JPH0699662B2 - 水性分散型塗料 - Google Patents

水性分散型塗料

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JPH0699662B2
JPH0699662B2 JP61305821A JP30582186A JPH0699662B2 JP H0699662 B2 JPH0699662 B2 JP H0699662B2 JP 61305821 A JP61305821 A JP 61305821A JP 30582186 A JP30582186 A JP 30582186A JP H0699662 B2 JPH0699662 B2 JP H0699662B2
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acid
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はポリエステル樹脂水性分散体を塗膜形成成分と
する水性分散型塗料に関するものであり、さらに詳しく
は、高度な耐水性と機械的強度を有する塗膜を形成でき
る水性分散型塗料に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、環境保全および省資源の観点より、従来の有機溶
剤を希釈剤として用いるいわゆる溶剤型塗料から、水を
希釈剤として用いる水性塗料への転換が進められつつあ
る。他方、昨今では塗膜に対する要求性能がより高度な
ものとなり、水性塗料といえども、長期に渡る耐久性を
実現する優れた耐水性および強度が求められているのが
現状である。
従来の水性塗料を大きく分類すると、水に溶解する樹脂
をバインダー成分とする水溶性型塗料と、水に溶解しな
い樹脂を分散状態にして用いる水性分散型塗料の2つの
タイプがある。これらのタイプのうち前者の水溶性型塗
料は、水に対する溶解性を得るため、樹脂中に親水性の
高いカルボキシル基、あるいはスルフォン酸基等を多く
含み、かつ低分子量の樹脂を用いる必要があり、そのた
め塗膜の耐水性、機械的強度はともに充分ではなく、最
近では後者の水性分散型塗料が主として検討されてい
る。
水性分散型塗料としては現在次のようなものが知られて
いる。
(i) 界面活性剤や乳化剤などを用いて乳化重合法に
よって得られる分散体を用いる、いわゆるエマルション
型塗料。
(ii) 高分子量疎水性樹脂にスルフォン酸基およびポ
リアルキレングリコール類を組入れることにより水に対
する乳化性を付与した、いわゆる自己乳化性水性分散体
を用いる水性分散型塗料(例えば特開昭57−212250
号)。
(iii) 低極性の水溶性樹脂と疎水性樹脂とを混合
し、これを水と接触させて、水溶性樹脂の高分子界面活
性剤としての乳化作用を利用し、疎水性樹脂を水中に乳
化させた、いわゆる強制乳化法により得られる水性分散
体を用いる水性分散型塗料(例えば特開昭54−11141
号)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、これらの水性分散型塗料のうち、(i)
のエマルシヨン型塗料は高分子量樹脂の導入により塗膜
の機械的強度の面では優れるが、その反面、親水性の強
い界面活性剤や乳化剤の塗膜内への残留による耐水性の
弱さという問題を有している。また(ii)の自己乳化性
水性分散型塗料は耐水性、機械的強度ともに従来の水溶
性型塗料に比べて優れているが、親水性の強いスルフォ
ン酸基およびポリアルキレングリコールの耐水性に及ぼ
す悪影響は避けがたく、高度な耐水性を満足するには至
っていない。また(iii)の強制乳化法による水性分散
型塗料は通常の界面活性剤を用いずに低極性の樹脂をバ
インダー成分とするため、耐水性の面では優れるが、凝
集力の強い高分子量疎水性樹脂の乳化には限界があり、
そのため塗膜の機械的強度に関しては必ずしも充分とは
いえなかった。
以上のように従来の水性塗料はいずれも、高度な耐水性
および機械的強度の両方を満足するものではなかった。
本発明は上記問題点を解決するためのもので、耐水性、
機械的強度、付着性、仕上り外観性および貯蔵安定性が
優れた水性分散型塗料を提供することを目的としてい
