JPH07108695A - 耐摩耗性被膜およびそれを用いたサーマルヘッド - Google Patents

耐摩耗性被膜およびそれを用いたサーマルヘッド

Info

Publication number
JPH07108695A
JPH07108695A JP25683193A JP25683193A JPH07108695A JP H07108695 A JPH07108695 A JP H07108695A JP 25683193 A JP25683193 A JP 25683193A JP 25683193 A JP25683193 A JP 25683193A JP H07108695 A JPH07108695 A JP H07108695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
thermal head
protective film
heating resistor
resistant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP25683193A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Kikuchi
誠 菊池
Takashi Ishigami
隆 石上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP25683193A priority Critical patent/JPH07108695A/ja
Publication of JPH07108695A publication Critical patent/JPH07108695A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electronic Switches (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 局所的な応力に対する耐クラック性に優れた
耐摩耗被膜を提供する。また、印字性能の安定性に優れ
るサーマルヘッドを提供する。 【構成】 Ti、ZrおよびHfから選ばれた少なくとも 1種
の元素を含む金属ホウ化物を主成分とする第1の層(7
b)と、同様な金属ホウ化物を含有し、かつ電気絶縁性
を有する第2の層(7a)とを具備し、第1の層と第2
の層との少なくとも 2層の積層体により構成した耐摩耗
性被膜である。サーマルヘッドは、絶縁性支持基体
(1、2)と、この絶縁性支持基体上に配置された発熱
抵抗体層4と、この発熱抵抗体層4上に設けられた給電
用の導体層5と、これらを保護する保護膜7とを具備す
る。このようなサーマルヘッドの保護膜7として、上記
した耐摩耗性被膜(7a、7b)を用いる。この耐摩耗
性被膜は、第2の層7aが導体層5側に位置するように
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サ―マルヘッドや密着
センサ等の保護層に好適な耐摩耗性被膜とそれを用いた
サ―マルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】サーマルヘッドは、少音、省保守、低ラ
ンニングコスト等の利点を生かして、ファクシミリ、ワ
ードプロセッサ用プリンタ等の各種記録装置に多用され
るようになってきている。一方、各種電子機器には小型
化、低価格化、低電力化等が要請されており、サーマル
ヘッドにも小型で安価で、かつ高効率のものが望まれて
いる。
【0003】このような要望を満たすサーマルヘッドと
して、グレーズガラス層を有するアルミナ基板等に代え
て、保温層として、ポリイミド樹脂等の耐熱性に優れ、
かつ低い熱拡散率を有する樹脂層を有する高抵抗基体を
用いたサーマルヘッドが注目されている。この耐熱性樹
脂層を有するサーマルヘッドは、例えば金属基板上にポ
リイミド樹脂等からなる保温層を設け、この保温層上に
下地層さらに発熱抵抗体層と個別電極および共通電極と
なる導体層とを順に形成し、さらに最外層に発熱抵抗体
層や導体層を保護するための保護膜を被覆形成すること
によって構成されている。この保護膜は、動作時に記録
用紙と摺接されるため、その摩耗に耐え得るように、例
えばSi-O-N、Si3 N 4 、 SiC等の硬質セラミックスがそ
の材質として使用されている。
【0004】上述したようなサーマルヘッドは、耐熱性
