JPH0693463A - 亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法 - Google Patents
亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法Info
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- JPH0693463A JPH0693463A JP3064792A JP3064792A JPH0693463A JP H0693463 A JPH0693463 A JP H0693463A JP 3064792 A JP3064792 A JP 3064792A JP 3064792 A JP3064792 A JP 3064792A JP H0693463 A JPH0693463 A JP H0693463A
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- steel sheet
- zinc
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- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 塗装後の耐食性および塗装密着性を向上させ
るのに有効な亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法
を提供すること。 【構成】 Cr3+/Cr6+が重量比で1/9〜1/1の
範囲であるクロム酸もしくはクロム酸還元生成物の水溶
液中に、マグネシウム化合物をMg換算で全クロム量に
対して0.01〜10重量百分率(%)添加し、かつシリカゾ
ルをSiO2換算で全クロム量/SiO2の重量比が1/0.2 〜
1/5の範囲で添加したクロメート液を、亜鉛または亜
鉛アルミニウム合金によって被覆された鋼板に、Crの
付着量が5〜100mg/m2の範囲内になるように塗布する。
これにより、塗装後の耐食性および塗装密着性に優れた
塗装下地処理鋼板を得ることができる。
るのに有効な亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法
を提供すること。 【構成】 Cr3+/Cr6+が重量比で1/9〜1/1の
範囲であるクロム酸もしくはクロム酸還元生成物の水溶
液中に、マグネシウム化合物をMg換算で全クロム量に
対して0.01〜10重量百分率(%)添加し、かつシリカゾ
ルをSiO2換算で全クロム量/SiO2の重量比が1/0.2 〜
1/5の範囲で添加したクロメート液を、亜鉛または亜
鉛アルミニウム合金によって被覆された鋼板に、Crの
付着量が5〜100mg/m2の範囲内になるように塗布する。
これにより、塗装後の耐食性および塗装密着性に優れた
塗装下地処理鋼板を得ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装下地処理方法に関
し、特に、家電製品や建材等に用いる亜鉛または亜鉛ア
ルミニウム合金めっき塗装鋼板の耐食性ならびに塗装密
着性を向上させるのに有効な塗装下地処理方法について
提案する。
し、特に、家電製品や建材等に用いる亜鉛または亜鉛ア
ルミニウム合金めっき塗装鋼板の耐食性ならびに塗装密
着性を向上させるのに有効な塗装下地処理方法について
提案する。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき塗装鋼板または亜鉛アルミニ
ウム合金めっき塗装鋼板(以下は、単に「亜鉛めっき塗
装鋼板等」という)は、犠牲防食作用があるため、高温
高湿の環境下では腐食して白錆が発生しやすい。従っ
て、かかる亜鉛めっき塗装鋼板等では、腐食防止または
密着性向上のために、クロメート処理が塗装下地処理と
して施されている。
ウム合金めっき塗装鋼板(以下は、単に「亜鉛めっき塗
装鋼板等」という)は、犠牲防食作用があるため、高温
高湿の環境下では腐食して白錆が発生しやすい。従っ
て、かかる亜鉛めっき塗装鋼板等では、腐食防止または
密着性向上のために、クロメート処理が塗装下地処理と
して施されている。
【0003】この塗装下地処理としての前記クロメート
処理は、主として、 めっき表面に3価のクロメート皮膜を形成させる反応
型クロメート処理(例えば、特公昭52−14691 号公報,
同57−56554 号公報参照)と、 6価クロムを含有するクロメート処理液をめっき表面
