JPH069130A - 樹脂被覆ローラの軸端部材の構造及び樹脂被覆ローラ - Google Patents

樹脂被覆ローラの軸端部材の構造及び樹脂被覆ローラ

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JPH069130A
JPH069130A JP16613992A JP16613992A JPH069130A JP H069130 A JPH069130 A JP H069130A JP 16613992 A JP16613992 A JP 16613992A JP 16613992 A JP16613992 A JP 16613992A JP H069130 A JPH069130 A JP H069130A
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Japan
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adhesive
press
resin
resin layer
end member
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JP16613992A
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English (en)
Inventor
Kenji Inoue
井上  健治
Ryuichi Kobayashi
隆一 小林
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Fuji Kiki Kogyo KK
Original Assignee
Fuji Kiki Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ローラ本体と軸端部材とを気密性良く接合す
る。 【構成】 樹脂被覆ローラ10は、芯金部16を樹脂層
18で被覆したローラ本体12に軸端部材20を圧入し
て接合される。軸端部材は、溝32が形成され芯金部へ
圧入される小径部26、樹脂層の端面に対向し超音波溶
接の溶けしろとなる突起30が形成されたフランジ部2
8及び、溝34と深溝40が形成され樹脂層に圧入され
る中径部22が一体とされシャフト14が同軸的にイン
サートされている。軸端部材の外周面には、溝32、3
4を軸方向に沿って連結する軸溝36が形成されてい
る。この軸溝は、溝34の近傍で円周方向に傾斜した傾
斜部38が形成され、接着剤を塗布した小径部を芯金部
へ圧入したとき、接着剤が溝34内の一部に滞留するこ
となく溝34内へ案内される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芯金部を樹脂被覆した
樹脂被覆ローラの軸端部材の構造及び樹脂被覆ローラに
関する。
【0002】
【従来の技術】画像が焼付けられた感光材料を処理する
感光材料処理装置には、現像液、定着液及び水洗水等に
感光材料を浸漬しながら搬送して処理するものがある。
このような感光材料処理装置は、感光材料を搬送する搬
送路を多数のローラによって形成している。
【0003】この感光材料処理装置内のローラは、感光
材料と接触したときに感光材料の表面を傷めないように
外径、振れ等の寸法精度が要求されており、また、各処
理液に対する耐蝕性を考慮して、金属パイプを樹脂によ
って被覆した樹脂被覆ローラが用いられている。樹脂被
覆ローラは、芯金部とこれを被覆する樹脂層によって形
成されたローラ本体の軸方向の両端部に、軸端部材を接
合している。
【0004】一般に、ローラ本体に軸端部材を接合する
とき、軸端部材に接着剤を塗布してローラ本体へ圧入す
る。この軸端部材に塗布された接着剤によって、ローラ
本体と軸端部材が接合される。
【0005】感光材料を搬送する搬送路の途中の処理液
中に配設される樹脂被覆ローラは、ローラ内部の芯金部
の腐蝕を防止するために芯金部へ処理液が付着しないよ
