JPH07133441A - プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法

Info

Publication number
JPH07133441A
JPH07133441A JP5279623A JP27962393A JPH07133441A JP H07133441 A JPH07133441 A JP H07133441A JP 5279623 A JP5279623 A JP 5279623A JP 27962393 A JP27962393 A JP 27962393A JP H07133441 A JPH07133441 A JP H07133441A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
olefin
primer
plastic lens
layer
primer composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5279623A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3455254B2 (ja
Inventor
Shusuke Takushima
秀典 宅島
Yasuhiro Sakai
康弘 坂井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Original Assignee
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd filed Critical Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority to JP27962393A priority Critical patent/JP3455254B2/ja
Publication of JPH07133441A publication Critical patent/JPH07133441A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3455254B2 publication Critical patent/JP3455254B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐衝撃性、密着性に優れ、プライマー層の溶
出によるハードコート液の汚染や、プライマー層の白
化、失透などが起こらないプラスチックレンズ用プライ
マー組成物及び該組成物を用いたプラスチックレンズの
製造方法の開発。 【構成】 オレフィン系オリゴマーを主成分として含有
することを特徴とするプライマー組成物及び該組成物を
プラスチックレンズ基板上に塗布、加熱硬化させてプラ
イマー層を設け、その上に有機ハードコート層を設け、
さらにその表面に蒸着により単層あるいは多層の無機反
射防止層を設けることを特徴とするプラスチックレンズ
の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックレンズ基
材に施されるプライマー組成物及び該組成物を用いたプ
ラスチックレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】プラスチックレンズは、軽
量、耐衝撃性、加工性、染色性などの性能において従来
のガラスレンズに比べて優れているため、近年、特に眼
鏡レンズの分野で急速に普及し、品種、数量とも著しく
増加している。一方、プラスチックレンズは、ガラスに
比べて、表面硬度が不十分なため傷がつきやすいといっ
た欠点を有する。そのため、通常は、レンズ表面にシリ
コン系のハードコート層が設けられ、その上に表面反射
抑制のため反射防止層が設けられている。しかしなが
ら、シリコン系ハードコート層と無機反射防止膜の両者
を施したプラスチックレンズは、被覆層を全く設けない
プラスチックレンズや、ハードコート層のみを設けたプ
ラスチックレンズに比べて、耐衝撃性が著しく劣るとい
う欠点がある。
【0003】その欠点を解消するため、プラスチックレ
ンズとハードコート層の間にポリウレタン樹脂やアクリ
ル樹脂を主成分とするプライマー組成物を加熱硬化させ
てプライマー層を設ける方法が提案されている。ポリウ
レタン樹脂を用いた場合、充分な硬度を得るためには1
20〜200℃の高温度が必要となり、レンズの熱変形
を引き起こす恐れがある。特に、中心厚の薄いレンズの
場合に、この傾向が顕著に見られる。また、80〜12
0℃でも乾燥はできるが、表面層のみの硬化のためハー
ドコート液に浸漬した場合、プライマー層のポリウレタ
ンがハードコート液の溶剤に溶けて、ハードコート液中
に溶出したコート液を汚染することがある。他方、アク
リル樹脂を用いた場合には、硬化温度は80〜120℃
でよいが、シリコン系のハードコート層が接着しないと
いう問題が生じる。また、プライマー層は1μm程度と
薄膜のため、密着性向上のための表面処理を行うのは、