る。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明は、樹脂Aとして、カルボキシル基を含有し、
酸価20〜50、水酸基価50〜200、数平均分子量1,000〜1
0,000の水溶性ポリエステル樹脂と、樹脂Bとして、ジ
カルボン酸成分およびグリコール成分から合成され、軟
化点40〜200℃、数平均分子量10,000〜100,000の疎水性
線状ポリエステル樹脂とを、重量比で90:10から20:80の
比率で反応させ、少なくとも一部の樹脂を縮合させて得
られる酸価10〜30の樹脂反応物を水性媒体中に乳化させ
た水性分散体を塗膜形成成分として含有する水性分散型
塗料である。
この発明の水性分散型塗料は、ジカルボン酸成分とグリ
コール成分から合成され、以前より耐水性および機械的
強度に優れることが知られている樹脂Bの疎水性高分子
線状ポリエステル樹脂(以下、単にリニヤーポリエステ
ル樹脂と記す)を水性塗料へ導入するものであり、特定
の極性範囲にあるカルボキシル基含有の水溶性ポリエス
テル樹脂(樹脂A)と、上記リニヤーポリエステル樹脂
(樹脂B)を反応させると、少なくとも一部の樹脂をエ
ステル縮合させた樹脂反応物は、塩基物質の存在下に水
に溶解させた時、コロイダルエマルションの領域の粒径
で安定に、しかも高固形分の状態で水中に乳化する。本
発明の水性分散型塗料はこうして得られる水性分散体を
塗膜形成成分として含有するものであり、この水性分散
体はそれ単独で硬化して塗膜形成可能であるが、さらに
この水性分散体に適当な硬化剤を配合して得られる水性
分散型塗料は低極性で、しかも機械的強度に富む高分子
量樹脂をバインダー成分とするため、優れた耐水性を機
械的強度とを合せ持つ塗膜を形成する。
本発明における樹脂Aは、カルボキシル基を含有し、酸
価20〜50、水酸基価50〜200、数平均分子量1,000〜10,0
00の水溶性ポリエステル樹脂であり、疎水性樹脂である
樹脂Bの一部とエステル縮合反応により反応して親水性
を有する縮合物を生成し、樹脂Bを水中に乳化させる作
用を有する。
樹脂Aが上記範囲内に限定されるのは次のような理由に
よる。すなわち樹脂Aの酸価が20未満では親水性が不足
して、樹脂Bと縮合反応した後、未反応の樹脂Bを安定
な分散状態で水性媒体中に乳化できず、また50を超える
場合は樹脂Bに対する乳化性が劣るとともに、塗膜とな
った際の耐水性が低下し好ましくない。
樹脂Aの水酸基価は水性媒体への溶解性および架橋点と
して重要であり、水酸基価が50未満では親水性が不足
し、かつ架橋点が少なすぎて耐水性、強度が劣り、また
水酸基価が200を超える場合は、塗膜の耐水性に悪影響
があって好ましくない。樹脂Aの数平均分子量が、1,00
0未満の場合には、塗膜となった際の耐水性、耐候性な
どの耐久性が劣り、また逆に数平均分子量が10,000を超
える場合は、樹脂Bとの縮合反応後の粘度が高くなりす
ぎ、塗膜の加熱乾燥時の流動平滑性が悪くなるととも
に、目的塗料の固形分の低下を招き好ましくない。
本発明における樹脂Bは、ジカルボン酸成分とグリコー
ル成分とから合成され、軟化点40〜200℃、数平均分子
量10,000〜100,000の疎水性高分子線状ポリエステル樹
脂である。この樹脂Bは樹脂末端の官能基と樹脂Aの官
能基との縮合反応により樹脂Aに付加することによっ
て、親水性を付加されて水性媒体中に乳化し、また塗膜
となった際の耐水性および機械的強度を向上させる。
樹脂Bが上記範囲内に限定されるのは次の理由による。
すなわち、樹脂Bの軟化点が40℃未満では機械的強度の
面で劣り、逆に200℃を超える場合は粘度が高くなり過
ぎ、樹脂Aとの縮合反応が困難となるばかりではなく、
樹脂反応物の乳化性が悪くなり、安定で微細な水性分散
体が得られない。樹脂Bの数平均分子量が10,000未満で
は、塗膜となった際の耐水性および機械的強度が期待で
きず、また100,000を超える場合は粘度が高すぎ、樹脂
Aとの縮合反応が困難となるとともに、目的塗料の固形
分の低下を招き好ましくない。
上記樹脂Aおよび樹脂Bとしては、前述の条件を満足し
ておれば特に制限はなく、通常市販されているポリエス
テル樹脂、および通常使用されるポリエステル原料より
公知の手法により合成されポリエステル樹脂などが使用