うにする必要があり気密性が要求される。樹脂被覆ロー
ラの気密性は、軸端部材のローラ本体への接合状態に影
響されるため、軸端部材に均一に接着剤を塗布して緊密
に接合することが要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、軸端部
材をローラ本体の一端に固定した後に他端へさらに軸端
部材を固定すべく圧入するとき、ローラ本体内部の空気
の逃げ口がないため、軸端部材に塗布した接着剤中にロ
ーラ本体内部の空気が気泡となって混入したり、また、
接着剤が軸端部材の接着部に均一に広がらなかったり、
さらに、軸端部材を圧入するときローラ本体内部の空気
圧が上昇して軸端部材に塗布した接着剤が軸端部材のフ
ランジ部へ向かって押し出されることがある。このた
め、ローラ本体と軸端部材との間に気泡による隙間がで
きたり、軸端部材のフランジ部に設けた超音波溶着をす
る溶着部に接着剤が付着して溶着が上手くできずにロー
ラ本体の内部の気密性が損なわれることがあり、ローラ
本体と軸端部材との間の隙間から処理液等が入り込み、
芯金部を腐蝕させてしまうことがある。
【0007】本発明は上記事実を考慮してなされたもの
であり、気密性の良い樹脂被覆ローラの軸端部材の構造
及び樹脂被覆ローラを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
樹脂被覆ローラの軸端部材の構造は、筒状の芯金部を被
覆すると共に芯金部の端部から軸方向に延出した樹脂層
が形成された樹脂被覆ローラの軸端部材の構造であっ
て、接着剤が塗布されて前記芯金部へ圧入される圧入部
と、前記樹脂層の軸方向の端面に溶着されるフランジ部
と前記圧入部と前記フランジ部の間に設けられ前記圧入
部より大径であってその外周面が前記樹脂層の延出部の
内面に当接する少なくとも2個の拡径部と、前記圧入部
の外周部に前記圧入部の圧入方向先端から前記少なくと
も2個の拡径部の方向に向けて形成された溝部と、前記
接着剤を塗布した圧入部を前記芯金部へ圧入するとき前
記少なくとも2個の拡径部の間の第1の接着剤溜め部へ
前記溝部から前記接着剤を案内する案内通路と、を設け
たことを特徴とする。
【0009】本発明の請求項2に係る樹脂被覆ローラの
軸端部材の構造は、請求項1の樹脂被覆ローラの軸端部
材の構造であって、前記少なくとも2個の拡径部と前記
フランジ部の間に形成され前記フランジ部への接着剤の
付着を阻む第2の接着剤溜め部を設けたことを特徴とす
る。
【0010】本発明の請求項3に係る樹脂被覆ローラ
は、筒状の芯金部を被覆すると共に芯金部の端部から軸
方向に延出された樹脂層が形成された樹脂被覆ローラで
あって、接着剤が塗布されて前記芯金部へ圧入される圧
入部と、前記樹脂層の軸方向の端面に溶着されるフラン
ジ部と、前記圧入部と前記フランジ部の間に設けられ前
記圧入部より大径であってその外周面が前記樹脂層の延
出部の内面に当接する少なくとも2個の拡径部と、前記
圧入部の外周部に前記圧入部の圧入方向先端から前記少
なくとも2個の拡径部の方向に向けて形成された溝部
と、前記接着剤を塗布した前記圧入部を前記芯金部へ圧
入するとき前記少なくとも2個の拡径部の間の第1の接
着剤溜め部へ前記溝部から前記接着剤を案内する案内通
路と、を備えた前記軸端部材を前記樹脂層の両端部から
圧入して固着したことを特徴とする。
【0011】本発明の請求項4に係る樹脂被覆ローラ
は、請求項3の樹脂被覆ローラであって、前記少なくと
も2個の拡径部と前記フランジ部の間に形成され前記フ
ランジ部への接着剤の付着を阻む第2の接着剤溜め部を
設けたことを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の請求項1に記載の樹脂被覆ローラの軸
端部材の構造は、圧入部に接着剤を塗布して芯金部へ圧
入する。また、樹脂層の軸方向の端面をフランジ部によ
って閉塞される。樹脂層は芯金部の軸端より軸方向に延
出されており、この樹脂層の内面には、少なくとも2個
の拡径部が対応して設けられている。圧入部には、圧入
