JPH0711040Y2 - 船外機のステアリング操作力調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、船外機のステアリング操作力調整装置に関
する。

（従来の技術） 船外機は、第３図にその側面を示すように、ドライブシ
ャフトハウジング１の上部にエンジン（図示せず）が搭
載されてエンジンカバー２で覆われ、同下部にギアケー
ス３が接合されてこれにプロペラシャフト（図示せず）
が軸承され、このプロペラシャフトに取り付けられたプ
ロペラ４に、ドライブシャフトハウジング１およびギア
ケース３内の動力伝達機構を通じて、エンジンからの回
転力が伝達されるようになっている。

この船外機には、スイベルブラケット５およびクランプ
ブラケット６が設けられ、このクランプブラケット６に
よって船外機は船体のトランサムに取り付けられる。ス
イベルブラケット５は、クランプブラケット６に水平に
架設されたスイベルシャフト７に軸支され、船外機は上
記スイベルシャフト７廻りに鉛直方向に回転可能に設け
られる。

また、スイベルブラケット５内にはパイロットシャフト
８が垂直かつ回転可能に配設され、このパイロットシャ
フト８はステアリングブラケット9aおよびボトムブラケ
ット9bを介してドライブシャフトハウジング１に固定さ
れる。上記ステアリングブラケット9aにはステアリング
ハンドル10が取り付けられる。したがって、ステアリン
グハンドル10の操作により、ドライブシャフトハウジン
グ１がパイロットシャフト８と共にスイベルブラケット
５に対し水平方向に回転可能に設けられる。

ステアリング操作力の調整は、上記スイベルブラケット
５およびパイロットシャフト８間に配置された操作力調
整装置によってなされる。この操作力調整装置として、
第４図に示す回転ブッシュ11および押圧ブッシュ12があ
る。

回転ブッシュ11は、パイロットシャフト８の外周に固着
される。また、押圧ブッシュ12は、スイベルブラケット
５側に配置される。この押圧ブッシュ12が回転ブッシュ
11へ押し付けられることにより、両者11,12間に摩擦力
が生じ、この摩擦力がステアリング操作力の調整力とな
る。なお、押圧ブッシュ12と回転ブッシュ11との摩擦力
の大小は、押圧ブッシュ12に取り付けられた調整ボルト
13によってなされる。

（考案が解決しようとする課題） ところが、上記従来のステアリング操作力調整装置で
は、第３図に示すように、調整ボルト13がスイベルブラ
ケット５の側面に設置され、この調整ボルト13をスパナ
等の工具を用いて回転させなければならないので、走航
中にステアリング操作力を調整するのが極めて困難とな
る。

また、回転ブッシュ11および押圧ブッシュ12の摩擦力に
よるステアリング操作力の調整では、回転ブッシュ11お
よび押圧ブッシュ12が摩耗することがあり、さらにスイ
ベルブラケット５が撓むこともある。これらの結果、回
転ブッシュ11および押圧ブッシュ12間の摩擦力が不充分
となって、ステアリング操作力の調整に信頼性を欠くお
それがある。

この考案は、上記事情を考慮してなされたものであり、
走航中にもステアリング操作力を簡単に調整でき、かつ
その調整の信頼性が高く、しかも簡素でコンパクトに構
成することのできる船外機のステアリング操作力調整装
置を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、この考案は、船体を把持する
クランプブラケットをスイベルブラケットに軸支し、こ
のスイベルブラケット内にパイロットシャフトが回転自
在に配設され、このパイロットシャフトにステアリング
ブラケットを介してドライブシャフトハウジングが固定
された船外機において、上記スイベルブラケットとパイ
ロットシャフト間に操作力調整装置を設け、この操作力
調整装置は、上記パイロットシャフトに回転一体であっ
てパイロットシャフトを取り囲む円盤形状の調整プレー
トと、上記調整プレートの周方向に形成されたテーパ面
と、上記スイベルブラケットの船体側部分に設けられた
雌ねじと、この雌ねじにねじ結合され、船体側から上記
調整プレート側に向かって進退可能に設けられた調整ロ
ッドと、上記調整ロッドの調整プレート側の端部に連な
って調整ロッドが調整プレート側に進んだ時に調整プレ
ートのテーパ面に摩擦係合する調整ピンとを備えて構成
されたことを特徴とするものである。

