JPH07119030A - エアーバッグ用ポリエステルカレンダ織物およびその製造法 - Google Patents

エアーバッグ用ポリエステルカレンダ織物およびその製造法

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JPH07119030A
JPH07119030A JP5283886A JP28388693A JPH07119030A JP H07119030 A JPH07119030 A JP H07119030A JP 5283886 A JP5283886 A JP 5283886A JP 28388693 A JP28388693 A JP 28388693A JP H07119030 A JPH07119030 A JP H07119030A
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JP
Japan
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fabric
polyester
woven fabric
bag
air permeability
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JP5283886A
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Kunio Nishimura
邦夫 西村
Shiro Kumakawa
四郎 熊川
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エアーバッグを作成したとき、インフレーシ
ョン時の通気度上昇が少なく安定しており、高い内圧が
得られ、インフレーションガスによる乗員の火傷を防止
できるポリエステルカレンダ織物を提供すること。 【構成】 織物を構成する経糸および緯糸の結晶化度4
5〜65%、極限粘度0.80〜0.95dl/g、180
℃、5分間における織物の経緯方向の乾熱収縮率がとも
に4%以下で、該織物2枚を裁断して直径670mmで
縫製接合した内容積50lの袋状物にモートン製タイプ
4型インフレーターを取付け、95℃で5時間エージン
グ直後に展開させた後の袋状物の通気度が展開前の通気
度に比し、100%以下の上昇率であるポリエステル織
物およびその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エアーバッグ用ポリエ
ステルカレンダ織物およびその製造法に関する。更に詳
しくは、本発明は、ノンコートであっても、従来のカレ
ンダポリエステル織物に比べて、インフレーション時の
通気度上昇が少なく安定しており、高いエアーバッグ内
圧が得られ、またインフレーションガスの通過による乗
員の火傷を防止できる、安全性の高いエアーバッグを形
成することができるポリエステルカレンダ織物およびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】エアーバッグに対しては、車両事故に際
し乗員を衝撃から充分に保護できることの他、インフレ
ーションガスによる火傷の危険がなく、またどのような
衝突の際にも十分に乗員を保護できるよう常に安定した
エアーバッグ内圧の確保が不可欠である。
【0003】一方、自動車のコストダウンや燃費の向
上、コンパクト化の目的でエアーバッグ用織物として、
ノンコート織物が使用されつつある。しかし、従来のナ
イロン66からなるノンコート織物では通気度やその保
持性に問題点があるため、ポリエステルを用いたノンコ
ート織物が使用されつつある。ポリエステル織物はナイ
ロン66織物に比べて熱セット効果に優れるため、カレ
ンダによる通気度の低減が可能である。
【0004】従来のノンコートエアーバッグ用ポリエス
テルカレンダ織物の典型的な例としては、米国特許第
4,977,016号明細書(日本特開平4−2835
号)に開示されているように0.5cc/cm2/sec/0.5inch
Aq以下の樹脂を被覆ないし含浸していないノンコートポ
リエステル織物がある。また、米国特許5,010,6
63号明細書(日本特開平4−2835号公報)には、
1.5cc/cm2/sec/0.5inchAq以下のポリエステルノンコ
ート織物が開示されている。