に塗布した後、乾燥させる塗布型クロメート処理(例え
ば、特公昭42−14050 号公報,特開昭62−202083号公報
参照)、の二つの方法がある。特に、後者の塗布型クロ
メート処理に着目して従来技術というものを俯瞰する
と、クロメート処理液の液組成に関する研究が主流であ
った。例えば、特開昭54−161549号公報や特開昭57−20
3796号公報、特公昭61−1508号公報などでは、クロム酸
とけい酸ゾルからなるクロメート処理液を、めっき鋼板
表面に塗布し乾燥させる方法が提案され、また、特開昭
60−128268号公報や特開昭63−178873号公報などでは、
クロム酸水溶液中に無機アニオンを添加したクロメート
処理液を、めっき鋼板表面に塗布し乾燥させる方法とし
て提案されている。
処理は、主として、 めっき表面に3価のクロメート皮膜を形成させる反応
型クロメート処理(例えば、特公昭52−14691 号公報,
同57−56554 号公報参照)と、 6価クロムを含有するクロメート処理液をめっき表面
に塗布した後、乾燥させる塗布型クロメート処理(例え
ば、特公昭42−14050 号公報,特開昭62−202083号公報
参照)、の二つの方法がある。特に、後者の塗布型クロ
メート処理に着目して従来技術というものを俯瞰する
と、クロメート処理液の液組成に関する研究が主流であ
った。例えば、特開昭54−161549号公報や特開昭57−20
3796号公報、特公昭61−1508号公報などでは、クロム酸
とけい酸ゾルからなるクロメート処理液を、めっき鋼板
表面に塗布し乾燥させる方法が提案され、また、特開昭
60−128268号公報や特開昭63−178873号公報などでは、
クロム酸水溶液中に無機アニオンを添加したクロメート
処理液を、めっき鋼板表面に塗布し乾燥させる方法とし
て提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記先
行提案技術のうち、まず反応型クロメート処理技術の場
合、この方法に従って処理されたクロメート処理鋼板で
は、発明者らの研究によれば、この鋼板をJIS Z23
71の塩水噴霧試験に投入すると、白錆が200 時間で20%
以上も発生し、塗布型クロメート処理鋼板の場合に比べ
て耐食性が不十分になることが判った。
行提案技術のうち、まず反応型クロメート処理技術の場
合、この方法に従って処理されたクロメート処理鋼板で
は、発明者らの研究によれば、この鋼板をJIS Z23
71の塩水噴霧試験に投入すると、白錆が200 時間で20%
以上も発生し、塗布型クロメート処理鋼板の場合に比べ
て耐食性が不十分になることが判った。
【0005】一方、上記塗布型クロメート処理の場合に
ついても、この方法に従って処理された鋼板に塗装を施
して塗装鋼板とした場合、発明者らの研究に基づく塩水
噴霧試験による耐食性試験では、反応型クロメート処理
鋼板の場合に比べると、折り曲げ部やクロスカット部等
の白錆およびブリスターの発生は少ないものの、試験片
の切り口端面からの白錆およびブリスター(以下、「エ
ッジクリープ」という)の発生が著しかった。特に、素
材に亜鉛アルミニウム合金めっき鋼板を用いると、前記
エッジクリープの発生が激しかった。
ついても、この方法に従って処理された鋼板に塗装を施
して塗装鋼板とした場合、発明者らの研究に基づく塩水
噴霧試験による耐食性試験では、反応型クロメート処理
鋼板の場合に比べると、折り曲げ部やクロスカット部等
の白錆およびブリスターの発生は少ないものの、試験片
の切り口端面からの白錆およびブリスター(以下、「エ
ッジクリープ」という)の発生が著しかった。特に、素
材に亜鉛アルミニウム合金めっき鋼板を用いると、前記
エッジクリープの発生が激しかった。
【0006】この亜鉛アルミニウム合金めっき鋼板にお
いては、一般に、亜鉛アルミニウム合金めっき層は、亜
鉛とアルミニウムが均一に分散せず、アルミニウムが亜
鉛よりも多く存在しているアルミニウムリッチ層と、逆
に亜鉛がアルミニウムよりも多く存在している亜鉛リッ
チ層のいずれかに偏在しているのが普通である。従っ
て、この鋼板を腐食雰囲気下におくと、亜鉛およびアル
ミニウムはともに犠牲防食作用により溶解し、金属の自
然電極電位から推察すると、アルミニウムの方が先に溶
解すると思われる。ところが、腐食雰囲気においては、
塗膜下のpHが低くなり、そのために低いpH領域で溶
解しやすい亜鉛が優先して溶解し、その結果、カソード
反応によって生じる水素ガスや腐食生成物により塗膜を