方向の先端から少なくとも2個の拡径部の方向へ向けて
形成された溝部と、接着剤を塗布した圧入部を芯金部へ
圧入するとき少なくとも2個の拡径部の間の第1の接着
剤溜め部へこの溝部から続いて接着剤を案内する案内通
路とが形成されている。
【0013】ここで、軸端部材をローラ本体の一端に圧
入した後、他端へもうひとつの軸端部材の圧入部を芯金
部へ圧入することにより、圧入部の外周に塗布した接着
剤の一部は、芯金部及び芯金部内部の空気によって押し
出されるが、このとき、溝部と案内通路に案内される。
この溝部と案内通路に案内された接着剤が2個の拡径部
の間の第1の接着剤溜め部に溜まり、樹脂層の内面と拡
径部の間に接着剤が充填されるため、樹脂被覆ローラの
内部の気密性が高められる。また、芯金部内の空気によ
って接着剤が溝部及び案内通路を通って流れるようにな
るため、接着剤に空気が気泡になって混入するのを防止
することができる。
【0014】芯金部に圧入される圧入部の外周面には、
接着剤溜まりとなる溝を円周に沿って設けてもよく、こ
の接着剤溜まりに溜まった接着剤によって芯金部と圧入
部を緊密に接着することができる。
【0015】本発明の請求項2に記載の樹脂被覆ローラ
の軸端部材の構造は、少なくとも2個の拡径部とフラン
ジ部との間に第2の接着剤溜め部を設けている。このた
め、少なくとも2個の拡径部の間の第1の接着剤溜め部
に多量の接着剤が流れ込み、少なくとも2個の拡径部の
間の第1の接着剤溜め部から万一溢れても、第2の接着
剤溜め部があるので接着剤がフランジ部へ達することが
ない。
【0016】樹脂同士を気密性良く接合する場合、超音
波溶着が効果的である。超音波溶着は、接合部分を溶融
させて互いに溶着するが、接着剤等の不純物が接合部分
に付着した場合、接合不良が生じる。第1の接着剤溜め
部及び第2の接着剤溜め部などにより、フランジ部の溶
着部に接着剤が付着しないようになっているため、フラ
ンジ部と樹脂層の端面を超音波溶着により緊密に接合す
ることができる。
【0017】本発明の請求項3に記載の樹脂被覆ローラ
は、芯金部の端部から軸方向に沿って延設された樹脂層
の内面に軸端部材の少なくとも2個の拡径部が対応して
おり、圧入部から押し出された接着剤が、圧入部の外周
部に前記圧入方向先端から少なくとも2個の拡径部の方
向に向けて形成された溝部とそれに続く案内通路を通っ
て拡径部の間に流れ込むが拡径部が堰となって、軸端か
ら接着剤がはみ出すことがなく、確実に接着される。
【0018】本発明の請求項4に記載の樹脂被覆ローラ
は、軸端部材に塗布した接着剤中に気泡が生じることが
ないため、緊密な接合状態となる。さらに、圧入部で余
剰となった接着剤が、拡径部の間の第1の接着剤溜め部
に均一に案内され、拡径部から接着剤が溢れることがな
い。また、第1の接着剤溜め部に接着剤が充填されれ
ば、拡径部と樹脂層の内面とを緊密に接着することがで
き、気密性が向上する。
【0019】万一、第1の接着剤溜め部から接着剤が溢
れても、第2の接着剤溜め部があるので接着剤がフラン
ジ部へ達することがなく、フランジ部と樹脂層の端面を
超音波溶着によって確実に接合することができ、内部の
気密性が確実に向上される。
【0020】
【実施例】図1には、本発明が適用された樹脂被覆ロー
ラ10が示されている。この樹脂被覆ローラ10は、外
形が円筒状のローラ本体12の軸方向の両端にシャフト
14が突出状態で同軸的に設けられており、シャフト1
4を支持して回転させることにより、シャフト14と一
体にローラ本体12が回転するようになっている。ここ
で、シャフト14の材質としては、SUS316、SU
S304などが用いられる。
【0021】図2に示されるように、樹脂被覆ローラ1
0のローラ本体12(図2では軸方向の一端部のみ図
示)は、芯金部16及び樹脂層18によって構成されて
いる。
【0022】芯金部16にはアルミニウムパイプを適用
しており、このアルミニウムパイプは真円度、振れ等の
精度の良い肉厚0.5mm〜5mm(好ましくは約1.0mm