【0005】米国特許第4,921,735号明細書
(日本特開平1−122752号)にも、カレンダ加工
されたノンコートエアーバッグ用のポリエステル織物と
して、通気度0〜0.53cc/cm2/sec/0.5inchAqの織物
が開示されている。
【0006】また、EPC0,442,373A1号明
細書には、実施例中に、50mm水柱下で測定した通気
度4.7〜9.4l/dm2/min(約0.12〜0.23cc
/cm2/sec/0.5inchAq)のノンコートポリエステル織物が
記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のポリエ
ステルカレンダ織物は、エアーバッグの形状で実際にイ
ンフレーションすると織物通気度が大幅に増大してしま
うため、十分なエアーバッグ内圧が得られず、乗員を衝
突の衝撃から十分に保護できないという問題点があっ
た。
【0008】そこで、本発明は、インフレーション時の
通気度上昇が少なく、高いエアーバッグ内圧が得られ、
インフレーションガスの通過による乗員の火傷を防止で
きる、安全性の高いエアーバッグを形成することのでき
るポリエステルカレンダ織物を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、カレンダ加工
を施されたポリエステル織物であって、該カレンダ加工
後の織物を構成する経糸および緯糸の結晶化度45〜6
5%、極限粘度0.80〜0.95dl/g、該織物の
180℃、5分間における経方向および緯方向の乾熱収
縮率4%以下であり、かつ、該織物2枚を円形状に裁断
し、直径670mmの円周部で縫製接合して得られた内
容積約50リットルの袋状物にモートン製タイプ4型イ
ンフレーターを取り付け、95℃で5時間エージング直
後に展開させた後の該袋状物の通気度が、該袋状物の展
開前の通気度に比べてその上昇率100%以下であるこ
とを特徴とするエアーバッグ用ポリエステルカレンダ織
物を提供するものである。
【0010】本発明において、カレンダ加工を施された
織物をカレンダ織物という。本発明のポリエステルカレ
ンダ織物においては、織物を構成する経糸および緯糸の
結晶化度が45〜65%であることが必要である。カレ
ンダ加工後において、経糸および緯糸の結晶化度が45
%未満では、非晶部の増大により熱セット性が低下する
ため、インフレーション時に通気度が上昇しやすい、す
なわち通気度安定性が低下する。一方、結晶化度が65
%を超えるとフィラメントの柔軟性が低下するため同様
に熱セット性が不良となり、インフレーション時の通気
度安定性が低下する。経糸および緯糸の結晶化度は、5
0〜60%が好ましい。結晶化度を45〜65%にする
には、ポリエステルチップの固相重合条件、フィラメン
トの紡糸延伸条件、織物のカレンダ加工条件などを適宜
組み合わせればよい。
【0011】また、本発明のポリエステルカレンダ織物
は、これを構成する経糸および緯糸の極限粘度が0.8
0〜0.95dl/gであることが必要である。経糸お
よび緯糸の極限粘度が0.80dl/g未満では耐熱安
定性が低下するため、インフレーション時の通気度安定
性が低下する。一方、0.95dl/gを超えるとフィ
ラメントの紡糸性能が低下するため、フィラメント物性
が不良となり、同様に通気度安定性が低下する。極限粘
度は、0.82〜0.90dl/gが好ましい。極限粘
度を0.80〜0.95dl/gとするには、ポリエス
テルチップの固相重合条件、フィラメントの紡糸延伸条
件、織物のカレンダ加工条件などを適宜選択すればよ
い。
【0012】さらに、カレンダ加工後において、前記織
物の180℃、5分間における経方向および緯方向の乾
熱収縮率がいずれも4%以下である必要がある。経方向
または緯方向の180℃、5分間における乾熱収縮率が
4%を超えると、インフレーション時に発生するガス熱
により織物が収縮して通気度が増大する。経方向および
緯方向の乾熱収縮率は、3%以下が好ましい。
【0013】本発明のポリエステルカレンダ織物は、そ
の通気度が7l/dm2/min at 500pa以下であることが望
ましい。通気度が7l/dm2/min at 500pa 以下である
と、エアーバッグを作成したとき、より高いインフレー
ション内圧を得ることができ、乗員に火傷の危険が小さ
い。カレンダ加工後の織物の通気度は、さらに好ましく
は0.1〜6l/dm2/min at 500pa である。