押し上げふくれが発生することとなる。
いては、一般に、亜鉛アルミニウム合金めっき層は、亜
鉛とアルミニウムが均一に分散せず、アルミニウムが亜
鉛よりも多く存在しているアルミニウムリッチ層と、逆
に亜鉛がアルミニウムよりも多く存在している亜鉛リッ
チ層のいずれかに偏在しているのが普通である。従っ
て、この鋼板を腐食雰囲気下におくと、亜鉛およびアル
ミニウムはともに犠牲防食作用により溶解し、金属の自
然電極電位から推察すると、アルミニウムの方が先に溶
解すると思われる。ところが、腐食雰囲気においては、
塗膜下のpHが低くなり、そのために低いpH領域で溶
解しやすい亜鉛が優先して溶解し、その結果、カソード
反応によって生じる水素ガスや腐食生成物により塗膜を
押し上げふくれが発生することとなる。
【0007】したがって、上記先行提案技術によってク
ロメート下地処理された鋼板に塗装を施した塗装鋼板に
ついては、クロメート皮膜と塗装皮膜との密着性が不十
分なため、耐食性が悪くなり、建材用途等に使用するこ
とに大きな問題があった。
ロメート下地処理された鋼板に塗装を施した塗装鋼板に
ついては、クロメート皮膜と塗装皮膜との密着性が不十
分なため、耐食性が悪くなり、建材用途等に使用するこ
とに大きな問題があった。
【0008】また、塗布型クロメートについては、塗装
時に付着ムラが生じ易く、そのため外観を損ない防錆性
が局部的に劣化するという問題もあった。
時に付着ムラが生じ易く、そのため外観を損ない防錆性
が局部的に劣化するという問題もあった。
【0009】本発明の目的は、上述のような従来技術の
抱える問題に鑑み、塗装後の耐食性,特に耐エッジクリ
ープ性、および塗装密着性を向上させるのに有効な亜鉛
めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法を提供することに
ある。
抱える問題に鑑み、塗装後の耐食性,特に耐エッジクリ
ープ性、および塗装密着性を向上させるのに有効な亜鉛
めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の目的
を実現すべく、上述した現象を踏まえて、Mg,Zn,Al,Co
およびNi等の金属化合物をクロメート処理液に添加する
などして、鋭意検討を重ねた結果、Mg化合物が塗装後の
耐食性、特にエッジクリープ性に、非常に良好な結果を
与えることを見出し、さらに、塗布型クロメートの塗装
時の付着ムラをなくして、防錆性が局部的に劣化するの
を防止するには、クロム酸水溶液にシリカゾルを添加す
ることが有効であることを突き止め、本発明に想到し
た。
を実現すべく、上述した現象を踏まえて、Mg,Zn,Al,Co
およびNi等の金属化合物をクロメート処理液に添加する
などして、鋭意検討を重ねた結果、Mg化合物が塗装後の
耐食性、特にエッジクリープ性に、非常に良好な結果を
与えることを見出し、さらに、塗布型クロメートの塗装
時の付着ムラをなくして、防錆性が局部的に劣化するの
を防止するには、クロム酸水溶液にシリカゾルを添加す
ることが有効であることを突き止め、本発明に想到し
た。
【0011】すなわち、本発明は、亜鉛または亜鉛アル
ミニウム合金によって被覆された鋼板の塗装下地処理に
当たり、前記鋼板に、クロム酸およびクロム酸還元生成
物を主成分とし、これらの含有割合が、Cr3+/Cr6+
の重量比で1/9〜1/1の範囲である水溶液にマグネ
シウム化合物をMg換算で全クロム量に対して0.01〜10
重量百分率(%)含有し、かつシリカゾルをSiO2換算
で、全クロム量/SiO2の重量比で1/0.2 〜1/5の範
囲で含有させたクロメート液を、Crの付着量が5〜10
0mg/m2の範囲内になるように塗布することを特徴とする
亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法である。
ミニウム合金によって被覆された鋼板の塗装下地処理に
当たり、前記鋼板に、クロム酸およびクロム酸還元生成
物を主成分とし、これらの含有割合が、Cr3+/Cr6+
の重量比で1/9〜1/1の範囲である水溶液にマグネ
シウム化合物をMg換算で全クロム量に対して0.01〜10
重量百分率(%)含有し、かつシリカゾルをSiO2換算
で、全クロム量/SiO2の重量比で1/0.2 〜1/5の範
囲で含有させたクロメート液を、Crの付着量が5〜10
0mg/m2の範囲内になるように塗布することを特徴とする
亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法である。
