JPH0712421B2 - ポリスルホン製中空糸膜の製造法 - Google Patents

ポリスルホン製中空糸膜の製造法

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JPH0712421B2
JPH0712421B2 JP33585287A JP33585287A JPH0712421B2 JP H0712421 B2 JPH0712421 B2 JP H0712421B2 JP 33585287 A JP33585287 A JP 33585287A JP 33585287 A JP33585287 A JP 33585287A JP H0712421 B2 JPH0712421 B2 JP H0712421B2
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昭男 小島
浩之 中村
清 石井
肇 駒田
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はポリスルホン系重合体の中空糸分離膜の製造方
法に関するものであり、更に詳しくは選択透過性中空糸
分離膜として優れた流体分分離特性を有し、かつ強度に
優れ、取り扱い性に優れたポリスルホン系重合体による
中空糸分離膜を生産性よく製造する方法に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
エンジニアリングプラスチックスとして知られているポ
リスルホン系ポリマーは機械的特性、耐熱性、耐薬品性
とともに耐微生物性にも優れていることから電子部品や
家庭用品を始め、分離膜としてコロイド性物質やタンパ
ク質の分離精製、電着塗装浴管理、電子工業用超純水の
製造、原子力工業用、海水の淡水化、さらには人工腎臓
による血液処理等の医療機器分野に至るまで、様々な分
野にも広く実用化されている。
このようなポリスルホンは、中空糸への紡糸が容易であ
るため、気体液体分離用の中空糸分離膜として使用する
ことができる。
特に高温度、強酸性又は強アルカリ性条件下における限
外濾過膜として極めて有用な素材である。
このようなポリスルホン中空糸分離膜を製造する方法と
しては、例えば特開昭54-145379号、同56-152704号、同
58-8504号、同58-132112号、同58-156018号、同59-5804
0号、同59-58042号、同59-62311号、同59-189903号、同
60-172312号、同60-222112号、同61-11110号、同61-284
09号、同61-42307号、同61-93801号各公報に記載されて
いる方法が知られている。これらの方法はポリスルホン
樹脂を、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホル
ムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、ジオキサン(DOX)、テトラメチル尿素(TMU)等
の有機溶媒に溶解して紡糸用原液を調製し、該原液を内
部凝固液とともに二重環状ノズルから水溶性の浴中に吐
出させて、微細な多孔質構造の中空糸状の分離膜を得る
ものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記のような製造方法で得られたポリス
ルホン製中空糸膜は概して透水性が低いため、分離、回
収、操作に長時間を必要とし、生産性が低いという問題
があった。
そこで、本発明は、限外濾過膜に要求される特性、即ち
分画分子量及び機械的強を損なわずに透水性に優れた中
空糸膜を製造することを目的とする。
特に、本発明においては、分画分子量が10万程度の限外
濾過を行う場合に、透水速度が800l/m2・hr・kg/cm2
上、好ましくは1200l/m2・hr・kg/cm2以上の透水性を有
するポリスルホン中空糸分離膜を得ることを目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、以上のような状況に鑑み、上記問題点を
解決すべく鋭意検討、研究を重ねた結果、環状ノズルか
ら吐出させるポリスルホン樹脂紡糸原液を調整する際、
ポリスルホンの紡糸原液中にトリエチレングリコールジ
メチルエーテル{1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)
エタン}を溶媒として含有させることによって、従来の
ポリスルホン中空糸膜では得られない極めて高い透水性
を有するポリスルホン中空糸膜を得ることに成功し、本
発明を完成するに到った。
即ち本発明は、ポリスルホン系重合体を含む紡糸原液を
チューブインオリフィス型ノズルより水溶液中へ吐出し
た後、脱溶媒を行って中空糸状の分離膜を製造する方法
において、ポリスルホン紡糸原液用の溶媒としてトリエ
