JP3149751B2 - 耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方法 - Google Patents

耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方法

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JP3149751B2 JP29398795A JP29398795A JP3149751B2 JP 3149751 B2 JP3149751 B2 JP 3149751B2 JP 29398795 A JP29398795 A JP 29398795A JP 29398795 A JP29398795 A JP 29398795A JP 3149751 B2 JP3149751 B2 JP 3149751B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐白錆性、塗装性
に優れ、かつ6価クロムを全く含有しない皮膜を施した
鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼板の塗装下地処理としては、リ
ン酸亜鉛処理、クロメート処理が広く行われている。し
かし、リン酸亜鉛処理は裸耐食性に乏しく、家電製品や
自動車用等の鋼板に使用される片面塗装鋼板のような、
非塗装面が露出する用途には使用することができない。
そこで、このような用途には、塗装密着性を有し、かつ
裸耐食性に優れるクロメート処理が施されている。
【0003】しかしながら、クロメート処理は毒性の高
い6価クロムを使用するものであり、処理工程ではクロ
ム酸塩の人体への悪影響や廃水処理後のクロムスラッジ
の廃棄処理の問題、また、クロメート処理後の製品から
の6価クロムの溶出など種々の問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
鋼板、特に亜鉛系めっき鋼板の白錆の発生を防止するた
めに、クロメート処理によらない無公害の処理技術が数
多く提案されている。
【0005】例えば、無機化合物、有機化合物、有機高
分子、あるいは、これらを組み合わせた溶液を用い、浸
漬、塗布、電解処理などの方法により薄膜を形成する方
法である。具体的には、以下に示すような技術が提案さ
れている。
【0006】(1)モリブデン、タングステンなどポリ
金属酸化物を用いる方法(例えば、特開昭57−587
5号公報) (2)タンニン酸を用いた方法(例えば、特開昭51−
71233号公報) (3)3価クロムを使用し、6価クロムを含まない処理
液を用いた無公害のクロメート処理方法(例えば、特開
昭61−587号公報) しかしながら、上記(1)の方法では、モリブデン、タ
ングステンなどのポリ金属酸化物の腐食に対する安定領
域はクロムのそれより狭く、クロメートと同程度の耐食
性を得ることは不可能であり、また、良好な塗装性も得
られない。
【0007】また、上記(2)の方法では、十分な耐食
性を得ようとすると、タンニン酸による着色が生じると
いう問題がある。
【0008】さらに、上記(3)の方法では、処理時間
(反応時間)を比較的長くとる必要があり、また、その
耐食性も十分に高いとはいえない。
【0009】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、製造工程上および使用過程において安全で
無害な化成処理皮膜を形成し、もって耐白錆性と塗装性
に優れた鋼板を製造することができる方法を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、第1に、ケイ酸エステルとアルミニウム
無機塩とをAl/(Al+Si)モル比として、0.0
15以上0.75以下とし、さらに乾式シリカゾルをS
iO2 に換算して、アルミニウム無機塩中のAl量に対
する重量比で0.5以上10以下になるように混合した
溶液を鋼板上に塗布した後、加熱乾燥し、付着量がAl
金属換算で5mg/m2 以上の皮膜を形成することを特
徴とする耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方法を提
供する。
【0011】第2に、上記方法において、アルミニウム
無機塩として硝酸アルミニウムを用いることを特徴とす
る記載の耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方法を提
供する。
【0012】第3に、上記いずれかの方法において、加
熱乾燥温度を200℃未満とすることを特徴とする耐白
錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方法を提供する。
【0013】第4に、上記いずれかの方法において、前
記溶液が、ニッケル、コバルト、マグネシウムの無機塩
の1種または2種以上をAlに対するモル比で0.01
以上、Alと同モル数以下含有する溶液であることを特
徴とする耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方法を提
供する。
【0014】第5に、上記第1ないし第3のいずれかの
方法において、前記溶液が、リン酸またはリン酸化合物
を、リン酸のモル数として、アルミニウムとケイ酸エス
テルの合計モル数に対し、5%から200%の範囲にな
るように含有することを特徴とする耐白錆性と塗装性に
