JPH07102068B2 - 採卵装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、たとえばスケソウダラの魚卵を採取するため
に、頭部を切断し、魚卵を傷つけないで連続して取出す
ことのできる採卵装置の改良に関する。

従来の技術 典型的な先行技術は、たとえば特開昭60-98937号公報に
示されている。この先行技術では、魚体のエラ蓋部を挟
着ベルトによつて挟着するとともに、魚体の尾部を挟着
チエーンによつて挟着して、その魚体を、頭部を上方に
して起立させた状態で搬送し、前記挟着ベルトによる押
圧力および魚体が垂下された姿勢による卵巣への重力の
作用によつて、前記卵巣を正常位置よりも尾部側に変位
させた状態で、切断刃によつて前記魚体の頭部を切断
し、この頭部が切断された魚体の腹部を押圧部材によつ
て押圧し、腹腔内から卵巣を押出して取出すように構成
されている。

発明が解決しようとする課題 このような先行技術では、前記挟着ベルトによつて魚体
のエラ蓋部を挟着して押圧し、これによつて腹腔内の卵
巣を尾部側に押下げた状態で頭部を切断するように構成
されているため、腹腔内は前記挟着ベルトの押圧力によ
つて加圧された状態にあり、したがつて前記切断刃によ
つて切断された直後に前記腹腔内が開放され、卵巣が突
出してしまうおそれがある。このように卵巣が突出する
と、切断刃によつて損傷されてしまい、歩留りが低下し
てしまうという問題がある。また上記先行技術では、魚
体の頭部を切断する工程において、前記エラ蓋部を挟持
する挟着ベルトと魚体の尾部を挟持する挟着チエーンと
の２つの搬送手段が必要であるため、構成が大形化およ
び複雑化してしまうという問題がある。

したがつて本発明の目的は、装置を大形化および複雑化
することなく、しかも腹腔内の卵巣を損傷することなし
に頭部を確実に切断して採卵することができるようにし
た採卵装置を提供することである。

課題を解決するための手段 本発明は、腹部を搬送方向下流側に向け、胸びれの付根
付近が頭尾方向の予め定める切断位置に位置決めして供
給される魚体の胴部を、一対の搬送ベルトによつて挟持
して前記搬送方向下流側に搬送する挟持搬送手段と、 挟持搬送手段の中途の前記予め定める切断位置に設けら
れる切断刃と 前記切断刃と一対の搬送ベルトとの間に配置され、各遊
端部が前記挟持搬送手段によつて搬送される魚体の搬送
経路に両側から近接する方向に延び、各基端部が前記搬
送経路の両側で角変位自在に支持される一対の当接部材
と、 各当接部材を、その遊端部と基端部との間で前記切断刃
の搬送方向上流側に臨む刃先よりも前記搬送方向下流側
に退避した位置から前記刃先よりも搬送方向上流側に突
出した位置に向けてばね付勢する第１ばねと、 前記切断刃よりも搬送方向下流側で、かつ一対の搬送ベ
ルトに関して魚体の腹部が通過する側で、前記一対の搬
送ベルトに近接／離反する方向に変位可能に設けられる
押圧部材と、 押圧部材を、前記一対の搬送ベルトに近接する方向にば
ね付勢する第２ばねとを含むことを特徴とする採卵装置
である。

作用 本発明に従えば、挟持搬送手段の一対の搬送ベルトによ
つて魚体の頭部が挟持されて搬送方向下流側に搬送され
る。この魚体は、腹部を搬送方向下流側に向け、かつ胸
びれの付根付近が頭尾方向の予め定める切断位置に位置
決めされた状態で、前記挟持搬送手段に供給される。し
たがつて前記魚体が一対の搬送ベルトによつて挟持され
た状態では、その魚体の搬送ベルトから胸びれの付根付
近の突出量は常に一定である。このような状態で搬送方
向下流側に搬送される魚体は、一対の当接部材に前記予
め定める切断位置よりも尾部寄りの部分が当接して押圧
される。このとき魚体は、挟持搬送手段によつて搬送方
向下流側に搬送されているため、その進行によつて前記
一対の当接部材を搬送方向上流側にばね付勢する第１ば
ねのばね力に抗して各当接部材を押開き、各当接部材の
間を通過して、各当接部材の直後に配置される切断刃に
よって魚体の胸びれの付根付近が切断される。このとき
前記切断位置よりも尾部寄りの部分、すなわち胸びれの
付根付近よりも尾部寄りの部分が各当接部分の遊端部付
近によつて押圧されているため、その切断口から卵巣が
突出してしまうおそれはなく、切断刃による卵巣の損傷
が防がれる。このようにして卵巣を損傷することなしに
魚体の胸びれの付根付近の切断位置が正確かつ確実に切
断される。その後、第２ばねによつて前記一対の搬送ベ
ルトに近接する方向にばね付勢された押圧部材によつて
魚体の腹部が押され、腹腔内の卵巣が取出される。

