JPH07115897B2 - コンクリートの劣化抑制用セメント混和剤 - Google Patents
コンクリートの劣化抑制用セメント混和剤Info
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Description
リ金属イオンによるアルカリ骨材反応及び塩化物イオン
による鉄筋腐食を抑制してコンクリート構造物の劣化等
を抑制するためセメントに添加されるセメント混和剤に
係るものである。さらに言えば、無機質陽イオン交換体
と無機質陰イオン交換体とを有効成分として含むセメン
ト混和剤に関するものである。
た機能性と大量生産に裏付けされた安価な素材の故に、
我々の生活環境を構成する欠くべからざるものとなって
いる。しかしながら、一般に恒久的なものとされていた
このコンクリート構造物も内外の各種要因に依拠する劣
化現象が生じ、しばしば社会問題となっている。
も、とりわけ、塩害とアルカリ骨材反応が重大である。
これらにおいて、塩害とは塩化物イオンによるコンクリ
ート構造物中の鉄筋の腐食劣化である。
山砂の資源的枯渇による海砂の使用、塩化カルシウム系
混和剤の大量使用などに起因するところが大きいと言わ
れている。他方、このような原料事情によって、塩化物
イオンがコンクリート中へ混入する内的要因のほかに、
積極的にかつ多量に侵入する場合として、例えば海水飛
沫の付着や道路凍結の防止や融雪のために塩化カルシウ
ム溶液を散布する等外的要因がある。
処する方法として亜硝酸カルシウムの如き防錆剤を使用
するとか、構造物を被覆したり、劣化後の補修など対処
療法的な処理が採られているにすぎない。もっとも、海
砂をよく洗浄したものを使用するなど、原料中に混入す
る塩化物イオンを極力避けることが望ましいが、これに
は限度があり、また、経済的でない場合も多い。
ト中に存在するアルカリ金属イオンと骨材中の反応性鉱
物との反応を言うが、この反応生成物がコンクリートの
内部にあって膨張を引き起し、ひびわれ、そり、剥離等
の現象を示し、結果としてコンクリートを劣化させるも
のである。
法として、次のような対応が挙げられている: 反応性の高い骨材を使用しない; アルカリ含有量の低いセメントを使用する; 高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフュームなどの
ポラゾン効果のある混和剤を添加する; アルミニウム、亜鉛等の塩類を添加する; ゼオライト、粘土鉱物等の珪酸塩を添加する; 水分を遮断するための防水工事を施工する。
ルカリ骨材反応を抑制させる試みにつき、これまで幾つ
かの提案がなされている。例えば、 a)ゼオライトを含む緑色凝灰岩や粘土鉱物を焼成し、
付着水及び結晶水を除いて活性化させた粉末及び顆粒を
1〜20重量%コンクリートに混和させる方法(特開昭6
2−21739号公報、特開昭63−117939号公報、特開昭63−
117940号公報); b)カルシウムイオンまたはリチウムイオンを負荷させ
たクリノプチロライトの如き天然ゼオライトをコンクリ
ートに添加させる方法(特開昭63−274644号公報)、など
がある。
価金属複合水酸化物の一種で、Ca−Al系複合水酸化
物の形をとる層状結晶性化合物であり、陰イオン交換性
のあることが知られている。このような化合物と同じカ
テゴリーに属するものとしてはMg−Al系複合水酸化
物であるハイドロタルサイトがあり、樹脂添加剤として
使用されている。
のに限らず、代表的無機質陽イオン交換体として周知で
あり、加えて選択的吸着作用もあって、洗剤ビルダー、
触媒、合成樹脂添加剤等の種々の分野で使用されてい
る。
ルカリ金属イオンの捕集機能は当然有するものである
が、コンクリート劣化防止の目的のために効果的なアル
カリ金属イオン捕集剤としてのゼオライトについては意
外にも実用性のあるものは余り開発されてはいない。
造物の各種要因に依拠する劣化防止や抑制あるいは劣化
後の修復は緊急かつ欠くべからざるものとなっている
が、まだ決定的といえるような対策は確立されていな
い。例えば、塩化物イオンを除去または封じ込めること
が必要であるが、技術的に可能であっても、多くの場
合、経済的に成り立たないことによる。
究したところ、ある種の無機質陽イオン交換体と陰イオ
ン交換体との配合物がコンクリート構造物の鉄筋腐食す
なわち塩害に対し著しい抵抗性があることを知見し、本
発明を完成した。
劣化防止または修復に有用なセメント混和剤を提供する
