JPH07113286B2 - 駐車場及びリフトのバランス機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は土地を有効利用できる駐
車場に関し、特に駐車スペースに車両を大量かつ順序よ
く出入庫できる駐車場、地上及び地下の駐車場を問わず
利用できる車両の転移手段及び車のリフトのバランス機
構に関する。

【０００２】

【従来の技術】市街地では、車両数が増加し駐車場の確
保が要望されている。地上面を車両空間毎に区切った地
上駐車場では駐車効率が悪いため、地上駐車場を立体化
して複数階数の格納部を設け各格納部に車路を連通させ
た駐車場ビル、或は車両の吊上装置を備え車両を建物空
間内に積載収容するゴンドラ式駐車場等が提供されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】駐車場ビルは車路及び
階段の面積等デッドスペースが多くなり、平面的な効率
が悪い。一方、ゴンドラ式駐車場は敷地面積に対する効
率は向上するが、地上に設置して敷地上空を使用するた
め、地上格納部面が駐車スペースとしてさかれ減少す
る。さらにゴンドラ式の駐車場入口に使用されるターン
テーブルは車両の進行方向を修正するだけで左右方向の
位置を調整することはできなかった。本発明はこれらの
欠点を解決し、地上又は地下に車両を効率よく収容でき
る駐車場及び車両の転移手段及び車のリフトのバランス
機構を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 本発明は上記課題を解
決するためなされたもので、駐車場は、躯体となる筒体
を形成し、該筒体を水平方向に分割する格納部を設けて
駐車スペースを形成する一方、上記筒体の中央部に構成
した昇降路内に配設したリフトと、該リフトに連結した
複数のロープ及びその巻上手段からなる昇降装置を設
け、前記リフト中心部に回転自在に連結された第１の支
持部材と、該第１の支持部材の回転中心から偏心した部
位に回転自在に連結され、前記載荷台がスライド自在に
連結される第２の支持部材と、前記第１の支持部材を回
転駆動する第１の回転駆動手段と、前記第２の支持部材
を回転駆動する第２の回転駆動手段と、前記載荷台をス
ライド動作させるスライド手段とからなる車両の転移手
段を形成した載荷台を設け、前記昇降装置により車両の
載荷台を昇降路内に昇降自在としたことを特徴としてい
る。

【０００５】

【０００６】また、リフトのバランス機構は、相対向す
る支持片を２組設けたリフトの、それぞれの支持片の一
方の下端から複数の方向転換部材を介して方向転換され
対向する支持片の上端まで釣合ロープを掛け渡したこと
を特徴とする。

【０００７】

【作用】駐車場の躯体は、昇降路を中心軸として筒状に
形成したため外圧に対し強固に作用する。強度は筒体内
部の格納部等により更に増強される。車両の出庫入庫は
次のようにして行う。載荷台に車両を載置し、該載荷台
を昇降装置の巻上手段を作動させてロープでリフトを下
降させ任意の格納部位置まで下降させる。下降と同時に
載荷台を転移手段により回転転移させて載置車両の進行
方向を当該格納部中の任意の駐車スペースの入口方向に
一致させる。このとき必要に応じ、転移手段により車両
の前後スライド位置を変更して車両を駐車スペースに移
動させた後、昇降装置を作動させて載荷台を地上に戻
す。あるいは出庫予定の車両の駐車スペースまで載荷台
を移動させ車両を載荷台に載置して地表に戻す。上記の
作業中に車両の転移手段及びリフトのバランス機構を利
用することにより、より安全で迅速な駐車作業が行え
る。

【０００８】

【実施例】図１は本考案の一実施例の拡大平画図、図２
は図１のＩＩ−ＩＩ線断面側面図、図３は概略斜視図、
図４及び図５は転移手段の構成を示す平面図及び正面
図、図６は駐車順序の説明図である。

【０００９】本実施例を概略的に説明する。地下駐車場
は車両５０の転移手段４を形成した載荷台１を設け、こ
の載荷台１を昇降させる昇降装置５を設けている。昇降
装置５によって載荷台１が昇降する空間を昇降路１０と
し、この昇降路１０が中心軸となる筒体１１を地下に構
築している。この筒体１１を地下駐車場の躯体とし、水
平方向階層状に格納部１６を設けて筒体１１内を分割し
車両５０の駐車スペース２０を構成している。上記格納
部１６は、本実施例では、床部を設けずに、柱、梁、ベ
ルトコンベアで構成したが、これに限定されず底面に床
部を設けても良い。

