JPH07112128A - ニッケルとコバルトあるいはニッケル、コバルトとアルミニウムの分離のための吸着剤および分離方法 - Google Patents

ニッケルとコバルトあるいはニッケル、コバルトとアルミニウムの分離のための吸着剤および分離方法

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JPH07112128A
JPH07112128A JP20015594A JP20015594A JPH07112128A JP H07112128 A JPH07112128 A JP H07112128A JP 20015594 A JP20015594 A JP 20015594A JP 20015594 A JP20015594 A JP 20015594A JP H07112128 A JPH07112128 A JP H07112128A
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cobalt
nickel
aluminum
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aqueous solution
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JP20015594A
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English (en)
Inventor
Katsutoshi Inoue
勝利 井上
Keisuke Owatari
啓介 大渡
Kazuharu Yoshizuka
和治 吉塚
Takashi Niihara
隆司 新原
Hiromi Tsuyama
弘己 津山
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JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニッケル、コバルトおよびアルミニウムを個
々に選択的に吸着する機能を有する新規吸着剤を開発す
ることおよびそれを用いて前記各金属を低コストで高度
に分離する方法の提供。 【構成】 キトサンの2位の炭素原子に結合したアミノ
基の水素原子の一方を、下記一般式(1)または一般式
(2)で表わされるポリアミノカルボキシル基で置換し
た化学修飾キトサンからなる水溶液からのニッケル、コ
バルトおよびアルミニウムよりなる群から選らばれた1
種または2種以上を吸着分離するための吸着剤。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニッケルとコバルトの
分離・精製技術に関し、さらに詳しくは、ニッケルをコ
バルトよりも選択的に吸着・分離する機能を有する物質
を用いて、ニッケル、コバルトおよびアルミニウムより
なる群から選らばれた1種または2種以上を分離する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コバルトは磁性合金、耐熱耐摩耗合金、
超硬合金、スプリング合金などの特殊鋼や永久磁石、触
媒などのために広く用いられており、またニッケルはス
テンレス鋼、耐熱鋼などの特殊鋼やニッケル銅合金など
の非鉄合金の原料として広く用いられており、今日の先
端産業に欠かすことのできない金属である。近年、先端
技術の進歩に伴い、高純度のニッケルや、高純度のコバ
ルトに対する需要が高まっている。ニッケルとコバルト
の鉱石は共生して採掘されることが多く、このためコバ
ルトの中にはニッケルが、ニッケルの中にはコバルトが
不純物として含まれていることが多い。このため両金属
の高純度化のためには、他の一方を選択的に除去するこ
とにより両者を効率的に高度分離することが必要とな
る。
【0003】現在ニッケルとコバルトの工業的分離は、
溶媒抽出法によって行われている。このうちの一つは、
コバルトは塩化物イオンとの錯形成をするが、ニッケル
は錯形成をしないという性質を利用して、塩酸水溶液中
からトリオクチルアミン等の高分子量アミンを用いてコ
バルトを選択的に抽出する方法である。この方法では腐
食性の強い塩酸を用いるため、抽出装置に腐食を防止す
るための特別な配慮をしなければならないという問題点
がある。他の方法は、商品名PC−88AやCyane
