JPH0710367Y2 - 画像形成装置におけるシートの定着・搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、静電写真複写機やファクシミリ等の画像形成
装置におけるシートの定着・搬送装置に関する。

〔従来の技術〕

例えば静電写真複写機におけるシートの定着・搬送装置
として、第７図に示すように、１本がクラウン形状であ
る少なくとも２本のベルト支持ローラ31,32にエンドレ
スの搬送ベルト33を巻回すると共に、該搬送ベルト33に
搬送ローラ34を圧接させて、所謂ベルト式の定着装置35
を構成する一方、互いに当接する複数対のローラ36から
成るシート搬送手段37を、最大サイズのシートのほゞ全
巾にわたるように配設し、かつ、当該シート搬送手段37
のシート搬送速度を前記搬送ベルト33によるシート搬送
速度よりもやゝ大に設定したものがある。

上記構成のベルト式定着装置35によれば、前記搬送ベル
ト33と搬送ローラ34とによるシート挟持のニップ巾を、
ローラどうしを当接させる所謂ローラ式の定着装置に比
べて大きくとることができ、而して、定着時間を長くで
きることから小さな圧力および低い温度で熱定着を達成
できる利点がある。

そして、上記２本のベルト支持ローラ31,32をストレー
ト形状にした場合には、当該ローラ31,32に巻回された
搬送ベルト33の周長差に起因して該搬送ベルト33に捩じ
れ皺が生じ、これが原因でシートに折れ皺や定着ムラが
発生するが、前記１本のローラ31をクラウン形状にした
ことで搬送ベルト33の捩じれ皺が発生しなくなり、而し
て、シートの折れ皺や定着ムラが効果的に防止される。

尚、上記ローラ31をクラウン形状にすると前記ベルトの
捩じれ皺が発生しなくなることは、特開昭60-104980号
公報等によって開示されているので、ここではその説明
を避けることにする。

また、前記シート搬送手段37のシート搬送速度を前記搬
送ベルト33によるシート搬送速度よりもやゝ大にして、
シートを引っ張り気味に搬送することは、前記ベルト式
定着装置35とシート搬送手段37との間でのシートの撓み
を防止する上で肝要な技術である。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、前記ローラ31をクラウン形状にすると、該ロ
ーラ31に巻回されている搬送ベルト33に掛かる張力F₁,F
₂,F₃が巾方向両側に移行するほど小さくなり、当該搬送
ベルト33と搬送ローラ34とによる定着域でのシートの挟
持搬送力がシートの巾方向両側ほど弱くなる。

一方、既述したように従来は、互いに当接する複数対の
ローラ36から成るシート搬送手段37を、最大サイズのシ
ートのほゞ全巾にわたるように配設して、定着後のシー
トを全巾にわたってほゞ均等の速度で引っ張り気味に搬
送している。

而して、前記定着域でのシートの搬送力がシート両側ほ
ど弱いことから、シートを全巾にわたって均等速度で搬
送すると、該シートの両側部分が前記シート搬送手段37
に過剰に引っ張り気味で搬送される状態となり、これが
因で、特に軟質のシートや巾広サイズのシートに所謂定
着画像のにじみを生じることがあった。

本考案は、かゝる実情に鑑みて案出されたものであっ
て、極めて簡単な改良技術によって上記の不都合を合理
的に解消したシートの定着・搬送装置を提供することを
目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するに至った本考案によるシートの定
着・搬送装置は、１本がクラウン形状である少なくとも
２本のベルト支持ローラにエンドレスの搬送ベルトを巻
回すると共に、該搬送ベルトに搬送ローラを圧接させ
て、ベルト式の定着装置を構成する一方、シート搬送速
度が前記搬送ベルトによるシート搬送速度よりもやゝ大
に設定されたローラ式のシート搬送手段を、前記ベルト
式定着装置の直下流側で且つ搬送ベルトの巾方向中央寄
りに配設した点に特徴を有する。