できる。
この場合使用されるポリエステル原料のうち、ジカルボ
ン酸成分としては、例えばオルトフタル酸、無水フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロ無水
フタル酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、ドデ
カジカルボン酸およびそれらのアルコールエステル類な
どが挙げられる。またグリコール成分としては、エチレ
ングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA
のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物な
どが挙げられる。
また樹脂Aに関しては、上記2官能のポリエステル原料
以外にも、1官能および3官能以上のポリエステル原料
が使用でき、1官能のポリエステル原料のうちカルボン
酸成分としては、例えば大豆油、ヤシ油、サフラワー
油、綿実油、米ぬか油、ひまし油、脱水ひまし油、水添
ひまし油、きり油、あまに油、トール油等から得られる
天然脂肪酸や、C〜C30の各種合成脂肪酸などを挙げ
ることができる。またアルコール成分としては、上記天
然脂肪酸の還元によって得られるラウリルアルコール、
ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリル
アルコール、オレイルアルコールやC〜C30の合成ア
ルコール、C〜C24のアルキル置換の水添フェノール
類などが挙げられる。3官能以上のポリエステル原料と
しては、ジメチルロールプロピオン酸、無水トリメリッ
ト酸、無水ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸な
ど、ならびにグリセリン、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ト
リメチロールシクロヘキサン、ペンタエリスリトール、
ソルビトール、ジグリセロール、ジペンタエリスリトー
ルなどが挙げられる。また樹脂Bについても、必要によ
り上記2官能のポリエステル原料以外の原料を全原料成
分に対して、10モル%未満の範囲で使用してもよい。
樹脂Bとしては、市販のリニヤーポリエステル樹脂が使
用可能であり、例えばバイロン200(東洋紡績(株)
製、商品名、軟化点163℃、数平均分子量20,000)、同5
00(軟化点114℃、数平均分子量25,000)、ケミットR18
8(東レ(株)製、商品名、軟化点115℃、数平均分子量
25,000)、同K1294(軟化点155℃、数平均分子量18,00
0)などが挙げられる。
本発明では上記樹脂Aおよび樹脂BをA:Bの重量比で90:
10〜20:80の範囲で、加温下に反応させ、少なくとも一
部の樹脂をエステル縮合反応により縮合させて、酸価10
〜30の樹脂反応物とする。この反応は、本来水に溶解し
ない樹脂Bの少なくとも一部を、そのの樹脂構造を維持
した状態で樹脂Aに付加させて親水性を付与し、これに
より縮合物の水性媒体への分散を可能にするとともに、
その界面活性作用により未反応の樹脂Bの水性媒体中へ
の乳化を可能とする。また上記縮合反応により、相溶性
が充分ではない樹脂A,Bを使用した場合でも、良好な相
溶性を示すようになり、その結果、優れた光沢を有する
塗膜を得ることが可能となる。
樹脂Aと樹脂Bの比率が前記範囲内に限定されるのは次
の理由による。すなわち樹脂Aの量が樹脂A,Bの合計量
(内割計算)の90重量%を超える場合は、目的塗料の耐
水性および機械的強度が低下し、また20重量%未満で
は、粒子成分の量が多くなりすぎ、平滑な仕上り外観性
が得られず好ましくない。
また樹脂A,Bの反応により得られる樹脂反応物の酸価が1
0未満である場合は水溶性が不足して、微細な水性分散
体が得られず、そのため貯蔵安定性が悪くなり、酸価が
30を超える場合は塗膜となった際の耐水性が低下し好ま
しくない。
樹脂A,Bの上記エステル縮合反応の終点は用いる樹脂の
種類により必ずしも一定ではないが、一般的には樹脂反
応物の酸価が上記範囲になる時点である。また反応過程
で水に対する溶解性を調べ、その溶解状態が強い青味を