x272などの燐化合物の抽出溶媒を用いてコバルトを
選択的に抽出する方法である。しかし、この方法はコバ
ルトの抽出が起こるpHが3〜4と高いため、このよう
なpHに調整するためには多量のアルカリを加える必要
があり、このためのコスト的な問題がある。
【0004】キレート樹脂を用いた吸着法においては、
現在汎用されているイミノ2酢酸型の樹脂やアミノホス
ホン酸型の樹脂には、比較例において詳しく示すように
両金属に対しての選択・分離性能がないため、標記の目
的を達成することは不可能である。
【0005】溶媒抽出法は大量の試料を連続的に処理す
るのには優れた方法であるが、高純度の金属を製造する
ためには、多数の段数のミキサーセトラーを操業する必
要があり効率的ではない。このような目的には、不純物
として含まれている金属を選択的に除去する機能を有す
る吸着剤を用いたカラム操作が適している。処理する水
溶液としては、装置の腐食の点から塩酸水溶液は適切で
なく、硫酸水溶液が望ましい。硫酸水溶液からニッケル
とコバルトを効率的に分離する吸着剤としては、商品名
PC−88AやCyanex272などのコバルトに対
して高い選択性を有する抽出剤を商品名XAD−7など
の多孔性の樹脂に含浸させたものが注目されている。し
かしながら、このような含浸樹脂では長期間の使用にお
いて、含浸させた抽出試薬が徐々に漏出し、吸着機能が
劣化するという問題点を抱えている。
【0006】一方、前記ニッケルやコバルトは、鉱石中
に共存するという事情だけではなく、これらの金属鉱石
の産地は政情不安定な地域に偏在しておりその安定供給
は必ずしも万全ではない。このため資源の乏しいわが国
においては使用済みの脱硫触媒などの廃棄物中からこれ
らの金属を回収することが望まれる。使用済み触媒にお
いては触媒担体であるアルミニウムや珪素の中にこれら
の金属が少量含まれているため、大量のアルミニウムや
珪素の中からこれらの金属を選択的に分離・回収するこ
と、特にアルミニウムから分離することが重要になる。
【0007】湿式法でこれらの金属を選択的に分離・回
収するためには水溶液中に硫化水素のガスを吹き込むこ
とにより両者を硫化物として選択的に沈殿・分離するこ
とが行われているが、この方法では高価な硫化水素が再
利用できず使い捨てとなる。また回収効率も満足できる
ものではない。これに替わる技術として溶媒抽出法、な
らびにイオン交換・吸着法が考えられるが、この場合に
はアルミニウムよりもこれらとより選択的に反応する抽
出剤、または吸着剤を使用しなければならない。しかし
ながらこれまで知られている通常の抽出剤、吸着剤は2
価の金属であるニッケルやコバルトよりも3価の金属で
あるアルミニウムをより選択的に抽出または吸着するた
めこの目的には適さない。
【0008】
【発明の目的】本発明の第一の目的は、ニッケルとコバ
ルトを個々に選択的に吸着する機能を有する新規吸着剤
を提供する点にある。本発明の第二の目的は、それを用
いて両金属を低コストで高度に分離する方法を提供する
点にある。本発明の第三の目的は、それを用いてアルミ
ニウム含有系よりニッケルとコバルトを選択的に分離回
収する方法を提供する点にある。本発明の第四の目的
は、それを用いてアルミニウム中の微量のニッケルとコ
バルトを選択的に除去することにより高純度のアルミニ
ウムを分離回収する方法を提供する点にある。
【0009】
【問題を解決するための手段】本発明の第一は、キトサ
ンの2位の炭素原子に結合したアミノ基の水素原子の一
方を、下記一般式(1)または一般式(2)で表わされ
るポリアミノカルボキシル基で置換した化学修飾キトサ
ンからなる水溶液からのニッケル、コバルトおよびアル
ミニウムよりなる群から選らばれた1種または2種以上
を吸着分離するための吸着剤に関する。
【化5】 (式中、R1、R2、R3は、炭素数1〜3のn−アルキ
レン基より独立して選ばれた基であり、R4、R5
6、R7は、炭素数1〜4のn−アルキレン基よりなる
群から独立して選ばれた基である。)
【化6】 (式中、R8、R9は炭素数1〜3のn−アルキレン基よ
りなる群から独立して選らばれた基であり、R10
11、R12は炭素数1〜4のn−アルキレン基よりなる
群から独立して選らばれた基である。)
【0010】本発明の第二は、前記吸着剤とニッケルお
よびコバルトを含む水溶液を接触させることを特徴とす
るニッケルおよびコバルトを含む水溶液からニッケルを
吸着分離する方法に関する。
