JPH0712221Y2 - 車体前部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車の車体前部構造に関するものである。

（従来の技術） 自動車の車体前部は車体の剛性確保のためにホイールエ
プロンの上方部に沿って前後方向に延びるアッパフレー
ムと、ホイールエプロンの下方部に沿って前後方向に延
びるロアフレームとが設けている（実開昭58-179278号
公報参照）。しかし軽自動車等においては、車体の軽量
化を図るためロアフレームを補強し、ロアフレームの剛
性を向上させてアッパフレームを省略する方策も採られ
ている（実開昭59-92067号公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） 上記構造によれば車体剛性の確保が得られ、車体の軽量
化が図れるが、最近のエンジンの高出力化、多気筒化傾
向によりエンジンの大型化、特に横置きエンジン車の場
合車体幅方向に増長し、又、タイヤのサイズアップやワ
イド化により充分なロアフレームの有効断面積の確保が
得られず振動や騒音などの原因となっている。

従って本考案はアッパフレームを設けることなく、ロア
フレームの有効断面積が充分に確保できない場合でも車
体の剛性が充分に得られる車体前部構造を提供すること
を目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案の車体前部構造は、
前部がホイールエプロンと断面コ字形のフレームサイド
とにより形成され、後部が前記ホイールエプロンに連続
するブラケットフロントサスペンションと前記フレーム
サイドにより形成される閉断面状のロアフレームと、前
部がホイールエプロンと断面コ字形のリインフォースメ
ントエプロンにより閉断面形状に形成され、かつ前端が
ロアフレームの前部に結合し、後部がブラケットフロン
トサスペンション上部に結合する側方フレームを有する
ことを特徴とする。

（作用） ホイールエプロンとブラケットフロントサスペンション
及びフレームサイドにより形成されたロアフレームと、
ホイールエプロンとリインフォースメントエプロンによ
り形成された側方フレームと、ブラケットフロントサス
ペンションとによりトラス構造を形成し、車体前部の剛
性を向上させ、走行、制動時の前後方向の荷重、横力、
サスペンション反力などの荷重を車体部材が変形するこ
となく充分に受け止める。

（実施例） 以下、本考案の車体前部構造の実施例を図面によって説
明する。

第１図は本考案の車体前部構造の要部を示す斜視図、第
２図（Ａ），（Ｂ），（Ｃ），（Ｄ）はそれぞれ第１図
のＡ−Ａ線、Ｂ−Ｂ線、Ｃ−Ｃ線、Ｄ−Ｄ線に沿う断面
図であり、本実施例の車体前部構造はホイールエプロン
１、リインフォースメントエプロン２、フレームサイド
３、ブラケットフロントサスペンション４及びフロント
バルクヘッド５によって構成してある。

ホイールエプロン１は第３図に示すようにエンジン房内
側方に面し、車輪（図示せず）を覆うように湾曲して車
輪側とエンジン房内側とに区画している。ホイールエプ
ロン１のエンジン房内側面1aには、エンジン房内側面1a
に沿って第４図に示すように湾曲して下方部2aが断面ハ
ット形状で上方部2bに移行するに従って順次平面形状に
変化するリインフォースメントエプロン２を重畳させ、
リインフォースメントエプロン２の上縁フランジ2c及び
下縁フランジ2dをスポット溶接によりホイールエプロン
１のエンジン房内側面1aに結合する。

次にストラット（図示せず）の上端部を支承するブラケ
ットフロントサスペンションアッパ4Aと、このブラケッ
トフロントサスペンションアッパ4Aとスポット溶接によ
り結合されトーボード６と共同してストラットを囲繞す
るブラケットフロントサスペンション4Bとから構成され
るブラケットフロントサスペンション４が、ブラケット
フロントサスペンション４に形成した前方フランジ4aを
ホイールエプロン１の後端部に、後方フランジ4fをトー
ボード６にスポット溶接することにより取付けられる。

続いて第５図に示すような断面ハット形状のフレームサ
イド３の前部がホイールエプロン１のエンジン房内側面
1aに、後部がブラケットフロントサスペンション４の下
方フランジ4bに重畳され、フレームサイド３に形成した
上側フランジ3a及び下側フランジ3b前方部分とホイール
エプロン１のエンジン房内側面1aに後方部分をブラケッ
トフロントサスペンション４の下方フランジ4bとをスポ
ット溶接することにより閉断面形状のロアフレームを形
成する。フレームサイド３の前端部3cはブラケット７を
介して、または、直接クロスメンバ８の端部と結合して
ある。

