JPH07102022A - エチレン系重合体組成物及びそれを用いた燃料タンク - Google Patents

エチレン系重合体組成物及びそれを用いた燃料タンク

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JPH07102022A
JPH07102022A JP24956093A JP24956093A JPH07102022A JP H07102022 A JPH07102022 A JP H07102022A JP 24956093 A JP24956093 A JP 24956093A JP 24956093 A JP24956093 A JP 24956093A JP H07102022 A JPH07102022 A JP H07102022A
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ethylene
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雅人 田中
Nobuo Enokido
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン単独重合体、または、エチレンと炭
素数3〜20のα−オレフィンとからなりα−オレフィ
ン含有量が10重量%以下であるエチレン共重合体であ
って、極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g)、密度が
0.94〜0.97(g/cm3 )、190℃における
ゼロシアー粘度η0 が2×107 〜3×10 8 (poi
se)であるエチレン系重合体100重量部と特定の化
学式で規定されるアクリレート系化合物0.01〜1重
量部から成ることを特徴とするエチレン系重合体組成物
及びそれを用いた燃料タンク。 【効果】 本発明の、アクリレート系化合物を配合した
新規なエチレン系重合体組成物は、造粒時や成形時、或
いはリサイクル時に260℃以上の熱履歴を受けても、
熱劣化による特性低下が生じにくい。又、このエチレン
系重合体組成物を用いて製造された燃料タンクは耐衝撃
性及び肉厚均一性に優れ、その為に軽量化が可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なエチレン系重合体
組成物、およびこれを用いた燃料タンクに関する。詳し
くは、従来品より薄い平均肉厚でも従来品と同等の耐衝
撃性を保持した燃料タンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車工業分野では、軽量化、省
エネルギー化と言った目的で、各種自動車部品のプラス
チック化が活発に押し進められている。プラスチック材
料としては、安価、高強度、良耐候性、良耐薬品性およ
び環境問題といった観点からポリオレフィン樹脂が一般
に使用されている。
【0003】従来、燃料タンクについては、高分子量高
密度ポリエチレンによるプラスチック化が提案されてい
る。しかし、その形状は車種によって異なり種々のもの
が要求される。例えば、4WD(四輪駆動)や4WS
(四輪操舵)などを装着した車種の場合、普通車種に比
べて構造が複雑となり、燃料タンクを装着するための空
間が限定され、曲部の多い複雑な形状の燃料タンクを設
計することが要求される。
【0004】ところが、従来使用されている高密度ポリ
エチレンを用いてこのような形状の複雑な燃料タンクを
製造しようとした場合、特に得られる燃料タンクの曲部
の肉厚が薄く形成されるので、その部分の強度が低くな
るため、曲部の肉厚を厚くするために燃料タンク全体を
肉厚としなければならず、軽量化、製品のコスト低下が
未だ十分達成されているとはいえなかった。
【0005】そこで、本発明者らの一部は、燃料タンク
の曲部において、従来と同様な条件下に成形しても、従
来よりも曲部における肉厚が厚く形成されるような樹脂
組成物を得るべく、特定の極限粘度及びゼロシャー粘度
の高密度ポリエチレン樹脂組成物に着目して検討を重
ね、極限粘度が2〜6dl/gでゼロシャー粘度が2×
107 〜1.0×108 ポイズの高密度ポリエチレンの
内、更にR値が特定の範囲である場合、成形品の曲部の
肉厚を厚くしなくとも良好な耐衝撃強度を有する成形品
を得ることができることを提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、更にか
かる高密度ポリエチレンが造粒時や成形時、或いは、リ
サイクル時に260℃以上の熱履歴を受けても、熱劣化
によって上記のようなポリマー自体の特性が低下しにく
い樹脂組成物を提供すべく鋭意検討した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らの検討によれ
ば、種々公知の熱安定剤について検討した結果、特定の
アクリレート系化合物を使用した場合、高密度ポリエチ
レンの特性を損なうことなく、所期の目的が達成される
ことを知得し、本発明を完成するに到った。即ち、本発
明の要旨は、エチレン単独重合体、または、エチレンと
炭素数3〜20のα−オレフィンとからなりα−オレフ
