JPH07109246A - 5−ヒドロキシイソフタル酸の製造方法 - Google Patents

5−ヒドロキシイソフタル酸の製造方法

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JPH07109246A
JPH07109246A JP5277904A JP27790493A JPH07109246A JP H07109246 A JPH07109246 A JP H07109246A JP 5277904 A JP5277904 A JP 5277904A JP 27790493 A JP27790493 A JP 27790493A JP H07109246 A JPH07109246 A JP H07109246A
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毅 行方
Ikuo Ito
育夫 伊藤
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和彦 前田
Toshio Sato
利雄 佐藤
Keiichi Yokota
圭一 横田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 5−アシルオキシメタキシレンから色調の良
い高品位の5−ヒドロキシイソフタル酸を高収率で得る
方法の提供。 【構成】 5−アシルオキシメタキシレンおよびその酸
化中間体を、低級脂肪族カルボン酸と無水酢酸とからな
る溶媒中、コバルトを主成分とする重金属と臭素化合物
とからなる触媒の存在下、分子状酸素により酸化し、加
水分解して5−ヒドロキシイソフタル酸を製造する方法
の改良であって、触媒として使用する重金属1グラム原
子につき、アルカリ金属原子として0.1 〜1.1 グラム原
子に相当する量のアルカリ金属化合物を存在させ、2〜
15kg/cm2 Gの圧力下で酸化することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高機能性高分子化合
物、医薬、農薬の原料として有用な5−ヒドロキシイソ
フタル酸(以下5−HIPAと略す)の製造方法の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】5−HIPAはイソフタル酸をスルホン
化した後、アルカリ溶融することにより製造できること
は公知である。しかし、この製造方法では多量の発煙硫
酸や苛性ソーダ等のアルカリ性物質を使用すること、ス
ルホン化反応の選択性に乏しいこと、アルカリ溶融の工
程で副生成物を多量に生成すること、高温高圧下に反応
しなければならないこと等技術的に大きな問題点が存在
し、多量にかつ安価に高純度の5−HIPAをこの製造
方法に従って製造することは非常に困難である。
【0003】また、低級脂肪族カルボン酸と無水酢酸の
存在下、コバルト化合物と臭素化合物を、またはコバル
ト化合物とマンガン化合物と臭素化合物を使用し、分子
状酸素で5−アシルオキシメタキシレンを酸化した後、
加水分解することにより5−HIPAが製造できること
も公知である(例えば特公昭57−15737号公
報)。しかし上記製造方法は、酸素または空気を用いて
20〜50kg/cm2 Gという高圧下での酸化反応で
あるため、生成する5−アシルオキシイソフタル酸の色
調が良好でない。即ち製品は黄褐色ないし灰色に着色し
ており、かつ収率も十分ではないという問題点を有して
いた。このような着色した5−アシルオキシイソフタル
酸を加水分解しても高機能性高分子化合物、医薬、農薬
の原料として使用できる高品位の5−HIPAは得られ
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点を解決すべく鋭意検討した結果、低級脂肪族カルボ
ン酸と無水酢酸の存在下、公知のコバルト化合物と臭素
化合物とからなる触媒とともに反応系にある特定量のア
ルカリ金属化合物を共存させて、2〜15kg/cm2
Gという従来よりも低圧力下で5−アシルオキシメタキ
