JPH07125762A - 保存輸送用シート - Google Patents

保存輸送用シート

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JPH07125762A
JPH07125762A JP29150893A JP29150893A JPH07125762A JP H07125762 A JPH07125762 A JP H07125762A JP 29150893 A JP29150893 A JP 29150893A JP 29150893 A JP29150893 A JP 29150893A JP H07125762 A JPH07125762 A JP H07125762A
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JP
Japan
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sheet
gas
film
synthetic resin
transportation
Prior art date
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Application number
JP29150893A
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English (en)
Inventor
Yasuhiko Fujisaki
康彦 藤崎
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Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
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Publication date
Application filed by Japan Tobacco Inc filed Critical Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 合成樹脂フイルムである複合シート11の内
面側に、ガス調節物としての粉体である吸水性樹脂14
とクリストバーライト15と酸化二価鉄16を、熱融着
性繊維17とパウダー状接着剤18を用いて、通気性フ
イルムであるポリプロピレン製スパンボンド不織布1
2、13に保持させ、ホットメルト接着剤19でラミネ
ートした。 【効果】 使用中に包材で囲まれた内面の水蒸気、エチ
レン、異臭、酸素等の要因の影響を受けずに、外気のガ
スの内面への透過の制御と、内面のガス環境の制御とを
行うことで、食品等の変質を充分に防ぐことができ、し
かも、使用の際に手間がかからない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】本発明は保存輸送用シートに関し、詳細に
は、食品等の保存・輸送中に起きる変質防止等の種々の
問題を解消するために利用される、保存輸送用シートに
関するものである。
【0003】
【従来の技術】
【0004】食品等の保存輸送中には、環境要因や化学
的要因等の影響を受け、種々の原因により、食品等が変
質する。
【0005】第1に、微生物による腐敗変質は、温度、
湿度、環境ガスの環境要因に大きく左右される。
【0006】該微生物による腐敗変質を防止するために
は、温度が低く、相対湿度が70%以下で、酸素が少な
いことが望ましい。
【0007】特に湿度が重要で、飽和に近い湿度である
と、温度変動に伴って食品の表面に結露が生じ、微生物
の繁殖に好適条件となる。
【0008】第2に、温度、湿度、環境ガスの環境要因
に大きく左右される化学的成分変化により、変色、組織
の崩壊・肉質の劣化、食味の劣化、異味・異臭の生成、
栄養価の低下が起こることもある。
【0009】第3に、物理的変化により、乾燥による変
質と凍結による変質が起こることがあり、乾燥による変
質は、温度と湿度により左右される。
【0010】第4に、小動物による変質があるが、これ
は、これは環境の温度を低くし、酸素ガス濃度を抑える
ことにより被害を軽減できる。
【0011】第5に、植物性食品素材等の生きた形で流
通するものは、一般に、自然に老化し、時間の経過に従
い品質が低下するので、このような食品素材等は、呼吸
による消耗、成熟・老化・発芽に伴う変質、生理的障害
による変質等の生理的変化により変質することもある。
【0012】上記5つの様式に分けられる変質は、いず
れも、温度、湿度、環境ガスの環境要因に大きく左右さ
れる。
【0013】なお、青果物、穀物・豆類、蓄肉類、魚類
は、それぞれによって、変質の様式の特徴と、それに与
える環境要因の影響は異なる。
【0014】近年、優れた機能、今までになかった機能
を持った高機能性包装材料が開発されている。
【0015】それらは、上記した温度、湿度、環境ガス
等の環境要因を制御するものである。
【0016】これらの資材を機能の面から分類すると、
低温保持、蒸散抑制、湿度調整酸素、二酸化炭素
のガス環境制御、エチレン、アルデヒド等の揮発性物
質除去、微生物の生育抑制などがあり、形態別に分類
すると、機能性フイルムと機能性シートとに大別され
る。
【0017】機能性フイルムは、単層あるいは複層の合
成樹脂フイルムである。
【0018】この機能性フイルムには、ガス透過制御の
機能をもつもの、あるいは、無機あるいは有機質物質を
練り込んでエチレン等を吸着するものがある。
【0019】エチレンは、クライマクテリック型の成熟
果実等から生産され、成熟ホルモンとして果実を成熟さ
せる他、呼吸量の増大、離層の発達など総体的に果実、
野菜の老化を促進する。
【0020】従って、エチレンを除去すると老化速度は
遅くなり、鮮度保持につながる。
【0021】また、異臭の侵入防止・食品の保香にはガ
スバリヤ性が高いことが要求され、ポリ塩化ビニリデン
などが使用されている。
【0022】一方、機能性シートは、不織布や紙に、粉
体を保持させた構成である。
【0023】この機能性シートは、水分吸収シートと内