【００１０】上記構成を詳細に説明する。載荷台１は上
面に車両５０を載置できる広さの長方形状に形成する。
前記昇降装置５は、前記昇降路１０内に配設されるリフ
ト１３と、該リフト１３に連結される複数のロープ１４
と、各ロープ１４の巻上手段１７とから構成されてい
る。前記リフト１３は、両側に相対向する１対１組の支
持部としての支持片１３Ａ、１３Ｂを２組設けた略十字
形状に形成され、各支持片１３Ａ、１３Ｂにロープ１４
がそれぞれ連結されている。

【００１１】この場合、ロープ１４は上記リフト１３の
支持片１３Ａ、１３Ｂに一端が連結されて上方向に延
び、方向転換部材２１に掛けられて横方向に方向転換さ
れ、かつ必要に応じて方向転換部材２２に掛けられて巻
上手段１７側へと方向転換される。前記巻上手段１７
は、前記各支持片１３Ａ、１３Ｂに連結されたロープ１
４が巻き掛けられる２つの巻胴２３、２３と、一方の巻
胴２３を回転駆動する電動モータ等の駆動機構２４と、
該巻胴２３から垂下するロープ１４の端部に連結される
バランス用の錘２５とから構成している。

【００１２】したがって、駆動機構２４により巻胴２３
を回転すると、各ロープ１４が牽引あるいは引き戻され
てリフト１３が上下動し、巻胴２３の回転を停止する
と、リフト１３が錘２５とバランスして所定位置に停止
する。

【００１３】前記転移手段４は、リフト１３の中心部に
一端部が回転自在に連結された長尺部材からなる第１の
支持部材２６と、該第１の支持部材２６の回転中心Ａか
ら偏心した部位、すなわち他端部に第２の支持部材２７
に回転自在に連結し、この支持部材２７に前記載荷台１
をスライド自在に連結してなる。さらに、前記第１の支
持部材２６を回転駆動する第１の回転駆動装置２８と、
前記第２の支持部材２７を回転駆動する第２の回転駆動
装置２９と、前記載荷台１をスライド動作させるスライ
ド装置３０とから成る。

【００１４】上記構成の転移手段４の第１の支持部材２
６は、第１の回転駆動装置２８によりＡ点を中心として
時計方向あるいは反時計方向に３６０度回転可能であ
る。また、第２の支持部材２７は、第２の回転軌道装置
２９によりＢ点を中心として回転可能であり、第２の支
持部材２７はスライド装置３０により、前記Ｂ点を基準
として、載荷台１の長手方向に沿う方向に前後スライド
移動可能に構成されている。したがって、載荷台１は、
上記第１の支持部材２６の回転並びに第２の支持部材２
７の回転と前後スライド移動により、昇降路１０の中心
位置ａから両端位置ｂあるいはｃに転移できるようにな
っている。

【００１５】筒体１１は、図１に示すようにＨ型の鋼矢
板１２を円筒形状に地中に打設して形成する。筒体１１
の形状はこれに限られず、多角形状でもよい。そして隣
接する鋼矢板１２、１２との間に生ずる空間部に止水兼
用のコンクリート等を充填し補強する。この鋼矢板１２
は曲げモーメントにも強い。駐車スペース２０は支柱や
梁等の鋼材で仕切って処理することができる。本実施例
では各格納部１６には車の重量に耐えうる鋼材を使用し
た。その他、連壁形式及び鉄筋コンクリートの躯体等で
これらを構築してもよい。

【００１６】 この格納部１６は筒体１１の地上から底
部に向けて階層ごとに組上げて構築する。従って格納部
１６は駐車スペース２０の仕切として作用するほか躯体
の補強材としても作用する。さらに昇降路１０の外周に
支柱１８を立設し、この支柱１８にリフト１３の支持ガ
イド１９を適宜数設けて昇降時にリフト１３が昇降路１
０から偏心するのを防ぐ。支持ガイド１９は図８に示す
ように支柱１８に雄部１９ａを固定し、この雄部１９ａ
と係合する雌部１９ｂを固定して構成する。

【００１７】上記構成の本実施例の作用を説明する。載
荷台１上に車両５０を停車し駆動機構２４により巻胴２
３を回転すると、各ロープ１４が引き戻されてリフト１
３が下降する。巻胴２３の回転を停止するとリフト１３
が所定下降位置に停止する。

【００１８】下降と同時に載荷台１の転移手段４の第１
の回転駆動装置２８及び第２の回転駆動装置２９を作動
させて載荷台１を回転移動させると共に、この回転移動
位置からスライド装置３０を作動させて載荷台１が昇降
路１０内に収まるように前後スライド移動させて、車両
５０のフロントあるいはバックを任意の格納部１６の駐
車スペース２０の入口方向に修正し、載荷台１の上面と
当該格納部１６の上面とを合致させる。