【0011】吸着剤としてのポリアミノカルボキシル基
で置換した化学修飾キトサンと前記水溶液との接触は、
そのpHを1.5以下、とくに1.0以下とすることが
好ましい。この場合、前記水溶液のpHが1.5を上回
るとニッケルと共にコバルトも吸着されるため、分離効
率が悪くなるので好ましくない。
【0012】本発明の第三は、前記吸着剤とアルミニウ
ム、ニツケルおよびコバルトを含む水溶液を接触させる
ことを特徴とするニッケルおよびコバルトとアルミニウ
ムとを分離回収する方法に関する。
【0013】この接触時のpHは、アルミニウムの分離
効率の点から2.0以下、好ましくは1.5以下とする
ことが好ましい。
【0014】吸着剤における前記ポリアミノカルボキシ
ル基は、下式(3)または(4)で表されるものである
ことが好ましい。
【化7】 −COCH2N(CH2COOH)CH2CH2N(CH2COOH) −CH2CH2N(CH2COOH)2……(3) (以下、これをDTPA型キトサンと略記することがあ
る。)
【化8】 −COCH2N(CH2COOH)CH2CH2N(CH2COOH)2……(4) (以下、これをEDTA型キトサンと略記することがあ
る。)
【0015】キトサンの前記ポリアミノカルボキシル基
による置換率は、一般に5%以上、好ましくは10%以
上であることが適切である。置換率が5%を下まわる場
合には、吸着効果が不充分であり、好ましくない。
【0016】本発明の吸着剤は、ポリアミノカルボン酸
の官能基を高分子の母体に化学的に結合させたものであ
り、ニッケルとコバルトならびにアルミニウムに対する
識別・選択能があり、ニッケルとコバルトをアルミニウ
ムから、またはニッケルとコバルトから優先的に分離・
吸着する能力を有する。この吸着剤は、前述のような漏
出の問題がなく、長期間の使用においても吸着能の劣化
がない。また、本吸着剤は、母体の高分子がバイオマス
廃棄物であるエビや蟹の殻から得られるキトサンである
ため安全であり、かつ安価に製造可能である。また、こ
の吸着剤は、そのままでは原料のキトサンと同様な平均
粒径が0.5mm以下の微小な粉体であるが、充填物と
して利用しやすいように粒径が数mm程度の粒子に加工
することも既存の技術により容易に達成できる。さらに
本吸着剤ではpHが2〜3以下の低いpHの領域からで
もニッケルとコバルトの吸着が起こるため硫酸水溶液の
pH調整のためにアルカリを添加する必要はない。
【0017】本吸着剤は、例えば原料のキトサンと無水
エチレンジアミン4酢酸(無水EDTA)または無水ジ
エチレントリアミン5酢酸(無水DTPA)とを1:3
のモル比で酢酸とメタノールの混合水溶液中で約12時
間、室温でただ掻き混ぜることにより下記式(5)で示
されるEDTA型キトサンあるいは下記式(6)で示さ
れるDTPA型キトサンを、それぞれ容易に合成するこ
とができる。
【0018】EDTA型キトサン
【化9】
【0019】DTPA型キトサン
【化10】
【0020】なお、キトサンは下記の式で表わされる。
【化11】
【0021】本発明は、前記吸着剤と、ニッケルおよび
コバルトを含む水溶液あるいはニッケルとコバルトおよ
びアルミニウムを含む水溶液を接触させる際の水溶液の
pHが、ある領域を境としてニッケルが選択的に吸着さ
れるようになる現象を巧みに利用するものであり、前記
ポリアミノカルボキシル基が式(1)または(2)で示
されるポリアミノカルボキシル基でキトサンの2位の炭
素原子に結合したアミノ基の水素原子を置換した化学修
飾キトサンとくに式(5)または(6)の化学修飾キト
サンは、図1、図4、図5にみられるようにpHに応じ
て、ニッケルが、あるいはニッケルとコバルトを選択的
に吸着することができる。
【0022】本発明の方法では、ニッケル、コバルトあ
るいはアルミニウムの濃度、温度、時間などの条件につ
いては、通常行われている吸着分離の条件および装置な
どを使用することが可能であり、また、該吸着剤は再生
して繰り返し使用することができる。
【0023】
【実施例】以下に製造例、実施例を示し本発明をさらに
具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】製造例1 (DTPA型キトサンの合成法)2容量%の希酢酸水溶
液200mlに5gのキトサンを溶かし、メタノールを
加えて500mlとした。この溶液に33gの無水ジエ
チレントリアミン5酢酸