ィン含有量が5重量%以下であるエチレン共重合体であ
って、(1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g)、
(2)密度が0.94〜0.97(g/cm3 )、且つ
(3)190℃におけるゼロシアー粘度η0 が2×10
7 〜3×108 (poise)であるエチレン系重合体
100重量部と、一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基
を表し、R2 は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3
は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R
4 は水素原子またはメチル基を表す。)で示されるアク
リレート系化合物0.01〜1重量部から成ることを特
徴とするエチレン系重合体組成物、及びそれを用いた燃
料タンクに存する。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明の高
密度ポリエチレン樹脂は、公知の方法で得られる密度が
0.94〜0.97g/cm3 、好ましくは、0.95
5〜0.970g/cm3 、特に好ましくは、0.96
0〜0.970g/cm3 の種々の高密度ポリエチレ
ン、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと10重量
%以下、好ましくは、5重量%以下の他のα−オレフィ
ン(例えば、プロピレン、ブデン−1、ペンテン−1、
ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセ
ン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−
1、3−メチルペンテン−1、ビニルシクロヘキサン、
スチレンなどの炭素数3〜20のα−オレフィン)との
共重合体の内、極限粘度が2〜6dl/g、好ましく
は、2.3〜5.5dl/g、特に3〜5dl/g、ゼ
ロシャー粘度が2×107 〜3×108 ポイズ、好まし
くは、2.5×107 〜2×108 ポイズ、特に3×1
7 〜2×108 ポイズのものが使用される。更に、本
発明の高密度ポリエチレン樹脂としては、R値が2.5
〜4、好ましくは、2.6〜3.8、特に好ましくは、
2.7〜3.5のものが好適に使用される。
【0011】本発明における上記各物性値は、それぞれ
下記の方法に従って測定した値である。 密度(ρ) JIS K6760に準拠して測定した値。 極限粘度(〔η〕) テトラリン中、130℃で測定した値。
【0012】 ゼロシャー粘度(η0 ) レオメトリックス社製ストレスレオメーター(「RSR
−M」)を用い、ペレットをプレス成形機で厚さ約1m
mのシートに成形して試料とし、190℃にて測定した
値。フィクスチャーは、円錐−平板型であり、直径が2
5mmで円錐と平板のなす角度が0.1radのものを
使用した。
【0013】一般に、溶融ポリマーの剪断粘度は、低剪
断速度領域(10-3sec-1以下)で定常値をとり、剪
断速度が大きくなるに従って小さくなる。ゼロシャー粘
度(η0 )とは上記の定常値を指す。本装置は、クリー
プ特性から低剪断速度領域の溶融剪断粘度を求めること
ができる。 均一延伸性指標(R値) R値は、伸長流動下における、伸長応力の経時的な増大
率を表す指標であり、R=σ2 /σ1 と定義される。こ
こで、σ1 、σ2 はそれぞれ伸長歪速度ε=0.5se
-1の流動下で、伸長歪量ε=1及びε=2の時の伸長
応力を意味する。σ1 、σ2 については、σ=ηE ×ε
(ηE ;伸長粘度、ε;伸長歪速度)であるから、
【0014】
【数1】 σ1 =ηE (t=2.0;ε=0.5)×0.5 σ2 =ηE (t=4.0;ε=0.5)×0.5 (t;時間)
【0015】として求めることができる。伸長流動特性
は下記方法で推算することができる。伸長粘度はGie
sekusの構成方程式を一定歪速度の一軸伸長応力
について解くことにより、式のように解析的に求める
ことができる。
【0016】
【数2】
【0017】
【数3】 式においてTi
【0018】
【数4】
【0019】である。ここで、緩和スペクトルHi (π
i )、及び非線形パラメータαは次のようにして求め
た。 (1)測定 緩和スペクトルを求める際に必要となる動的粘弾性の測
定には、レオメトリクス社製メカニカルスペクトロメー
ターRMS−800を用いた。測定治具は円錐−平板型
であり、直径が25mm、円錐と平板のなす角度(以
下、円錐角と称す)が0.1radのものを使用した。
測定周波数範囲は0.01〜100rad/secであ
る。
【0020】広範囲な定常剪断粘度の測定には、レオメ
トリクス社製RSR−M、RMS−800、およびイン
テスコ社製INTESCO2020型キャピラリー式粘
度計を用いた。RSR−Mの測定治具は、直径が25m
m、円錐角が0.1radのものを用いた。RSR−8
00の測定治具は直径が7.9mmで、円錐角が0.1
radのものを用いた。INTESCO2020型キャ
ピラリー式粘度計には、直径が1.0mm、管長50.