優れた鋼板の製造方法を提供する。
【0015】第6に、上記第1ないし第3のいずれかの
方法において、前記溶液が、3価クロム化合物をクロム
金属モル数として、アルミニウムとケイ酸エステルの合
計モル数に対し、0.1倍から3倍の範囲になるように
含有することを特徴とする耐白錆性と塗装性に優れた鋼
板の製造方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明では、上述のように、ケイ
酸エステル、アルミニウムの無機塩、乾式シリカゾル
(乾式タイプのコロイダルシリカ)を含有した溶液を鋼
板上に塗布することにより、耐食性、塗装性に優れた皮
膜を形成することができる。その理由については必ずし
も明らかではないが、ケイ酸、アルミニウム酸化物がネ
ットワーク構造を形成し、緻密な複合酸化物薄膜を形成
し、白錆抑制能が得られるものと考えられる。また、表
面にシラノール基が多く、凝集しやすい乾式シリカゾル
を添加することにより表面の親水性が増し、塗装密着性
にも優れた皮膜を形成することができる。
【0017】アルミニウム無機塩としては、硝酸アルミ
ニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどを用
いることができるが、中でも硝酸アルミニウムが望まし
い。その理由は、現状では必ずしも明らかではないが、
硝酸根が皮膜のネットワーク構造を形成することを促進
する、またはこのようなネットワーク構造形成の障害と
ならないことなどが考えられる。
【0018】ケイ酸エステルとしては、例えば、メチル
シリケート、エチルシリケート、n−ブチルシリケート
を使用することができる。コスト面から考慮すると、安
価であるエチルシリケートを用いることが好ましいが、
特に限定されるものではない。
【0019】ケイ酸エステルとアルミニウム無機塩との
割合は、Al/(Al+Si)モル比で0.015以上
0.75以下の範囲とする。これは、この値が0.01
5より低いと耐食性が大きく低下して白錆抑制能力に問
題が生じ、0.75を越える場合にも同様に白錆抑制能
力が不十分であるからである。ここで、このようにAl
/(Al+Si)モル比によって耐食性が変化する理由
としては、得られた皮膜構造の緻密さに耐食性が依存す
るためと考えられる。
【0020】また、乾式シリカゾルをSiO2 に換算し
て、アルミニウム無機塩中のAl量に対する重量比で
0.5以上10以下になるように混合する。これは、こ
の添加比が0.5未満であると塗装密着性の向上効果は
ほとんどみられず、逆に添加比が10を超えると皮膜が
脆くなり容易に塗膜が剥離するからである。この乾式シ
リカゾルが塗装密着性を向上させる効果を発揮するの
は、上述したように、表面にシラノール基が多く、凝集
しやすいことから、表面の親水性が増すことによるもの
と考えられる。
【0021】また、本発明では、上記ケイ酸エステル、
アルミニウム無機塩、乾式シリカゾルの他に、ニッケ
ル、コバルト、マグネシウムの無機塩の1種または2種
以上をAlに対するモル比で0.01以上、Alと同モ
ル数以下の範囲で溶液中に含有させることが好ましい。
このようにニッケル、コバルト、マグネシウムの無機塩
を添加することにより、Al−Si系皮膜の欠陥部(成
膜時に生じる欠陥、および鋼板の成形時に生じる比較的
小さい欠陥の両方を含む)における耐食性の低下を著し
く低減することができる。
【0022】ここで、これら1種または2種以上の含有
量をAlに対するモル比で0.01以上としたのは、こ
れより少量であると皮膜欠陥部の耐食性の低下を抑制す
る効果がほとんどみられないからであり、Alと同モル
数以下としたのは、これを超えると皮膜中に占めるAl
およびSiの割合が減少し、ニッケル、コバルト、マグ
ネシウムによってAl−Si系皮膜の造膜作用を妨害す
るようになり、被覆率の乏しい皮膜となって耐食性が劣
化するからである。
【0023】添加するニッケル、コバルト、マグネシウ
ムの無機塩としては、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などが挙
げられるが、特に制限されるものではない。
【0024】さらに、本発明では、リン酸またはリン酸
化合物はリン酸のモル数として、アルミニウムとケイ酸
エステルの合計のモル数に対し、5%から200%の範
囲で溶液に含有されることが好ましい。これにより一層
耐白錆性を向上させることができる。
【0025】ここで、この含有量を5%以上200%以
下としたのは、5%未満であるとリン酸化合物添加によ
る効果がほとんど見られず、逆に200%を超えると白
錆抑制効果がみられなくなるからである。この理由は2
00%を超えるとリン酸イオンが緻密なAl−Siネッ
トワーク構造の成長を阻害し、皮膜欠陥を発生させるた
めと推測される。また、リン酸化合物の添加によって効
果が発揮されるメカニズムは、現状では必ずしも明らか
ではないが、リン酸化合物によるめっき表面の不活性化
や、リン酸化物によるAl−Siネットワーク構造の強
化などが考えられる。
【0026】リン酸化合物としては、例えば、リン酸第
1アンモニウム、リン酸第2アンモニウム、リン酸第3
アンモニウム、リン酸ナトリウムなどを使用することが
可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0027】さらにまた、本発明では、3価クロム化合
物(3価クロムイオン)をクロム金属モル数として、ア