次に閉断面状で端部にフロントピラー5a及びフロントピ
ラー5aと連続して形成され、前方へ延びる延長部5eを設
けたフロントバルクヘッド５を相対向するリインフォー
スメントエプロン２（一方のみ図示）間に上方より嵌挿
して、トーボード６の上端フランジ6c及びブラケットフ
ロントサスペンション４の上部フランジ4cにスポット溶
接により結合し、かつ延長部5eをホイールエプロン１の
上端フランジ1eの後端、リインフォースメントエプロン
２の上端フランジ2e及びブラケットフロントサスペンシ
ョン４の上端フランジ4eと共にスポット溶接により一体
に結合する。更にリインフォースメントエプロン２の後
部の外側にフロントピラ5aに結合されるリインフォース
メントピラー5bを結合して閉断面形状を構成する。図中
９はエンジンを取り付けるエンジンマウントである。

以上のように車体前部構造を構成することによってホイ
ールエプロン１とブラケットフロントサスペンション４
及びフレームサイド３により形成される閉断面形状のロ
アフレームとホイールエプロン１とリインフォースメン
トエプロン２により形成された側方フレームと、ブラケ
ットフロントサスペンション４によりトラス構造を形成
し、更にブラケットフロントサスペンション４及びリイ
ンフォースメントエプロン２の後端部をフロントバルク
ヘッド５及びトーボード６に固着することによって結合
部剛性を向上させエンジンマウント９からの荷重入力を
ブラケットフロントサスペンション４、フロントバルク
ヘッド５及びフロントピラー5aへ確実に伝達でき振動の
低減が図れるとともにホイールエプロン１及びフレーム
サイド３により構成するロアフレームの閉断面形状を薄
いものとすることができる。

（効果） ロアフレームと側方フレームとブラケットサスペンショ
ンとによりトラス構造を形成し、更にブラケットサスペ
ンションをフロントバルクヘッド及びトーボードと結合
することにより、車体前部の剛性向上が図れ、エンジン
マウントからの荷重を確実に伝達することができ振動・
騒音の低減が図れる。またロアフレームの閉断面形状を
薄くでき、エンジン房内への出張りを小とし、エンジン
房内を広いものとすることができる。更にリインフォー
スメントエプロンの追加によりエンジン房内に配設され
る補器取付等を容易に配置でき、またホイールエプロン
への穴の追加、凹部等の変化面などの成形性での効果が
大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の車体前部構造の実施例の要部を示す斜
視図、第２図（Ａ），（Ｂ），（Ｃ），（Ｄ）は第１図
のＡ−Ａ線、Ｂ−Ｂ線、Ｃ−Ｃ線、Ｄ−Ｄ線に沿う断面
図、第３図は本実施例のホイールエプロン、第４図は同
リインフォースメントエプロン、第５図はフレームサイ
ド、第６図はブラケットフロントサスペンション、第７
図はフロントバルクヘッドである。 １……ホイールエプロン、1a……エンジン房内側面、２
……リインフォースメントエプロン、2a……前部、2b…
…後部、３……フレームサイド、４……ブラケットフロ
ントサスペンション、4A……ブラケットフロントサスペ
ンションアッパ、4B……ブラケットフロントサスペンシ
ョンロア、５……フロントバルクヘッド、６……トーボ
ード、８……クロスメンバ、９……エンジンマウント。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前部がホイールエプロンと断面コ字形のフ
   レームサイドとにより形成され、後部が前記ホイールエ
   プロンに連続するブラケットフロントサスペンションと
   前記フレームサイドにより形成される閉断面形状のロア
   フレームと、前部がホイールエプロンと断面コ字形のリ
   インフォースメントエプロンにより閉断面形状に形成さ
   れ、かつ前端がロアフレームの前部に結合し、後部がブ
   ラケットフロントサスペンション上部に結合する側方フ
   レームを有することを特徴とする車体前部構造。
2. 【請求項２】側方フレームの後部がリインフォースメン
   トエプロンとリインフォースメントフロントピラーによ
   る閉断面形状である請求項１の構造。
3. 【請求項３】リインフォースメントエプロンにエンジン
   マウントが設けられている請求項１または２の構造。