ことを目的とするものである。
るコンクリートの劣化抑制用セメント混和剤は無機質の
陽イオン交換体及び陰イオン交換体を有効成分とするこ
とを構成上の特徴としている。
は、コンクリート中のアルカリ金属イオンとイオン交換
または吸着担持する機能をもったものである。代表的な
ものとしては、例えば天然または合成ゼオライトのカル
シウムまたは亜鉛置換体がある。本発明では、カルシウ
ム置換合成ゼオライト中の残留ナトリウムが無水換算で
Na2Oとして2.0重量%以下であり、かつ該ゼオライ
トの1重量%水性スラリーの平衡pHが25℃において
7.5〜9.0の範囲にある高カルシウム置換合成ゼオラ
イトが特に好ましい。合成ゼオライトとしてはゼオライ
トAやゼオライトXまたはそれらの混合物が工業的に望
ましい。
カリ骨材反応を抑制する機能を有する。それ自体が当然
のことながらアルカリ金属イオンを極力含まないもので
なければならない。置換ゼオライトはコンクリート中の
アルカリ金属イオンをイオン交換反応により捕集する
が、平衡反応であるために、逆にカルシウムイオンを捕
集してナトリウムイオンやカリウムイオンを放出するよ
うなものであってはならない。
を行った結果、アルカリ金属イオン捕集機能としては、
前記の物性をもつ高カルシウム置換ゼオライトが特に優
れている。
は、10μm以上は含まない微粉末がよい。この理由
は、イオン交換反応が速やかに行われると同時にコンク
リート内での分散性がより改善されることによる。な
お、粒子形状は特に限定はない。
ン交換体とは、コンクリート中の塩化物イオンをイオン
交換または吸着担持する機能をもっているものである。
無機質陰イオン交換体としては、例えばハイドロカルマ
イト、ハイドロタルサイト、ハイドロオキシアパタイト
などが挙げられる。これらのうち、次の一般式:3Ca
O・Al2O3・CaX2/m・nH2O(式中、Xは1価ま
たは2価の陰イオン、mは陰イオンの価数、n≦20を
表す)で示されるセメント成分と類似のハイドロカルマ
イトが特に好ましい。
って多様であるが、Ca/Alのモル比はほぼ2であ
り、結晶水の量を示すnは多くの場合、15までである
が、本発明では20まで含みうる。
O2 -、OH-、CH3COO-、CO3 2-、SO4 2-が代表
的であるが、本発明では特にNO3 -、NO2 -またはOH
-の1価陰イオンが好ましく、それらは1種または2種
以上であっても差し支えない。従って、本発明では、こ
れらを硝酸型ハイドロカルマイト、亜硝酸型ハイドロカ
ルマイトまたは水酸型ハイドロカルマイトと称すること
にする。
結晶性化合物で、X線回折により容易に同定でき、結晶
水は300℃程度の温度域で脱水する。
記した硝酸型、亜硝酸型または水酸型のハイドロカルマ
イトは、塩化物イオンと接触すると陰イオン交換してN
O3 -、NO2 -、OH-を遊離し、Cl-を捕集する作用に
著しく優れている。
ト中であっても同様であり、捕集されたCl-は遊離C
l-と異なってハイドロカルマイト中に担持され、いわ
ば不活性となるため鉄筋腐食の誘発を阻止する消極的防
錆作用のみならず、NO2 -等の陰イオンが鉄筋の防錆に
積極的な作用を示す。
セメント粒子の粉末度以下、好ましくは平均粒子径が1
0μm以下の微粉末であるものがよく、陽イオン交換体
と同程度のものがよい。
イオン交換体と陰イオン交換体との配合割合は、それら
の物性やセメント組成またはコンクリートの実情に応じ
て適宜設定すべきで、特に限定する必要はない。
劣化を多機能をもって阻止する上で不可欠であり、多く
の場合、0.1:0.9〜0.9:0.1の割合すなわちい
ずれかのイオン交換体が少なくとも1割以上配合された
ものであると言うことができる。
は無機質の陽イオン交換体及び陰イオン交換体を有効成
分とするものであるが、必要に応じて他のセメント混和
剤、例えば分散剤、減水剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、
結露防止剤、有機ポリマーなどの結合剤、短繊維などの
補強材、防錆材、防錆顔料、着色剤、撥水剤または骨材
などの1種または2種以上を適宜配合することができ
る。
ンクリート構造物の劣化の防止または抑制の目的で使用
するものであるが、コンクリートの強度も向上させるも
のでもあるため、その使用の態様は多様である。例え
ば、次のようなことが代表的に挙げられる: セメント組成物中に当初から単独または他の添加剤と