【００１９】次に図６の格納部Ｘに駐車する場合の上記
載荷台１の動作について説明する。図６（Ａ）に示すよ
うに、昇降路１０の中心位置に載荷台１がある場合、第
１の回転駆動装置２８及び第２の回転駆動装置２９を作
動させて載荷台１を同図（Ａ）の状態から同図（Ｂ）の
状態を経て同図（Ｃ）の状態に回転移動させる。その際
同時に、載荷台１が昇降路１０内に収まるように、スラ
イド装置３０を作動し、載荷台１を前記回転移動位置か
ら前後にスライドしてその位置を調整する。また、図９
では載荷台１の移動の他例を示す。この場合、載荷台１
を実線位置からＡ点を中心に矢印方向に回転させて点線
位置まで移動させるが、支持部材２６が点線位置まで移
動したら、次にＢ点を中心に載荷台１を回動させて、Ｌ
１＝Ｌ２を維持しながら格納部Ｘの格納位置に配置す
る。このように、載荷台１の一連の移動動作が昇降路１
０内で行うことができる場合は、回動途中にスライド装
置３０を作動し載荷台１を前後にスライドさせる必要は
ない。

【００２０】以上のようにして載荷台１の位置が決定さ
れたら、昇降装置５と第１及び第２の回転駆動装置２８
及び２９、スライド装置３０の作動を一旦停止し、次に
スライド装置３０を作動して格納部１６に接近させ、車
両５０を格納部１６上に移動させて駐車させる。その
後、昇降装置５を作動させて、空になった載荷台１を再
び地上まで上昇させ、載荷台１を図６（Ａ）の実線で示
す状態にして、次の車両５０を載荷台１上に載置した
後、上記と同様に下降させ、載荷台１を図６（Ｃ）の点
線で示す状態にして、車両５０の格納部Ｘの左方の格納
部Ｙに次の車両５０を駐車させる。

【００２１】また、図６（Ａ）の格納部Ｚに駐車する場
合は、第１の回転駆動装置２８のみを駆動して、載荷台
１を同図の点線で示す位置まで４５度の角度回転移動さ
せれば良い。車両５０のその他の場所への駐車も同様に
して行う。このようにして１個の駐車スペース２０に車
両５０が３台駐車でき、１段の格納部に１２台の車両５
０が駐車できる。

【００２２】また出庫については上記と逆の手順により
可能である。例えば空になった載荷台１を、既に駐車中
の駐車スペース２０の入口に合わせ、駐車中の車両５０
を載荷台上に移動させた後に上昇させて地上に戻す。な
お、これらの一連の作働は全てコンピュータにより制御
することとする。このコンピュータは現在の駐車状況
や、空域駐車スペース２０等を瞬時に判断し、これから
入庫する駐車スペース２０の位置決めを行い、最も合理
的な組合わせに従って載荷台１の昇降及び回転をリアル
タイムで制御し車両５０の入出庫を連続して自動的に行
う。

【００２３】このように、本実施例は地下駐車場の躯体
をＨ型の鋼矢板１２により形成したため土留兼用の永久
構造物となる。また迅速な施工が可能であり、土圧に対
する強度や鉛直力に対しても強く、地上構造物の基礎と
して使用することもできる。そして躯体内に車両５０の
駐車スペース２０を多数形成して、昇降装置５、回転駆
動装置２８、２９及びスライド装置３０によって車両５
０を駐車スペース２０に効率よく収納していくため、地
上及び地下空間を有効に利用できる。特に載荷台１の昇
降装置５と別個に載荷台１を回転移動させかつ前後スラ
イド動作させて転移させることにより、昇降中に車両５
０の位置及び方向を任意に修正でき作動時の時間的損失
を大幅に低減できる上に、大量の車両を駐車できる。

【００２４】しかも、載荷台１をリフト１３に対して回
転自在に設けたため、昇降装置５と個別にかつ同時に作
動できる。したがって全体構造が簡単となり、作動時に
発生する騒音や振動も少なくでき、車両５０の出入を迅
速かつスムーズに行うことができる。

【００２５】 ところで、上記の実施例のように、リフ
ト１３を４本の支柱１８でガイドし、該リフト１３にロ
ープ１４を連結して上下動する場合、リフト１３の荷重
点の偏心あるいはリフト１３巻上動作の関係等により、
リフト１３の水平が保たれなくなる場合が考えられる。
このような場合に、車両５０の格納部への移動に困難を
生じる。そこで、リフト１３の水平を確実に保って車両
５０の格納部への移動に支障を生じないようにするた
め、図７に示すバランス機構を採用することが望まし
い。

