JPH0714877B2 - メタリセニウム塩および癌の治療における細胞増殖抑制剤としてのその使用 - Google Patents

メタリセニウム塩および癌の治療における細胞増殖抑制剤としてのその使用

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JPH0714877B2
JPH0714877B2 JP60501069A JP50106985A JPH0714877B2 JP H0714877 B2 JPH0714877 B2 JP H0714877B2 JP 60501069 A JP60501069 A JP 60501069A JP 50106985 A JP50106985 A JP 50106985A JP H0714877 B2 JPH0714877 B2 JP H0714877B2
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Description

【発明の詳細な説明】 メタリセニウム化合物はメタロセンの化学的あるいは電
気化学的−電子酸化によって形成される(ウィルキンソ
ンなど(Wilkinson et al.)によって1952年、ジャーナ
ル オブアメリカン ケミカル ソサイアティ(J.Am.C
hem.Soc.),74,2125,に発表された論文および1952年、
ニューヨークのウィリイ(Wiley)社から発行されたロ
ーゼンブルム(Rosenblum)による「鉄族メタロセンの
化学」(Chemistry of the Iron Group Metallocenes)
参照)。それらは、塩形の物質で、あるものは親水性も
しくは水溶性でさえある。これらの化合物では、シクロ
ペンタジエン環が、5価の原子価で中心金属原子と結合
した形となっている。
現在、メタリセニウム化合物が化学治療作用を有し、特
に細胞増殖抑制特性を示すことが見いだされている。
本発明は、以下の一般式I; ▲〔(η-CH5-xRx)M(η-CH5-yR′y)〕m+ a
〔A〕bn- (I) で表わされるメタロセリウム塩に関する。
上記式において、MはFe、Co、Ni、RuもしくはOsであ
り、C5H5-xRxおよびC5H5-yR′yは環状シクロペンタジ
エニル基を表し、たがいに同一である必要はなく、未置
換(x、y=0)もしくは、モノ−、ジ−、トリ−、テ
トラあるいはペンタ置換体(x、y=1、2、3、4も
しくは5)でありうる。またRとR′とは互いに同一で
ある必要はなく、同一または違った置換基を表し、アル
キル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノア
ルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アリール、
アラルキル、フェロセニル、フェロセニリウム、フェロ
セニルアルキル、アシル、ハロゲニル、トリアルキルシ
リル、トリシクロアルキルシリル、トリアリールシリ
ル、トリアラルキルシリルもしくはカルボニル、エステ
ル、アミドもしくは、ヒドラジド基を表すかまたは、R
とR′とが一緒に炭素数2〜4のアルキレンの架橋を形
成していてもよい。a、b、mおよびnは自然数であ
り、mは1もしくは2であり、nは1、2もしくは3で
あり、a×m=b×nの式を満たす。Aは錯化されてい
るかもしくは非常にかさ高い陰イオンであり、メタリセ
ニウム陽イオンを安定化させる。これらの塩の溶媒和主
成分は薬剤、特に癌治療における細胞増殖抑制剤として
用いられる。
本発明において用いられる好ましい一群の化合物は、フ
ェリセニウムおよびコバルチセニウム化合物(M=Fe o
r Co)を含み、これらは安価に入手できる。同様の理由
により、未置換化合物(x、y=0)が好ましい。
RもしくはR′がアルキル、ハイドロキシアルキル、ア
ミノアルキル、ハロゲン化アルキルあるいはハロゲニル
であった場合、xもしくはyは1、2、3、4あるいは
5であることが好ましい。RもしくはR′がシクロアル
キル、アルケニル、アリール、アラルキル、フェロセニ
ル、フェロセニリウム、フェロセニルアルキル、アシ
ル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、
