JPH07118809A - 深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金 - Google Patents
深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金Info
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- JPH07118809A JPH07118809A JP5262084A JP26208493A JPH07118809A JP H07118809 A JPH07118809 A JP H07118809A JP 5262084 A JP5262084 A JP 5262084A JP 26208493 A JP26208493 A JP 26208493A JP H07118809 A JPH07118809 A JP H07118809A
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Abstract
(57)【要約】 （修正有）
【目的】深絞り加工性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金
の提供。 【構成】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％，Ｎｉ：６．１〜５０
ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，Ｓ：５０ｐｐｍ以下，
Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さらにＴｉ，Ｎｂ，Ｖ，Ｚ
ｒ，Ｔａ，Ｍｏ，Ｗ，Ｎ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｃｕ，Ｃｏ，Ｓ
ｎ，Ｓｂ，Ｐ，Ｓｉ，Ｂを特定したＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系
合金である。
の提供。 【構成】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％，Ｎｉ：６．１〜５０
ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，Ｓ：５０ｐｐｍ以下，
Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さらにＴｉ，Ｎｂ，Ｖ，Ｚ
ｒ，Ｔａ，Ｍｏ，Ｗ，Ｎ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｃｕ，Ｃｏ，Ｓ
ｎ，Ｓｂ，Ｐ，Ｓｉ，Ｂを特定したＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系
合金である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は深絞り成形性に優れたＦ
ｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金に関する。
ｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金に関する。
【０００２】
【従来の技術】Ｆｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金は、加工により
オーステナイト相がマルテンサイト変態するため、フラ
ンジ部分の加工硬化が著しく、深絞り成形性が良好でな
い。そのため、特開平２−１４１５５６号では、この加
工硬化を抑制するためにオーステナイト安定化元素であ
るＣｕを添加してオーステナイト相がマルテンサイト変
態することを抑制することも行なっているが、この場合
でも深絞り成形性の改善は十分でなかった。また、特開
平１−３０１８４０号や特開平４−２７２１５８号で
は、この加工硬化を抑制するためにＣ＋Ｎ量を低減する
ことにより変態したマルテンサイトを軟質化することが
行なわれているが、この場合でも深絞り成形性の改善は
十分でなかった。
オーステナイト相がマルテンサイト変態するため、フラ
ンジ部分の加工硬化が著しく、深絞り成形性が良好でな
い。そのため、特開平２−１４１５５６号では、この加
工硬化を抑制するためにオーステナイト安定化元素であ
るＣｕを添加してオーステナイト相がマルテンサイト変
態することを抑制することも行なっているが、この場合
でも深絞り成形性の改善は十分でなかった。また、特開
平１−３０１８４０号や特開平４−２７２１５８号で
は、この加工硬化を抑制するためにＣ＋Ｎ量を低減する
ことにより変態したマルテンサイトを軟質化することが
行なわれているが、この場合でも深絞り成形性の改善は
十分でなかった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、深絞り成形
性を向上させたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を提供すること
を目的とする。
性を向上させたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を提供すること
を目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するために、種々の化学成分を有するＦｅ−Ｃ
ｒ−Ｎｉ系合金の深絞り成形性について調査を行ない、
Ｃ量を通常のＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ合金のレベルより減少さ
せると深絞り成形性が著しく向上することを発見した。
その機構は、必ずしも明らかではないが、Ｃ量を減少さ
せると深絞り加工に有利な集合組織が発達すること、お
よび加工により変態したマルテンサイト部分の延性が向
上することと関係していると考えられる。また、Ｃを低
減すると同時にＳ，Ｏを低減すると、おそらく鋼の延性
が向上することにより、深絞り成形性が著しく向上する
ことを発見して本発明に至った。このようなＦｅ−Ｃｒ
−Ｎｉ合金については、さらに固溶Ｃ量を低減させるＴ
ｉ群（Ｔｉ，Ｎｂ，Ｖ，Ｚｒ，Ｔａ，Ｍｏ，Ｗ）、延性
時のマルテンサイト変態を抑制して焼鈍時に変態しオー
ステナイトの集合組成がランダムになることを抑制する
Ｎ群（Ｎ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｃｕ，Ｃｏ）、および、強度を
向上させて加工硬化率を向上させるＳｎ群（Ｓｎ，Ｓ
ｂ，Ｐ，Ｓｉ，Ｂ）を添加することで、さらに深絞り成
形性が向上する。
