JPH07109341A - 高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法

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JPH07109341A
JPH07109341A JP5254121A JP25412193A JPH07109341A JP H07109341 A JPH07109341 A JP H07109341A JP 5254121 A JP5254121 A JP 5254121A JP 25412193 A JP25412193 A JP 25412193A JP H07109341 A JPH07109341 A JP H07109341A
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栄一郎 滝山
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    • C08G18/06Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates with compounds having active hydrogen
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    • C08G18/40High-molecular-weight compounds
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    • C08G18/4236Polycondensates having carboxylic or carbonic ester groups in the main chain containing only aliphatic groups
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボン酸また
はその誘導体とを反応して得られる重量平均分子量3
0,000以上、融点70℃以上の脂肪族ポリエステル
100重量部に対して、1分子中に少なくとも1個のイ
ソシアナート基と少なくとも1個のマスクイソシアナー
ト基とを有する化合物を、0.5〜10重量部を反応さ
せることにより、重量平均分子量50,000以上の高
分子量脂肪族ポリエステルを製造する。 【効果】 高分子量脂肪族ポリエステルを、ミクロゲル
の発生を著しく低減させて製造することができる。本発
明の高分子量脂肪族ポリエステルは、生分解性であり、
フィルム、各種成形品、フィラメントとして成形が可能
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形品、フィルム、繊
維といった従来ポリマーが用いられていた各分野に有用
な生分解性高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】生分解性、即ち土中、あるい
は水中で微生物の作用を受け崩壊するポリマーは、生分
解性プラスチックの原料として近年のプラスチック廃棄
物問題を解決する手段の一つとして注目されており、そ
の登場は強く望まれてもいる。しかしながら、現段階で
は完全に生分解するポリマーは、天然物は別にして、脂
肪族ポリエステルのみ、と言っても過言ではない。しか
し、脂肪族ポリエステルは熱安定性が十分とは言えず、
高分子量で有用なポリマーは得難い、というのが一般通
念であった。本発明者等は、脂肪族ポリエステルの高分
子量化について研究を重ね、いくつかの知見を得て、す
でに提案した(特開平4−189822号公報)。
【0003】これは、高分子量の脂肪族ポリエステルに
特定量のジイソシアナートを反応させ、さらに実用に耐
える高分子領域にまで分子量を高めることであった。こ
の方法は頗る有用であり、脂肪族ポリエステルの分子量
(数平均)を20,000以上に高めることができ、生
成するポリエステルは実用性のある物性を示し、生分解
性であることも確認された。しかし、その後の研究の進
展に伴って、特に加工性が問題とされる実用化段階に入
って、ミクロゲルの発生と分子量分布のコントロールが
新たな問題とされるに至った。
【0004】ミクロゲルとは、生成ポリマー中に0.1
〜数ミリの大きさのゲル状樹脂が混入していることを指
すが、この存在はフィルム形成性ならびにフィルムの外
観物性に、あるいはフィラメント成形性に大きな影響を
及ぼす上、製品の商品価値を著しく低減させる。このミ
クロゲルの存在はポリオレフィン樹脂にもみられるが、
ポリオレフィンの場合は触媒の性質上から生ずるとされ
ているのに対して、本発明の少量のジイソシアナートを
反応させるポリエステルの場合には、ミクロゲルは高温
でのジイソシアナートとポリエステルの反応により生ず
る。即ち、イソシアナート基とヒドロキシル基との反応
により生成するウレタン結合は熱解離性があり、200
℃付近の高温と高い剪断力の作用で、ゲル状となったウ
レタン結合を含む塊状部分は次第に減少し、肉眼では見
えなくなる。しかし100μm以下のミクロゲルとなる
と、剪断力を受け難くなり完全には消失しないことが判
明した。ミクロゲルの存在は、フィルムのフィッシュア
イ、繊維の糸切れ等の悪影響をもたらすことから、実用
上差し支えのないレベル迄減少させることが必要であ
る。本発明は、ミクロゲルの発生を抑制して生分解性高