塗膜が溶出することから困難である。さらに、表面処理
を行っても、失透、白化などの外観上の問題が生じやす
い。
【0004】
【発明の目的】本発明の目的は、前記従来技術の欠点を
解消し、耐衝撃性、密着性に優れ、プライマー層の溶出
によるハードコート液の汚染や、プライマー層の白化、
失透などが起こらないプラスチックレンズ用プライマー
組成物及び該組成物を用いたプラスチックレンズの製造
方法を提供することである。
【0005】
【発明の概要】本発明は、特定の成分を主成分として含
有するプライマー組成物を用いることによって上記目的
を達成したものである。すなわち、本発明によるプライ
マー組成物は、オレフィン系オリゴマーを主成分として
含有することを特徴とする。また、本発明によるプラス
チックレンズの製造方法は、プラスチックレンズ基板上
に上記のプライマー組成物を塗布、加熱硬化させてプラ
イマー層を設け、その上に有機ハードコート層を設け、
さらにその表面に蒸着により単層あるいは多層の無機反
射防止層を設けることを特徴とする。
【0006】上記のように、本発明のプライマー組成物
は、オレフィン系オリゴマーを主成分とするものであ
る。ここで、オレフィン系オリゴマーとは、オレフィ
ン、オレフィンアルコール、オレフィンアルデヒド及び
オレフィンケトンから成る群から選択された1種以上の
オレフィン系化合物をモノマーとする単独重合体又は共
重合体を示す。ここで、オレフィンの具体例としては、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソ
ブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−
1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2
−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン及び1−
デセンなどが挙げられる。
【0007】また、オレフィンアルコールとしては、ア
リルアルコール、クロチルアルコール、アリルカルビノ
ール、シトロネロール、フィトール、シンナミルアルコ
ールなどが挙げられる。また、オレフィンアルデヒドの
具体例としては、アクロレイン、クロトンアルデヒド、
チグリンアルデヒド、シトロネラール、シンナムアルデ
ヒドなどが挙げられ、オレフィンケトンとしては、メチ
ルビニルケトン、エチリデンアセトン、メシチルオキシ
ド、アリルメチルケトン、アリルアセトン、メチルヘプ
テノン、ベンジリデンアセトン、カルコンなどが挙げら
れる。
【0008】本発明に用いるオレフィン系オリゴマー
は、上記のようなオレフィン系化合物の1種以上をモノ
マーとする単独重合体又は共重合体であるが、重合度が
5〜20であるのが好ましい。重合度が5未満では、充
分な膜厚が得られず、20を超えると、塗膜の表面精度
が損なわれ、また、希釈溶媒に完全に溶解しない恐れが
ある。また、重合度を調節することにより所望の粘度の
プライマー組成物を得ることができる。上記のようなオ
レフィン系オリゴマーを製造するには、上記のようなオ
レフィン系化合物の1種以上を重合開始剤の存在で重合
させればよい。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイ
ル、過酸化アセチル、過酸化イソブチル、過酸化ラウロ
イル、過酸化ジ−t−ブチルなどの過酸化物が挙げられ
る。
【0009】本発明のプライマー組成物は、使用に際し
て塗布に適した濃度に希釈して使用することができる。
希釈に用いられる溶媒としては、トルエン等の芳香族溶
媒、エチルセロソルブ等のエーテル類、1−ブタノール
等のアルコール類、酢酸アミル、酢酸ブチル、酢酸エチ
ル等のエステル類などの有機溶剤を単独で用いてもよ
く、また、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
【0010】なお、本発明のプライマー組成物は、オレ
フィン系化合物が低温で反応して重合体を生成するた
め、硬化触媒を含有しなくてもよいが、必要に応じて、
ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジメチルスズクロラ
イドなどを添加することができ、さらに、必要に応じ
て、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、そ
の他膜の性能や機能を高める公知の添加剤を併用するこ
とができる。
【0011】次に、本発明によるプラスチックレンズの
製造方法について説明する。本発明のプライマー組成物
が塗布されるプラスチックレンズ基材としては、公知の
任意のものが用いられ、例えば、ジイソシアネートと、
3価以上のポリオールのメルカプトアルキルエステルと
を重合させて得られるポリウレタン、ジエチレングリコ
ールビスアリルカーボネート重合体、アリルエステル/
スチレン共重合体などが挙げられる。
【0012】プライマー組成物の塗布方法には、特に制
限はなく、ディップコート、ローラコート、スプレー塗
