JPH07108652A - サーモトロピック液晶ポリマー構造体 - Google Patents

サーモトロピック液晶ポリマー構造体

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JPH07108652A
JPH07108652A JP28032693A JP28032693A JPH07108652A JP H07108652 A JPH07108652 A JP H07108652A JP 28032693 A JP28032693 A JP 28032693A JP 28032693 A JP28032693 A JP 28032693A JP H07108652 A JPH07108652 A JP H07108652A
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JP
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liquid crystal
thermotropic liquid
lcp
crystal polymer
silicone resin
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JP28032693A
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Rikio Kuroda
力雄 黒田
Sadahiro Nishimura
定宏 西村
Akio Hashimoto
晶夫 橋本
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で寸法精度に優れ、また肉厚が実質的に
均一であるのみならず、耐熱性、耐摩耗性、耐化学薬品
性、耐候性等の特性が改善された特に長尺のサーモトロ
ピック液晶ポリマー構造体を提供する。 【構成】 サーモトロピック液晶ポリマー成形体の表面
にシリコーン樹脂系塗料の保護膜を設けたことを特徴と
するサーモトロピック液晶ポリマー構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気・電子部品、自動
車部品、機械部品等の分野で有用なサーモトロピック液
晶ポリマー(以下、場合によってLCPと称する)構造
体に関し、詳しくはサーモトロピック液晶ポリマー成形
体の表面をシリコーン樹脂系塗料の保護膜を設けること
により、耐摩耗性、耐熱性、耐化学薬品性、耐候性等の
特性を改善したサーモトロピック液晶ポリマー構造体に
関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製の筒状物、特にロールやパイ
プのような長尺な円筒状物は様々な分野で使用されてい
る。これらの多くは押出法により形成されている。そし
て、近年コピー機やプリンター等の事務機のロールや機
械部品としてのパイプ等は軽量化の要求が高まり、合成
樹脂製で寸法精度の高い筒状物が求められている。
【0003】しかし、押出成形では厚みや径等の寸法を
精度高く得ることが困難であり、射出成形法を用いたほ
うが適当ではある。しかしながら、射出成形による場合
は肉厚が実質的に均一で、寸法精度よく成形し得る長尺
な筒状物が得られないという課題があった。
【0004】この課題は、本発明者等が射出成形方法や
射出成形用金型等を改善することによつて改善され、長
尺の合成樹脂製の成形体、特に筒状物が得られる。
【0005】近年、新しい合成樹脂としてLCPが注目
されその用途を伸ばしている。このLCPによる長尺の
成形体は、寸法安定性が良好で、肉厚が実質的に均一な
ものが得られることから、上記したロールやパイプ等に
は好適である。
【0006】しかし、このLCPはアルカリに弱く、耐
化学薬品性に劣ったり、成形体とした時に、耐熱性、耐
摩耗性、耐候性をさらに向上させることが必要である。
このために成形体表面にメッキ、蒸着、スパッタリング
等で金属被膜を形成する、他の合成樹脂をラミネートす
る、塗料を塗布する、接着剤で各種材料を接合する等に
よって、上記特性を改善する必要がある。
【0007】しかしながら、LCPは一般に化学的には
安定であるので、LCPからなる成形体表面に他の材料
の被膜を形成する際、LCPと該被膜間には化学的な結
合力は余り期待できない。従って、これらの特性を改善
することが困難なのが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の課題を解消し、軽量で寸法精度に優れ、また肉厚
が実質的に均一であるのみならず、耐熱性、耐摩耗性、
耐化学薬品性、耐候性等の特性が改善された特に長尺の
サーモトロピック液晶ポリマー構造体を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記のよ
うな課題を鑑み種々検討した結果、上記課題を解決し、
本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明は、サーモトロピック液
晶ポリマー成形体の表面にシリコーン樹脂系塗料の保護
膜を設けたことを特徴とするサーモトロピック液晶ポリ
マー構造体にある。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられるサーモトロピック液晶ポリマーは、溶融時に
光学的異方性を示す熱可塑性である溶融可能なポリマー
である。このように溶融時に光学的異方性を示すポリマ
ーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列を
とる性質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏
光子を利用した通常の偏光検査法により確認することが
できる。
【0012】例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリ
エステルイミド等、具体的には(全)芳香族ポリエステ
