JP3862914B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機,ファクシミリ装置,プリンタなどの電子写真プロセスにより画像形成する画像形成部に設けられ、トナー像が形成された用紙を加圧,加熱してトナー像を定着させるための定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は電子写真プロセスの概要を説明するための概略構成図であり、給紙カセット1に収納されている用紙Pは、給紙ローラ2によりレジストローラ3方向へ給紙され、レジストローラ3によって位置調整が行われ、かつ搬送タイミングが取られて感光体4へ搬送される。用紙Pは、感光体4と転写ローラ5間において感光体4に形成されているトナー像が転写され、定着装置6へ搬送される。定着装置6において、トナー像が形成されている用紙Pは、加圧ローラ7と加熱ローラ8間で加圧,加熱されて像定着処理を受ける。定着後に用紙Pは、分離爪9によって加熱ローラ8から剥離され、排紙ローラ10によって外部へ排紙される。
【0003】
なお、図7において、11は用紙Pの搬送を案内するガイド部材である。
【0004】
図8は図7における定着装置から排紙ローラ間の詳細図であり、用紙Pは、分離爪9によって加熱ローラ8から剥離された後、排紙ローラ10に用紙Pが到達すると、排紙ローラ10による排紙線速が定着装置6による搬送線速より高いように設定されているため、引張られるような状態で分離爪9に接触しながら搬送される。
【0005】
このとき、用紙Pにおいて分離爪9と接触している面は、通常、トナー像が形成されている画像形成面であり、さらに定着直後であってトナーが十分硬化していない状態であることから、分離爪9と摺れることによって形成像が流れるという画像不良が発生する。
【0006】
このことを防止するため、排紙ローラ10による排紙線速を定着装置6による搬送線速より低くなるように設定すると、定着装置6から排紙ローラ10間において用紙Pに弛みが生じ、用紙Pが波打ち状態になったり、皺が発生するという問題がある。
【0007】
前記問題を解決するため、特開平7−225527号公報に記載された定着装置では、分離爪近傍に回転可能な用紙押さえコロを設置し、定着後の用紙が湾曲することなく、排紙ローラまでスムーズに搬送されるようにした構成を採用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−225527号公報に記載された定着装置の構成では、押さえコロを回転可能にしているが設置位置が固定されている。このため、短い用紙であれば定着装置から排紙ローラ間における用紙に対する引張り量が少なく、用紙が押さえコロに与える圧力が少なく問題ないが、比較的長い用紙の場合には、定着装置から排紙ローラ間における用紙に対する引張り量が大きくなる。このため、用紙から押さえコロに加わる圧力も大きくなり、用紙にコロ痕が形成されてしまうことがある。
【0009】
本発明の目的は、前記従来の問題を解決し、定着後の用紙と分離爪との擦れを防止するコロ体を設けても、用紙にコロ痕を発生することがないようにした定着装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、トナー像が形成された用紙を加圧,加熱してトナー像を定着させる加圧ローラおよび加熱ローラを備えた定着装置であって、分離爪と、回転可能かつ用紙からの押圧力を受けて変位可能であるコロ体と、前記分離爪と前記コロ体とを装置本体に設けるフレーム部材とを備えた定着装置において、前記フレーム部材と嵌合する一対の脚部と、該脚部の一方から延出して前記コロ体を保持する腕部が設けられた保持部材を備え、前記脚部と前記腕部とが共に弾性変形して前記コロ体の変位を可能にするものであり、この構成によって、分離爪により剥離された用紙の移動を案内するコロ体は、その移動に際して用紙から圧力を受けると、それに応じて変位して逃げることが可能であるため、用紙に対して圧力痕を形成するようなことがなくなる。しかも、コロ体,その保持部材の組み付けが容易になる。
【0011】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の定着装置において、分離爪における用紙剥離位置から用紙移動方向の下流側に、分離爪の上部から一部を突出させてコロ体を配設したものであり、この構成によって、分離爪により剥離された用紙が分離爪からコロ体へ円滑に移動案内される。
【0012】
請求項3記載の本発明は、請求項1記載の定着装置において、保持部材を、用紙からの押圧方向に対して弾性変形可能な板バネ材により構成したものであり、この構成によって、コロ体の変位移動が簡単な構成で確実に行われる。
