JPH0687649A - 板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法 - Google Patents
板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法Info
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- JPH0687649A JPH0687649A JP4026220A JP2622092A JPH0687649A JP H0687649 A JPH0687649 A JP H0687649A JP 4026220 A JP4026220 A JP 4026220A JP 2622092 A JP2622092 A JP 2622092A JP H0687649 A JPH0687649 A JP H0687649A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アルミナを主成分として含む焼結体の強度及
び靭性を顕著に高めた板状晶アルミナ含有焼結体を提供
する。 【構成】 50体積%以上のアルミナを含む焼結体中の
該アルミナに対して40体積%以上を板状晶アルミナと
したことを特徴とする焼結体。 【効果】 従来のアルミナを主成分とする焼結体に比べ
て、本発明品の焼結体は、硬さが少し高く、かつ抗折強
度及び靭性が顕著に向上するというな効果がある。特
に、本発明の製造方法で作製した本発明の焼結体は、緻
密で、かつ板状晶アルミナの分散性に優れることから、
抗折強度が83〜94%も向上するという効果がある。
び靭性を顕著に高めた板状晶アルミナ含有焼結体を提供
する。 【構成】 50体積%以上のアルミナを含む焼結体中の
該アルミナに対して40体積%以上を板状晶アルミナと
したことを特徴とする焼結体。 【効果】 従来のアルミナを主成分とする焼結体に比べ
て、本発明品の焼結体は、硬さが少し高く、かつ抗折強
度及び靭性が顕著に向上するというな効果がある。特
に、本発明の製造方法で作製した本発明の焼結体は、緻
密で、かつ板状晶アルミナの分散性に優れることから、
抗折強度が83〜94%も向上するという効果がある。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、旋削工具,フライス工
具,ドリル,エンドミルなどの切削工具、又はメカニカ
ルシール,伸線用ロール,糸道,粉砕用ボール,ノズル
などの耐摩耗工具に代表される工具,構造用部品に適す
る板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法に関す
る。
具,ドリル,エンドミルなどの切削工具、又はメカニカ
ルシール,伸線用ロール,糸道,粉砕用ボール,ノズル
などの耐摩耗工具に代表される工具,構造用部品に適す
る板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在実用されているセラミック焼結体の
内、アルミナを主成分とする焼結体は、安価で、耐摩耗
性,耐食性,耐酸化性,耐熱性に優れていること、並び
に焼結又は仕上研摩等の製造工程上における形状寸法の
安定性も良好であることから切削工具や耐摩耗工具に広
く使用されている。しかし、アルミナを主成分とする焼
結体は、特に強度及び靭性に劣るために用途が狭く限定
されているという問題がある。
内、アルミナを主成分とする焼結体は、安価で、耐摩耗
性,耐食性,耐酸化性,耐熱性に優れていること、並び
に焼結又は仕上研摩等の製造工程上における形状寸法の
安定性も良好であることから切削工具や耐摩耗工具に広
く使用されている。しかし、アルミナを主成分とする焼
結体は、特に強度及び靭性に劣るために用途が狭く限定
されているという問題がある。
【0003】この問題を解決しようとして提案されてい
る代表的なものに、特開昭61−256963号公報,
特開昭63−45190号公報,特開昭64−3064
号公報及び特開平3−115162号公報がある。
る代表的なものに、特開昭61−256963号公報,
特開昭63−45190号公報,特開昭64−3064
号公報及び特開平3−115162号公報がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アルミナを主成分とし
て含む焼結体の靭性を改善する目的で提案された先行技
術の内、特開昭61−256963号公報には、平均粒
径が5μm以下のアルミナ粒子からなる素地中に、平均
粒径が3〜25μmで平均アスペクト比が3〜20の板
状アルミナ粒子が互いに実質的に隔離して2〜30容量
%分散した組織を有する焼結体について記載されてい
る。この同公報に記載の焼結体は、分散された板状アル
ミナ粒子がクラックの伝幡を迂回させる作用をするため
に靭性の向上が達成されたというものであるが、板状ア
ルミナ粒子の含有量が少なく、特に苛酷な条件で用いら
れる切削工具としては靭性の向上効果が満足できないと
いう問題がある。
て含む焼結体の靭性を改善する目的で提案された先行技
術の内、特開昭61−256963号公報には、平均粒
径が5μm以下のアルミナ粒子からなる素地中に、平均
粒径が3〜25μmで平均アスペクト比が3〜20の板
状アルミナ粒子が互いに実質的に隔離して2〜30容量
%分散した組織を有する焼結体について記載されてい
る。この同公報に記載の焼結体は、分散された板状アル
ミナ粒子がクラックの伝幡を迂回させる作用をするため
に靭性の向上が達成されたというものであるが、板状ア
ルミナ粒子の含有量が少なく、特に苛酷な条件で用いら
れる切削工具としては靭性の向上効果が満足できないと
いう問題がある。