【0012】このような塗装下地処理を行うと、付着ム
ラのない均一な,強固なクロメート不働態膜とすること
ができるので、塗装後の耐食性および塗装密着性に優れ
た亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
ラのない均一な,強固なクロメート不働態膜とすること
ができるので、塗装後の耐食性および塗装密着性に優れ
た亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
【0013】
【作用】本発明において、クロメート液の組成を上述の
ように限定した理由につき、以下に詳細に説明する。ま
ず、クロム酸およびクロム酸還元生成物の組成を上述の
範囲と限定した理由は、クロメート処理液中のCr6+に
対するCr3+の割合が大きすぎると、クロメート処理液
の塗布時に処理液中のクロム酸の重合度が上昇して、処
理液中に沈澱物が生成する結果、クロメート処理液を薄
く均一に塗布することが困難になり、一方、Cr6+に対
するCr3+の割合が小さすぎると、Cr6+が吸湿性を有
するために、皮膜が溶解しやすくなり、2次密着性が悪
くなるからである。従って、これらの点を考慮し、本発
明において、クロメート処理液中のCr3+/Cr6+の重
量比は、1/9〜1/1の範囲とした。
ように限定した理由につき、以下に詳細に説明する。ま
ず、クロム酸およびクロム酸還元生成物の組成を上述の
範囲と限定した理由は、クロメート処理液中のCr6+に
対するCr3+の割合が大きすぎると、クロメート処理液
の塗布時に処理液中のクロム酸の重合度が上昇して、処
理液中に沈澱物が生成する結果、クロメート処理液を薄
く均一に塗布することが困難になり、一方、Cr6+に対
するCr3+の割合が小さすぎると、Cr6+が吸湿性を有
するために、皮膜が溶解しやすくなり、2次密着性が悪
くなるからである。従って、これらの点を考慮し、本発
明において、クロメート処理液中のCr3+/Cr6+の重
量比は、1/9〜1/1の範囲とした。
【0014】なお、本発明者らは、クロム酸還元率が塗
装密着性に及ぼす影響を調査した。この調査において、
素材には5%Al−Zn合金めっき鋼板を使用し、まず、C
r3+/Cr6+値を変えた処理液を塗布し、Cr付着量が
40mg/m2 であるクロメート皮膜を形成させた。次いで、
エポキシ系プライマーを5μm塗装し、さらに、その上
層にフッ素系塗膜20μmを塗装して試験片を作製した。
これらの塗装の焼付条件は、プライマーについては200
℃で1分間、フッ素系塗膜については240 ℃で1分間と
した。次に、作製した試験片を、沸騰水中に2時間浸漬
して水切り乾燥した後、この試験片に、カッターナイフ
で素地に達する線をいれて、100 個の1mm角碁盤目を形
成させ、この碁盤目の中央をエクセリン試験機で6mm押
し出し、さらに、その部分をセロハンテープで剥離する
試験を行った。この試験における評価は、全く剥離しな
いものを5、1〜5個程度剥離するものを4、6〜10個
程度剥離するものを3、11〜20個程度剥離するものを
2、21個以上剥離するものを1として行った。その結
果、図1から明らかなように、Cr3+/Cr6+値が1/
9より小さい場合、および1/1を超える場合におい
て、塗膜密着性が著しく低下することが判った。同様
に、耐食性に関しても、図には示していないが、Cr3+
/Cr6+値が1/9より小さい場合、および1/1を超
える場合において、著しく悪くなることが判った。従っ
て、クロメート液の還元率は、Cr3+/Cr6+の重量比
が1/9〜1/1の範囲となるように限定したのであ
る。
装密着性に及ぼす影響を調査した。この調査において、
素材には5%Al−Zn合金めっき鋼板を使用し、まず、C
r3+/Cr6+値を変えた処理液を塗布し、Cr付着量が
40mg/m2 であるクロメート皮膜を形成させた。次いで、
エポキシ系プライマーを5μm塗装し、さらに、その上
層にフッ素系塗膜20μmを塗装して試験片を作製した。
これらの塗装の焼付条件は、プライマーについては200
℃で1分間、フッ素系塗膜については240 ℃で1分間と
した。次に、作製した試験片を、沸騰水中に2時間浸漬
して水切り乾燥した後、この試験片に、カッターナイフ
で素地に達する線をいれて、100 個の1mm角碁盤目を形
成させ、この碁盤目の中央をエクセリン試験機で6mm押
し出し、さらに、その部分をセロハンテープで剥離する
試験を行った。この試験における評価は、全く剥離しな
