JPH0692476B2 - 安定化ポリオキシメチレンの製造法 - Google Patents

安定化ポリオキシメチレンの製造法

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JPH0692476B2
JPH0692476B2 JP26641590A JP26641590A JPH0692476B2 JP H0692476 B2 JPH0692476 B2 JP H0692476B2 JP 26641590 A JP26641590 A JP 26641590A JP 26641590 A JP26641590 A JP 26641590A JP H0692476 B2 JPH0692476 B2 JP H0692476B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は熱安定性に優れた高品質のアセタール重合体又
はアセタール共重合体を工業的に有利に得る為の重合触
媒の失活方法に関するものである。
さらに詳しくは、アセタール重合体又はアセタール共重
合体を重合触媒として、パーフルオロアルキルスルホン
酸又はパークルオロアルキルスルオン酸誘導体を用いて
製造し、重合反応器より取り出された粗重合体の重合触
媒の失活において、洗浄を必要とせず、さらに、熱安定
性に優れたアセタール重合体又はアセタール共重合体を
得る為の重合触媒の失活化方法である。
[従来の技術] ホルムアルデヒド又はその環状オリゴマーを主モノマー
とした重合、及びこれらのモノマーと共重合しうるコモ
ノマーとの共重合によりアセタール重合体又はアセター
ル共重合体をカチオン活性な重合触媒を用いて得る事は
公知であり、種々の方法が知られている。これらのう
ち、実質上溶媒を使用しない塊状重合又はモノマーに対
し20%以下の溶媒を用いる準塊状重合が工業的に望まし
い方法である。更に重合により得られたアセタール重合
体又はアセタール共重合体の粗重合体は解重合を防止す
る為に重合触媒を失活させる必要がある。
従来、重合触媒の失活方法としては、塩基性中和剤を含
む水溶液中あるいは、有機溶剤中で重合触媒を失活する
方法が提案されている。塩基性中和剤として、例えば特
開昭58−34819号公報にトリエチルアミン、トリブチル
アミン、水酸化カルシウムを用いる方法が提案されてい
る。又、洗浄を必要としない固体失活剤としては、例え
ば特開昭63−27519号公報にヒンダードアミン化合物、
特開昭62−285909号公報に亜硫酸金属塩を用いる方法が
提案されている。しかし、これらの塩基性中和剤及び固
体失活剤を用いる際の重合触媒は、三フッ化ホウ素又は
その誘導体例えば三フッ化ホウ素ジエチルエーテル等で
あり、本発明における重合触媒であるパーフルオロアル
キルスルホン酸又はパーフルオロアルキルスルホン酸誘
導体とは異なる。又、パーフルオロアルキルスルホン酸
又はパーフルオロアルキルスルホン酸誘導体を重合触媒
として、重合し、重合塩基性中和剤又は固体失活剤を用
いて失活した際の重合体の熱安定性は満足すべきもので
はない。
[課題を解決する為の手段及び作用] 本発明者らは上記課題を解決し、熱安定性に優れたアセ
タール重合体及びアセタール共重合体を得るための触媒
の失活化方法に関して鋭意研究を重ねた結果、非常に簡
略かつ効果的な失活方法を見い出し、本発明を開発する
に至った。すなわち本発明は、ホルムアルデヒド又はそ
の環状オリゴマーを主モノマーとして重合、又はこれら
の主モノマーと共重合しうるコモノマーとの共重合によ
ってアセタール重合体又は共重合体を製造するにあた
り、重合触媒としてパーフルオロアルキルスルホン酸又
はパーフルオロアルキルスルホン酸誘導体を用いて重合
し、得られた重合体に (1)アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物よ
り選ばれる少なくとも1種の酸化物と、3価元素の酸化
物より選ばれる少なくとも1種の酸化物よりなる2種以
上の酸化物を主成分とするイオン吸着体 又は (2)一般式(I) M1 1-xM2 x(OH)2An-1 x/n・mH2O (I) (但し式中M1はアルカリ土類金属より選ばれる少なくと
も一種の2価金属を示し、M2は3価金属を示し、An-
n価のアニオンを示す。又xは0<x≦0.5であり、m
は正の数である。) で表わされるイオン吸着体 より選ばれる少なくとも1種を0.01〜5wt%添加し、当
該重合体の融点ないし270℃の温度範囲で加熱処理し、