点を解決するために、種々の化学成分を有するＦｅ−Ｃ
ｒ−Ｎｉ系合金の深絞り成形性について調査を行ない、
Ｃ量を通常のＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ合金のレベルより減少さ
せると深絞り成形性が著しく向上することを発見した。
その機構は、必ずしも明らかではないが、Ｃ量を減少さ
せると深絞り加工に有利な集合組織が発達すること、お
よび加工により変態したマルテンサイト部分の延性が向
上することと関係していると考えられる。また、Ｃを低
減すると同時にＳ，Ｏを低減すると、おそらく鋼の延性
が向上することにより、深絞り成形性が著しく向上する
ことを発見して本発明に至った。このようなＦｅ−Ｃｒ
−Ｎｉ合金については、さらに固溶Ｃ量を低減させるＴ
ｉ群（Ｔｉ，Ｎｂ，Ｖ，Ｚｒ，Ｔａ，Ｍｏ，Ｗ）、延性
時のマルテンサイト変態を抑制して焼鈍時に変態しオー
ステナイトの集合組成がランダムになることを抑制する
Ｎ群（Ｎ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｃｕ，Ｃｏ）、および、強度を
向上させて加工硬化率を向上させるＳｎ群（Ｓｎ，Ｓ
ｂ，Ｐ，Ｓｉ，Ｂ）を添加することで、さらに深絞り成
形性が向上する。
【０００５】すなわち、本発明は、Ｃｒ：１５〜５０ｗ
ｔ％， Ｎｉ：６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐ
ｐｍ以下， Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０
ｐｐｍ以下含有し、残部はＦｅおよび不可避的不純物よ
りなる深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を
提供するものである。
ｔ％， Ｎｉ：６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐ
ｐｍ以下， Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０
ｐｐｍ以下含有し、残部はＦｅおよび不可避的不純物よ
りなる深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を
提供するものである。
【０００６】さらに、本発明は上記成分に加え、さらに
下記の（Ｉ）、（II）および（III)の三グループから選
択された少なくとも一つのグループを含有する深絞り性
に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を提供するものであ
る。 （Ｉ）Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％，
Ｚｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．
０ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種（以下、Ｔｉ群という）。 （II）Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１
〜２０ｗｔ％Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群から選択された少なくとも一種（以下、
Ｎ群という）。 （III)Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ，
Ｓｉ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＢ：３〜１００ｐ
ｐｍよりなる群より選択された少なくとも一種（以下、
Ｓｎ群という）。
下記の（Ｉ）、（II）および（III)の三グループから選
択された少なくとも一つのグループを含有する深絞り性
に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を提供するものであ
る。 （Ｉ）Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％，
Ｚｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．
０ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種（以下、Ｔｉ群という）。 （II）Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１
〜２０ｗｔ％Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群から選択された少なくとも一種（以下、
Ｎ群という）。 （III)Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ，
Ｓｉ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＢ：３〜１００ｐ
ｐｍよりなる群より選択された少なくとも一種（以下、
Ｓｎ群という）。
【０００７】以下に本発明をさらに詳細に説明する。上
述したように、本発明は、Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％，
Ｎｉ：６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以
下， Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ
以下含有し、残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる
深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金に関し、
さらには上記成分に加えて、さらに下記の（Ｉ）、（I
I）および（III)の三グループから選択された少なくと
も一つを含有する深絞り性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系
合金に関する。下記の（Ｉ）〜（III)グループの元素の
添加によりさらに深絞り性を向上させることができる。 （Ｉ）Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％，
Ｚｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．
０ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種（以下、Ｔｉ群という）。 （II）Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１
〜２０ｗｔ％Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群から選択された少なくとも一種（以下、
Ｎ群という）。 （III)Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ，
Ｓｉ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＢ：３〜１００ｐ
ｐｍよりなる群より選択された少なくとも一種（以下、
Ｓｎ群という）。
述したように、本発明は、Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％，
Ｎｉ：６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以
下， Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ
以下含有し、残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる
深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金に関し、
さらには上記成分に加えて、さらに下記の（Ｉ）、（I
I）および（III)の三グループから選択された少なくと
も一つを含有する深絞り性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系
合金に関する。下記の（Ｉ）〜（III)グループの元素の
添加によりさらに深絞り性を向上させることができる。 （Ｉ）Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％，
Ｚｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．
０ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種（以下、Ｔｉ群という）。 （II）Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１
〜２０ｗｔ％Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群から選択された少なくとも一種（以下、
Ｎ群という）。 （III)Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０
１〜１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ，
Ｓｉ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＢ：３〜１００ｐ
ｐｍよりなる群より選択された少なくとも一種（以下、
Ｓｎ群という）。
【０００８】以下に本発明の数値限定理由を述べる。
【０００９】〔Ｃ〕図１に、実施例で述べる試験方法で
評価したＳＵＳ３０４の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響
を示す。Ｃ量が減少していくと、１００ｐｐｍまでは限
界絞り比が低下する傾向にあるが、Ｃ量がさらに低下し
１５ｐｐｍ以下になると限界絞り比が著しく向上するこ
とを見い出した。その機構は必ずしも明らかではない
が、１００ｐｐｍまではＣ量が下がると加工に伴うマル
テンサイト変態が生じ易くなるために、フランジ部分の
加工硬化が大となり限界絞り比が低下するのに対し、さ
らにＣ量が下がった場合は同様にマルテンサイト変態は
生じるものの、マルテンサイト自身の強度が低下して、
また、マルテンサイトの分布が変化するために、全体と
しては加工硬化が抑制されること、および変形の多くを
受け持つオーステナイト相で深絞り加工に有利な集合組
成が発達して限界絞り比が向上したと考えられる。
評価したＳＵＳ３０４の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響
を示す。Ｃ量が減少していくと、１００ｐｐｍまでは限
界絞り比が低下する傾向にあるが、Ｃ量がさらに低下し
１５ｐｐｍ以下になると限界絞り比が著しく向上するこ
とを見い出した。その機構は必ずしも明らかではない
が、１００ｐｐｍまではＣ量が下がると加工に伴うマル
テンサイト変態が生じ易くなるために、フランジ部分の
加工硬化が大となり限界絞り比が低下するのに対し、さ
らにＣ量が下がった場合は同様にマルテンサイト変態は
生じるものの、マルテンサイト自身の強度が低下して、
また、マルテンサイトの分布が変化するために、全体と
しては加工硬化が抑制されること、および変形の多くを
受け持つオーステナイト相で深絞り加工に有利な集合組
成が発達して限界絞り比が向上したと考えられる。
【００１０】図２に、実施例で述べる試験方法で評価し
たＳＵＳ３１６の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響を示
す。Ｃ量が減少していくと、３０ｐｐｍまでは限界絞り
比がほとんど変化しないが、１５ｐｐｍ以下になると著
しく向上することが分かる。以上のことから、本発明で
は、Ｃ量：１５ｐｐｍ以下を請求範囲とした。
たＳＵＳ３１６の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響を示
す。Ｃ量が減少していくと、３０ｐｐｍまでは限界絞り
比がほとんど変化しないが、１５ｐｐｍ以下になると著
しく向上することが分かる。以上のことから、本発明で
は、Ｃ量：１５ｐｐｍ以下を請求範囲とした。
【００１１】〔Ｓ〕図３に、実施例で述べる試験方法で
評価したＳＵＳ３０４の限界絞り比に及ぼすＳ量の影響
を示す。Ｓ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限界
絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化しな
くなることが分かる。図４に、実施例で述べる試験方法
で評価したＳＵＳ３１６の限界絞り比に及ぼすＳ量の影
響を示す。Ｓ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限
界絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化し
なくなることが分かる。以上のことから、本発明では、
Ｓ量：５０ｐｐｍ以下を請求範囲とした。
