JPH07137017A - プレキャストコンクリート板用表面材並びにプレキャストコンクリート板の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は建築構造物の外壁に使用するタイルま
たはレンガまたは石材貼り仕様のプレキャストコンクリ
ート板の製造方法に関し、余剰コンクリートの洗浄を容
易にし、またタイルまたはレンガまたは石材の表て表面
にキズが付くことがないようにすることを目的としてい
る。 【構成】タイルまたはレンガまたは石材貼り仕様のプレ
キャストコンクリート板の製造過程前、または工程中、
タイルまたはレンガまたは石材の表て表面または、側面
の一部または、コンクリートが付着してはいけない面全
面を、剥離可能なコーティング材にて被覆するようにし
た。或いは剥離可能なコーティング材をあらかじめ被覆
したタイルまたはレンガまたは石材を製造工程中に用い
るようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築構造物の外壁等に
使用するタイルまたはレンガまたは石材貼り仕様のプレ
キャストコンクリート板の製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のタイルまたはレンガまたは石材貼
り仕様のプレキャストコンクリート板（以後プレキャス
トコンクリート板と称する）の製造方法を図２〜図９に
示す。図２に示す木型５に図３に示す様にタイルまたは
レンガまたは石材（以後タイルと称する）２を表て表面
を上にして並べ図３に示すタイル２とタイル２の間（以
後目地と称する）に発泡ポリエチレン等を基材とした目
地材３を敷きこむ。この時タイル２、目地材３、木型５
は同一の高さとなる。図４に示すようこれらの表面に粘
着テープ４を貼り、同粘着テープ４を木型５と同サイズ
にカットした後、タイル２及び目地材３を粘着テープ４
に充分粘着させ図５に示すようにタイル２及び目地材３
ごと持ちあげると粘着テープ４にタイル２目地材３が密
着する。これを反転させ（タイル２の裏面が上となる）
図６に示す目的とするプレキャストコンクリート板サイ
ズの型枠６に置き、図７の様にその型枠内へコンクリー
ト７を流し込む。または、図６に示す目的とするプレキ
ャストコンクリート板サイズの型枠６に直に、タイル２
の表て表面を下面として並べ並びの隙間に目地材３を敷
きつめ、図７の様にその型枠内へコンクリート７を流し
込む。図８に示すようコンクリート固化後、型枠６ごと
これらを反転させ（粘着テープ４が上面となる）粘着テ
ープ４を剥離する。（この時目地材３はコンクリート７
に固着しない為、粘着テープ４と同様剥離する。）型枠
６に直にタイル２及び目地材３を敷きつめた場合は、粘
着テープ４の剥離作業はない。図９に示すよう以上のよ
うに作成したプレキャストコンクリート板の表て表面の
コンクリートペースト８等を高水圧ジェットポンプ９、
皮スキ１０、ブラシ等を使用し、水にて洗浄した物を商
品とする。また、目地材３にタイル２と接触する側面に
膨潤性を有する水溶紙を粘着させ、これを目地材３とし
て使用し、上記工法に準じプレキャストコンクリート板
を製造し商品とする。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の製造方法で
は、コンクリートペーストの漏れを完全に防止しえず、
タイルの表て表面にもれて固着した余剰コンクリート等
の洗浄に時間がかかったり、タイルの表て表面にきずを
付けてしまう等の問題があった。本発明は、タイルをコ
ンクリート表面に一体化するプレキャストコンクリート
板の製造過程における余剰コンクリートの洗浄等を容易
にし、またタイルの表て表面にキズが付くことがないよ
うにすることを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のプレキャストコンクリート板用表面材並び
にプレキャストコンクリート板の製造方法はタイルの表
て表面を上にして平面的に並べ、並びの隙間に目地材を
敷き詰める第一の工程と、タイルの表て表面と目地材と
の上面とを覆って粘着テープを貼りそれらを一体化さ
せ、該一体化したものを粘着テープを下面にして、タイ
ルの厚みより深い型枠内に載置する第二の工程と、該型
枠内にコンクリートを流し込む第三の工程と、該流しこ
んだコンクリートが固化した後、前記粘着テープ並びに
目地材等を剥離する第四の工程とを含むタイル貼り仕様
のプレキャストコンクリート板の製造方法においては、
第一の工程を行う前のタイルの表て表面または、側面の
一部または、コンクリートが付着してはいけない面全面
を、剥離可能なコーティング材にて被覆するようにし
た。（ここでいう表て表面並びに側面の一部とは、コン
クリートが付着してはいけない面を指す。）または剥離
可能なコーティング材を被覆したタイルを使用すること
にした。或いは、このコーティング材による被覆を第一
の工程と第二の工程との間に行うようにしたものであ
る。また、タイルの表て表面を下面として並べ、並びの
隙間に目地材を敷き詰める第一の工程と、該型枠内にコ
ンクリートを流し込む第二の工程と、該流しこんだコン
クリートが固化した後、目地材等を除去する第三の工程
とを含むタイル貼り仕様のプレキャストコンクリート板
の製造方法においては、第一の工程を行う前のタイルの
表て表面をまたは、側面の一部または、コンクリートが
付着してはいけない面全面を、剥離可能なコーティング
材にて被覆するようにした。または剥離可能なコーティ
ング材を被覆したタイルを使用することにしたものであ
る。さらに、このコーティング材は、粘着テープを貼る
工程の時に貼ったのちタイルの欠落がないよう粘着テー
プとコーティング材、コーティング材とタイル、各々が
適度に密着し、かつ、粘着テープ剥離時に、コーティン
グ材ごと剥離を用意にするビヒクルの選定を必要とす
る。