【化12】 を懸濁させた100mlのメタノールを加え、さらにメ
タノールを加えて750mlの溶液とした。室温で一晩
撹拌した後、沈殿物を濾過し0.5Mの苛性ソーダ水溶
液で洗浄して未反応のジエチレントリアミン5酢酸を除
去した。蒸留水と0.1規定の硫酸を流して洗浄を行
い、最後に流出液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。
真空乾燥を行い5.3gの白色粉末の固体を得た。この
反応は、下記式により示すことができる。
【0025】
【化13】 ここで、Rは−COCH2N(CH2COOH)CH2
2N(CH2COOH)−CH2CH2N(CH2COO
H)2を表わす。
【0026】中和滴定による固体内のカルボキシル基の
総量から求めた官能基の置換率は、22%であった。
【0027】製造例2 (EDTA型キトサンの合成法)10容量%の希酢酸水
溶液100mlに5gのキトサンを溶かし、メタノール
を加えて500mlとした。この溶液に30gの無水エ
チレンジアミン4酢酸を懸濁させた100mlのメタノ
ールを加え、室温で一晩撹拌した後、沈殿物を濾過し
0.5Mの苛性ソーダ水溶液で洗浄して未反応のエチレ
ンジアミン4酢酸を除去した。蒸留水と0.1規定の塩
酸を流して洗浄を行い、最後に流出液が中性になるまで
蒸留水で洗浄した。真空乾燥を行い6.5gの白色粉末
の固体を得た。中和滴定による固体内のカルボキシル基
の総量から求めた官能基の導入率は、100%であっ
た。
【0028】実施例1 (DTPA型キトサンによるニッケルとコバルトの吸
着)製造例1で合成された吸着剤の20mgを用いて、
それぞれ約1mmol/dm3の濃度のニッケルまたは
コバルトを含む様々な濃度の希硫酸水溶液15mlと3
0℃に保たれた三角フラスコ中で振り混ぜたところ、図
1に示すような分配係数とpHとの関係が得られた。p
Hが1程度の低いpHの領域からでも吸着が起こり、し
かもニッケルがコバルトに対して非常に選択的に吸着さ
れていることが明らかである。pH=1.16における
Ni/Coの分離係数は約10程度である。
【0029】比較例1 (アミノホスホン酸型キレート樹脂によるニッケルとコ
バルトの吸着)バイエル社製のアミノホスホン酸型キレ
ート樹脂・商品名Lewatit OC−1060を約
0.5g用いて、それぞれ約5mmol/dm3の濃度
のニッケルまたはコバルトを含む1mol/dm3の硫
酸アンモニウム水溶液20mlを硫酸またはアンモニア
水でpH調整して30℃に保たれた三角フラスコ中で振
り混ぜたところ、図2に示すような分配係数とpHとの
関係が得られた。吸着は4以上の比較的高いpHで起こ
っており、しかもニッケルとコバルトのプロットは全く
同じ位置にあり、両金属に対する選択性の相違は見られ
ない。したがって、このキレート樹脂ではニッケルとコ
バルトの分離が不可能であることは明瞭である。
【0030】比較例2 (イミノ2酢酸型キレート樹脂によるニッケルとコバル
トの吸着)バイエル社製のイミノ酢酸型キレート樹脂・
商品名Lewatit TP−207を約0.5g用い
て、それぞれ約5mmol/dm3の濃度のニッケルま
たはコバルトを含む1mol/dm3の硝酸アンモニウ
ム水溶液20mlを硫酸またはアンモニア水でpH調整
して30℃に保たれた三角フラスコ中で振り混ぜたとこ
ろ、図3に示すような分配係数とpHとの関係が得られ
た。吸着は2以上のLewatit OC−1060樹
脂に較べて低いpHで起こっているが、この場合もニッ
ケルとコバルトのプロットは全く同じ位置にあり、両金
属に対する選択性の相違は見られない。したがって、こ
のキレート樹脂でもニッケルとコバルトの分離が不可能
であることは明瞭である。
【0031】実施例2 (DTPA型キトサンによるニッケル、コバルト、アル
ミニウムの吸着)製造例1で合成された吸着剤の20m
gを用いて約1mmol/dm3の濃度のニッケルまた
はコバルトまたはアルミニウムを含む様々な濃度の希硫
酸水溶液15mlと30℃に保たれた三角フラスコ中で
振り混ぜたところ、図4に示すような分配係数とpHと
の関係が得られた。ニッケルおよびコバルトはpHがそ
れぞれ0および1程度の低いpHの領域からでも吸着が
起こるのに対してアルミニウムの吸着はpHが約1.8
程度の比較的高い領域から吸着が起こり、ニッケルとコ
バルトがアルミニウムに対して優先的に吸着されること
がわかる。しかもニッケルがコバルトに対して非常に選
