JPH07143858A - ヤマノイモに含まれるアミラーゼの失活法 - Google Patents
ヤマノイモに含まれるアミラーゼの失活法Info
- Publication number
- JPH07143858A JPH07143858A JP4042482A JP4248292A JPH07143858A JP H07143858 A JPH07143858 A JP H07143858A JP 4042482 A JP4042482 A JP 4042482A JP 4248292 A JP4248292 A JP 4248292A JP H07143858 A JPH07143858 A JP H07143858A
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- Pending
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- Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
- Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
- Confectionery (AREA)
Abstract
(57)【要約】
ヤマノイモに含まれるアミラーゼを、ヤマノイモの粘性
を低下させることなく失活させ、ヤマノイモの菓子素材
等の原料適性を向上させる。 【構成】 ヤマノイモの磨砕物(とろろ)をポリエ
チレンフィルム等で包装し、60〜65℃の温湯中で4
5〜60分処理する。
を低下させることなく失活させ、ヤマノイモの菓子素材
等の原料適性を向上させる。 【構成】 ヤマノイモの磨砕物(とろろ)をポリエ
チレンフィルム等で包装し、60〜65℃の温湯中で4
5〜60分処理する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヤマノイモの粘性を低
下させることなく、ヤマノイモに含まれるアミラーゼを
失活させる方法に関する。これによって、ヤマノイモの
起泡性、伸展性を利用した菓子製造やたこ焼き、お好み
焼き、そばのつなぎとしての適性を向上させるもので、
食品分野において活用し得るものである。
下させることなく、ヤマノイモに含まれるアミラーゼを
失活させる方法に関する。これによって、ヤマノイモの
起泡性、伸展性を利用した菓子製造やたこ焼き、お好み
焼き、そばのつなぎとしての適性を向上させるもので、
食品分野において活用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】アミラーゼ失活法として、化学物質の添
加、pHの調整、熱処理などがあるが、ヤマノイモの粘
性を低下させることなくアミラーゼを失活させる方法は
見い出されていないため、アミラーゼを含むヤマノイモ
は加工素材としての利用価値が低く、加工原料としては
アミラーゼを含まないものが対象になってきた。
加、pHの調整、熱処理などがあるが、ヤマノイモの粘
性を低下させることなくアミラーゼを失活させる方法は
見い出されていないため、アミラーゼを含むヤマノイモ
は加工素材としての利用価値が低く、加工原料としては
アミラーゼを含まないものが対象になってきた。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】従来、加工原料には、
アミラーゼを含まないヤマノイモ(じねんじょ)が主と
して用いられてきた。しかし、近年、じねんじょの供給
不足から栽培ヤマノイモで一部が補充されてきている
が、その加工適性はじねんじょに劣ることが指摘されて
いる。この原因を検討した結果、栽培ヤマノイモには特
異な液化型のアミラーゼが含まれることを見い出すこと
ができた。このため、澱粉質加工食品の生地改良剤とし
て用いるとき、澱粉がアミラーゼによって分解され、目
的とする製品が得られない。
アミラーゼを含まないヤマノイモ(じねんじょ)が主と
して用いられてきた。しかし、近年、じねんじょの供給
不足から栽培ヤマノイモで一部が補充されてきている
が、その加工適性はじねんじょに劣ることが指摘されて
いる。この原因を検討した結果、栽培ヤマノイモには特
異な液化型のアミラーゼが含まれることを見い出すこと
ができた。このため、澱粉質加工食品の生地改良剤とし
て用いるとき、澱粉がアミラーゼによって分解され、目
的とする製品が得られない。
【0004】本発明は、以上の実情をふまえ、ヤマノイ
モの特長ある粘りを低下させず、アミラーゼを失活させ
ることによって、栽培ヤマノイモの加工適性を向上させ
る方法を提供することである。
モの特長ある粘りを低下させず、アミラーゼを失活させ
ることによって、栽培ヤマノイモの加工適性を向上させ
る方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】アミラーゼを失活させる
方法には、従来、化学物質の添加、pH調整、熱処理等
がある。食品素材として利用するのに化学物質の添加は