分子量脂肪族ポリエステルを製造する方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このミク
ロゲル発生の問題の解決のために鋭意研究を重ねた結
果、本発明を完成することができたものである。イソシ
アナート化合物を高温で添加して、しかもミクロゲルの
発生を防止するために種々検討した結果、分子中に2個
またはそれ以上のイソシアナート基を有するイソシアナ
ート化合物に、いわゆるマスク剤と称するイソシアナー
ト基と反応性を有して結合するが、しかし特定の温度以
上では分解してイソシアナート基を再生する化合物を反
応させて、少なくとも1個のイソシアナート基と少なく
とも1個のマスクされたイソシアナート基とを共有する
イソシアナート化合物を用いることによって目的を達成
できることが判った。即ち、本発明は [A](a)一般式
【0006】
【化3】HO−(CH2n−OH
【0007】で示されるグリコール(ここに、n=2〜
10の範囲の偶数である)および1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールからなる群から選ばれた少なくとも1種
のグリコール成分と、(b)一般式
【0008】
【化4】HOOC−(CH2n−COOH
【0009】で示されるジカルボン酸またはその誘導体
(ここに、n=2〜10の範囲の偶数である)から選ば
れた少なくとも1種の酸成分、とを反応して得られる重
量平均分子量30,000以上、融点70℃以上の脂肪
族ポリエステル100重量部に対して、 [B]1分子中に少なくとも1個のイソシアナート基と
少なくとも1個のマスクイソシアナート基とを有する化
合物0.5〜10重量部を反応させることにより、重量
平均分子量50,000以上の高分子量脂肪族ポリエス
テルを製造する方法を提供するものである。
【0010】さらにまた本発明は、上記[A]において
(a)成分と(b)成分を反応させる際に、さらに(c)成分と
して、多価アルコール、多価カルボン酸(またはその酸
無水物)およびオキシカルボン酸よりなる群から選ばれ
た、少なくとも1種類の三官能またはより以上の多官能
化合物を存在させる、重量平均分子量50,000以上
の高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法を提供するも
のである。このようにして得られた高分子量ポリエステ
ルは、実用上十分な成形性、物性を示し、しかも生分解
性である。
【0011】以下に本発明をさらに詳細に説明する。 (グリコール成分)本発明で用いる(a)成分であるグ
リコール成分は、(a)一般式
【0012】
【化5】HO−(CH2n−OH
【0013】で示されるグリコール(ここに、n=2〜
10の範囲の偶数である)および1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールからなる群から選ばれた少なくとも1種
のグリコール成分である。ここに含まれるグリコールと
しては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオ
ール、1,10−デカンジオール等のヒドロキシル基間
のメチレン基数が偶数のタイプ、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール等があるが、価格や入手の容易性の点か
らするとエチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールが適している。 (酸成分)本発明で用いる(b)成分である酸成分は、
一般式
【0014】
【化6】HOOC−(CH2n−COOH
【0015】で示されるジカルボン酸またはその誘導体
(ここに、n=2〜10の範囲の偶数である)から選ば
れた少なくとも1種の酸成分である。このジカルボン酸
またはその誘導体に含まれるものは、コハク酸、無水コ
ハク酸、アジピン酸、無水アジピン酸、スベリン酸、セ
バシン酸、ドデカン二酸等のカルボキシル基間のメチレ
ン基数が偶数であるタイプがあるが、価格や入手の容易
性を考慮するとコハク酸、アジピン酸が一般的であり、
他のジカルボン酸は変性用として、例えば生分解性のコ
ントロール剤として価値が認められる。これらの誘導体
には、上記の酸の無水物およびエステルも包含される。
ジカルボン酸のジメチルエステルを用いて、脱メタノー
ルによる重縮合を行うことも勿論可能であるが、生成ポ
リマーの構造が同一であることから、特に区別する必要
はない。グリコール成分および酸成分の使用割合は、酸
成分1モルに対して、グリコール成分1.05〜1.2モ
ル位が好適である。
【0016】(第三成分)これらのグリコール成分およ
び酸成分の他に、必要に応じて、これに第三成分とし
て、三官能またはより以上の多価アルコール、オキシカ
ルボン酸および多価カルボン酸(またはその酸無水物)
から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物を加えて反
応させてもよい。この第三成分を加えることにより、分
子に長鎖の枝別れを生じ、分子量が大となるとともにM
w/Mnが大となり、すなわち分子量分布が広くなっ
て、フィルム成形等に望ましい性質を付与することがで
きる。添加される多官能化合物の量は、ゲル化の危険が
ないようにするためには、ジカルボン酸(またはその誘
導体)の成分全体100モル%に対して三官能の場合は
0.1〜5モル%であり、四官能の場合は0.1〜3モル