トリアリールシリル、もしくはトリアラルキルシリル、
もしくはカルボニル、エステル、アミドもしくはヒドラ
ジド基であった場合、XあるいはYは、1もしくは2で
あることが好ましい。
「アルキル」は、炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直
鎖あるいは分枝アルキル基を意味するものと理解すべき
である。特定の例として、メチル、エチル、イソプロピ
ル、n−ブチル、tert−ブチル、2−エチルエキシルお
よびn−デシルが挙げられる。
「シクロアルキル」は、炭素数3〜8、好ましくは3〜
6の脂環式基を意味するものと理解すべきである。特定
の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘ
キシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げら
れる。
「アルケニル」は、炭素数2〜10、好ましくは2〜6、
特に2〜4の不飽和炭化水素基を意味するものと理解さ
れるべきである。特定の例としてビニル基がある。
「アリール」は炭素数6〜18、好ましくは6〜14、特に
6〜10の芳香族および縮合環式芳香族炭化水素基を意味
するものと考えるべきである。特定の例としてフェニル
がある。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意
味するものと考えるべきであり、フッ素、塩素および臭
素が好ましい。
「アシル」は、炭素数12以下、好ましくは7以下、特に
4以下の脂肪族あるいは芳香族アシル基を意味するもの
と考えるべきである。特定の例として、アセチル、プロ
ピオニルおよびベンゾイルが挙げられる。
ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アロゲノアルキ
ル、アルキレン、アラルキル、フェロセニルアルキル、
トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、トリ
アリールシリルおよびトリアラルキルシリル置換基など
は好ましくはアルキル、シクロアルキル、アリルもしく
はハロゲン基から誘導される。上記エルテル基は、好ま
しくはアルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルエス
テル基であることが好ましい。
陰イオンAの好ましい例としては、〔M′X4〕n-(n=
1もしくは2)型または〔M′X6〕n-(n=1、2もし
くは3)型の陰イオン性錯体が挙げられる。上記式中、
M′はB、Bi、Co、Fe、Ga、Hg、RuもしくはSbであり、
XはF、Cl、Brもしくはフェニルである。これらの中
で、BF4 -、Bφ4 -、FeCl4 -、FeBr4 -、BiCl4 -、GaCl4 -
PF6 -およびRuCl4 -が特に好ましい。
陰イオンAの別の好ましい例としては、Br3およびI3
ようなポリハライド、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、
タングステン酸塩、オキシバナジン酸塩、およびモリブ
デンリン酸塩、タングステンリン酸塩、タングステンケ
イ酸塩の様なヘテロポリ陰イオン、ライネケ塩、ヘキサ
フルオロリン酸塩、キノナイド、キノジメタナイド、
(Cl3Fe−O−FeCl32-およびモノ−、ジ−、トリハロ
ゲン化酢酸、シアノ化酢酸、過塩素酸、ピクリン酸等の
有機強酸等が挙げられる。
上記メタリセニウム塩は、例えば1、2もしくは3モル
の陰イオンAに対応する遊離酸により適宜溶媒和するこ
とができる。
本発明において用いることのできる代表的メタリセニウ
ム塩としては、 1.フェリセニウム テトラクロロ鉄酸塩 2.1,1′−ビス(トリフェニルシリル)フェリセニウム
テトラクロロ鉄酸塩 3.フェリセニウム テトラブロモ鉄酸塩 4.ルテニセニウム テトラクロロルテニウム酸塩 5.フェリセニウム テトラフルオロホウ酸塩 6.アセチルフェリセニウム テトラフルオロホウ酸塩 7.ビフェリセニウム テトラフルオロホウ酸塩 8.ビフェリセニウム ビス(テトラフルオロホウ酸塩) 9.1′,1−ジエチルビフェリセニウム ビス(テトラ
フルオロホウ酸塩) 10.オスモセニウム テトラフルオロホウ酸塩 11.フェロセニルメチル−フェロセニリウム テトラフ