〔作用〕

上記の特徴構成によれば、シート搬送手段によってシー
トの巾方向中央側が搬送されることで、このシートの巾
方向中央側に追従してシートの巾方向両側が搬送される
状態となり、延いては、当該シート両側の搬送速度が前
記定着域でのシート両側の搬送速度に近くなり、前記定
着域でのシートの搬送速度差に起因する所謂画像にじみ
が防止される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第４図は画像形成装置の一例の静電写真複写機を示し、
原稿押圧装置１を上部に備えた装置本体２に感光体３を
横架すると共に、この感光体３のまわりに、帯電装置
４、現像装置５、転写装置６、シート分離装置７、クリ
ーニング装置８をその順に配置し、かつ、前記装置本体
２の上部空間に露光装置９を設けると共に、装置本体２
の下部空間にシートａの収容部10を設け、更に、該シー
ト収容部10の重送防止装置11から前記転写装置６にわた
ってシート搬送装置12を設けると共に、転写・分離後の
シートａを定着し且つ装置外に排出するための定着搬送
装置13を設けてある。

上記の定着搬送装置13は、ベルト式の定着装置14とロー
ラ式のシート搬送装置15をユニット化して成るもので、
第５図に示すように、複写機前部側（同図において右
側）に引き出し自在に構成され、かつ第１図乃至第３図
にも示すように、複写機前後方向（第２図において左右
方向）にスライド自在な下部ケース16の搬送方向上流側
に、複写機左右方向（第２図において紙面に直交する方
向）の軸線まわりで回動自在に上部ケース17を枢着する
と共に、揺動フック18aとピン18bから成るロック手段18
を前記両ケース16,17の左右両側に設け、かつ、ベルト
式定着装置14の下部側定着手段14Aを前記下部ケース16
に設けると共に、上部側定着手段14Bを前記上部ケース1
7に取り付けてある。

また、転写・分離後のシートａを前記ベルト式定着装置
14に案内するためのシート案内部材19を該ベルト式定着
装置14の上流側に設けると共に、互いに当接する複数対
（三対を示す）の上下ローラ20,21から成る第１のシー
ト搬送手段15aを、シートａの巾方向中央相当部に対応
させて前記両ケース16,17に設け、かつ、この第１シー
ト搬送手段15aのシート巾方向両側に夫々、上部ガイド2
2と下部ローラ23の複数対（各二対を示す）から成る第
２のシート搬送手段15bを両ケース16,17にわたって配設
してある。

そして、上記両シート搬送手段15a,15bの下部ローラ21,
23をほゞ同径にして共通の駆動軸24に設けると共に、こ
の両シート搬送手段15a,15bのシート搬送速度を、前記
下部側定着手段14Bによるシート搬送速度よりもやゝ大
に設定して成る。

尚、前記第１のシート搬送手段15aが上下のローラ20,21
対によってシートａを挟持搬送するのに対し、第２のシ
ート搬送手段15bはシートａをやゝスリップ気味に搬送
することから、当該第２シート搬送手段15bのシート搬
送速度が前記第１シート搬送手段15aのシート搬送速度
よりもやゝ小となり、而して、当該両シート搬送手段15
a,15bと前記下部側定着手段14Bとによるシート搬送速度
の関係は、第２シート搬送手段15bのシート搬送速度
が、下部側定着手段14Bのシート搬送速度よりもやゝ大
で且つ第１シート搬送手段15aのシート搬送速度よりも
やゝ小となる。

次に、前記下部側定着手段14Aは、搬送方向上流側のも
のがストレート形状で、搬送方向下流側のものがクラウ
ン形状（長手方向の中央側ほど径がやゝ大となった太鼓
状の形状）である２本のベルト支持ローラ25,26を、搬
送方向に所定間隔を隔てて前記下部ケース16に設けると
共に、該２本のベルト支持ローラ25,26に搬送ベルト27
を巻回して成り、前記上部側定着手段14Bは、内部にヒ
ーター28を内蔵した加圧用の搬送ローラ29から成る。