【0014】また、本発明のポリエステルカレンダ織物
は、この織物2枚を円形状に裁断し、直径670mmの
円周部を縫製接合した内容積約50リットルの袋状物に
モートン製タイプ4型インフレーターを取り付け、95
℃で5時間エージング直後に展開させた後の袋状物の通
気度が、展開前の通気度に比べて、上昇率100%以下
であることが必要である。この通気度の上昇率が100
%を超えると、エアーバッグを作成したとき、インフレ
ーション時の通気度安定性に欠け、またエアーバッグ内
圧が十分でなくなるため、乗員を衝突の衝撃から守るこ
とができない。展開後の袋状物の通気度の上昇率は、8
0%以下が好ましい。
【0015】本発明のポリエステルカレンダ織物におい
ては、織物を構成する経糸および緯糸の単糸デニール
は、1〜3デニールであることが望ましい。カレンダ加
工後の単糸デニールが3デニールを超えるとカレンダ加
工における賦形効果が低減し、エアーバッグとしてのイ
ンフレーション時の通気度が不安定となる。一方、単糸
デニールが1デニール未満となるような場合は、製織斑
により、織物構造が不均一となるため同様に通気度が不
安定となる。
【0016】また、織物を構成する経糸および緯糸のヤ
ーンデニールは、200〜600デニールであることが
好ましい。ヤーンデニールが600デニールを超える
と、カレンダ加工における賦型効果が低下するため、エ
アーバッグを作成したとき、インフレーション時の通気
度が不安定となる。また、ヤーンデニールが200デニ
ール未満になる場合は、製織斑により織物組織が不均一
となりやはり通気度が不安定となる。
【0017】以上のような特性を有するポリエステルカ
レンダ織物は、180℃、5分間における経方向および
緯方向の乾熱収縮率が10%以下のポリエステル織物
を、その表面温度をポリエステルのガラス転移温度(通
常80℃)以下に保持しつつ、金属ロール表面温度16
0〜220℃で1回目のカレンダ加工を行い、次に織物
表面温度をガラス転移温度〜200℃、好ましくは10
0〜190℃に保持することにより、1回目のカレンダ
加工により微小延伸された織物を収縮緩和させつつ、金
属ロール表面温度160〜220℃で織物の1回目のカ
レンダ加工面と同じ面に2回目のカレンダ加工を行う方
法を好ましく挙げることができる。
【0018】ポリエステル織物の180℃、5分間にお
ける経方向および緯方向の乾熱収縮率が10%を超える
と、カレンダ加工時に、急激な収縮が発現し均一な収縮
が得られないため、インフレーション時の高熱に安定な
通気度を有する織物を得ることができない。カレンダ加
工を施される織物の180℃、5分間における乾熱収縮
率は、経方向、緯方向ともに、8%以下が好ましい。
【0019】カレンダ加工法としては、ロール表面接触
方式によることが好ましい。テンター方式では、織物
の、特に耳部がフラット性に欠けるため、均一なセット
織物を得ることができない。また、均一な張力が付与さ
れないため通気度が織物幅方向で不均一となり、インフ
レーション時に安定な通気度を有するカレンダ織物を製
造することができない。
【0020】カレンダ加工は、2回実施することが好ま
しい。1回ではセット効果が充分ではなく、インフレー
ション時に通気度が回復して通気度の上昇率が100%
を超えるおそれがある。また1回目のカレンダ加工は、
カレンダロール挿入前では、ガラス転移温度以下の温度
に織物表面温度を保持しつつ、金属ロール表面温度16
0〜220℃で実施することが好ましい。織物表面温度
をガラス転移温度以下にすることにより、織物はカレン
ダ挿入時に幾分冷延伸状態で織物組織が圧縮される。こ
のため、収縮応力が残留する形でカレンダ織物組織が形
成される。次に2回目のカレンダ加工においては、カレ
ンダロール挿入前は、織物表面温度をガラス転移温度〜
200℃に保持することにより、該残留収縮応力により
織物を収縮させつつカレンダロールに挿入されるため、
1回目の収縮分と2回目の熱延伸分が相殺されることに
なり、安定したカレンダ織物組織として固定される。1
回目と2回目は、織物の同一面にカレンダ加工を施す、
すなわち、金属ロールに接触する織物面が同一面となる
ようにして、カレンダ加工を施すことにより、熱的に完
全に安定な織物構造を賦型することができる。両面に不
完全な加工を施すより、むしろ、インフレーション時の