重合触媒を失活する事を特徴とする安定化ポリオキシメ
チレンの製造法である。
本発明における重合方法としては、塊状重合法、溶融重
合法等がある。例えば好ましい重合方法としては実質上
溶媒を用いない塊状重合法か、又はモノマーに対して20
%以下の溶媒を用いる準塊状重合法があり、溶融状態に
あるモノマーを用いて重合し重合の進行と共に粉塊状化
した固体のポリマーを得る重合方法である。
本発明における主モノマーはホルムアルデヒド又はその
環状オリゴマー、例えば、三量体であるトリオキサン、
四量体であるテトラオキサン等が用いられる。
本発明におけるコモノマーは、下記の一般式(II)で表
わされる化合物をいう。
(但し式中R1、R2、R3及びR4は同一または異なるもので
あり、水素原子、アルキル基又はハロゲンで置換された
メチレン基もしくはオキシメチレン基を意味し、R5はメ
チレン基もしくはオキシメチレン基又は各々アルキル基
もしくはハロゲン化アルキル基で置換されたメチレン基
もしくはオキシメチレン基(この場合pは0〜3の整数
を表わす。)を意味するか、又は式CH2 qOCH2−ある
いはOCH2CH2 qO−CH2−(この場合pは1を表わ
し、qは1〜4の整数を表わす。)で示される2価の基
を意味する。アルキル基は1〜5の炭素数を有し、1〜
3の水素がハロゲン原子、特に塩素原子に置換されても
よい。) 例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3
−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、エ
ピクロルヒドリンジグリコールホルマー等が挙げられ
る。
本発明における主モノマーとコモノマーの全モノマー中
の水分は40ppm(重量基準)以下で、かつ蟻酸は40ppm
(重量基準)以下である事が好ましい。
本発明で用いられる重合触媒は、パーフルオロアルキル
スルホン酸又はパーフルオロアルキルスルホン酸の誘導
体である。パーフルオロアルキルスルホン酸として、具
体的な例としてトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタ
フルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンス
ルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸等を挙げる事
ができる。パーフルオロアルキルスルホン酸誘導体とし
ては、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸無水物、
パーフルオロアルキルスルホン酸アルキルエステル、パ
ーフルオロアルキルスルホン酸アルキルシリルエステル
等があり、パーフルオロアルキルスルホン酸無水物の具
体的な例としてはトリフルオロメタンスルホン酸無水
物、ペンタフルオロエタンスルホン酸無水物、ヘプタフ
ルオロプロパンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタン
スルホン酸無水物等を挙げる事ができる。又パーフルオ
ロアルキルスルホン酸アルキルエステルの具体的な例と
しては、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフ
ルオロメタンスルホン酸エチル、ペンタフルオロエタン
スルホン酸メチル、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸
メチル等を挙げる事ができる。さらにパーフルオロアル
キルスルホン酸アルキルシリルエステルの具体的な例と
しては、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリ
ル、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリル等
を挙げる事が出来る。
これらの重合触媒の濃度はモノマーに対して、モル比1
×10-8〜5×10-6であり、好ましくは1×10-8〜5×10
-7である。
本発明に用いられる重合装置は、バッチ式、連続式のい
ずれでも良く、バッチ式重合装置としては、一般的に用
いられる攪拌機付きの反応槽が使用出来る。連続式重合
装置としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出
混練機、2軸のパドルタイプの連続混合機等のセルフス
クリーニング型混合機が使用可能である。重合温度は60