いものを5、1〜5個程度剥離するものを4、6〜10個
程度剥離するものを3、11〜20個程度剥離するものを
2、21個以上剥離するものを1として行った。その結
果、図1から明らかなように、Cr3+/Cr6+値が1/
9より小さい場合、および1/1を超える場合におい
て、塗膜密着性が著しく低下することが判った。同様
に、耐食性に関しても、図には示していないが、Cr3+
/Cr6+値が1/9より小さい場合、および1/1を超
える場合において、著しく悪くなることが判った。従っ
て、クロメート液の還元率は、Cr3+/Cr6+の重量比
が1/9〜1/1の範囲となるように限定したのであ
る。
【0015】次に、上記処理液に添加するマグネシウム
化合物の量は、Mg換算で、全クロム量に対して0.01〜
10重量%とする。この理由は、0.01重量%より少ないと
Mg添加の効果がなく、一方、10重量%より多いと溶解
が困難で沈澱が生じ、その結果、クロメート処理液を薄
く均一に塗布することが困難になるからである。
化合物の量は、Mg換算で、全クロム量に対して0.01〜
10重量%とする。この理由は、0.01重量%より少ないと
Mg添加の効果がなく、一方、10重量%より多いと溶解
が困難で沈澱が生じ、その結果、クロメート処理液を薄
く均一に塗布することが困難になるからである。
【0016】このMg元素の添加効果は、(1).めっき皮
膜表面に形成させるクロメート皮膜が、さらに不働態化
傾向を呈し、めっき皮膜の腐食を遅延化し、(2).上記ク
ロメート皮膜の不働態化傾向が、めっき皮膜と塗膜の境
界で腐食反応を抑えて、塗膜の安定化に寄与する、こと
にある。
膜表面に形成させるクロメート皮膜が、さらに不働態化
傾向を呈し、めっき皮膜の腐食を遅延化し、(2).上記ク
ロメート皮膜の不働態化傾向が、めっき皮膜と塗膜の境
界で腐食反応を抑えて、塗膜の安定化に寄与する、こと
にある。
【0017】次に、クロメート処理液に添加するシリカ
ゾルの量は、SiO2換算で、全クロム量/SiO2の重量比が
1/0.2 〜1/5の範囲とする。この理由は、1/0.2
を超えると、シリカゾルの耐食性向上や付着ムラ防止に
対する効果がほとんどなくなり、一方、1/5未満の場
合は、シリカゾルが水に分散する性質を持つため、クロ
メート皮膜が溶解しやすくなり、2次密着性や耐食性が
悪くなるためである。
ゾルの量は、SiO2換算で、全クロム量/SiO2の重量比が
1/0.2 〜1/5の範囲とする。この理由は、1/0.2
を超えると、シリカゾルの耐食性向上や付着ムラ防止に
対する効果がほとんどなくなり、一方、1/5未満の場
合は、シリカゾルが水に分散する性質を持つため、クロ
メート皮膜が溶解しやすくなり、2次密着性や耐食性が
悪くなるためである。
【0018】さて、前記亜鉛めっき鋼板表面へのクロメ
ート処理液の塗布量は、Crの付着量が5〜100mg/m2の
範囲内になるようにする。この理由は、5mg/m2 未満で
は皮膜のクロム量が少ないために耐食性が低下し、一
方、100mg/m2を超えると塗膜密着性が低下し、充分な性
能の皮膜を得ることができないからである。
ート処理液の塗布量は、Crの付着量が5〜100mg/m2の
範囲内になるようにする。この理由は、5mg/m2 未満で
は皮膜のクロム量が少ないために耐食性が低下し、一
方、100mg/m2を超えると塗膜密着性が低下し、充分な性
能の皮膜を得ることができないからである。
【0019】
【実施例】表1に示す組成の処理液および処理条件で、
溶融亜鉛めっき鋼板および溶融亜鉛アルミニウム合金め
っき鋼板にクロメート処理を施した。実施例としては1
〜13の13種類、比較例としては1〜4の4種類の処理を
行い、各種亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理は、アル
カリ脱脂→水洗→乾燥→クロメート処理液の塗布→ロー
ル絞り→熱風乾燥の工程からなる。なお、この例におい
て、Cr3+/Cr6+ の値は、1/3で行った。
溶融亜鉛めっき鋼板および溶融亜鉛アルミニウム合金め
っき鋼板にクロメート処理を施した。実施例としては1
〜13の13種類、比較例としては1〜4の4種類の処理を
行い、各種亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理は、アル
カリ脱脂→水洗→乾燥→クロメート処理液の塗布→ロー
ル絞り→熱風乾燥の工程からなる。なお、この例におい
て、Cr3+/Cr6+ の値は、1/3で行った。