択的に吸着されていることが明らかである。
【0032】実施例3 (EDTA型キトサンによるニッケル、コバルト、アル
ミニウムの吸着)製造例2で合成された吸着剤の20m
gを用いて約1mmol/dm3の濃度のニッケルまた
はコバルトまたはアルミニウムを含む様々な濃度の希硫
酸水溶液15mlと30℃に保たれた三角フラスコ中で
振り混ぜたところ、図5に示すような分配係数とpHと
の関係が得られた。ニッケルおよびコバルトはpHがそ
れぞれ0および1程度の低いpHの領域からでも吸着が
起こるのに対してアルミニウムの吸着はpHが約1.8
程度の比較的高い領域から吸着が起こり、ニッケルとコ
バルトがアルミニウムに対して優先的に吸着されること
がわかる。しかもニッケルがコバルトに対して非常に選
択的に吸着されていることが明らかである。
【0033】実施例4 (DTPA型キトサンを充填した吸着カラムを用いたコ
バルトとニッケルの分離)0.5gのDTPA型キトサ
ンをガラスビーズと混ぜ合わせ、図6に示す内径が9m
mの吸着カラムに約20cmの高さで充填し、図7に示
す装置を用いて吸着−溶離の実験を行った。図6は、図
7の吸着−溶離装置に用いたジャケット式吸着カラムの
概略図であり、11は吸着層であり、ガラスビーズとD
TPA型キトサンより構成されている。12はその上下
に設けられた脱脂綿の層であり、13は、さらにその上
下に設けられたガラスビーズ層であり、14は保温ジャ
ケット、15はガラスフィルターであり、16は保温水
入口、17は、保温水出口であり、供給液は図の下部に
ある矢印のところから吸着カラムに供給される。図7
は、実験に用いた吸着−溶離装置のフローシートであ
り、1は図6に示すジャケット付吸着カラム、2はマイ
クロチューブポンプ、3は恒温水槽、4は供給液、5は
溶出液である。
【0034】濃度が約120ppmのコバルトとニッケ
ルを含み、pHが3.86の希硫酸水溶液を4.0ml
/hの流量でカラムに通液し、出口における両金属の濃
度を測定したところ図8のような結果が得られた。弱く
吸着されるコバルトは、強く吸着されるニッケルに押し
出される形で約10時間後から破過が始まる。また約4
0時間後からニッケルの破過が始まる。このことはカラ
ムの色調の変化からも観察された。すなわちカラムは最
初ピンクと緑色が混ざった色であったが、コバルトが追
い出されていくに従いピンクが徐々に消え、最後は緑色
になった。通液を終えた後のカラムに0.94Mの塩酸
を同一流量で流し、溶離を行い、カラム出口の両金属の
濃度を測定したところ図9に示す結果が得られた。通液
後にカラムにはニッケルのみが吸着され、コバルトは殆
ど吸着されていないため、コバルトの濃度は殆ど無視で
きる。これに対してニッケルは約40時間後に高濃度で
溶離される。同様なことはEDTA型キトサンでも観察
された。
【0035】実施例5 (EDTA型キトサンを充填した吸着カラムを用いたコ
バルトとアルミニウムの分離)0.4gのEDTA型キ
トサンをガラスビーズと混ぜ合わせ、図6に示す内径が
9mmの吸着カラムに約15cmの高さで充填し、図7
に示す装置を用いて吸着−溶離の実験を行った。208
0ppmのアルミニウムと11ppmのコバルトを含む
pHが2の希硫酸水溶液を7.7ml/hの流量で充填
カラムに通液し、出口での両金属の濃度を測定したとこ
ろ図10に示す結果が得られた。アルミニウムの破過は
通液後直ちに起こるのに対して、コバルトの破過は約7
0時間後に始まる。すなわち微量のコバルトと大量のア
ルミニウムを含む液を本カラムに通液すると70時間ま
では前者が効果的にスキャベンジされることが判る。同
様な結果はDTPA型キトサンを充填したカラムにおい
ても見出された。
【0036】
【効果】本発明の吸着剤は、従来の吸着剤に較べて、ニ
ッケル、コバルト、アルミニウムに対する吸着性能がp
Hにより顕著に異なるので、水溶液中のニッケルとコバ
ルトの分離あるいはニッケル、コバルトとアルミニウム
の分離に極めて有用である。本発明を用いると従来のイ
オン交換樹脂や、キレート樹脂では困難であったニッケ
ルとコバルトの分離と濃縮が容易に達成される。本発明
を用いるとアルミニウム中に存在するコバルト不純物を
効果的に除去することができ、アルミニウムの高純度化
が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDTPA型キトサンによるニッケルと
