JPH07132845A - 学習機能付き電動パワーステアリング - Google Patents

学習機能付き電動パワーステアリング

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JPH07132845A
JPH07132845A JP27809993A JP27809993A JPH07132845A JP H07132845 A JPH07132845 A JP H07132845A JP 27809993 A JP27809993 A JP 27809993A JP 27809993 A JP27809993 A JP 27809993A JP H07132845 A JPH07132845 A JP H07132845A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 学習機能を導入することにより、舵角センサ
の出力値を補正して、それにより制御不感帯を狭くする
ことのできる学習機能付き電動パワーステアリングを提
供することを目的すとる。 【構成】 トルクセンサからの操舵力及び舵角センサか
らの舵角に応じて、モータを制御して操舵力をパワーア
シストするコントローラとを備えた電動パワーステアリ
ングにおいて、車両が直進する条件のもとで、舵角セン
サからの出力値を一定時間平均して得た平均値を、舵角
センサの中立出力値として補正する学習制御を行なうこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、舵角センサの中立出力
値を学習機能により補正する学習機能付き電動パワース
テアリングに関する。
【0002】
【背景技術】図2に電動パワーステアリングの一例を示
す。この例は、エネルギロスが少なく、構成部品点数も
少ないモータ直動式電動パワーステアリングを示すもの
である。同図に示すように、ステアリングラック10は
図中左右方向に移動自在に配置されると共にステアリン
グ軸11と螺合しており、このステアリング軸11はハ
ンドルに一体に結合している。
【0003】ステアリングラック10の左右両端にはそ
れぞれ操舵輪が装着され、ステアリングラック10の中
央部分はボールねじ4が装着されている。このボールね
じ4は減速ギヤ3と噛合すると共にこの減速ギヤ3はク
ラッチ2を介してモータ1と接続している。従って、モ
ータ1の回転は、クラッチ2を介して減速ギヤ3により
減速されて、ステアリングラック10上のボールねじ4
に伝達される。クラッチ2は、正常動作時は常にモータ
1と減速ギヤ3とを接合し、電気系故障発生時にモータ
1を減速ギヤ3から切り離す。モータ1は、コントロー
ラ8により制御されて、駆動トルクを発生する。
【0004】コントローラ8は、ハンドルの操舵力(入
力トルク)、舵角、車速、等に基づいてモータ1を駆動
し、パワーアシストするものである。即ち、コントロー
ラ8は、トルクセンサ5により検出される入力トルクの
増大に応じて、モータ電流を増大させると共に、車速セ
ンサ7により検出される車速の増大に応じてモータ電流
を漸減させ適度な操作力を確保し、停車時においてはモ
ータ電流を最大とするのである。更に、舵角センサ6の
出力に応じて、低速走行時のハンドル戻り性能を確保す
る。
【0005】トルクセンサ5は、ステアリング軸11の
捩じり角に応じた誘導電流を検出し、ハンドルからの操
舵力(入力トルク)としてコントローラ8へ出力する。
また、舵角センサ6は、モータ回転により駆動されるポ
テンショメータであり、電圧信号を発生する。更に、車
速センサ7としては、ABS用車速センサを流用する。
【0006】上述した直動式電動パワーステアリングに
おいては、ハンドルを操作してステアリング軸11から
ステアリングラック10へ操舵力を伝達すると、トルク
センサ5が操舵力に応じた電流信号を発生し、その値は
入力トルクとしてコントローラ8へ入力される。コント
ローラ8は、トルクセンサ5からの入力トルクに対し、
車速センサ7等で検出された値を加味して、モータ電流
をモータ1へ通電し駆動することにより、クラッチ2、
減速ギヤ3及びボールねじ4を介して、操舵力をステア
リングラック10に伝達してパワーアシストするのであ
る。
【0007】尚、コントローラ8は、コンビネーション
メータ内に配置されたインジケータランプ9を電気系の
故障発生時に点灯させ、ドライバに異常を知らせる。ま
た、モータ1、クラッチ2、減速ギヤ3等は、ステアリ