〜2.0mm)程度のものが適用でき、長さ1.0m 〜
10.0m (好ましくは2.0m 〜5.0m )のも
のを一定の長さに切断して使用している。この芯金部1
6の軸方向の端部は、旋盤等によって外周面から半径方
向の内側に向けて傾斜面16Aが形成されている。な
お、芯金部16として使用するアルミニウムパイプは、
陽極酸化等によって耐蝕性皮膜を設けたものであっても
よい。なお、芯金部16は、アルミニウムに限らず他の
金属であってもよく、勿論寸法を限定するものではな
い。
【0023】ローラ本体12の樹脂層18の厚さは約
0.3mm〜3.0mm(好ましくは約1.0mm〜2.0m
m)とすることができる。例えば、定尺3. 0m、厚さ
1.5mm、外径22mmのアルミニウムパイプを、厚さ
1.6mmの硬質ポリ塩化ビニル樹脂(例えば三菱化成ビ
ニル(株)製、商品名ビニカコンパウンドT−20 B
K3)の層で被覆する。この際、樹脂層厚の許容誤差範
囲は、約0+0.05mmとしている。
【0024】この樹脂層18の樹脂材料としては、比較
的安価な硬質ポリ塩化ビニル樹脂やノリル樹脂等が適用
でき、他の樹脂材料の適用も勿論可能であるが、熱可塑
性樹脂が好ましい。また、樹脂被覆ローラ10の使用環
境下の薬品に耐えることができる樹脂材料を選択するこ
とが好ましいことは勿論である。
【0025】この樹脂層18は、芯金部16の外周に、
芯金部16と同軸的に押し出し成形により形成すること
ができる。また、樹脂層18は、芯金部16の軸方向の
両端より延出して形成されている。即ち、芯金部16の
軸方向に沿った長さが、樹脂層18の軸方向に沿った長
さより短くなっており、この樹脂層18の軸方向に沿っ
た長さが略樹脂被覆ローラ10の長さとなる。
【0026】前記した如く、所定の長さの金属パイプ
(アルミニウムパイプ)に押し出し形成によって樹脂被
覆を行う。この押出成形には、樹脂の押出し形成に用い
る一般的な押出成形機を使用することができる。なお、
押し出し成形によらず、例えば、予め樹脂層18を円筒
状に形成しておき、この円筒状の樹脂層18を加熱軟化
させながら樹脂層18内へ芯金部16を圧入して、芯金
部16を樹脂層18によって被覆してもよい。
【0027】この後、樹脂被覆された金属パイプを所定
の長さに切断して、さらに、芯金部16の軸方向の両端
部を一定長さ削り取って傾斜面16Aを形成して、本実
施例に適用するローラ本体12が作られる。この傾斜面
16Aは、芯金部16の軸方向の両端面が軸方向に沿っ
て両端部方向に芯金部16の内径を徐々に拡径するよう
にして加工される。
【0028】図1に示されるように、ローラ本体12の
軸方向の両端部には、シャフト14と一体とされた軸端
部材20が配設される。この軸端部材20は樹脂層18
と同属の硬質塩化ビニルによって形成され、シャフト1
4がインサートされた射出成形による一体成形品とされ
ている。
【0029】図2及び図3に示されるように、軸端部材
20は略円柱状で、ローラ本体12へ挿入可能とされて
いる。すなわち、軸端部材20は、芯金部16内へ圧入
される圧入部としての小径部26、芯金部16の外方で
樹脂層18の内面に対向する中径部22及び樹脂層18
の軸方向の端面に対向するフランジ部28が軸方向に沿
って順に同軸的に形成されている。
【0030】小径部26は、芯金部16の内面へ圧入可
能とされ、本実施例では、芯金部16の内径寸法に合わ
せて外径20mmとしている。また、中径部22の小径部
26側に設けられた2個の拡径部21は、樹脂層18の
内面へ緊密に挿入可能な外径寸法となっている。また、
拡径部21の小径部26側端部の外周面は、芯金部16
の軸方向の先端に形成された傾斜面16Aに対応し、傾
斜面16Aの傾斜に沿う傾斜面20Aが形成されてい
る。
【0031】芯金部16へ挿入された小径部26は、シ
ャフト14と同軸的に配置されローラ本体12とシャフ
ト14との同軸度を保持するようになっており、また、
樹脂層18とシャフト14とが同軸的に配置されること
になる。これによって、ローラ本体12はシャフト14
