JPH07324126A - 生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents
生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造方法Info
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- JPH07324126A JPH07324126A JP6119051A JP11905194A JPH07324126A JP H07324126 A JPH07324126 A JP H07324126A JP 6119051 A JP6119051 A JP 6119051A JP 11905194 A JP11905194 A JP 11905194A JP H07324126 A JPH07324126 A JP H07324126A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 (1)1,4−シクロヘキサンジメタノール
を80モル%以上含むグリコール成分、(2)アジピン
酸(またはその無水物)を80モル%以上含むジカルボ
ン酸(またはその無水物)成分、および(3)前記グリ
コール成分とジカルボン酸成分の合計100モル%に対
して、0.1〜3モル%のグリセリンの3成分をエステ
ル化し、続いて脱グリコール反応を行い、融点90℃以
上且つ重量平均分子量30,000以上とする。また所
望により脱グリコール反応後、多価イソシアナートを反
応させる。 【効果】 ジカルボン酸成分の主原料としてアジピン酸
を用い、しかも環状脂肪族構造を有するものでありなが
ら、実用上十分な物性を有し、生分解性に優れる生分解
性環状脂肪族ポリエステルの製造方法が提供される。
を80モル%以上含むグリコール成分、(2)アジピン
酸(またはその無水物)を80モル%以上含むジカルボ
ン酸(またはその無水物)成分、および(3)前記グリ
コール成分とジカルボン酸成分の合計100モル%に対
して、0.1〜3モル%のグリセリンの3成分をエステ
ル化し、続いて脱グリコール反応を行い、融点90℃以
上且つ重量平均分子量30,000以上とする。また所
望により脱グリコール反応後、多価イソシアナートを反
応させる。 【効果】 ジカルボン酸成分の主原料としてアジピン酸
を用い、しかも環状脂肪族構造を有するものでありなが
ら、実用上十分な物性を有し、生分解性に優れる生分解
性環状脂肪族ポリエステルの製造方法が提供される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明性等の実用上十分
な物性に優れ、強靭な成形品を得ることができる生分解
性環状脂肪族ポリエステルの製造方法に関するものであ
る。
な物性に優れ、強靭な成形品を得ることができる生分解
性環状脂肪族ポリエステルの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術および課題】従来、環状脂肪族構造を有す
るポリエステルは、生分解性に乏しいとされてきた。事
実、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの環状脂
肪族のジカルボン酸を原料に用いたポリエステルは、容
易に生分解しないことが分かっている。一方、ジカルボ
ン酸成分としてアジピン酸を用いた場合、例えばエチレ
ングリコールや1,4−ブタンジオール等のグリコール
成分を使用してポリエステルを合成しても、その融点が
低く、いずれも60℃以下であって、成形品として実用
化をはかるには問題が残されている。
るポリエステルは、生分解性に乏しいとされてきた。事
実、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの環状脂
肪族のジカルボン酸を原料に用いたポリエステルは、容
易に生分解しないことが分かっている。一方、ジカルボ
ン酸成分としてアジピン酸を用いた場合、例えばエチレ
ングリコールや1,4−ブタンジオール等のグリコール
成分を使用してポリエステルを合成しても、その融点が
低く、いずれも60℃以下であって、成形品として実用
化をはかるには問題が残されている。
【0003】なお、本発明者らは先に特開平5−705
78号において、1,4−シクロヘキサンジメタノール
と、アジピン酸を含むジカルボン酸成分とをエステル化
し、脱グリコール反応を行い、次いで多価イソシアナー