実施例 第２図は本発明の一実施例の採卵装置１の全体平面図で
あり、第３図はその側面図である。これらの図におい
て、採卵装置１は、魚体Ｆが載置され、作業者Ｍに関し
て頭部を前方に向け、腹部側を搬送方向下流側に向けて
横臥する姿勢で搬送するとともに、魚体Ｆの頭尾方向位
置を正しく規制する位置決め搬送手段２と、位置決め搬
送手段２に連接され、位置決め搬送手段２から魚体Ｆを
受取つて下流側へ搬送する挟持搬送手段３と、前記挟持
搬送手段３の中途に設けられ、魚体Ｆの腹部Fbを押圧し
て腹腔内の卵巣Faを尾部側へ寄せる腹圧手段４と、前記
搬送手段３の中途に設けられ、胸びれFcの付根付近で頭
部Fdを切断する切断手段５と、前記搬送手段３の途中に
設けられ、頭部Fdを切断除去された魚体Ｆから卵巣Faを
押出すための採卵手段６とを含む。前記挟持搬送手段３
として、魚体Ｆの胴部を挟持して搬送する上下一対の搬
送ベルト18が形成されるが、魚体Ｆの逃げを防ぐため、
必要に応じて、頭部Fdを上下から挟持して搬送する後述
の一対の頭部送りベルト19も設けられる。

前記搬送ベルト18は、水平な回転軸線まわりに、矢符Ａ
方向に回転駆動される一対の始端側プーリ20a,20bと、
これに従動して回転する一対の終端側プーリ21a,21bと
を有し、これらプーリ20a,20b;21a,21bには、たとえば
ゴムなどの可撓性材料からなる無端状のベルト本体22a,
22bが巻掛けられる。各ベルト本体22a,22bの対向する面
には、多数の係止針が配設され、魚体Ｆの胴部付近を挟
持する挟持面24a,24bとなつている。ベルト本体22a,22b
は挟持面24a,24bが相互に近接するよう、背面側に対を
なして設けられ、図示外のばねによつて相互に近接する
方向へ付勢されるそれぞれ複数のローラ25a,25bによつ
て弾発的に押圧されている。頭部送りベルト19の下方に
は、魚頭排出シユート30aが傾斜して設置され、その終
端部には廃棄物コンベア30bが配置される。

腹圧手段４と切断手段５とは、腹圧と同時に頭部切断が
行われるよう、互いに近接して設けられる。腹圧手段４
は、第１図に示すように、切断手段５の搬送方向直前に
設けられ、頭部切断の際に、魚体Ｆ内の卵巣Faが傷つか
ないよう、該卵巣Faを尾部側へ押下げる。腹圧手段４
は、魚体Ｆの胸びれFcの付根付近の腹部Fbを、搬送ベル
ト18の上下から挟圧するための細板状の上部材31aと下
部材31bとから成る当接部材31が、各遊端部を近接させ
て取付けられる。当接部材31は、互いの近接する端部を
魚体Ｆの搬送経路に臨ませ、それぞれの基端部である固
定端部B1,B2を支点として角変位自在に設けられる。こ
のような一対の当接部材31は、前記遊端部と基端部との
間に係止される第１ばね32a,32bによつて搬送方向上流
側に向けてばね付勢される。これらのばね32a,32bによ
つて各当接部材31は魚体Ｆの通過によつて押圧されない
状態では、後述する切断刃である一対の回転丸刃34の刃
先よりも搬送方向Ｒ上流側に配置され、搬送手段によつ
て搬送されてきた魚体Ｆによつて搬送方向Ｒ下流側に押
圧されるにつれて前記刃先よりも搬送方向Ｒ下流側に前
記ばね32a,32bのばね力に抗して角変位し、このように
して魚体Ｆの胸びれの付根付近を弾発的に押圧した状態
で、その押圧位置よりも頭部寄りの部分が切断される。

