JP3742181B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、転写紙上に形成された未定着画像を、定着ローラと、この定着ローラに加圧接触する加圧ローラとで定着する定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の定着装置の典型的なものとしては、図8に示すようなものがあり、この定着装置は、内部に加熱部材3が設けられている定着ローラ1と、この定着ローラ1に加圧接触する加圧ローラ2とを具えている。そして通常定着ローラ1は芯金と、その表面に形成された離型層とを有する剛性ローラとなっており、一方加圧ローラ2は、芯金と、その表面に形成された耐熱弾性離型層とを有する弾性ローラとなっている。そして両ローラ1,2のニップ部の後方に上下剥離爪4,5及び上下ガイド板6,7とが設けられている。
【0003】
このようなものにおいては、転写紙9が剛性ローラからなる定着ローラ1と、弾性ローラからなる加圧ローラ2とによって、そのニップ部で加熱加圧されることから、転写紙9はニップ部の通過後、定着ローラ1側にカールして定着ローラ1の表面に追従して上方にわん曲し、このわん曲の度合いが大きくなると、自重によって下ガイド板7に落下して腰折れし、このようなことが転写紙9の排紙ローラ対8への搬送の際、周期的に行われて図10に示したように波をうったしわが形成されるという問題がある。
【0004】
またこのようなしわは、転写紙9上の未定着画像の画像比率の相違による転写紙9の両ローラ1,2のニップ部からの排出搬送状況の相違によっても発生する。すなわち画像比率が低い場合には、転写紙9上のトナー量が少なくて定着ローラ1からの離型性が良好であるため、転写紙9はニップ部の接線方向に排出されるが、画像比率が高い場合には、転写紙9上のトナー量が多いために定着ローラ1からの離型性が低下して、定着ローラ1に巻き付いて搬送されるということになる。ところで通常1枚の転写紙には画像比率が高いところと、低いところとが混在しているので、ニップ部を通過した直後の転写紙は、定着ローラ1に巻き付いたり、離れたりして転写紙9が上下に移動し、この移動によって波うちしわが形成されるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこのような問題を解消するものとして、図10に示すようなものが提案されており、これは下剥離爪5及び下ガイド板7の代わりに、山型のガイドリブ12を配置したものである。このようなものはしわの形成を防止するには有効であるが、近時両面複写をする複写装置を具えた複写機が増えており、このような複写機を使用する場合、転写紙9の裏面にも定着画像があり、この定着画像の軟化したトナー像13が、ガイドリブ12にこすれて画像が乱されるという問題がある。
【0006】
ところで一般に排紙ローラ対8による排紙速度は、転写紙9にテンションを付与してしわの形成を防止するために、ニップ部における転写紙9の速度より大きく設定するのであるが、転写紙9の先端を排紙ローラ対8がくわえるまでにおいてはしわ形成防止効果が発生せず、また転写紙9に付与されるテンションによって、転写紙9の裏面がガイドリブ12に強く押圧されてこすられることとなることから、画像が乱れるのに加えてガイドリブ12に付着したトナーに搬送されている転写紙9の先端が、引掛かってジャムを発生する等の問題がある。
【0007】
またこのようなものとは別に、特開昭60-7794号公報に開示された定着装置が提案されている。ところで前記のような両面複写機においては、全体をコンパクトにするために、両面複写のための両面装置を、定着装置を含む画像形成装置の下側に配置する場合が多い。このような場合にこの定着装置は、定着直後の転写紙を案内する案内部材が、ほぼ定着ローラに沿って延びていて、転写紙を上方に向けて搬送することとなるため、極端に反転することとなって搬送品質を損なうという問題がある。
【0008】
そこでこの発明の目的は、前記のような従来の定着装置のもつ問題を解消し、転写紙の定着作動後の搬送中に波をうったしわが形成されることがなく、両面装置に使用した際転写紙の裏面がガイドに擦れて、この裏面側の画像がこすれたり、裏面のトナーがガイド等に付着し、その汚れによってジャムを発生することがなく、また反転がきつくて搬送品質を損なうことがない定着装置を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記のような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、定着ローラと、この定着ローラの下方に配置され該定着ローラに加圧接触する加圧ローラとを有する定着装置において、両ローラのニップ部からの排紙部には、前記ニップ部から排出される転写紙の定着ローラへの巻き付きを防止する定着ローラ側の剥離爪と、この剥離爪に対向し前記ニップ部から転写紙の排出方向に向かった接線に対して所定に上方に突出させて位置させた転写紙ガイドロールとを設け、この転写紙ガイドロールは、前記転写紙を押上げながら従動回転することにより、該転写紙の上下動を抑制し、該転写紙の腰折れが防止可能になっていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記転写紙の加圧ローラへの巻き付きを防止する加圧ローラ側の剥離爪を、前記転写紙ガイドロールと併設したことを特徴とするものである。