JPH0689321B2

JPH0689321B2 - 防汚用組成物

Info

Publication number: JPH0689321B2
Application number: JP1158513A
Authority: JP
Inventors: 勝次清水; 攝雄寺田; 孝夫内山
Original assignee: 勝次清水; 攝雄寺田; 孝夫内山
Priority date: 1989-06-21
Filing date: 1989-06-21
Publication date: 1994-11-09
Anticipated expiration: 2009-11-09
Also published as: JPH0324180A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は海棲生物及び海藻類の付着防止用組成物に関す
るものである。

〔従来の技術〕

船底、海中構造物、各種浮子類、各種魚網及びその他海
中に長期間浸漬する各種器具類には海棲生物の付着及び
そによる腐蝕を防止するため、これら器具類の表面に海
棲生物の付着防止用組成物を塗布している。

しかしながら、従来この種の目的に使用されていた組成
物の多くは、毒物を常に僅かずつ海中に溶出させること
によって海棲生物の付着や成長を防止するものであるた
め効果の持続期間が短く、しかも海洋汚染の原因にもな
るという欠点があった。

〔発明が解決しようとする課題〕

このような欠点を解消するため、先に本発明者らは微粒
子状金属銅とロジン系樹脂又はクマロン系樹脂の混合物
をセルローズ系高分子からなる展着剤中に分散してなる
組成物を提案し、特許出願（特公昭53−6661号公報）し
た。このものは上記欠点を有しないが、使用する海域に
よって防汚効果が低下する事が判明したので調査した結
果、奥深い湾内での停滞水域では現地でヌタと呼ばれて
いるスライム（粘着性微生物群）が付着し、この上に多
毛類、ワレカラ類が付着し防汚効果が３〜４ケ月後あた
りから減少するという問題が生じていることがわかっ
た。

〔課題を解決するための手段〕

本発明はこのような従来の問題点を解決した海棲生物の
付着防止用組成物を提供しようとするものであり、先に
本発明者らが提案し、特許出願した防汚組成物にクエン
酸塩を添加することによって組成物の防汚性が抜群に改
善されることを知見し、本発明に到達した。

本発明で使用する微粒子状金属銅とは200メッシュ以下
の粉末状あるいは鱗片状のもので、特に表面の酸化され
ていないものを使用するのが好ましい。又該金属銅と混
合するロジン系樹脂、クマロン系樹脂の例としては、水
素化ロジン、重合ロジン、脱水素ロジン、ロジンエステ
ル、マロン樹脂、クマロンインデン樹脂等が挙げられ
る。本発明におけるセルローズ系高分子物質とは、例え
ばメチルセルローズ、エチルセルローズ、ニトロセルロ
ーズ、アセチルセルローズ等である。

本発明の組成物はクエン酸塩を含有する必要があるが、
クエン酸塩を含有させることによって海棲生物の付着防
止効果を更に増強し、長期間安定して使用することがで
きる。ここでクエン酸塩としては広く使用されている、
一般式Ｍ（C₆H₅O₇）・XH₂O（Ｍは銅、鉄、亜鉛、マグネ
シウム等の金属、Ｘは水の分子量に対する係数）で表わ
されるクエン酸の金属塩を用いることができ、好ましく
は例えばクエン酸鉄をあげることができる。

本発明組成物は、必要に応じ上記のもののほか従来この
種の組成物に加えられている充填剤、着色材、安定剤等
の助剤を加えることができる。

本発明の使用に当っては、まず微粒子状金属銅とクエン
酸塩を混合し、さらにロジン系樹脂又はクマロン系樹脂
を添加混合し、これに公知の安定剤、可塑剤等を添加
し、このものをセルローズ系高分子物質よりなる展着剤
中に分散せしめ、更にジクロロフエン及び希釈剤のトル
エンを加え、あるいは、また必要に応じてベンガラ、充
填剤等を加えて混合攪拌し防汚用組成物となすものであ
る。

本発明の防汚用組成物の各構成成分の量は、防汚する被
塗布物の種類に応じて変化させることができるが、一般
には固形分に対して、微粒子状金属銅５〜30重量％、ク
エン酸塩10〜20重量％とすることが好ましい。

本発明の組成物には海棲生物の付着防止効果を更に高め
るため、水に対する溶解度の極めて小さい他の防虫防藻
剤、例えばDCMU,チアベンダゾール、TPN,シマジン、プ
ロメトリン、ACN,等を含有させることもできる。防虫防
藻剤の添加量は、固形物100重量部に対して５〜10重量
部使用するのが好ましい。