ルオロホウ酸塩 12.フェリセニウム テトラフェニルホウ酸塩 13.フェリセニウム テトラクロロアンチモン酸塩 14.フェリセニウム ヘキサクロロアンチモン酸塩 15.フェリセニウム テトラクロロビスムテート 16.フェリセニウム テトラクロロ没食子酸塩 17.フェリセニウム ヘキサフルオロリン酸塩 18.1,1′−ジメチルフェリセニウム ヘキサフルオロリ
ン酸塩 19.デカメチルフェリセニウム ヘキサフルオロリン酸
塩 20.1,1′−トリメチレンフェリセニウム ヘキサフルオ
ロリン酸塩 21.コバルチセニウム ヘキサフルオロリン酸塩 22.1,1′−ジメチルコバルチセニウム ヘキサフルオロ
リン酸塩 23.フェリセニウム 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノヒ
ドロキノナイド 24.デカメチルフェリセニウム 2,3−ジクロロ−5,6−
ジシアノヒドロキノナイド 25.コバルチセニウム 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ
ヒドロキノナイド 26.フェリセニウム テトラシアノキノジメタナイド−
テトラシアノキノジメタン 27.1,1′−ジメチルフェリセニウム テトラシアノキノ
ジメタナイド−テトラシアノキノジメタン 28.コバルチセニウム テトラシアノキノジメタナイド
−テトラシアノキノジメタン 29.フェリセニウム 過塩素酸塩 30.1,1′−トリメチレンフェリセニウム 過塩素酸塩 31.コバルチセニウム 過塩素酸塩 32.フェリセニウム トリクロロアセテート−ビス(ト
リクロロ酢酸) 33.フェリセニウム トリクロロアセテート−モノ(ト
リクロロ酢酸) 34.1,1′−ジメチルフェリセニウム トリクロロアセテ
ート−ビス(トリクロロ酢酸) 35.ビフェリセニウム トリクロロアセテート−ビス
(トリクロロ酢酸) 36.フェリセニウム ピクリン酸塩 37.フェリセニウム ピクリン酸塩−ピクリン酸 38.ビフェリセニウム ピクリン酸塩 39.フェリセニウム トリアイオダイド 40.ヒドロキシメチルフェリセニウム トリアイオダイ
ド 41.ビフェリセニウム トリアイオダイド 42.フェリセニウム ライネケ酸塩 43.フェリセニウム タングステンケイ酸塩 44.フェリセニウム オキシトリクロロバナジン酸塩 45.フェリセニウム メタタングステン酸塩 46.ジフェリセニウム μ−オキソ−ビス(トリクロロ
鉄酸塩) が挙げられる。
これらの化合物のほとんどが公知であり、以下の実施例
において説明される文献の方法もしくは、改良された方
法により調製できる。
本発明において用いられるいくつかのメタリセニウム塩
は新規であり、例えばジフェリセニウム μ−オキソ−
ビス(トリクロロ鉄酸塩)が挙げられる。これらの新規
化合物の調製も実施例において具体的に示される。
実施例1 フェリセニウム テトラクロロ鉄酸塩は、エーテル中で
モル比1:2のフェロセンおよび塩化鉄(III)からネスメ
ヤソフ等(Nesmeyanov et al.)によるケム.ベル.(C
hem.Ber.)93,2729(1960)に記載されている方法に従
って調整できる。しかし最終生成物は、数回の無水アル
コールからの再結晶を行った後でさえ、ジフェリセニウ
ム μ−オキソ−ビス(トリクロロ鉄酸塩)により汚染
されたままである。上記不純物は、365および316cm-1
おいて赤外吸収を示す。
現在、粗製テトラクロロ鉄酸塩を、1度塩素イオンを含
有する酸性溶媒(pH<0)から再結晶することにより、
この不純物を定量的に取り除くことができるということ
がわかってきた。
粗製フェリセニウム テトラクロロ鉄酸塩は、エーテル
中でフェロセン(2mmol)の無水鉄(III)塩化物(4mmo
l)とから調整し、無水アルコールから再結晶するネス
メヤノフ等の方法によって得る。赤外スペクトルによっ
て、ジフェリセニウム μ−オキソ−ビス(トリクロロ
鉄酸塩)による汚染が確認されている生成物は、新たに
蒸留した塩化チオニルもしくは、0.15〜0.25Mの水−メ
タノール(2:98)塩化水素のどちらかからの再結晶を行
うことができる。ブルーブラックの結晶片として得られ
たフェリセニウム テトラクロロ鉄酸塩は分光分析(36