トを反応させるポリエステルの製造方法を提案してい
る。しかしながら、この従来技術は、グリセリンを併用
していないため、分子量分布が本発明よりも小さく、ジ
カルボン酸成分の主原料としてアジピン酸を用いた場合
の欠点である低融点の課題についてはとくに言及されて
いない。
78号において、1,4−シクロヘキサンジメタノール
と、アジピン酸を含むジカルボン酸成分とをエステル化
し、脱グリコール反応を行い、次いで多価イソシアナー
トを反応させるポリエステルの製造方法を提案してい
る。しかしながら、この従来技術は、グリセリンを併用
していないため、分子量分布が本発明よりも小さく、ジ
カルボン酸成分の主原料としてアジピン酸を用いた場合
の欠点である低融点の課題についてはとくに言及されて
いない。
【0004】本発明は、ジカルボン酸成分の主原料とし
てアジピン酸を用い、しかも環状脂肪族構造を有するも
のでありながら、実用上十分な物性を有し、生分解性に
優れる生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造方法を提
供することを目的とするものである。
てアジピン酸を用い、しかも環状脂肪族構造を有するも
のでありながら、実用上十分な物性を有し、生分解性に
優れる生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造方法を提
供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、生分解性
環状脂肪族ポリエステル製造の際、ジカルボン酸成分と
してアジピン酸を用いた場合、グリコール成分として
1,4−シクロヘキサンジメタノール、さらにグリセリ
ンを併用すれば、融点および重量平均分子量が高まり、
実用上十分な物性を保持しながら、良好な生分解性を有
する環状脂肪族ポリエステルを製造することができるこ
とを見いだし、本発明を完成することができた。
環状脂肪族ポリエステル製造の際、ジカルボン酸成分と
してアジピン酸を用いた場合、グリコール成分として
1,4−シクロヘキサンジメタノール、さらにグリセリ
ンを併用すれば、融点および重量平均分子量が高まり、
実用上十分な物性を保持しながら、良好な生分解性を有
する環状脂肪族ポリエステルを製造することができるこ
とを見いだし、本発明を完成することができた。
【0006】すなわち本発明は、(1) 1,4−シク
ロヘキサンジメタノールを80モル%以上含むグリコー
ル成分、(2) アジピン酸(またはその無水物)を8
0モル%以上含むジカルボン酸(またはその無水物)成
分、および(3) 前記グリコール成分と前記ジカルボ
ン酸成分との合計100モル%に対して、0.1〜3モ
ル%のグリセリンの3成分をエステル化し、続いて脱グ
リコール反応を行い、融点90℃以上且つ重量平均分子
量30,000以上とすることを特徴とする、生分解性
環状脂肪族ポリエステルの製造方法を提供するものであ
る。
ロヘキサンジメタノールを80モル%以上含むグリコー
ル成分、(2) アジピン酸(またはその無水物)を8
0モル%以上含むジカルボン酸(またはその無水物)成
分、および(3) 前記グリコール成分と前記ジカルボ
ン酸成分との合計100モル%に対して、0.1〜3モ
ル%のグリセリンの3成分をエステル化し、続いて脱グ
リコール反応を行い、融点90℃以上且つ重量平均分子
量30,000以上とすることを特徴とする、生分解性
環状脂肪族ポリエステルの製造方法を提供するものであ
る。
【0007】また本発明は、脱グリコール反応後に得ら
れた融点90℃以上且つ重量平均分子量30,000以
上の生分解性環状脂肪族ポリエステル100重量部に対
して、多価イソシアナート0.1〜5重量部を加え、反
応させ、重量平均分子量を50,000以上とする、前
記の方法を提供するものである。
れた融点90℃以上且つ重量平均分子量30,000以
上の生分解性環状脂肪族ポリエステル100重量部に対
して、多価イソシアナート0.1〜5重量部を加え、反
応させ、重量平均分子量を50,000以上とする、前
記の方法を提供するものである。
【0008】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明に用いられるグリコール成分は、その80モル%以
上、好ましくは90モル%以上が1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールである。併用できるグリコール成分とし