【0020】次に、これらのクロメート処理をし終えた
各種亜鉛系めっき鋼板から試験片を採取し、クロメート
皮膜の性能評価として、塗装後の耐食性試験を行った。
試験片の塗装は、塗料としてフッ素系塗料(大日本イン
キ(株)ディックフロー)を用い、塗料メーカーの仕様
に従い、膜厚が22μmになるように調整して行い、耐食
性試験は、5cm巾に切り出した試験片の塗装表面に、
クロスカットおよび2T折り曲げを行った後、裏面をシ
ールして、塩水噴霧試験に投入することにより行った。
なお、塩水噴霧試験は、JIS Z2371に準拠して実施
した。
各種亜鉛系めっき鋼板から試験片を採取し、クロメート
皮膜の性能評価として、塗装後の耐食性試験を行った。
試験片の塗装は、塗料としてフッ素系塗料(大日本イン
キ(株)ディックフロー)を用い、塗料メーカーの仕様
に従い、膜厚が22μmになるように調整して行い、耐食
性試験は、5cm巾に切り出した試験片の塗装表面に、
クロスカットおよび2T折り曲げを行った後、裏面をシ
ールして、塩水噴霧試験に投入することにより行った。
なお、塩水噴霧試験は、JIS Z2371に準拠して実施
した。
【0021】試験片を塩水噴霧試験に1000時間投入し、
クロスカット部,2T折り曲げ部ならびに切り口端面部
の白錆発生および塗膜下ふくれ巾(ブリスター)で評価
した結果を表2に示す。表2に示す結果から明らかなよ
うに、本発明にかかるクロメート処理亜鉛系めっき塗装
鋼板は、従来のクロメート処理亜鉛系めっき塗装鋼板に
比べて耐食性に優れていることが判る。
クロスカット部,2T折り曲げ部ならびに切り口端面部
の白錆発生および塗膜下ふくれ巾(ブリスター)で評価
した結果を表2に示す。表2に示す結果から明らかなよ
うに、本発明にかかるクロメート処理亜鉛系めっき塗装
鋼板は、従来のクロメート処理亜鉛系めっき塗装鋼板に
比べて耐食性に優れていることが判る。
【0022】なお、耐食性の判定基準は以下に示す通り
である。 〔クロスカット部について〕 (a) 白錆発生状況 ◎ … 白錆発生なし (0%) 〇 … 僅かに白錆発生あり (20%以下発錆) △ … 白錆発生あり (21〜50%以下発錆) × … かなり白錆発生あり (51%以上発錆) (b) 塗膜下ふくれ巾(線からの侵入巾) ◎ … 異常なし 〇 … 侵入巾1mm以内 △ … 侵入巾1.1 〜3.0 mm × … 侵入巾3.1 mm以上 〔2T折り曲げ部について〕 (a) 白錆発生状況 クロスカット部に同じ (b) 塗膜下ふくれ巾 ◎ … 異常なし 〇 … 最大ふくれ巾1mm以内 △ … 最大ふくれ巾1.1 〜3.0 mm × … 最大ふくれ巾3.1 mm以上 〔切り口端面部について〕 (a) 白錆発生状況 クロスカット部に同じ (b) 塗膜下ふくれ巾 ◎ … 最大侵入巾1mm以内 〇 … 最大侵入巾1.1 〜3.0 mm △ … 最大侵入巾3.1 〜5.0 mm × … 最大侵入巾5.1 mm以上
である。 〔クロスカット部について〕 (a) 白錆発生状況 ◎ … 白錆発生なし (0%) 〇 … 僅かに白錆発生あり (20%以下発錆) △ … 白錆発生あり (21〜50%以下発錆) × … かなり白錆発生あり (51%以上発錆) (b) 塗膜下ふくれ巾(線からの侵入巾) ◎ … 異常なし 〇 … 侵入巾1mm以内 △ … 侵入巾1.1 〜3.0 mm × … 侵入巾3.1 mm以上 〔2T折り曲げ部について〕 (a) 白錆発生状況 クロスカット部に同じ (b) 塗膜下ふくれ巾 ◎ … 異常なし 〇 … 最大ふくれ巾1mm以内 △ … 最大ふくれ巾1.1 〜3.0 mm × … 最大ふくれ巾3.1 mm以上 〔切り口端面部について〕 (a) 白錆発生状況 クロスカット部に同じ (b) 塗膜下ふくれ巾 ◎ … 最大侵入巾1mm以内 〇 … 最大侵入巾1.1 〜3.0 mm △ … 最大侵入巾3.1 〜5.0 mm × … 最大侵入巾5.1 mm以上
【0023】
【表1】 *GI:溶融亜鉛めっき鋼板、 GF:5%Al−Zn合
金めっき鋼板 ** CrO3 濃度:10g/l
金めっき鋼板 ** CrO3 濃度:10g/l
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明方法によれ
ば、クロメート処理液に、Mg化合物を添加することによ
り、塗装後の耐食性,特にエッジクリープ性を向上さ
せ、さらに、シリカゾルを添加することにより、クロメ
ート皮膜の付着ムラをなくして、防食性が局部的に劣化
するのを防止でき、塗装後の耐食性および塗装密着性に