また請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、転写紙ガイドロールは、加圧ローラ側に設けた剥離爪に設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3に記載の発明において、転写紙ガイドロールは、表面にPFA又はPTFE等の離型層を有することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面に示すこの発明の実施形態において、前記従来例と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略し、また各実施形態において同様の部分の図示説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。図1〜3に示すこの発明の第1実施形態において、定着ローラ1は芯金がアルミニウムで構成されていて、その表面にPFA又はPTEEで構成されている離型層が形成されており、加熱部材3はハロゲンヒータ又はニクロム線ヒータで構成されている。そしてその表面の温度を検知するサーミスタからなる温度検知手段15が設けられている。
【0013】
加圧ローラ2は芯金の外周に、シリコンゴムからなる耐熱ゴム層が設けられ、さらにその外周に、離型性のよいPFAチューブが被覆されている。この加圧ローラ2の軸の両端に軸受16が装着されており、この軸受16は加圧レバー17で支持され、この加圧レバー17の基端が図示しない機枠に枢軸18で支持され、自由端はは同じく機枠に一端が取付けられたばね19の他端が連結されていて、このばね19によって加圧ローラ2は、定着ローラ1に押圧されている。
【0014】
図2に示すように、機枠にブラケット21が取付けられ、このブラケット21に下剥離爪5と並列して取付けた支持部材22に、転写紙ガイドロール23が回転可能に取付けられていて、支持部材22は例えばSUS301−CPS−3/4Hのようなばね性のある素材で構成されている。この実施形態における転写紙ガイドロール23は、ポリアセタール又はポリアセタールにフッ素樹脂を含有させた樹脂で構成されている。
【0015】
この実施形態において、両ローラ1,2のニップ部で画像が定着された転写紙が、転写紙ガイドロール23に載って、これを回転しながら排紙ローラ対8に向けて搬送され、これによって波うってしわを発生することがなく、また両面複写の際に転写紙の裏面側の画像がこすれたり、裏面のトナーがガイド等に付着し、その汚れによってジャムを発生したりすることがなく、またかりにジャムが発生しても、支持部材22がばね性のある素材で構成されていることから、一時的に変形して転写紙ガイドロール23が変位するが、その後旧位置に復帰して塑性変形することが防止される。
【0016】
またこの実施形態において、図3に示すように、定着ローラ1と加圧ローラ2との中心を結ぶ直線A−Aに対して直角に延びる直線B−Bと、定着ローラ1と転写紙ガイドロール23との接線Cとの挾角θが、10°以上であると波うち現象を解消することができたが、13°以上になると腰の弱い転写紙ではジャムが発生することがわかり、11.5±1.5°にするのが好ましい。
【0017】
図4,5にはこの発明の第2実施形態が示されており、この実施形態は下剥離爪5を転写紙ガイドロール23と併設した点で第1実施形態と相違し、その他の構成は第1実施形態と異なるところがない。そして前記の相違点により、加圧ローラ2に巻付こうとする転写紙の先端を下剥離爪5で確実にすくいあげて、転写紙ガイドロール23に案内して、搬送品質を向上することとなる。
【0018】
図6にはこの発明の第3実施形態の転写紙ガイドロール23の支持部の構造が示されており、この実施形態においては、転写紙ガイドロール23が下剥離爪5に枢軸24によって支持されている点で第2実施形態と相違し、その他の構成は第2実施形態と異なるところがない。そして前記の相違点により、構造を簡単にし製作が容易となるものである。
【0019】