ては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクチレン
グリコール、1,10−デカメチレングリコールなどが
挙げられる。グリコール成分は、そのすべてが1,4−
シクロヘキサンジメタノールであってもよい。1,4−
シクロヘキサンジメタノールは、高い融点を有するポリ
エステルを製造するために使用するものである。グリコ
ール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの割
合が80モル%未満では、高融点のポリエステルが得ら
れない。
発明に用いられるグリコール成分は、その80モル%以
上、好ましくは90モル%以上が1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールである。併用できるグリコール成分とし
ては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクチレン
グリコール、1,10−デカメチレングリコールなどが
挙げられる。グリコール成分は、そのすべてが1,4−
シクロヘキサンジメタノールであってもよい。1,4−
シクロヘキサンジメタノールは、高い融点を有するポリ
エステルを製造するために使用するものである。グリコ
ール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの割
合が80モル%未満では、高融点のポリエステルが得ら
れない。
【0009】本発明に用いられるジカルボン酸(または
その無水物)成分は、その80モル%以上、好ましくは
90モル%以上がアジピン酸(またはその無水物)であ
る。併用できる他のジカルボン酸成分としては、例え
ば、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、またはこれらの酸無水物などが挙げられる。ジカル
ボン酸(またはその無水物)成分は、そのすべてがアジ
ピン酸(またはその無水物)であってもよい。
その無水物)成分は、その80モル%以上、好ましくは
90モル%以上がアジピン酸(またはその無水物)であ
る。併用できる他のジカルボン酸成分としては、例え
ば、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、またはこれらの酸無水物などが挙げられる。ジカル
ボン酸(またはその無水物)成分は、そのすべてがアジ
ピン酸(またはその無水物)であってもよい。
【0010】グリコール成分およびジカルボン酸(また
はその無水物)成分の使用割合は、ジカルボン酸(また
はその無水物)成分1モルに対して、グリコール成分
1.05〜1.2モル位が好適である。
はその無水物)成分の使用割合は、ジカルボン酸(また
はその無水物)成分1モルに対して、グリコール成分
1.05〜1.2モル位が好適である。
【0011】本発明においては、エステル化の際に目的
を損なわない範囲内のグリセリンを併用すれば、例えば
分枝が導入されてその分子量分布が広がり、その結果、
熔融粘度のコントロール、成形性の改良に有用なものと
なり、しかも生分解性が高められて好ましい。
を損なわない範囲内のグリセリンを併用すれば、例えば
分枝が導入されてその分子量分布が広がり、その結果、
熔融粘度のコントロール、成形性の改良に有用なものと
なり、しかも生分解性が高められて好ましい。
【0012】グリセリンの使用量は、グリコール成分と
ジカルボン酸(またはその無水物)成分の合計100モ
ル%に対して、0.1〜3モル%であり、エステル化の
当初から加えることができる。グリセリンの使用量が
0.1モル%未満では、添加する意味が乏しく、3モル
%より多い場合は、反応中でのゲル化の危険性が増大す
る。
ジカルボン酸(またはその無水物)成分の合計100モ
ル%に対して、0.1〜3モル%であり、エステル化の
当初から加えることができる。グリセリンの使用量が
0.1モル%未満では、添加する意味が乏しく、3モル
%より多い場合は、反応中でのゲル化の危険性が増大す
る。
【0013】本発明において得られる生分解性環状脂肪
族ポリエステルは、重量平均分子量(以下、単に分子量
という)を30,000以上且つ融点を90℃以上とす
ることが必要であるが、そのためには、上記に示した各
原料をエステル化し、続いて脱グリコール反応を行うこ
とにより達成することができる。なお、得られる生分解