優れた塗装下地処理鋼板を得ることができる。
ば、クロメート処理液に、Mg化合物を添加することによ
り、塗装後の耐食性,特にエッジクリープ性を向上さ
せ、さらに、シリカゾルを添加することにより、クロメ
ート皮膜の付着ムラをなくして、防食性が局部的に劣化
するのを防止でき、塗装後の耐食性および塗装密着性に
優れた塗装下地処理鋼板を得ることができる。
【図1】クロメート処理液のクロム酸還元率が塗膜密着
性に及ぼす影響を示す図である。
性に及ぼす影響を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 亜鉛または亜鉛アルミニウム合金によっ
て被覆された鋼板の塗装下地処理に当たり、前記鋼板
に、クロム酸およびクロム酸還元生成物を主成分とし、
これらの含有割合が、Cr3+/Cr6+の重量比で1/9
〜1/1の範囲である水溶液にマグネシウム化合物をM
g換算で全クロム量に対して0.01〜10重量百分率(%)
含有し、かつシリカゾルをSiO2換算で、全クロム量/Si
O2の重量比で1/0.2 〜1/5の範囲で含有させたクロ
メート液を、Crの付着量が5〜100mg/m2の範囲内にな
るように塗布することを特徴とする亜鉛めっき塗装鋼板
等の塗装下地処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3064792A JPH0693463A (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | 亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3064792A JPH0693463A (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | 亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0693463A true JPH0693463A (ja) | 1994-04-05 |
Family
ID=12309606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3064792A Pending JPH0693463A (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | 亜鉛めっき塗装鋼板等の塗装下地処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0693463A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000071773A1 (fr) * | 1999-05-24 | 2000-11-30 | Nippon Steel Corporation | Produit d'acier plaque, feuille d'acier plaquee et feuille d'acier prerevetue possedant une excellente resistance a la corrosion |
-
1992
- 1992-02-18 JP JP3064792A patent/JPH0693463A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000071773A1 (fr) * | 1999-05-24 | 2000-11-30 | Nippon Steel Corporation | Produit d'acier plaque, feuille d'acier plaquee et feuille d'acier prerevetue possedant une excellente resistance a la corrosion |
US6465114B1 (en) | 1999-05-24 | 2002-10-15 | Nippon Steel Corporation | -Zn coated steel material, ZN coated steel sheet and painted steel sheet excellent in corrosion resistance, and method of producing the same |
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