ル、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート等
が挙げられる。好ましくはサーモトロピック液晶ポリエ
ステル樹脂であって、分子内にエステル結合を複数個含
む限り本発明のポリエステルの範疇に含まれる。さらに
好ましいポリエステルは、芳香族ポリエステルである。
【0013】本発明において好ましく用いられるサーモ
トロピック液晶ポリエステル樹脂には、一つの高分子鎖
の一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセグメント
で構成され、残りの部分が異方性溶融相を形成しないポ
リマーのセグメントから構成されるポリマーも含まれ
る。また、複数のサーモトロピック液晶ポリエステル樹
脂を複合したものも含まれる。
【0014】サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を
構成するモノマーの代表例としては、(a)芳香族ジカ
ルボン酸の少なくとも1種、(b)芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸系化合物の少なくとも1種、(c)芳香族ジオ
ール系化合物の少なくとも1種、(d)(d1)芳香族
ジチオール、(d2)芳香族チオフェノ−ル、(d3)芳
香族チオ−ルカルボン酸化合物の少なくとも1種、
(e)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物の少なくとも1種、等が挙げられる。
【0015】これらは単独で構成される場合もあるが、
多くは(a)と(c)、(a)と(d)、(a),
(b)と(c)、(a),(b)と(e)、あるいは
(a),(b),(c)と(e)等の様に組合せて構成
される。
【0016】上記(a)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボ
ン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン
−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,
4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジ
カルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエ−テル−3,
3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボ
ン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族
ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレ
フタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、
ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシ
テレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0017】(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ
酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、
2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息
香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3
−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−
5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−ク
ロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジク
ロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸
のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げら
れる。
【0018】(c)芳香族ジオールとしては、4,4′
−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジ
フェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイ
ドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオー
ル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒ
ドロキシジフェニルエ−テル、1,6−ナフタレンジオ
−ル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族
ジオ−ルまたはクロロハイドロキノン、メチルハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロ
キノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロ
キノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン
等の芳香族ジオ−ルのアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体が挙げられる。
【0019】(d1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオ−ル、ベンゼン−1,3−ジチオ
−ル、2,6−ナフタレン−ジチオ−ル、2,7−ナフ
タレン−ジチオ−ル等が挙げられる。
【0020】(d2)芳香族チオフェノールとしては、