【0013】
請求項4記載の本発明は、請求項1,2または3記載の定着装置において、保持部材の一部によって分離爪の抜けを防止する構成にしたものであり、この構成によって、分離爪の設置構造を確実なものにすることができる。
【0014】
請求項5記載の本発明は、請求項1,2,3または4記載の定着装置において、コロ体が一対のコロ体であるものであり、この構成によって、剥離した用紙が一対のコロ体によって確実に案内されることになる。
【0015】
請求項6記載の本発明は、請求項1,2,4または5記載の定着装置において、分離爪の先端部を加熱ローラの外周面に弾接させるように付勢する付勢部材を備えたものであり、この構成によって、分離爪による加熱ローラから用紙剥離が良好に行われ、かつ剥離後の用紙に分離爪の先端が接触することを防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図7,図8にて説明した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0017】
図1は本発明の実施形態を説明するための定着装置の要部を示す概略構成図であり、加圧ローラ7と加熱ローラ8の用紙搬送方向下流側に、付勢手段であるスプリング20の付勢力を受けて先端9aが加熱ローラ8の外周面に弾接している分離爪9が配設されており、この分離爪9の上側から上部が突出し、さらに回転可能かつ上下方向に変位可能であるように、コロ体21が分離爪9の横側に設置されている。
【0018】
図1において、トナー像が形成されている用紙Pは、加圧ローラ7と加熱ローラ8間で加圧,加熱されて像定着処理を受ける。その定着後に用紙Pは、分離爪9によって加熱ローラ8から剥離され、剥離後にコロ体21を回転させながらコロ体21上を移動して排紙ローラ10方向へ搬送され、排紙ローラ10によって外部へ排紙される。
【0019】
このとき用紙Pは、剥離後に排紙ローラ10に到達すると、排紙ローラ10による排紙線速が加圧ローラ7と加熱ローラ8とによる搬送線速より高く設定されているため、引張られるようにして搬送される状態になるが、図2に示すように、用紙Pが引張られて破線の状態から実線の状態になったとき、用紙Pにおける引張力がコロ体21に押圧力Fとして加わっても、コロ体21は下方へ逃げるように移動することができるため、用紙Pとコロ体21間の圧力,摩擦抵抗が減少し、よって、従来のような用紙Pにおけるコロ体21による圧痕の発生を抑えることができる。
【0020】
図3は前記分離爪とコロ体との具体的設置例を示す側面一部断面図、図4は図3に示す各部材の組付を説明するための側面図、図5は図3に示す各部材の分解斜視図であり、25は装置本体に設けられた平板状のフレーム部材、26は、フレーム部材25の下部に相対向するように設けられ、それぞれに前方の開口する長溝26aが形成された一対の保持部、27は、スプリング20の一端を係止するために装置本体に設けられたスプリング固定部である。
【0021】
分離爪9には、先側に用紙Pを剥離させるための傾斜部28が形成され、後側に保持部26の長溝26aに挿入される回動支軸29が両側から突出するように設けられ、後側下部にスプリング20の他端を係止するフック部30が形成され、中央上部に凹部31が形成されている。
【0022】
コロ体21は、支軸32に間隔33を取って一対が固定され、支軸32の両端部32aが保持部材である保持枠体34における前方両側からそれぞれ延出する一対の腕部35の受け孔35aに回転可能に支持されている。保持枠体34は、弾性板材(板バネ材)から構成され、下側が開放された相対向する一対の脚部36を有し、脚部36の開放側36aが平板状のフレーム部材25の天井部分に嵌着されて固定されている。脚部36にはフレーム部材25の端部に確実に嵌着するように内側に突出する凸部37がそれぞれ設けられている。
【0023】
次に、分離爪9とコロ体21のフレーム部材25に対する組み付けについて説明する。
【0024】
まず、分離爪9の回動支軸29をフレーム部材25の保持部26における長溝26aに挿入する。ここで、予め、保持枠体34の腕部35における受け孔35aに、コロ体21に設けた支軸32の両端部32aを嵌合して、コロ体21を保持枠体34に組み付けておく。そして、この組付状態のコロ体21をフレーム部材25外に出ている分離爪9の凹部31内に配し、分離爪9の両側に各コロ体21がそれぞれ配置されるようにする。さらに、保持枠体34の脚部36における開放側36aをフレーム部材25に挿入し、保持枠体34の脚部36をフレーム部材25の天井部分に嵌着させる。そして、スプリング20の一端をフック部30に係止し、かつ他端をスプリング固定部27に係止することによって組み付けが完了し、図3に示す組付構造になる。