部のガスコントロール機能を有するシートとに大別され
る。
【0024】内部のガスコントロールの対象としては、
水蒸気、エチレン、アンモニア・含硫化合物・アルデヒ
ドなどの異臭、酸素等がある。
【0025】従来、保存輸送用シートとして、上記の機
能性フイルムや機能性シートが、食品等の保存・輸送の
際に用いられていた。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】しかしながら、上記の機能性フイルムや機
能性シートは、いずれも、次のような解決すべき課題を
有していた。
【0028】機能性フイルムは、外気の内面の食品への
透過という外気のガス制御には最適であるが、使用中
に、包材で囲まれた内面の水蒸気、エチレン、異臭、酸
素等の要因による影響を受けやすく、食品の変質を充分
に防ぐことはできない。
【0029】なお、機能性フイルムに、水蒸気、エチレ
ン、異臭、酸素等を吸収する機能を有する粉体を練り込
む場合には、バブリング、ベトツキ等が発生し、製造工
程上のトラブルが起きやすい上に、フイルムの強度、耐
久性が劣化し、実用的でない場合も多々ある。
【0030】また、粉体自身の機能が充分発揮されない
場合が多く、その練り込み量も製造上上限がある。
【0031】他にも、機能性フイルムに、粉体を混入し
たコーティング材をコートしたもの、例えば、高吸水性
ポリマー、銀ゼオライト(殺菌効果を有する)をコート
したフイルムが実用化されている。
【0032】このフイルムは、少量の粉体で機能を達成
できる場合、例えば、銀ゼオライトの場合には実用的で
ある。
【0033】しかし、多くの場合は、多量の粉体を必要
とし、コーティングではその展着量に上限がある。
【0034】また、食品に直接機能性材料が接する場合
には、脱落による食品衛生上の問題も深刻である。
【0035】機能性シートは、湿度調節、エチレン吸
収、アンモニア、含硫化合物、アルデヒド等の異臭の吸
着・分解および脱酸素等のガス環境を制御することはで
きるが、機能性シートに使用されている不織布、紙等の
ガスバリヤー性が悪く、気密性が悪い。
【0036】よって、気密性を保つために、ガスバリヤ
ー性が高い合成樹脂フイルムやプラスチック性成形容器
等を別途使用し、機能性シートの外側に重ねて包装する
必要があるので、被覆形態に問題があり、使用の際に手
間がかかる。
【0037】また、外気のガスの内面への透過の制御
と、内面のガス環境の制御とを行うことで、外気の異
臭、湿気、熱の侵入を防止すると共に、食品等が収容さ
れている内部の湿度調節、エチレン吸収、食品等から発
生する異臭の除去を行う場合には、機能性シートや機能
性フイルムを複数枚使用し、重ねて包装する必要がある
ので、使用の際に手間がかかる。
【0038】従って、使用中に包材で囲まれた内面の水
蒸気、エチレン、異臭、酸素等の要因の影響を受けず
に、外気のガスの内面への透過の制御と、内面のガス環
境の制御とを行うことで、食品等の変質を充分に防ぐこ
とができ、しかも、使用の際に手間がかからないものが
望まれていた。
【0039】
【課題を解決するための手段】
【0040】本発明の課題を解決するための手段は、下
記のとおりである。
【0041】第1に、合成樹脂フイルムと、通気性フイ
ルムとの間に、ガス調節物を挟み込んだことを特徴とす
る、保存輸送用シート。
【0042】第2に、透湿度10g/m2・24hr以下の
合成樹脂フイルムと、通気性フイルムとの間に、ガス調
節物を挟み込んだことを特徴とする、保存輸送用シー
ト。
【0043】第3に、酸素透過度10cc/m2・24hr・a
tm以下、炭酸ガス透過度10cc/m2・24hr・atm以下の
合成樹脂フイルムと、通気性フイルムとの間に、ガス調
節物を挟み込んだことを特徴とする、保存輸送用シー
ト。
【0044】第4に、透湿度10g/m2・24hr以下、
酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以下、炭酸ガス透過
度10cc/m2・24hr・atm以下の合成樹脂フイルムと、
通気性フイルムとの間に、ガス調節物を挟み込んだこと
を特徴とする、保存輸送用シート。
【0045】第5に、合成樹脂フイルムの透光率が60
%以下である、上記第1〜第4の何れか一つに記載の保
存輸送用シート。
【0046】ここで、ガス調節物は、水蒸気、酸素、二
酸化炭素、エチレン、異臭等のガス環境を制御できる機
能を有するものであればよく、例えば、シート内面の食
品等が発生するエチレン等の各種ガスや水蒸気を吸着ま
たは分解する機能を有する粉体を使用する。
【0047】湿度制御を行うガス調節物としては、水蒸
気を吸収するもの、例えば、高吸水性ポリマー、塩化カ
ルシウム、シリカゲル等の粉体を使用する。
【0048】エチレンの除去や分解を行うガス調節物と
しては、大谷石、ゼオライト、クリストバーライト、臭
素化合物、過マンガン酸カリ、活性炭、サンゴ粉末、活
性アルミナ、セラミック等の粉体を使用する。
【0049】また、ガス調節物として活性炭等の多孔質
の粉体を使用した場合には、食品から発生するアンモニ
ア、含硫化合物、アルデヒドなどの異臭を吸着・分解す
る他に、硫化水素、アンモニア、亜硫酸ガス等の異臭を
吸着・分解する。
【0050】また、ガス調節物として酸化二価鉄などの
脱酸素剤を粉体として用いると、食品の褐変やオフフレ
ーバーを防止することができる。
【0051】なお、ガス調節物としては、ガス調節物自
体がガスを発生する粉体を用いることができる。
【0052】例えば、ガス調節物として二酸化炭素発生
剤の粉体を用いることで、食品の呼吸抑制、黴の生育防
止をはかることができる。
【0053】また、ガス調節物としてエチルアルコール
発生剤の粉体を用いることで、黴による変質防止を図る
ことができる。
【0054】上記のガス調節物は、目的に応じた粉体
を、単独または複数で使用することができる。
【0055】また、ガス調節機能を有する粉体に、その
能力劣化や能力補完のために、防黴剤、各種繊維を混合
して保持することもできる。
【0056】さらには、食品等の腐敗・変質防止を目的
として、揮発性あるいはガス発生型の殺菌剤・殺虫剤等