0mmで、流入角が90°のものを用いた。剪断速度の
補正としてRabinowitch補正を行った。
【0021】
【表1】 上記の測定はすべて190℃で行った。RSR−M、R
MS−800を用いた測定には、プレス成形した厚さ
1.0mmの試料片を用いた。INTESCO2020
型キャピラリー式粘度計にはペレット状試料を供した。
【0022】(2)緩和スペクトルH(τ)の算出 動的粘弾性の測定データーのうち、貯蔵弾性率G′
(ω)を任意の次数(通常は2次回帰)の回帰曲線で最
小自乗近似し、次式(Tschoeglの2次近似)に
より、緩和スペクトルを計算した。
【0023】
【数5】
【0024】式によって求められた緩和スペクトルは
連続関数として与えられるが、実際に多モード型の構成
方程式にあてはめて種々の計算を行う場合、不連続な線
スペクトルとする必要がある。そこで、緩和スペクトル
曲線の短時間側を10-3secから、長時間側を103
〜105 secの範囲で自然対数軸上の等間融点として
ヒストグラム化した。
【0025】ここで、線スペクトル化を行う際に選択し
た緩和時間τの範囲が、適性なものであることを確認す
るために次式によって、得られた線スペクトルが実測の
G′(ω)を再現することを確認した。
【0026】
【数6】
【0027】また、長時間側の境界値の決定に際して
は、次式によってゼロ剪断粘度η0 が得られた線スペク
トルの組み合わせによって再現されることを判断の基準
とした。
【0028】
【数7】
【0029】実測の動的粘弾性測定から直接得られる緩
和スペクトルの範囲はτ=√2×10-2〜√2×102
secであるが、この範囲を逸脱するものに関しては測
定範囲内の緩和スペクトルの回帰曲線から外挿して求め
た。ここでの回帰曲線の次数は貯蔵弾性率より緩和スペ
クトルを求めた際に用いたものと同一のものとした。 (3)非線形パラメーターαの決定 式を定常剪断流動に対して解くと、解析解として定常
剪断粘度ηは次式のように表される。
【0030】
【数8】
【0031】(2)で決定された緩和スペクトルを、
式に代入し、実測の定常剪断粘度曲線を再現するように
αの値を決定した。かかる高密度ポリエチレンは、例え
ば、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分と
する固体触媒成分(A)と有機アルミニウム化合物
(B)を主成分とする触媒の存在下、エチレンを単独重
合またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと
を共重合することにより得ることができる。
【0032】固体触媒成分(A)は、例えば、一般式、
Mg(OR1)m 1 2-m(式中R1 はアルキル基、アリー
ル基またはシクロアルキル基を表し、X1 はハロゲン原
子を表し、mは1または2、好ましくは、2を表す。)
で表されるマグネシウム化合物(a)と、一般式、Ti
(OR2)n 2 4-n(式中、R2 はアルキル基、アリール
基またはシクロアルキル基を表し、X2 はハロゲン原子
を表し、nは1〜4、好ましくは、3または4を表
す。)で表されるチタン化合物(b)および一般式、
【0033】
【化3】
【0034】(式中、R3 はアルキル基、アリール基ま
たはシクロアルキル基を表し、これらは同一でも異なっ
ていてもよい。pは2〜20、好ましくは、2〜15を
表す。)で表されるポリアルキルチタネート(c)更に
は、必要に応じて一般式、R4OH(式中、R4 はアル
キル基、アリール基またはシクロアルキル基を表す。)
で表されるアルコール化合物(d)を含む均一な炭化水
素溶液をハロゲン化剤で処理することによって、炭化水
素溶液不溶性固体触媒として得られる。
【0035】上記マグネシウム化合物(a)において、
1 のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル
基等が挙げられ、アリール基としては、トリル基、キシ
リル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シク
ロヘキシル基等が挙げられる。また、X1 のハロゲン原
子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げ
られる。
【0036】かかるマグネシウム化合物(a)の具体例
としては、例えば、ジメトキシマグネシウム、ジエトキ
シマグネシウム、エトキシマグネシウムクロライド、ジ
フェノキシマグネシウムなどが挙げられる。上記チタン
化合物(b)において、R2 のアルキル基、アリール
基、シクロアルキル基およびX2 のハロゲン原子として
は、上記R1 およびX1 と同じものが挙げられる。
【0037】かかるチタン化合物の具体例としては、例
えば、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタ
ン、テトラ−n−ブトキシチタン、トリエトキシジモノ
クロルチタン、トリプロポキシジモノクロルチタン、ト
リ−n−ブトキシモノクロルチタン、ジエトキシジクロ
ルチタン、ジプロポキシジクロルチタン、ジ−n−ブト
キシジクロルチタン、エトキシトリクロルチタン、プロ
ポキシトリクロルチタン、n−ブトキシトリクロルチタ
ン等が挙げられる。好ましくは、テトラ−n−ブトキシ
チタン、トリ−n−ブトキシモノクロルチタンが好まし
い。
【0038】上記ポリアルキルチタネート(c)におい
て、R3 のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基
としては、上記R1 と同じものが挙げられる。かかるポ
リアルキルチタネートの具体例としては、例えば、テト
ラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブ
トキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキ
シ)チタン、テトラステアリルオキシチタン等のテトラ
アルコキシチタンの2〜20量体、好ましくは、テトラ