評価したＳＵＳ３０４の限界絞り比に及ぼすＳ量の影響
を示す。Ｓ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限界
絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化しな
くなることが分かる。図４に、実施例で述べる試験方法
で評価したＳＵＳ３１６の限界絞り比に及ぼすＳ量の影
響を示す。Ｓ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限
界絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化し
なくなることが分かる。以上のことから、本発明では、
Ｓ量：５０ｐｐｍ以下を請求範囲とした。
【００１２】〔Ｏ〕図５に、実施例で述べる試験方法で
評価したＳＵＳ３０４の限界絞り比に及ぼすＯ量の影響
を示す。Ｏ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限界
絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化しな
くなることが分かる。図６に、実施例で述べる試験方法
で評価したＳＵＳ３１６の限界絞り比に及ぼすＯ量の影
響を示す。Ｏ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限
界絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化し
なくなることが分かる。以上のことから、本発明では、
Ｏ量：５０ｐｐｍを請求範囲とした。
評価したＳＵＳ３０４の限界絞り比に及ぼすＯ量の影響
を示す。Ｏ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限界
絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化しな
くなることが分かる。図６に、実施例で述べる試験方法
で評価したＳＵＳ３１６の限界絞り比に及ぼすＯ量の影
響を示す。Ｏ量が減少していくと、５０ｐｐｍまでは限
界絞り比が向上し、５０ｐｐｍ以下ではほとんど変化し
なくなることが分かる。以上のことから、本発明では、
Ｏ量：５０ｐｐｍを請求範囲とした。
【００１３】〔Ｔｉ，Ｎｂ，Ｖ，Ｚｒ，Ｔａ，Ｍｏ，
Ｗ〕これらの元素は、Ｃを固定し、固溶Ｃ量を減少させ
て深絞りに有利な集合組成を発達させる元素であるが、
過剰に添加すると鋼が脆くなるので、本発明では、Ｔ
ｉ：０．０１〜１．０％、Ｎｂ：０．０１〜１．０％、
Ｖ：０．０１〜１．０％、Ｚｒ：０．０１〜１．０％、
Ｔａ：０．０１〜１．０％、Ｍｏ：０．１〜５．０％、
Ｗ：０．１〜５．０％のいずれか一種または二種以上を
請求範囲とした。
Ｗ〕これらの元素は、Ｃを固定し、固溶Ｃ量を減少させ
て深絞りに有利な集合組成を発達させる元素であるが、
過剰に添加すると鋼が脆くなるので、本発明では、Ｔ
ｉ：０．０１〜１．０％、Ｎｂ：０．０１〜１．０％、
Ｖ：０．０１〜１．０％、Ｚｒ：０．０１〜１．０％、
Ｔａ：０．０１〜１．０％、Ｍｏ：０．１〜５．０％、
Ｗ：０．１〜５．０％のいずれか一種または二種以上を
請求範囲とした。
【００１４】〔Ｎ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｃｕ，Ｃｏ〕これらの
元素は、冷延時のマルテンサイト変態を抑制して焼鈍時
に変態しオーステナイトの集合組成がランダムになるこ
とを抑制する元素であるが、過剰に添加しても、それぞ
れの効果が飽和してしまうので、本発明では、Ｎ：２０
０〜２０００ｐｐｍ、Ｍｎ：０．０１〜２０％、Ａｌ：
０．０１〜５．０％、Ｃｕ：０．１〜５．０％、Ｃｏ：
０．１〜５．０％のいずれか一種または二種以上を請求
範囲とした。
元素は、冷延時のマルテンサイト変態を抑制して焼鈍時
に変態しオーステナイトの集合組成がランダムになるこ
とを抑制する元素であるが、過剰に添加しても、それぞ
れの効果が飽和してしまうので、本発明では、Ｎ：２０
０〜２０００ｐｐｍ、Ｍｎ：０．０１〜２０％、Ａｌ：
０．０１〜５．０％、Ｃｕ：０．１〜５．０％、Ｃｏ：
０．１〜５．０％のいずれか一種または二種以上を請求
範囲とした。
【００１５】〔Ｓｎ，Ｓｂ，Ｐ，Ｓｉ，Ｂ〕これらの元
素は、合金の強度を向上させて、深絞り成形性を向上さ
せる元素であるが、過剰に添加すると鋼が脆くなるの
で、本発明では、Ｓｎ：０．０１〜１．０％、Ｓｂ：
０．０１〜１．０％、Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ、Ｓ
ｉ：０．１〜５．０％、Ｂ：３〜１００ｐｐｍのいずれ
か一種または二種以上を請求範囲とした。
素は、合金の強度を向上させて、深絞り成形性を向上さ
せる元素であるが、過剰に添加すると鋼が脆くなるの
で、本発明では、Ｓｎ：０．０１〜１．０％、Ｓｂ：
０．０１〜１．０％、Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ、Ｓ
ｉ：０．１〜５．０％、Ｂ：３〜１００ｐｐｍのいずれ
か一種または二種以上を請求範囲とした。
【００１６】このような超高純度のＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系
合金は、原料として高純度電解鉄と電解Ｃｒと電解Ｎｉ
を所定量用いることで製造される。いずれの原料も主た
る不純物は酸素であり、この酸素を除去するために１０
-7torrよりも高い超高真空下で溶解、鋳造することによ
り本発明の超高純度Ｆｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を製造する
ことができる。
合金は、原料として高純度電解鉄と電解Ｃｒと電解Ｎｉ
を所定量用いることで製造される。いずれの原料も主た
る不純物は酸素であり、この酸素を除去するために１０
-7torrよりも高い超高真空下で溶解、鋳造することによ
り本発明の超高純度Ｆｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金を製造する
ことができる。
【００１７】また、本発明は、熱延焼鈍板、冷延焼鈍板
のいずれで用いられても十分な効果が生じ、また、冷延
焼鈍板においては、その表面仕上ダル、ブライト、光輝
焼鈍、ヘアライン、研磨、鏡面等のいずれを採用しても
かまわない。なお、本発明はオーステナイト相の加工性
を向上させることが目的であり、オーステナイト相が体
積割合で５０〜１００％であるＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金