【００２６】すなわち、釣合ロープ３７Ａをリフト１３
の一方の支持片１３Ａに一端を連結して下方向に延ばし
第１の方向転換部材３１に掛けて横方向に方向転換させ
る。さらに、釣合ロープ３７Ａを第２の方向転換部材３
２に掛けて上方向に方向転換させ、かつ第３の方向転換
部材３３に掛けて下方向に方向転換させた後、他方の支
持片１３Ｂの上端に連結する。一方、釣合ロープ３７Ｂ
の一端を一方の支持片１３Ｂに連結して下方向に延ばし
第４の方向転換部材３４に掛けて横方向に方向転換さ
せ、かつ第５の方向転換部材３５に掛けて上方向に方向
転換させ、さらに第６の方向転換部材３６に掛けて下方
向に方向転換させた後、再び前記支持片１３Ａの上端に
連結させる。

【００２７】上記のように釣合ロープ３７Ａ、３７Ｂを
設けることにより、リフト１３に偏荷重がかかり一方の
支持片、例えば支持片１３Ａが持ち上がると釣合ロープ
３７Ａの吊り上げられ、この釣合ロープ３７Ａの引張力
が方向転換部材３１、３２、３３を介して釣合ロープ３
７Ａの他端が連結された支持片１３Ｂに伝達され、支持
片１３Ｂが引き上げられリフト１３は水平状態に復帰す
る。一方、支持片１３Ｂが持ち上がったときは、釣合ロ
ープ３７Ｂが上記と同様に作用する。このようにリフト
１３の荷重点の偏心、リフト１３巻上動作の関係等があ
っても、リフト１３の水平が保たれ車両５０の格納部へ
の移動を常時容易に行うことができる。なお、上記実施
例において、第１の支持部材２６は、第１の回転駆動装
置２８により、Ａ点を中心として時計方向あるいは反時
計方向に３６０度回転する構成としたが、時計方向ある
いは反時計方向に１８０度回転する構成でも良い。この
場合、車両５０を頭から載荷台１へと進入させ、頭から
出庫することができる。上記した車両の転移手段及びリ
フトのバランス機構は、本実施例のような地下駐車場だ
けでなく地上に建造した駐車場でも使用できることはい
うまでもない。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、地上及び地下空間の有
効利用が図れる。また構造が簡単で容易に構築できる。
さらに載荷台の昇降と同時に回転及びスライドという転
移を行う手段を安全確実に作動できるため、車両の進行
方向と左右位置を迅速に調整でき、車両の出入庫に要す
る時間を短縮でき、大量の車両を駐車できる。さらには
従来の放射状型式の駐車場よりスペースの割に多くの車
を収納できる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の拡大平面図

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面側面図

【図３】同上実施例の概略斜視図

【図４】同上実施例の転移手段の構成を示す平面図

【図５】同上実施例の転移手段の構成を示す正面図

【図６】駐車順序の説明図

【図７】他の実施例の概略斜視図

【図８】支持ガイドの拡大平面図

【図９】駐車順序の他例の説明図

【符号の説明】

１ 載荷台 ４ 転移手段 ５ 昇降装置 １０ 昇降路 １１ 筒体 １２ Ｈ型の鋼矢板 １３ リフト １４ ロープ １６ 格納部 １７ 巻上手段 ２０ 駐車スペース ５０ 車両

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駐車場の躯体となる筒体を形成し、該筒
   体を水平方向に分割する格納部を設けて駐車スペースを
   形成する一方、上記筒体の中央部に構成した昇降路内に
   配設したリフトと、該リフトに連結した複数のロープ及
   びその巻上手段からなる昇降装置を設け、前記リフト中
   心部に回転自在に連結された第１の支持部材と、該第１
   の支持部材の回転中心から偏心した部位に回転自在に連
   結され、載荷台がスライド自在に連結される第２の支持
   部材と、前記第１の支持部材を回転駆動する第１の回転
   駆動手段と、前記第２の支持部材を回転駆動する第２の
   回転駆動手段と、前記載荷台をスライド動作させるスラ
   イド手段とからなる車両の転移手段を形成した載荷台を
   設け、前記昇降装置により車両の載荷台を昇降路内に昇
   降自在とした駐車場。
2. 【請求項２】 相対向する支持片を２組設けたリフト
   の、それぞれの支持片の一方の下端から複数の方向転換
   部材を介して方向転換され対向する支持片の上端まで釣
   合ロープを掛け渡してなるリフトのバランス機構。