装、フローコート、スピンコートなどを容易に適用でき
る。プライマー層を形成するには、プライマー組成物を
レンズに塗布した後、70〜120℃、好ましくは80
〜90℃で加熱することが望ましい。70℃より低い温
度では充分な硬さが得られず、また、120℃より高い
温度ではレンズが変形し、クラックや失透を生じること
がある。加熱時間は、用いた溶媒、加熱温度などによっ
て異なるが、通常、30〜40分間であるが、生産性の
面からは30分程度が好ましい。加熱時間が30分より
短いと、未硬化部分が残る恐れがあり、40分より長く
しても硬度に変化は見られない。
【0013】プライマー層として必要な膜厚は、通常
0.05〜2μm、好ましくは0.1〜1.5μmであ
る。0.05μm未満では耐衝撃性が劣り、2μmを超
えると塗膜表面の状態が平滑でなくなる。
【0014】本発明のプラスチックレンズは、上記のよ
うに基材上に形成したプライマー層の上にさらに有機ハ
ードコート層及び無機反射防止層を設けたものである。
このハードコート層の形成に用いるハードコート組成物
としては、特に制限はなく、各種のシリコン樹脂を主成
分とするものが好ましい。特に好ましいハードコート組
成物は、(A)コロイダルシリカ、コロイダル酸化アン
チモン、コロイダル酸化セリウム、コロイダル酸化ジル
コニウム、コロイダル酸化チタン、コロイダル酸化タン
グステン等のような10〜200オングストロームの平
均粒子径を有する無機酸化物微粒子及び(B)アルキル
基、アルケニル基、アリル基、ハロゲン、エポキシ基、
アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基あるいは
シアミノ基のような置換基を有するシラン化合物及びそ
の加水分解物から選ばれる1種以上のシラン化合物を主
成分とするものである。上記の(A)成分と(B)成分
の配合比率は、A/Bで表して0.25〜3.0である
ことが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ま
しい。
【0015】上記のシラン化合物の具体例としては、メ
チルトリメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラ
ン、トリメチルクロロシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシランなどが挙げられる。
【0016】上記(A)成分の無機酸化物微粒子は、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコー
ル、又は水等の溶媒に分散させて用いる。この場合、コ
ロイド溶液の固形分は、30〜35重量%であることが
好ましい。これより低濃度では、分散媒が多すぎてハー
ドコート組成物とした時、所定の膜厚を得にくく、ま
た、上記より高濃度のものはコロイドとしての安定性に
欠ける。
【0017】ハードコート組成物の塗布方法としては、
特に制限はなく、プライマー組成物の塗布方法と同様に
ディップコート、スプレー塗装、フローコート、スピン
コートなど、一般に実施されている任意の方法を採用す
ることができる。ハードコート組成物を塗布した後、加
熱及び/又は紫外線、電子線照射など、使用したハード
コート組成物に適する方法で硬化処理を行う。このと
き、硬化促進、低温での硬化を目的とした各種の硬化剤
を併用してもよい。硬化剤としては、例えば、各種の有
機酸及びその酸無水物、金属錯化合物、金属アルコキシ
ド、炭酸塩などの各種塩などが挙げられ、これらのうち
特に金属錯化合物が好ましい。これらは単独であるいは
2種以上組み合わせて使用することもできる。金属錯化
合物の具体例としては、アルミニウムアセチルアセトネ
ートが挙げられる。こうして形成されるハードコート層
の好ましい膜厚は、2〜4μmである。
【0018】本発明においては、前記ハードコート層上
にさらに単層又は多層の無機反射防止膜を設ける。反射
防止層の形成に用いる物質としては、SiO2 、ZrO
2 、TiO2 等の金属酸化物、MgF2 等の金属フッ化
物などが挙げられる。反射防止層を形成させる方法とし
ては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、イオンビームアシスト法などが挙げられる。
多層の反射防止膜の具体例としては、ハードコート層の
側からZrO2 、SiO2 、TiO2 、SiO2 の膜を
順次、それぞれλ/4、λ/4、λ/4、λ/2の光学
的膜厚で形成させたものが挙げられる。ここで、λは光
の波長520nmである。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】実施例1 (1)プラスチックレンズ基材の製造 m−キシリレンジイソシアネート40重量部、ペンタエ
リスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネー
ト)52重量部及びジブチルスズジラウレート0.1重
量部を混合し、室温付近で攪拌して均一にした後、0.