〜200℃好ましくは60〜140℃の温度範囲であり、又重合
時間は特に制限はないが、一般に10秒以上100分以下が
選ばれる。この様にして得られた重合体に重合触媒の失
活剤が添加される。
本発明で用いられる失活剤のうち一種はアルカリ金属酸
化物、アルカリ土類金属酸化物より選ばれる少なくとも
1種の酸化物と、3価元素の酸化物より選ばれる少なく
とも1種の酸化物よりなる2種以上の酸化物を主成分と
するイオン吸着体である。アルカリ金属の酸化物として
はNa2O、K2O等が挙げられ、アルカリ土類金属の酸化物
としてはMgO、CaO等が挙げられ、さらに3価元素の酸化
物としては、Al2O3等が挙げられる。本発明の2種以上
の酸化物を主成分とするイオン吸着体として、具体的に
は2.5MgO・Al2O3・nH2O、AI2O3・Na2O・2CO3・nH2O、Mg
0.7Al0.3O1.15、Mg0.75Al0.25O1.125等が挙げられる。
さらに本発明で用いられる他の失活剤としては、一般式
(I) M1 1-x M2 x (OH)2 An- x/n・mH2O (I) で表わされるイオン吸着体である。上記式(I)におい
てM1はアルカリ土類金属より選ばれる少なくとも一種の
2価金属を示し、好ましい例としては、Mg、Caを挙げる
事ができる。上記式(I)においてM2は3価金属であり
B、Al、Ga、In、Ti、Tl等を示し、好ましい例としては
Alを挙げることができる。さらに上記式(I)におい
て、An-はn価のアニオンを示し、例えばCO3 2-、OH-、H
CO3 -、H2PO4 -、NO3 -、I-、サリチル酸イオン-、クエン
酸イオン-、酒石酸イオン-等を挙げる事ができる。特に
好ましい例としてはCO3 -、OH-を挙げることができる。
この様な失活剤の具体的な例として例えば、Mg0.75Al
0.25(OH)2(CO3)0.125・0.5H2Oで示される天然ハイドロ
タルサイト、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等で示される
合成ハイドロタルサイトがある。
本発明における失活剤の添加量は重合体に対し、0.01〜
5重量%である。好ましくは0.01〜1重量%であり、特
に好ましくは0.01〜0.5重量%である。添加量が0.01重
量%以下では重合触媒の失活が不充分であり、解重合が
発生する。又添加量が5重合%以上では成形時に着色が
発生し、成形品の色調が悪化する。
さらに失活剤の粒径は特に限定されないが分散性を向上
させるために、100μm以下が好ましい。又失活剤は重
合体との相溶性、分散性等を向上させる為に表面処理剤
で表面処理をしていても良い。表面処理剤としては、2
〜30個の炭素原子と少なくとも1個の を有する有機酸及び又は2〜30個の炭素原子を有するア
ルコール(一級、二級又は三級アルコール)及び前記2
者とアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムよ
りなる群から選ばれた金属とから構成される金属塩等が
あり、例えばステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、
ラウリン酸、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸マグネ
シウム、オレイン酸ソーダ等を挙げる事ができる。
さらに、本発明における失活剤は脱結晶水処理をしてい
ても良い。脱結晶水処理は、例えば約110℃〜約400℃の
温度で約1〜40時間空気中又はN2、He、O2、CO2等の雰
囲中で処理する方法で容易に行なうことができる。
失活剤を添加された重合体は溶融混合される。この加熱
処理により重合触媒が失活される。本発明における加熱
処理は重合体の融点ないし270℃の温度範囲で実施され
る。好ましくは融点ないし250℃の温度範囲が、特に好
ましくは融点ないし220℃の温度範囲である。加熱温度
が融点より低いと溶融混合されない為に失活が不充分で
ある。又加熱処理温度が270℃より高いと重合体の分解
が発生し好ましくない。
加熱処理装置としては、例えば単軸スクリュー式連続押
出混練機、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混練
機等が挙げられる。
[実施例] 次に実施例および比較例により、本発明を更に詳細に説
明する。なお、実施例および比較例中に示す値は次の様
に測定される。
還元粘度;2%α−ピネンを含むp−クロルフェノール10
