JPH0537910Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、リアピラーの周辺部における自動車
の車体構造に関する。

（従来の技術） 自動車の車体において、サイドウインドシール
ドとリアウインドシールドとの間に配されて車体
上下方向に延びるリアピラーは、車室側に配され
るクオーターパネルと車外側に配されるリアフエ
ンダーパネルとにより閉断面構造をもつて形成さ
れる。そして、クオーターパネルにおける車室側
の面には、一般に、後輪を懸架支持するリアサス
ペンシヨンが収納されるサスペンシヨンハウジン
グが固定される。斯かるサスペンシヨンハウジン
グに収納されるリアサスペンシヨンは、通常、ダ
ンパーの中心軸が車室側に傾いた状態で車体に配
設されるので、リアピラーには、サスペンシヨン
ハウジングを介してリアサスペンシヨンからの車
体上下方向及び車体幅方向に沿う荷重が作用す
る。

そのため、リアピラー及びその周辺部の構造
は、サスペンシヨンハウジングを介してリアサス
ペンシヨンから車体上下方向及び車体幅方向に作
用する荷重に対して充分な強度を有するととも
に、斯かる荷重がリアピラーに集中されることな
く、リアピラーの周辺部に無理なく分散されるよ
うになされることが要求される。

このような、リアサスペンシヨンからの荷重に
対するリアピラーの強度の向上を図るべく、例え
ば、実開昭61−177979号公報にも記載されている
如く、リアフエンダーパネル（上記公報ではアウ
ターパネルと称されている）とともにリアピラー
を形成するクオーターパネル（上記公報ではイン
ナーパネルと称されている）に、クオーターパネ
ルとの間に閉断面を形成して車体上下方向に延び
るレインフオースメントが固定され、それによ
り、リアピラーの補強がなされるようにされた自
動車の車体構造が提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上述の如くの車体構造において
は、レインフオースメントの下端部が、リアピラ
ーを形成するクオーターパネルに設けられたホイ
ールハウジングに固定されているだけであるの
で、サスペンシヨンハウジングを介して作用する
リアサスペンシヨンからの荷重をサイドシル等の
リアピラーの周辺部に効果的に分散させることが
できず、そのため、充分な車体後部の剛性が得ら
れないという不都合がある。

斯かる点に鑑み本考案は、リアサスペンシヨン
から作用する荷重に対するリアピラーの強度の向
上が図られ、しかも、斯かる荷重をリアピラーの
周辺部に効果的に分散させることにより、車体後
部の剛性が高められるようになされた自動車の車
体構造を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上述の目的を達成すべく、本考案に係る自動車
の車体構造は、車体の側部後方に配され、閉断面
構造をとるものとされるリアピラーをリアフエン
ダーパネルとともに形成するクオーターパネル
と、車体の側部下方に配されて車体の前後方向に
延びるサイドシルと、クオーターパネルのリアフ
エンダーパネルに対向する面に固定されてそのク
オーターパネルとの間に閉断面を形成し、車体の
サイドウインドシールドより後方の部分において
車体の上下方向に湾曲して延びるレインフオース
メントとを備えて構成され、レインフオースメン
トは、その上部がリアピラーの閉断面内に配され
るとともに、その下部に車体の前後方向に沿つて
分岐する二股状の分岐部が形成され、分岐部の一
方の下端部がサイドシルの後部に接合されるとと
もに、分岐部の他方の下端部がサイドシルの後方
に配されたホイールハウジングの上面に接合され
て成るものとされる。

（作用） 上述の如くの本考案に係る自動車の車体構造に
おいては、閉断面構造をとるものとされるリアピ
ラーをリアフエンダーパネルとともに形成するク
オーターパネルに固定され、車体のサイドウイン
ドシールドより後方の部分において車体の上下方
向に湾曲して延びるレインフオースメントの下部
が、車体の前後方向に沿つて分岐する二股状の分
岐部が形成されるものとなされ、分岐部の一方の
下端部がサイドシルの後部に接合されるととも
に、分岐部の他方の下端部がサイドシルの後方に
配されたホイールハウジングの上面に接合される
ことによりリアピラーとサイドシルとが、クオー
ターパネルとの間に閉断面を形成するレインフオ
ースメントを介して連結される。