4−メルカプトフエノ−ル、3−メルカプトフェノ−
ル、6−メルカプトフェノ−ル等が挙げられる。
【0021】(d3)芳香族チオールカルボン酸として
は、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0022】(e)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノ−ル、N−
メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3
−アミノフェノ−ル、3−メチル−4−アミノフェノ−
ル、2−クロロ−4−アミノフェノ−ル、4−アミノ−
1−ナフト−ル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェ
ニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエ−テ
ル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4、4′−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4′ジアミノジフェニルスルホン、2,5−
ジアミノトルエン、4,4′−エチレンジアニリン、
4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4′−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシジアニリ
ン)等が挙げられる。
【0023】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂は、上記モノマーから溶融アシドリシス法
やスラリー重合法等の多様なエステル形成法等により製
造することができる。
【0024】分子量としては、本発明に用いるに好適な
サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂のそれは、約2
000〜200000、好ましくは約4000〜100
000である。かかる分子量の測定は、例えば圧縮フィ
ルムについて赤外分光法により末端基を測定して求める
ことができる。また溶液形成を伴う一般的な測定法であ
るGPCによることもできる。
【0025】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリエステル樹脂のうち下記一般式(1)で
表わされるモノマー単位を必須成分として含む(共)重
合体である芳香族ポリエステルまたはコポリエステルが
好ましい。該モノマー単位は約30モル%以上含むもの
が好ましい。より好ましくは、約50モル%以上含むも
のである。
【0026】
【化1】
【0027】本発明の特に好ましい芳香族ポリエステル
は、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェノ
ールの3種の化合物からそれぞれ誘導される構造の繰返
し単位を有する下記式(2)で表わされるコポリエステ
ルである。この下記式(2)で表されるコポリエステル
のビフェノールから誘導される構造の繰り返し単位は、
その一部または全部をジヒドロキシベンゼンから誘導さ
れる繰り返し単位で置き換えたコポリエステルであるこ
ともできる。あるいは、p−ヒドロキシ安息香酸および
ヒドロキシナフタリンカルボン酸の2種の化合物からそ
れぞれ誘導される構造の繰返し単位を有する下記式
(3)で表わされるコポリエステルである。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂は単独でもかまわないが、それら2種以上
を混合して使用することができる。
【0031】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マー成形体には、目的に応じて種々の添加剤を配合する
ことができる。これには無機、有機充填剤(ガラス繊
維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー、硫酸カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、硫
酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、黒鉛、木粉、各種
ウィスカー)、各種安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、金属不活性化剤等)、顔料、染料、可塑
剤、オイル、滑剤、造核剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙
げられる。無機、有機充填剤の配合量は、90重量%以
下、好ましくは80重量%以下、1重量%以上である。
無機、有機充填剤を配合することにより、本発明におけ
るサーモトロピック液晶ポリマー成形体は、表面状態が
良好となり好ましい。
【0032】本発明では、このサーモトロピック液晶ポ
リマー成形体を加熱体としてもよい。このような加熱体
とすることによって、本発明の構造物は、各種の加熱構
造物、例えば加熱ロール等に使用できる。
【0033】このように加熱体とする1つの方法は、サ
ーモトロピック液晶ポリマー成形体に前記した種々の添
加剤の他に、導電性フィラーを配合して、該成形体を通
電により発熱する組成物から成形することである。この
組成物の体積抵抗率は、10-3〜107Ω・cm、好ま
しくは10-1〜103Ω・cmの範囲にあることが必要
であり、この範囲を逸脱した場合には、良好な加熱体と
なり得ない。
【0034】ここで用いられる導電性フィラーとして
は、繊維状、フレーク状、粒子状等のものが使用でき
る。
【0035】繊維状のものとしては、炭素繊維(PAN
系、ピッチ系)、金属繊維(軟鋼、ステンレス、銅およ
びその合金、アルミニウムおよびその合金、鉛)、メタ
ライズドガラス繊維(ガラス繊維にニッケル、銅、アル
ミニウム、銀等をコーティングしたもの)、またはニッ
ケルコートした炭素繊維等が挙げられる。