等の点では充分に動作に耐えられることが確認されてい
るものの、このサーマルヘッドをファクシミリ等の装置
に組み込んで実稼働させると、走行中に異常な抵抗値変
化が起りやすく、印字に悪影響を及ぼすという問題があ
った。そこで、本発明者らがこのような異常な抵抗値変
化を示した特異点を詳細に調べた結果、上記した異常な
抵抗値変化は、サーマルヘッドと感熱紙の間に巻き込ま
れた塵芥等の異物が保護膜にクラックを生じさせ、この
クラックが発熱抵抗体まで達した場合に起こる現象であ
ることが分かった。
【0005】さらに検討した結果、このような現象は、
従来のグレーズガラス層を有するアルミナ基板や、ガラ
ス層を有する金属基体を高抵抗基体として用い、他の構
成が同じサ―マルヘッドではあまり認められず、保温層
として樹脂層を用いた場合に特に顕著に生じる現象であ
ることが分かった。これは、ガラス層を保温層として用
いた場合、ガラス層は硬度が高く、また保護膜と同程度
の変形しか生じないために、保護膜の局部的な変形が阻
止されるのに対し、ポリイミド等の樹脂は弾性が大き
く、変形能が保護膜より著しく大きいため、保護膜に局
所的な集中荷重が加わった場合に、樹脂からなる保温層
は大きく変形するが、保護膜はこの変形に追従できず、
保護膜が割れてしまうためと考えられる。
【0006】このため、上述したような種々の保護膜材
料が検討されているものの、例えばSi-O-Nや SiO2 は硬
度に乏しく、またSi3 N 4 は靭性に乏しいため、いずれ
もクラックの発生を十分に抑制することができず、実用
的な使用に耐え得るものではなかった。一方、高硬度、
高靭性の保護膜材料として、サイアロン膜(特開昭60-4
077号公報、同 62-3968号公報等参照)が知られてい
る。しかし、サイアロン膜は、例えばAr雰囲気中でスパ
ッタリングを行った場合、スパッタレートが低く、しか
もこの雰囲気中ではAlが金属成分として析出しやすいた
め、電気絶縁性が低下しやすく、また膜応力が高いため
に剥離しやすいという問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ポリ
イミド樹脂等の低熱拡散率を有する耐熱性樹脂を保温層
として用いることにより、熱効率に優れ、かつ曲げ加工
が可能で小型化し易いサーマルヘッドが得られる半面、
塵芥の巻き込み等により保護膜に局所的な応力が加わっ
た際に、樹脂層と保護膜との変形量の差が大きいことか
ら、保護膜にクラックが生じやすいという問題があっ
た。このように、保護膜にクラックが生じ、それが発熱
抵抗体まで達すると、抵抗値異常を起こし、印字性能の
劣化を招いてしまう。
【0008】一方、上述したような保護膜はサーマルヘ
ッドに限らず、密着型イメージセンサ等の各種固体デバ
イスにおいても用いられており、これらにおいてもその
構造によっては、同様なクラック発生の問題が生じてい
る。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、局所的な応力に対する耐クラック性
に優れた耐摩耗被膜を提供することを目的としており、
さらには保護膜の耐クラック性および膜の付着力を向上
させることによって、良好な印字性能を安定して得るこ
とを可能にしたサーマルヘッドを提供することを目的と
している。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明における第1の耐
摩耗性被膜は、Ti、ZrおよびHfから選ばれた少なくとも
1種の元素を含む金属ホウ化物を主成分とする少なくと
も 1層以上の積層体からなることを特徴としている。ま
た、上記耐摩耗性被膜において、前記積層体は少なくと
も 1層以上が電気絶縁性を有することを特徴としてい
る。
【0011】また、第2の耐摩耗性被膜は、Ti、Zrおよ
びHfから選ばれた少なくとも 1種の元素を含む金属ホウ
化物を主成分とする第1の層と、Ti、ZrおよびHfから選
ばれた少なくとも 1種の元素を含む金属ホウ化物を含有
し、かつ電気絶縁性を有する第2の層とを具備し、前記
第1の層および第2の層の少なくとも 2層の積層体によ
り構成したことを特徴としている。
【0012】本発明における第1のサーマルヘッドは、
絶縁性支持基体と、この絶縁性支持基体上に配置された
発熱抵抗体層と、この発熱抵抗体層上に設けられた該発
熱抵抗体への給電用の導体層と、これら発熱抵抗体層お
よび導体層を保護する保護膜とを具備するサーマルヘッ