8μmのメンブランフィルターを用いて濾過し、冷却し
ながら脱気した。次いで、中心厚1.2mm、コバ厚1
0mm、半径80mmのレンズ成形用ガラス製鋳型中に
注入し、−5℃で48時間、40℃で1時間、60℃で
1時間、110℃で4時間かけて重合させた。得られた
レンズ成形品は、無色透明であり、屈折率は1.595
であり、内部歪みのない光学用のプラスチックレンズと
して良好なものであった。これをプラスチックレンズ基
材として用いた。
【0021】(2)プライマー組成物の調製及び塗布硬
化 市販のポリオレフィン系樹脂塗料(日本ビーケミカル
(株)製の商品名UN101クリアー)10重量部及び
希釈剤(日本ビーケミカル(株)製の商品名UN101
シンナー)10重量部を混合し、室温で均一な状態にな
るまで充分に攪拌し、これをプライマー組成物とした。
このプライマー組成物を、前処理としてアルカリ処理を
施した前記(1)で得られたプラスチックレンズ基材上
にスピンコート法で塗布した。塗布条件は、700rp
mを7秒間維持し、続いて5秒間で1500rpmに回
転速度を上げ、この回転速度に20秒間保持し、次に5
秒間で回転を0rpmにして終了した。プライマー組成
物の吐出は、始めの7秒間に行った。塗布後のレンズを
室温で15分間風乾した後、85℃で30分間加熱処理
してプライマーを硬化させ、レンズ上に厚さが0.8μ
mのプライマー層を形成させた。
【0022】(3)シリコン系ハードコート組成物の調
製及び塗布硬化 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン65重量
部を0.01規定塩酸水溶液35重量部と混合し、加水
分解させた後、24時間室温で熟成した。この加水分解
調製液90重量部とメタノール分散コロイダルシリカ
(平均粒子径20±3μm、固形分30%)200重量
部を混合し、さらに硬化剤としてアルミニウムアセチル
アセトネート0.5重量部、溶媒としてイソプロピルア
ルコール60重量部及びレベリング剤としてL−760
7(日本ユニカー(株)製、商品名)0.2重量部を混
合し、充分に攪拌し、室温で熟成させた。この液をハー
ドコート組成物とした。このハードコート組成物を上記
(2)で得られたプライマー層を有するプラスチックレ
ンズ基材のプライマー層上に浸漬法(引き上げ速度20
0mm/分)で塗布した。塗布したレンズを室温で15
分間風乾させた後、90℃で10分間、さらに110℃
で2時間加熱処理して厚みが2μmのハードコート層を
形成させた。
【0023】(4)反射防止膜の形成 上記(3)で得られたプライマー層及びハードコート層
を有するプラスチックレンズ基材にSiO2 /ZrO2
/TiO2 系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成
させた。すなわち、ハードコート層の側からSiO2
ZrO2 、SiO2 、TiO2 、SiO2 の膜を順次、
それぞれλ0 /4、λ0 /2、λ0 /4、λ0 /2、λ
0 /1の光学的膜厚で形成させた。ここで、λ0 は、光
の波長550nmである。このようにして透明性に優
れ、内部歪み、ゆがみなどの光学的問題のないプラスチ
ックレンズが得られた。その他、諸性能を測定した。そ
の評価方法は下記のとおりであり、評価結果を表1に示
した。
【0024】評価方法 密着性 塗膜面にナイフ等で縦横1mm間隔で各11本の平行な
線を入れ、100個のマス目を入れる。その上にセロフ
ァン粘着テープを強くはりつけ、90度方向に急速に剥
がし、100個中の剥がれずに残ったマス目の個数を調
べ、下記のように評価する。すなわち、100個中に剥
がれずに残っていたマス目の個数=mとして、m/10
0と表す。「100/100」はクロスカットテープに
おいて膜が全く剥がれなかったことを示している。
【0025】 耐候性 サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製)
に240時間曝露した後、表面を肉眼で観察し、クラッ
クのないものを「良好」と評価した。 耐擦傷性 スチールウール#0000で塗膜表面を1kgの荷重を
かけて摩擦して傷の状態を調べ、下記の基準で評価す
る。 良好:塗膜表面に傷がつかないか又は僅かに傷がつく 不良:塗膜表面に深く傷がつく
【0026】 染色性 分散染料であるプラックスブラウンD(商品名、(株)
服部セイコー製)2重量部を水2000重量部に溶解さ
せた染色浴中で90℃に10分間浸漬処理して染色し、
自記分光光度計(商品名U−4000型、(株)日立製
作所製)で可視光線透過率を測定し、その値で示した。
【0027】 耐衝撃性 16gの鋼球を127cmの高さからレンズ中心部に自
然落下させ、破砕、ひび割れなどの有無を調べた。落下
は3回行い、3回とも変化しなかったものについて「良
好」とした。 外観 レンズにスライドプロジェクターの強い光を当てて目視
で透明感を観察し、白化、失透、クラックのないものを
「良好」と評価した。