%である。 (多官能化合物)第三成分として使用される多官能化合
物としては、三官能または四官能の多価アルコール、オ
キシカルボン酸および多価カルボン酸(またはその酸無
水物)が挙げられる。三官能の多価アルコール成分とし
ては、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはその
酸無水物が代表的であり、四官能の多価アルコール成分
は、ペンタエリトリットが代表的である。三官能のオキ
シカルボン酸成分は、(i)カルボキシル基が2個とヒ
ドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、
(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個の
タイプとに分かれるが、市販品が容易に、且つ低コスト
で入手可能といった点からは、(i)の同一分子中に2
個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを共有す
るリンゴ酸が実用上有利であり、本発明の目的には十分
である。四官能のオキシカルボン酸成分には、次の3種
類がある。すなわち、(i) 3個のカルボキシル基と
1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイ
プ、(ii) 2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシ
ル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii) 3個
のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子
中に共有するタイプがあり、いずれのタイプも使用可能
であるが、市販品が容易に、且つ低コストで入手可能と
いった点からは、クエン酸ならびに、酒石酸が実用上有
利であり、本発明の目的には十分である。三官能の多価
カルボン酸(またはその酸無水物)成分は、例えばトリ
メシン酸、プロパントリカルボン酸等を使用することが
できるが、実用上から無水トリメリット酸が有利であ
り、本発明の目的には十分である。四官能の多価カルボ
ン酸(またはその酸無水物)成分は、文献上では脂肪
族、環状脂肪族、芳香族等の各種タイプがあるが、市販
品を容易に入手し得るといった点からは、例えば無水ピ
ロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水
物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物が挙げら
れ、本発明の目的には十分である。
【0017】本発明においては、[A]段階により得ら
れる脂肪族ポリエステルの重量平均分子量(以下、単に
分子量という)30,000以上且つ融点70℃以上と
することが必要であるが、そのためには、上記に示した
各原料をエステル化し、続いて脱グリコール反応を行う
ことにより達成することができる。なお、この[A]段
階において得られる脂肪族ポリエステルの分子量が3
0,000未満の場合は、その後の[B]段階で分子量
を高めたとしても、必要とする物性を有する成形品を得
ることができない。また、[A]段階で得られる脂肪族
ポリエステルの融点が70℃未満では、その後の各段階
で分子量を高めたとしても、ポリエチレンなどのポリオ
レフィンの成形機を使用して成形品の製造が困難とな
る。本発明でとくに重量平均分子量を規定した理由は、
それが成形性、熔融粘度に支配的であるからに他ならな
い。
【0018】エステル化反応は、160〜230℃、5
〜16時間、好ましくは不活性ガス雰囲気下で実施する
ことができる。この温度より低温では反応速度が遅く実
用性に乏しい。またこの温度より高温では分解の危険性
が高くなり避けたほうがよい。従って180〜220℃
の間の温度で第1段のエステル化反応を実施することが
好ましい。エステル化反応は、脂肪族ポリエステルの酸
価が30以下、好ましくは15以下、さらに好適には1
1以下に達するまで実施される。この場合、分子量が大
きい程脱グリコール反応による分子量増大が円滑に行え
るので、高分子量のものが望ましい。
【0019】脱グリコール反応は、5Torr以下の減圧
下、170〜230℃で2〜16時間実施される。より
好適には、1Torr以下の高真空下、180〜225℃で
実施することが、反応速度および分解防止の点から望ま
しい。得られるポリエステルは、末端基が実質的にヒド
ロキシル基であり、酸価はゼロとなる。脱グリコール反
応の際は、触媒を併用する必要がある。それらの例に
は、チタン、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウ
ム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マ
グネシウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる
群から選ばれた、少なくとも一種の金属の有機または無
機の金属化合物があげられ、使用量としては、生成する
脂肪族ポリエステル100重量部に対し、0.001〜
0.5重量部である。金属化合物触媒の使用量が0.00
1重量部未満では、脱グリコール反応が遅くなって実用
的ではなくなり、0.5重量部より多く用いても逆に分
解反応を強める結果となり好ましくない。望ましい使用
量は、金属の種類によっても異なるが、0.005〜0.