このような防虫防藻剤を混入させてもこのものは溶解度
が非常に小さく、しかもセルローズ系高分子物質を使用
しているため、該セルローズ系高分子物質中に銅と共に
溶解分散しているロジン系樹脂又はクロマン系樹脂に包
含されるため、この防虫防藻剤の海中への溶出は極度に
抑制される。

本発明の組成物は、船底、漁網、港湾関係海中構造物、
各種浮子類、養殖用いかだ及びその他海中に長期間浸漬
する各種器具類等のような海棲生物の付着防止が要求さ
れるあらゆるものの海棲生物付着防止に使用することが
できる。

〔実施例〕

次ぎに実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明
はこれら実施例に限定されない。

以下に実施例並びに実験結果を示す。

次ぎの３種類の防汚用組成物を調製した。なお、％は重
量％を示す。

No.1 金属銅粉末５％クエン酸鉄 10％ジオクチルフタレート３％ベンガラ３％ジクロロフエン２％水素化ロジン 10％ 20％エチルセルローズアルコール溶液 30％トルエン 37％ No.2 金属銅粉末 10％クエン酸鉄 15％クロマン樹脂 10％ジオクチルフタレート５％ジクロロフエン２％ 20％エチルセルローズアルコール溶液 30％トルエン 28％ No.3 金属銅粉末 15％クエン酸銅 15％水素化ロジン８％ジオクチルフタレート５％ジクロロフエン３％ 20％エチルセルローズアルコール溶液 25％トルエン 29％なお比較例として次ぎの防汚組成物を調製した。

No.4 金属銅粉末３％水素化ロジン 10％ジオクチルフタレート３％ベンガラ３％ジクロロフエン２％ 20％エチルセルローズアルコール溶液 30％トルエン 49％ No.5 金属銅粉末 15％クロマン樹脂 10％ジオクチルフタレート５％ジクロロフエン２％ 20％エチルセルローズアルコール溶液 30％トルエン 38％更に市販の防汚剤A,B,二社のものを同時に実現に供し
た。

上記の各防汚用組成物中にポリエチレン無結節網（60本
より、６節のものを使用。大きさは400mm×400mm）を10
分間浸漬後風乾する。そして処理した漁網を経8mmの曲
加工した600mm×600mmの鉄製外枠の四隅に銅線で取り付
け、静岡県沼津市静浦沖500Mの海面下水深1.5〜2.0Mの
所に懸垂して12ケ月間浸漬し、各月の海棲生物及び海藻
類の付着程度を調べた結果を第１図に示す。又付着生物
の種類については第１表に示す。

１）防汚効果の判定は、網を覆った付着生物の付着面積
（対照区を１とする）によって判定する。

◎＝付着なし ○＝付着が対照区の1/3以内 ●＝付着が対照区の2/3以内 ×＝付着が対照区の2/3以上２）試験網の湿重量の測定懸垂ロープより枠を取り外し、枠と網を一緒に測定し、
この測定重量より原重量を差し引き、付着物の重量を算
出する。

第１表の結果より明らかなように、比較例ではスライ
ム、ワレカラ、カサネカンザシ等の付着がみられたが、
実施例ではこれら生物の付着がなく、しかも第１図に示
すごとく他の海棲生物や海藻類等の付着も少なく、本発
明による防汚用組成物は、長期にわたって海棲付着生物
の付着を防止しうる利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、各漁網の海中における海棲物に対する防汚効
果を示すグラフである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ０９Ｄ 101/00 ＰＣＴ 7415−4Ｊ //(Ａ０１Ｎ 59/20 37:04） (72)発明者内山孝夫埼玉県上尾市大字上尾下915 (56)参考文献特開昭48−98021（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−270509（ＪＰ，Ａ) 特公昭53−6661（ＪＰ，Ｂ２)

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】200メッシュ以下の粉末状又は鱗片状の微
粒子状金属銅と、クエン酸鉄又はクエン酸銅、及びロジ
ン系樹脂又はクマロン系樹脂よりなる混合物をセルロー
ズ系高分子物質よりなる展着剤中に分散せしめてなり、
組成物の全固形分に対して前記金属銅を５〜30重量％、
クエン酸鉄又はクエン酸銅を10〜20重量％含有せしめた
ことを特徴とする海棲生物及び海藻類の付着防止用防汚
染組成物。