シレンを液相空気酸化することによって、上記問題点が
解決されることを見出し本発明に到達した。
【0005】従って本発明の目的は、5−アシルオキシ
メタキシレンを液相空気酸化して、高機能性高分子化合
物、医薬、農薬の原料として使用できる高品位の5−H
IPAを高い収率で、より安価に製造する方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は5−ア
シルオキシメタキシレンおよびその酸化中間体を、低級
脂肪族カルボン酸と無水酢酸とからなる溶媒中、コバル
トを主成分とする重金属と臭素化合物とからなる触媒の
存在下、分子状酸素により酸化した後、加水分解するこ
とにより5−ヒドロキシイソフタル酸を製造する方法に
おいて、アルカリ金属化合物を、触媒として使用する重
金属1グラム原子につきアルカリ金属原子として0.1
〜1.1グラム原子に相当する量を存在させ、2〜15
kg/cm2 Gの圧力下で酸化することを特徴とする5
−ヒドロキシイソフタル酸の製造方法である。以下に本
発明を詳細に説明する。
【0007】本発明で酸化原料として用いる5−アシル
オキシメタキシレンは、3,5−ジメチルフェノールを
カルボン酸、カルボン酸無水物又は酸塩化物でエステル
化することにより得られるが、エステル化剤が液状のカ
ルボン酸無水物である場合にはエステル化反応混合物を
そのまま酸化原料として使用することができるので好ま
しい。例えば、5−アセトオキシメタキシレンは、3,
5−ジメチルフェノールを過剰の無水酢酸とを加熱反応
させ、反応終了後蒸留することによって得られるが、蒸
留することなく反応混合物を酸化原料として使用するこ
とも可能である。3,5−ジメチルフェノールのエステ
ル化に使用するカルボン酸は酢酸、プロピオン酸、酪酸
等の脂肪族カルボン酸であり、カルボン酸無水物は無水
酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン
酸の無水物であり、さらに酸塩化物は塩化アセチル、塩
化プロピオニル、塩化ブタノイル等の脂肪族カルボン酸
の塩化物である。また5−アシルオキシメタトルイル酸
等、5−アシルオキシメタキシレンの酸化中間体も酸化
原料として用いることができる。
【0008】本発明で溶媒として使用する低級脂肪族カ
ルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等であ
り、好ましくは酢酸、プロピオン酸、およびそれらの混
合物である。
【0009】本発明においては溶媒として上記低級脂肪
族カルボン酸に無水酢酸を加えるが、無水酢酸の使用量
は5−アシルオキシメタキシレン1モルに対して2モル
以上が好ましい。低級脂肪族カルボン酸と無水酢酸とか
らなる溶媒の使用量は、好ましくは5−アシルオキシメ
タキシレンの濃度が0.2〜2.0モル/kg−溶媒、
特に好ましくは0.4〜1.4モル/kg−溶媒となる
量である。5−アシルオキシメタキシレンの濃度が2.
0モル/kg−溶媒を超えると5−アシルオキシイソフ
タル酸の収率が低下する。
【0010】本発明ではコバルトを主成分とする重金属
化合物と臭素化合物とからなる触媒を使用し、これらの
触媒構成成分を以下に示すような形で加える。コバルト
化合物としては、低級脂肪族カルボン酸と無水酢酸とか
らなる溶媒に溶解する化合物であればよく、酢酸塩、炭
酸塩、水酸化物、臭化物等が挙げられる。コバルト化合
物の添加量は、コバルト金属として5−アシルオキシメ
タキシレンに対して好ましくは0.4〜8重量%、特に
好ましくは0.6〜5.4重量%である。なお、重金属
触媒としてコバルト化合物に加えて、マンガン化合物、
セリウム化合物を併用することも可能である。
【0011】臭素化合物としては、臭化カリウム、臭化
ナトリウム、臭化アンモニウム等がもちいられる。臭素
化合物の添加量は、5−アシルオキシメタキシレンに対
して0.5〜15重量%、特に0.9〜12重量%が好
ましい。
【0012】本発明においては低級脂肪族カルボン酸と
無水酢酸とからなる溶媒、コバルト化合物と臭素化合物
を主成分とする触媒に加えて、アルカリ金属化合物を反