【0028】実施例2 (1)プラスチックレンズ基材の製造 ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100重
量部と、ラジカル重合開始剤としてのジイソプロピルパ
ーオキシカーボネート3重量部とからなる混合物を室温
で攪拌して均一にした後、0.8μmのメンブランフィ
ルタを用いて濾過し、さらに冷却しながら脱気した。次
いで、レンズ成形用のガラス製鋳型中に注入し、40℃
で6時間加温し、40℃から65℃まで12時間かけて
昇温し、さらに65℃から85℃まで7時間かけて昇温
し、最後に85℃で4時間加熱した。レンズを鋳型から
取り出し、130℃で1時間ポストキュアーを行った。
得られたレンズ成形品は、無色透明であり、屈折率が
1.50で、内部歪みのない光学用のプラスチックレン
ズとして好適なものであった。これをプラスチックレン
ズ基材として用いた。
【0029】(2)プライマー層、ハードコート層及び
反射防止層の形成 上記の(1)で得られたプラスチックレンズ基材を用い
た以外は、すべて実施例1(2)〜(4)と同様にして
各層を形成してプラスチックレンズを作製し、試験結果
を表1に示す。
【0030】実施例3 (1)プラスチックレンズ基材の製造 テトラクロルジアリルフタレート70重量部、モノクロ
ルアリルベンゾエート15重量部、スチレン15重量部
及び過酸化ベンゾイル(ラジカル重合開始剤)3重量部
からなる混合液を室温で攪拌して均一にした後、0.8
μmのメンブランフィルターを用いて濾過し、さらに冷
却しながら脱気した。次いで、40℃に昇温したレンズ
成形用のガラス製鋳型中に注入し、電気炉に入れて50
〜100℃まで24時間かけて直線的に昇温させて重合
を行った。得られたレンズ成形品は、無色透明であり、
屈折率が1.605で、内部歪みのない光学用のプラス
チックレンズとして好適なものであった。これをプラス
チックレンズ基材として用いた。
【0031】(2)プライマー層、ハードコート層及び
反射防止層の形成 上記の(1)で得られたプラスチックレンズ基材を用い
た以外は、すべて実施例1(2)〜(4)と同様にして
各層を形成してプラスチックレンズを作製し、試験結果
を表1に示す。
【0032】実施例4 (1)プライマー組成物の調製及び塗布硬化 攪拌機、窒素導入管及びガラス製排気管を取り付けた4
リットルの三つ口セパラブルフラスコに窒素を流しなが
ら、1リットルのベンゼン、1リットルの石油エーテル
及び200gの2−メチル−1−ブテンを加えた。この
混合物を外部から氷水浴で5℃に冷却し、過酸化ラウロ
イル0.001gを石油エーテル100mlに溶解した
溶液を徐々に加えた。このとき、温度の上昇に注意して
添加を行った。約30分攪拌後、窒素の導入を停止し、
空気を反応器に満たし、空気で置換した後、ベンゾキノ
ン0.001gを加え、攪拌を4時間続けた。その後、
内容液を別の三つ口フラスコに移し、攪拌しながら還流
し、35℃に調節してエーテル分を留去した。フラスコ
内残留物の粘度を測定したところ、8cps(10℃)
であり、2−メチル−1−ブテンのオリゴマー(重合度
約10〜20)となっていた。
【0033】得られたオリゴマー20g、溶媒としてト
ルエン7g及び触媒としてジ−n−ブチルスズジラウレ
ート0.01gを混合し、室温で一昼夜攪拌し、0.8
μmのメンブランフィルターで濾過し、10℃で放置し
て熟成させ、プライマー組成物とした。このプライマー
組成物を、前処理としてアルカリ処理を施した実施例1
(1)で製造したプラスチックレンズ基材上にスピンコ
ート法で塗布した。塗布条件は、700rpmを10秒
間維持し、続いて8秒間で2000rpmに回転速度を
上げ、この回転速度に25秒間保持し、次に5秒間で1
000rpmに、さらに10秒間で回転を0rpmにし
て終了した。プライマー組成物の吐出は、始めの10秒
間に行った。塗布後のレンズを室温で15分間風乾した
後、90℃で30分間加熱処理してプライマーを硬化さ
せ、レンズ上に厚さが0.7μmのプライマー層を形成
させた。
【0034】(2)ハードコート組成物の塗布硬化 上記(1)で得られたプライマー層を有するプラスチッ
クレンズ基材上に実施例1(3)で調製したハードコー
ト組成物を浸漬法(引き上げ速度200mm/分)で塗
布した。塗布したレンズを室温で15分間風乾した後、
90℃で10分間、110℃で2時間加熱処理して厚み
が2μmのハードコート層を形成させた。
【0035】(3)反射防止膜の形成 上記(2)で得られたプライマー層及びハードコート層
を有するプラスチックレンズ基材上に実施例1(4)と
同様にして反射防止膜を形成してプラスチックレンズを
得た。得られたレンズの諸性能を試験し、結果を表1に
示す。
【0036】実施例5 (1)プライマー組成物の調製及び塗布硬化 硝酸マンガンを空気中で150〜200℃で3時間加熱
し、二酸化マンガンを作製しておく。三つ口フラスコに
アリルアルコール100gを入れ、攪拌しながら、先に
作製して冷ましておいた二酸化マンガン1gを少しずつ
加えた。約1時間攪拌し、アクロレインを得た。三つ口