5および316cm-1における極大吸収の消失)および元素分
析(実測値:C,31.22;H,2.71;Cl,36.80、C10H10Cl4Fe2
しての計算値:C,31.30;H,2.63;Cl,36.96)により純粋で
ある。酸性溶媒からの再結晶は、無水エタノールからの
再結晶をはぶき、フェロセンと塩化鉄とから得られる粗
生成物に対して直接行うことも可能である。
実施例2 フェリセニウム トリクロロアセテート−モノ−(トリ
クロロ酢酸)はすでに文献(キャスタブノーラ(Castag
nola)等、ジェイオーエム(JOM),60,C17(1973))
に記載されているが、この著者らによる、ベンゼン溶液
中での、モル比1:3のフェロセンおよびトリクロロ酢酸
から上記化合物を調製する方法は再現性がない。むしろ
上記文献における指示は、主にもしくは完全に二溶媒和
物であるフェリセニウム トリクロロアセテート−ビス
(トリクロロ酢酸)の形成をまねく。
加水分解性の脱離反応により、トリクロロ酢酸1当量を
はずすことにより、二溶媒和物から簡単に一溶媒和物が
得られることが今や見出され、例えば、注意深い水から
の再結晶があげられる。
出発物質である二溶媒和物は、ヘンドリクソン(Hendri
ckson)等の方法(ジャーナル オブ ケミカル フィ
ジックス(J.Chem.Phys.),58,4666(1973))により
調製される。9.0mlの水に、1.0gのフェリセリウム ト
リクロロアセテート−ビス(トリクロロ酢酸)を加えた
溶液を、10〜15分間、沸点に維持し、熱時濾過を行う。
これを単に冷却することによって、ダークブルーの針状
結晶が析出する。この混合物を数時間放置した後、これ
らを濾別し、少量の氷水で洗浄し、60℃/0.2Torrで乾燥
する。m.p.は125〜127℃であった。母液(洗浄水溶液を
合せたもの)を強く濃縮し、すでに析出している結晶を
溶解するまで該濃縮物を加温し、混合物を50℃に維持し
て放置することにより、更にm.p.127〜129℃の塩が得ら
れる。全収量は、0.4〜0.6gである。元素分析によれば
実測値はC,32.78;H,2.19;Cl,41.89であり、−3C14H11Cl
6FeO4としての計算値は、C,32.85;H,2.17;Cl,41.56であ
る。この塩は容易に水に溶け、メタノールもしくはアセ
トニトリル等の有機溶媒には難溶である。
実施例3 ジフェリセニウム μ−オキソ−ビス(トリクロロ鉄酸
塩)は、論文(アーロニ(Aharoni)およびリット(Lit
t),ジェイオーエム(JOM),22,179,(1970))によ
り公知であるが、これらの著者によりフェリセニウム
トリクロロ鉄酸塩の構造式はまちがって当てられてい
る。さらに、この著者等の調製法は、再現性が確認され
ていない。
この塩は、実施例2に記載されたフェリセニウム トリ
クロロ鉄酸塩を、フォトン−捕獲剤として働く有機層で
ある、ピリジンを加えたメタノール/アセトニトリルか
ら再結晶することにより、容易に得られることが今や見
出された。
実施例2で得られたフェリセニウム テトラクロロ鉄酸
塩2.0gを、N2で飽和したメタノール/アセトニトリル
(1:1)混合液15mlに溶解した溶液を加熱下で濾過し、8
mlのエーテルに225mgのピリジンを加えた溶液を該濾液
に加える。−20℃の温度下で、数時間、封止容器内に放
置した後に混合物から折出するオキソービス(トリクロ
ロ鉄酸塩)の青黒色結晶を濾別し、エーテルで洗浄し、
75℃/0.5Torrで乾燥した。母液をロータリエバポレータ
により元の容積の約1/3まで濃縮し、濃縮液を上記と同
様に処理することにより、さらに、上記結晶を得ること
ができる。また、3番目に上記処理により生成した最終
溶液をさらに濃縮することにより、得られる不純物質の
混入した塩は、同様の溶媒混合液から再結晶することに
より精製することができる。全収量は、0.9〜1.1gであ
った。その元素分析値は、C,33.41;H,2.83;Cl,30.44;O,
2.25であった。また、C20H20Cl6Fe4Oとしての理論値は
C,33.7;H,2.83;Cl,29.85;O,2.25であった。この化合物
は水に容易に溶解し、アセトニトリルもしくはメタノー
ルなどの有機溶媒に対しては難溶性であった。