【０００５】この見地にたってコーティング材のビヒク
ルは、繊維素系誘導体、アクリル樹脂、アルキッド樹
脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン酢
酸ビニル共重合体、ＵＶ硬化型樹脂、エポキシ樹脂、ア
ミノ樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等が好ましい
が、特にウレタン系樹脂が効果を発揮し、高分子吸水剤
をコーティング材に混入する場合、そのビヒクル１００
部に高分子吸水剤を１〜１００部好ましくは３部〜２０
部の範囲で用いたコーティング材として使用する。さら
に高分子吸水剤は、原料面から分類した場合、デンプン
系、セルロース系、合成ポリマー系等があり、これらは
任意に混合が可能である。また、コーティング材が密着
しやすい表面状態のポーラスなタイルの場合、界面活性
剤を混入し特にノニオン系界面活性剤の中でポリオキシ
エチレンアルキルエーテルが効果が有り、これもビヒク
ル、高分子吸水剤と任意に混合が可能で、ビヒクル１０
０部に界面活性剤を０．１〜２０部好ましくは２〜６部
の範囲で用いたコーティング材として使用する。さらに
は、上記の様にコーティング材中に界面活性剤を混入し
ても充分な剥離性能を得られない場合コーティング材を
被覆する前にこの界面活性剤だけをタイルに塗布しその
後コーティング材を被覆する。