もガス調節物に混合して使用することができる。
【0057】上記で酸素透過度10cc/m2・24hr・atm
以下、炭酸ガス透過度10cc/m2・24hr・atm以下に該
当せず、防湿性がない合成樹脂フイルムを用いた場合に
は、内面に外気の湿気が入りやすく、水蒸気以外のガス
環境が、ガス調節の主な対照となる。
【0058】また、上記で透湿度10g/m2・24hr以
下の合成樹脂フイルムを用いた場合には、湿度制御が主
体となる。
【0059】さらに、上記で透光率が60%以下の合成
樹脂フイムルを用いた場合には、保存場所に侵入した直
射叉は散乱日射を、透光率が60%以下であるため、内
部にあまり日射熱量が透過せず、内部の食品等の品温が
あまり上昇しないため、温度上昇による変質が生じな
い。
【0060】合成樹脂フイルムの酸素透過度が10CC/
2・24hr・atm以下、炭酸ガス透過度が10cc/m2・2
4hr・atm以下の値でない場合には、内面のガス調節物
が、水蒸気、酸素、二酸化炭素、異臭およびエチレン等
を吸収・分解しても、外気よりそれらが合成樹脂フイル
ムより侵入するので、ガス調節物を大量に入れてもその
能力に及ばないので好ましくない。
【0061】特に、脱酸素の場合は好ましくない。
【0062】なお、異臭除去の場合、内部に包装されて
いる食品等から出る特定の異臭は除去できても、異臭に
は無数の種類があるので、ガス調節物が吸収・分解でき
ない異臭が外気よりフイルムを通じて侵入してきた場合
には対応できない。
【0063】上記で用いる合成樹脂フイルムとしては、
1種類の合成樹脂により製造された単一シートを用いる
ことができる他に、2種以上の合成樹脂により製造され
た複合シートを使用することもできる。
【0064】1種類の合成樹脂による単一シートは、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、可塑剤を含まな
いポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、またはポリ
ビニリデンクロライド等の合成樹脂の単独重合体又はこ
れらの重合体を構成する単量体を成分とする共重合体等
によって、フイルムの厚さにもよるが透湿度10g/m
2・24hr以下である合成樹脂フイルムを製造することが
できる。
【0065】酸素透過度や炭酸ガス透過度を一定値以下
にするには、ガスバリヤー性樹脂として、塩化ビニリデ
ン、エチレンとビニルアルコールの共重合物、ポリアク
リロニトリル、結晶性脂肪族ナイロン、非結晶性ナイロ
ン等を用いる。
【0066】ポリビニルアルコール系フイルムとして
は、例えば、エチレン・ポリビニルアルコールフイルム
としてエバールフイルム(クラレ(株)製)等を用いるこ
とができ、ポリビニリデンクロライド系フイルムとして
は、例えば、サランフイルム(昭和電工(株)製)等を用
いることができる。
【0067】その他の樹脂、例えば、セロファン,フッ
素樹脂,ナイロン,ポリエステル,ポリプロピレン,ポ
リスチレン,ポリウレタン,セルロース系樹脂,ポリス
チレン,ポリビニルアルコール,可塑剤を含むポリ塩化
ビニルなどは、透湿度,酸素透過度,炭酸ガス透過度の
条件に適さないため、単一シートとして使用できない。
【0068】2種以上の合成樹脂による複合シートは、
例えば、上記のポリビニルアルコール系フイルムやポリ
ビニリデンクロライド系フイルムやアルミハク等を、層
状に組み合わせたり、あるいは、上記したガスバリヤー
性樹脂にポリエチレン、ポリプロピレンフイルム等を複
層化したものを用いて製造することができる。
【0069】上記の単一シートや複合シートは、例え
ば、カーボンブラック、チタン、ホワイト、アルミハク
粉末や、その他の着色剤を、練込・塗布・蒸着すること
で、透光率を60%以下にすることもできる。
【0070】また、上記の単一シートや複合シートに
は、必要に応じて、他の添加剤、例えば、酸化防止剤、
耐光安定剤、滑剤を混合して製造することもできる。
【0071】通気性フイルムは、ガス調節物を合成樹脂
フイルムとの間に挟んで保持するものである。
【0072】通気性フイルムによってガス調節物を保持
するには、ガス調節物を合成樹脂フイルムと通気性フイ
ルムとの間に挟み、接着剤や各種ラミネート方法によっ
て付着させる他に、通気性フイルム同士の間にガス調節
物を挟み、該ガス調節物を挟み込んだ通気性フイルムを
合成樹脂フイルムに接着してもよい。
【0073】ラミネート加工方法としては、ガス調節機
能を有する粉体の能力劣化を防止するために、溶剤を使
用しない無溶剤型のラミネート法が好ましい。
【0074】すなわち、無溶剤型ドライラミネーショ
ン、ホットメルトラミネーション、押出ラミネーション
が好ましい。
【0075】あるいは、熱接着性繊維であるSWP(商
品名)、EA(商品名)、メルチイ(商品名)など及び
/またはホットメルトパウダーなどをガス調節機能を有
する粉体と混合して合成樹脂フイルムと通気性フイルム
の間に挟み込み、オーブンで加熱し、さらにプレスする
ことによって両フイルムを接着することもできる。
【0076】通気性フイルムは、合成樹脂、不織布、
布、紙などで形成できる。
【0077】該通気性フイルムは、シート内部のガスの
透過を妨げないように、酸素透過度が5,000cc/m2
・24hr・atm以上、二酸化炭素透過度が10,000cc/
2・24hr・atm以上である必要があり、また、不織布、
布、紙においては、その製造工程において通気性を調整
する。
【0078】合成樹脂フイルムにおいては、フイルムに
ピンホール等を開けて通気性を調整できる。
【0079】なお、合成樹脂フイルムの透湿度が10g
/m2 ・24hr(JISZ0208により90%RHでの
測定値)より大きい場合には、長期間、例えば、3箇月
の不順天候時に合成樹脂フイルムを通して内面の湿度が
50%である場合には400g/m2 [10g/m2
24hr×90日×(90%−50%)/90%]の水分が
浸透し、内側に吸湿性のガス調節物があったとしても、
その能力にはるかに及ばないので、好ましくない。
【0080】すなわち、吸湿性のガス調節物は、外気か