フラスコを10℃に冷却しておき、その中に得られたア
クロレイン50gを入れ、さらに溶媒としてエチレング
リコールモノエチルエーテル50gを加え、窒素を流し
ながら液温を10℃に保持して2時間攪拌を行った。2
時間経過後、窒素の流入を停止し、空気を反応器中に満
たし、空気で置換した後、ベンゾキノン0.01gを加
え、攪拌を2時間、10℃で続けた。こうしてアクロレ
インのオリゴマー(重合度約10〜20)を得た。
【0037】得られたオリゴマー12g、溶媒として酢
酸エチル20g及び触媒としてジ−n−ブチルスズジラ
ウレート0.03gを混合し、15℃で一昼夜攪拌し、
さらに5℃で放置して熟成させ、この液をプライマー組
成物とした。このプライマー組成物を、前処理としてア
ルカリ処理を施した実施例1(1)で製造したプラスチ
ックレンズ基材上にスピンコート法で塗布した。塗布条
件は、600rpmを6秒間維持し、続いて5秒間で1
500rpmに、さらに5秒間で2000rpmに回転
速度を上げ、この回転速度に15秒間保持し、次に7秒
間で回転を0rpmにして終了した。プライマー組成物
の吐出は、始めの6秒間に行った。塗布後のレンズを室
温で15分間風乾した後、80℃で30分間加熱処理し
てプライマーを硬化させ、レンズ上に厚さが0.7μm
のプライマー層を形成させた。
【0038】(2)ハードコート組成物の塗布硬化及び
反射防止膜の形成 上記(1)で得られたプライマー層を有するプラスチッ
クレンズ基材を用いた以外は、すべて実施例4(2)及
び(3)と同様にして各層を形成してプラスチックレン
ズを作製し、得られたレンズの諸性能を試験し、結果を
表1に示す。
【0039】実施例6 (1)プライマー組成物の調製及び塗布硬化 コンデンサー、窒素導入管及び攪拌機を取り付けた1リ
ットルの三つ口フラスコに蒸留したてのメチルビニルケ
トン100gと酢酸エチル400gを入れ、窒素雰囲気
中で40℃で攪拌した。次いで、過酸化ベンゾイル5g
を徐々に加え、1時間攪拌後、窒素の流入を停止し、空
気を反応器中に満たし、空気で置換した後、ベンゾキノ
ン0.001gを加え、攪拌を4時間、30℃で続け
た。こうしてメチルビニルケトンのオリゴマー(重合度
約10〜20)を得た。得られたオリゴマー20g、溶
媒として酢酸エチル6g、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル6g及び触媒としてジ−n−ブチルスズジラ
ウレート0.02gを混合し、室温で2時間攪拌し、1
5℃で放置して熟成させ、この液をプライマー組成物と
した。
【0040】このプライマー組成物を、前処理としてア
ルカリ処理を施した実施例1(1)で製造したプラスチ
ックレンズ基材上にスピンコート法で塗布した。塗布条
件は実施例5と同様であった。また、硬化条件について
も、実施例5と同様にした。得られたプライマー層の厚
さは、0.7μmであった。
【0041】(2)ハードコート組成物の塗布硬化及び
反射防止膜の形成 上記(1)で得られたプライマー層を有するプラスチッ
クレンズ基材を用いた以外は、すべて実施例4(2)及
び(3)と同様にして各層を形成してプラスチックレン
ズを作製し、得られたレンズの諸性能を試験し、結果を
表1に示す。
【0042】比較例1〜3 プライマー層を一切設けないこと以外は、それぞれ実施
例1〜3と同様の方法でプラスチックレンズを作製し、
試験結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明のプライマー組成物は、低温での
硬化が可能であるため、レンズ基材の熱による変形の恐
れがなく、ポリオレフィンは一般に化学的に安定であ
り、酸、アルカリ、アルコールに対して特に安定である
ため、ハードコート剤の溶剤に侵される恐れもなく、プ
ライマー層の白化や失透も起こらない。また、ハードコ
ート剤の材料であるシランカップリング剤のポリオレフ
ィン系樹脂に対する接着性は非常に優れているため、本
発明のプライマー組成物を用いたプライマー層は、レン
ズ基材及びハードコート層の両者に対して高い密着性を
示す。さらに本発明のプライマー組成物を用いてプラス
チックレンズ基材とハードコート層との間にプライマー
層を設けると、ハードコート層上に反射防止膜を設けた
場合でも耐衝撃性に優れ、米国のFDA規格に合格する
プラスチックレンズが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系オリゴマーを主成分として
    含有することを特徴とするプライマー組成物。
  2. 【請求項2】 オレフィン系オリゴマーが重合度5〜2
    0のものである請求項1記載のプライマー組成物。
  3. 【請求項3】 オレフィン系オリゴマーがオレフィン、
    オレフィンアルコール、オレフィンアルデヒド及びオレ
    フィンケトンから成る群から選択された1種以上のオレ
    フィン系化合物をモノマーとする単独重合体又は共重合
    体である請求項1又は2記載のプライマー組成物。
  4. 【請求項4】 プラスチックレンズ基板上に請求項1又