応系に共存させることにより、酸化反応生成物質である
5−アシルオキシイソフタル酸の色調を改善し、収率を
向上させることができる。このために使用するアルカリ
金属化合物としては、臭化物、酢酸塩、炭酸塩、水酸化
物等が適当である。アルカリ金属化合物の添加量は、触
媒として使用する重金属1グラム原子につきアルカリ金
属原子として0.1〜1.1グラム原子、特に0.5〜
1.0グラム原子に相当する量が好ましい。0.1グラ
ム原子未満では色調を改善する効果が小さく、又収率も
低下し、高品位の5−アシルオキシイソフタル酸は得ら
れない。1.1グラム原子を超えると触媒活性が低下
し、5−アシルオキシイソフタル酸の収率が低下するの
で好ましくない。
【0013】反応温度は一般的には60〜150℃、好
ましくは95〜125℃である。反応温度が高い場合に
は、5−アシルオキシイソフタル酸の収率が低下する。
【0014】本発明においては、アルカリ金属化合物を
反応系に共存させるとともに、反応圧力を2〜15、k
g/cm2 G、好ましくは5〜12kg/cm2 Gの範
囲にすることによって5−アシルオキシイソフタル酸の
色調が改善される。これまで、この種の酸化反応におい
ては、高収率を得るために高い反応圧力が必要と考えら
れていたのであるが、5−アシルオキシメタキシレンの
酸化反応においては、従来の15kg/cm2 G以上と
いう高い反応圧力下では、酸素分圧が高まるので酸化反
応速度は大きくなるが、5−アシルオキシイソフタル酸
および酸化中間体の解裂、および解裂による重合、縮合
等の副反応を生じて5−アシルオキシイソフタル酸の収
率が低下すると共に、色調が不良となり好ましくない。
本発明はアルカリ金属化合物を特定量存在させることに
よって従来の方法よりも低い反応圧力の方がむしろ収率
良く目的物が得られ、しかも圧力を下げることにより、
副反応が防止され、収率、製品の品質ともに改善される
ことを見出したものである。しかし反応圧力が2kg/
cm2 G未満では酸化反応速度が低下するために工業的
な観点から好ましくない。
【0015】得られた5−アシルオキシイソフタル酸
は、公知の方法により加水分解して5−HIPAとする
ことができる。
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
する。
【0016】[実施例1]還流冷却器、ガス吹込み管、
および撹拌機を備えた内容積0.5リットルのチタン製
オートクレーブに、溶媒として酢酸170g、無水酢酸
70g、触媒およびアルカリ金属化合物として、酢酸コ
バルト4水和物1.40g、臭化カリウム0.67g、
原料として純度99.0重量%の5−アセトキシメタキ
シレン(5−AMXと略す)24.6gを仕込んだ。反
応温度を115℃に保ちながら、反応圧力10kg/c
2 Gで排ガスの酸素濃度が5容量%となるように空気
を流し、酸素吸収が認められなくなるまで反応した。
【0017】反応終了後、オートクレーブが40℃に冷
えてから酸化反応液を取出し室温(15℃)まで冷却
し、主として5−アセトキシイソフタル酸(5−AIP
Aと略す)からなる固形物をろ別した。これを少量の酢
酸で洗浄後、乾燥して純度99.8重量%の白色の5−
AIPA30.0gを得た。これは固形物を分離した酸
化反応母液に含まれる5−AIPAとを合わせて、原料
5−AMX基準で95.7モル%の収率であった。他の
実施例、比較例の結果とともに表1及び表2に示す。
【0018】[実施例2]酢酸コバルト4水和物の量を
0.70gとし、臭化コバルト6水和物を0.92g加
え、又臭化カリウムの代りに酢酸カリウム0.55gを
加えた以外は実施例1と同様にして5−AIPAを製造
した。純度99.8重量%、白色の5−AIPAが収率
95.1モル%で得られた。
【0019】[比較例1]酢酸カリウムを添加しなかっ
た以外は実施例2と同様にして5−AIPAを製造し
た。得られた5−AIPAは黄白色で純度93.4重量
%であった。
【0020】[実施例3]圧力を5kg/cm2 Gとし
た以外は実施例1と同様にして反応させた。純度99.