と同軸的に回転可能となる。
【0032】小径部26の外周面には、円周に沿った溝
32が、軸方向に沿って数条(本実施例では2条)形成
されている。また、中径部22の外周面には、円周に沿
って2個の拡径部21によって形成された溝34と後述
する深溝40とが形成されている。すなわち、中径部2
2には、小径部26と深溝40とに挟まれた2個の拡径
部21が形成されている。
【0033】これらの溝32、34は、接着剤を塗布し
た小径部26を芯金部16に圧入するときに小径部26
に塗布した接着剤が溜まるようになっている。溝32、
34に接着剤が溜まることによって、拡径部21、小径
部26の外周面と樹脂層18、芯金部16の各々の内面
の間が円周に沿って緊密に接着される。なお、本実施例
では、拡径部21を2個としたが軸溝36を通って拡径
部21の間に形成される溝に接着剤が流れ込むようにす
れば、これに限らず中径部22の円周方向に拡径部を複
数個設けてもよい。
【0034】この小径部26の外周面には、溝部として
軸方向に沿って複数条の軸溝36が形成されている。本
実施例では、軸溝36の幅寸法を4mm、深さを1〜2mm
としている。本実施例では、これらの軸溝36を小径部
26の外周面に等間隔で4本形成しているが、軸溝36
の数、大きさ、及び配置を限定するものではない。ま
た、軸溝36を小径部26の軸方向に設けているが、小
径部26の軸に対して傾斜させて小径部26の外周面に
軸溝36を設けてもよい。
【0035】この軸溝36は、溝32、34と互いに連
通するように形成されている。これらの軸溝36は、溝
34と軸溝36の間に案内通路として軸端部材20の円
周方向に沿って傾斜された溝状の傾斜部38が形成され
ており、軸端部材20をローラ本体12へ圧入すると
き、小径部26の外周面に塗布された接着剤の一部が軸
溝36から略円周方向に沿って溝34へ案内される。な
お、溝34と軸溝36の間の案内通路をしては他に、拡
径部21を貫通した孔としてもよい。
【0036】また、中径部22の2個の拡径部21とフ
ランジ部28との間には、接着剤溜め部としての深溝4
0が形成されている。深溝40は、万一溝34から拡径
部21を越えてローラ本体12の両端部方向に接着剤が
溢れた場合でも、接着剤がフランジ部28へ達しないよ
うにしている。
【0037】軸端部材20の小径部26と反対側のフラ
ンジ部28は、ローラ本体12の樹脂層18の外径と同
一外径なっている。また、フランジ部28と中径部22
との境界部分には、中径部22の外周面に、円周に沿っ
て突起30が形成されている。この突起30はフランジ
部28の端面及び中径部22の外周面に跨がって突出さ
れている。本実施例では、突起30をフランジ部28及
び中径部22からの突出寸法が各々0.5mmのリング状
に形成している。この突起30は、後述するようにフラ
ンジ部28を、樹脂層18の軸方向の端面へ超音波溶着
するときの溶けしろとなる。
【0038】この軸端部材20は、小径部26の外周面
に接着剤を塗布して、小径部26側からローラ本体12
内へ圧入される。このとき、軸端部材20の傾斜面20
Aと芯金部16の傾斜面16Aの間には、若干の隙間が
形成されるようになっており、この隙間は、軸端部材2
0をローラ本体12へ挿入して接合するときに、樹脂層
18の軸方向の端面へフランジ部28を確実に当接させ
るためのものであり、さらに、この隙間は、接着剤溜ま
りの役目をするようになっている。
【0039】なお、小径部26の外周面に塗布される接
着剤の量は、少なくとも溝32、軸溝36、傾斜部38
または、溝32、34及び傾斜面16Aと傾斜面20A
の間の間の隙間を埋めるのに必要な量である。
【0040】なお、軸端部材に塗布する接着剤として
は、常温硬化タイプのエポキシ接着剤が使用でき、例え
ば、主剤を商品番号AW106、硬化剤を商品番号HV
953Uとする2液性接着剤アラルダイト(商品名、日
本チバガイギー(株)製)を使用できる。
【0041】次に、樹脂被覆ローラ10の組付けについ
て説明する。図2に示すように、軸端部材20は小径部