呈したコロイダルエマルション領域の水性分散体が得ら
れる時点を終点とするのが望ましい。一般には、縮合反
応を長く続けるに従い、微細な水性分散体が得られる傾
向にあるが、過度に反応を進めた場合には、水性分散体
の固形分の低下を招き好ましくない。上記縮合反応の反
応温度は、反応進行度の管理を容易とするため、150〜2
00℃の範囲内とするのが望ましい。
上記縮合反応において、撹拌を容易にする目的で、樹脂
Aおよび樹脂Bと反応しない親水性有機溶剤を使用して
よく、かかる有機溶剤としては、例えばジエチレングリ
コールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチ
ルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙
げられる。
樹脂A,Bを反応させた樹脂反応物は、塩基物質で中和し
た後、水性媒体中に乳化され、水性分散体とし、水性分
散型塗料の塗膜形成成分として使用される。ここで水性
媒体とは水または水に有機溶媒その他の物質を混合した
溶液である。
この時使用する塩基物質としては水性塗料一般に用いら
れる塩基物質が使用でき、例えばアンモニア、トリエチ
ルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルメタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノール
アミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどが挙
げられる。これらの塩基物質の樹脂反応物中のカルボキ
シル基に対する中和率は0.2〜1モル当量の範囲内にあ
ることが好ましく、中和率が0.2モル当量未満では安定
な水性分散体が得られず、1モル当量を超える場合は水
性分散体の粘度が増加し、目的塗料の固形分の低下を招
き好ましくない。
上記の中和された樹脂反応物から水性分散体を得るに
は、樹脂反応物に水を除々に加えていく方法、あるいは
水に樹脂反応物を加えていく方法のいずれかにより製造
することが可能であり、この時水性媒体中への乳化を助
ける目的で樹脂縮合物および水を予め加温して用いても
よい。また同様の目的で水性塗料一般に使用される有機
溶剤を、前記エステル縮合反応で用いた量と合せて樹脂
反応物重量に対し40重量%以下で使用してもよい。
以上により得られた樹脂反応物の水性分散体は、それ単
独でも水性分散型塗料の塗膜形成成分とすることができ
るが、硬化剤と併用すると、耐水性および機械的強度を
さらに改善することができる。
本発明において使用可能な硬化剤は樹脂A,Bおよび樹脂
反応物と反応して架橋を行うことができるものであり、
アミノプラスト樹脂およびブロックドイソシアネート類
から選ばれる1種以上の架橋剤が好ましい。アミノプラ
スト樹脂としては、尿素、メラミンまたはベンゾグアナ
ミンなどとホルムアルデヒドとの縮合物あるいは共縮合
物などがある。またこれらの縮合物などのC以下のア
ルコールによるエーテル化物なども用いることができ
る。ブロックドイソシアネート類としては、1分子中に
2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネー
ト化合物、例えばエチレンジイソシアネート、プロピレ
ンジイソシアネート、テトラエチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジ
イソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p
−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソ
シアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナ
フチレンジイソシアネート、、4,4′,4″−トリフェニ
ルメタントリイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェ
ニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネ
ート、p−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、リジンジイソシアネート等のポリイソ
シアネートをブロック剤でブロックしたイソシアネート
化合物を挙げることができる。上記ブロック剤として
は、例えばフェノール、クレゾール等のフェノール系、
メタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール
モノエチルエーテル等のアルコール系、アセト酢酸メチ
ル、マロン酸ジメチル等の活性メチレン系、アセトアニ
リド、酢酸アミド等のアミド系、その他イミド系、アミ
ン系、イミダゾール系、尿素系、カルバミン酸塩系、イ
ミン系、オキシム系、メルカプタン系、亜硫酸塩系、ラ
クタム系のものなどがある。
これらの硬化剤は、樹脂A,Bまたは樹脂反応物に混合す
る方法、あるいは直接水性分散体に混合する方法、さら
にあらかじめ水溶性有機溶剤または水溶性有機溶剤と水
との混合物に溶解または分散させる方法のいずれかによ
り水性分散型塗料に導入することが可能であり、塗装に
際して混合してもよく、硬化剤の種類により任意に選択
することができる。
本発明において樹脂A,Bを反応させた樹脂反応物と硬化
剤の比率は、重量比で95:5から60:40の範囲内にあるこ
とが好ましく、硬化剤の量が樹脂反応物の合計量(内割
計算)の5重量%未満では、架橋密度が少なすぎ、塗膜
の耐水性、強度が不足し、また40重量%を超える場合に
は過度に架橋が進み、可とう性が損われ好ましくない。
本発明の水性分散型塗料は上記により得られた樹脂反応
物の水性分散体に、前述した手法により硬化剤を加えた
後、必要に応じてさらに添加される他の成分、例えば他
の水可溶性樹脂、硬化剤、塗面調整剤などを加えて、公
知の手法により製造される。また顔料着色水性分散型塗
料とする場合は、樹脂Aの一部を使用して常法により顔
料ペーストを調製し、これを樹脂反応物の水性分散体に
混合する手法、さらには樹脂反応物に予め顔料を練り込
んでおき、顔料含有樹脂反応物の水性分散体を製造する
方法などの手法により製造することができる。
以上により製造された水性分散型塗料は、従来の水性分
散型塗料と同様に、刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬塗
装、静電塗装などの方法により被塗装物に塗布すること
ができ、焼付硬化により塗膜を形成する。
〔発明の効果〕
本発明の水性分散型塗料は、耐水性および機械的強度に
優れる疎水性高分子線状ポリエステル樹脂と低極性水溶
性ポリエステル樹脂の樹脂反応物を主たる塗膜形成成分
とするため、高度な耐水性と機械的強度を有する塗膜を
形成する。また上記疎水性高分子線状ポリエステル樹脂
が水溶性ポリエステル樹脂に付加することにより、コロ
イダルエマルションの領域の粒径で水中に乳化している
ため、付着性、貯蔵安定性、仕上り外観性、その他の塗
膜性能が優れた塗膜が得られる。
〔実施例〕
次に本発明の製造例、実施例、比較例および試験例につ
いて説明する、各例中、部は重量部、%は重量%を示
す。
製造例1 樹脂Aの製造 かくはん機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管
を取付けた4つ口フラスコに、イソフタル酸30.0部、1,
5−ベンタンジオール33.5部、トリメチロールプロパン1
0.0部を仕込み、180℃まで1時間で昇温した。180℃と
なった時点でエステル化触媒ファスキャット#4100(エ
ムアンドティケミカルズ社製、商品名)0.1部を仕込
み、220℃まで2.5時間で昇温し、エステル化反応を行っ
て酸価10の反応生成物を得た。この反応生成物を180℃
まで冷却した後、アジピン酸16.4部および無水トリメリ
ット酸10.0部を加えて170〜190℃で4時間エステル化反
応を行い、酸価40、水酸基価120、数平均分子量1,400の
水溶性ポリエステル樹脂Aを得た。
製造例2 樹脂Aの製造 製造例1と同様のフラスコにイソフタル酸30.0部、1,5
−ベンタンジオール31.0部、トリメチロールプロパン1
1.4部を仕込み、180℃まで1時間で昇温した。180℃と
なった時点でエステル化触媒ファスキャット#4100(前