（作用） したがって、この考案に係る船外機のステアリング操作
力調整装置によれば、上記スイベルブラケットにねじ結
合された上記調整ロッドを捩り、ねじ作用によって調整
プレート側に進退させ、調整ピンを調整プレートのテー
パ面に押圧あるいは離反させる。これによって、調整ピ
ンと調整プレートのテーパ面との間に生じた摩擦力が増
減し、ステアリング操作力が調整される。

ここで、調整ロッドは、船体側から調整プレート側へ進
退自在となるために、その基端部が船体側に突出してい
る。このため、走航中でも調整ロッドの基端部をねじ操
作して調整ロッドを進退させることができ、ステアリン
グ操作力を簡単に調整できる。

また、操作力の調整は、調整ピンと調整プレートのテー
パ面とを摩擦係合させて行うので、摩擦係合面積を大き
くすることができ、これによって調整ピンおよび調整プ
レートの摩耗量を少なくするとともに、スイベルブラケ
ットの撓みを防止させることができる。このため、調整
ピンと調整プレートとの係合が確実となり、ステアリン
グ操作力の調整における信頼性が向上する。

さらに、調整ピンが調整プレートに対して楔状に摩擦係
合するので摩擦力が増幅される。これにより、相対的に
調整プレートを小形化することができ、操作力調整装置
を簡素でコンパクトに構成することができる。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図はこの考案に係る船外機のステアリング操作力調
整装置の一実施例を示す要部断面図、第２図は第１図の
II部拡大図である。この一実施例において前記従来例と
同様な部分は同一の符号を付すことにより説明を省略す
る。

スイベルブラケット５とパイロットシャフト８との間に
は、操作力調整装置Ａが設けられている。この操作力調
整装置Ａは、次のように構成されている。

まず、ステアリングブラケット9aには、パイロットシャ
フト８を取り囲む円盤形状の調整プレート14が固定さ
れ、この調整プレート14の周方向にはテーパ面15が形成
されている。この調整プレート14はパイロットシャフト
８に回転一体であり、ステアリングハンドル10（第３
図）の操作によって、スイベルブラケット５に対してパ
イロットシャフト８と共に回転する。

一方、スイベルブラケット５には、調整ピン16および調
整ロッド17が配設される。このうち調整ピン16は、第２
図に示すように、スイベルブラケット５内に設置された
ブッシュ18内に配置される。この調整ピン16は、ブッシ
ュ18内で、第２図の矢印Ｂ方向、即ち前記調整プレート
14に向かって進退可能に設けられる。この調整ピン16の
先端部は楔状に形成されて、調整プレート14のテーパ面
15に係合可能とされている。

また、スイベルブラケット５の船体側部分には、第１図
に示すように、取付ブラケット19がボルト20によって固
定されており、この取付ブラケット19の挿通孔に調整ロ
ッド17が挿通されている。取付ブラケット19に挿通孔に
は雌ねじ21が形成されており、調整ロッド17には上記雌
ねじ21に結合される雄ねじ22が形成される。したがっ
て、調整ロッド17を捩ると、ねじ作用により調整ロッド
17は船体側から調整プレート14側へ向かって進退する。

調整ロッド17の基端部は船体側へ突出し、その端部には
ノブ23が固定され、運転員は上記ノブ23を持って調整ロ
ッド17を回転し得るようになっている。一方、調整ロッ
ド17の調整プレート14側の端部には、第２図にも示すよ
うに球形状の連結部24が形成される。この連結部24は前
記調整ピン16の基端部に嵌合され、調整ピン16は調整ロ
ッド17の軸廻りに回転自在とされる。したがって、調整
ピン16を進退させるべく調整ロッド17を軸廻りに回転さ
せても調整ピン16は回転せず、調整ロッド17の進退に伴
って矢印Ｂ方向に摺動するのみである。

以上のようにして操作力調整装置Ａが構成されている。
次に、その作用効果を説明する。

運転員がステアリング操作力を調整しようとするときに
は、まずノブ23を回す。このノブ23が回転すると、取付
ブラケット19の雌ねじ21および調整ロッド17の雄ねじ22
のねじ作用により、調整ロッド17が調整ピン16側に進退
する。これにより、調整ピン16の先端部が調整プレート
14のテーパ面15に押圧または離反する。

調整ピン16の先端部が調整プレート14のテーパ面15に押
圧されると、ステアリングブラケット9aおよびパイロッ
トシャフト８の回転に伴って摩擦力が発生する。ノブ23
を回して調整ロッド17を軸方向に微動させれば、上記摩
擦力の大きさが加減されてステアリング操作力が調整さ
れる。