性環状脂肪族ポリエステルの分子量が30,000未満
であると、成形性並びに成形品の物性が共に実用的では
なくなる。また、融点を90℃以上と規定した理由は、
このような融点の生分解性環状脂肪族ポリエステルは、
ポリエチレンの成形機にそのままかけられ、さらに種々
の成形品を得るための物性を満たし得るからである。
族ポリエステルは、重量平均分子量(以下、単に分子量
という)を30,000以上且つ融点を90℃以上とす
ることが必要であるが、そのためには、上記に示した各
原料をエステル化し、続いて脱グリコール反応を行うこ
とにより達成することができる。なお、得られる生分解
性環状脂肪族ポリエステルの分子量が30,000未満
であると、成形性並びに成形品の物性が共に実用的では
なくなる。また、融点を90℃以上と規定した理由は、
このような融点の生分解性環状脂肪族ポリエステルは、
ポリエチレンの成形機にそのままかけられ、さらに種々
の成形品を得るための物性を満たし得るからである。
【0014】エステル化反応は、160〜230℃、5
〜16時間、好ましくは不活性ガス雰囲気下で実施する
ことができる。この温度より低温では反応速度が遅く実
用性に乏しい。またこの温度より高温では分解の危険性
が高くなり避けたほうがよい。従って180〜220℃
の間の温度で第1段のエステル化反応を実施することが
好ましい。エステル化反応は、環状脂肪族ポリエステル
の酸価が30以下、好ましくは15以下、さらに好適に
は10以下に達するまで実施される。この場合、分子量
が大きい程脱グリコール反応による分子量増大が円滑に
行えるので、高分子量のものが望ましい。
〜16時間、好ましくは不活性ガス雰囲気下で実施する
ことができる。この温度より低温では反応速度が遅く実
用性に乏しい。またこの温度より高温では分解の危険性
が高くなり避けたほうがよい。従って180〜220℃
の間の温度で第1段のエステル化反応を実施することが
好ましい。エステル化反応は、環状脂肪族ポリエステル
の酸価が30以下、好ましくは15以下、さらに好適に
は10以下に達するまで実施される。この場合、分子量
が大きい程脱グリコール反応による分子量増大が円滑に
行えるので、高分子量のものが望ましい。
【0015】脱グリコール反応は、5Torr以下の減圧
下、170〜230℃で2〜16時間実施される。より
好適には、1Torr以下の高真空下、180〜210℃で
実施することが、反応速度および分解防止の点から望ま
しい。得られる環状脂肪族ポリエステルは、末端基が実
質的にヒドロキシル基であり、酸価はゼロとなる。脱グ
リコール反応の際は、触媒を併用する必要がある。それ
らの例には、チタン、錫、アンチモン、セリウム、ゲル
マニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムか
らなる群から選ばれた、少なくとも一種の金属の有機ま
たは無機の金属化合物があげられ、使用量としては、生
成する環状脂肪族ポリエステル100重量部に対し、
0.001〜0.5重量部である。金属化合物触媒の使用
量が0.001重量部未満では、脱グリコール反応が遅
くなって実用的ではなくなり、0.5重量部より多く用
いても逆に分解反応を強める結果となり好ましくない。
望ましい使用量は、金属の種類によっても異なるが、
0.005〜0.2重量部である。金属化合物触媒として
は、例えば金属のアルコキサイド、有機酸塩、キレー
ト、酸化物等が用いられ、とくにチタンの有機化合物例
えばチタン酸アルキルエステル、チタンオキシアセチル
アセトネート、シュウ酸チタンなどの化合物が有用であ
る。いわゆる生分解性ポリエステルは土中または水中で
微生物崩壊を受けるが、金属触媒または金属は土中に残
留するとみられるので、安全なタイプでなければならな
い。そのような観点からすれば、望ましい金属として
は、チタン、ゲルマニウム、亜鉛、マグネシウム、カル
シウムなどがあげられる。
下、170〜230℃で2〜16時間実施される。より
好適には、1Torr以下の高真空下、180〜210℃で
実施することが、反応速度および分解防止の点から望ま
しい。得られる環状脂肪族ポリエステルは、末端基が実
質的にヒドロキシル基であり、酸価はゼロとなる。脱グ
リコール反応の際は、触媒を併用する必要がある。それ
らの例には、チタン、錫、アンチモン、セリウム、ゲル
マニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムか
らなる群から選ばれた、少なくとも一種の金属の有機ま