ドにおいて、上記本発明における第1の耐摩耗性被膜に
より構成されていることを特徴としている。
【0013】また、第2のサーマルヘッドは、絶縁性支
持基体と、この絶縁性支持基体上に配置された発熱抵抗
体層と、この発熱抵抗体層上に設けられた該発熱抵抗体
への給電用の導体層と、これら発熱抵抗体層および導体
層を保護する保護膜とを具備するサーマルヘッドにおい
て、前記保護膜は上記本発明における第2の耐摩耗性被
膜により構成されており、かつ前記第2の層が前記導体
層側に設けられていることを特徴としている。
【0014】すなわち、本発明の耐摩耗性被膜は、Ti、
ZrおよびHfから選ばれた少なくとも1種の元素を含む金
属ホウ化物が高硬度を有すると共に、適度な靭性を有す
ることから、優れた耐摩耗性と膜破壊強度を同時に満足
し得ることを見出したことに基いて成されたものであ
る。
【0015】また、Ti、Zr、Hf等のホウ化物(以下、IV
a 族元素のホウ化物と記す)は、その組成比によっては
導電性を示すため、単独で固体デバイスの保護膜として
使用すると、その動作を阻害するおそれがある。例え
ば、サーマルヘッドの保護膜として、IVa 族元素のホウ
化物を単独で使用すると、発熱抵抗体層へ流れる電流の
一部が保護膜へも分流され、印字による摩耗と共に発熱
部の抵抗値が増大し、特性劣化を生じることとなる。そ
こで、本発明の第2の耐摩耗性被膜においては、耐摩耗
性と膜破壊強度に優れるIVa 族元素のホウ化物を主成分
とする層と、IVa族元素のホウ化物を含有し、かつ電気
絶縁性を有する第2の層との少なくとも 2層の積層構造
体によって、耐摩耗性被膜を構成することが好ましい。
【0016】本発明の耐摩耗性被膜における第1の層
は、主に耐摩耗性を発揮するため、他部材と摺接する側
に設けられる。また、本発明における第2の層は、上記
した第1の層と固体デバイス等との電気絶縁ならびに基
板との密着性を高めるための層である。ここで、他の電
気絶縁性セラミックス系材料、例えば SiO2 、Si3 N
4、Al2 O 3 等による層を介在させることも考えられる
が、これらではIVa 族元素のホウ化物との界面に発生す
る応力が大きくなることから、熱衝撃が加わった際等に
界面破壊を起こすおそれが大きい。よって、本発明にお
いては、IVa 族元素のホウ化物を含有し、かつ電気絶縁
性を有する第2の層を用いることによって、第1の層と
固体デバイスとを電気的に絶縁した上で、これらの層間
の応力を緩和している。なお、第2の層に含まれるIVa
族元素のホウ化物は、第1の層の構成材料と同組成の化
合物であっても、また異組成の化合物であってもよい。
【0017】このような条件を満足する第2の層の構成
材料としては、例えばIVa 族元素のホウ化物と、電気絶
縁性を有する金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物およ
びこれらの複合化物等との複合物(混合物や複合化合物
等)が挙げられる。例えば、IVa 族元素のホウ化物と、
SiOx (例えば SiO2 )、Six N y (例えばSi3 N 4
および SiOx N y 、 SiCから選ばれた少なくとも 1種と
の複合物が例示される。なお、IVa 族元素のホウ化物と
複合する電気絶縁物としては、上記した化合物以外に、
B4 C 、 ZrO2 、Al2 O 3 、 TiO2 、Ta2 O 5 、 AlN、
HfO2 等を用いることも可能であり、またこれらのアモ
ルファス材料も有効である。
【0018】上記したIVa 族元素のホウ化物と電気絶縁
物との複合比率は、十分な電気絶縁性が得られるよう
に、例えば比抵抗が 1×108 Ωcm以上となるように、使
用材料に応じて適宜設定するものとする。より好ましい
比抵抗は 1×109 Ωcm以上である。また、第1の層と第
2の層との界面応力の点からは、IVa 族元素のホウ化物
が10mol%以上となるように複合比率を設定することが好
ましい。より好ましいIVa 族元素のホウ化物の複合比率
は15mol%以上である。
【0019】本発明の第1の耐摩耗性被膜は、スパッタ
リング法やプラズマCVD法等の各種薄膜形成法を適用
して、上述した金属ホウ化物を主成分とする層を成膜す
ることにより得られる。また、本発明の第2の耐摩耗性
被膜は、スパッタリング法やプラズマCVD法等の各種
薄膜形成法を適用して、上述した第1の層と第2の層の
各構成材料の薄膜を順に成膜することにより得られる。
【0020】例えば、スパッタリング法により成膜する
場合のスパッタターゲットとしては、第1の層および第
2の層の各構成材料の焼結体が用いられる。ターゲット
用焼結体は、通常のセラミックス焼結体と同様に、常圧
焼結法、雰囲気加圧焼結法、ホットプレス法、HIP法
等の焼結法によって作製される。これら焼結体は、Cr-C
系やNi-C系等のIVa 族元素のホウ化物に対する焼結助剤
を添加したものであってもよい。このような焼結体を用
いた薄膜でも、耐摩耗性被膜として十分に効果を発揮す
る。また、ターゲットを高純度に保つために、焼結助剤
を添加しないで作製した焼結体を用いると、ターゲット
の密度が低くなる場合もあるが、このような低密度のス
パッタターゲットを用いても、耐摩耗性被膜に適応可能
な膜を得ることができる。
【0021】そして、本発明のサーマルヘッドは、発熱
抵抗体層や導体層の保護膜として、上記した金属ホウ化
物を主成分とする層を少なくとも含む耐摩耗性被膜、あ
るいは第1層と第2の層の少なくとも 2層構造の耐摩耗
性被膜を用いたものであり、電気絶縁性を有する第2の
層を導体層側に設けている。上記耐摩耗性被膜は、発熱
抵抗体層や導体層の酸化防止膜としても機能する。本発
明のサーマルヘッドは、保温層としてポリイミド樹脂等
からなる樹脂層を用いたサーマルヘッドに特に有効であ
る。
【0022】
【作用】本発明の耐摩耗性被膜においては、IVa 族元素
のホウ化物を主成分とする第1の層と、同様なIVa 族元
素のホウ化物を含有し、かつ電気絶縁物と複合して電気
絶縁性を付与した第2の層とを積層している。IVa 族元
素のホウ化物を主成分とする第1の層は、高硬度で適度
な靭性を有することから、他部材との摺接による摩耗を
十分に抑制することができ、さらに局所的な応力に対す
る耐クラック性に優れる。また、第2の層により電気絶
縁性を確保することができ、かつ第2の層は耐摩耗性被
膜を形成する部材と第1の層との応力緩和層として機能
するため、十分な接合強度および膜の密着性を得ること
ができる。このように、本発明の耐摩耗性被膜は、耐摩
耗性と信頼性(耐久性)とを兼ね備えるものである。
【0023】また、上記したような耐摩耗性被膜をサー
マルヘッドの保護膜として用いることで、例えば保温層
等としての樹脂層の変形能に起因して発生する保護膜の
クラックを防止することができ、よって長期間安定して
使用することが可能なサーマルヘッドが得られる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0025】図1は、本発明の一実施例のサーマルヘッ
ドの構成を示す図であり、例えば下記に示す方法により
製造される。
【0026】まず、例えばCrを18重量%含有する厚さ
0.5mm程度のFe合金からなる金属基板1をレベリングし
た後、所定の寸法に切断し、ばり取り後、有機溶剤中に
て脱脂洗浄し、50℃〜70℃に保持した希硫酸中に浸漬し
て、表面に形成されている酸化物層を除去すると共に表
面をミクロ的に荒らすための活性化処理を行う。
【0027】次に、ポリアミック酸をN-メチル -2-ピロ
リドン等の溶剤を用いて所定の粘度に調整し、上記金属
基板1上に所定の膜厚に塗布し、焼成炉を用いて50℃で
1時間、80℃で30分、 120℃で30分、 250℃で 1時間、
450℃で 1時間というような条件で加熱処理を行い、溶
剤成分を除去すると共に、脱水環化反応を進行させて成
膜し、耐熱樹脂であるポリイミド樹脂からなる保温層2
を形成する。さらに、上記保温層2上にスパッタリング
法によって、基板温度 150℃〜 200℃程度でSi3 N 4
SiO2 等からなる下地層3を形成する。
【0028】次いで、Ta-SiO2 等からなる発熱抵抗体層
4およびAl等からなる導体層5を順に形成し、発熱部
6、6…となる開口部がそれぞれ設けられるようにマス
キングした後、ウェットエッチングやドライエッチング
によりパターニングする。このパターニングにより、多
数の発熱抵抗体4a、4a…が列設されると共に、各発
熱抵抗体4a上に個別電極5aおよび共通電極5bが形
成される。
【0029】この後、上記発熱部6を少なくとも被覆す
るように、本発明の耐摩耗性被膜による保護膜7を形成
する。すなわち、この保護膜7は、IVa 族元素のホウ化
物と電気絶縁物との複合物からなる第1の保護層7a
(本発明の耐摩耗性被膜における第2の層)と、IVa 族
元素のホウ化物を主成分とする第2の保護層7b(本発
明の耐摩耗性被膜における第1の層)とを、例えばアル
ゴンガス雰囲気中、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気
中、あるいはアルゴンと酸素との混合ガス雰囲気等でス
パッタリングすることにより、順に積層形成したもので
ある。なお、第1および第2の保護層7a、7bの厚さ
は、通常 0.5μm 〜 7μm 程度であり、より好ましくは
2μm 〜 4μm の範囲である。
【0030】次に、上記サーマルヘッドの具体例および
その評価結果について述べる。
【0031】実施例1 まず上述した方法により、発熱抵抗体層4および導体層
5のパターニングまで行った。次に、 TiB2 -nSiO2
結体、 TiB2 -nSi3 N 4 焼結体および TiB2 -nSiON焼結
体それぞれからなる第1の保護層7a用のスパッタター
ゲットと、 TiB2 焼結体からなる第2の保護層7b用の
スパッタターゲットとを用意した。
【0032】これらスパッタターゲットは、以下のよう
にして作製した。まず、 TiB2 焼結体は TiB2 粉末のみ
を原料粉末とした。 TiB2 -nSiO2 焼結体、 TiB2 -nSi
3 N4 焼結体および TiB2 -nSiON焼結体は TiB2 粉末
に、 SiO2 粉末、Si3 N 4 粉末、 TiB2 粉末をそれぞれ
表1に示す割合で配合し、エチルアルコール中でウレタ
ンボールにより36時間混合して、それぞれ原料粉末とし
た。これら各原料粉末を乾燥させた後、それぞれ 30MPa
で一軸加圧し、さらに300MPaでCIP処理を行って、そ
れぞれ圧粉成形体を作製した。これら各圧粉成形体をア
ルゴンガス雰囲気中にて1800℃〜1900℃の温度で 5時間
焼成して焼結させ、これらをダイヤモンド砥石を用いて
所定のターゲット形状に切削加工した。この後、これら
各ターゲットを金属ハンダを用いてバッキングプレート
に接合し、それぞれスパッタターゲットとした。
【0033】このようにして得た表1に示す第1の保護
層7a用の各スパッタターゲットと第2の保護層7b用
のスパッタターゲットをそれぞれ用いて、パターニング
により形成した発熱部6、個別電極5aおよび共通電極
5b上に、第1の保護層7aおよび第2の保護層7bを
上述した方法により順にスパッタ成膜した。また、表1
の試料No13,14 については 1層のみの保護層を用いたも
のである。
【0034】このようにして得た各サーマルヘッドを用
いて、 (1)薄膜用超微少ヌープ硬度計を用いた硬度測
定、 (2)膜破壊時に発生するAE(アコースティックエ
ミッション)を検知するセンサーを有するスクラッチ試
験機による膜破壊時の膜破壊強度値の測定、 (3)実機に
よる10kmの走行テスト(プラテン圧:160g/cm、印加エネ
ルギ:0.23J/ dot 、パルス幅:2.2ms)後のクラックの有
無の判定、 (4)引き剥がし試験機による膜の密着性の測
定をそれぞれ行った。それらの結果を併せて表1に示
す。
【0035】
【表1】 実施例2 第1の保護層7aとして、 ZrB2 -nSiO2 、 ZrB2 -nSi
3 N 4 および ZrB2 -nSiONをそれぞれ用い、かつ第2の
保護層7bとして ZrB2 を用いて、実施例1と同様にし
てサーマルヘッドを作製した。まず、表2に示す組成の
スパッタターゲットをそれぞれ実施例1と同様にして作
製し、これらのスパッタターゲットを用いて、実施例1
と同様にして第1の保護層7aおよび第2の保護層7b
を順に形成し、それぞれサーマルヘッドを得た。なお、
表2の試料No13,14 は、 1層のみの保護層を用いたもの
である。これらサーマルヘッドに関しても、実施例1と
同様にして特性を評価した。その結果を併せて表2に示
す。
【0036】
【表2】 実施例3 第1の保護層7aとして、 HfB2 -nSiO2 、 HfB2 -nSi
3 N 4 および HfB2 -nSiONをそれぞれ用い、かつ第2の
保護層7bとして HfB2 を用いて、実施例1と同様にし
てサーマルヘッドを作製した。まず、表3に示す組成の
スパッタターゲットをそれぞれ実施例1と同様にして作
製し、これらのスパッタターゲットを用いて、実施例1
と同様にして第1の保護層7aおよび第2の保護層7b
を順に形成し、それぞれサーマルヘッドを得た。なお、
表3の試料No13,14 は、 1層のみの保護層を用いたもの
である。これらサーマルヘッドに関しても、実施例1と
同様にして特性を評価した。その結果を併せて表3に示
す。
【0037】
【表3】 実施例4 実施例1〜3と同様にして、表4に示すスパッタターゲ
ットをそれぞれ用いて、実施例1と同様にして第1の保
護層7aおよび第2の保護層7bを順に形成し、それぞ
れサーマルヘッドを得た。これらサーマルヘッドに関し
ても、実施例1と同様にして特性を評価した。その結果
を併せて表4に示す。
【0038】
【表4】 以上の各実施例の評価結果から明らかなように、本発明
の耐摩耗性被膜は高硬度を有すると共に膜破壊強度が高
く、さらに密着性にも優れることが分かる。よって、こ
の耐摩耗性被膜を保護膜として用いたサーマルヘッドで
は、保温層として耐熱樹脂層を用いているにも拘らず、
すなわち樹脂層と保護膜との変形量の差が大きいにも拘
らず、保護膜へのクラック発生が防止されている。これ
により、長期間に渡って安定して良好な印字性能が得ら
れた。
【0039】なお、この実施例ではサ―マルヘッドにつ
いて説明したが、本発明の耐摩耗性被膜は上述した耐熱
樹脂層を有するサ―マルヘッドに限らず、Al2 O 3 基板
を用いたサ―マルヘッドの保護膜、密着型イメージセン
サの保護膜、さらには光磁気ディスクの保護膜等として
も有効である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
硬度、高靭性を有すると共に、被形成部材への密着性に
優れ、さらに被形成部材に対して電気的な悪影響を及ぼ
すことのない耐摩耗性被膜を提供することが可能とな
る。そして、本発明の耐摩耗性被膜は、局所的な応力に
対する耐クラック性に優れることから、これをサーマル
ヘッド等の保護膜として用いることにより、優れた印字
性能を長期間に渡って安定して得ることが可能なサーマ
ルヘッドを提供することができる。すなわち、印字性能
と耐久性を兼ね備えるサーマルヘッドを提供することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐摩耗性被膜を保護膜として用いたサ
ーマルヘッドの要部構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1……金属基板 2……保温層 3……下地層 4……発熱抵抗体層 5……導体層 5a…個別電極 5b…共通電極 6……発熱部 7……保護膜 7a…第1の保護層(本発明の耐摩耗性における第2の
層) 7b…第2の保護層(本発明の耐摩耗性における第1の
層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 14/06 P 9271−4K

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti、ZrおよびHfから選ばれた少なくとも
    1種の元素を含む金属ホウ化物を主成分とする少なくと
    も 1層以上の積層体からなることを特徴とする耐摩耗性
    被膜。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐摩耗性被膜において、
    前記積層体は、少なくとも 1層以上が電気絶縁性を有す
    ることを特徴とする耐摩耗性被膜。
  3. 【請求項3】 Ti、ZrおよびHfから選ばれた少なくとも
    1種の元素を含む金属ホウ化物を主成分とする第1の層
    と、Ti、ZrおよびHfから選ばれた少なくとも1種の元素
    を含む金属ホウ化物を含有し、かつ電気絶縁性を有する
    第2の層とを具備し、前記第1の層および第2の層の少
    なくとも 2層の積層体により構成したことを特徴とする
    耐摩耗性被膜。
  4. 【請求項4】 絶縁性支持基体と、この絶縁性支持基体
    上に配置された発熱抵抗体層と、この発熱抵抗体層上に
    設けられた該発熱抵抗体への給電用の導体層と、これら
    発熱抵抗体層および導体層を保護する保護膜とを具備す
    るサーマルヘッドにおいて、 前記保護膜は、請求項1または請求項2記載の耐摩耗性
    被膜により構成されていることを特徴とするサーマルヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 絶縁性支持基体と、この絶縁性支持基体
    上に配置された発熱抵抗体層と、この発熱抵抗体層上に
    設けられた該発熱抵抗体への給電用の導体層と、これら