この操作力調整装置Ａによれば、調整ピン16および調整
ロッド17が船体側から調整プレート14側へ進退し、調整
ロッド17の基端部に固定されたノブ23が船体側に突出し
ているので、ノブ23を船外機の前面で回転操作できる。
その結果、走航中でもノブ23を回転操作することによ
り、ステアリング操作力を簡単に調整することができ
る。

また、ステアリング操作力の調整は、調整ピン16の先端
部と調整プレート14のテーパ面15とを摩擦係合させて行
うので、摩擦係合面積を大きくすることができ、これに
よって調整ピン16および調整プレート14の摩耗量を少な
くするとともに、スイベルブラケット５の撓みを防止す
ることもできる。このため、調整ピン16と調整プレート
14との係合が確実となり、ステアリング操作力の調整に
おける信頼性が向上する。

さらに、調整ピン16が調整プレート14に対して楔状に摩
擦係合するので摩擦力が増幅される。これにより、相対
的に調整プレート14を小形化することができ、操作力調
整装置Ａを簡素でコンパクトに構成することができる。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案に係る船外機のステアリング操
作力調整装置は、パイロットシャフトに回転一体であっ
てパイロットシャフトを取り囲む円盤形状の調整プレー
トと、上記調整プレートの周方向に形成されたテーパ面
と、上記スイベルブラケットの船体側部分に設けられた
雌ねじと、この雌ねじにねじ結合され、船体側から上記
調整プレート側に向かって進退可能に設けられた調整ロ
ッドと、上記調整ロッドの調整プレート側の端部に連な
って調整ロッドが調整プレート側に進んだ時に調整プレ
ートのテーパ面に摩擦係合する調整ピンとを備えて構成
されたものである。

このように構成した場合、上記調整ロッドが船体側から
調整プレート側へ進退自在となるため、その基端部が船
体側に突出し、したがって走航中でも調整ロッドの基端
部を捩って調整ロッドをねじ作用により進退させること
ができ、ステアリング操作力を簡単に調整することがで
きる。

また、操作力の調整は、調整ピンと調整プレートのテー
パ面とを摩擦係合させて行うので、摩擦係合面積を大き
くすることができ、これによって調整ピンおよび調整プ
レートの摩耗量を少なくするとともに、スイベルブラケ
ットの撓みを防止させることができる。このため、調整
ピンと調整プレートとの係合が確実となり、ステアリン
グ操作力の調整における信頼性が向上する。

さらに、調整ピンが調整プレートに対して楔状に摩擦係
合するので摩擦力が増幅される。これにより、相対的に
調整プレートを小形化することができ、操作力調整装置
を簡素でコンパクトに構成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る船外機のステアリング操作力調
整装置の一実施例を示す要部断面図、第２図は第１図の
II部拡大図、第３図は従来の船外機のステアリング操作
力調整装置が適用された船外機を示す側面図、第４図は
第３図のIV-IV線に沿う断面図である。 Ａ……操作力調整装置、１……ドライブシャフトハウジ
ング、５……スイベルブラケット、６……クランプブラ
ケット、８……パイロットシャフト、9a……ステアリン
グブラケット、14……調整プレート、15……調整プレー
トのテーパ面、16……調整ピン、17……調整ロッド、21
……雌ねじ、22……雄ねじ、24……連結部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】船体を把持するクランプブラケットをスイ
   ベルブラケットに軸支し、このスイベルブラケット内に
   パイロットシャフトが回転自在に配設され、このパイロ
   ットシャフトにステアリングブラケットを介してドライ
   ブシャフトハウジングが固定された船外機において、上
   記スイベルブラケットとパイロットシャフト間に操作力
   調整装置を設け、この操作力調整装置は、上記パイロッ
   トシャフトに回転一体であってパイロットシャフトを取
   り囲む円盤形状の調整プレートと、上記調整プレートの
   周方向に形成されたテーパ面と、上記スイベルブラケッ
   トの船体側部分に設けられた雌ねじと、この雌ねじにね
   じ結合され、船体側から上記調整プレート側に向かって
   進退可能に設けられた調整ロッドと、上記調整ロッドの
   調整プレート側の端部に連なって調整ロッドが調整プレ
   ート側に進んだ時に調整プレートのテーパ面に摩擦係合
   する調整ピンとを備えて構成されたことを特徴とする船
   外機のステアリング操作力調整装置。