【0025】
図3に示す組付構造により、スプリング20の付勢力を受けて分離爪9の先端9aは加熱ローラ8の外周面に弾接し、またコロ体21は保持枠体34の腕部35において回転可能に保持され、さらに用紙Pの押圧力Fがコロ体21に加わっても、保持枠体34における腕部35および脚部36が、図3に2点鎖線に示すように弾性変形して、コロ体21を上下方向に変位可能であるように保持することができる。
【0026】
図6は分離爪とコロ体との他の設置例を示す側面一部断面図であり、保持枠体34の構造以外は図3〜図5により説明した構造と同様である。図3〜図5に示す例では分離爪9は、フレーム部材25の保持部26における長溝26aに回動支軸29が挿入された状態で、スプリング20の引張力のみにより保持されているため、用紙のジャム処理の際にユーザが設置部分に接触した場合などに保持部26から抜けるおそれがある。
【0027】
この抜けを防止するため、図6に示す例では、保持枠体34の天井部を前方に延出し、かつ下方に垂下させて延出部40を形成し、この延出部40によってフレーム部材25の保持部26における長溝26aを塞ぐ構造にして、分離爪9の回動支軸29が保持部26の長溝26aから抜け出ることを防止している。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る定着装置によれば、分離爪により剥離された用紙の移動を案内するコロ体が、移動している用紙から押圧力を受けたときに、その押圧力に応じて変位して逃げることを可能にしたため、従来のような用紙に対してコロ体による圧痕が形成されてしまうことを防止することができ、定着処理後における給紙性能を向上させることができる。しかも、コロ体,その保持部材の組み付けが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための定着装置の要部を示す概略構成図
【図2】本発明の実施形態における用紙によるコロ体の押圧状態の説明図
【図3】本発明の実施形態における分離爪とコロ体との具体的設置例を示す側面一部断面図
【図4】図3に示す各部材の組み付けを説明するための側面図
【図5】図3に示す各部材の分解斜視図
【図6】本発明の実施形態における分離爪とコロ体との他の設置例を示す側面一部断面図
【図7】電子写真プロセスの概要を説明するための概略構成図
【図8】図7における定着装置から排紙ローラ間の詳細図
【符号の説明】
7 加圧ローラ
8 加熱ローラ
9 分離爪
20 スプリング
21 コロ体
25 フレーム部材
26 保持部
26a 長溝
29 回動支軸
31 凹部
32 支軸
34 保持枠体
35 腕部
36 脚部
40 延出部
Claims (6)
- トナー像が形成された用紙を加圧,加熱してトナー像を定着させる加圧ローラおよび加熱ローラを備えた定着装置であって、
分離爪と、回転可能かつ用紙からの押圧力を受けて変位可能であるコロ体と、前記分離爪と前記コロ体とを装置本体に設けるフレーム部材とを備えた定着装置において、
前記フレーム部材と嵌合する一対の脚部と、該脚部の一方から延出して前記コロ体を保持する腕部が設けられた保持部材を備え、前記脚部と前記腕部とが共に弾性変形して前記コロ体の変位を可能にすることを特徴とする定着装置。 - 前記分離爪における用紙剥離位置から用紙移動方向の下流側に、前記分離爪から一部を突出させて前記コロ体を配設したことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記保持部材を、用紙からの押圧方向に対して弾性変形可能な板バネ材により構成したことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記保持部材の一部によって前記分離爪の抜けを防止する構成にしたことを特徴とする請求項1,2または3記載の定着装置。
- 前記コロ体が一対のコロ体であることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の定着装置。
- 前記分離爪の先端部を前記加熱ローラの外周面に弾接させるように付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1,2,4または5記載の定着装置。
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