ブトキシチタンの2〜4量体およびテトラプロポキシチ
タンの2〜10量体が挙げられる。また、テトラアルコ
キシチタンに少量の水を反応させて得られるテトラアル
コキシチタンの縮合物等が挙げられる。
【0039】また、必要に応じて用いられるアルコール
化合物(d)において、R4 のアルキル基、アリール
基、シクロアルキル基としては、上記R1 と同じものが
挙げられる。かかるアルコールの具体例としては、例え
ば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−オク
チルアルコール等が挙げられる。
【0040】固体触媒成分(A)の調製においては、先
ず、上記(a)、(b)および(c)そして必要に応じ
て(d)を含む均一な炭化水素溶液を調製する。炭化水
素溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0041】均一な炭化水素溶液の調製方法には特に制
限はなく、例えば、(a)、(b)および(c)、必要
に応じて(d)を混合し、好ましくは、100〜170
℃に加温して、液状物あるいはアルコール溶液を形成し
た後炭化水素溶媒を加えて均一溶液を調製することがで
きる。その際、(d)を使用した場合は(d)を溜去さ
せた後に炭化水素溶媒を加えてもよい。或いは、予め
(a)と(b)の液状物を形成しておき、これに(c)
を添加した後炭化水素溶媒を加えて均一溶液を調製して
もよい。
【0042】(a)、(b)および(c)の使用割合
は、各成分のモル比で
【0043】
【数9】0.1≦(b)/(a)≦5 0.3≦(c)/(a)≦8 好ましくは、
【0044】
【数10】0.2≦(b)/(a)≦2 0.5≦(c)/(a)≦4
【0045】の範囲で使用される。この範囲をはずれる
と、均一延伸性等の成形加工性や機械的強度が低下する
傾向になる。(d)は均一な液状物が生成しにくいとき
使用されるが、その使用割合は触媒の種類等によっても
異なる。一般には、液状物が生成する程度まで添加すれ
ばよい。
【0046】次いで、得られた均一な炭化水素溶液を、
通常、常温〜200℃の温度でハロゲン化剤処理するこ
とにより、固体触媒成分(A)を得る。ハロゲン化剤と
しては、ハロゲン化の作用のあるものならば特に制限は
なく、通常、ハロゲンが共有結合している化合物を使用
する。具体的には、例えば、三塩化硼素、四塩化チタ
ン、四塩化硅素、四塩化錫、四塩化バナジウム、塩化ア
ルミニウム等の塩化物、塩化水素、チオニルクロライ
ド、クロルスルホン酸等の塩素含有化合物、塩素、臭
素、ヨウ素等のハロゲンなどが挙げられる。四塩化チタ
ン、四塩化硅素が好ましく、特に、四塩化チタンが好ま
しい。
【0047】このハロゲン化剤処理は、2回以上繰り返
し行ってもよく、ハロゲン化の度合いが、上記(a)〜
(d)に対し、以下に示す範囲が好ましく、
【0048】
【数11】 更に好ましくは、
【0049】
【数12】
【0050】の範囲となるようにするのがよい。上記式
において、Xはハロゲン化剤中のハロゲン原子のモル数
を表し、X1 、X2 、OR1 、OR2 、OR3 およびO
4 は前記一般式におけるそれぞれの基のモル数を表
す。以上のようにして得られた固体触媒成分(A)は、
ハロゲン化剤処理液から分離し、炭化水素溶媒で洗浄す
る。この炭化水素溶媒は前記したものを使用することが
できる。
【0051】次に、共触媒として用いられる有機アルミ
ニウム化合物(B)としては、一般式、AlR5 q (O
6 r 5 3-(q+r)(式中、R5 、R6 はアルキル基、
アリール基、シクロアルキル基を表し、X5 はハロゲン
原子を表し、qは2〜3の数を表し、rは0〜1の数を
表す。)で表される化合物が挙げられる。アルキル基、
アリール基、シクロアルキル基およびハロゲン原子とし
ては、上記と同様のものが挙げられる。
【0052】具体的には、例えば、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロ
リド、ジエチルアルミニウムモノエトキサイド等が挙げ
られる。また、トリアルキルアルミニウムと水との反応
生成物を使用することもできる。これらは2種以上併用
してもよい。
【0053】有機アルミニウム化合物(B)の使用割合
は、有機アルミニウム化合物の濃度および有機アルミニ
ウム化合物と固体触媒成分との比、即ちAl/Ti原子
比の積〔Al〕(mmol/l)×(Al/Ti)が
1.2〜0.02、好ましくは、1.0〜0.03、よ
り好ましくは、0.5〜0.05の範囲で使用される。
また、(A)前記マグネシウム化合物(a)(Mg(O
1)m 2 2-m)と前記チタン化合物(b)(Ti(OR
2)n 2 4-n)、および、必要に応じて前記アルコール
(d)を含む均一な炭化水素溶液に、チタニルクロライ
ド(TiOCl2)(e)と還元能を有さないハロゲン
含有化合物(f)から成る溶液で処理することによって
得られる炭化水素不溶性固体触媒成分と前記有機アルミ
ニウム化合物(B)とを組み合わせた触媒系を使用する
こともできる。
【0054】均一な炭化水素溶液は、前記の触媒系の調
製と同様にして行うことができる。得られた均一な炭化
水素溶液は、チタニルクロライド(e)と還元能を有さ
ないハロゲン含有化合物(f)から成る溶液で、通常、
常温〜200℃の温度で処理する。その際、(a)、
(b)および(e)の使用割合は、
【0055】
【数13】0.01≦(b)/(a)≦10 0.1 ≦(d)/(a)≦50
【0056】の範囲で使用される。また、(f)の使用
割合は、(a)、(b)、(d)に対して、
【0057】
【数14】
【0058】(式中、Xは(f)中のハロゲン原子のモ
ル数を表し、X1 、X2 、OR1 、OR2 、OR4は前
記と同義を表す。)有機アルミニウム化合物(B)は前
記と同様のものが使用できる。その使用割合は、有機ア
ルミニウム化合物の濃度および有機アルミニウム化合物
と固体触媒成分との比、即ち、Al/Ti原子比の積で
ある〔Al〕(mmol/l)×(Al/Ti)が2.