好ましくなく、pH調整による場合、アミラーゼの失活
するpH域では、ヤマノイモ粘質多糖が変性し、特有の
粘りが消失し、原料として利用できなかった。また熱処
理によるアミラーゼの失活は100℃前後で加熱する
が、とろろを100℃で加熱すると粘質多糖が熱変性
し、利用不可能になった。そこでヤマノイモに含まれる
アミラーゼを精製し、その性質を調べた結果、分子量が
15000と低分子で、熱に弱いなど従来の液化型のア
ミラーゼと異なることが判明した。
方法には、従来、化学物質の添加、pH調整、熱処理等
がある。食品素材として利用するのに化学物質の添加は
好ましくなく、pH調整による場合、アミラーゼの失活
するpH域では、ヤマノイモ粘質多糖が変性し、特有の
粘りが消失し、原料として利用できなかった。また熱処
理によるアミラーゼの失活は100℃前後で加熱する
が、とろろを100℃で加熱すると粘質多糖が熱変性
し、利用不可能になった。そこでヤマノイモに含まれる
アミラーゼを精製し、その性質を調べた結果、分子量が
15000と低分子で、熱に弱いなど従来の液化型のア
ミラーゼと異なることが判明した。
【0006】この性質に注目し、低温加熱によるアミラ
ーゼ失活法を確立した。すなわち、ヤマノイモを剥皮
し、変色防止のため、ビタミンC,ビタミンCナトリウ
ム、亜硫酸を含む水溶液に約2時間浸漬する。それを磨
砕し、ポリエチレン袋で密封し、60〜65℃の温湯中
に45〜60分浸漬する。処理後ただちに冷却する。
ーゼ失活法を確立した。すなわち、ヤマノイモを剥皮
し、変色防止のため、ビタミンC,ビタミンCナトリウ
ム、亜硫酸を含む水溶液に約2時間浸漬する。それを磨
砕し、ポリエチレン袋で密封し、60〜65℃の温湯中
に45〜60分浸漬する。処理後ただちに冷却する。
【0007】
【実施例】実施例について表で説明する。加熱処理温度
とアミラーゼ失活との関係を見るため、とろろ(ヤマノ
イモの磨砕物)をフィルム包装し、55〜75℃の温水
中で1時間処理後、直ちに冷却した。加熱処理とろろ1
0gに水20mlを加え、遠心分離した上澄液の酵素活
性は表1のとうりで、60℃以上の温度で完全に失活す
ることが判明した。
とアミラーゼ失活との関係を見るため、とろろ(ヤマノ
イモの磨砕物)をフィルム包装し、55〜75℃の温水
中で1時間処理後、直ちに冷却した。加熱処理とろろ1
0gに水20mlを加え、遠心分離した上澄液の酵素活
性は表1のとうりで、60℃以上の温度で完全に失活す
ることが判明した。
【0008】
【表1】
【0009】加熱時間と酵素失活との関係を見るため、
ポリエチレンフィルムで密封したとろろを、60℃で1
5〜60分加熱した。とろろ10gに水20mlを加
え、遠心分離した上澄液の酵素量は表2のとうりで、こ
れより、加熱時間として1時間を選定した。
ポリエチレンフィルムで密封したとろろを、60℃で1
5〜60分加熱した。とろろ10gに水20mlを加
え、遠心分離した上澄液の酵素量は表2のとうりで、こ
れより、加熱時間として1時間を選定した。
【0010】
【表2】
【0011】アミラーゼを失活させたヤマノイモが菓子
素材として適性が向上したかを確認するため、かるかん
の試作を行なった。かるかんは、鹿児島県を中心とする
南九州で造られる特産品で、米粉、砂糖、水にヤマノイ
モのとろろを加え、撹伴して泡立た後蒸し上げた一種の
スポンジケーキに類似する。ポーラス構造が発達し、ソ
フトなものが良とされる。
素材として適性が向上したかを確認するため、かるかん
の試作を行なった。かるかんは、鹿児島県を中心とする
南九州で造られる特産品で、米粉、砂糖、水にヤマノイ
モのとろろを加え、撹伴して泡立た後蒸し上げた一種の
スポンジケーキに類似する。ポーラス構造が発達し、ソ
フトなものが良とされる。
【0012】ヤマノイモ150g,米粉240g,砂糖
300g,水180mlの配合でかるかん生地を作り、
蒸し上げた時の蒸し前後における体積の変化は表3に示
した。60℃処理のとろろで作ったかるかんの膨化率が
最大で、かるかん特有のポーラス構造が発達した。
300g,水180mlの配合でかるかん生地を作り、
蒸し上げた時の蒸し前後における体積の変化は表3に示
した。60℃処理のとろろで作ったかるかんの膨化率が
最大で、かるかん特有のポーラス構造が発達した。
【0013】
【表3】
【0014】上記かるかんを2cm×2cm×2cmに
成型し、100gの荷重をかけたとき、瞬時に起こる変
形量(弾性変形量)と、100gの一定荷重をかけた
後、プランジャーを引上げ、かるかんからプランジャー
が引き離されるまでの仕事量(付着性)を求めて、表4
に示した。弾性変形量が大きいほどかるかんはソフト
で、食味評価が高く、付着性が過剰になると粘つくよう
になり、評価は低くなるといった関係が成り立った。無
加熱区は付着性が著しく高くなる欠点があり、また加熱
処理が過剰になると弾性変形量が低くなり、かるかんの
ソフト性が失われた。 物性値から判断される適性な加
熱処理温度は60℃である。
成型し、100gの荷重をかけたとき、瞬時に起こる変