出)0.1部を仕込み、220℃まで2.5時間で昇温し、エス
テル化反応を行って酸価10の反応生成物を得た。この反
応生成物を180℃まで冷却した後、アジピン酸17.5部、
無水トリメリット酸10.0部を加えて170〜190℃で3時間
エステル化反応を行い、酸価60、水酸基価120、数平均
分子量1200の水溶性ポリエステル樹脂Aを得た。
製造例3 樹脂Bの製造 製造例1と同様のフラスコにイソフタル酸60.0部、1,5
−ペンタンジオール20.0部、ネオペンチルグリコール1
9.9部を仕込み、180℃まで1時間で昇温した。180℃と
なった時点でエステル化触媒ファスキャット#4100(前
出)0.1部を仕込み、240℃まで6時間で昇温した後、同
温度でさらに3時間エステル化反応を続け、酸価5、軟
化点65℃、数平均分子量3,800の疎水性線状ポリエステ
ル樹脂Bを得た。
実施例1 製造例1と同様のフラスコに水溶性ポリエステル樹脂A
48部および疎水性線状ポリエステル樹脂バイロン20
0(前出)32部を仕込み、180℃で2時間エステル縮合反
応を行い、樹脂Aと樹脂B(バイロン200)の比率が6
0:40、酸価22の樹脂反応物を得た。次いで樹脂反応物の
温度を120℃まで下げ、ブチルセロソルブ20部を加え固
形分80%のワニスを得た。次いでこのワニスの温度を60
℃まで下げ、ホモディスパー(特殊機化工業(株)製、
以下同)でかくはんしながら樹脂反応物中のカルボキシ
ル基0.75モル当量に相当するジメチルエタノールアミン
2.1部を加えて均一に中和し、同温度を維持しながら脱
イオン水120部を徐々に加え、強い青味を呈した固形分3
6%の水性分散体を得た。
次いで、この水性分散体から白色水性分散型塗料を製造
するため、まず水溶性ポリエステル樹脂A33.0部、ブ
チルセロソルブ8.3部、ジメチルエタノールアミン1.6
部、脱イオン水57.1部からなる固形分35%の水溶性ポリ
エステル樹脂の樹脂水溶液を得た。次いでこの樹脂水溶
液30.0部、酸化チタン60.0部、脱イオン水9.7部の配合
比のもとにサンドミルで1時間分散し、白色ペーストを
調製した。この白色ペースト44.85部、上記水性分散体5
0.90部、硬化剤(架橋剤)として水溶性メラミン樹脂
(サイメル#303、三井東圧化学(株)製、商品名、以
下同)4.00部、パラトルエンスルフォン酸0.15部、およ
び水性塗料用添加剤(アジトールXW329、ヘキスト社
製、商品名、以下同)0.10部を加え、固形分53.7%、顔
料分と樹脂分の比率が1:1、水溶性ポリエステル樹脂A
と疎水性線状ポリエステル樹脂B(バイロン200)の
比率が68:32、上記樹脂(A+B)とメラミン樹脂と
の比率が85:15の白色水性分散型塗料を得た。
実施例2〜3 実施例1で使用した樹脂Bであるバイロン200の代りに
実施例2ではケミットK1294(前出)を、実施例3では
ポリエスターSP170(軟化点94℃、数平均分子量19,00
0、日本合成化学工業(株)、商品名)を使用して、そ
れぞれ樹脂Aと樹脂Bの比率が60:40、酸価22の樹脂反
応物を得た。この樹脂反応物の温度を120℃まで下げ、
ブチルセロソルブ20部を加え、それぞれ固形分80%のワ
ニスを得た。
次いで、実施例1と同様にして白色水性分散型塗料を製
造した。すなわち実施例1中のバイロン200を実施例2
ではケミットK1294に変え、また実施例3ではポリエス
ターSP170に変え、同様の配合率および操作手順で固形
分53.7%、顔料分と樹脂分の比率が1:1、水溶性ポリエ
ステル樹脂Aと疎水性線状ポリエステル樹脂Bである
ケミットK1294、あるいはポリエスターSP170の比率が6
8:32、上記樹脂(A+B)とメラミン樹脂の比率が8
5:15の白色水性分散型塗料を得た。
比較例1 実施例1で使用した水溶性ポリエステル樹脂Aを用
い、実施例1に比べて疎水性高分子線状ポリエステル樹
脂であるバイロン200を含有しない水溶性型塗料を製造
した。
すなわち実施例1で得られた水溶性ポリエステル樹脂A
の樹脂水溶液53.12部、同じく白色ペースト42.78部、
水溶性メラミン樹脂(前出)3.85部、パラトルエンスル
フォン酸0.15部、さらに水性塗料用添加剤(前出)0.10
部を加えて、固形分51.3%、水溶性ポリエステル樹脂A