2重量部である。金属化合物触媒としては、例えば金属
のアルコキサイド、有機酸塩、キレート、酸化物等が用
いられ、とくにチタンの有機化合物例えばチタン酸アル
キルエステル、チタンオキシアセチルアセトネート、シ
ュウ酸チタンなどの化合物が有用である。いわゆる生分
解性ポリエステルは土中で微生物崩壊を受けるが、金属
触媒または金属は土中に残留するとみられるので、安全
なタイプでなければならない。そのような観点からすれ
ば、望ましい金属としては、チタン、ゲルマニウム、亜
鉛、マグネシウム、カルシウムなどがあげられる。
【0020】本発明は、実質的に末端基がヒドロキシル
基である分子量30,000以上の脂肪族ポリエステル
に、1分子中に少なくとも1個のイソシアナート基と少
なくとも1個のマスクイソシアナート基を有する化合物
(以下、マスクイソシアナートと略称)を反応させるこ
とにより、分子量50,000以上とすることよりなる
ものであるが、そのために用いられるマスクイソシアナ
ートには、例えば次の種類があげられる。
【0021】イソシアナートは特に制限を加える必要は
なく、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、
2,4−トリレンジイソシアナートと2,6−トリレン
ジイソシアナートの混合体、ジフェニルメタンジイソシ
アナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロ
ンジイソシアナート、水素化ジフェニルメタンジイソシ
アナート、キシリレンジイソシアナート、水素化キシリ
レンジイソシアナート、などである。着色といった点か
らは脂肪族、ならびに環状脂肪族ジイソシアナートの使
用が望ましい。三官能イソシアナート、例えばヘキサメ
チレンジイソシアナートの三量体も利用可能である。
【0022】これらイソシアナートに付加させる、いわ
ゆるマスク剤は、250℃以下の温度でマスク剤が離脱
し、イソシアナート基を再生するものであれば特に制限
を加える必要はないが、生分解性プラスチックといった
立場からは毒性の疑われる化合物の使用は不可である。
そのような観点からは、マスク剤としてはマロン酸低級
アルコールエステル類、アセチルアセトン、アセト酢酸
の低級アルコールエステル類、2級アルコール類、など
が望ましい。フェノール類、オキシム類も利用可能であ
るが、前記した生分解性といった点からは使用は制限さ
れる。イソシアナート基とマスク剤との使用割合は特定
されないが、一般にイソシアナート基1当量に対して、
マスク剤は0.1〜1.0当量、より望ましくは0.5当
量以上1.0当量以下である。マスク剤の使用割合が0.
1当量未満ではマスク剤を用いる意味に乏しく、また
1.0当量より多い場合には、マスク剤の種類にもよる
が、所望の高分子量化が困難なことがある。
【0023】マスクイソシアナートの使用量は、脂肪族
ポリエステル100重量部に対して0.5〜10重量部
である。0.5重量部未満では添加の効果に乏しく、1
0重量部より多く添加しても効果は増加しない。マスク
イソシアナートは最終的にはマスク剤が外れ、イソシア
ナート基を再生し、脂肪族ポリエステルの末端基と反応
して分子量50,000以上の高分子量脂肪族ポリエス
テルを形成させる働きをする。分子量が50,000未
満であると、所望の成形品を得るための熔融粘度が十分
でなくなる。ウレタン化触媒の併用は任意である。脂肪
族ポリエステルとマスクイソシアナートとの反応は、脂
肪族ポリエステルの融点以上の熔融状態で行うことが好
ましい。
【0024】本発明による分子量50,000以上のウ
レタン結合を含む高分子量脂肪族ポリエステルは、フィ
ルム、各種成形品、フィラメント類成形が可能であり、
それぞれの用途に適用されるが、その場合、必要に応じ
て、補強材、各種フィラー、滑剤、安定剤、着色剤、ポ
リマー、オリゴマー等を併用できることは勿論である。
【0025】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。実施例 1 ポリエステル(I)の合成 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た2リットルセパラブルフラスコに、1,4−ブタンジ
オールを600g、無水コハク酸を600g、テトライ
ソプロピルチタネートを0.15g仕込み、窒素気流中
195〜200℃にてエステル化して酸価を10.4と
した後、最終的には0.6Torrの減圧下、6時間215
〜220℃にて脱グリコール反応を行った。得られたポ
リエステル(I)は白色結晶状で融点は約116℃、数
平均分子量16,700、重量平均分子量34,000で