たは無機の金属化合物があげられ、使用量としては、生
成する環状脂肪族ポリエステル100重量部に対し、
0.001〜0.5重量部である。金属化合物触媒の使用
量が0.001重量部未満では、脱グリコール反応が遅
くなって実用的ではなくなり、0.5重量部より多く用
いても逆に分解反応を強める結果となり好ましくない。
望ましい使用量は、金属の種類によっても異なるが、
0.005〜0.2重量部である。金属化合物触媒として
は、例えば金属のアルコキサイド、有機酸塩、キレー
ト、酸化物等が用いられ、とくにチタンの有機化合物例
えばチタン酸アルキルエステル、チタンオキシアセチル
アセトネート、シュウ酸チタンなどの化合物が有用であ
る。いわゆる生分解性ポリエステルは土中または水中で
微生物崩壊を受けるが、金属触媒または金属は土中に残
留するとみられるので、安全なタイプでなければならな
い。そのような観点からすれば、望ましい金属として
は、チタン、ゲルマニウム、亜鉛、マグネシウム、カル
シウムなどがあげられる。
【0016】さらに、本発明は、上記のようにして得ら
れた分子量30,000以上且つ融点90℃以上の生分
解性環状脂肪族ポリエステル100重量部に、その熔融
状態において、1分子中に少なくとも2個のイソシアナ
ート基を有する多価イソシアナート0.1〜5重量部を
反応させ、分子量50,000以上とすることが好まし
い。このことにより生成する少量のウレタン結合を含む
生分解性環状脂肪族ポリエステルは、より良好な物性お
よび所望の生分解性を示し、インフレーション、ブロー
成形、射出成形などの従来の成形法で所望の成形品を得
ることができる。
れた分子量30,000以上且つ融点90℃以上の生分
解性環状脂肪族ポリエステル100重量部に、その熔融
状態において、1分子中に少なくとも2個のイソシアナ
ート基を有する多価イソシアナート0.1〜5重量部を
反応させ、分子量50,000以上とすることが好まし
い。このことにより生成する少量のウレタン結合を含む
生分解性環状脂肪族ポリエステルは、より良好な物性お
よび所望の生分解性を示し、インフレーション、ブロー
成形、射出成形などの従来の成形法で所望の成形品を得
ることができる。
【0017】用いられる多価イソシアナートは、成形品
の着色を避ける意味から脂肪族または環状脂肪族のタイ
プが望ましい。それらの例としては、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリ
レンジイソシアナート、水素化ジフェニルメタンジイソ
シアナート、並びにこれら多価イソシアナートと多価ア
ルコールとの付加物で、イソシアナート基を1分子中に
2個以上有する化合物、さらにはこれらの3量体、マス
クイソシアナート等が挙げられる。
の着色を避ける意味から脂肪族または環状脂肪族のタイ
プが望ましい。それらの例としては、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリ
レンジイソシアナート、水素化ジフェニルメタンジイソ
シアナート、並びにこれら多価イソシアナートと多価ア
ルコールとの付加物で、イソシアナート基を1分子中に
2個以上有する化合物、さらにはこれらの3量体、マス
クイソシアナート等が挙げられる。
【0018】多価イソシアナートの添加量は、上記のよ
うに、分子量30,000以上且つ融点90℃以上の生
分解性環状脂肪族ポリエステル100重量部に対し、多
価イソシアナート0.1〜5重量部である。0.1重量部
未満では多価イソシアナート利用の効果に乏しく、5重
量部を超えて用いてもゲル化の危険性が増大するのみで
増量の意味がない。より望ましくは0.3〜1重量部で
ある。多価イソシアナートは、分子量30,000以上
且つ融点90℃以上の生分解性環状脂肪族ポリエステル
の熔融状態において反応させると、その後の工程に便利
である。
うに、分子量30,000以上且つ融点90℃以上の生
分解性環状脂肪族ポリエステル100重量部に対し、多
価イソシアナート0.1〜5重量部である。0.1重量部
未満では多価イソシアナート利用の効果に乏しく、5重
量部を超えて用いてもゲル化の危険性が増大するのみで
増量の意味がない。より望ましくは0.3〜1重量部で
ある。多価イソシアナートは、分子量30,000以上
且つ融点90℃以上の生分解性環状脂肪族ポリエステル
の熔融状態において反応させると、その後の工程に便利
である。
【0019】本発明により得られた生分解性環状脂肪族