8重量%、白色の5−AIPAが収率91.0モル%で
得られた。
【0021】[比較例2]5−AMX、酢酸、無水酢
酸、酢酸コバルト4水和物を表1に示す量で添加し、臭
素化合物として臭化アンモニウム0.42gを加え、圧
力5kg/cm2 Gで反応させた。収率は37.2モル
%であり、得られた5−AIPAは黄色で純度93.0
重量%であった。
【0022】[実施例4]臭化カリウムを等モルの臭化
ナトリウム(0.58g)に置換えた以外は実施例1と
同様にして反応させた。白色の5−AIPAが得られ、
収率は95.0モル%であった。
【0023】[実施例5]酢酸コバルト4水和物及び臭
化カリウムの量を実施例1の2倍量用いた以外は実施例
1と同様にして反応させた。94.2モル%の収率で白
色の5−AIPAが得られた。
【0024】[比較例3]実施例5の処方に酢酸カリウ
ムを0.29g加え、カリウム/コバルト比(グラム原
子/グラム原子)を1.3とした以外は実施例5と同様
にして反応させた。白色の5−AIPAが得られたが、
収率は87.1モル%であった。
【0025】[比較例4]酢酸コバルト4水和物及び臭
化カリウムの添加量を実施例5の2倍量とし、圧力を3
0kg/cm2 Gとした以外は実施例5と同様にして反
応させた。収率は84.6モル%で、得られた5−AI
PAは黄色であった。
【0026】[比較例5]臭化カリウム1.34gの代
わりに臭化ナトリウム1.60g(ナトリウム/コバル
ト比1.4)、反応圧力を30kg/cm2 Gにした以
外は比較例3と同様にして反応させた。収率は90.5
モル%に改善されたが、得られた5−AIPAは黄白色
であった。
【0027】[実施例6]実施例3と同じ触媒を用い、
5−AMXの量を16.2gとした以外は実施例3と同
様にして反応させた。95.7モル%の収率で白色の5
−AIPAが得られた。
【0028】[実施例7]実施例1と同じ触媒を用い、
5−AMX、酢酸及び無水酢酸の量を表2記載のとおり
にした以外は実施例1と同様にして反応させた。91.
4モル%の収率で白色の5−AIPAが得られた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、特定量のアルカリ金属
化合物を共存させたコバルト化合物と臭素化合物とから
なる触媒を用い、従来よりも低圧力下で5−アシルオキ
シメタキシレンを液相空気酸化することにより、高収率
で色調の優れた高品位の5−HIPAが得られるので、
5−HIPAの工業的製法として価値が大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 利雄 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住金化 工株式会社開発研究所内 (72)発明者 横田 圭一 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住金化 工株式会社開発研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5−アシルオキシメタキシレンおよびそ
    の酸化中間体を、低級脂肪族カルボン酸と無水酢酸とか
    らなる溶媒中、コバルトを主成分とする重金属と臭素化
    合物とからなる触媒の存在下、分子状酸素により酸化し
    た後、加水分解することにより5−ヒドロキシイソフタ
    ル酸を製造する方法において、アルカリ金属化合物を、
    触媒として使用する重金属1グラム原子につきアルカリ
    金属原子として0.1〜1.1グラム原子に相当する量
    を存在させ、2〜15kg/cm2 Gの圧力下で酸化す
    ることを特徴とする5−ヒドロキシイソフタル酸の製造
    方法。
JP5277904A 1993-10-08 1993-10-08 5−ヒドロキシイソフタル酸の製造方法 Pending JPH07109246A (ja)

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EP94115834A EP0647610B1 (en) 1993-10-08 1994-10-07 A process for manufacturing 5-hydroxyisophthalic acid
DE69412557T DE69412557D1 (de) 1993-10-08 1994-10-07 Verfahren zur Herstellung von 5-Hydroxyisophthalsäure

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US5416256A (en) 1995-05-16
DE69412557D1 (de) 1998-09-24
EP0647610B1 (en) 1998-08-19
EP0647610A1 (en) 1995-04-12

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