あった。なお、分子量測定は次の条件によった。 GPC Shodex GPCSYSTEM−11 溶離液 CF3COONa 5mmol/HFIP(ヘキサ
フロロイソプロパノール 1リットル) カラム サンプルカラム HFIP−800P HFIP−80M ×2本 リファレンスカラム HFIP−800R×2本 カラム温度 40℃ 流量 1.0ml/分 検出器 Shodex RI STD:PMMA (Shodex STANDARD M−
75)
【0026】高分子量ポリエステル(A)の合成 ポリエステル(I)500gを1リットルセパラブルフ
ラスコにとり、窒素気流中160℃に熔融して、マスク
イソシアナートとしてヘキサメチレンジイソシアナート
168g(1モル)とアセチルアセトン100g(1モ
ル)との付加体を12g加えた。次で温度を220℃迄
昇温させ30分間保持した。アイボリー色ワックス状、
融点118℃、数平均分子量29,600、重量平均分
子量79,000の高分子量ポリエステル(A)が得ら
れた。
【0027】比較例 1 高分子量ポリエステル(B)の合成 ポリエステル(I)500gを同様に熔融し、ヘキサメ
チレンジイソシアナート7.5gを加えた。粘度は急速
に増大したがゲル化はしなかった。220℃迄昇温させ
て30分同温度に維持撹拌した。アイボリー色ワックス
状、融点118℃、数平均分子量31,600、重量平
均分子量86,600の高分子量ポリエステル(B)が
得られた。
【0028】フィルムの形成 実施例1で製造した高分子量ポリエステル(A)および
比較例1で製造した高分子量ポリエステル(B)のそれ
ぞれを、180℃、圧力50kg/cm2でプレス成形した
後、3倍に一軸延伸した厚さ55〜60μm、10cm×
10cmの面積のフィルムを供試試料とした。ジイソシア
ナートを直接加えたポリエステル(B)よりのフィルム
は、ミクロゲル数がほぼ55〜60個程度目視された
が、マスクイソシアナートを用いたポリエステル(A)
よりのフィルムのミクロゲルは2個で、著しい改良効果
が認められた。
【0029】実施例 2 ポリエステル(II)の合成 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た2リットルセパラブルフラスコに、エチレングリコー
ル340g、トリメチロールプロパン7g、コハク酸5
31g、セバシン酸101g、テトライソプロピルチタ
ネート0.1g、を仕込み、窒素ガス気流中、195〜
200℃にエステル化して酸価7.1とした後、最終的
には0.4Torrの減圧下、215〜220℃に8時間脱
グリコール反応を行って、ポリエステル(II)を得た。
このポリエステルは、アイボリー色ワックス状結晶、融
点は約96℃、数平均分子量17,900、重量平均分
子量52,000であった。
【0030】高分子量ポリエステル(C)の合成 ポリエステル(II)400gを1リットルセパラブルフ
ラスコに採り、窒素気流中160℃に熔融して、マスク
イソシアナートとしてイソホロンジイソシアナート22
2g(1モル)とマロン酸ジエチルエステル237g
(1.5モル)との付加体を12g加えた。温度を22
0℃迄昇温させ30分間保持した。淡茶褐色ワックス
状、融点約100℃、数平均分子量30,100、重量
平均分子量90,400の高分子量ポリエステル(C)
が得られた。
【0031】比較例 2 高分子量ポリエステル(D)の合成 ポリエステル(II)400gを同様に熔融し、イソホロ
ンジイソシアナート6gを加えた。粘度は急速に増大し
たがゲル化はしなかった。次で220℃迄昇温させて同
様に30分同温度に維持し撹拌した。淡茶褐色ワックス
状、融点約100℃、数平均分子量31,100、重量
平均分子量98,000の高分子量ポリエステル(D)
が得られた。
【0032】フィルムの形成 実施例2で製造した高分子量ポリエステル(C)および
比較例2で製造した高分子量ポリエステル(D)を、そ
れぞれ実施例1と同様にプレス成形後、一軸延伸を行っ
て厚さ約60μm、10cm×10cmの面積のフィルムを
テストピースとした。高分子量ポリエステル(D)より
得られたフィルムは、100個以上のミクロゲルがみら
れたが、マスクイソシアナートを用いた高分子量ポリエ
ステル(C)のフィルムは5〜6個が目視されたに止ま
った。
【0033】実施例 3 ポリエステル(III)の合成 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た2リットルセパラブルフラスコに、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール595g、アジピン酸584g、テ
トライソプロピルチタネートを0.15gを仕込み、2
00〜205℃窒素気流中にエステル化し、酸価10.