ポリエステルは、その実用化に当たって、所望の添加
剤、例えば無機あるいは有機のフィラー、補強材、着色
剤、滑剤、安定剤などを必要に応じて併用できることは
勿論である。
ポリエステルは、その実用化に当たって、所望の添加
剤、例えば無機あるいは有機のフィラー、補強材、着色
剤、滑剤、安定剤などを必要に応じて併用できることは
勿論である。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。実施例 1 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た1リットルのセパラブルフラスコに、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール296g、アジピン酸292g、グ
リセリン5g、テトライソプロピルチタネート0.06g
を仕込み、窒素気流中、当初190〜200℃、続いて
205〜210℃にエステル化して酸価14.7とした
後、220℃で8時間、最終的には0.5Torrの減圧下
に脱グリコール反応を行った。得られた環状脂肪族ポリ
エステル(a)は、淡アイボリー色、DSC測定による
融点102〜103℃、数平均分子量18,200、重
量平均分子量41,900であった。環状脂肪族ポリエ
ステル(a)300gを190℃で熔融し、ヘキサメチ
レンジイソシアナート4gを撹拌しながら加えた。粘度
は急速に増大したが、ゲル化はしなかった。さらに亜リ
ン酸0.1gを加えた。得られた生分解性環状脂肪族ポリ
エステル(A)の数平均分子量は30,100、重量平
均分子量は、87,300、DSC測定による融点は1
05℃であった。なお、参考までにそのDSC曲線を図
1に示す。環状脂肪族ポリエステル(a)と生分解性環
状脂肪族ポリエステル(A)を、それぞれ150℃、5
0kg/cm2でプレス成形し、さらに室温で4倍に一軸延
伸した厚さ約50μのフィルムは頗る透明で、環状脂肪
族ポリエステル(a)からのフィルムの引張強さは1
0.7kg/mm2、生分解性環状脂肪族ポリエステル(A)
からのフィルムの引張強さは11.4kg/mm2(JIS
K6760により測定)と強靭であった。これらのフィ
ルムを赤城山麓の黒ボク土中20cm下に埋め、生分解性
テストを行ったところ、環状脂肪族ポリエステル(a)
からのフィルムは5カ月目に生分解の徴候を示し、生分
解性環状脂肪族ポリエステル(A)からのフィルムは6
カ月目に部分的に孔があき、生分解の徴候を示した。ま
た、これらのフィルムを昭和高分子(株)高崎工場の排
水溝の水を用いて曝気テストを行ったところ、環状脂肪
族ポリエステル(a)からのフィルムは1.5カ月後に
分解が始まり、4カ月後には原形を止めなかった。また
生分解性環状脂肪族ポリエステル(A)からのフィルム
は約2カ月後に分解が始まり、5カ月後には原形を止め
ずボロボロとなった。
た1リットルのセパラブルフラスコに、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール296g、アジピン酸292g、グ
リセリン5g、テトライソプロピルチタネート0.06g
を仕込み、窒素気流中、当初190〜200℃、続いて
205〜210℃にエステル化して酸価14.7とした
後、220℃で8時間、最終的には0.5Torrの減圧下
に脱グリコール反応を行った。得られた環状脂肪族ポリ
エステル(a)は、淡アイボリー色、DSC測定による
融点102〜103℃、数平均分子量18,200、重
量平均分子量41,900であった。環状脂肪族ポリエ
ステル(a)300gを190℃で熔融し、ヘキサメチ
レンジイソシアナート4gを撹拌しながら加えた。粘度
は急速に増大したが、ゲル化はしなかった。さらに亜リ
ン酸0.1gを加えた。得られた生分解性環状脂肪族ポリ
エステル(A)の数平均分子量は30,100、重量平
均分子量は、87,300、DSC測定による融点は1
05℃であった。なお、参考までにそのDSC曲線を図
1に示す。環状脂肪族ポリエステル(a)と生分解性環
状脂肪族ポリエステル(A)を、それぞれ150℃、5
0kg/cm2でプレス成形し、さらに室温で4倍に一軸延
伸した厚さ約50μのフィルムは頗る透明で、環状脂肪
族ポリエステル(a)からのフィルムの引張強さは1
0.7kg/mm2、生分解性環状脂肪族ポリエステル(A)
からのフィルムの引張強さは11.4kg/mm2(JIS
K6760により測定)と強靭であった。これらのフィ