実施例4 フェリセニウム ピクリン酸塩−ピクリン酸はすでに論
文(アリー(ALY)等、ケミカル コミュニケーション
(Chem.Commun.),404,1965)により言及されている
が、調製指針は与えられていない。
この塩が濃硫酸内でフェロセンを酸化し、次に水によっ
て希釈されたフェリセニウム硫酸をピクリンサンと処理
することにより得られることが今やわかった。
14mlの濃硫酸に4.65g(25mmol)のフェロセンを加えた
溶液を30分放置し、100mlの氷水により希釈して、濾過
する。6.87g(30mmol)のピクリン酸を100mlの水に加え
た熱溶液を濾液に加え、該混合液を室温で24時間放置す
る。形成された結晶沈殿物を濾別し、少量の水およびエ
ーテルで洗浄し50℃/0.2Torrで乾燥する。5.1gの粗生成
物が緑黒色結晶として得られる。該結晶を長く加熱せず
に、エタノールから注意深く再結晶させると、黒みがか
った針状結晶で、融点128〜130℃のフェリセニウムピク
リン酸塩−ピクリン酸が得られる。元素分析は、C,41.9
9;H,2.40;N,12.30であった。C22H15FeN6O14としての計
算値は、C,41.08;H,2.35;N,13.06であった。この塩は水
に容易に溶解し、アルコール、アセトニトリル等の有機
溶媒には難溶であった。
本発明よるメタリセニウム塩は、動物実験において、細
胞増殖抑制作用を示す。この作用は以下の様にして試験
された。雌CF1マスウ1匹につき約6×106個のエールリ
ッヒ(EhrLich)腹水癌細胞を腹膜組織内注射により植
え付け、24時間後投薬量20〜500mg/Kgの範囲で0.4mlの
生理食塩水に溶解し、1回の腹膜組織内投与を行う。各
投与量につき10匹の実験動物を用い試験した。必要なら
ば、注入サイトの局部的刺激をさけるために、該調製薬
は、たとえば重炭酸ナトリウムあるいはトリス−(ヒド
ロキシメチル)−アミノ−メタンを用い、pH4〜7に緩
衝することができる。薬品を加えていない生理食塩水0.
4mlを腹膜組織内に注射された未処理対照用動物に対す
る試験も、各試験群毎に行った。
個々の投薬量にたいする癌の進行は、体重変化と生存時
間によって評価される。癌致死率、毒性致死率、生存お
よび治癌動物数および関連する平均生存時間の増加率の
投薬量依存数が、それぞれ投薬物質に対して決定され
た。
フェリセニウム トリクロロアセテート−モノ(トリク
ロロ酢酸)、フェリセニウム トリクロロアセテート−
ビス(トリクロロ酢酸)、フェリセニウムピクリン酸塩
およびジフェリセニウムーオキソ−ビス(トリクロロ鉄
酸塩)についての試験結果を、以下の表I〜IVに再現し
た。
癌治療において、本発明によるメタリセニウム塩は、そ
のまま用いるか、少なくとも1種の一般式Iのメタリセ
ニウム塩およびそれに加えて製薬上許容できる賦形剤、
希釈剤および/または助剤とを含む薬剤として用いるこ
とができる。活性化合物の製薬処方物は、特定の投与形
式に合った単位投与形であることが好ましい。単位投与
剤は、例えば錠剤、カプセル、坐薬、もしくは容積を測
定された粉末剤、顆粒剤、溶液あるいは懸濁液であり得
る。「単位投与剤」は、製薬上適当な賦形剤、希釈剤お
よび/または助剤と、所定量の活性化合物との混合物を
含む物理的に特定の単位と考えるべきである。活性化合
物の量は、1もしくはそれ以上の単位投与剤が通常は治
療上の各投薬に十分であるように決定されている。
1/2あるいは1/4の断片のみが各治療上の投薬に必要な場
合には、単位投与剤は、分割可能な例えば溝付錠剤であ
り得る。
本発明の薬剤は、単位投与剤形にある場合には、1〜1
0,000mg、好ましくは5〜7,500mgの活性化合物を含む。
本発明の薬剤は、好ましくは、経口、直腸あるいは静
脈、皮下、筋肉内、胸膜内、腸管内、病巣内あるいは病
巣周辺に非経口的に用いられる。治療上の投与では、数
時間にわたる点滴あるいは、1〜数回の投薬あるいは、
注射を実施することにより、持続的な効果を達成するこ
とができる。投与頻度および投与量は、疾患の性質並び
に段階によって大巾に変えることができ、治療形態、特
に同時に投与される物質の数および量に依存する。例え
ば、治療初期は毎日200〜800mg i.v.(静脈内投与)あ
るいは投薬量、例えば10〜40mg/Kg i.v.を相当する間隔