    は2記載のプライマー組成物を塗布、加熱硬化させてプ
    ライマー層を設け、その上に有機ハードコート層を設
    け、さらにその表面に蒸着により単層あるいは多層の無
    機反射防止層を設けることを特徴とするプラスチックレ
    ンズの製造方法。
JP27962393A 1993-11-09 1993-11-09 プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法 Expired - Fee Related JP3455254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27962393A JP3455254B2 (ja) 1993-11-09 1993-11-09 プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27962393A JP3455254B2 (ja) 1993-11-09 1993-11-09 プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07133441A true JPH07133441A (ja) 1995-05-23
JP3455254B2 JP3455254B2 (ja) 2003-10-14

Family

ID=17613563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27962393A Expired - Fee Related JP3455254B2 (ja) 1993-11-09 1993-11-09 プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3455254B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3455254B2 (ja) 2003-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5096626A (en) Process of molding a coated plastic lens
US5173368A (en) Solution-applied antireflective coatings
US4611892A (en) Synthetic resin ophthalmic lens having a surface hard coat
EP1090968B1 (en) Coating composition and method for preparing the same, and scuff-resistant plastic lense
JPS6131441B2 (ja)
WO2005087882A1 (ja) コーティング剤組成物
JP3834034B2 (ja) エポキシ/アクリレートをベースにしたプライマーコーティング組成物および光学分野におけるその使用法
JPH05339541A (ja) コーティング組成物
JPS5846301A (ja) 反射防止膜を有する透明材料
US6913357B2 (en) Plastic photochromic lenses for glasses and process for their production
JPS59126501A (ja) ハ−ドコ−ト層を有する高屈折率合成樹脂レンズ
JPH03145602A (ja) 積層体およびその製造方法
WO2001025344A1 (en) Uv curable coatings for plastic ophthalmic lens
JP3455254B2 (ja) プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法
JP3064605B2 (ja) 合成樹脂製レンズ
JPH0228267A (ja) コーティング用組成物
JP3401303B2 (ja) プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法
JPH04191801A (ja) 光学部品
JP3220906B2 (ja) コーティング用組成物
JPH07119386B2 (ja) コ−ティング用組成物
JPS63280790A (ja) 帯電防止物品
JP3027675B2 (ja) 硬化被膜を有する光学部材
JPH0735902A (ja) プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズ
JPH095679A (ja) 眼鏡用プラスチックレンズ
WO2011055667A1 (ja) コーティング組成物および光学物品

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090725

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees