JP2928525B2 - 保護膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents

保護膜形成用スパッタリングターゲット

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JP2928525B2 JP1724189A JP1724189A JP2928525B2 JP 2928525 B2 JP2928525 B2 JP 2928525B2 JP 1724189 A JP1724189 A JP 1724189A JP 1724189 A JP1724189 A JP 1724189A JP 2928525 B2 JP2928525 B2 JP 2928525B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、スパッタリングターゲットに関し、特に、
サーマルヘッドや密着センサなどに用いられる保護膜の
形成に好適なスパッタリングターゲットに関する。
(従来の技術) 近年、サーマルヘッドは少音、省保守、低ランニング
コストなどの利点を生かして、ファクシミリ、ワードプ
ロセッサ用プリンタなどの各種記録装置に多用されるよ
うになってきている。
一方、これらの機器は小型化、低価格化、低電力化が
要請されており、このためサーマルヘッドにも小型で安
価で、かつ高効率のものが望まれている。
さらに、サーマルヘッドや完全密着型センサなどの固
体デハイスにおいては、高硬度でかつ耐クラック性に優
れた保護膜の要求が強くなっている。
ところで、従来のサーマルヘッドは、高抵抗基体とし
てAl2O3の純度が90%以上のセラミックス基板を使用し
ている。しかしながら、このようなセラミックス基板を
形成する際に、原料粉末からアルカリ金属成分を除去す
る処理、高温焼成、高温焼成時に生じた基板の反りを修
正するための仕上げ研磨など多くの工程を必要とするた
め、生産コストが高くなるという問題があった。
このため、セラミックス基板に替わる高抵抗基体とし
て金属基板を使用し、この金属基板上に熱の放散および
蓄熱をコントロールする保温層を形成することが行なわ
れている。
このようなサーマルヘッドの一例を第2図を参照して
説明する。
第2図において、たとえばFe−Cr合金よりなる金属基
板1上に、保温層2が形成されている。この保温層2と
してはグレーズガラスや、ポリイミド樹脂、エポキシ樹
脂などが用いられている。
さらに、保温層2上には、樹脂をCDEやAshingから保
護し、後に形成する抵抗層形成時の抵抗値制御を容易に
し、ワイヤーボンディング性を改善するためにSiO2、Si
N、SiCなどからなる下地層3が設けられている。
続いて、下地層3上には、たとえばTa−SiO2、Ti−Si
O2などからなる発熱抵抗体4が形成され、この発熱抵抗
体4上には、発熱部5となる開口部を有するように、た
とえばAl、Al−Si−Cuなどからなる個別電極6および共
通電極7が形成されている。
そして最終的に、保護膜8が少なくとも上記発熱部5
を被覆するように形成されている。この保護膜8は、た
とえばSi−O−N、Si3N4、SiCなどからなる保護膜が用
いられているが、酸化防止層と耐摩耗層を別々の層とし
て設けたり、必要に応じて接着層を設ける場合もある。
このようなサーマルヘッドは、耐熱性および付着力の
面では充分にサーマルヘッドの動作に耐えられることは
確認されている。しかしながら、このサーマルヘッドを
ファクシミリなどの装置に組み込んで走行テストを行っ
た結果、走行中に異常な抵抗値変化を示し、印字に影響
を及ぼす現象が多々認められた。
このような異常な抵抗値変化を示した特異点を詳細に
調べた結果、サーマルヘッドと感熱紙の間に巻き込まれ
た塵芥などの異物がサーマルヘッドの保護膜に亀裂(ク
ラック)を生じさせ、亀裂が発熱抵抗体まで達した場合
に、特異点が生じることがわかった。しかも、Al2O3
にグレースガラスを形成した高抵抗基体を用いた場合、
あるいは金属基体上にガラス層を形成した高抵抗基体を
用いた場合には、他の構成が同じサーマルヘッドでもこ
のような現象は認められず、保温層として樹脂を用いた
場合に特有な現象であることがわかった。
これは、ガラス層を保温層に用いた場合、ガラス層は
硬度が高く、また、保護膜と同一程度の変形しかないた
めに、保護膜の局部的な変形が阻止されるのに対し、保
温層としてポリイミドなどの樹脂を用いた場合、樹脂は
弾性が大きく変形能が保護膜より著しく大きいため、保
護膜に局所的な集中荷重が加わった場合、樹脂層は大き
く変形するが、保護膜はこの変形に追従できず、保護膜
が割れてしまうためと考えられた。
このため、種々の保護膜材料についてテストを行った
ところ、Ta2O5やSiO2は硬度に乏しく、Si3N4、SiC、Al2
O3は靭性に乏しく、いずれもクラックが発生し、使用に
耐えるものではなかった。
クラッチの発生を防止できる保護膜材料としては、特
開昭60−4077号公報、62−3968号公報に記載されてい
る、高硬度、高靭性のSi−Al−O−Nを主体とするサイ
アロン膜が挙げられる。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、このサイアロン膜はAr雰囲気中でスパ
ッタリングを行った場合、スパッタ率が低く、しかもこ
の雰囲気中ではAlが金属成分として析出しやすく絶縁性
が低下するという問題があった。
このAlが析出するという問題は、Arに5%〜10%程度
のO2またはN2を添加することにより改善されるが、スパ
ッタ率がさらに落ちるという問題が生じていた。
このように、多数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッ
ドでは、保温層としてポリイミド樹脂などの低い熱拡散
率を有する樹脂を用いることによって、熱効率に優れ、
曲げ加工が可能で小型化し易いという長所が付与される
反面、樹脂層が軟かいために塵芥などの巻き込みによっ
て保護膜に局所的応力が加わった時、樹脂層と保護膜と
の変形量に大きな差が生じ、亀裂が生じ、これが発熱抵
抗体まで達すると、抵抗値異常を起こし、印字性能を劣
化させてしまうという問題があった。
本発明は、このような問題に対処してなされたもの
で、局所的応力が加わった場合にもクラックの発生がな
く、信頼性の高い保護膜を形成することができ、長時間
の使用に際しターゲットの組成およびスパッタ膜の特性
にほとんど変化を生じさせない、安定な保護膜形成用ス
パッタリングターゲットを提供することを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の目的は、ZrO21mol%〜40mol%を含有し、残
部が実質的にSi3N4からなることを特徴とする保護膜形
成用スパッタリングターゲットによって達成される。
また、本発明の目的は、ZrO21mol%〜40mol%とY2O
30.05mol%〜10mol%とを含有し、残部が実質的にSi3N4
からなることを特徴とする保護膜形成用スパッタリング
ターゲットによっても達成される。
本発明のスパッタリングターゲットとしては、まず、
ZrO21mol%〜40mol%を含有し、残部が実質的にSi3N4
らなるものが挙げられる。このZrO2の含有量を上記範囲
とした理由は次のとおりである。
すなわち、ZrO2の含有量が1mol%以下では得られる保
護膜の強度が充分でなく、一方40mol%を超えると、Zr
が金属成分として析出しやすく絶縁性が低下するため好
ましくない。より好ましい含有量は5mol%〜20mol%の
範囲である。
このほか、本発明におけるスパッタリングターゲット
として、上記成分に加えてY2O30.05mol%〜10mol%を含
有し、残部が実質的にSi3N4からなるものが挙げられ
る。
この場合、Y2O3の含有量が0.05mol%以下では得られ
る保護膜の強度が充分でなく、一方、10mol%を超える
と、Yが金属成分として析出しやすく絶縁性が低下する
ため好ましくない。より好ましい含有量は、0.3mol%〜
1mol%の範囲である。
(作 用) 本発明のスパッタリングターゲットを使用してスパッ
タリングを行った場合、金属のZrまたは金属のZrとYが
保護膜中に適度に分散しているため、保護膜の靭性に優
れ、クラックなどの発生を防止することができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、スパッ
タリングにおいてスパッタ率が高く、Ar雰囲気中にO2
N2を添加してもスパッタ率の低下がなく、コストダウン
を図ることが可能である。
(実施例) 以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1 Si3N4粉末(平均粒度0.5μm)中にZrO2粉末(平均粒
度0.03μm)が5mol%となるようにZrO2粉末を加え、エ
タノール中、12時間ボールミル後、乾燥し、N2雰囲気中
1775℃で2時間ホットプレス成形し、次いでダイヤモン
ド研削を行い、φ203×8tの本発明のスパッタリングタ
ーゲットを作製した。
また、第1図は本発明のスパッタリングターゲットを
用いて形成した保護膜を使用したサーマルヘッドを示す
図であり、たとえば次に述べる方法で製造される。
まず、たとえばCrを18重量%含有する厚さ0.5mm程度
のFe合金からなる金属基板1をレベリング後、所定の寸
法に切断し、ばり取り後、有機溶剤中にて脱脂洗浄後、
50〜70℃に保持した希硫酸中に浸漬し、表面に形成され
ている酸化物層を除去するとともに表面をミクロ的に荒
らすための活性化処理を行う。
次に、ポリアミック酸をN−メチル−2−ピロリドン
などの溶剤を用いて所定の粘度に調整し、上記金属基板
1上に所定の膜厚に塗布し、焼成炉を用いて50℃で1時
間、80℃で30分、次いで120℃で30分、250℃で1時間、
450℃で1時間の加熱を行い、溶剤成分を除去するとと
もに、脱水環化反応を進行させて成膜し、耐熱樹脂から
なる保温層2を形成する。
しかる後、この保温層2上にSiH4ガスとN2ガスおよび
SiH4ガスとCH4ガスを用いて、基板温度150〜300℃でプ
ラズマCVDで連続してSiN層31およびSiC層32よりなる下
地層3を形成する。
この後、Ta−SiO2からなる発熱抵抗体4、さらに発熱
部5となる開口部が形成されるようにマスキングされた
A1からなる個別電極6および共通電極7を形成し、ウェ
ットエッチングやドライエッチングにより所定のパター
ンを形成する。
この後、マスキング膜を除去し、この発熱部5を被覆
するように、上述した本実施例のスパッタリングターゲ
ットを用いて、不活性ガス雰囲気、たとえばAr中もしく
はN2およびO2の少なくとも一方を含むAr中でのスパッタ
リングを行い、保護膜8を形成する。この保護膜8の厚
さは、通常1μm〜7μm、好ましくは2μm〜4μm
である。
このサーマルヘッドを用いて薄膜用超微少ヌープ硬
度計を用いた硬度評価、膜破壊時に発生するアコース
ティックエミッションを検知するセンサーを持ったスク
ラッチ試験機を用いた膜破壊強度の測定、実機を用い
て、プラテン圧160g/cm、印加エネルギー0.23mJ/dot、
パルス幅2.2msで10kmの走行テストを行った。
また、保護膜を形成する際のスパッタ率を測定した。
これらの結果を第1表に示す。
実施例2 保護膜を形成するためのスパッタリングターゲットと
して、Si3N4粉末(平均粒度0.5μm)中にZrO2粉末(平
均粒度0.03μm)が10mol%となるようにZrO2粉末を加
え、エタノール中、12時間ボールミル後、乾燥し、N2
囲気中1775℃で2時間ホットプレス成形し、次いでダイ
ヤモンド研削を行い、φ203×8tの本発明のスパッタリ
ングターゲットを作製した。
このスパッタリングターゲットを用いて形成した保護
膜を有するサーマルヘッドを実施例1と同一条件で製造
し、その特性を実施例1と同一条件で測定した。
その結果を第1表に示す。
実施例3〜4 保護膜を形成するためのスパッタリングターゲットと
して、Si3N4粉末(平均粒度0.5μm)中にZrO2粉末(平
均粒度0.03μm)が10mol%、およびY2O3粉末(平均粒
度1.0μm)が、0.3mol%となるようにZrO2粉末とY2O3
粉末とを加え、エタノール中、12時間ボールミル後、乾
燥し、N2雰囲気中1775℃で2時間ホットプレス成形し、
次いでダイヤモンド研削を行いφ203×8tのターゲット
を作製した。
さらに、Si3N4粉末中のZrO2粉末と、Y2O3粉末の含有
量が、ZrO220mol%−Y2O30.3mol%となるように各粉末
を混合し、上記方法によりφ203×8tのターゲットを作
製した。
この実施例のスパッタリングターゲットを用いて形成
した保護膜を有するサーマルヘッドを実施例1と同一条
件で製造し、その特性を実施例1と同一条件で測定し
た。
その結果を第1表に示す。
比較例1〜4 Si3N4、SiON、SiO2/Ta2O5、およびSi3N4−10wt%Al2O
3を使用してそれぞれのスパッタリングターゲットを作
製し、これらのターゲットを用いて形成した保護膜を有
するサーマルヘッドを実施例1と同一条件で製造し、そ
の特性を実施例1と同一条件で測定した。
それらの結果を、実施例の結果と併せて第1表に示
す。
以上の結果から明らかなように、本発明のスパッタリ
ングターゲットを用いて形成した保護膜は強度に優れ、
また、保温層として樹脂を使用した場合でもクラックの
発生を防ぐことができた。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットはスパッ
タ率が高く、保護膜形成の工程におけるコストダウンを
図ることができた。
また、長時間に渡る成膜後も、ターゲットの組成およ
びスパッタ膜の特性に変化を生じさせることがなかっ
た。
なお、この実施例ではサーマルヘッドについて説明し
たが、本発明のスパッタリングターゲットは上述したサ
ーマルヘッドに限らず、Al2O3基板を用いたサーマルヘ
ッドの保護膜や、さらに光磁気記録用完全密着型センサ
ー用の保護膜を形成する場合にも有効である。
[発明の効果] 本発明のスパッタリングターゲットには、これによっ
て形成される保護膜が高硬度、高靭性であるため、保温
層として樹脂を使用した場合に保護膜で発生し易い亀裂
(クラック)を防止することができ、信頼性の高い保護
膜を得ることができる。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットは、高い
スパッタ率で保護膜を形成することができるため、コス
トダウンを図ることができる。
また、長時間の使用に対しても安定であり、ターゲッ
トの組成および得られるスパッタ膜の特性に変化を生じ
させない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の保護膜を使用したサーマルヘッドを示
す図であり、第2図は従来のサーマルヘッドを示す図で
ある。 1……金属基板 2……保温層 3……下地層 4……発熱抵抗体 5……発熱部 6……個別電極 7……共通電極 8……保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石上 隆 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8 株式 会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 菊池 誠 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8 株式 会社東芝横浜事業所内 (56)参考文献 特開 昭60−9770(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/335

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ZrO21mol%〜40mol%を含有し、残部が実
    質的にSi3N4からなることを特徴とする保護膜形成用ス
    パッタリングターゲット。
  2. 【請求項2】ZrO21mol%〜40mol%とY2O30.05mol%〜10
    mol%とを含有し、残部が実質的にSi3N4からなることを
    特徴とする保護膜形成用スパッタリングターゲット。
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