0ml中に0.5grのポリマーを溶解してオストワルド粘度計
を用いて60℃で測定した。
Sr値(熱安定性); シリンダー温度230℃の射出成形機(アーブルグオール
ラウンダー100、ウエスターン・トレーディング(株)
製)に樹脂を滞留させて1×2×3×120mmの成形片を
成形した際に成形片の表面の2/3にシルバー・ストリー
クが発生する限界滞留時間(分)をSr値とした。
実施例1〜5 熱媒を通す事ができるジャケット付きの2枚の攪拌翼を
有する5lニーダーを80℃に調整し、2kgのトリオキサン
と分子量調節剤としてメチラール1.14mlを投入した。こ
の混合物を50rpmに攪拌し、これに重合触媒としてトリ
フルオロメタンスルホン酸のジオキサン溶液を触媒濃度
がモノマーに対し表1に示すモル比になる様に添加し重
合を行なった。30分後に30℃の熱媒を通し、内容物を冷
却した。さらに1時間後内容物を取り出して、重量測定
後、表1に示す失活剤を表1に示す添加量加えた。この
混合物を通常のベント付2軸押出機を用い、表1に示す
加熱処理温度で溶融混合した。さらに得られたポリマー
100重量部に対して水5重量部、トリエチルアミン1重
量部、2,2′−メチレンビス−(4メチル−6−t−ブ
チルフェノール)を0.2重量部添加し、通常のベント付
単軸押出機を用い、200℃、50torrで溶融安定化した
後、還元粘度及びSr値を測定した。また、溶融安定化後
ポリマーを通常の射出成形機を用い成形し、着色状況を
肉眼で比較した。
実施例6〜18 実施例1〜5の重合において、コモノマーとして1,3−
ジオキソランをトリオキサンに対して5モル%添加し、
重合触媒の種類と濃度、失活剤の種類と添加量、加熱処
理温度を変えた以外は、実施例1〜5と全く同様の操作
を行なった。
比較例1〜2 実施例1〜5と全く同様の操作で重合を行なった。重合
触媒を添加してから30分後に5lニーダーにトリエチルア
ミン1%を含む水をモノマーに対し100重量部加えて、
1時間攪拌し、触媒を失活し内容物を取り出して微粉砕
した。微粉砕したポリマーはろ過、アセトン洗浄及び乾
燥した。さらに得られたポリマー100重量部に対して水
5重量部、トリエチルアミン1重量部、2,2′−メチレ
ンビス−(4メチル−6−t−ブチルフェノール)を0.
2重量部添加し、通常のベント付単軸押出機を用い200
℃、50torrで溶融安定化した後、還元粘度及びSr値を測
定した。また溶融安定化後ポリマーを通常の射出成形機
を用い成形し、着色状況を肉眼で比較した。
比較例3〜6 失活剤添加量を表2に示す添加量に代える以外は、実施
例1〜5と全く同様の操作を行なった。
[発明の効果] 以上説明の如く、本発明の安定化ポリオキシメチレンの
製造法においては、重合触媒の失活に特定のイオン吸着
剤を用いることにより、洗浄等の煩雑な工程を必要とせ
ず、しかも効率良く失活を行うことができる。また、触
媒失活が充分であるため、得られたポリオキシメチレン
は、熱安定性に優れる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホルムアルデヒド又はその環状オリゴマー
    を主モノマーとして重合、又はこれらの主モノマーと共
    重合しうるコモノマーとの共重合によってアセタール重
    合体又は共重合体を製造するにあたり、重合触媒として
    パーフルオロアルキルスルホン酸又はパーフルオロアル
    キルスルホン酸誘導体を用いて重合し、得られた重合体
    に (1)アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物よ
    り選ばれる少なくとも1種の酸化物と、3価元素の酸化
    物より選ばれる少なくとも1種の酸化物よりなる2種以
    上の酸化物を主成分とするイオン吸着体 又は (2)一般式(I) M1 1-xM2 x(OH)2An- x/n・mH2O (I) (但し式中M1はアルカリ土類金属より選ばれる少なくと
    も一種の2価金属を示し、M2は3価金属を示し、An-
    n価のアニオンを示す。又xは0<x≦0.5であり、m
    は正の数である。) で表されるイオン吸着体 より選ばれる少なくとも1種を0.01〜5wt%添加し、当
    該重合体の融点ないし270℃の温度範囲で加熱処理し、
    重合触媒を失活する事を特徴とする安定化ポリオキシメ
    チレンの製造法。
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