュー
    ル。
  15. 【請求項15】 請求項10から13のいずれかに記載
    の半導体光集積素子と、前記半導体光集積素子に入力光
    を導波させるための導波手段と、前記導波手段から前記
    半導体光集積素子へ入力光を集光するための集光手段
    と、前記半導体光素子からの出力光を外部に導波するた
    めの導波手段と、前記導波手段に前記半導体光集積素子
    からの出力光を集光するための集光手段と、前記半導体
    光集積素子を駆動するための駆動手段とを有することを
    特徴とする光通信用モジュール。
  16. 【請求項16】 請求項14又は15に記載の光通信用
    モジュールと、送信手段及び受信手段とを備えることを
    特徴とする光通信システム。
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