0〜0.01、好ましくは、1.0〜0.02の範囲で
使用される。
【0059】また、本発明においては、シリカまたはシ
リカ−アルミナにクロム化合物を担持したクロム系触媒
や三塩化チタン、三塩化バナジウム、四塩化チタンまた
はチタンのハロアルコラートをマグネシウム化合物系単
体に担持した触媒成分或いはマグネシウム化合物とチタ
ン化合物の共沈物もしくは共晶体などのチタン系触媒と
AlRl 3-l (式中、Rは炭素数20以下の炭化水素
基を表し、Xはハロゲン原子を表し、lは1〜3の数を
表す。)で表される有機アルミニウム化合物を組み合わ
せた触媒系を使用してもよい。
【0060】上記のような触媒系をもちいて、エチレン
またはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合を行う
が、重合反応は不活性溶媒中で行うスラリー重合、溶液
重合または気相重合のいずれの方法でもよい。不活性溶
媒としては、ブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭
化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
【0061】重合反応は、通常、常温〜200℃の温
度、常圧〜100気圧の範囲で行われる。また、重合反
応時に水素を導入することにより分子量を調節すること
もできる。本発明においては、1段重合法や多段重合法
を行うことができる。多段重合法の例としては、例え
ば、重合反応を2段階、即ち、第1の反応帯域で重合
し、そこで得られた反応生成物の存在下に第2の反応帯
域においてさらに重合する方法が挙げられる。その際、
第1または第2の反応帯域のいずれか一方においてエチ
レンの単独重合を行い、粘度平均分子量6〜15万の重
合体Aを全重合体生成量の60〜90重量%生成させ、
他方の反応帯域においてエチレンの単独重合または他の
α−オレフィンとの共重合を行い、α−オレフィン含有
量10重量%以下で、粘度平均分子量50万〜400万
の重合体Bを40〜10重量%生成させる。重合体Bと
重合体Aの分子量比は3〜50の範囲となるようにす
る。
【0062】本発明においては、上記高密度ポリエチレ
ン100重量部に対して下記一般式(I)
【0063】
【化4】
【0064】(式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル
基、好ましくは、メチル基、エチル基を表し、R2 は炭
素数1〜8のアルキル基、好ましくは、ブチル基、ペン
チル基を表し、R3 は水素原子または炭素数1〜8のア
ルキル基、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基
を表し、R4 は水素原子またはメチル基を表す。)で示
されるアクリレート系化合物を0.01〜1重量部、好
ましくは、0.05〜0.5重量部添加する。
【0065】具体的には、例えば、R1 がエチル基、R
2 が1,1−ジメチルプロピル基、R3 がメチル基でR
4 が水素原子であるアクリレート系化合物、R1 がメチ
ル基、R2 がメチル基、R3 が水素原子でR4 が水素原
子であるアクリレート系化合物などが挙げられる。更に
本発明の効果を損なわない範囲において、該樹脂100
重量部に対して1重量部以下程度の充填剤、顔料、熱安
定剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、離型
剤、発泡剤、核剤などの公知の添加剤を配合してもよ
い。
【0066】本発明においては、バリヤ層の少なくとも
片側に接着層を介して、上記高密度ポリエチレン樹脂か
ら形成されるポリエチレン層を積層した積層型の燃料タ
ンクとして好適に使用することができる。バリヤ層は、
ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹
脂、鹸化度が93%以上、好ましくは、96%以上でエ
チレン含量が25〜50モル%のエチレン−酢酸ビニル
共重合体などのエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物な
どから形成することができる。
【0067】特に、ポリアミド樹脂が成形安定性、ガス
バリヤ性の点から好ましく、ジアミンとジカルボン酸と
の重縮合によって得られるポリアミド、アミノカルボン
酸の縮合によって得られるポリアミド、ラクタムから得
られるポリアミドまたはこれらの共重合ポリアミドなど
の、通常、相対粘度が1〜6程度で、融点が170〜2
80℃、好ましくは、200〜240℃のものが使用さ
れる。具体的には、例えば、ナイロン−6、ナイロン−
66、ナイロン−610、ナイロン−9、ナイロン−1
1、ナイロン−12、ナイロン6/66、ナイロン−6
6/610、ナイロン6/11などが挙げられる。特
に、ナイロン−6が好適である。
【0068】本発明においては、ポリアミド層は、上記
ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性エチレン−α−オ
レフィン共重合体とから成る変性ポリアミド樹脂組成物
から形成されたものが好ましく、無水マレイン酸変性エ
チレン−α−オレフィン共重合体としては、結晶化度が
1〜35%、好ましくは、1〜30%で、メルトインデ
ックスが0.01〜50g/分、好ましくは、0.1〜
20g/分のエチレン−α−オレフィン共重合体に、無
水マレイン酸を0.05〜1重量%、好ましくは、0.
