JPH0427747Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の車体構造に係わり、特に後
部車体における補強構造に関するものである。

（従来技術） 従来、例えば実公昭56−24145号公報に開示さ
れているように、車体のピラーインナの外面に、
上下方向に延びるピラーレインフオースメントが
接合され、かつ、車体のベルトラインに沿つて前
後方向に延びるベルトラインレインフオースメン
ト（クオータパネルレインフオースメント）が上
記ピラーレインフオースメントに交差して接合さ
れていることにより、後部衝突時の衝撃荷重を支
えるようにした車体の補強構造が開示されてい
る。

ところで、上記構成においては、２本に分岐さ
れたピラーレインフオースメントが車体の前後方
向に短い間隔をおいて２つの閉断面を形成してお
り、この２つの閉断面にまたがつてベルトライン
レインフオースメントが接合されているため、ベ
ルトラインレインフオースメントとクオータパネ
ルとの間に形成されてベルトラインレインフオー
スメントに沿つて車体の前後方向に延びる閉断面
の面積が、ピラーレインフオースメントとの交差
部で極端に狭められているとしても、後部衝突時
の衝撃荷重を充分に支えることができるのであ
る。

しかしながら、２本のピラーレインフオースメ
ントが車体の前後方向に比較的長い間隔をおいて
設けられているような車体においては、ベルトラ
インレインフオースメントの形成する閉断面がピ
ラーレインフオースメントとの交差接合部で極端
に狭くなつていると、後部衝突時の衝撃に対して
ピラーレインフオースメントとの交差部での剛性
が充分でないという問題があつた。また、後部車
体の下方部にはホイールアーチ部が設けられ、こ
のホイールアーチ部の周辺部にリヤサスペンシヨ
ン部からの突上げ荷重が加わるため、例えば実開
昭60−37475号公報に開示されているように、ホ
イールアーチ部とその上方で前後方向に延びるベ
ルトラインレインフオースメントとの間に、レイ
ンフオースメントを接続して、ベルトラインレイ
ンフオースメントからピラー部への荷重分散を図
ることが提案されているが、上記上下方向のサス
ペンシヨン荷重が、水平方向に延びるベルトライ
ンレインフオースメントに伝達されるから、ベル
トラインレインフオースメントを著しく強化しな
いと、ベルトラインレインフオースメントのたわ
み変形等を生じて効果的な荷重分散が行なえない
ものである。

（考案の目的） 上述の事情に鑑み、本考案は、車体の前後方向
に延びるベルトラインレインフオースメントがピ
ラーレインフオースメントに交差して接合されて
いる構成において、ベルトラインレインフオース
メントが形成する閉断面を、その面積が著しく狭
められることなく前後に連続させることにより、
ベルトラインレインフオースメントとピラーレイ
ンフオースメントとの交差接合部の剛性を向上さ
せるとともに、サスペンシヨン部から受ける突上
げ荷重の分散を図つた自動車の車体構造を提供す
ることを目的とする。

（考案の構成） 上記目的を達成するため、本考案では、ピラー
インナをホイールアーチ部のほぼ中央部に位置づ
け、ピラーレインフオースメントをホイールアー
チ部からベルトラインレインフオースメント上方
のピラーインナ部まで延設して、ピラーインナと
の間に、ホイールアーチ部からベルトラインレイ
ンフオースメントの上方まで連続して上下方向に
延びる閉断面を形成するとともに、ピラーレイン
フオースメントとベルトラインレインフオースメ
ントとの交差接合部において、ピラーレインフオ
ースメントを室内側に凹ませて、ベルトラインレ
インフオースメントの閉断面を上記ピラーインナ
の前後に設けられた両ピラー部間に亘つて連続さ
せている。

（考案の効果） 本考案によれば、サスペンシヨン部からの突上
げ荷重がピラーレインフオースメントを介してそ
のままピラー部に効果的に分散されるとともに、
ベルトラインレインフオースメントの閉断面をピ
ラーレインフオースメントの前後において連続さ
せることができるから、後部車体の剛性が向上
し、後部衝突時においても車体の潰れを最小限に
留めて車室内空間を確保して乗員を保護すること
ができ、安全性を著しく向上させることができ
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例について図面で参照して
詳細に説明する。