ング軸11に装着することも可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した電動パワース
テアリングにおいては、油圧パワーステアリングのよう
な操舵フィーリングを得ようとして、トルクセンサ5、
車速センサ7、舵角センサ6等の各種センサを用いて制
御しているが、ハンドル戻し性能が十分でない問題があ
った。
【0009】即ち、電動パワーステアリングにおいて
は、モータ1がロストルクを有するため、ステアリング
ラック10の逆転摺動荷重が極めて大きくなり(油圧パ
ワーステアリングの二倍程度)、この為、ハンドルを切
った後、ハンドルから手を離すと、ハンドルは中立位置
に戻らず、車両は旋回する状態を維持しようとする傾向
にある。
【0010】そこで、ハンドル戻し性能を確保するため
に、トルクセンサ5が反応しない状態、つまり、ハンド
ルから手を離した状態において、舵角センサ6が中立位
置から外れているとき、つまり、ハンドルが切れている
ときには、モータ1を逆転させて、ハンドルを強制的に
中立位置まで戻す制御を行なうようにしている。
【0011】しかし、舵角センサ6については、他のセ
ンサと異なり、センサの性格上車載した状態で中立位置
を調整しなければならず、調整が極めて困難である。即
ち、トルクセンサ5、車速センサ7については、車載す
る前に、それ自体で中立位置を正確に調整することがで
きるのに対し、舵角センサ6は、それ自体では中立位置
を調整できず、減速ギヤ3、ステアリングラック10等
に組み付けた後に、ステアリングの位置が中立になるよ
うに調整する必要があるためである。つまり、舵角セン
サ6により検出される舵角は、ステアリングラック1
0、ボールねじ4、減速ギヤ3等の誤差が累積されるた
め、例えば、±15°程度に中立出力値の誤差が大きく
なるためである。
【0012】そのため、舵角センサ6には、中立付近に
制御不感帯を広くとる必要があり、そのため、ハンドル
戻し性能を十分に確保することはできず、油圧パワース
テアリングに比較して違和感を生じていた。本発明は、
上記従来技術に鑑みてなされたものであり、学習機能を
導入することにより、舵角センサの中立出力値を補正し
て、それにより制御不感帯を狭くすることのできる学習
機能付き電動パワーステアリングを提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成する本
発明の構成はステアリング軸の操舵力を検出するトルク
センサと、ステアリング軸の舵角を検出する舵角センサ
と、ステアリングラック又はステアリング軸に操舵力伝
達手段を介して結合したモータと、前記トルクセンサか
らの操舵力及び前記舵角センサからの舵角に応じて、前
記モータを制御して操舵力をパワーアシストするコント
ローラとを備えた電動パワーステアリングにおいて、前
記コントローラは、車両が直進する条件のもとで、前記
舵角センサからの出力値を一定時間平均して得た平均値
を、前記舵角センサの中立出力値として補正する学習制
御を行なうことを特徴とする。
【0014】
【作用】トルクセンサからの操舵力、舵角センサからの
舵角に基づき、車両が直進していると判定される条件に
おいて、舵角センサからの出力値を一定時間平均し、こ
の平均値を舵角センサの中立出力値とするので、舵角セ
ンサの中立出力値の誤差が減少する。
【0015】
【実施例】以下、本発明について、図面に示す実施例を
参照して詳細に説明する。図2に本発明の一実施例に係
る学習機能付き電動パワーステアリングの学習制御を示
す。本実施例は、図2に示す電動パワーステアリングに
適用されるものであり、図1に示す学習制御は、コント
ローラ8により実施されるものである。尚、以下の説明
において、A,B,C,D,F,G,H,J,L,
L′,P,Q,X,Yは各センサの閾値となる実数であ
る。
【0016】先ず、バッテリー電源が投入されると、E
mn(n=1,2,…7),ERの初期値設定を行なう。
初期値設定は、Emn,ERの初期値として、何れもXを
設定する。ERは学習により更新する舵角センサの中立
出力値であり、コントローラでの演算に使用する。Emn
は、舵角センサの平均値Emを保管するためのアドレス
であり、この例ではn=1〜7として、七つ保有する。
舵角センサの平均値Emは、後述するように、舵角セン
サの出力値ENを、一定時間内(学習時間内)で平均し
たものである。舵角センサの出力値ENは、本実施例で
は電圧値である。
