JPH07130307A - 反射防止膜付基板 - Google Patents

反射防止膜付基板

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JPH07130307A
JPH07130307A JP27217293A JP27217293A JPH07130307A JP H07130307 A JPH07130307 A JP H07130307A JP 27217293 A JP27217293 A JP 27217293A JP 27217293 A JP27217293 A JP 27217293A JP H07130307 A JPH07130307 A JP H07130307A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アルカリ遮蔽効果と反射防止効果を兼備した反
射防止膜付基板を提供する 【構成】透光性の基板2上には、アルカリ遮蔽膜である
SiO2膜3と、TiO2とSiO2を有する混合膜4が積層されて
いる。混合膜上にはAlから成る導体パターン層5があ
る。導体パターン層に相対する部分の前記混合膜は、熱
処理により有色化されて反射防止効果を奏する。SiO2
に接する混合膜の境界面にはSiO2膜が形成され、両膜は
境界面においてよくなじむ。TiO2膜にSiO2が混合すると
全体としての膨張係数はTiO2の膨張係数より低くなる。
従来より膨張係数の小さい本実施例の混合膜は基板との
膨張係数の違いによって剥がれにくい。混合膜はTiO2
みの膜よりも強度が高い。以上の各点から混合膜はSiO2
膜に対して剥離しにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛍光表示管・プラズマ
ディスプレイ・電界発光表示装置等の各種表示装置乃至
これらの原理を用いた光源において有用な反射防止膜付
基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光表示管の外囲器において、その表示
面側の基板に反射防止膜を設けたものが知られている。
特開昭63−213245号公報には、透光性の前面基
板の内面に形成された陽極の発光表示を、該前面基板を
介して観察する前面発光形の蛍光表示管において、該前
面基板に反射防止膜を設けた例が記載されている。
【0003】この蛍光表示管は、図4に示すように、ソ
ーダライムガラスから成る透光性の基板を前面基板10
0としている。前面基板100の内面には透光性のある
TiO2 膜101が形成され、さらにその上には所定パ
ターンの導体102がAlによって形成されている。図
示はしないが、この所定パターンの導体102の部分に
は蛍光体が被着され、この導体102を除く前面基板1
00上には絶縁層が被着されている。そして、前記Ti
2 膜101は、Alの前記導体102に接している部
分が熱処理によって有色化して反射防止膜となり、蛍光
体の発光を前面基板100の外側から観察した際の視認
性を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したTiO2 膜の
単層構造では、反射防止の機能は得られるが、ソーダラ
イムガラスに対するアルカリ遮蔽膜としての効果は得ら
れない。ソーダライムガラスに含まれるNa2 3 が電
解するとNa+ イオンが生じてマイナス電極側に移動
し、前記絶縁層中のPbOを還元してPbを樹枝状に析
出させる。これは鉛樹と呼ばれ、絶縁層の絶縁抵抗を低
下させる原因となる。またNaの拡散により、蛍光体が
劣化してしまうこともある。このような不都合の原因と
なるアルカリイオンの拡散を、従来のTiO2 膜の単層
構造で抑えることはできなかった。
【0005】本発明は、アルカリ遮蔽効果と反射防止効
果を兼備した反射防止膜付基板を提供することを目的と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された反
射防止膜付基板は、透光性の基板と、前記基板上に形成
されたSiO2 膜と、前記SiO2 膜上に形成されたT
i,W,Mo,V,Nbから選ばれた金属とSiO2
の混合膜と、前記混合膜上に形成された金属薄膜から成
る導体パターン層とを有し、前記導体パターン層に相対
する前記混合膜が有色化されていることを特徴とする。
【0007】請求項2に記載された反射防止膜付基板
は、請求項1記載の反射防止膜付基板において、前記金
属の酸化物がTiO2 であり、前記混合膜中のSiO2
の混合量が3〜15%であることを特徴としている。
【0008】