ルムを赤城山麓の黒ボク土中20cm下に埋め、生分解性
テストを行ったところ、環状脂肪族ポリエステル(a)
からのフィルムは5カ月目に生分解の徴候を示し、生分
解性環状脂肪族ポリエステル(A)からのフィルムは6
カ月目に部分的に孔があき、生分解の徴候を示した。ま
た、これらのフィルムを昭和高分子(株)高崎工場の排
水溝の水を用いて曝気テストを行ったところ、環状脂肪
族ポリエステル(a)からのフィルムは1.5カ月後に
分解が始まり、4カ月後には原形を止めなかった。また
生分解性環状脂肪族ポリエステル(A)からのフィルム
は約2カ月後に分解が始まり、5カ月後には原形を止め
ずボロボロとなった。
【0021】なお、本明細書において、数平均および重
量平均分子量は、以下の条件のGPCにより測定した値
である。 GPC測定条件 Shodex GPC SYSTEM−11(昭和電工社製) 溶離液 CF3COONa 5m mol/ヘキサフルオロイソプロピルア ルコール(HFIP)(1リットル) カラム サンプルカラム HFIP−800P HFIP−80M×2本 リファレンスカラム HFIP−800R×2本 カラム温度 40℃ 流量 1.0ml/分 検出器 Shodex RI STD: PMMA(Shodex STANDARD M−75)
量平均分子量は、以下の条件のGPCにより測定した値
である。 GPC測定条件 Shodex GPC SYSTEM−11(昭和電工社製) 溶離液 CF3COONa 5m mol/ヘキサフルオロイソプロピルア ルコール(HFIP)(1リットル) カラム サンプルカラム HFIP−800P HFIP−80M×2本 リファレンスカラム HFIP−800R×2本 カラム温度 40℃ 流量 1.0ml/分 検出器 Shodex RI STD: PMMA(Shodex STANDARD M−75)
【0022】実施例 2 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た1リットルのセパラブルフラスコに、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール290g、アジピン酸277g、ド
デカン二酸23g、グリセリン5g、テトライソプロピル
チタネート0.06gを仕込み、窒素気流中、200〜2
05℃にエステル化して酸価10.3とした後、220
℃で7時間、最終的には0.6Torrの減圧下に脱グリコ
ール反応を行った。得られた環状脂肪族ポリエステル
(b)は、アイボリー色、DSC測定による融点98
℃、数平均分子量20,200、重量平均分子量48,9
00であった。環状脂肪族ポリエステル(b)300g
を190℃で熔融し、イソホロンジイソシアナート5g
を撹拌しながら加えた。粘度は急速に増大したが、ゲル
化はしなかった。さらに亜リン酸0.2gを加えた。その
結果、純白の生分解性環状脂肪族ポリエステル(B)が
得られ、その数平均分子量は33,300、重量平均分
子量は206,000、DSC測定による融点は100
℃であった。環状脂肪族ポリエステル(b)と生分解性
環状脂肪族ポリエステル(B)を、それぞれ実施例1と
同様に厚さ約50μのフィルムとした。環状脂肪族ポリ
エステル(b)からのフィルムの引張強さは8.9kg/m
m2、生分解性環状脂肪族ポリエステル(B)からのこの
フィルムの引張強さは、13.4kg/mm2と頗る強靭であ
った。さらに、実施例1と同様の生分解性テストを行っ
たところ、ほぼ同様の生分解性を示した。
た1リットルのセパラブルフラスコに、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール290g、アジピン酸277g、ド
デカン二酸23g、グリセリン5g、テトライソプロピル
チタネート0.06gを仕込み、窒素気流中、200〜2
05℃にエステル化して酸価10.3とした後、220
℃で7時間、最終的には0.6Torrの減圧下に脱グリコ
ール反応を行った。得られた環状脂肪族ポリエステル
(b)は、アイボリー色、DSC測定による融点98
℃、数平均分子量20,200、重量平均分子量48,9
00であった。環状脂肪族ポリエステル(b)300g
を190℃で熔融し、イソホロンジイソシアナート5g
を撹拌しながら加えた。粘度は急速に増大したが、ゲル
化はしなかった。さらに亜リン酸0.2gを加えた。その
結果、純白の生分解性環状脂肪族ポリエステル(B)が
得られ、その数平均分子量は33,300、重量平均分