このようにされることにより、サスペンシヨン
ハウジングを介して作用するリアサスペンシヨン
からの荷重に対するリアピラーの強度が向上せし
められるとともに、リアピラーに作用する荷重
が、レインフオースメントを介してサイドシル等
の種々の車体構成要素に効果的に分散され、リア
ピラーの周辺部における車体後部の剛性が広い範
囲に亙つて高められることになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例について図面を参照して
説明する。

第１図は、本考案に係る自動車の車体構造の一
例の要部を、それが適用された左側の車体後部に
ついて示し、第２図は第１図に示される例が適用
された自動車の車体後部を示す。なお、図示が省
略された右側の車体後部は、左側の車体後部と同
様の構造を有している。

第２図に示される車体後部には、後輪２ととも
にサイドウインドシールド４及びリアウインドシ
ールド６が配されており、サイドウインドシール
ド４とリアウインドシールド６との間にはリアピ
ラー８が配されている。リアピラー８は、第２図
における−線に沿う断面を表す第３図に示さ
れる如く、車室側に配されたクオーターパネル１
０における車体上下方向に延びるリアピラーイン
ナー部１０ｃ、及び、クオーターパネル１０に対
して車外側に配されたリアフエンダーパネル１２
におけるリアピラーインナー部１０ｃに対向する
リアピラーアウター部１２ａによつて閉断面構造
をもつて形成されており、クオーターパネル１０
には、第１図に示される如く、サイドウインドシ
ールド４及びリアウインドシールド６の周縁部を
支持する支持縁部１０ａ及び１０ｂが形成されて
いる。

クオーターパネル１０における車室側の面に
は、後輪２を懸架支持する図示されていないリア
サスペンシヨンが収納されるサスペンシヨンハウ
ジング１４が固定されている。

クオーターパネル１０における後輪２の上方に
は、後輪２を覆うべくリアフエンダーパネル１２
側に突出する、曲面状に形成されたホイールハウ
ジング１５が設けられている。ホイールハウジン
グ１５の前縁部には、車体の側部下方に配されて
車体前後方向に延びるサイドシル１６の後端部が
接合されており、サイドシル１６は相互に対向す
るインナーパネル１６ａ及びアウターパネル１６
ｂによつて閉断面構造をもつて形成されている。
そして、クオーターパネル１０の下端部における
サイドシル１６に沿つて車体前後方向に延びる部
分は、インナーパネル１６ａとアウターパネル１
６ｂとに挟まれた状態でサイドシル１６に接合さ
れている。

また、クオーターパネル１０のリアフエンダー
パネル１２に対向する面におけるホイールハウジ
ング１５より上方となる部分には、二股状に形成
された分岐部２０ａ及び２０ｂを有するレインフ
オースメント２０が固定されており、レインフオ
ースメント２０の上部は、クオーターパネル１０
のリアピラーインナー部１０ｃとリアフエンダー
パネル１２のリアピラーアウター部１２ａとによ
つて形成されたリアピラー８の閉断面内に配置さ
れている。分岐部２０ａ及び２０ｂは、第１図に
おける−線に沿う断面を表す第４図に示され
る如く、夫々、クオーターパネル１０のリアフエ
ンダーパネル１２に対向する面に、サスペンシヨ
ンハウジング１４を挟むようにして接合され、ク
オーターパネル１０との間に閉断面を形成するも
のとされる。即ち、分岐部２０ａ及び２０ｂは、
クオーターパネル１０を介して、サスペンシヨン
ハウジング１４の前部及び後部に夫々接合されて
いるのである。