このような各当接部材31の魚体Ｆと当接する先端に、回
転自在なローラを設けることによつて、より円滑な腹圧
動作が期待できる。

切断手段５は、上下一対の回転丸刃34を有するカツタ33
が用いられる。このカツタ33の搬送方向Ｒ下流側には一
対の採卵手段６が設けられる。

採卵手段６は、前記切断手段５の搬送方向Ｒ下流側に設
けられ、魚体Ｆの搬送経路にほぼ垂直な回転軸線を有
し、魚体Ｆの腹部Fbの肛門付近に近接／離反するよう変
位可能に配置される押圧部材35を備える。前記押圧部材
35は、魚体Ｆの搬送方向Ｒと逆方向に回転駆動され、魚
体Ｆの腹部に近接する方向へばね51によつて付勢されて
いる。前記押圧部材35が魚体Ｆを押圧する位置の下方に
は、前記搬送経路に交差する方向に張られたピアノ線52
が設けられる。このピアノ線52は魚体Ｆから押し出され
た卵巣Faが腸管などで魚体Ｆにつながつている場合に、
これを引つかけて切断させ、卵巣Faが魚体Ｆに引張られ
て破損してしまう事態を防ぐようにする。

第２図に示す供給コンベア55上にランダムに載置されて
送給される魚体Ｆは、作業員Ｍによつて一匹宛とりあげ
られ、たとえば走行速度4m/分の投入コンベア11の板状
体12上に定置される。この板状体12上への魚体Ｆの定置
は、魚体Ｆがその頭尾方向に関し、切断手段５による切
断位置を魚体Ｆの大小に拘わらず卵巣Faを破損しない位
置に正しく位置決めされる。

次に、魚体Ｆは、搬送ベルト18上に移載され、上下のベ
ルト本体22a,22b間に胴部を挟持されて送られる。この
搬送ベルト18の走行速度はたとえば8m/分に選ばれる。
したがつて魚体Ｆの搬送間隔は、投入コンベア11におけ
る搬送間隔の２倍に広がる。この搬送間隔は、頭部Fdを
切断された魚体Ｆが、押圧部材35によつて上流側へ押さ
れて傾倒した場合でも、後続の魚体Ｆと接触することの
ない充分な間隔となる範囲に選ばれる。

また、魚体Ｆは頭部Fdを頭部送りコンベア19によつて挟
持され、第４図（１）〜第４図（４）および第５図
（１）〜第５図（４）の各順序に従い、腹圧手段４の当
接部材31によつて魚体Ｆの左右から腹部Fbの上部を腹側
から背側へ向けて押さえられ、卵巣Faを尾部側へ押し下
げられながら切断手段５によつて前記胸びれFcの付根の
頭部Fd側付近を切断される。切断された頭部Fdは、頭部
送りベルト19によつて送られ、魚頭排出シユート30aか
ら魚頭排出コンベア30bを経て搬送され投棄される。

魚体Ｆの胴部は搬送ベルト18に挟持されたまま搬送さ
れ、下流の採卵手段６に至る。

採卵手段６では、頭部Fdが切断された魚体Ｆは、魚体Ｆ
の切断部側の端部が垂れ下がらないように水平状態を保
ちながら押圧部材35に腹部Fbが当接する。このとき押圧
部材35は、第２ばねであるばね51のばね力によつて矢符
Ｄ方向（第２図参照）へ弾発付勢されている。このよう
な状態で魚体Ｆは、搬送ベルト18によつて搬送方向Ａに
向けて搬送される。そのため卵巣Faが押し出されるが、
卵巣Faが部分的に押し出されると、一時的に受面43によ
つて支持され、押しつぶされることなく、全部を円滑に
引き出すことができる。

この引出し作用は押圧部材35の回転によつても助長され
ると共に、回転する押圧部材35によつて卵巣Faと魚体Ｆ
とを連結する腸管などの臓器が切断される。しかも卵巣
Faが腸管などでつながれている場合でも、ピアノ線52に
引つかけられて分断され、卵巣Faが魚体Ｆから容易に分
離され、確実に、かつ短時間で採卵できる。