子量は206,000、DSC測定による融点は100
℃であった。環状脂肪族ポリエステル(b)と生分解性
環状脂肪族ポリエステル(B)を、それぞれ実施例1と
同様に厚さ約50μのフィルムとした。環状脂肪族ポリ
エステル(b)からのフィルムの引張強さは8.9kg/m
m2、生分解性環状脂肪族ポリエステル(B)からのこの
フィルムの引張強さは、13.4kg/mm2と頗る強靭であ
った。さらに、実施例1と同様の生分解性テストを行っ
たところ、ほぼ同様の生分解性を示した。
【0023】
【発明の効果】本発明によって、ジカルボン酸成分の主
原料としてアジピン酸を用い、しかも環状脂肪族構造を
有するものでありながら、実用上十分な物性を有し、生
分解性に優れる生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造
方法が提供される。
原料としてアジピン酸を用い、しかも環状脂肪族構造を
有するものでありながら、実用上十分な物性を有し、生
分解性に優れる生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造
方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた生分解性環状脂肪族ポリエ
ステルのDSC曲線を示す図である。
ステルのDSC曲線を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】(1) 1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールを80モル%以上含むグリコール成分、 (2) アジピン酸(またはその無水物)を80モル%
以上含むジカルボン酸(またはその無水物)成分、およ
び (3) 前記グリコール成分と前記ジカルボン酸成分と
の合計100モル%に対して、0.1〜3モル%のグリ
セリンの3成分をエステル化し、続いて脱グリコール反
応を行い、融点90℃以上且つ重量平均分子量30,0
00以上とすることを特徴とする、生分解性環状脂肪族
ポリエステルの製造方法。 - 【請求項2】 脱グリコール反応後に得られた融点90
℃以上且つ重量平均分子量30,000以上の生分解性
環状脂肪族ポリエステル100重量部に対して、多価イ
ソシアナート0.1〜5重量部を加え、反応させ、重量
平均分子量を50,000以上とする、請求項1に記載
の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6119051A JPH07324126A (ja) | 1994-05-31 | 1994-05-31 | 生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6119051A JPH07324126A (ja) | 1994-05-31 | 1994-05-31 | 生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07324126A true JPH07324126A (ja) | 1995-12-12 |
Family
ID=14751696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6119051A Pending JPH07324126A (ja) | 1994-05-31 | 1994-05-31 | 生分解性環状脂肪族ポリエステルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07324126A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20020094104A (ko) * | 2001-06-07 | 2002-12-18 | 주찬하이텍 주식회사 | 분해성 바이오 신 물질 |
-
1994
- 1994-05-31 JP JP6119051A patent/JPH07324126A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20020094104A (ko) * | 2001-06-07 | 2002-12-18 | 주찬하이텍 주식회사 | 분해성 바이오 신 물질 |
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