ら内側に浸透した水分の吸収にその能力の大半を費やす
ので、内部の湿気を吸収できなくなる。
【0081】ここで、内部の湿気を吸収するために、吸
湿性のガス調節物の量を著しく増大したとしても、吸湿
性のガス調節物を有する保存輸送用シートの重量がかな
り重くなるので、取り扱いやシートの再乾燥に長時間を
要し、実用的でない。
【0082】ところで、熱帯、亜熱帯地方や、九州や沖
縄等のように気温が高い場所で使用する場合には、品温
が上昇しやすく、特に、乾葉の保存の際には、異常発酵
による変質が起こりやすいので、透光率を60%以下に
する以外にも、日射吸収率を60%以下にすることが好
ましい。
【0083】日射吸収率を60%以下にするには、合成
樹脂フイルムに、例えば、明度7以下の着色剤を、練込
み・塗布・蒸着する他に、アルミ箔を蒸着したり、アル
ミ粉末を練り込んで日射を反射させる。
【0084】日射吸収率を60%以下にすると断熱効果
が大きくなるので、さらに温度変動を抑制することがで
き、温度上昇による食品等の変質も防止できる。
【0085】なお、本発明の保存輸送用シートによれ
ば、合成樹脂フイルムとガス調節物を自由に組み合わせ
ることによって、ニーズにあわせてガス環境を制御し、
今までできなかった多機能を1枚のシートで提供でき
る。
【0086】このようなシートでは、例えば、外気の合
板臭等の異臭と湿気を合成樹脂フイルムが透過制御し、
内面の食品から発生するエチレン、水蒸気をガス調節物
が吸収あるいは分解する。
【0087】
【作用】
【0088】本発明の保存輸送用シートは、生鮮食品、
加工食品等の場合には個包あるいは全体を囲むようにし
て使用する。
【0089】本発明の保存輸送用シートで、例えば、生
鮮食品を包装した場合には、ガス調節物は、合成樹脂フ
イルムと通気性フイルムとの間に挟まれており、生鮮食
品に直接接触しない。
【0090】このように、ガス調整物が食品に付着する
ことがないので、食品衛生上の問題もない。
【0091】本発明の保存輸送用シートを用いると、該
シートで被覆された内部は、目的に応じて選択されたガ
ス調節物によって、内部の水蒸気、エチレン、異臭、酸
素、二酸化炭素等が増減し、環境が制御される。
【0092】酸素透過度が10cc/m2 ・24hr・atm 以
下で、炭酸ガス透過度が10cc/m2 ・24hr・atm 以下
の保存輸送用シートは、合成樹脂フイルムのガスバリヤ
ー性が極めて高いので、外部のガス環境の影響を全く受
けずに、ガス調節物により内部の食品から発生した各種
ガスの吸着・分解を含めて内面のガス環境を自在に制御
でき、さらに内面のガス調節物が制御したガス環境を保
つことができる。
【0093】即ち、合成樹脂フイルムのガスバリヤー性
が極めて高い保存輸送用シートは、保存場所における、
エチレン、酸素、二酸化炭素等、水蒸気、匂い、異臭等
の侵入を防止するので、外気の環境の影響を受けにく
い。
【0094】そのため、合成樹脂フイルムのガスバリヤ
ー性が極めて高い保存輸送用シートは、ガス調節物が内
部のガス環境のみを制御すればよいので、ガス調節物の
添着量を実用的な範囲に抑えることができる。
【0095】その結果、重量を軽くすることができるた
め、シートの取扱い性に優れ、さらに、該シートは効果
が保持されるため長期間使用できる。
【0096】また、本発明の保存輸送用シートは、内部
にガス調節物を有し、内部の食品自身から発生した水蒸
気、エチレン等の影響も受けにくいので、食品の変質・
腐敗、着臭の恐れがない。
【0097】とくに、エチレンは、サツマイモ、ナス、
キュウリ、タマネギ、ミカン等の青果物の呼吸反応を促
進し、品質低下の原因となるので、合成樹脂フイルムの
ガスバリヤー性が極めて高い保存輸送用シートは、これ
らの保存に適している。
【0098】本発明の保存輸送用シートは、シートの隙
間等からガスが内部へ侵入した場合でも、侵入したガス
を内面側のガス調節物が吸着・分解する。
【0099】透湿度10g/m2・24hr以下の合成樹脂
フイルムを有する保存輸送用シートは、外面から内面へ
の湿度透過制御と内面の湿度制御を行うことができ、湿
度による変質を防止することができる。
【0100】とくに、従来、生鮮野菜等はその蒸散によ
る目減りを抑制するために合成樹脂フイルムにより包装
され、野菜からの蒸散により内部が過湿となり、多湿、
結露が問題となっていたが、透湿度10g/m2・24hr
以下の合成樹脂フイルムを有する保存輸送用シートを使
用すれば、表面側の合成樹脂フイルムにより蒸散を抑制
し、内面のガス調節物により水蒸気を吸収するので、湿
度を多湿にすることがない。
【0101】合成樹脂フイルムに透光率60%以下の合
成樹脂フイルムを有する保存輸送用シートは、内部にあ
まり日射熱量が透過せず、内部の食品等の品温があまり
上昇しないため、温度上昇による変質が生じない。
【0102】
【実施例】
【0103】以下、図面を参照しながら本発明の保存輸
送用シートの実施例について説明する。
【0104】(実施例1)
【0105】図1は、本発明の保存輸送用シートの実施
例1の断面図である。
【0106】保存輸送用シート10は、複合シート11
を合成樹脂フイルムとする。
【0107】複合シート11の内面側に、ガス調節物と
しての粉体である吸水性樹脂14とクリストバーライト
15と酸化二価鉄16を熱融着性繊維17とパウダー状
接着剤18を用いて2枚のポリプロピレン製スパンボン
ド不織布12、13に保持させ、ホットメルト接着剤1
9で複合シート11とラミネートしたものである。
【0108】該保存輸送用シート10は、透湿度が2.
5g/m2・24hr、酸素透過度が3.2cc/m2・24hr・a
tm、炭酸ガス透過度が5.3cc/m2・24hr・atmであ
る。
【0109】なお、透湿度はJISZ0208に規定さ
れた方法により、40℃、90%RHの測定値である。
【0110】また、酸素透過度、炭酸ガス透過度はJI
SK7126に規定された方法により方法により、23
℃、1気圧、0%RHの測定値である。
【0111】なお、以下の同測定値も同一方法、同一条
件によって測定した。
【0112】複合シート11は、リン系耐熱安定剤2.