通気度のより安定する強固な織物構造を得ることができ
る。
【0021】カレンダ加工においては、1本の金属ロー
ルを上下一対の弾性ロールが挟む構造の金属/弾性ロー
ルカレンダ機を使用することが好ましい。該カレンダ機
は上下の弾性ロールが金属ロールの撓みを防止する機能
があるため、高圧下でカレンダ加工を行うことができる
特徴を有する。織物の同一面に2回のカレンダ加工を施
す方法としては、ガラス転移温度以下の織物に表面温度
を保持しつつ、一方の弾性ロールと160〜220℃の
表面温度を有する金属ロールの間で1回目のカレンダ加
工を行い、次に該金属ロールに織物を密着沿走させつつ
織物の表面温度をガラス転移温度〜200℃に保持しな
がら織物を収縮緩和させて、他方の弾性ロールと同金属
ロールの間で、1回目のカレンダと同一面に連続して2
回目のカレンダ加工を施す方法を挙げることができる。
このような連続加工法によると、低コストでエアーバッ
グとしてのインフレーション時の通気度安定性に優れた
ポリエステルカレンダ織物を製造することができる。
【0022】このような連続カレンダ加工法は、2〜5
0m/分の加工速度、50〜200トンの加工圧力で行
うことが好ましい。加工速度が2m/分未満では、生産
性が低下する。一方、加工速度が50m/分を超える
と、賦型性が低下しインフレーション時の通気度安定性
が低下する。また、加工圧力が50トン未満では賦型性
が低下し通気度安定性が低下する。一方、加工圧力が2
00トンを超えると、カレンダ後の織物の柔軟性が低下
し、エアーバッグに衝突した際に乗員が負傷する。加工
速度は、3〜40m/分、加工圧力は100〜170ト
ンが更に好ましい。
【0023】本発明のポリエステルカレンダ織物の製造
法は、ロール表面接触方式によるセット織物を使用する
ことが好ましい。テンターセット織物では、特に耳部が
フラット性に欠けるため、均一なカレンダ加工ができな
い。また、均一な張力が付与されていないため通気度が
織物幅方向で不均一であり、エアーバッグとしてのイン
フレーション時に安定な通気度を有するカレンダ織物を
製造することができない。
【0024】本発明のポリエステルカレンダ織物は、そ
の構成糸条の末端カルボキシル基含有率は5〜35当量
/トンであることが好ましい。末端カルボキシル基含有
率が5当量/トン未満ではフィラメントの均一性が低下
するため、エアーバッグを作成したとき、インフレーシ
ョン時の通気度が不安定となる。一方、35当量/トン
を超えると耐熱安定性が低下するため、インフレーショ
ン時の通気度が不安定となる。カレンダ織物の末端カル
ボキシル基含有率は、7〜30当量/トンが更に好まし
い。
【0025】また、残留ジエチレングリコール含有率は
0.1〜1.5重量%であることが好ましい。残留ジエ
チレングリコール含有率が0.1重量%未満では、フィ
ラメントの柔軟性が低下し製織性が低下するため、エア
ーバッグを作成したとき、インフレーション時の通気度
が不安定となる。一方、1.5重量%を超えると、耐熱
性が低下し、同様に通気度が不安定となる。カレンダ織
物の残留ジエチレングリコール含有率は0.2〜1.0
重量%にすることが更に好ましい。
【0026】さらに、本発明のポリエステルカレンダ織
物は、その構成糸条中の酸化チタン含有率0.2重量%
以下であることが好ましい。酸化チタン含有率が0.2
重量%を超えると、耐熱性が低下しエアーバッグとして
のインフレーション時に通気度が増大する。カレンダ織
物の酸化チタン含有率は、0.1重量%以下にすること
が更に好ましい。
【0027】本発明のポリエステルカレンダ織物は、構
成糸条の(100)結晶格子網面に垂直の方向の結晶サ
イズが30〜90Åであることが好ましい。結晶サイズ
が30Å未満では、織物の形態保持性が低下するためエ
アーバッグを作成したとき、インフレーション時の通気
度が増大する。一方、90Åを超えると柔軟性が低下し
同様に形態保持性が低下するため、通気度が増大する。
さらに好ましい結晶サイズは、35〜85Åである。
【0028】本発明のポリエステルカレンダ織物におい
ては、経糸および緯糸の撚係数2,500以下の織物を
カレンダ加工に供することが好ましい。撚係数は、糸の
デニールの平方根に撚数(t/m)を掛けた値である。
撚係数が2,500を超えると、織物の嵩復元性が増
し、エアーバッグを作成しても、インフレーション時の
通気度安定性に優れたエアーバッグは得られない。撚係