で投与することにより治療でき、しかる後、50mgの活性
化合物を含む1〜4個の錠剤を用いて長期治療を行い得
る。
薬剤は、一般に本発明による活性化合物と、毒性がなく
製薬上許容できる賦形剤を含んでおり、該薬剤は固形、
半固形あるいは液体状の混合物、または例えばカプセ
ル、被覆錠剤、分包あるいは活性化合物を他の容易に充
填した形状の被覆剤として用いられる。賦形剤は、例え
ば体内での吸収を促進するための薬剤、または処方と補
助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤あるいは保存剤として有
効であり得る。
錠剤、被覆錠剤、硬質あるいは軟質ゼラチンカプセル、
分散性粉末、顆粒、水性あるいは油性懸濁剤、エマルジ
ョン、溶液およびシロップ等が、経口投薬剤として適当
している。
錠剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナ
トリウムもしくはラクトースなどの不活性希釈剤;澱
粉、ゼラチンもしくはアカシアゴム等の顆粒化剤あるい
は分散剤;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マ
グネシウム、タルクもしくはシリコーンオイル等の滑剤
等を含み得る。もし必要ならば、錠剤には、被覆を施す
ことができ、該被覆は胃腸管内での溶解、吸収を遅延さ
せ、それにより例えば、より耐性の良好なもしくは作用
の長期化の効果を達成できる。
ゼラチンカプセルは、固形希釈剤(例えば炭酸カルシウ
ムもしくはカオリン)もしくは油性希釈剤(例えば、オ
リーブ油落花生油もしくはパラフィン油)と活性化合物
との混合物を含む得る。
適切な懸濁剤を例示すれば、ナトリウムカルボキシメチ
ルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリ
ドン、トラガカントゴムもしくはアカシアゴムが挙げら
れ、分散剤、あるいは湿潤剤としては、例えばポリオキ
シエチレンステアレート、ヘプタデカエチレンオキシセ
タノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエ
ート、およびレシチンが挙げられ、適切な保存剤として
は、メチルもしくはプロピルヒドロキシベンゾエート
が、また芳香剤および甘味剤としては、シュークロー
ス、ラクトース、デキストロースおよび転化糖シロップ
が挙げられる。
油性懸濁液は、例えば落花生、オリーブ、ゴマ、ココナ
ッツあるいはパラフィン油と、蜜蝋、ハードパラフィン
もしくはセチルアルコールなどの増量剤、甘味剤、芳香
剤および/または酸化防止剤を含み得る。
水分散性粉末および顆粒は、活性化合物と、分散剤、湿
潤剤および懸濁剤、例えば上記物質および/またはジメ
チルスルホキシドおよび甘味剤、芳香剤および/または
着色剤を含み得る。
エマルジョンは、例えばオリーブ、落花生もしくはパラ
フィン油と、例えばアカシアゴム、トラガカントゴム、
ホスファチド、ソルビタンモノオレエートもしくはポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレエート等の乳化剤
と、甘味剤および/また芳香剤を含み得る。
直腸内温度で融解する、結合剤、例えばココアバターも
しくはポリエチレングリコールとともに調剤される坐薬
は直腸投薬剤として有利に使用できる。
本発明の薬剤は、無菌等張塩溶液あるいはその他の溶液
として非経は投与することができる。均一な溶液あるい
は懸濁液を得るために、ジメチルスルホキシド等の可溶
化剤を加えてもよいが、必ずしも必要ではない。
上記すべての形状において、本発明の薬剤は、緩衝物
質、例えば重炭酸ナトリウムもしくはトリス(ヒドロキ
シメチル)アミノメタン等をも含み得る。
なお、本発明によるメタリセニウム塩に加えて本発明の
薬剤は、アルキル化剤、抗代謝剤;細胞増殖抑制性アル
カロイド、抗生物質、酸素および重金属化合物等の細胞
増殖抑制活性を有する別の薬剤群の中から選ばれる少な
くとも1種の他の薬理活性成分を含み得る。本発明の薬
剤は場合によっては、更に免疫抑制剤およびビタミン類
を含むことができる。上記添加物は、調合剤として別々
の製薬処方物として、本発明の活性化合物に加えること
も可能である。