第１図は本考案を適用したワゴン型自動車の後
部車体の側面を示す概略的斜視図、第２図はその
要部の斜視図、第３図はその分解斜視図である。
車体１はＢピラーインナ２、Ｃピラーインナ３お
よびＤピラーインナ（リヤピラーインナ）４を備
えている。これらＢ，Ｃ，Ｄピラーインナ２，
３，４はベルトラインに沿つて車体１の前後方向
に延びる連結部材５，５′によつて一体に連結さ
れている。Ｃピラーインナ３は、その下方部のホ
イールアーチ部１２のほぼ中央部に位置づけら
れ、その外面には、上下方向に延びるＣピラーレ
インフオースメント６が接合されている。このＣ
ピラーレインフオースメント６はチヤンネル状に
形成され、内面のＣピラーインナ３とによつてホ
イールアーチ部１２から後述するベルトラインレ
インフオースメント８の上方まで連続して車体１
の上下方向に延びる閉断面７が形成されている。
またＣピラーレインフオースメント６はベルトラ
インに相当する部分が凹まされて凹部６ａが形成
されている。さらにＢピラーインナ２とＤピラー
インナ４との間には、車体１の前後方向に延びる
ベルトラインレインフオースメント８がピラーレ
インフオースメント６の外側において架橋されて
おり、このベルトラインレインフオースメント８
は、第２図に示すように、Ｃピラーレインフオー
スメント６の前後においては閉断面９，９′を形
成するように連結部材５，５′に接合されている
が、Ｃピラーレインフオースメント６に対しては
上記凹部６ａの位置でこのＣピラーレインフオー
スメント６に接合されて、Ｃピラーレインフオー
スメント６との間に閉断面１０が形成されてい
る。この閉断面１０は、その前後においてベルト
ラインレインフオースメント８と連結部材５，
５′によつて形成されている閉断面９，９′と連続
しており、これによつてＣピラーインナ３の前後
に設けられているＢピラーインナ２とＤピラーイ
ンナ４との間に亘つて連続した閉断面が形成さ
れ、後部車体の剛性が高められている。なお、１
１はリヤフエンダである。以上の構成によつて、
ホイールアーチ部１２からピラーレインフオース
メント６を介して上方へ伝達させるサスペンシヨ
ン荷重を効果的にＣピラー部に分散させることが
できるとともに、後部衝突時の衝撃荷重をこのベ
ルトラインレインフオースメント８とＣピラーレ
インフオースメント６との交差接合部に充分に支
えることができ、安全性を著しく向上させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は後部車
体の側面を示す概略的斜視図、第２図はその要部
の斜視図、第３図は分解斜視図である。 １……車体、３……Ｃピラーインナ、１……連
結部材、６……Ｃピラーレインフオースメント、
６ａ……凹部、８……ベルトラインレインフオー
スメント、９，９′，１０……閉断面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体のピラーインナの外面に、上下方向に延び
   るピラーレインフオースメントが接合され、かつ
   車体のベルトラインに沿つて前後方向に延びるベ
   ルトラインレインフオースメントが上記ピラーレ
   インフオースメントの外側において上記ピラーレ
   インフオースメントに交差して接合されている自
   動車の車体構造において、 上記ピラーインナは、その下方部に設けられた
   ホイールアーチ部のほぼ中央部に位置づけられ、
   上記ピラーレインフオースメントは、上記ホイー
   ルアーチ部から上記ベルトラインレインフオース
   メント上方のピラーインナ部まで延設されて、上
   記ピラーインナとの間に、上記ホイールアーチ部
   から上記ベルトラインレインフオースメントの上
   方まで連続して上下方向に延びる閉断面を形成し
   ており、上記ピラーレインフオースメントと上記
   ベルトラインレインフオースメントとの交差接合
   部において、上記ピラーレインフオースメントが
   室内側に凹まされて、上記ベルトラインレインフ
   オースメントが、上記ピラーインナの前後に設け
   られた両ピラー部間に亘つて連続した閉断面を形
   成していることを特徴とする自動車の車体構造。