を対象とするときに著効がある。
のいずれで用いられても十分な効果が生じ、また、冷延
焼鈍板においては、その表面仕上ダル、ブライト、光輝
焼鈍、ヘアライン、研磨、鏡面等のいずれを採用しても
かまわない。なお、本発明はオーステナイト相の加工性
を向上させることが目的であり、オーステナイト相が体
積割合で５０〜１００％であるＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金
を対象とするときに著効がある。
【００１８】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を具体的に説明
する。 （実施例）表１に示す化学成分を有する合金１０ｋｇを
真空溶解炉で溶製し、鋳造し、熱間圧延により板厚４ｍ
ｍの圧延板とし、再結晶を目的とした熱延板焼鈍を施
し、機械的方法によって脱スケールし、冷間圧延により
板厚０．８ｍｍの冷延板とし、アンモニア分解ガス中で
９５０℃の再結晶焼鈍を施して冷延焼鈍板を作製した。
する。 （実施例）表１に示す化学成分を有する合金１０ｋｇを
真空溶解炉で溶製し、鋳造し、熱間圧延により板厚４ｍ
ｍの圧延板とし、再結晶を目的とした熱延板焼鈍を施
し、機械的方法によって脱スケールし、冷間圧延により
板厚０．８ｍｍの冷延板とし、アンモニア分解ガス中で
９５０℃の再結晶焼鈍を施して冷延焼鈍板を作製した。
【００１９】表１に併せて前述の方法で得られた冷延焼
鈍板について、シワ押さえ力：１０００ｋｇｆ、ポン
チ：３２ｍｍφ円筒、潤滑：牛脂、絞り速度（ポンチ速
度）：１０mm/secの条件で Swift深絞り試験を行なった
結果を示す。本発明の範囲に含まれる（１）〜（３７）
は、限界絞り比が２．０以上で深絞り成形性が良好であ
るのに対し、Ｃ量が１５ｐｐｍを越える（３８）〜（４
３）、Ｓ量が５０ｐｐｍを越える（４４）〜（４８）、
Ｏ量が５０ｐｐｍを越える（４９）〜（５３）は、限界
絞り比が２．０未満で深絞り成形性が良好でない。
鈍板について、シワ押さえ力：１０００ｋｇｆ、ポン
チ：３２ｍｍφ円筒、潤滑：牛脂、絞り速度（ポンチ速
度）：１０mm/secの条件で Swift深絞り試験を行なった
結果を示す。本発明の範囲に含まれる（１）〜（３７）
は、限界絞り比が２．０以上で深絞り成形性が良好であ
るのに対し、Ｃ量が１５ｐｐｍを越える（３８）〜（４
３）、Ｓ量が５０ｐｐｍを越える（４４）〜（４８）、
Ｏ量が５０ｐｐｍを越える（４９）〜（５３）は、限界
絞り比が２．０未満で深絞り成形性が良好でない。
【００２０】
【表１】
【００２１】
【表２】
【００２２】
【表３】
【００２３】
【表４】
【００２４】
【発明の効果】本発明のＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金は、Ｃ
量を低下させることにより、深絞り成形に適切な集合組
成を生じ、また、その加工誘起マルテンサイトの延性が
向上するので、深絞り成形性に優れる。また、Ｃ量を低
下させているので、耐食性に優れるという特徴も有す
る。
量を低下させることにより、深絞り成形に適切な集合組
成を生じ、また、その加工誘起マルテンサイトの延性が
向上するので、深絞り成形性に優れる。また、Ｃ量を低
下させているので、耐食性に優れるという特徴も有す
る。
【図１】 実施例で述べた試験方法で評価したＳＵＳ３
０４の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響を示す図である。
０４の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響を示す図である。
【図２】 実施例で述べた試験方法で評価したＳＵＳ３
１６の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響を示す図である。
１６の限界絞り比に及ぼすＣ量の影響を示す図である。
【図３】 実施例で述べた試験方法で評価したＳＵＳ３
０４の限界絞り比に及ぼすＳ量の影響を示す図である。
０４の限界絞り比に及ぼすＳ量の影響を示す図である。
【図４】 実施例で述べた試験方法で評価したＳＵＳ３
１６の限界絞り比に及ぼすＳ量の影響を示す図である。
１６の限界絞り比に及ぼすＳ量の影響を示す図である。
【図５】 実施例で述べた試験方法で評価したＳＵＳ３
０４の限界絞り比に及ぼすＯ量の影響を示す図である。
０４の限界絞り比に及ぼすＯ量の影響を示す図である。
【図６】 実施例で述べた試験方法で評価したＳＵＳ３
１６の限界絞り比に及ぼすＯ量の影響を示す図である。
１６の限界絞り比に及ぼすＯ量の影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福 田 國 夫 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 佐 藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 冨 樫 房 夫 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内
Claims (8)
- 【請求項１】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、残
部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる深絞り成形性に
優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。 - 【請求項２】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さ
らに、 Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｚ
ｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．０
ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種を含有し、残部はＦｅおよび不可避的不純物よ
りなる深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。 - 【請求項３】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さ
らに、 Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１〜
２０ｗｔ％Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群から選択された少なくとも一種を含有