数は、0が最も好ましい。
【0029】本発明において、ポリエステルとしては、
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエ
チレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′
−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシ
レートなどのような共重合ポリエステルを挙げることが
できる。中でも機械的性質、繊維形成性のバランスなど
のとれたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0030】本発明のポリエステルカレンダ織物の織物
組織としては、1/1の平織物、2/2のマット織物、
2/1あるいは2/2綾織物、リップストップ織物を挙
げることができる。このうち、エアーバッグを作成した
とき、インフレーション時の通気度安定性に優れる1/
1の平織物が特に好ましい。
【0031】
【作用】本発明のポリエステルカレンダ織物は、円形袋
状物を95℃において、インフレーターによりインフレ
ーションさせた後の通気度上昇率が100%以下と低
く、安定しているから、エアーバッグを作成したとき、
インフレーション時の通気度安定性に優れるとともに、
高いエアーバッグ内圧を得ることができ、安全性の高い
エアーバッグを形成することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。なお、実施例における評価は、それぞれ下記
の方法にしたがって行った。
【0033】結晶化度:n−ヘプタン/四塩化炭素混合
液を使用した密度勾配管法により測定した。極限粘度 :OCP(オルソクロロフェノール)溶液を使
用して25℃で測定した。
【0034】乾熱収縮率:1辺が20cmの正方形を描
いた織物を熱風乾燥機に入れ、180℃で5分間保持
し、冷却後の正方形の経、緯の各収縮率を測定した。
【0035】通気度:通気度計FX3300(スイス
国、テクステスト社製)を用いて100cm2 のオリフ
ィスにより500pa加圧下で測定した。単位は、 l/d
m2/minとした。測定は、20℃、65%RHで48時間
エージング後に雰囲気下で実施した。
【0036】袋状物の通気度上昇率:まず直径700m
mの円形状織物を2枚裁断した。この内、1枚の織物の
中央部に100cm2 の円を1個、またその円を囲むよ
うに100cm2 の8個の円を描いた。これらの9個の
円形部分の通気度を測定し、その平均値P1(l/dm2/min
at 500 Pa)を求めた。次に、これらの2枚の織物を重
ねて、直径670mmの円の円周部を二重環縫製法によ
り縫製接合して内容積約50リットルの袋状物を形成し
た。通気度を測定しない方の円形状織物の中央部を直径
105mmの円形状にくり抜き、その円形穴と同心でド
ーナツ状の共布を数枚縫製補強した。105mmの円形
状の穴の周囲には、インフレーター取り付け穴を設け
た。該穴に、モートンインターナショナル製インフレー
ター(タイプ4型)をリテーナー、ベースプレート、リ
ベット、ナット、モジュールカバー等とともに取り付
け、95℃で5時間放置した後、直ちにインフレーショ
ンを実施した。冷却後に袋状物の二重環縫製部分を解
き、インフレーション前に測定した9個の円形部分につ
いて、その通気度を再度測定し、その平均値P2(l/dm2
/min at 500 Pa)を求め、通気度上昇率を下記の式から
算出した。 通気度上昇率(%)=(P2−P1)/P1×100
【0037】末端カルボキシル基含有率:糸条をベンジ
ルアルコールを使用して215℃で3分間溶解後、クロ
ロホルムを加え、フェノールレッド0.1%溶液を指示
薬として、0.1Nカセイソーダベンジルアルコール溶
液で滴定して定量した。
【0038】残留ジエチレングリコール含有率:糸条を
ヒドラジンで分解し、分解液をガスクロマトグラフィー
で定量した。酸化チタン含有率: 糸条中のチタン金属を蛍光X線法で
定量し、酸化チタンに換算した。
【0039】結晶サイズ:広角X線回折法により、(1
00)格子網面に垂直の方向の結晶サイズを測定した。
【0040】実施例1 極限粘度0.86dl/g、結晶化度53%の420デ
ニール、249フィラメントのポリエステルフィラメン