薬剤の活性化合物量は、通常薬剤の最終重量を基準とし
て、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜85重量%であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 コツプフ−マイア−,ペトラ ドイツ連邦共和国 1000 ベルリン 42 ブンデスリンク 33 (72)発明者 コツプフ,ハルトムート ドイツ連邦共和国 1000 ベルリン 42 ブンデスリンク 33 (72)発明者 ノイゼ,エバーハルト ウイルヘルム 南アフリカ共和国 2194 ブレルゴヴリ ー‐ラントブルク ネーロン ロード 5 (56)参考文献 特開 昭55−164624(JP,A) Chemical Abstract s,98(17):137018e Chemical Abstract s,96(21):173849u

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式Iで表わされるメタリセニウム
    塩またはその溶媒和物の少なくとも1種を細胞増殖抑制
    に必要な量だけ含む医薬組成物: ▲〔(η-CH5-xRx)M(η-CH5-yR′y)〕m+ a▼〔A
    〕bn- (I) (ここで、 MはFe、Co、Ni、RuまたはOsを表し、 C5H5-xRxとC5H5-yR′yはシクロペンタジエニルリング
    を表し、 xとyは0、1、2、3、4または5であり、 RとR′はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアル
    キル、アミノアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニ
    ル、アリール、アラルキル、フェロセニル、フェロセニ
    リウム、フェロセニルアルキル、アシル、ハロゲニル、
    トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、トリ
    アリールシリル、トリアラルキルシリル、カルボキシ
    ル、エステル、アミドまたはヒドラジド基を表すか、R
    とR′とが一緒に炭素数2〜4のアルキレン架橋を形成
    していてもよく、RとR′とは互いに同一でも異なって
    いてもよく、 a、b、mおよびnは整数であり、mは1または2であ
    り、nは1、2または3であり、a×m=b×nの式を
    満たし、 Aはメタリセニウム陽イオン安定化させる錯体化用アニ
    オンまたは非常にかさ高い陰イオンである)。
  2. 【請求項2】MがFeまたはCoである請求項1に記載の組
    成物。
  3. 【請求項3】xおよびyがゼロである請求項1に記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】〔A〕n-がBF4 -、Bφ4 -、FeCl4 -、FeB
    r4 -、BiCl4 -、GaCl4 -、PF6 -、RuCl4 -または(Cl3Fr−O
    −FeCl32-である請求項1に記載の組成物。
  5. 【請求項5】Aがキノニド、キノンジメタニド、ポリハ
    ライド、バナジン酸塩、オキシバナジウム酸塩、モリブ
    デン酸塩、タングステン酸塩、ヘテロポリアイオン、ラ
    イネッケ塩または有機強酸アニオンである請求項1に記
    載の組成物。
  6. 【請求項6】Aがモノ−、ジ−およびトリ−ハロゲノ酢
    酸塩、シアノ酢酸塩、ピクリン酸塩からなる群の中から
    選択される1種の強有機酸の陰イオンである請求項1に
    記載の組成物。
  7. 【請求項7】フェリセニウムトリクロロアセテート−モ
    ノ−(トリクロロ酢酸)、フェリセニウムトリクロロア
    セテート−ビス(トリクロロ酢酸)、ジフェリセニウム
    −μ−オキソ−ビス(トリクロロ鉄酸塩)、フェリセニ
    ウムピクリン酸塩およびフェリセニウムピクリン酸塩−
    ピクリン酸からなる群の中から選択される少なくとも1
    種の化合物を含む請求項1に記載の組成物。
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