26側からローラ本体12の軸方向の端部へ挿入する
(図2矢印A方向へ挿入する)。このとき、小径部26
の外周面には、エポキシ系等の接着剤を塗布する。この
接着剤としては、短時間で硬化するものではなく比較的
長時間(約1時間程度)で硬化するものが好ましい。
【0042】軸端部材20をローラ本体12に圧入する
ことにより、小径部26の外周面に塗布された接着剤
は、溝32に溜まると共に芯金部16の傾斜面16Aに
よって中径部22へ向けて押される。また、軸端部材2
0をローラ本体12の軸方向の両側に挿入するため、一
側に軸端部材20を取り付けた後に他側の軸端部材20
を圧入する際に、ローラ本体の内部の空気圧が上昇す
る。この内部空気圧の上昇によって、小径部26に塗布
された接着剤の一部は、軸溝36を伝って溝34へ押し
流される。
【0043】溝34では、軸溝36に形成された傾斜部
38によって、接着剤が中径部22の外周に沿って押し
流されるため、溝34に略均一に接着剤が溜まる。
【0044】このため、軸端部材20は、溝32、34
及び傾斜面16Aと傾斜面20Aの間に接着剤が溜ま
り、この接着剤によって軸端部材20とローラ本体12
とが緊密に接着される。溝32、34及び傾斜面16A
と傾斜面20Aとの間の隙間は、軸端部材20の円周方
向に沿って形成されているため、ローラ本体12の内部
が密封された状態となる。
【0045】このとき、溝34には、中径部22に接着
剤を塗布した軸端部材20をローラ本体12へ圧入する
ときに傾斜部38によって接着剤が一か所に滞留するこ
となく押し込まれるため、溝34から接着剤が溢れ出す
ことがない。このとき、傾斜部38は小径部26から拡
径部21に向かって左側に傾いて形成されている。この
ため、軸端部材20を時計方向へ回転させながらローラ
本体12に圧入すると一層効果的に接着剤が傾斜部38
から溝34の全周に流し込まれる。また、小径部26に
多量の接着剤を塗布したために、万一溝34から接着剤
が溢れ出した場合でも、中径部22に形成された深溝4
0内へ流れ込むようになっている。このため、フランジ
部28と樹脂層18との間から接着剤が溢れ出ることが
ないことは勿論であるが、フランジ部28に設けられた
突起30に接着剤が付着することがない。
【0046】この後、ローラ本体12と軸端部材20を
超音波溶着によって接合する。超音波溶着は、ローラ本
体12を固定して、軸端部材20のフランジ部28のシ
ャフト14側の端面に超音波溶着用の工具ホーン(図示
省略)を押しあて、フランジ部28をローラ本体12へ
向けて押圧(図2の矢印A方向)しながら工具ホーンに
よって超音波振動を加える。この工具ホーンは、超音波
溶接装置から加えられる超音波振動を、接合する部材の
接触部へ最適な状態で伝達する形状のものを用いフラン
ジ部28の突起30へ効率よく超音波振動を伝達するも
のである。
【0047】フランジ部28と樹脂層18の端面の間の
突起30を加圧しながら超音波振動を加えることによっ
て、突起30が溶融してフランジ部28と樹脂層18の
端面とを接合する。すなわち、突起30は、超音波振動
による摩擦熱が発生し、この摩擦熱によって溶融する。
この突起30の溶融によって、樹脂層18の軸方向の端
面とフランジ部28とが接近すると共に溶融した突起3
0、即ち、硬質塩化ビニルがこれらの間に介在して硬化
し、樹脂層18とフランジ部28が一体に接合する。
【0048】また、この突起30が溶融することによ
り、軸端部材20はローラ本体12へ確実に挿入され固
定される。さらに、芯金部16の傾斜面16Aと軸端部
材20の傾斜面20Aの間に隙間が設けられているため
軸端部材20を余裕を持ってローラ本体12へ挿入する
ことができ、樹脂層18の軸方向の端面とフランジ部2
8が緊密に接合する。
【0049】超音波溶着を行う場合、突起30に接着剤
等の不純物が付着した場合、この不純物(接着剤)が溶
融した突起30内に混入してしまい、超音波溶着による
接合の効果を損なう。しかし、本実施例に適用した軸端
部材20には、深溝40を設けているため、万一溝34