【作用】金属の酸化物とSiO2 から成る反射防止膜と
しての混合膜は、金属の酸化物のみから成る従来の反射
防止膜よりも強度が高く、透光性の基板上に形成された
SiO2 膜から剥がれにくい。SiO2 膜はアルカリ遮
蔽作用を有する。
【0009】
【実施例】本発明者は、アルカリ遮蔽効果と反射防止効
果を同時に実現する従来知られていない手段として、ま
ずアルカリ遮蔽膜と反射防止膜を積層させる着想を得
た。しかしながら、従来のアルカリ遮蔽膜であるSiO
2 膜の上に、単にTiO2 膜を形成しただけでは、Al
をパターニングする工程においてTiO2 膜が剥離して
しまい、反射防止効果が得られなくなるという問題点が
あることが判明した。そこで本発明者は、さらに鋭意研
究を続けた結果、このような問題点を解決する手段を見
いだすに至ったのである。以下に、図1〜図3と表1及
び表2を参照して本発明の一実施例を説明する。本実施
例は、発光素子である蛍光表示管の外囲器に有用な反射
防止膜付基板1に関する。
【0010】図1に示すように、ソーダライムガラスか
ら成る透光性の基板2の上には、アルカリ遮蔽膜として
SiO2 膜3が形成されている。このSiO2 膜3は、
従来のSiO2 膜3と異なり塩素を含まない。SiO2
膜中の塩素は焼成工程において基板中のNaイオンを引
き寄せてしまい、前述したような鉛樹等の問題を発生さ
せる。そこで、本実施例ではSiO2 形成液を製造する
際に、HClを用いて原料物質を加水分解する工程をと
らず、製品中にClが汚染物質として残留しないように
配慮した。
【0011】具体的には、テトラエトキシシランのモノ
マー(C2 5 O)4 Siに水を加え、さらに加水分解
反応と縮合反応を早めるための触媒として、Clを含ま
ない酸、例えばプロピオン酸や酢酸等の有機酸を加え
る。かかる反応を室温で攪拌しながら行わせ、形成液を
得る。これをロールコータ等を用いて前記基板2に塗布
して成膜し、これを乾燥した後500〜540℃で焼成
する。形成液中に含まれていた有機酸は燃焼して分解
し、基板の表面にはClを含まない有機SiO2 ポリマ
ーから成るアルカリ遮蔽膜が得られる。
【0012】前記SiO2 膜3の厚さは本実施例では1
000〜2000オングストロームとした。この厚さ
は、形成液の粘度で調整できる。形成液の粘度を高くす
れば膜厚は大きくなり、粘度を小さくすれば膜厚も小さ
くなる。
【0013】次に、前記基板2上に形成されたSiO2
膜3の上には、金属の酸化物と前述したSiO2 を含む
混合膜4が形成されている。混合膜4の厚さは300〜
500オングストロームである。混合膜4を形成する形
成液は、有機Ti溶液に、前記有機SiO2 ポリマーを
含む形成液を混合して得る。
【0014】前記有機Ti溶液を含む有機Ti化合物と
しては、テトラアルコキシチタンの化合物群としてテト
ライソプロキシチタン(TPT)、テトラ−n−プトキ
シチタン(TBT)等がある。
【0015】このような有機Tiと前述したSiO2
含む形成液を、ロールコータ等を用いて前記SiO2
3上に塗布し、成膜する。これを乾燥して焼成すれば、
TiO2 とSiO2 を含む前記混合膜4が得られる。
【0016】次に、前記混合膜4の上には、Alから成
る導体パターン層5が形成されている。この導体パター
ン層5は、前記混合膜4の上にスパッタ法でAl膜をべ
たに形成し、これをフォトリソグラフィ法でパターニン
グして形成する。この導体パターン層5は、蛍光表示管
の基板においては透光性の陽極導体となる部分であり、
この上に蛍光体が被着される。
【0017】本実施例において、SiO2 膜3と混合膜
4と導電パターン層5が積層された前記基板2は、蛍光
表示管の製造における焼成工程等において焼成される。
これによって、高温で活性化されたAlが混合膜4中の
TiO2 の酸素の一部を奪う。このため透明なTiO2
の内、導電パターン層5に相対した部分は還元されて有
色化している。
【0018】本実施例によれば、(Ti,Si)O2
含む混合膜4は、SiO2 膜3に対して剥離しにくい。
これは、一つにはSiO2 膜3に接する混合膜4の境界
面にもSiO2 膜が形成され、両膜が境界面においてよ
くなじんでいるからであると考えられる。また、TiO
2 膜にSiO2 が混合すると、全体としての膨張係数は
TiO2 の膨張係数からより低いSiO2 の膨張係数に
近づく。このため、従来の反射防止膜であるTiO2
蛍光表示管の駆動時等の温度上昇によって剥がれ易かっ
たのに対し、より膨張係数の小さい本実施例の混合膜4
は基板2との膨張係数の違いによって剥がれにくいもの
と考えられる。さらに、混合膜の方が、TiO2 のみの