し、残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる深絞り成
形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。 - 【請求項４】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さ
らに、 Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｓ
ｉ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＢ：３〜１００ｐｐ
ｍよりなる群より選択された少なくとも一種を含有し、
残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる深絞り成形性
に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。 - 【請求項５】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さ
らに、 Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｚ
ｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．０
ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種を含有し、かつ、 Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１〜２
０ｗｔ％，Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群より選択された少なくとも一種を含有
し、残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる深絞り成
形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。 - 【請求項６】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さ
らに、 Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｚ
ｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．０
ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種を含有し、かつ、 Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｓ
ｉ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＢ：３〜１００ｐｐ
ｍよりなる群より選択された少なくとも一種を含有し、
残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる深絞り成形性
に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。 - 【請求項７】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さ
らに、 Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１〜
２０ｗｔ％Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群から選択された少なくとも一種を含有
し、かつ、 Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｓ
ｉ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＢ：３〜１００ｐｐ
ｍよりなる群より選択された少なくとも一種を含有し、
残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる深絞り成形性
に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。 - 【請求項８】Ｃｒ：１５〜５０ｗｔ％， Ｎｉ：
６．１〜５０ｗｔ％，Ｃ：１５ｐｐｍ以下，
Ｓ：５０ｐｐｍ以下，Ｏ：５０ｐｐｍ以下含有し、さ
らに、 Ｔｉ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｎｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｖ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｚ
ｒ：０．０１〜１．０ｗｔ％，Ｔａ：０．０１〜１．０
ｗｔ％， Ｍｏ：０．１〜５．０ｗｔ％、およびＷ：
０．１〜５．０ｗｔ％よりなる群より選択された少なく
とも一種を含有し、かつ、 Ｎ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｍｎ：０．０１〜２
０ｗｔ％，Ａｌ：０．０１〜５．０ｗｔ％， Ｃｕ：
０．１〜５．０ｗｔ％、およびＣｏ：０．１〜５．０ｗ
ｔ％よりなる群より選択された少なくとも一種を含有
し、かつ、 Ｓｎ：０．０１〜１．０ｗｔ％， Ｓｂ：０．０１〜
１．０ｗｔ％，Ｐ：２００〜２０００ｐｐｍ， Ｓ
ｉ：０．１〜５．０ｗｔ％，およびＢ：３〜１００ｐｐ
ｍよりなる群より選択された少なくとも一種を含有し、
残部はＦｅおよび不可避的不純物よりなる深絞り成形性
に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金。
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|---|---|---|---|
| JP26208493A JP3236713B2 (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26208493A JP3236713B2 (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 深絞り成形性に優れたＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ系合金 |
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