から接着剤が溢れ出ても、この深溝40に溜まり、突起
30に達することがない。このため、超音波溶着によっ
てフランジ部28と樹脂層18とを確実に接合すること
ができる。
【0050】また、軸端部材20の外周面に塗布された
接着剤は硬化に時間を要するため、この超音波溶着が終
了する前に硬化せずに、超音波溶着した後に硬化する。
したがって、ローラ本体12と軸端部材20は、フラン
ジ部28と樹脂層18の端面が超音波溶着によって接合
され、その後、接着剤が硬化して拡径部21と樹脂層1
8の内面、傾斜面16Aと傾斜面20A及び小径部26
と芯金部16の内面とが緊密に接着剤によって接合する
ので、樹脂被覆ローラ10は、内部の気密性が格段に向
上する。
【0051】このように組付けられた樹脂被覆ローラ1
0は、真円度及び振れ等を測定し、必要に応じて樹脂層
18の外周を削ることにより、必要な真円度を得ること
ができる。
【0052】なお、本実施例では、軸端部材20の突起
30を略リング状に突出した形状としたが、突起30の
形状はこれに限定されるものではなく、超音波溶着を行
うとき、溶融部分にブローホールが発生しない形状及び
配置とするものであればよい。
【0053】また、芯金部16を樹脂層18より短く
し、芯金部16と樹脂層18と軸端部材20とを接着剤
により接着しており、超音波溶着による接合と接着剤に
よる接着との二重構造で樹脂層18及び芯金部16と軸
端部材20とを緊密に接合しているため、この接合部分
のシール性が良くなり樹脂被覆ローラ10の内部の密封
性が格段に向上されている。なお、万一、樹脂被覆ロー
ラ10の内部へ処理液等が浸入する場合、樹脂層18と
フランジ部28との接合部分の隙間から浸入することに
なるが、樹脂被覆ローラ10は芯金部16が樹脂層18
より短くされており、処理液等の浸入経路が長くされ、
さらに樹脂層18と軸端部材20との間に接着剤が介在
さているので、芯金部16に処理液等が達して触れるこ
とがない。
【0054】さらに、超音波溶着によって樹脂層18と
軸端部材20とが略一体構造となるため、シャフト14
に伝達された図示しない駆動手段による回転トルクをロ
ーラ本体12へ確実に伝達することができる。
【0055】図2に示されるように、本実施例では、軸
溝36に傾斜部38を設けて接着剤を溝34へ溝方向に
沿って案内するようにしたが、図4に示すように、軸溝
36を溝34の近傍で除々に拡幅する拡幅部42を形成
してもよい。この拡幅部42によって、軸溝36から溝
34へ流れ込む接着剤は、溝34の溝方向に沿って両側
から押し込まれることになり、溝34内の一部に接着剤
が溜まることなく溝34内に接着剤を均一に流し込むこ
とができる。このとき、軸端部材20を時計方向あるい
は反時計方向に交互にまわしながらローラ本体12へ圧
入すると一層効果的に接着剤が拡径部42から溝34の
円周方向に流れ込む。
【0056】本発明が適用された樹脂被覆ローラ10
は、樹脂層18と軸端部材20との超音波溶着及び接着
剤による接着によってローラ本体12の内部の密封性が
向上され、これによって、芯金部16にアルミニウム等
の薬品に侵され易い金属の適用が可能となる。また、芯
金部16にアルミニウムパイプを用いることにより、樹
脂被覆ローラ10の軽量化が可能となる。なお、前記し
た如く、アルミニウム以外の金属を適用してもよいこと
は勿論である。
【0057】この樹脂被覆ローラ10は現像装置の処理
液中での感光材料の搬送用のみならず、現像装置の乾燥
部等の他の部分においての適用も可能である。即ち、乾
燥部では、感光材料を乾燥することによって、処理液に
起因する腐食性ガスが生じているが、樹脂被覆ローラ1
0の内部の密封性(気密性)が向上されているため、腐
食性ガスが樹脂被覆ローラ10の内部に浸入して芯金部
16を侵すことがない。すなわち、本実施例に係る樹脂
被覆ローラ10は、内部の密封性を確保する必要のある
全ての樹脂被覆ローラについて適用が可能である。
【0058】
【発明の効果】以上説明した如く本発明の樹脂被覆ロー