ルミニウムとケイ酸エステルの合計のモル数に対し、
0.1倍から3倍の範囲で溶液に含有されることが好ま
しい。これによっても一層耐白錆性を向上させることが
できる。
【0028】ここで、その含有量が0.1倍から3倍の
範囲としたのは、0.1倍未満であるとクロム化合物添
加効果がほとんど見られず、逆に3倍を超えると白錆抑
制効果がみられなくなるからである。この理由は3倍を
超えるとクロムイオンが緻密なAl−Siネットワーク
構造の成長を阻害し、皮膜欠陥を発生させるためと推測
される。また、3価クロム化合物の添加によって効果が
発揮されるメカニズムは、現状では必ずしも明らかでは
ないが、クロム化合物によるめっき表面の不活性化や、
クロム酸化物によるAl−Siネットワーク構造の強化
などが考えられる。
【0029】3価クロム化合物としては、例えば、硝酸
クロム、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロムなどを使
用することが可能であるが、これらに限定されるもので
はない。
【0030】溶液を形成するために用いる有機溶媒は特
に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、
ブタノール、プロパノール、メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコール、
ジホルムアルデヒドメトキシエタノールなど、ケイ酸エ
ステル、アルミニウム塩を溶解させ得る有機溶媒を使用
することができ、また、1,4ジオキサンのような非極
性の溶液でもアルコールのような極性溶媒と組み合わせ
て使用することができる。また、水もアルコール等と組
み合わせて使用することができる。
【0031】以上のような溶液を鋼板へ塗布する方法と
しては、ロールコーターを用いる方法、鋼板を溶液に浸
漬するかまたはめっき鋼板に溶液をスプレーした後、ロ
ールにより過剰な溶液を除去する方法を適用することが
できる。
【0032】このようにして溶液を塗布した後、加熱乾
燥を行うが、その際の温度は200℃未満であることが
好ましい。鋼板への塗布後の熱処理温度はAl−Si系
皮膜の耐食性に影響を与え、200℃以上であっても白
錆抑制能は得られるが、熱処理温度を上げていくことに
より耐食性が低下する傾向にある。これは有機溶媒の急
激な蒸発に伴って生じるピンホール数の増加や皮膜の硬
質化に伴うクラックの増加によるものと推測される。加
熱乾燥温度は、用いた溶媒が揮発可能であれば問題な
く、その下限は溶剤の揮発度により決定される。
【0033】なお、本発明の皮膜が亜鉛めっき鋼板に施
される場合には、その処理温度は、亜鉛めっきおよびそ
の基板である鋼板の熱拡散が急速に生じない温度にする
必要があり、約350℃が事実上の上限になると考えら
れる。
【0034】加熱乾燥後形成された皮膜の付着量は、A
l金属換算で5mg/m2 以上である。これは、5mg
/m2 未満では皮膜が鋼板表面を十分に被覆せず、耐白
錆性に対して十分な効果が得られないからである。付着
量の上限は特に存在しないが、付着量が多くなりすぎる
と可撓性が劣化し、クラックや剥離が生じやすくなるた
め、膜厚がおよそ1.0μmとなる1.0g/m2 程度
以下が好ましい。
【0035】本発明で適用される鋼板としては、冷延鋼
板をはじめ、各種表面処理鋼板を使用することができ、
特に限定されるものではない。例えば、亜鉛系めっき鋼
板としては、電気めっき法による亜鉛めっき鋼板、亜鉛
−ニッケル合金めっき鋼板、溶融めっき法による亜鉛め
っき鋼板、アルミニウム−亜鉛系合金めっき鋼板などが
挙げられる。
【0036】
【実施例】
(第1実施例)板厚0.7mmの付着量片面あたり20
g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板、板厚0.7mmの付着
量片面あたり20g/m2 の電気亜鉛−ニッケル合金め
っき鋼板(ニッケル含有量13%)、板厚0.7mmの
付着量片面あたり60g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板、
板厚0.7mmの付着量片面あたり45g/m2 の合金
化溶融亜鉛めっき鋼板、板厚0.7mmの付着量片面あ
たり80g/m2 の溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板(アルミニウム含有量55%)を用意し、表1に示
すケイ酸エステル、アルミニウム塩、乾式シリカゾル
(日本アエロジル株式会社製 アエロジル200)を表
2に示す組成で溶解させたメチルセロソルブ溶液をロー
ルコーターによって塗布した後に、熱風乾燥炉により加
熱温度を変えて加熱処理を施し、実施例1〜28および
比較例1〜9の皮膜を形成した。その際の加熱温度を表
2に併記した。この際の化成処理皮膜付着量は、処理液
中の固形成分量、またはロールコーターなどの塗布条件
によって変えることができる。
【0037】鋼板に関しては、上記鋼板のうち、実施例
1〜22、比較例1〜9は電気亜鉛めっき鋼板、実施例
23〜25は溶融亜鉛めっき鋼板、実施例26は電気亜
鉛−ニッケル合金めっき鋼板、実施例27は溶融アルミ
ニウム−亜鉛めっき鋼板、実施例28は合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を用いた。
【0038】次に、このようにして作成したサンプルの