このようにして、クオーターパネル１０におけ
るサスペンシヨンハウジング１４が固定された部
位が、クオーターパネル１０との間に閉断面を形
成するレインフオースメント２０の分岐部２０ａ
及び２０ｂによつて補強されることにより、サス
ペンシヨンハウジング１４によつて支持されるリ
アサスペンシヨンからの荷重に対するリアピラー
８の強度、及び、リアピラー８の周辺部における
車体剛性が広い範囲に亙つて向上せしめられる。

レインフオースメント２０における分岐部２０
ａの下端部は、ホイールハウジング１５の上面に
接合されている。一方、レインフオースメント２
０における分岐部２０ｂの下端部は、ホイールハ
ウジング１５の上面に接合されるとともに、第１
図における−線に沿う断面を表す第５図に示
される如く、サイドシル１６におけるアウターパ
ネル１６ｂの後端部に接合されている。

このようにして、レインフオースメント２０が
単にクオーターパネル１０に固定されるだけでな
く、レインフオースメント２０における分岐部２
０ｂの下端部がサイドシル１６に接合されること
により、リアピラー８とサイドシル１６との連結
強度が高められ、リアサスペンシヨンからサスペ
ンシヨンハウジング１４を介してリアピラー８に
作用する荷重が、レインフオースメント２０の分
岐部２０ｂを介してサイドシル１６に効果的に分
散されるのて、リアピラー８の周辺部における車
体後部の剛性が広い範囲に亙つて向上せしめられ
る。

（考案の効果） 以上の説明から明らかな如く、本考案に係る自
動車の車体構造によれば、リアフエンダーパネル
とともにリアピラーを形成するクオーターパネル
に固定されたレインフオースメントの下端部が、
車体の側部下方に配されたサイドシルの後部に接
合されることにより、リアピラーとサイドシルと
が、クオーターパネルとの間に閉断面を形成する
レインフオースメントを介して連結されるので、
サスペンシヨンハウジングを介して作用するリア
サスペンシヨンからの荷重に対するリアピラーの
強度を向上させることができる。さらに、リアピ
ラーに作用する荷重を、レインフオースメントを
介してサイドシル等の種々の車体構成要素に効果
的に分散させることができ、それにより、リアピ
ラーの周辺部における車体後部の剛性が広い範囲
に亙つて著しく高められることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車の車体構造の一例
の要部を、それが適用された右側の車体後部につ
いて示す斜視図、第２図は第１図に示される例が
適用された自動車の車体後部を示す一部破断側面
図、第３図は第２図における−線に沿う断面
図、第４図及び第５図は、第１図における−
線及び−線に沿う断面図である。 図中、８はリアピラー、１０はクオーターパネ
ル、１２はリアフエンダーパネル、１４はサスペ
ンシヨンハウジング、１６はサイドシル、２０は
レインフオースメント、２０ａ及び２０ｂは分岐
部である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体の側部後方に配され、閉断面構造をとるも
   のとされるリアピラーをリアフエンダーパネルと
   ともに形成するクオーターパネルと、 上記車体の側部下方に配されて上記車体の前後
   方向に延びるサイドシルと、 上記クオーターパネルの上記リアフエンダーパ
   ネルに対向する面に固定されて該クオーターパネ
   ルとの間に閉断面を形成し、上記車体のサイドウ
   インドシールドより後方の部分において上記車体
   の上下方向に湾曲して延び、上部が上記リアピラ
   ーの閉断面内に配されるとともに、下部に上記車
   体の前後方向に沿つて分岐する二股状の分岐部が
   形成され、該分岐部の一方の下端部が上記サイド
   シルの後部に接合されるとともに、上記分岐部の
   他方の下端部が上記サイドシルの後方に配された
   ホイールハウジングの上面に接合されて成るレイ
   ンフオースメントと、 を備えて構成される自動車の車体構造。