チレングリコールジメチルエーテルを用いることを特徴
とするポリスルホン製中空糸膜の製造法を提供するもの
である。
本発明において使用されるポリスルホン系重合体の代表
的なものとしては、次の一般式(I)又は(II)で表さ
れるような繰り返し単位を有するものが挙げられる。
但し、式(I)及び(II)において、X1〜X6はメチル
基、エチル基等のアルキル等、塩素、臭素等のハロゲン
に例示される非解離性の置換基、又は−COOH,−SO3H等
の解離性の置換基を示し、l,m,n,o,p及びqは0〜4の
整数を示す。一般的には、l,m,n,o,p及びqの全てが0
であるポリスルホンが入手しやすく、本発明においても
好ましく用いられる。しかし、本発明で用いるポリスル
ホン系重合体は上記に限定されるものではない。
本発明における紡糸原液中のポリスルホン系重合体の濃
度は5〜30重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ま
しい。ポリスルホン系重合体の濃度が30重量%を越える
と、溶液粘度が上昇するため取り扱いが困難となるとと
もに、使用する溶媒系にかかわらず得られる中空糸膜の
透水速度が低下するため好ましくない。一方、ポリスル
ホン系重合体の濃度が5重量%未満になると、得られな
る中空糸膜の機械的強度が低下するため好ましくない。
本発明において溶媒として用いられるトリエチレングリ
コールジメチルエーテルは本発明に不可欠の構成成分で
あり、上記ポリスルホン系重合体が含まれる紡糸原液中
に10重量%以上含まれることが好ましく、20重量%含ま
れることが特に好ましい。紡糸原液中のトリエチレング
リコールジメチルエーテルの含有量が10重量%未満であ
ると、本発明の目的の一つである透水性に優れたポリス
ルホン中空糸膜は得られるものの、紡糸原液の粘度が高
くなり操作性が下がる。即ち、トリエチレングリコール
ジメチルエーテルはポリスルホン系重合体と非常に相溶
性が良いため、トリエチレングリコールジメチルエーテ
ルを溶媒に用いたポリスルホン紡糸原液が低粘度であ
り、中空糸製造時の操作性、生産性が非常に良くなると
いう効果も兼ね備えている。
本発明において、トリエチレングリコールジメチルエー
テルと組み合わせて使用出来る他の溶媒としては、2−
ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジオキサ
ン、テトラメチル尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド等が挙げられるが、特にこれらに限定さ
れない。また、これらの混合溶媒を使用してもよい。
ここでトリエチレングリコールジメチルエーテルと組み
合わせて使用できる溶媒として挙げた上記の溶媒中で
も、特に2−ピロリドンは好ましく、ポリスルホン系重
合体が含まれる紡糸原液中にトリエチレングリコールジ
メチルエーテルと共に2−ピロリドンを含有させること
によって本発明の目的とする透水性の特に優れたポリス
ルホン製中空糸膜が得られる。また、この場合の紡糸原
液は低粘度であり、中空糸製造時の操作性、取扱性、生
産性も良い。この際、紡糸原液中の2−ピロリドンの含
有量は10〜60重量%が好ましく、特に20〜50重量%が好
ましい。
本発明における紡糸原液中に添加剤として加える非溶剤
としては、特にポリエチレングリコール(平均分子量20
0,300,400,600,1000,2000等)が好ましく、紡糸原液中
のポリエチレングリコールの含有量は、得られる混合溶
液が均一溶液状態を保てる範囲ならば特に制限されない
が、少なくとも0.5重量%以上添加し、重合体の濃度、
溶媒の種類と中空糸成形性及び膜性能を考慮して決めれ
ばよい。紡糸原液中のポリエチレングリコールは、中空
糸製造時の凝固過程において、膜の透水性を高めるのに
効果がある。
本発明において、上記ポリエチレングリコール以外に当
該紡糸原液中に添加剤として加える非溶剤としては、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の
脂肪族多価アルコール、メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、アセト
ン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン、ジメチ
ルスルホキシド等が好ましく用いられるが、特にこれら
に限定されない。
本発明の方法に従えば、上記のようにして調製された紡
糸原液をチューブインオリフフィス型ノズルを使用して
水溶液中に吐出させる。この際、内部凝固液としては、
水或いはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール等のアルコール類、又はこれらのアルコール水溶
液が好ましい。膜の分離機能を発揮するスキン層を中空