5wt%、ヒンダードアミン系耐光安定剤3.4wt%を添
加した30μmの線状超低密度ポリエチレンフイルム1
1aと、15μmのポリビニリデンクロライドフイルム
11bと30μmの低密度ポリエチレンフイルム11c
との三層からなる。
【0113】ポリプロピレン製スパンボンド不織布1
2、13の坪量は、それぞれ30g/m2、35g/m2
である。
【0114】KIゲル201K(クラレイソプレンケミ
カル製)である吸水性樹脂14とクリストバーライト1
5と酸化二価鉄16は、それぞれ、30g/m2、25
g/m2、25g/m2であり、それぞれ、湿度調節、異
臭・エチレン吸着、脱酸素を担う。
【0115】上記3種の粉体以外に、熱融着性繊維17
とパウダー状接着剤18を混合してポリプロピレン製ス
パンボンド不織布12、13の間に挟み、内部の空気を
吸引した後に、オーブンで加熱し、熱融着性繊維17と
パウダー状接着剤18を溶かし、これを接着剤としてプ
レスし、粉体を2枚の不織布に保持させる。
【0116】このようにして粉体を通気性フイルムであ
る不織布に保持させた後、合成樹脂フイルムとホットメ
ルト接着剤19でラミネートする。
【0117】ホットメルト接着剤19は合成ゴム系のも
ので、スパイラルスプレーで複合シート11にホットメ
ルト接着剤19を塗布し、粉体を保持したポリプロピレ
ン製スパンボンド不織布12、13と接着する。
【0118】(実施例2)
【0119】図2は、本発明の保存輸送用シートの実施
例2の断面図である。
【0120】保存輸送用シート20は、複合シート21
の内面に、2枚のポリエステル製スパンボンド不織布2
2、23にガス調節物の粉体である活性炭24と大谷石
粉末25を、押出ラミネート法によって挟まれた複合化
不織布を押出ラミネート法によって低密度ポリエチレン
26で付着したものである。
【0121】該保存輸送用シート20は、酸素透過度が
0.8cc/m2・24hr・atm、、炭酸ガス透過度が0.4c
c/m2・24hr・atmである。
【0122】複合シート21は、フェノール系耐熱安定
剤2wt%、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤3wt%を添
加した25μmの線状超低密度ポリエチレンフイルム2
1aと、15μmのEVOH(エチレン・ビニルアルコ
ール共重合体)フイルム21bと20μmの低密度ポリ
エチレンフイルム21cとの三層からなる。
【0123】ポリエステル製スパンボンド不織布22、
23の坪量は、それぞれ25g/m2、30g/m2であ
る。
【0124】エチレン・異臭吸着を行う活性炭24と大
谷石粉末25は、それぞれ20g/m2、20g/m2
ある。
【0125】活性炭24と大谷石粉末25は2枚のポリ
エステル製スパンボンド不織布22、23の間に挟み込
みながらエンボスカレンダ法(加熱したエンボスロール
で両側の不織布をプレスし、不織布の一部を溶かし、熱
接着させる方法)で熱ラミネートする。
【0126】このようにしてガス調節物としての粉体を
通気性フイルムである不織布に保持させた後、合成樹脂
フイルムと押し出しラミネートした。
【0127】図中、26は、ラミネート樹脂である低密
度ポリエチレンであり、樹脂厚さが20μである。
【0128】(実施例3)
【0129】図3は、本発明の保存輸送用シートの実施
例3の断面図である。
【0130】保存輸送用シート30は、合成樹脂フイル
ムである線状超低密度ポリエチレンフイルム31の内面
側に、2枚のポリプロピレン製スパンボンド不織布3
2、33にガス調節物としての吸水性樹脂34が挟まれ
た複合化不織布を押出ラミネート法によってポリエチレ
ン35で付着したものである。
【0131】該保存輸送用シート30は、透湿度が4g
/m2・24hrである。
【0132】線状超低密度ポリエチレンフイルム31
は、フェノール系耐熱安定剤2wt%、ベンゾトリアゾー
ル系耐光安定剤3wt%を添加したもので、厚さが120
μmである。
【0133】ポリプロピレン製スパンボンド不織布3
2、33の坪量は、それぞれ、20g/m2、30g/
2である。
【0134】吸水性樹脂34は耐熱性、耐光性(紫外線
安定性)にすぐれ、吸湿・放湿の可逆性をもつ住友化学
性製スミカゲルS−50を40g/m2 使用している。
【0135】吸水性樹脂34は、2枚のポリプロピレン
製スパンボンド不織布32、33の間に挟み込みながら
エンボスカレンダ法で熱ラミネートする。
【0136】このようにして吸水性樹脂34をポリプロ
ピレン製スパンボンド不織布32、33に保持させた
後、線状超低密度ポリエチレンフイルム31と押し出し
ラミネートする。
【0137】図中、35は、ラミネート樹脂である低密
度ポリエチレンであり、樹脂厚さが20μである。
【0138】(実施例4)
【0139】図4は、本発明の保存輸送用シートの実施
例4の断面図である。
【0140】実施例4の保存輸送用シート40は、複合
シート41を合成樹脂フイルムとする。
【0141】複合シート41の内面側に、ガス調節物と
しての粉体である吸水性樹脂44とクリストバーライト
45と酸化二価鉄46を、熱融着性繊維47とパウダー
状接着剤48を用いて2枚のポリエチレンシート42、