【0017】次に、舵角センサの中立出力値ERを更新
してから3分を経過したことを条件として、サンプリン
グ回数Nとして0を設定し、Emax,Eminの初期値設定
を行なう。初期値設定は、Emax,Eminの初期値として
何れもXを、Imax,Iminの初期値として何れもYを設
定する。Emax,Eminは、舵角センサの出力値ENのそ
れぞれ最大値、最小値となる値である。Imax,I
minは、トルクセンサの出力値I Nのそれぞれ最大値、最
小値となる値である。トルクセンサの出力値INは、本
実施例では電流値である。
【0018】その後、操舵サンプリング数Mを一つ増加
し、更に、サンプリング回数Nを一つ増加して、下式に
示す車速条件、トルク条件、舵角条件を順次判定する。 車速条件 : A≦VN≦B トルク条件: C≦IN≦D 舵角条件 : F≦EN≦G 閾値A,Bとしては、安定して直進走行ができる範囲の
車速とすることができる。閾値C,Dとしては、一般的
に車両が直進すると考えられる範囲の値、例えば、絶対
値±6kg・cm以内とすることができる。閾値F,G
は、舵角センサの中立出力値の誤差として許容される値
(舵角センサ以外の誤差が累積されて検出される値も含
む)よりも一層大きい値を選定する。
【0019】上記車速条件を満たさない場合には、車両
は直進状態にないと判定し、上記車速条件を満たすま
で、サンプリング回数Nの設定から処理を繰り返す。上
記トルク条件を満たさない場合には、車両は直進状態に
ないと判定し、上記車速条件、トルク条件を満たすま
で、サンプリング回数Nの増加から処理を繰り返す。上
記車速条件、トルク条件を満たした状態、つまり、車両
が直進状態にあると判定される状態で、上記舵角条件を
満たさない場合は、何らかの原因により、舵角センサの
出力値ENが不適当であるので、上記車速条件、トルク
条件、舵角条件を満たすまで、サンプリング回数Nの設
定から処理を繰り返す。
【0020】上記条件を全て満足すると判定されるとき
には、引続き、サンプリング回数Nが1以外であること
を条件として、下式に示す加速度条件を判定する。 加速度条件 : |VN−VN-1|≦H 閾値Hとしては、一般的に車両が直進すると考えられる
範囲の値とすることができる。サンプリング回数Nが1
であるときを除外したのは、サンプリング回数Nが1の
ときには、上記加速度条件の計算が不能となるためであ
る。
【0021】上記加速度条件を満たさない場合には、車
両は直進状態にないと判定し、以下の学習制御は行なわ
ず、上記条件を満たすまで、サンプリング回数Nの設定
から処理を繰り返す。更に、もし、舵角センサの出力値
Nが、その最大値Emax以上となる時には、その舵角セ
ンサの出力値ENをその最大値Emaxとして更新し、舵角
センサの出力値ENが、その最小値Emin以下となる時に
は、舵角センサの出力値ENをその最小値Eminとして更
新する。
【0022】同様に、もし、トルクセンサの出力値IN
が、その最大値Imax以上となる時には、そのトルクセ
ンサの出力値INをその最大値Imaxとして更新し、トル
クセンサの出力値INが、その最小値Imin以下となる時
には、トルクセンサの出力値I Nをその最小値Iminとし
て更新する。
【0023】その後、舵角センサの最大値Emax、最小
値Eminの変動幅が下式の舵角変動幅条件を満たすか否
か判定する。 舵角変動幅条件 :Emax−Emin>J 閾値Jとしては、一般的に車両が安定して直進すると考
えられる範囲の値とすることができる。
【0024】上記舵角変動幅条件を満たさない場合に
は、車両は直進状態にないと判定し、以下の学習制御は
行なわず、上記条件を満たすまで、サンプリング回数N
の設定から処理を繰り返す。上記舵角変動幅条件を満た
す場合には、次式に示すように時間達成条件を判定す
る。 時間達成条件: N>L 閾値Lは、学習時間に相当する値を設定する。例えば、
3秒に相当する値とすることができる。
【0025】上記時間達成条件を満たさない場合には、
学習時間として不十分であるので、上記条件を満たすま
で、操舵サンプリング回数Mの増加から処理を繰り返
す。上記時間達成条件を満たす場合には、更に、次式に
示すように操舵サンプリング条件を満たすか否か判定す
る。 操舵サンプリング条件:M>L′ 閾値L′は、舵角センサの出力値ENの平均値を算出す
るのに適する回数を選定する。例えば、30回とするこ
とができる。
【0026】上記操舵サンプリング条件を満たさない場