糸の内側表面に形成させるか或いは外表面側に形成させ
るかによって自由に内部凝固液を選択することができ
る。また、凝固液の温度は凝固液に水を使用した場合に
は通常30〜85℃であり、40〜70℃が好ましい。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明
はこれらに何ら限定されない。
実施例1 ポリスルホン(UCC社製、ユーデルポリサルホンP−170
0)を溶媒であるトリエチレングリコールジメチルエー
テル:2−ピロリドン(重量比1:1)混合溶液に溶解し、
さらに非溶媒として平均分子量1000のポリエチレングリ
コール(PEG1000;三洋化成製)を15重量%になるように
加えてポリスルホンが20重量%の中空糸紡糸原液を調製
した。
この紡糸原液を濾過及び脱泡することにより原液中に含
まれるゴミ、気体を除去した後、チューブインオリフィ
スタイプの2重環ノズルより水中に吐出して中空糸を紡
糸した。内部凝固液として80%ポリエチレングリコール
水溶液を用い、空中走行距離10cm、外部凝固液は70℃の
温水を用いて20m/minで紡糸した。次いで、得られた中
空糸を完全に脱溶剤ができるまで60℃の温水で洗浄し
た。
こうして得られた中空糸膜に1kg/cm2の水圧で精製水
(純水)を透過させて透過速度を測定したところ、1200
l/m2・hr・kg/cm2と非常に高いものであった。また分子
量87000であるタンパク質(コンアルブミン)の透過率
は41%であった。紡糸用原液の粘度も13880cpと低粘度
であった。
実施例2〜9 実施例1で用いたと同じポリスルホンを用いて第1表に
示すような組成を有する紡糸原液を調製し、この紡糸原
液を用いて実施例1と同様の条件で中空糸の紡糸を行っ
た。得られた中空糸膜について実施例1と同様にして透
過速度の測定を行った。
得られた結果を第1表に示す。又、分画性能、紡糸原液
の粘度は実施例1とほぼ同様であった。
比較例1 ポリスルホン(UCC社製、ユーデルポリサルホンP−170
0)をトリエチレングリコールジメチルエーテルを溶媒
として使用せずに、2−ピロリドンを60重量%使用して
溶解したものに、添加剤として平均分子量200のポリエ
チレングリコール(PEG200;三洋化成製)を20重量%に
なるように加え、ポリスルホンが20重量%の中空糸紡糸
原液を調製した。
得られた中空糸紡糸原液は二相分離を起こし紡糸不可能
であった。
比較例2 ポリエチレングリコールをトリエチレングリコールジメ
チルエーテルを溶媒として使用せずに、2−ピロリド
ン;ジメチルスルホキシド(重量比2:1)の混合溶媒に
溶解し、さらに非溶剤として平均分子量200のポリエチ
レングリコールを20重量%になるように加えてポリスル
ホンが20重量%の中空糸紡糸原液を調製した。
得られた中空糸紡糸原液は溶解しているものの、紡糸原
液の粘度が非常に高粘度のため紡糸不可能であった。
比較例3、4 ポリスルホンの溶媒としてトリエチレングリコールジメ
チルエーテルを用いないで第2表に示すような溶媒及び
添加剤を使用して実施例1と同様に紡糸を行った。
得られた中空糸膜は第2表に示すようにいずれも透水性
の低いものであった。
〔発明の効果〕 以上説明してきたように、本発明の製造法によれば、中
空糸紡糸時の操作性に優れ、また得られた中空糸膜の性
能は、従来の同程度の分画性能をもつ中空糸膜に比べて
極めて透水性に優れている。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリスルホン系重合体を含む紡糸原液をチ
    ューブインオリフィス型ノズルより水溶液中へ吐出した
    後、脱溶媒を行って中空糸状の分離膜を製造する方法に
    おいて、ポリスルホン紡糸原液用の溶媒としてトリエチ
    レングリコールジメチルエーテルを用いることを特徴と
    するポリスルホン製中空糸膜の製造法。
  2. 【請求項2】トリエチレングリコールジメチルエーテル
    を2−ピロリドンと共にポリスルホン紡糸原液用の溶媒
    として用いる特許請求の範囲第1項記載のポリスルホン
    製中空糸膜の製造法。
JP33585287A 1987-12-28 1987-12-28 ポリスルホン製中空糸膜の製造法 Expired - Lifetime JPH0712421B2 (ja)

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JP4797110B1 (ja) * 2010-05-27 2011-10-19 日立アロカメディカル株式会社 超音波診断装置
WO2023054228A1 (ja) * 2021-09-28 2023-04-06 東レ株式会社 多孔質膜及び多孔質膜の製造方法

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