43に保持させ、ホットメルト接着剤49で複合シート
41とラミネートしたものである。
【0142】ポリエチレンシート42、43はポリエチ
レンを延伸し、それを織ってシート状にしたもので、坪
量はそれぞれ20g/m2、30g/m2である。
【0143】該保存輸送用シート40は、透光率が10
%、透湿度が2.5g/m2・24hr、酸素透過度が3.2
cc/m2・24hr・atm、炭酸ガス透過度が5.3cc/m2
・24hr・atmである。
【0144】複合シート41は、アルミ箔粉末3wt%、
リン系耐熱安定剤2.5wt%、ヒンダードアミン系耐光
安定剤3.4wt%を添加した30μmの線状超低密度ポ
リエチレンフイルム41aと、15μmのポリビニリデ
ンクロライドフイルム41bと30μmの低密度ポリエ
チレンフイルム41cとの三層からなる。
【0145】KIゲル201K(クラレイソプレンケミ
カル製)である吸水性樹脂44とクリストバーライト4
5と酸化二価鉄46は、それぞれ30g/m2、25g
/m2、25g/m2であり、それぞれ、湿度調節、異臭
・エチレン吸着、脱酸素を担う。
【0146】3種の粉体以外に熱融着性繊維47とパウ
ダー状接着剤48を混合して2枚のポリエチレンシート
42、43の間に挟み、内部の空気を吸引した後に、オ
ーブンで加熱し、熱融着性繊維47とパウダー状接着剤
48を溶かし、これを接着剤として次にプレスし、粉体
を2枚の不織布に保持させる。
【0147】このようにして粉体を通気性フイルムであ
る不織布に保持させた後、合成樹脂フイルムとホットメ
ルト接着剤49でラミネートする。
【0148】ホットメルト接着剤49は合成ゴム系のも
ので、スパイラルスプレーで複合シート41にホットメ
ルト接着剤49を塗布し、粉体を保持したポリエチレン
シート42、43と接着する。
【0149】(実施例5)
【0150】図5は、本発明の保存輸送用シートの実施
例5の断面図である。
【0151】実施例5の保存輸送用シート50は、複合
シート51の内面側に、2枚のポリエステル製スパンボ
ンド不織布52、53にガス調節物としての粉体である
ゼオライト54と活性アルミナ55を、押出ラミネート
法によって挟まれた複合化不織布を押出ラミネート法に
よって低密度ポリエチレン56で付着したものである。
【0152】該保存輸送用シート50は、透光率が25
%、酸素透過度が0.8cc/m2・24hr・atm、炭酸ガス
透過度が0.4cc/m2・24hr・atmである。
【0153】複合シート51は、アルミ粉末2.25wt
%、フェノール系耐熱安定剤2wt%、ベンゾトリアゾー
ル系耐光安定剤3wt%を添加した30μmの線状超低密
度ポリエチレンフイルム51aと、15μmのEVOH
(エチレン・ビニルアルコール共重合体)フイルム51
bと、20μmの低密度ポリエチレンフイルム51cと
の三層からなる。
【0154】ポリエステル製スパンボンド不織布52、
53の坪量は、それぞれ25g/m2、30g/m2であ
る。
【0155】エチレン・異臭吸着を行うゼオライト54
と活性アルミナ55は、それぞれ20g/m2、20g
/m2である。
【0156】ゼオライト54と活性アルミナ55は、ポ
リエステル製スパンボンド不織布52、53の間に挟み
込みながら実施例2と同じエンボスカレンダ法で熱ラミ
ネートする。
【0157】このようにして粉体を通気性フイルムであ
る不織布に保持させた後、複合シート51と押し出しラ
ミネートする。
【0158】図中56は、ラミネート樹脂である低密度
ポリエチレンであり、樹脂厚さが20μである。
【0159】(実施例6)
【0160】図6は、本発明の保存輸送用シートの実施
例6の断面図である。
【0161】保存輸送用シート60は、低密度ポリエチ
レン61の内面に、ポリプロピレン製スパンボンド不織
布62、63に吸水性樹脂64が挟まれた複合化不織布
を、押出ラミネート法によって低密度ポリエチレン65
で付着したものである。
【0162】該保存輸送用シート60は、透光率が25
%、透湿度が3g/m2・24hrである。
【0163】低密度ポリエチレン61は、カーボンブラ
ック3.5wt%、フェノール系耐熱安定剤2wt%、ベン
ゾトリアゾール系耐光安定剤3wt%を添加したもので、
厚さが110μmである。
【0164】ポリエステル製スパンボンド不織布62、
63の坪量は、それぞれ、20g/m2、30g/m2
である。
【0165】吸水性樹脂64は、紫外線安定性にすぐ
れ、吸湿・放湿の可逆性をもつKIゲル201K(クラ
レイソプレンケミカル製)を40g/m2 使用してい
る。
【0166】該吸水性樹脂64は、ポリプロピレン製ス
パンボンド不織布62、63の間に挟み込みながら実施
例1と同様にエンボスカレンダ法で熱ラミネートする。
【0167】このようにして吸水性樹脂64を通気性フ
イルムである不織布に保持させた後、合成樹脂フイルム
と押し出しラミネートする。
【0168】図中、65はラミネート樹脂である低密度
ポリエチレンであり、樹脂厚さが20μである。
【0169】(試験例1)
【0170】発明区1として、上記実施例1の保存輸送
用シート10を用いて、幅、長さ、高さがそれぞれ1.