【０００６】

【作用】剥離可能なコーティング材はコンクリート流し
込み工程において、タイルの表て表面及びコンクリート
が付着してはいけない面全面を被覆した場合タイルの表
て表面を保護する。タイルの表て表面に剥離可能なコー
ティング材を被覆した場合は、通常、コーティング材の
表面にコンクリートペーストが回るためタイルの表て表
面に固着しない。このコーティング材に高分子吸水剤が
混入されておれば回り込んだコンクリート中の水分をコ
ーティング材が吸水、保水しその後、膨潤し隙間を埋め
るため、いっそうコンクリートペーストが回り難くな
る。さらには、コーティング材とタイル等の間にコンク
リートペーストが回ってもコーティング材がコンクリー
ト中の水分を急激に吸水し、保水するため余剰コンクリ
ートの固化が阻害され、タイルの表て表面には、固着し
ない。このため、最終工程の洗浄が容易になる。また、
タイルの側面の一部（ここでいう側面の一部とは、タイ
ルと目地材が接触する部分を指す。）に、コーティング
材を被覆した場合は、コーティング材が、タイルと目地
材の隙間を埋めるためコンクリートペーストの漏れが少
なくなり、尚かつこのコーティング材中に高分子吸水剤
が混入されておればコンクリート中の水分により膨潤し
隙間を埋めるため、コンクリートペーストの漏れがより
いっそうなくなる。このため、最終工程の洗浄が容易に
なる。さらに、タイルのコンクリートが付着してはいけ
ない面全面（ここでいうコンクリートが付着してはいけ
ない面全面とは、タイルの表て表面と側面の一部の両方
を指す。）を、剥離可能なコーティング材にて被覆する
ことにより、よりいっそう最終工程の洗浄が容易にな
る。また、表面がポーラスなタイルに剥離可能なコーテ
ィング材を被覆する場合は、タイルの表面がポーラスな
分コーティング材の密着性が向上するため、このコーテ
ィング材中に界面活性剤を混入するか、もしくは、この
コーティング材を被覆する前に界面活性剤を塗布するこ
とによりこのコーティング材の剥離性が向上し、最終工
程における洗浄時に、このコーティング材の剥離がいっ
そう容易になる。尚、このコーティング材中に混入する
界面活性剤の部数を任意に変更することにより最終工程
の洗浄時において、このコーティング材の剥離性を任意
に変えることができる。

【０００７】

【実施例】以下添付図面により本発明のプレキャストコ
ンクリート板の製造方法を説明する。図１０の様に本発
明中のコーティング材１によるタイル２等の被覆工程は
塗装機１１等にて行ない、（種々の塗工法が可能）タイ
ル２を木型５に並べるまえに行うか、図１１のように木
型５にタイル２と目地材３を敷いた後行い、このコーテ
ィング材１が乾燥した後（数分〜数十分）粘着テープ４
を貼付し以下は従来工法に準じ行うものである。このコ
ーティング材１を被覆したタイル２を使用する場合は従
来工法に準じる。上記に挙げた本発明による施行方法と
コーティング材１を被覆したタイル２を使用した場合従
来工法との比較を行った結果、図１２（従来工法）図１
３（本発明工法）に見るコンクリートペースト８等によ
る汚損の差異を認めた。図１は請求項２を実施後、請求
項２における第二工程までの粘着テープ貼りによるタイ
ル２と目地材３の一体化を行った時点の断面図である。

【０００８】

【発明の結果】以上説明したように、本発明によれば、
タイル貼り仕様のプレキャストコンクリート板を製造す
る際に、タイルの表面を剥離可能なコーティング材で被
覆してコンクリートを流し込むので、余剰コンクリート
がタイル表面に固着することが防止され、プレキャスト
コンクリート板の製造効率が向上し、また美麗なタイル
表面を有するプレキャストコンクリート板を供給するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】コーティング材が塗布されている部分を示す図

【図２】木型の図

【図３】木型にタイル、目地材を敷き詰めた図

【図４】図３に粘着テープを貼るところの図

【図５】タイルと目地材と粘着テープを一体化した断面
図

【図６】図５を型枠に敷き詰めた図

【図７】図６にコンクリートを流している図

【図８】コンクリート脱型後、粘着テープをはがしてい
る図

【図９】プレキャストコンクリート板を洗浄している図

【図１０】タイルにコーティング材を塗布している図

【図１１】木型ごと、タイル、目地材にコーティング材
を塗布している図

【図１２】従来工法におけるプレキャストコンクリート
板の仕上り状態の図

【図１３】本発明工法におけるプレキャストコンクリー
ト板の仕上り状態の図

【符号の説明】

１ コーティング材 ２ タイル ３ 目地材 ４ 粘着テープ ５ 木型 ６ 型枠 ７ コンクリート ８ コンクリートペースト ９ 高水圧ジェットポンプ １０ 皮スキ １１ 塗装機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 尚吾 千葉県野田市中里532番地３ (72)発明者 興津 政幸 埼玉県八潮市伊草98番地１ (72)発明者 新岡 良治 茨城県北相馬郡守谷町みずきの７丁目５番 16号