ト〔帝人(株)製〕を用意し、これを無撚の状態でウォ
ータージェットルームにより高密度に製織し、精練、セ
ットを経て、180℃、5分間における乾熱収縮率が経
方向2.4%、緯方向2.3%のカレンダ加工用ポリエ
ステル織物を得た。
【0041】次に、1本の金属ロールを上下一対の弾性
ロールが挟む構造の金属/弾性ロールカレンダ機を使用
して、該織物にカレンダ加工を実施した。まず、織物の
表面温度を30℃に保持し、一方の弾性ロールと190
℃の表面温度を有する金属ロールの間に該織物を挿入し
て1回目のカレンダ加工を行い、次に該金属ロールに織
物を密着沿走させつつ、織物表面温度を160℃に保持
しながら織物を収縮緩和させた後、他方の弾性ロールと
該金属ロールの間に挿入することにより、連続して1回
目のカレンダ加工面と同一面に2回目のカレンダ加工を
実施した。加工速度は20m/分、加工圧力は120ト
ンであった。
【0042】得られたカレンダ織物の諸物性を表1に示
す。なお、これらの物性値の測定にあたっては、カレン
ダ織物から、経糸と緯糸を抜糸してヤーンデニールおよ
び単糸デニールを測定した。また、その他の物性は、カ
レンダ織物を直接用いて測定した。
【0043】このポリエステルカレンダ織物を用いて5
0リットルのドライバー席用エアーバッグを作成し、9
5℃においてインフレーションを行った結果、その通気
度は安定しており、従って良好と判断された。
【0044】実施例2〜4、比較例1〜3 実施例1と同様の方法で高密度のポリエステルフィラメ
ント平織物を製織し、精練、熱セットを施し表1に示す
織物を作成し、これらに、表1に示す条件にてカレンダ
加工を施した。これらの条件と、得られたカレンダ織物
の諸物性を表1に示す。さらに、エアーバッグを作成し
たときの評価も併せて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、エアーバッグとしての
インフレーション時の通気度上昇が少なく安定している
カレンダ織物を製造することができる。したがって、該
ポリエステルカレンダ織物を使用すると、エアーバッグ
としての高い安定したインフレーション内圧が得られ、
またインフレーションガスの通過による乗員の火傷を防
止できる、安全性の高いエアーバッグを形成することが
できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カレンダ加工を施されたポリエステル織
    物であって、該カレンダ加工後の織物を構成する経糸お
    よび緯糸の結晶化度45〜65%、極限粘度0.80〜
    0.95dl/g、該織物の180℃、5分間における
    経方向および緯方向の乾熱収縮率4%以下であり、か
    つ、該織物2枚を円形状に裁断し、直径670mmの円
    周部で縫製接合して得られた内容積約50リットルの袋
    状物にモートン製タイプ4型インフレーターを取り付
    け、95℃で5時間エージング直後に展開させた後の該
    袋状物の通気度が、該袋状物の展開前の通気度に比べて
    その上昇率100%以下であることを特徴とするエアー
    バッグ用ポリエステルカレンダ織物。
  2. 【請求項2】 織物がカレンダ加工後において、その通
    気度7l/dm2/min at 500pa 以下である請求項1記載の
    エアーバッグ用ポリエステルカレンダ織物。
  3. 【請求項3】 織物を構成する経糸および緯糸が、それ
    ぞれの単糸デニール1〜3デニールである請求項1また
    は2記載のエアーバッグ用ポリエステルカレンダ織物。
  4. 【請求項4】 180℃、5分間における経方向および
    緯方向の乾熱収縮率が10%以下であるようなポリエス
    テル織物に、その表面温度をカレンダロール前でガラス
    転移温度以下に保持しつつ、金属ロール表面温度160
    〜220℃で1回目のカレンダ加工を施したのち、該織
    物の表面温度をカレンダロール前でガラス転移温度〜2
    00℃に保持しつつ、金属ロール表面温度160〜22
    0℃で1回目と同じ織物面に2回目のカレンダ加工を施
    す請求項1〜3のいずれか1項記載のエアーバッグ用ポ
    リエステルカレンダ織物の製造法。
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