合には、舵角センサの出力値ENの平均値を算出するの
に不適当であるので、サンプリング回数Nの設定から処
理を繰り返す。上記操舵サンプリング条件を満たす場合
には、舵角センサの出力値ENの平均値を算出するのに
適するとして、次式に示すように舵角センサの平均値E
mを算出する。 舵角センサの平均値Em=ΣEN/M
【0027】そして、舵角センサの平均値Emが、下式
に示す舵角平均値条件を満たすか否か判定する。 舵角平均値条件:P<Em<Q 閾値P,Qは、舵角センサの中立出力値の誤差として許
容される値(舵角センサ以外の誤差が累積されて検出さ
れる値も含む)である。
【0028】上記舵角平均値条件を満たさない場合に
は、何らかの原因により舵角センサの出力値の平均値E
mが不適当なため(例えば、ノイズ発生により学習ミス
を起こしたため)、上記条件を満たすまで、サンプリン
グ回数Nの設定から処理を繰り返す。上記舵角平均値条
件を満たす場合には、舵角センサの出力値の平均値Em
を、Emnのデータアドレスの何れか一つと置き換える。
但し、nは、|Emn−Em|が最大となる値が選ばれ、
最大となる値が複数ある場合には、その中の最小値を選
択する。
【0029】そして、舵角センサの中立出力値ERを、
下式に示すように算出する。但し、ここでのΣEmnは、
m1〜Em7のうち、上下の四つを取り除いた、中間の三
つの和とする。 ER=ΣEmn/3 このように、舵角センサの中立出力値ERを算出した
後、バッテリー電源がOFFされるまで、上記学習処理
を繰り返す。舵角センサの中立出力値ERとして適切な
値を算出するためには、少なくとも上記学習処理を3回
は繰り返す必要がある。
【0030】このように学習して求めた舵角センサの中
立出力値ERにより、コントローラ8は、舵角センサの
中立出力値を補正し、舵角センサの中立出力値ERを中
心として、制御不感帯を可能な限り狭くなるように、例
えば、制御不感帯±15°が3°づつ狭くなるように補
正するのである。
【0031】従って、低速走行時のハンドル戻り制御に
おいては、学習制御により誤差を可能な限り抑えた舵角
センサからの出力値に基づいて制御することができ、し
かも、制御不感帯が狭いため、ハンドル戻し性能を十分
に高めることが可能となる。この為、本実施例の学習機
能付き電動パワーステアリングは、油圧パワーステアリ
ングと同様なフィーリングで操舵できるという利点があ
る。
【0032】
【発明の効果】以上、実施例に基づいて具体的に説明し
たように、本発明は、車両が直進している条件のもと
で、舵角センサの出力値を平均して、その平均値を舵角
センサの中立出力値として補正するため、舵角センサの
中立位置の誤差を可能な限り抑えることができ、ハンド
ル戻し制御における制御不感帯を狭くすることができ、
油圧パワーステアリングと同様なフィーリングを得るこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る学習機能付き電動パワ
ーステアリングの学習制御を示すフローチャートであ
る。
【図2】直動式電動パワーステアリングの構造図であ
る。
【符号の説明】
1 モータ 2 クラッチ 3 減速ギヤ 4 ボールねじ 5 トルクセンサ 6 舵角センサ 7 回転数センサ 8 コントローラ 9 インジケータランプ 10 ステアリングラック 11 ステアリング軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 119:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリング軸の操舵力を検出するトル
    クセンサと、ステアリング軸の舵角を検出する舵角セン
    サと、ステアリングラック又はステアリング軸に操舵力
    伝達手段を介して結合したモータと、前記トルクセンサ
    からの操舵力及び前記舵角センサからの舵角に応じて、
    前記モータを制御して操舵力をパワーアシストするコン
    トローラとを備えた電動パワーステアリングにおいて、
    前記コントローラは、車両が直進する条件のもとで、前
    記舵角センサからの出力値を一定時間平均して得た平均
    値を、前記舵角センサの中立出力値として補正する学習
    制御を行なうことを特徴とする電動パワーステアリン
    グ。
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