2〜0.6重量%グラフトしたものが使用される。
【0069】エチレン−α−オレフィン共重合体のα−
オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセ
ン−1などが挙げられ、これらのα−オレフィンは、3
0重量%以下、好ましくは、5〜20重量%の割合でエ
チレンと共重合される。無水マレイン酸変性エチレン−
α−オレフィン共重合体の使用割合は、ポリアミド樹脂
100重量部に対して10〜50重量部、好ましくは、
10〜30重量部の範囲から選ばれ、例えば、200〜
280℃の温度で押出機などにより混練して使用され
る。
【0070】接着層としては、エチレン、プロピレンな
どのα−オレフィンの単独重合体や共重合体を不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体で0.01〜1重量%、好ま
しくは、0.02〜0.06重量%グラフトした変性ポ
リオレフィンが使用できる。特に、密度が0.94〜
0.97g/cm3 のエチレン単独重合体またはエチレ
ンと3重量%以下、好ましくは、0.05〜0.5重量
%のプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1などのα−
オレフィンとの共重合体の変性物が好適である。
【0071】不飽和カルボン酸またはその誘導体として
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸またはそれらの無水物な
どが挙げられる。特に、無水マレイン酸が好ましい。本
発明の燃料タンクは、公知のブロー成形法によって製造
することができる。例えば、押出機からダイを通して高
密度ポリオレフィン樹脂組成物のパリソンを形成する。
このパリソンを成形用金型内において、内側より空気圧
により膨らませ、金型に密着させると同時に冷却するこ
とにより製造する。
【0072】本発明の高密度ポリオレフィン樹脂組成物
は、材料の硬化現象を生じやすく、その部位の過剰な伸
びを抑制する性質があるので、金型の曲部において、パ
リソンの変形が均一化された状態でブローアップされる
ため、得られる成形品の曲部の肉厚が従来のものに比べ
てより厚いものを形成することができる。また、多層の
燃料タンクを製造する場合は、例えば、複数の押出機か
ら各層の樹脂組成物を個別に可塑化して同じ円状の流路
を有する同一のダイに押出し、ダイ内で各層の肉厚の均
一化を行うと共に各層を重ね合わせ、見かけ上、一層の
パリソンを形成し、次いで、上記と同様にして成形用金
型内において成形する。
【0073】多層の燃料タンクとしては、特に、バリヤ
層の両面に接着層を介して高密度ポリエチレン層を積層
した3種5層構造のものが好ましい。その際、バリヤ層
の厚さは、0.01〜0.5mm、好ましくは、0.1
〜0.3mm、接着層の厚さは、0.01〜0.5m
m、好ましくは、0.1〜0.3mm、高密度ポリエチ
レン層の厚さは、1〜10mm、好ましくは、1.5〜
5mmの範囲から選ばれる。
【0074】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。尚、実施例において材
料は下記のものを使用した。 (1)高密度ポリエチレン樹脂(HDPE): (a)固体触媒成分の調製 コンデンサーを備えた3リットルのフラスコを充分に乾
燥し、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を133g
(1.16mol)、Ti(OBu)4 を197g
(0.58mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇
温し、熱処理を行った。4時間後、均一な粘調液体が得
られた。約80℃まで冷却後、トルエン1.0リットル
を加え、均一な溶液とした。
【0075】充分に乾燥し、窒素置換した24リットル
の別のオートクレーブに、上記の溶液を全量移送した。
このトルエン溶液にテトラブトキシチタニウムテトラマ
ー985g(1.015mol)を加え、更に、トルエ
ンを5.89リットルを追加した。撹拌下、40℃で
2.03リットル(18.49mol)のTiCl4
トルエンで4.55mol/lの濃度まで希釈し、3時
間かけて添加した。ひき続き30分間かけて105℃ま
で昇温し、1時間保持した。
【0076】次いで、冷却後、デカンテーションにより
上澄液12.5リットルを抜き出し、更に、10リット
ルのトルエンで洗浄した。その後、4.0リットルのト
ルエンを加え、更に4.55mol/lの濃度のTiC
4 −トルエン溶液をTiCl4 量で18.49mol
となるように再度添加した。次いで、105℃で1時間
熱処理を行い、冷却後、n−ヘキサンで洗浄し、固体触
媒成分を得た。固体触媒成分中のTi含有量は34.0
重量%であった。
【0077】(b)エチレンの予備重合 容量300リットルの予備重合用容器に、n−ヘキサン
220リットルおよび上記(a)で得た固体触媒成分7
30gを仕込んだ。これに水素を2kg/cm 2 導入
し、80℃に昇温後、トリエチルアルミニウム0.52
mmolをエチレンと共にフィードして予備重合を開始
した。エチレンを連続的に導入し、0.5時間予備重合
を行い固体触媒成分1g当たり10gのポリエチレンを
得た。予備重合終了後、冷却し、n−ヘキサンで洗浄し
た。
【0078】(c)エチレンの重合 容量500リットルの反応器を備えた連続重合装置を用
いて、エチレン27kg/hr、n−ヘキサン63kg
/hrおよび水素を連続的に供給すると共に、上記
(b)で得た予備重合触媒を2.5g/hrおよびトリ
エチルアルミニウムを2.2g/hr導入し、80℃、
全圧25kg/cm2 、平均滞留時間3時間の条件下で
エチレンの単独重合を行った。反応器内のポリエチレン
を25kg/hrの速度で脱ガス槽に導入し、粗分離、
乾燥工程を経て、ρ0.961g/cm3 、〔η〕4.