    発熱抵抗体層および導体層を保護する保護膜とを具備す
    るサーマルヘッドにおいて、 前記保護膜は、請求項3記載の耐摩耗性被膜により構成
    されており、かつ前記第2の層が前記導体層側に設けら
    れていることを特徴とするサーマルヘッド。
JP25683193A 1993-10-14 1993-10-14 耐摩耗性被膜およびそれを用いたサーマルヘッド Withdrawn JPH07108695A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25683193A JPH07108695A (ja) 1993-10-14 1993-10-14 耐摩耗性被膜およびそれを用いたサーマルヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25683193A JPH07108695A (ja) 1993-10-14 1993-10-14 耐摩耗性被膜およびそれを用いたサーマルヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07108695A true JPH07108695A (ja) 1995-04-25

Family

ID=17298040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25683193A Withdrawn JPH07108695A (ja) 1993-10-14 1993-10-14 耐摩耗性被膜およびそれを用いたサーマルヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07108695A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009280853A (ja) * 2008-05-21 2009-12-03 Osg Corp 硬質被膜および硬質被膜被覆工具

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009280853A (ja) * 2008-05-21 2009-12-03 Osg Corp 硬質被膜および硬質被膜被覆工具

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001277569A (ja) サーマルヘッドの製造方法
WO2000076775A1 (fr) Tete d'impression thermique et procede de fabrication
JPH07108695A (ja) 耐摩耗性被膜およびそれを用いたサーマルヘッド
JP2888584B2 (ja) スパッタターゲットそれを用いた耐摩耗性被膜およびサーマルヘッド
JP2990719B2 (ja) サーマルヘッド
JP2928525B2 (ja) 保護膜形成用スパッタリングターゲット
JPH06256939A (ja) スパッタリングターゲットおよびそれを用いて形成した高硬度被膜
EP0367122B1 (en) Thermal head
JP2948025B2 (ja) スパッタ用ターゲット
JP3472478B2 (ja) サーマルヘッド
JP3545959B2 (ja) サーマルヘッド
JP3488368B2 (ja) サーマルヘッド
JP2568191Y2 (ja) サーマルヘッド
JPH01202465A (ja) 保護被覆材およびそれを利用したサーマルヘッド
JP4925536B2 (ja) サーマルヘッド
JPS62121069A (ja) 感熱記録用ヘツド
JPS6145543B2 (ja)
JPH0278576A (ja) 耐熱性絶縁基板およびサーマルヘッド
JPH0383660A (ja) サーマルヘッド
JPH07180044A (ja) スパッタリングターゲット、それを用いて形成した発熱抵抗体用下地膜と耐摩耗性被膜、およびそれらを用いたサーマルプリントヘッド
JPH048554A (ja) 耐熱性絶縁基板及びサーマルヘッド
JPH09309218A (ja) サーマルヘッド
JPH1148511A (ja) サーマルヘッド
JPH0583378B2 (ja)
JPH11129516A (ja) サーマルヘッド及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20001226