図7にはこの発明の第4実施形態の転写紙ガイドロール23の構造が示されており、この実施形態においては、第1実施形態における転写紙ガイドロール23の表面にPFA又はPTFE等の離型層26を設けており、その他の構成は第1実施形態と異なるところがない。このことにより転写紙ガイドロール23の表面にトナーが付着しにくく、また耐久性が向上する。
【0020】
【発明の効果】
この発明は上記のようであって、請求項1に記載の発明は、定着ローラと、この定着ローラの下方に配置され該定着ローラに加圧接触する加圧ローラとを有する定着装置において、両ローラのニップ部からの排紙部には、前記ニップ部から排出される転写紙の定着ローラへの巻き付きを防止する定着ローラ側の剥離爪と、この剥離爪に対向し前記ニップ部から転写紙の排出方向に向かった接線に対して所定に上方に突出させて位置させた転写紙ガイドロールとを設け、この転写紙ガイドロールが、前記転写紙を押上げながら従動回転することにより、該転写紙の上下動を抑制し、該転写紙の腰折れが防止可能になっているので、転写紙の定着作動後の搬送中に波をうったしわが転写紙に形成されることがなく、両面装置に使用した際転写紙の裏面が固定されたガイド部材に擦れて、この裏面側の画像がこすれたり、裏面のトナーがガイド等に付着し、このトナー汚れによってジャムを発生したりすることがなく、また反転がきつくて搬送品質を損なうことがないという効果がある。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、転写紙の加圧ローラへの巻き付きを防止する加圧ローラ側の剥離爪を、転写紙ガイドロールと併設したので、加圧ローラに巻付こうとする転写紙の先端を加圧ローラ側の剥離爪で確実にすくいあげて、転写紙ガイドロールに案内して、搬送品質を向上できるという効果がある。また請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、転写紙ガイドロールは、加圧ローラ側に設けた剥離爪に設けられているので、請求項2の効果に加えて、構造が簡単であるという効果がある。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、転写紙ガイドロールは、表面にPFA又はPTFE等の離型層を有するので、転写紙ガイドロールの表面にトナーが付着しにくく、また耐久性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態の要部の正面図である。
【図2】同上の要部の斜面図である。
【図3】同上の定着ローラ、加圧ローラ、ガイドロールの配置図である。
【図4】この発明の第2実施形態の要部の正面図である。
【図5】同上の要部の斜面図である。
【図6】この発明の第3実施形態の要部の斜面図である。
【図7】この発明の第4実施形態のガイドロール要部の斜面図である。
【図8】この発明と同種の従来の定着装置の1例の概略正面図である。
【図9】同上によって発生したしわの状態を示す斜面図である。
【図10】この発明と同種の従来の定着装置の他の例の概略正面図である。
【符号の説明】
1 定着ローラ 2 加圧ローラ
3 加熱部材 4 上剥離爪
5 下剥離爪 6 上ガイド板
7 下ガイド板 8 排紙ローラ対
9 転写紙 16 軸受
17 加圧レバー 18 枢軸
19 ばね 21 ブラケット
22 支持部材 23 転写紙ガイドロール
24 枢軸 26 離型層
Claims (4)
- 定着ローラと、この定着ローラの下方に配置され該定着ローラに加圧接触する加圧ローラとを有する定着装置において、
両ローラのニップ部からの排紙部には、前記ニップ部から排出される転写紙の定着ローラへの巻き付きを防止する定着ローラ側の剥離爪と、この剥離爪に対向し前記ニップ部から転写紙の排出方向に向かった接線に対して所定に上方に突出させて位置させた転写紙ガイドロールとを設け、
この転写紙ガイドロールは、前記転写紙を押上げながら従動回転することにより、該転写紙の上下動を抑制し、該転写紙の腰折れ防止可能になっていることを特徴とする定着装置。 - 前記転写紙の加圧ローラへの巻き付きを防止する加圧ローラ側の剥離爪を、前記転写紙ガイドロールと併設したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 転写紙ガイドロールは、加圧ローラ側に設けた剥離爪に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 転写紙ガイドロールは、表面にPFA又はPTFE等の離型層を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
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