3dl/g、η0 5.01×107 ポイズ、R値2.8
3の重合体粉末(HDPE)を得た。
【0079】(2)変性ポリエチレン(APO):ρ
0.960g/cm3 の高密度ポリエチレンに無水マレ
イン酸(0.4重量%)をグラフトした変性ポリエチレ
ン。メルトインデックス(MI):0.1g/10分 (3)変性ポリアミド樹脂組成物(MPA):80重量
部の相対粘度4.0のナイロン−6と、20重量部の無
水マレイン酸(0.3重量%)変性エチレン−ブテン−
1共重合体(エチレン−ブテン−1(13モル%)共重
合体の結晶化度が20%で、MIが3.5g/10分)
との混合物。
【0080】(実施例1〜3及び比較例1〜2)上記
(1)で得たHDPEと添加剤をフルフライト型スクリ
ュー(L/D=24、C.R.=3.0)を有する単軸
押出機で造粒(設定温度280℃)した後、押出機(シ
リンダーの設定温度:185〜215℃)にて溶融し、
ダイ(ダイ内温度:235℃)を通して直径530mm
の溶融円筒体(パリソン)を形成した。パリソンコント
ローラーによりドローダウンを調整し、成形直前のパリ
ソン肉厚が射出方向において一定となるようにして、金
型(60L鞍型で40Rコーナー部を有する。温度:2
0℃)で挟み、空気を圧入(圧力:6kg/cm2 )し
た後、製品取り出し温度80℃で60リットル容量の燃
料タンクを得た。
【0081】得られた各燃料タンクについて、落下衝撃
強度と40Rコーナー部の肉厚を測定した。その結果を
表2に示した。尚、落下衝撃強度は、燃料タンクに不凍
液を満液とし、−40℃で16mの高さから落下させて
亀裂の有無を確認することにより強度を評価した。
【0082】
【表2】 表−1 ─────────────────────────────────── HDPE(重量部) 熱安定剤 極限粘度 ゼロシャー粘度 R 値 (重量部) (dl/g) ×107(ポイズ) 実施例1 4.3 5.00 2.83 アクリレート系化合物 (100重量部) (0.1重量部) 実施例2 4.3 4.97 2.82 アクリレート系化合物 (100重量部) (0.1重量部) 実施例3 4.3 5.03 2.83 アクリレート系化合物 (100重量部) (0.5重量部) 比較例1 1.64 1.91 2.34 熱安定剤 (100重量部) (0.1重量部) 比較例2 1.58 1.76 2.21 熱安定剤 (100重量部) (0.1重量部) アクリレート系化合物:一般式(I)において、R1
=エチル基、R2 =1,1−ジメチルプロピル基、R3
=メチル基、R4 =水素原子 アクリレート系化合物:一般式(I)において、R1
=メチル基、R2 =メチル基、R3 =水素原子、R4
水素原子 熱安定剤:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン 熱安定剤:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト
【0083】表1の結果から、本発明の熱安定剤を使用
しなかった場合、熱劣化により所定のベースレジンの特
性が得られないことが分る。
【0084】
【表3】 表−2 ─────────────────────────────────── 製品重量 落下衝撃 40Rコー 成形安定性* 強度 ナー部厚 (耐ドローダウン性) 実施例1 7kg 破損なし 2.7mm 収 縮 10kg 破損なし − 実施例2 7kg 破損なし 2.7mm 収 縮 10kg 破損なし − 実施例3 7kg 破損なし 2.7mm 収 縮 10kg 破損なし − 比較例1 7kg 破損あり 2.2mm 延 伸 10kg 破損あり − 比較例2 7kg 破損あり 2.1mm 延 伸 10kg 破損あり − *成形安定性…パリソン射出90秒後のパリソン長変化
【0085】表2の結果より、熱劣化したレジンを使用
した場合、得られるタンクの強度及び延伸性が低下する
ことが分る。 (実施例4)実施例1において、40Rコーナー部肉厚
を2.2mmとなるようにして成形したところ、製品重
量が6.3kgと製品当たり0.7kg軽量化された燃
料タンクを得ることができた。この燃料タンクの落下衝
撃強度を測定したが、破損は観察されなかった。さら
に、製品取り出し温度を80℃に低下することができ、
製品1個あたり、約20秒の冷却時間の短縮ができた。
【0086】(実施例5)表3に示す各層の原料樹脂を
別々の押出機を用いて個々に溶融し、同心円状の流路を
有する同一ダイに押し出し、ダイ内(ダイ内温度:23
5℃)で各層を重ね合わせて共押出をしてパリソンを形
成した。以下実施例1と同様にして60リットル容量の
多層(3種5層)の燃料タンク(7kg)を得た。得ら
れたタンクは実施例1と同様の特性を示し、落下衝撃強
度試験でも容器に破損は観察されなかった。
【0087】