7とした後、最終的には0.4Torrの減圧下、220〜
225℃に脱グリコール反応を8時間行って、やゝ黄味
を帯びた白色ワックス状、融点約110℃、数平均分子
量15,900、重量平均分子量44,000のポリエス
テル(III)が得られた。
【0034】高分子量ポリエステル(E)の合成 1リットルセパラブルフラスコにポリエステル(III)
を400g採取し、160℃に熔融して、マスクイソシ
アナートとしてキシリレンジイソシアナート188g
(1モル)とアセト酢酸メチル93g(0.8モル)と
の付加体を9g加えた。次で220℃迄昇温させ30分
間保持撹拌した。淡黄褐色ワックス状、融点約112〜
113℃、数平均分子量28,800、重量平均分子量
89,000のポリエステル(E)が得られた。
【0035】比較例 3 高分子量ポリエステル(F)の合成 1リットルセパラブルフラスコに同様にポリエステル
(III)400gを採り、160℃に熔融、撹拌しなが
らキシレンジイソシアナート6gを加えた。粘度は急速
に増大したがゲル化はしなかった。220℃迄昇温し、
30分同温度で撹拌した。得られた高分子量ポリエステ
ル(F)は淡黄褐色ワックス状、融点約112〜113
℃、数平均分子量30,400、重量平均分子量97,5
00であった。
【0036】フィルムの形成 実施例3で製造した高分子量ポリエステル(E)および
比較例3で製造した高分子量ポリエステル(F)を、そ
れぞれ実施例1と同様にして厚さ約60μm、10cm×
10cmの面積のフィルムを作成した。高分子量ポリエス
テル(E)のフィルムには、ミクロゲルが9〜10個と
やゝ多く認められたが、高分子量ポリエステル(F)の
フィルムには70〜75個が目視され、両者の間には著
しい差が認められた。
【0037】生分解性テスト 実施例1〜3および比較例1〜3で得られた高分子量ポ
リエステル(A)〜(F)から作成し、上記のミクロゲ
ルの測定に用いたフィルムを、赤城山麓の黒ボク土中下
約20cmに埋めて生分解テストを試みた。(A)、
(B)よりのフィルムは、いずれも3ケ月で崩壊の徴候
が見られ、6ケ月後には全体がボロボロとなった。
(C)、(D)よりのフィルムは、同様に3ケ月経過後
に分解の徴候が現れ、6ケ月後には消失して原形が認め
られなかった。(E)、(F)よりのフィルムは、分解
がやゝ遅く、6ケ月経過後に分解し始めた。いずれのテ
ストピースも1年後にはまったく消失して、残留物の存
在が認められなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明により、重量平均分子量50,0
00以上のウレタン結合を含む高分子量脂肪族ポリエス
テルを、ミクロゲルの発生を著しく低減させて製造する
ことができる。本発明の高分子量脂肪族ポリエステル
は、生分解性であり、フィルム、各種成形品、フィラメ
ントとして成形が可能であり、それぞれの用途に使用す
ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A](a)一般式 【化1】HO−(CH2n−OH で示されるグリコール(ここに、n=2〜10の範囲の
    偶数である)および1,4−シクロヘキサンジメタノー
    ルからなる群から選ばれた少なくとも1種のグリコール
    成分と、(b)一般式 【化2】HOOC−(CH2n−COOH で示されるジカルボン酸またはその誘導体(ここに、n
    =2〜10の範囲の偶数である)から選ばれた少なくと
    も1種の酸成分、とを反応して得られる重量平均分子量
    30,000以上、融点70℃以上の脂肪族ポリエステ
    ル100重量部に対して、 [B]1分子中に少なくとも1個のイソシアナート基と
    少なくとも1個のマスクイソシアナート基とを有する化
    合物0.5〜10重量部を反応させることにより、重量
    平均分子量50,000以上の高分子量脂肪族ポリエス
    テルを製造する方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の[A]において(a)成分と(b)
    成分を反応させる際に、さらに(c)成分として、多価ア
    ルコール、多価カルボン酸(またはその酸無水物)およ
    びオキシカルボン酸よりなる群から選ばれた、少なくと
    も1種類の三官能またはより以上の多官能化合物を存在
    させる、請求項1に記載の方法。
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