ラの軸端部材の構造では、接着剤を塗布した圧入部を芯
金部へ圧入するとき接着剤中に気泡が混入することがな
く、かつ、接着剤が内部の空気圧の上昇によって押し出
されフランジ部へ付着することがない。また、2個の拡
径部間の接着剤によって芯金部の外面と樹脂層の内面と
を接着することができる。これによって、内部の気密性
が向上した樹脂被覆ローラを得ることができる。
【0059】これに加えて、樹脂被覆ローラの軸方向の
端面にフランジ部を超音波溶着によって確実に接合し
て、気密性の良い樹脂被覆ローラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るローラを示す概略斜視図であ
る。
【図2】本実施例に係る軸端部材を示す要部側面図であ
る。
【図3】図2の3−3線に沿った要部断面図である。
【図4】本実施例の軸方向溝の傾斜の変形例を示す軸端
部材の要部側面図である。
【符号の説明】
10 樹脂被覆ローラ 14 シャフト 16 芯金部 18 樹脂層 20 軸端部材 22 中径部(2個の拡径部) 26 小径部(圧入部) 28 フランジ部 30 突起 36 軸溝(溝部) 38 深溝(第1の接着剤溜め部) 40 傾斜部(案内通路) 42 拡幅部(案内通路)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状の芯金部を被覆すると共に芯金部の
    端部から軸方向に延出した樹脂層が形成された樹脂被覆
    ローラの軸端部材の構造であって、接着剤が塗布されて
    前記芯金部へ圧入される圧入部と、前記樹脂層の軸方向
    の端面に溶着されるフランジ部と前記圧入部と前記フラ
    ンジ部の間に設けられ前記圧入部より大径であってその
    外周面が前記樹脂層の延出部の内面に当接する少なくと
    も2個の拡径部と、前記圧入部の外周部に前記圧入部の
    圧入方向先端から前記少なくとも2個の拡径部の方向に
    向けて形成された溝部と、前記接着剤を塗布した圧入部
    を前記芯金部へ圧入するとき前記少なくとも2個の拡径
    部の間の第1の接着剤溜め部へ前記溝部から前記接着剤
    を案内する案内通路と、を設けたことを特徴とする樹脂
    被覆ローラの軸端部材の構造。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも2個の拡径部と前記フラ
    ンジ部の間に形成され前記フランジ部への接着剤の付着
    を阻む第2の接着剤溜め部を設けたことを特徴とする請
    求項1の樹脂被覆ローラの軸端部材の構造。
  3. 【請求項3】 筒状の芯金部を被覆すると共に芯金部の
    端部から軸方向に延出された樹脂層が形成された樹脂被
    覆ローラであって、接着剤が塗布されて前記芯金部へ圧
    入される圧入部と、前記樹脂層の軸方向の端面に溶着さ
    れるフランジ部と、前記圧入部と前記フランジ部の間に
    設けられ前記圧入部より大径であってその外周面が前記
    樹脂層の延出部の内面に当接する少なくとも2個の拡径
    部と、前記圧入部の外周部に前記圧入部の圧入方向先端
    から前記少なくとも2個の拡径部の方向に向けて形成さ
    れた溝部と、前記接着剤を塗布した前記圧入部を前記芯
    金部へ圧入するとき前記少なくとも2個の拡径部の間の
    第1の接着剤溜め部へ前記溝部から前記接着剤を案内す
    る案内通路と、を備えた前記軸端部材を前記樹脂層の両
    端部から圧入して固着したことを特徴とする樹脂被覆ロ
    ーラ。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも2個の拡径部と前記フラ
    ンジ部の間に形成され前記フランジ部への接着剤の付着
    を阻む第2の接着剤溜め部を設けたことを特徴とする請
    求項3の樹脂被覆ローラ。
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