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タイルまたはレンガまたは石材をコンク
   リート表面に一体化するプレキャストコンクリート板の
   製造方法に於いて、タイルまたはレンガまたは石材の表
   て表面または、側面の一部または、コンクリートが付着
   してはいけない面全面を、剥離可能なコーティング材で
   被覆することを特徴とするプレキャストコンクリート板
   の製造方法。
2. 【請求項２】 タイルまたはレンガまたは石材の表て表
   面を上にして平面的に並べ、並びの隙間に目地材を敷き
   詰める第一の工程と、 タイルまたはレンガまたは石材の表て表面と目地材との
   上面とを覆って粘着テープを貼りそれらを一体化させ、
   該一体化したものを粘着テープを下面にして、タイルま
   たはレンガまたは石材の厚みより深い型枠内に載置する
   第二の工程と、 該型枠内にコンクリートを流し込む第三の工程と、 該流しこんだコンクリートが固化した後、前記粘着テー
   プ並びに目地材等を剥離する第四の工程とを含むタイル
   またはレンガまたは石材貼り仕様のプレキャストコンク
   リート板の製造方法において、 第一の工程を行う前のタイルまたはレンガまたは石材の
   表て表面または、側面の一部または、コンクリートが付
   着してはいけない面全面を、剥離可能なコーティング材
   にて被覆する請求項１のプレキャストコンクリート板の
   製造方法。
3. 【請求項３】 タイルまたはレンガまたは石材の表て表
   面を上にして平面的に並べ、並びの隙間に目地材を敷き
   詰める第一の工程と、 タイルまたはレンガまたは石材の表て表面と目地材との
   上面とを覆って粘着テープを貼りそれらを一体化させ、
   該一体化したものを粘着テープを下面にして、タイルま
   たはレンガまたは石材の厚みより深い型枠内に載置する
   第二の工程と、 該型枠内にコンクリートを流し込む第三の工程と、 該流しこんだコンクリートが固化した後、前記粘着テー
   プ並びに目地材等を剥離する第四の工程とを含むタイル
   またはレンガまたは石材貼り仕様のプレキャストコンク
   リート板の製造方法において、 第一工程と第二工程との間にタイルまたはレンガまたは
   石材の表て表面または、側面の一部または、コンクリー
   トが付着してはいけない面全面を剥離可能なコーティン
   グ材にて被覆する請求項１のプレキャストコンクリート
   板の製造方法。
4. 【請求項４】 タイルまたはレンガまたは石材の表て表
   面を下面として並べ、並びの隙間に目地材を敷き詰める
   第一の工程と、 該型枠内にコンクリートを流し込む第二の工程と、 該流しこんだコンクリートが固化した後、目地材等を除
   去する第三の工程とを含むタイルまたはレンガまたは石
   材貼り仕様のプレキャストコンクリート板の製造方法に
   おいて、 第一の工程を行う前のタイルまたはレンガまたは石材の
   表て表面または、側面の一部または、コンクリートが付
   着してはいけない面全面を、剥離可能なコーティング材
   にて被覆する請求項１のプレキャストコンクリート板の
   製造方法。
5. 【請求項５】 剥離可能なコーティング材中に高分子吸
   水剤を添加してなる請求項４記載のプレキャストコンク
   リート板の製造方法。
6. 【請求項６】 剥離可能なコーティング材中に界面活性
   剤を添加してなる請求項２，３または４記載のプレキャ
   ストコンクリート板の製造方法。
7. 【請求項７】 剥離可能なコーティング材にてタイルま
   たはレンガまたは石材の表て表面または、側面の一部ま
   たは、コンクリートが付着してはいけない面全面を被覆
   してなるタイルまたはレンガまたは石材一体プレキャス
   トコンクリート板製造用タイルまたはレンガまたは石
   材。