【0036】フレーク状、繊維状のものとしては、多種
金属粉(鉄、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、亜
鉛、真鍮、鉛、ステンレス)およびそれらのフレーク、
各種炭素粉末(ケッチエンブラック、SRFカーボン、
グラファイト、活性炭等)、カーボンマイクロバルー
ン、ニッケル、銀、銅等の金属コートしたガラスフレー
ク等が挙げられる。
【0037】ここにおいて、好ましい導電性フィラー
は、粒子径が150μm以下の微粒状、フレーク状や繊
維系が150μm以下の繊維状のもので、より好ましく
は粒子径または繊維径が100μm以下のケッチエンブ
ラック、アセチレンブラック、炭素繊維、ステンレス
(繊維、粉体、フレーク)、アルミニウム(繊維、粉
体、フレーク)からなる1種または2種以上である。
【0038】また、導電性フィラーの配合量は、サーモ
トロピック液晶ポリマー100重量部に対して2〜10
0重量部であることが好ましい。さらに好ましくは5〜
60重量部である。配合量が2重量部未満では、成形品
の体積抵抗率が高くなり、また100重量部を超えると
組成物の製造が困難となり、また機械的特性も低下す
る。
【0039】また、サーモトロピック液晶ポリマー成形
体を加熱体とする他の方法は、該成形体の表面に、通電
により発熱する導電性膜をコーティングすることであ
る。このような導電性膜としてニクロム線、カンタル
線、ITO等の被膜が挙げられる。
【0040】本発明のサーモトロピック液晶ポリマー成
形体は、上述したようなサーモトロピック液晶ポリマー
もしくは該ポリマーに添加剤を配合した組成物を射出成
形することにより得られる。
【0041】本発明におけるサーモトロピック液晶ポリ
マー成形体は、ロール状以外に断面が三角や四角の筒状
体を始め板状体等の各種の成形体を成形することも可能
であり、基本的にはロール状の場合と同様に成形され
る。その大きさも特に限定されず長さ(L)が数センチ
メートル程度の小さいものから1メートルを超える大型
のものまで成形可能である。肉厚も1ミリメートル以下
の薄いものから数センチメートルの厚肉のものまで成形
可能である。またロールの両端は両方開放されているも
の、および一方が塞がれているものどちらも可能であ
る。さらに片端あるいは両端あるいは胴部に鍔や歯車等
が付いた複雑な形状の成形体も成形可能である。
【0042】このようなサーモトロピック液晶ポリマー
成形体の射出成形方法については、特願平5−1231
75号、特願平5−123176号等に詳述されてい
る。
【0043】本発明では、このサーモトロピック液晶ポ
リマー成形体の表面にシリコーン樹脂系塗料の保護膜を
設け、サーモトロピック液晶ポリマー構造体とする。こ
のようなシリコーン樹脂系塗料としては300℃以上の
耐熱性を有するものが好ましく用いられる。上述のよう
に、サーモトロピック液晶ポリマーは、一般に化学的に
は安定であるので、サーモトロピック液晶ポリマーから
なる成形体表面に他の材料の被膜を形成する際、サーモ
トロピック液晶ポリマーと該被膜間には化学的な結合力
は余り期待できず、剥離等が生じていた。しかしなが
ら、本発明者等によって、シリコーン樹脂系塗料がサー
モトロピック液晶ポリマー成形体に密に結合することが
知見されたものである。
【0044】ここで、シリコーン樹脂塗料とは、シロキ
サン(Si−O−Si)を骨格としてケイ素原子に有機
基が結合しているシリコーン樹脂の初期縮合物をベース
とし、キシレン等の有機溶剤に溶解させてなる塗料であ
る。この有機基には、アルキル基、アリール基、アルケ
ニル基、水素原子等があるが、通常は、メチル基または
フェニル基である。フェニル基含量の多いほうが耐熱性
が向上する。また、シリコーン樹脂の官能基(シラノー
ル基またはアルコキシ基等)を利用して、または単に混
合することによりアルキッド樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂等で変性された変性シリコーン樹脂も含まれる。
より高い耐熱性が要求される場合には、純シリコーンタ
イプのシリコーン樹脂をベースとするものが好ましい。
【0045】硬化の形式としては、縮合型、白金付加型
または過酸化物重合型があるが、一般には縮合型が用い
られる。コバルト、亜鉛、マンガン、鉄等のナフテン酸
塩やアミン類が硬化触媒として使用される。熱や触媒に
よりシラノール基(Si−OH)やアルコキシ基が脱
水、あるいは脱アルコール(縮合)してシロキサン結合
を形成して硬化に至る。
【0046】シリコーン樹脂塗料は、耐熱顔料、アルミ
ニウム粉末、グラファイト、セラミックス粉末等を配合
することにより耐熱性を向上することができ、これらは
シリコーン樹脂に対して1〜50重量%配合される。本
発明において好ましいシリコーン樹脂塗料は、このよう
な無機フィラーを配合した塗料である。
【0047】塗布に先立っては、必要ならば脱脂等の前
処理を行う。しかしながら、この場合でも通常の合成樹
脂塗料の前処理と同様で充分である。塗布も、常法に従
い容易に塗布することができる。
【0048】具体的なシリコーン樹脂系塗料の保護膜形
成方法は、希釈剤としてシンナー、ラッカーを用い、シ
リコーン樹脂系塗料を希釈する。希釈割合は、スプレー
塗りの場合には30〜45%、ハケ、ローラー塗りの場
合は10〜20%である。この希釈溶液を用い、サーモ
トロピック液晶ポリマー成形体の表面に、スプレー、ハ
ケ、ローラー等によって所望厚み、例えば5〜50μ
m、好ましくは10〜25μmの厚みに塗布し、20℃
程度で乾燥、硬化し、さらに所望により170〜180
℃で焼き付けることによって、耐久性、耐化学薬品性を
向上させる。
【0049】通常の合成樹脂塗料は、有機物からなるが
故に熱分解し、その結果、耐熱性が低い。しかしなが
ら、シリコーン樹脂塗料は、高温になると無機質の塗膜
に変換するので耐熱性がかえって向上する。LCPは有
機高分子の中でも最も耐熱性が高く、通常の合成樹脂塗
料ではその耐熱温度には耐えられない。しかしながら、
LCPの成形体にシリコーン樹脂塗膜を形成することに