膜よりも強度が高いためもあると考えられる。
【0019】また、本実施例によれば、Clを含まない
SiO2 膜3はアルカリ遮蔽膜として高い効果を有し、
蛍光表示管の基板に応用した場合に従来問題となってい
た鉛樹等の不都合は解消された。
【0020】次に、前記実施例における混合膜4のより
具体的な構成例及びその作用効果について説明する。次
に示す表1は、前記混合膜を形成する際の形成液におけ
る有機Siの重量%と、混合膜表面におけるSiのTi
に対する存在比と、混合膜表面におけるNaのTiに対
する存在比との関係を、従来のTiO2 膜との対比にお
いて示したものである。
【0021】
【表1】
【0022】表1から明らかなように、Siの調合割合
が多くなる程、混合膜の表面にSiO2 が多くなる。従
って、前述したようにアルカリ遮蔽膜である前記SiO
2 膜とのなじみが良くなると考えられる。
【0023】表1の右欄及びこれをグラフ化した図2に
示すように、本実施例によれば混合膜の表面におけるN
aの析出量はTi比で0.04以下であり、従来のTi
2膜の場合の0.21を大幅に下回っており、実用上
問題ないと考えられる比0.1の半分以下の値である。
【0024】一般に基板からのNaの析出によって蛍光
表示管の蛍光体は劣化し、またカソードが毒化されるた
め、使用につれて蛍光表示管の発光表示輝度は低下して
いく。しかしながら本実施例によれば、前述のようにN
aの析出が従来より抑えられているので、所定時間点灯
後の輝度残存率は高い。実験によれば、168時間点灯
した後の輝度残存率は、本実施例を100%とすると、
従来例は80%しかなかった。
【0025】次に示す表2は、前記混合膜を形成する際
の形成液における有機Siの重量%と、混合膜の膜強度
(mN)との関係を、従来のTiO2 膜との対比におい
て示したものである。
【0026】
【表2】
【0027】表1及びこれをグラフ化した図3に示すよ
うに、本実施例によれば混合膜の強度が概ね250から
300付近で一定しており、従来のTiO2 膜の強度を
大幅に上回っている。従って、前述したようにアルカリ
遮蔽膜である前記SiO2 膜3と剥がれにくくなったと
考えられる。
【0028】以上説明した一実施例においては、前記混
合膜4が含む金属酸化物としてTiO2 を例示した。こ
の他、W,Mo,V,Nb等の金属の酸化物も本発明に
おける混合膜に使用できる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、基板上にアルカリ遮蔽
膜としてSiO2 膜を設け、その上にTiO2 等に金属
酸化物とSiO2 を含む混合膜を反射防止膜として設け
た。このため、基板から析出するNa量は従来の約1/
5以下になり、充分なアルカリ遮蔽効果が得られた。
【0030】また、混合膜は、TiO2 膜より強度が強
く、TiO2 膜より熱膨張係数が小さいので、SiO2
膜に対して剥離しにくく、従来品より良好な反射効果が
得られる。
【0031】更に混合膜は有色化されているので、対面
する金属薄膜の反射率を低下させるという反射防止効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面図である。
【図2】本発明の一実施例において、混合膜の表面にお
けるNa/Ti比と、形成液における調合割合Si/T
i(%)との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施例において、混合膜の膜強度
と、形成液における調合割合Si/Ti(%)との関係
を示すグラフである。
【図4】従来の反射防止膜を有する反射防止膜付基板の
断面図である。
【符号の説明】
1 反射防止膜付基板 2 透光性の基板 3 SiO2 膜 4 混合膜 5 導電パターン層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性の基板と、前記基板上に形成され
    たSiO2 膜と、前記SiO2 膜上に形成されたTi,
    W,Mo,V,Nbから選ばれた金属とSiO2 との混
    合膜と、前記混合膜上に形成された金属薄膜から成る導
    体パターン層とを有し、前記導体パターン層に相対する
    前記混合膜が有色化されていることを特徴とする反射防
    止膜付基板。
  2. 【請求項2】 前記金属の酸化物がTiO2 であり、前
    記混合膜中のSiO 2 の混合量が3〜15%である請求
    項1記載の反射防止膜付基板。
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