耐食性および塗装密着性を以下に示す方法で評価し、併
せて表2に示した。
【0039】(1)耐食性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、24時間、48時間後の白錆発生面積
率を調べ、これにより耐白錆性を評価した。
【0040】なお、耐白錆性は以下の基準により評価し
た。
【0041】 白錆発生面積率 評価 0%〜5%未満 ◎ 5%〜25%未満 ○ 25%〜50%未満 △ 50%〜80%未満 × 80%〜100% xx (2)塗装密着性 アルカリ脱脂した各サンプルにメラミンアルキッド系塗
料(大日本インキ株式会社製 デリコン#700白)を
スプレー塗装したサンプルの塗装密着性を、碁盤目エリ
クセン張り出しを行った後のテープ剥離程度により以下
の基準で評価した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表2に示すように、本発明の範囲内である
実施例1〜28はいずれも良好な耐白錆性および塗装密
着性を示したのに対し、比較例1〜9はいずれも耐白錆
性および塗装密着性が悪いことが確認された。
【0045】(第2実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板上に、表3
に示すような、ケイ酸エステル、アルミニウム塩、およ
び第1実施例と同様の乾式シリカゾルを用い、溶媒とし
て表3に示す種々のものを用いて、かつ表4に示すよう
にAl/(Al+Si)のモル比が0.2、乾式シリカ
ゾルをSiO2 に換算してアルミニウム無機塩中のAl
量に対する重量比で2の一定値となるようにして含有し
た溶液をロールコーターによって塗布した後に、熱風乾
燥炉により加熱処理を施し、実施例29〜35の皮膜を
形成した。
【0046】これらのサンプルについて、第1実施例と
同様、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施
し、24時間、48時間後の白錆発生面積率を調べ、こ
れにより耐白錆を評価した。またさらに、各サンプルに
対し、第1実施例と同様に塗装密着性を評価した。その
結果を表4に示す。なお、評価基準は第1実施例と同様
とした。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】表4に示すように、本発明の範囲内であれ
ば、溶媒の種類にほとんど影響されずに良好な耐食性お
よび塗装密着性を示すことが確認された。
【0050】(第3実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板を用意し、
表5に示すケイ酸エステル、アルミニウム塩、乾式シリ
カゾル(第1実施例と同様)を溶解させ、さらにマグネ
シウム、ニッケル、コバルトの無機塩のいずれかを、表
6に示す組成で溶解させたメチルセロソルブ溶液をロー
ルコーターによって塗布した後に、熱風乾燥炉により加
熱温度を変えて加熱処理を施し、実施例36〜53およ
び比較例10〜19の皮膜を形成した。その際の加熱温
度を表6に併記した。この際の化成処理皮膜付着量は、
処理液中の固形成分量、またはロールコーターなどの塗
布条件によって変えることができる。
【0051】次いで、これら各サンプルについて、第1
実施例と同様、耐食性、塗装密着性を評価した。また、
カット部の耐食性を評価するために、化成処理後のサン
プル表面にカッターナイフで地鉄に達する傷をつけ、塩
水噴霧試験24時間後の白錆発生程度を調べた、その結
果も表6に併記する。
【0052】なお、カット部の耐食性は、以下の基準で
評価した。
【0053】 カット部の錆発生状況 評価 ・白錆発生なし ◎ ・カット部の一部に白錆発生 ○ ・カット部の一部に白錆発生し △ 白錆が流れ始める ・カット部の一部に白錆発生し × 白錆が多量に流れる
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】表6に示すように、本発明の範囲内である
実施例36〜53はいずれも良好な耐白錆性およびカッ
ト部の耐食性ならびに良好な塗装密着性を示したのに対
し、比較例10〜19はいずれも耐白錆性およびカット
部の耐食性ならびに塗装密着性が悪いことが確認され
た。
【0056】(第4実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板を用意し、
表7に示すケイ酸エステル、アルミニウム塩、乾式シリ
カゾル(第1実施例と同様)、リン酸化合物を表8に示
す組成で溶解させたメチルセロソルブ溶液をロールコー
ターによって塗布した後に、熱風乾燥炉により加熱温度
を変えて加熱処理を施し、実施例54〜72および比較
例20〜27の皮膜を形成した。その際の加熱温度を表
8に併記した。この際の化成処理皮膜付着量は、処理液
中の固形成分量、またはロールコーターなどの塗布条件
によって変えることができる。
【0057】これらサンプルについて、第1実施例と同
様、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、
48時間、72時間後の白錆発生面積率を調べ、これに
より耐白錆性を評価した。またさらに、各サンプルに対
し、第1実施例と同様に塗装密着性を評価した。その結
果を表8に示す。なお、評価基準は第1実施例と同様と
した。
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】表8に示すように、本発明の範囲内である