採卵後押圧部材35は、ばね51のばね力に抗する魚体Ｆの
進行につれて該魚体Ｆに押されてＤ方向と逆方向に揺動
退去し、魚体Ｆの通過を邪魔することはない。

取出された卵巣Faは採卵シユート53へ落下して収納さ
れ、残つた魚体Ｆは搬送ベルト18の終端部において魚体
排出シユート54を経て機外へ排出される。

本発明の採卵装置１によると、魚体Ｆの頭尾方向の位置
決めが行われた状態で、当接部材31によつて腹圧を加え
られて頭部Fdを切断されるので、卵巣Faは傷つくことな
く、確実に取出すことができる。

前述の実施例では、魚体Ｆを頭尾方向が水平となつた姿
勢で搬送して採卵するようにしたけれども、本発明の他
の実施例として、魚体Ｆの頭部Fdを上方にし、尾部を下
方にして搬送し、このような魚体Ｆの姿勢で卵巣Faを採
取するようにしてもよく、さらに水平および鉛直以外の
角度で傾斜した姿勢で搬送して採卵するようにしてもよ
い。

発明の効果 本発明によれば、第１ばねによつて切断刃の搬送方向上
流側に臨む刃先よりも前記搬送方向下流側に退避した位
置から前記刃先よりも搬送方向上流側に突出した位置に
向けてばね付勢される一対の当接部材が、前記切断刃と
搬送ベルトとの間に設けられるので、搬送手段によつて
切断刃の搬送方向上流側の直前に搬送されてきた魚体の
胸びれの付根付近の尾部寄りの部分を、各当接部材によ
つて弾発的に押圧した状態で前記切断刃によつて胸びれ
の付根付近が切断される。これによつて切断直後に魚体
の腹腔内から卵巣が突出することを防ぎ、これによつて
卵巣の切断刃による損傷を防ぎ、歩留りの向上を図るこ
とができる。しかも前記先行技術に関連して述べたよう
に、魚体の尾部を挟持する手段以外に魚体のえら蓋部を
挟持する挟着ベルトなどの挟持手段を必要としないの
で、構成が大形化および複雑化することなく、簡単な構
成で確実に採卵することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の側面図、第２図は本発明の
採卵装置１の全体の構成を示す平面図、第３図は第２図
に示される実施例の側面図、第４図は腹圧手段の作動状
態を示す平面図、第５図はその腹圧手段の側面図であ
る。 Ｆ……魚体、Fa……卵巣、Fb……腹部、Fc……胸びれ、
Fd……頭部、３……搬送手段、４……腹圧手段、５……
切断手段、６……採卵手段、11……投入コンベア、12…
…板状体、18……搬送ベルト、19……頭部送りベルト、
31……当接部材、34……丸刃

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】腹部を搬送方向下流側に向け、胸びれの付
   根付近が頭尾方向の予め定める切断位置に位置決めして
   供給される魚体の胴部を、一対の搬送ベルトによつて挟
   持して前記搬送方向下流側に搬送する挟持搬送手段と、 挟持搬送手段の中途の前記予め定める切断位置に設けら
   れる切断刃と 前記切断刃と一対の搬送ベルトとの間に配置され、各遊
   端部が前記挟持搬送手段によつて搬送される魚体の搬送
   経路に両側から近接する方向に延び、各基端部が前記搬
   送経路の両側で角変位自在に支持される一対の当接部材
   と、 各当接部材を、その遊端部と基端部との間で前記切断刃
   の搬送方向上流側に臨む刃先よりも前記搬送方向下流側
   に退避した位置から前記刃先よりも搬送方向上流側に突
   出した位置に向けてばね付勢する第１ばねと、 前記切断刃よりも搬送方向下流側で、かつ一対の搬送ベ
   ルトに関して魚体の腹部が通過する側で、前記一対の搬
   送ベルトに近接／離反する方向に変位可能に設けられる
   押圧部材と、 押圧部材を、前記一対の搬送ベルトに近接する方向にば
   ね付勢する第２ばねとを含むことを特徴とする採卵装
   置。