上記の構成によれば、前記搬送ベルト27を巻回している
２本のベルト支持ローラ25,26のうち、搬送方向下流側
のものをクラウン形状と成しているので、前記搬送ベル
ト27の巾方向での周長の差に起因するベルトの捩じれ皺
が生じず、而して、前記搬送ベルト27と搬送ローラ29と
間に搬入されたシートａの折れ皺や定着ムラの発生が防
止される。

そして、前記ベルト支持ローラ26をクラウン形状にした
ことで、前記搬送ベルト27と搬送ローラ29とによる定着
域でのシートの挟持搬送力がシートａの巾方向両側ほど
弱くなるが、これに合わせて、シートａをやゝ引っ張り
気味に搬送する第１及び第２のシート搬送手段15a,15b
によるシート搬送速度が、シート巾方向両側ほどやゝ遅
くなるように構成してあるので、シートａの巾方向にお
いて速度差があるものの、定着域とそれの下流側の搬送
域でのシート全巾における搬送速度関係が一定の状態と
なり、前記定着域と搬送域におけるシートａの搬送速度
差に起因する所謂画像にじみが防止される。

尚、第１及び第２のシート搬送手段15a,15bに搬送速度
差を有せしめるのに、例えば、当該第１及び第２のシー
ト搬送手段15a,15bを夫々ローラ対による搬送構成とし
て、第２のシート搬送手段15bによるローラの摩擦抵抗
をやゝ小にしたり、当該ローラの直径を極く僅か小径に
する等の変更が可能であり、あるいは、当該第２のシー
ト搬送手段15bを省略して実施可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、ベルト式定着装置の搬送
ベルトの捩じれ皺に起因するシートの折れ皺や定着ムラ
の発生を防止させるように、該搬送ベルト巻回するロー
ラのうち１本のローラをクラウン形状にし、そして、該
ローラをクラウン形状にすることに起因する所謂画像に
じみを、シート搬送手段によるシート搬送速度の設定に
よって防止したものであって、全体として、簡単かつ合
理的な改良技術によって、高性能画質の定着処理を期し
得るシートの定着・搬送装置を提供するに至ったのであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は定着・搬送装置の分解斜視図、第２図は上部ケ
ースを開放させた定着・搬送装置の斜視図、第３図は定
着・搬送装置の断面図、第４図は画像形成装置の一例の
静電写真複写機の概略縦断側面図、第５図は定着・搬送
装置を引き出した状態の静電写真複写機の概略縦断側面
図、第６図は定着・搬送装置のシート搬送速度の関係を
示す説明図、第７図は従来例におけるシート搬送速度の
関係を示す説明図である。 14……定着装置、15a……第１のシート搬送手段、15b…
…第２のシート搬送手段、25,26……ベルト支持ロー
ラ、27……搬送ベルト、29……搬送ローラ、ａ……シー
ト。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】１本がクラウン形状である少なくとも２本
   のベルト支持ローラにエンドレスの搬送ベルトを巻回す
   ると共に、該搬送ベルトに搬送ローラを圧接させて、ベ
   ルト式の定着装置を構成する一方、シート搬送速度が前
   記搬送ベルトによるシート搬送速度よりもやゝ大に設定
   されたローラ式のシート搬送手段を、前記ベルト式定着
   装置の直下流側で且つ搬送ベルトの巾方向中央寄りに配
   設してあることを特徴とする画像形成装置におけるシー
   トの定着・搬送装置。
2. 【請求項２】前記シート搬送手段の両側に、シート搬送
   速度が該シート搬送手段によるシート搬送速度よりもや
   ゝ小で且つ前記搬送ベルトによるシート搬送速度よりも
   やゝ大なる第２のローラ式シート搬送手段を設けてある
   請求項（１）に記載された画像形成装置におけるシート
   の定着・搬送装置。