【表4】 表3 ──────────────────────────── 層構成 使用樹脂 厚さ(μm) ──────────────────────────── 外層 HDPE 2600 接着層 APO 100 バリヤ層 MPA 100 接着層 APO 100 内層 HDPE 2600 ────────────────────────────
【0088】
【発明の効果】本発明の、アクリレート系化合物を配合
した新規なエチレン系重合体組成物は、造粒時か成形時
或いは、リサイクル時に260℃以上の熱履歴を受けて
も熱劣化による特性低下が生じにくい。又、このエチレ
ン系重合体組成物を用いて製造された燃料タンクは耐衝
撃性および肉厚均一性に優れ、その為に軽量化が可能で
ある。更に、燃料タンクの製造においても、冷却時間が
射出時間を短縮することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/04 F02M 37/00 // B29D 22/00 2126−4F (72)発明者 榎戸 信夫 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン単独重合体、または、エチレン
    と炭素数3〜20のα−オレフィンとからなりα−オレ
    フィン含有量が5重量%以下であるエチレン共重合体で
    あって、 (1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g)、 (2)密度が0.94〜0.97(g/cm3 )、且つ (3)190℃におけるゼロシアー粘度η0 が2×10
    7 〜3×108 (poise)であるエチレン系重合体
    100重量部と、一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R2
    は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3 は水素原子ま
    たは炭素数1〜8のアルキル基を表し、R4 は水素原子
    またはメチル基を表す。)で示されるアクリレート系化
    合物0.01〜1重量部から成ることを特徴とするエチ
    レン系重合体組成物。
  2. 【請求項2】 エチレン系重合体が、R=σ2 /σ
    1 (σ1 、σ2 は、伸長歪み速度ε=0.5sec-1
    流動下、それぞれ2sec、4secでの歪量における
    伸長応力を示す。)で定義されるR値が2.5〜4であ
    ることを特徴とする、請求項1に記載のエチレン系重合
    体組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のエチレン系重合
    体組成物からなる中空成形品。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のエチレン系重合体組成
    物からなる中空成形品から構成される燃料タンク。
  5. 【請求項5】 中空成形品が、バリヤ層と請求項1又は
    2に記載のエチレン系重合体組成物からなるポリエチレ
    ン層とを有する積層体からなることを特徴とする、請求
    項4に記載の燃料タンク。
  6. 【請求項6】 積層体が、バリヤ層と、その少なくとも
    片側に接着層を介して存在する請求項1に記載のエチレ
    ン系重合体組成物からなるポリエチレン層とから構成さ
    れていることを特徴とする、請求項5に記載の燃料タン
    ク。
  7. 【請求項7】 バリヤ層がポリアミド樹脂からなること
    を特徴とする、請求項5に記載の燃料タンク。
  8. 【請求項8】 ポリアミド樹脂の結晶化度が1〜35
    %、メルトインデックスが0.01〜50のエチレン〜
    α−オレフィン共重合体に無水マレイン酸を0.05〜
    1重量%グラフトした無水マレイン酸変性エチレン〜α
    −オレフィン共重合体とポリアミド樹脂との組成物から
    形成されたものであることを特徴とする請求項7に記載
    の燃料タンク。
  9. 【請求項9】 接着層が、高密度ポリエチレンを不飽和
    カルボン酸またはその誘導体0.01〜1重量%でグラ
    フト変性したものである請求項6に記載の燃料タンク。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59232134A (ja) * 1983-06-16 1984-12-26 Idemitsu Petrochem Co Ltd エチレン重合体組成物
JPH04305413A (ja) * 1991-04-02 1992-10-28 Sumitomo Chem Co Ltd 熱可塑性樹脂のリサイクル加工方法

Patent Citations (2)

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