共に配合せしめて事前にコンクリートの劣化を抑制す
る; 塩害により鉄筋の腐食が懸念されるコンクリート躯体
内に単独または他の添加剤と共に腐食劣化を防止するた
め注入材として用いる; 塩害により劣化して表面剥離したコンクリート躯体に
対し、単独または他の添加剤と共に断面修復材あるいは
表面修復材として用いる。
ン交換体と陰イオン交換体を有効成分として構成されて
いるものであるため、これをセメントに使用すると、コ
ンクリート中のアルカリ金属イオン及び塩化物イオンを
イオン交換反応により容易に捕集、担持して不活性にす
ることができるので、コンクリートのアルカリ骨材反応
や鉄筋の腐食を抑制させる。
陰イオン、特に、NO2 -は鉄筋の腐食を積極的に抑制ま
たは阻止する作用がある。
セメントに対する多機能性の故にアルカリ骨材反応及び
塩害によるコンクリートの劣化を効果的に防止または抑
制する作用を有する。
P:日本化学工業株式会社製](Na2O:17.0重量
%、Al2O3:27.7重量%、SiO2:32.9重量
%、H2O:22.5重量%)20kgを60℃に保温し
た0.1規定の塩化カルシウム水溶液100リットルに
入れ、撹拌しながら2時間イオン交換を行った。反応終
了後すみやかにブフナーロートで濾別し、濾過ケーキ全
量を再度60℃に保温した0.1規定塩化カルシウム水
溶液100リットルに加え2回目のイオン交換反応を行
った。濾過終了後、濾過ケーキに100リットルのイオ
ン交換水を加え、リパルプ洗浄と濾過を同様に3回繰り
返し行った。洗浄後の濾過ケーキは80℃で十分乾燥し
た後粉砕した。
量%、CaO:15.61重量%、Al2O3:27.71
重量%、SiO2:33.59重量%、H2O:21.50
重量%、Cl:0.05重量%であった。
調製 硝酸型ハイドロカルマイト(試料B−1) Ca(NO3)2・4H2O57kgを水60kgで溶解
し、硝酸カルシウム溶液(A液)を調製する。
1.1重量%のアルミン酸ナトリウム溶液23.4kgに
液体NaOH液(48%)10.2kg及び水293.3k
gを混合したアルミン酸ナトリウム溶液(B液)を調製す
る。
液を定量ポンプを介して送液し、添加した。次いで、5
0℃に加温して4時間反応を続け、ゲルを結晶化させ
た。なお、原料出発物質のモル組成はCaO/Al2O3
=4、Na2O/NO3 -=0.30であった。
0℃で20時間乾燥させた。乾燥後、150メッシュま
で粉砕した(これを試料B−1とする)。
ペクトル測定、TG−DTA測定及び化学組成の分析に
より硝酸型ハイドロカルマイト[3CaO・Al2O3・
Ca(NO3)2・11H2O]であることが認められた。
0ml、アルミン酸ナトリウム(Na2O:21.9重量
%、Al2O3:15.0重量%)液0.68kg及び水2
kgを加えて50℃で8時間撹拌下で反応させた。次い
で、前記ハイドロカルマイトの合成法と同様な後処理を
施して試料粉末を得た(これを試料B−2とする)。
晶度の高い硝酸型ハイドロカルマイト[3CaO・Al
2O3・Ca(NO3)2・11H2O]であることが認めら
れた。
3) 30重量%の亜硝酸カルシウム溶液1.76kgに前記
と同じアルミン酸ナトリウム液0.68kg及び水4k
gを加え、50℃で4時間撹拌下で反応させた。次い
で、同様の後処理を施して試料粉末を得た(これを試料
B−3とする)。
硝酸型ハイドロカルマイト[3CaO・Al2O3・Ca
(NO2)2・11H2O]であることが認められた。
(試料B−4) 8.08重量%消石灰スラリー184gに30重量%の
亜硝酸カルシウム液88gと濃硝酸11ml及び水20
0mlを加える。次いで、このスラリーに前記と同じア
ルミン酸ナトリウム液68gを50℃で添加、4時間撹
拌下で反応させた。次いで、同様の後処理を施して試料
粉末を得た(これを試料B−4とする)。
酸と亜硝酸との混合型ハイドロカルマイト[3CaO・
Al2O3・Ca(NO3,NO2)2・11H2O]であるこ
とが認められた。
(試料B−5) 先に調製した試料B−2の1.0kgを3.0kgの水に
入れスラリー状態とした。次いで、これに亜硝酸ナトリ
ウム(NaNO2、一級試薬)310gを加えて、室温(1
3℃)で8時間陰イオン交換を行った。ブフナーロート
で固液分離した後、再度10kgのイオン交換水に懸濁
させリパルプ洗浄を行った。再度リパルプ洗浄を繰り返
したのち、60℃で48時間乾燥し、粉砕した(この試
料をB−5とする)。
(試料B−6) 陰イオン交換を2回繰り返した以外は試料B−5と同一