と疎水性線状ポリエステル樹脂Bの比率が10:0、樹脂
(A+B)とメラミン樹脂の比率が85:15の水溶性型
白色塗料を得た。
比較例2 実施例1で使用した水溶性ポリエステル樹脂Aに比べ
て酸価の高い水溶性ポリエステル樹脂Aを使用し、か
つ樹脂Bであるバイロン200との樹脂反応物の酸価が30
を超えた樹脂反応物を使用した水性分散型塗料を製造し
た。
すなわち実施例1中の水溶性ポリエステル樹脂Aを水
溶性ポリエステル樹脂Aに変え、同様の配合率および
操作手順で酸価34の樹脂反応物を得、次いで固形分53.7
%、顔料分と樹脂分の比率が1:1、水溶性ポリエステル
樹脂Aと疎水性高分子線状ポリエステル樹脂Bである
バイロン200との比率が68:32、樹脂(A+B)とメラ
ミン樹脂との比率が85:15の白色水性分散型塗料を得
た。
比較例3 実施例1で使用した樹脂Bであるバイロン200に比べて
分子量の低い疎水性線状ポリエステル樹脂Bを使用し
て水性分散型塗料を製造した。
すなわち実施例1中のバイロン200を疎水性線状ポリエ
ステル樹脂Bに変え、同様の配合率および操作手順で
酸価24の樹脂反応物を得、次いで固形分53.7%、顔料分
と樹脂分の比率が1:1、水溶性ポリエステル樹脂A
疎水性線状ポリエステル樹脂Bとの比率が68:32、樹
脂(A+B)とメラミン樹脂との比率が85:15の白
色水性分散型塗料を得た。
試験例 リン酸亜鉛処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板に、カチ
オン電着塗料(アクアNo.4200、日本油脂(株)製、商
品名)を乾燥塗膜厚20μmとなるように電着塗装し、17
5℃で25分間焼付けした後、以上の各実施例および比較
例で調製した白色水性分散型塗料を脱イオン水で希釈し
てフォードカップ#4粘度(20℃)を30秒とした希釈塗
料を、乾燥塗膜厚が30μmとなるようにエアスプレー塗
りをして、20℃で10分間セッティングしたのち、さらに
60℃で5分間セッティングし、次いで160℃で30分間焼
付けして完成塗膜を得、得られた試験片の塗膜の物性お
よび耐水性試験を行った。
また錫はく上に上記と同様の手順により、30μmの完成
塗膜を得、次いで錫はくを水銀で溶解させてフリーフィ
ルムを作成し、引張り試験機により、得られた塗膜のヤ
ング率および引張り強度を測定した。結果を表1に記
す。
以上の結果により、実施例1〜3から得られた塗膜は優
れた仕上り外観性(60度鏡面光沢度)、塗膜物性(鉛筆
硬度、付着性、エリクセン試験)、耐水性(耐湿性)お
よび機械的強度(塗膜のヤング率、破断強度)を有して
いる。
これに対して比較例1は疎水性線状ポリエステル樹脂を
含有していないため、耐水性、機械的強度に劣る。比較
例2は高酸価の水溶性ポリエステル樹脂を使用し、かつ
樹脂反応物の酸価も30を超えるため、耐水性に劣る。比
較例3は数平均分子量が10000未満の疎水性線状ポリエ
ステル樹脂を使用しているため、耐水性、機械的強度に
劣る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂Aとして、カルボキシル基を含有し、
    酸価20〜50、水酸基価50〜200、数平均分子量1,000〜1
    0,000の水溶性ポリエステル樹脂と、樹脂Bとして、ジ
    カルボン酸成分およびグリコール成分から合成され、軟
    化点40〜200℃、数平均分子量10,000〜100,000の疎水性
    線状ポリエステル樹脂とを、重量比で90:10から20:80の
    比率で反応させ、少なくとも一部の樹脂を縮合させて得
    られる酸価10〜30の樹脂反応物を水性媒体中に乳化させ
    た水性分散体を塗膜形成成分として含有する水性分散型
    塗料。
  2. 【請求項2】水性分散体が硬化剤を含有する特許請求の
    範囲第1項記載の水性分散型塗料。
  3. 【請求項3】硬化剤がアミノプラスト樹脂およびブロッ
    クドイソシアネート類から得られる1種以上のものであ
    る特許請求の範囲第2項記載の水性分散型塗料。
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