コバルトの吸着における分配係数とpHの関係を示すグ
ラフである。
【図2】市販品・商品名Lewatit OC−106
0によるニッケルとコバルトの吸着における分配係数と
pHの関係を示すグラフである。
【図3】市販品・商品名Lewatit TP−207
によるニッケルとコバルトの吸着における分配係数とp
Hの関係を示すグラフである。
【図4】本発明のDTPA型キトサンによるニッケル、
コバルト、アルミニウムの吸着における各金属の分配係
数とpHの関係を示すグラフである。
【図5】本発明のEDTA型キトサンによるニッケル、
コバルト、アルミニウムの吸着における各金属の分配係
数とpHの関係を示すグラフである。
【図6】図7の吸着−溶離装置に用いるジャケット式吸
着カラムの概略図である。
【図7】実施例に用いた吸着−溶離装置のフローシート
である。
【図8】実施例4の破過試験結果を示す。
【図9】実施例4の溶離試験結果を示す。
【図10】実施例5の溶離試験結果を示す。
【符号の説明】
1 ジャケット付吸着カラム 2 マイクロチューブポンプ 3 恒温水槽 4 供給液 5 溶出液 11 吸着層 12 脱脂綿の層 13 ガラスビーズ層 14 保温ジャケット 15 ガラスフィルター 16 保温水入口 17 保温水出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22B 21/00 23/00 // C09K 3/00 108 A (72)発明者 津山 弘己 福岡県北九州市若松区北湊町13−2 触媒 化成工業株式会社若松工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キトサンの2位の炭素原子に結合したア
    ミノ基の水素原子の一方を、下記一般式(1)または一
    般式(2)で表わされるポリアミノカルボキシル基で置
    換した化学修飾キトサンからなる水溶液からのニッケ
    ル、コバルトおよびアルミニウムよりなる群から選らば
    れた1種または2種以上を吸着分離するための吸着剤。 【化1】 (式中、R1、R2、R3は、炭素数1〜3のn−アルキ
    レン基より独立して選ばれた基であり、R4、R5
    6、R7は、炭素数1〜4のn−アルキレン基よりなる
    群から独立して選ばれた基である。) 【化2】 (式中、R8、R9は炭素数1〜3のn−アルキレン基よ
    りなる群から独立して選らばれた基であり、R10
    11、R12は炭素数1〜4のn−アルキレン基よりなる
    群から独立して選らばれた基である。)
  2. 【請求項2】 前記ポリアミノカルボキシル基が、下式
    (3)または(4)で表されるものである請求項1記載
    の吸着剤。 【化3】 −COCH2N(CH2COOH)CH2CH2N(CH2COOH) −CH2CH2N(CH2COOH)2……(3) 【化4】 −COCH2N(CH2COOH)CH2CH2N(CH2COOH)2……(4)
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の吸着剤とニッケ
    ルおよびコバルトを含む水溶液を接触させることを特徴
    とするニッケルおよびコバルトを含む水溶液からニッケ
    ルを吸着分離する方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の吸着剤とニッケ
    ルおよびコバルトを含む水溶液をpH1.5以下で接触
    させることを特徴とするニッケルおよびコバルトを含む
    水溶液からニッケルを吸着分離する方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の吸着剤とアルミ
    ニウム、ニッケルおよびコバルトを含む水溶液を接触さ
    せることを特徴とするニッケルおよびコバルトとアルミ
    ニウムとを分離回収する方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の吸着剤とアルミ
    ニウム、ニッケルおよびコバルトを含む水溶液をpH
    2.0以下で接触させることを特徴とするニッケルおよ
    びコバルトとアルミニウムとを分離回収する方法。
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