の条件で処理した(この試料をB−6とする)。
メント混和剤を調製した。これらのうち、後の鉄筋入り
供試体モルタルの作製に使用した組成物は次の通りであ
る。
ルタル供試体を作製してアルカリ骨材反応及び塩害等の
抑制効果を評価した。その評価法と評価結果は次の通り
である。
ルトランドセメント600g、細骨材[有明産砕石、比
重2.54、吸水率0.8重量%、粗粒率3.19、配合
比(4.75〜2.83mm:2.83〜1.16mm:1.16
〜0.6mm:0.6〜0.3mm=10:25:25:1
5)]1350g及びこれに本発明に係るセメント混和
剤120g(前述の高カルシウム置換A型ゼオライトと
合成ハイドロカルマイト試料の等量混合物:実施例2)
を加えたものを混練機にて30秒間混練する。
NaCl水330gを添加して30秒間混練し、20秒
間休止した後、スプーンで2〜3回かきまぜる。
を型枠(40×40×160mm)に充填し、24時間後脱
型した供試体を20℃±3℃で1日間恒温養生する。
ガス分圧下で炭酸化を促進させた。条件は次の通りであ
る。 炭酸ガス濃度CO2:20体積% 温度 :30℃ 湿度 :40%(相対湿度)R.H. 期間 :28日間 *前処理を施したSS41の鉄筋(φ10×100mm)
を挿入した。
中に28日間静置して、その後更に乾湿の繰り返しを1
週間に2回単位で8週間施した供試体について、外観を
観察し、更に鉄筋の腐食面積・腐食重量等を測定した。
得られた結果を表2に記載する。なお、実施例に基づく
セメント混和剤を含有する供試体は含有しない供試体と
比較して明らかにひび割れは少なかった。
らかなように、本発明に係るコンクリートの劣化抑制用
セメント混和剤はアルカリ骨材反応を抑制し、更に鉄筋
の腐食を抑制してコンクリート構造物の劣化を抑制する
ことができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 無機質の陽イオン交換体及び陰イオン交
換体の混合粉末を有効成分とすることを特徴とするコン
クリートの劣化抑制用セメント混和剤。 - 【請求項2】 無機質陽イオン交換体は、陽イオン置換
率[Ca2+/(Ca2++2Na+)]が0.9以上のカルシウ
ムゼオライトである請求項1記載のコンクリートの劣化
抑制用セメント混和剤。 - 【請求項3】 無機質陰イオン交換体は一般式3CaO
・Al2O3・CaX2/m・nH2O(式中、Xは1価また
は2価の陰イオン、mはその価数、n≦20を表す)で
表されるハイドロカルマイトである請求項1記載のコン
クリートの劣化抑制用セメント混和剤。 - 【請求項4】 無機質陽イオン交換体と陰イオン交換体
の混合比が0.1:0.9〜0.9:0.1である請求項1
記載のコンクリートの劣化抑制用セメント混和剤。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3195359A JPH07115897B2 (ja) | 1991-08-05 | 1991-08-05 | コンクリートの劣化抑制用セメント混和剤 |
US08/199,340 US5435846A (en) | 1991-08-05 | 1994-02-18 | Cement-additive for inhibiting concrete-deterioration |
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Publications (2)
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JPH0543282A JPH0543282A (ja) | 1993-02-23 |
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JP3195359A Expired - Fee Related JPH07115897B2 (ja) | 1991-08-05 | 1991-08-05 | コンクリートの劣化抑制用セメント混和剤 |
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US (1) | US5435846A (ja) |
JP (1) | JPH07115897B2 (ja) |
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