2m、1.0m、1.2mの袋を作成し、その中に煮干
しイワシ、ブロッコリー、半切りレタス、半切りキャベ
ツ、千切りキャベツをそれぞれ30kg入れ、著しく強烈
な臭いがする合板で構成した試験室の中に1カ月間保存
した。
【0171】対照区1として、実施例1の複合シートを
用いた他は発明区1と同様に、幅、長さ、高さがそれぞ
れ1.2m、1.0m、1.2mの袋を作成し、その中
に煮干しイワシ、ブロッコリー、半切りレタス、半切り
キャベツ、千切りキャベツをそれぞれ30kg入れ、著し
く強烈な臭いがする合板で構成した試験室の中に1カ月
間保存した。
【0172】対照区2として、ポリエチレン製袋(厚さ
は40μm)を外側とし、実施例1の保存輸送用シート
より複合シートを取り除いたシートを内側とし、二重の
被覆を行ったものを用いる他は発明区1と同様に、幅、
長さ、高さがそれぞれ1.2m、1.0m、1.2mの
袋を作成し、その中に煮干しイワシ、ブロッコリー、半
切りレタス、半切りキャベツ、千切りキャベツをそれぞ
れ30kg入れ、著しく強烈な臭いがする合板で構成した
試験室の中に1カ月間保存した。
【0173】なお、対照区2のポリエチレン製袋は、透
湿度が20g/m2・24hr、酸素透過度が1000cc/
2・24hr・atm、二酸化炭素透過度が4600cc/m2
・24hr・atmであった。
【0174】発明区1、対照区1、対照区2のいずれ
も、保存期間中は、室内の温湿度条件を15℃、相対湿
度90%とし、保存管理を一切行わなかった。
【0175】試験終了時に、内部の煮干しイワシ以外の
食品に着臭した合板臭強度、イワシ臭強度を調べた。
【0176】なお、乾葉の合板臭強度、イワシ臭強度
は、LSD(0.05)0.78,1.02として、14
名の判定パネラーによって、次の6段階評価を行い、そ
の平均を求めることで行った。
【0177】0:無臭 1:やっと感知できる 2:何の臭いかわかるが弱い 3:楽に感知できる 4:強い 5:強烈な
【0178】発明区1は、合板臭強度が0.43、イワ
シ臭強度が1.68であり、ガスバリヤー性が高い合成
樹脂フイルムがあるため内部に合板臭を透過せず、活性
炭によりイワシ臭もある程度軽減されていた。
【0179】対照区1は、合板臭強度が0.78、イワ
シ臭強度が4.77であり、ガスバリヤー性が高い合成
樹脂フイルムがあるため内部に合板臭は透過しなかった
が、活性炭等の脱臭粉体はなかったため、イワシ臭は野
菜に着臭していた。
【0180】対照区2は、合板臭強度が2.84、イワ
シ臭強度が2.37であり、ポリエチレンフイルムはガ
スバリヤー性が低いため内部に合板臭が透過したが、活
性炭によりある程度その臭いは脱臭されていた。
【0181】対照区2は、イワシ臭が活性炭によりある
程度脱臭されていたが、発明区1よりも強く野菜に着臭
した。
【0182】以上の結果より、本発明の保存輸送用シー
トは、外部の合板臭等の異臭を内部に透過しないと同時
に内部にある発生源から出る異臭(この場合はイワシ
臭)の着臭も防止できることが確認された。
【0183】ところで、半切りレタスとブロッコリーは
貯蔵中にビタミンCであるアスコルビン酸が酸化される
ことが知られているが、発明区においては脱酸素剤によ
り酸素がないためその残存量が多く、それぞれ5mg/1
00g、55mg/100g程度残存していた。
【0184】一方、対照区2では脱酸素剤があっても、
外気より内部に酸素が透過するため酸素が残存し、アス
コルビン酸は酸化されて残存していなかった。
【0185】また、対照区1,2の野菜の袋に接した部
分が結露により傷んだ。
【0186】特に合成樹脂フイルムのみである対照区1
においては保存した野菜からの水分の蒸散により結露が
ひどく、結露した部分が黒変した。
【0187】発明区1に於いては結露がなかったため、
野菜の黒変等の変化はなかった。
【0188】従って、本発明の保存輸送用シートは、ガ
ス調節物を選択することで、内部・外部の異臭着臭防止
効果以外に、吸水性樹脂による結露防止効果、脱酸素剤
による酸化防止効果も合わせもつことができる。
【0189】なお、この効果は外気の影響を受けず、内
部の環境のみを制御した。
【0190】(試験例2)
【0191】発明区2として、上記実施例2の保存輸送
用シート20を用いて、幅、長さ、高さがそれぞれ1.
2m、1.0m、1.2mの袋を作成し、その中に煮干
しイワシ、リンゴ、モモ、タマネギ、キュウリ、ミカン
をそれぞれ20kg入れ、著しく強烈な臭いがする合板で
構成した試験室の中に1カ月間保存した。
【0192】対照区3として、実施例2の複合シートを
用いた他は発明区2と同様に、幅、長さ、高さがそれぞ
れ1.2m、1.0m、1.2mの袋を作成し、その中
に煮干しイワシ、リンゴ、モモ、タマネギ、キュウリ、
ミカンをそれぞれ20kg入れ、著しく強烈な臭いがする
合板で構成した試験室の中に1カ月間保存した。
【0193】対照区4として、ポリエチレン製袋(厚さ
は100μm)を外側とし、実施例2の保存輸送用シー
トより複合シートを取り除いたシートを内側とし、二重
の被覆を行ったものを用いる他は発明区2と同様に、
幅、長さ、高さがそれぞれ1.2m、1.0m、1.2
mの袋を作成し、その中に煮干しイワシ、リンゴ、モ
モ、タマネギ、キュウリ、ミカンをそれぞれ20kg入
れ、著しく強烈な臭いがする合板で構成した試験室の中
に1カ月間保存した。
【0194】なお、対照区4のポリエチレン製袋は、透
湿度が20g/m2・24hr、酸素透過度が1000cc/
2・24hr・atm、二酸化炭素透過度が4600cc/m2
・24hr・atmであった。
【0195】発明区2、対照区3、対照区4のいずれ
も、保存期間中は、室内の温湿度条件等の条件は成りゆ
きとした。
【0196】着臭(合板臭)試験の結果に付いては、試
験例1とほぼ同様であった。
【0197】次に、エチレンによる、保存した生鮮食品
の変質について述べる。
【0198】発明区2は、その表面の複合シートの極め
て高いガスバリヤー性により外気からのエチレンの侵入
がない。
【0199】また内部の活性炭と大谷石粉末により、保
存したリンゴ、モモから発生したエチレンを吸収し、内
部環境のエチレンがないため、保存した食品はエチレン
による呼吸高揚がなく、変質もなかった。
【0200】対照区3においては、フイルムにより外気
からのエチレン侵入はなかったが、保存したリンゴ、モ