実施例54〜72はいずれも良好な耐白錆性および塗装
密着性を示した。これに対して比較例のうちリン酸化合
物が適正範囲外である比較例20〜22は耐白錆性が悪
く、また乾式シリカゾルが適正範囲外である比較例23
〜27は塗装密着性が悪いことが確認された。
【0061】(第5実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板を用意し、
表9に示すケイ酸エステル、アルミニウム塩、乾式シリ
カゾル(第1実施例と同様)、3価クロム化合物を表1
0に示す組成で溶解させたメチルセロソルブ溶液をロー
ルコーターによって塗布した後に、熱風乾燥炉により加
熱温度を変えて加熱処理を施し、実施例73〜90およ
び比較例28〜35の皮膜を形成した。その際の加熱温
度を表10に併記した。この際の化成処理皮膜付着量
は、処理液中の固形成分量、またはロールコーターなど
の塗布条件によって変えることができる。
【0062】これらサンプルについて、第1実施例と同
様、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、
48時間、72時間後の白錆発生面積率を調べ、これに
より耐白錆性を評価した。またさらに、各サンプルに対
し、第1実施例と同様に塗装密着性を評価した。その結
果を表10に示す。なお、評価基準は第1実施例と同様
とした。
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】表10に示すように、本発明の範囲内であ
る実施例73〜90はいずれも良好な耐白錆性および塗
膜密着性を示した。これに対して比較例のうち3価クロ
ム化合物が適正範囲外である比較例28〜30は耐白錆
性が悪く、また乾式シリカゾル剤が適正範囲外である比
較例31〜35は塗装密着性が悪いことが確認された。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ケイ酸エステル、アルミニウムの無機塩、乾式シリカゾ
ルを一定範囲内で含有した溶液を鋼板に塗布し、その後
加熱乾燥する工程により化成処理皮膜を形成するので、
製造工程上および使用過程において安全で無害かつ衛生
的であり、またこのようにして形成された化成処理皮膜
は皮膜健全部における白錆抑制能力および塗装密着性に
優れる。したがって、本発明は工業上極めて有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−118989(JP,A) 特開 昭59−177377(JP,A) 特開 昭53−102934(JP,A) 特開 昭59−35682(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 B05D 7/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ酸エステルとアルミニウム無機塩と
    をAl/(Al+Si)モル比として、0.015以上
    0.75以下とし、さらに乾式シリカゾルをSiO2
    換算して、アルミニウム無機塩中のAl量に対する重量
    比で0.5以上10以下になるように混合した溶液を鋼
    板上に塗布した後、加熱乾燥し、付着量がAl金属換算
    で5mg/m2 以上の皮膜を形成することを特徴とする
    耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム無機塩として硝酸アルミニ
    ウムを用いることを特徴とする請求項1に記載の耐白錆
    性と塗装性に優れた鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 加熱乾燥温度を200℃未満とすること
    を特徴とする請求項1または2に記載の耐白錆性と塗装
    性に優れた鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記溶液が、ニッケル、コバルト、マグ
    ネシウムの無機塩の1種または2種以上をAlに対する
    モル比で0.01以上、Alと同モル数以下含有する溶
    液であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載の耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記溶液が、リン酸またはリン酸化合物
    を、リン酸のモル数として、アルミニウムとケイ酸エス
    テルの合計モル数に対し、5%から200%の範囲にな
    るように含有することを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載の耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記溶液液が、3価クロム化合物をクロ
    ム金属モル数として、アルミニウムとケイ酸エステルの
    合計モル数に対し、0.1倍から3倍の範囲になるよう
    に含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    か1項に記載の耐白錆性と塗装性に優れた鋼板の製造方
    法。
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