より、LCP成形体の加熱高温時においてシリコーン樹
脂はその一部または全部が無機質に変換し、塗料の耐熱
性がさらに向上することになる。
【0050】このようにして得られた本発明のサーモト
ロピック液晶ポリマー構造体は、軽量で寸法精度に優
れ、また肉厚が実質的に均一であるのみならず、耐熱
性、耐摩耗性、耐化学薬品性、耐候性等の特性が改善さ
れる。
【0051】
【実施例】以下、実施例等によって、本発明を具体的に
説明する。
【0052】実施例1 サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂(テレフタル酸
/イソフタル酸/4−ヒドロキシ安息香酸/4,4′−
ジヒドロキシジフェニルからそれぞれ誘導される繰り返
し単位を有するサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂
であって、それぞれのモル比は、0.75/0.25/
3/1であり、ホットステージを装着した偏光顕微鏡を
用いて光学的異方性を観察したところ340℃以上の溶
融状態で光学的異方性を示す)を用い、射出成形により
長さ200mm、外径20mm、肉厚2mmの円筒を成
形した。
【0053】これにシリコーン樹脂系塗料(ロックペイ
ント社製、商品名:エミーラック055−0630)を
吹き付け塗装(塗膜厚み約20μm)し、常温で20時
間乾燥した。これを250℃の加熱炉に入れ1時間加熱
したが膨れ、剥れ、変色等の外見上の変化は認められな
かった。
【0054】この塗装品についてネマ式摩耗試験機(東
洋精機製作所製)を用い、500gの荷重で100回の
繰り返し摩擦を与えたが、毛羽立ち等の表面の不具合は
生じなかった。
【0055】比較例1 実施例1と同様の円筒成形品について、シリコーン樹脂
塗料を塗布することなく、同様な条件で繰り返し摩擦を
与えたところ、20回の摩擦で著しい毛羽立ちが生じ
た。
【0056】実施例2 実施例1と同様サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂
70重量部と導電性カーボンブラック30重量部を溶融
混練し導電性組成物(体積抵抗率は1.2Ω・cm)を
得た。これを用い長さ300mm、幅20mm、厚さ2
mmの板を射出成形により成形した。
【0057】この成形板に、実施例1と同様のシリコー
ン樹脂系塗料を同様の方法で塗布した。この試料につい
て、JIS K5400−1990の碁盤目テープ法に
準じて塗膜の密着度の測定を行なった。これはナイフで
1mm間隔で縦横交差する切傷を11本付け(100個
の升目ができる)、この部分にセロハンテープを貼付け
高速度で引き剥し、残された升目の数を持って密着度の
指標とするものである。その結果、残された升目の数は
100個であり良好な密着度を示した。
【0058】なお、この板の両端に電極を付け100V
の電圧をかけたところ約200℃に加熱できた。
【0059】実施例3 実施例1と同様サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂
70重量部とガラス繊維30重量部を溶融混練し組成物
を得た。これを用い実施例2と同一寸法の板を成形し
た。この板に導電性ペースト(タツタ電線社製 SP6
646)を5mm幅、250mm長さで塗布し160℃
で30分加熱硬化した。
【0060】この成形板について、シリコーン樹脂系塗
料(ロックペイント社製、商品名:エミーラック055
−0685)を25μm厚みで塗布した。これを常温で
20時間乾燥後、170℃で1時間加熱した。この試験
体について実施例2と同様の方法で碁盤目テープテスト
を行なったところ密着度は100であった。
【0061】なお、この試験体の導電性ペーストを塗布
した部分の両端に100Vの電圧をかけたところ約15
0℃に加熱できた。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のサーモト
ロピック液晶ポリマー構造体は、軽量で寸法精度に優
れ、また肉厚が実質的に均一であるのみならず、耐熱
性、耐摩耗性、耐化学薬品性、耐候性等の特性が改善さ
れる。このために電子写真複写機、ファクシミリ、プリ
ンター等のOA機器の加熱定着ローラ、搬送ローラを始
めとして、各種の加工機械や電気製品等の各種ローラー
やパイプ類や板状体等の多くの分野で利用される。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーモトロピック液晶ポリマー成形体の
    表面にシリコーン樹脂系塗料の保護膜を設けたことを特
    徴とするサーモトロピック液晶ポリマー構造体。
  2. 【請求項2】 前記サーモトロピック液晶ポリマー成形
    体が加熱体である請求項1に記載のサーモトロピック液
    晶ポリマー構造体。
  3. 【請求項3】 前記サーモトロピック液晶ポリマー成形
    体が、通電により発熱する組成物を成形したものである
    請求項2に記載のサーモトロピック液晶ポリマー構造
    体。
  4. 【請求項4】 前記サーモトロピック液晶ポリマー成形
    体が、通電により発熱する膜を表面にコーティグしたも
    のである請求項2に記載のサーモトロピック液晶ポリマ
    ー構造体。
  5. 【請求項5】 前記サーモトロピック液晶ポリマー成形
    体の形状がロール状である請求項1〜4のいずれかに記
    載のサーモトロピック液晶ポリマー構造体。
JP28032693A 1993-10-14 1993-10-14 サーモトロピック液晶ポリマー構造体 Pending JPH07108652A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005179627A (ja) * 2003-11-28 2005-07-07 Sumitomo Chemical Co Ltd 液晶ポリエステル樹脂組成物

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