モから発生したエチレンにより、特にエチレン感受性の
高いタマネギ、キュウリ、ミカンの呼吸が高揚し、目減
りが起き、老化して一部腐敗した。
【0201】対照区4においては、粉体により内部のエ
チレンは吸収できたが、フイルムのガスバリヤー性が悪
いため、外気からエチレンが透過し、内部のエチレンが
ない条件を保持できず、対照区3程ではなかったが、タ
マネギ、キュウリ、ミカンの目減りが起き、老化して一
部腐敗した。
【0202】(試験例3)
【0203】発明区3として、上記実施例6の保存輸送
用シート60を用いて、縦、横、高さそれぞれ1m、
0.7m、1mの袋を作りその中に、国内(北海道産)
産普通小麦1級を30kg入れ、著しく強烈な臭いがする
合板で構成した試験室の中に1カ月間保存した。
【0204】なお、保存輸送用シート60の最大吸湿量
は、65g/m2(25℃、相対湿度95%)であっ
た。
【0205】対照区5として、高密度ポリエチレン製袋
を用いた他は発明区3と同様に、縦、横、高さそれぞれ
1m、0.7m、1mの袋を作りその中に、国内(北海
道産)産普通小麦1級を30kg入れ、著しく強烈な臭い
がする合板で構成した試験室の中に1カ月間保存した。
【0206】なお、対照区5のポリエチレン製袋は、厚
さが100μmであり、透湿度が5g/m2・24hr(4
0℃、90%RH)であった。
【0207】発明区3、対照区5のいずれについても、
保存輸送条件が変温・変湿となることを想定し、保存期
間中は、恒温恒湿器を10℃、90%RH条件と20℃、
60%RH条件で1日間隔で変化させた。
【0208】また、小麦の貯蔵前の水分は12.5%で
あった。
【0209】試験終了時の小麦の外観性状コメントを下
記に示す。
【0210】発明区3は、保存試験前の状態と変わりな
く、水分も変わらなかった。
【0211】対照区5は、乾性黴の発生範囲内であった
ため一部に表面うっすらと黒黴が発生していた。
【0212】従って、本発明の保存輸送用シートは外気
の温湿度の変動に関係なく、包内の湿度条件を70%以
下に保ち、小麦の発バイ、変質を防止できた。
【0213】
【発明の効果】
【0214】本発明の保存輸送用シートは、使用中に包
材で囲まれた内面の水蒸気、エチレン、異臭、酸素等の
要因の影響を受けずに、外気のガスの内面への透過の制
御と、内面のガス環境の制御とを行うことで、食品等の
変質を充分に防ぐことができ、しかも、使用の際に手間
がかからない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保存輸送用シートの実施例1の断面図
である。
【図2】本発明の保存輸送用シートの実施例2の断面図
である。
【図3】本発明の保存輸送用シートの実施例3の断面図
である。
【図4】本発明の保存輸送用シートの実施例4の断面図
である。
【図5】本発明の保存輸送用シートの実施例5の断面図
である。
【図6】本発明の保存輸送用シートの実施例6の断面図
である。
【符号の説明】
10 実施例1の保存輸送用シート 11 複合シート 11a 線状超低密度ポリエチレンフイルム 11b ポリビニリデンクロライドフイルム 11c 低密度ポリエチレンフイルム 12 ポリプロピレン製スパンボンド不織布 13 ポリプロピレン製スパンボンド不織布 14 吸水性樹脂 15 クリストバーライト 16 酸化二価鉄 17 熱融着性繊維 18 パウダー状接着剤 19 ホットメルト接着剤 20 実施例2の保存輸送用シート 21 複合シート 21a 線状超低密度ポリエチレンフイルム 21b EVOHフイルム 21c 低密度ポリエチレンフイルム 22 ポリエステル製スパンボンド不織布 23 ポリエステル製スパンボンド不織布 24 活性炭 25 大谷石粉末 26 低密度ポリエチレン 30 実施例3の保存輸送用シート 31 線状超低密度ポリエチレンフイルム 32 ポリプロピレン製スパンボンド不織布 33 ポリプロピレン製スパンボンド不織布 34 吸水性樹脂 35 ポリエチレン 40 実施例4の保存輸送用シート 41 複合シート 41a 線状超低密度ポリエチレンフイルム 41b ポリビニリデンクロライドフイルム 41c 低密度ポリエチレンフイルム 42 ポリエチレンシート 43 ポリエチレンシート 44 吸水性樹脂 45 クリストバーライト 46 酸化二価鉄 47 熱融着性繊維 48 パウダー状接着剤 49 ホットメルト接着剤 50 実施例5の保存輸送用シート 51 複合シート 51a 線状超低密度ポリエチレンフイルム 51b EVOHフイルム 51c 低密度ポリエチレンフイルム 52 ポリエステル製スパンボンド不織布 53 ポリエステル製スパンボンド不織布 54 ゼオライト 55 活性アルミナ 56 低密度ポリエチレン 60 実施例6の保存輸送用シート 61 低密度ポリエチレン 62 ポリプロピレン製スパンボンド不織布 63 ポリプロピレン製スパンボンド不織布 64 吸水性樹脂 65 低密度ポリエチレン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂フイルムと、通気性フイルムと
    の間に、ガス調節物を挟み込んだことを特徴とする、保
    存輸送用シート。
  2. 【請求項2】 透湿度10g/m2・24hr以下の合成樹
    脂フイルムと、通気性フイルムとの間に、ガス調節物を
    挟み込んだことを特徴とする、保存輸送用シート。
  3. 【請求項3】 酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以
    下、炭酸ガス透過度10cc/m2・24hr・atm以下の合成
    樹脂フイルムと、通気性フイルムとの間に、ガス調節物
    を挟み込んだことを特徴とする、保存輸送用シート。
  4. 【請求項4】 透湿度10g/m2・24hr以下、酸素透
    過度10cc/m2・24hr・atm以下、炭酸ガス透過度10
    cc/m2・24hr・atm以下の合成樹脂フイルムと、通気性
    フイルムとの間に、ガス調節物を挟み込んだことを特徴
    とする、保存輸送用シート。
  5. 【請求項5】 合成樹脂フイルムの透光率が60%以下
    である、請求項1〜4の何れか一つに記載の保存輸送用
    シート。
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