形量(弾性変形量)と、100gの一定荷重をかけた
後、プランジャーを引上げ、かるかんからプランジャー
が引き離されるまでの仕事量(付着性)を求めて、表4
に示した。弾性変形量が大きいほどかるかんはソフト
で、食味評価が高く、付着性が過剰になると粘つくよう
になり、評価は低くなるといった関係が成り立った。無
加熱区は付着性が著しく高くなる欠点があり、また加熱
処理が過剰になると弾性変形量が低くなり、かるかんの
ソフト性が失われた。 物性値から判断される適性な加
熱処理温度は60℃である。
【0015】
【表4】
【0016】
【発明の効果】かるかん原料としてのじねんじょが不足
している状況のなかで、これに代わるヤマノイモが安価
で安定的に供給されるので、伝統的な菓子であるかるか
んの健全な発展を可能とし、菓子業界への寄与が大き
い。また、これを栽培する農業サイドからみると、甘
藷、米に代わる防災作物の導入が可能となり、農家経営
の安定化が期待される。
している状況のなかで、これに代わるヤマノイモが安価
で安定的に供給されるので、伝統的な菓子であるかるか
んの健全な発展を可能とし、菓子業界への寄与が大き
い。また、これを栽培する農業サイドからみると、甘
藷、米に代わる防災作物の導入が可能となり、農家経営
の安定化が期待される。
Claims (1)
- 【請求項1】 ヤマノイモを菓子類(かるかん、上用ま
んじゅう),お好み焼き、たこ焼き等の生地改良剤とし
て使用する時、ヤマノイモの粘性を低下させることなく
アミラーゼを失活させ、加工適性を向上させる方法で、
ヤマノイモの磨砕物をフィルム包装し、60〜65℃で
45〜60分加熱することを特徴とするアミラーゼ失活
法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4042482A JPH07143858A (ja) | 1992-01-14 | 1992-01-14 | ヤマノイモに含まれるアミラーゼの失活法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4042482A JPH07143858A (ja) | 1992-01-14 | 1992-01-14 | ヤマノイモに含まれるアミラーゼの失活法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07143858A true JPH07143858A (ja) | 1995-06-06 |
Family
ID=12637281
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4042482A Pending JPH07143858A (ja) | 1992-01-14 | 1992-01-14 | ヤマノイモに含まれるアミラーゼの失活法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07143858A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005287446A (ja) * | 2004-04-02 | 2005-10-20 | Nippon Del Monte Corp | 野菜おろし及び野菜おろし含有液状調味料 |
JP2007053903A (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-08 | Hidenobu Kuroshima | 芋類加工食品の製造方法 |
JP2017153389A (ja) * | 2016-02-29 | 2017-09-07 | 伊那食品工業株式会社 | とろろ加工品の製造方法及びとろろ加工品用の加熱変性防止剤並びにとろろ加工品 |
-
1992
- 1992-01-14 JP JP4042482A patent/JPH07143858A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005287446A (ja) * | 2004-04-02 | 2005-10-20 | Nippon Del Monte Corp | 野菜おろし及び野菜おろし含有液状調味料 |
JP2007053903A (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-08 | Hidenobu Kuroshima | 芋類加工食品の製造方法 |
JP4525979B2 (ja) * | 2005-08-22 | 2010-08-18 | 吉野 秀信 | シモン芋加工食品の製造方法 |
JP2017153389A (ja) * | 2016-02-29 | 2017-09-07 | 伊那食品工業株式会社 | とろろ加工品の製造方法及びとろろ加工品用の加熱変性防止剤並びにとろろ加工品 |
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