【0005】また、特開昭63−45190号公報,特
開昭64−3064号公報及び特開平3−115162
号公報には、アルミナを主成分とする焼結体中に針状又
はウイスカーのアルミナが含有されている焼結体につい
て記載されている。これらの公報に記載の焼結体は、針
状又はウイスカーの含有により、靭性の向上が達成され
たというものであるが、針状又はウイスカーのアルミナ
は、多結晶体で構成されたものであるために靭性向上へ
の効果が低く、逆に強度や耐摩耗性が低下するという問
題がある。
開昭64−3064号公報及び特開平3−115162
号公報には、アルミナを主成分とする焼結体中に針状又
はウイスカーのアルミナが含有されている焼結体につい
て記載されている。これらの公報に記載の焼結体は、針
状又はウイスカーの含有により、靭性の向上が達成され
たというものであるが、針状又はウイスカーのアルミナ
は、多結晶体で構成されたものであるために靭性向上へ
の効果が低く、逆に強度や耐摩耗性が低下するという問
題がある。
【0006】本発明は、上述の問題点を解決したもの
で、具体的には、単結晶であって、耐結晶粒内破壊に優
れた板状晶アルミナを主成分であるアルミナに対して4
0体積%以上含有させて、顕著に靭性の向上を達成させ
た板状晶アルミナ含有焼結体の提供を目的とするもので
ある。
で、具体的には、単結晶であって、耐結晶粒内破壊に優
れた板状晶アルミナを主成分であるアルミナに対して4
0体積%以上含有させて、顕著に靭性の向上を達成させ
た板状晶アルミナ含有焼結体の提供を目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミナ
を主成分として含む焼結体の靭性向上について検討して
いた所、結晶性に優れた板状晶アルミナを分散よく含有
させて、かつ緻密で欠陥の殆どない焼結体とすると、靭
性が顕著に向上し、同時に強度及び耐摩耗性も向上する
という知見を得たものである。この知見に基づいて本発
明を完成するに至ったものである。
を主成分として含む焼結体の靭性向上について検討して
いた所、結晶性に優れた板状晶アルミナを分散よく含有
させて、かつ緻密で欠陥の殆どない焼結体とすると、靭
性が顕著に向上し、同時に強度及び耐摩耗性も向上する
という知見を得たものである。この知見に基づいて本発
明を完成するに至ったものである。
【0008】本発明の板状晶アルミナ含有焼結体は、5
0体積%以上のアルミナを含む焼結体で、該アルミナの
40体積%以上が板状晶アルミナでなることを特徴とす
るものである。
0体積%以上のアルミナを含む焼結体で、該アルミナの
40体積%以上が板状晶アルミナでなることを特徴とす
るものである。
【0009】本発明の焼結体における板状晶アルミナ
は、板状面と厚さで構成された結晶粒でなっており、板
状面の平均径が1〜50μmで、かつ板状面の平均径/
平均厚さの比が3〜50でなるものが好ましく、実際の
焼結体の断面組織上から観察した場合には、例えば金属
顕微鏡で観察した場合には、三角形状,四角形状,六角
形状等の多角形状体又は円形状体からなり、その最大寸
法が1〜50μm、最小寸法が0.2〜5μm、最大寸
法/最小寸法の比、所謂アスペクト比に相当する値が3
以上からなるものである。この板状晶アルミナの結晶構
造としては、六方晶系に属するα−アルミナが好まし
く、板状晶アルミナ以外のアルミナもα−アルミナでな
ることが好ましい。
は、板状面と厚さで構成された結晶粒でなっており、板
状面の平均径が1〜50μmで、かつ板状面の平均径/
平均厚さの比が3〜50でなるものが好ましく、実際の
焼結体の断面組織上から観察した場合には、例えば金属
顕微鏡で観察した場合には、三角形状,四角形状,六角
形状等の多角形状体又は円形状体からなり、その最大寸
法が1〜50μm、最小寸法が0.2〜5μm、最大寸
法/最小寸法の比、所謂アスペクト比に相当する値が3
以上からなるものである。この板状晶アルミナの結晶構
造としては、六方晶系に属するα−アルミナが好まし
く、板状晶アルミナ以外のアルミナもα−アルミナでな
ることが好ましい。
【0010】本発明の焼結体におけるアルミナは、50
体積%未満になると、板状晶アルミナを含有させても、
その効果が低く、また、板状晶アルミナの含有量がアル
ミナの40体積%未満になると、焼結体内にクラックが
発生した場合に、クラック迂回の発生数が少なく、その
結果靭性向上の効果が低く、かつ板状晶アルミナ粒間の
絡み合いも少なくなり、強度及び靭性の向上効果が低く
なる。この板状晶アルミナの形状は、板状面の平均径が
1μm未満になると、クラックの迂回長さが短く、その
結果靭性向上の効果が低くなり、逆に、板状面の平均径
が50μmを超えて大きくなると、クラックの迂回長さ
が長くなるものの、粗大板状晶自身が欠陥となって強度
低下を誘起する。
体積%未満になると、板状晶アルミナを含有させても、
その効果が低く、また、板状晶アルミナの含有量がアル
ミナの40体積%未満になると、焼結体内にクラックが
発生した場合に、クラック迂回の発生数が少なく、その
結果靭性向上の効果が低く、かつ板状晶アルミナ粒間の
絡み合いも少なくなり、強度及び靭性の向上効果が低く
なる。この板状晶アルミナの形状は、板状面の平均径が
1μm未満になると、クラックの迂回長さが短く、その
結果靭性向上の効果が低くなり、逆に、板状面の平均径
が50μmを超えて大きくなると、クラックの迂回長さ
が長くなるものの、粗大板状晶自身が欠陥となって強度
低下を誘起する。
【0011】本発明の焼結体は、アルミナの他に、周期
律表の4a,5a,6a族金属,Siの炭化物,窒化
物,硼化物,酸化物,希土類金属(Sc,Yを含む)の
酸化物、Li,Mg,Niの酸化物及びこれらの相互固
溶体、並びにこれらからなるウイスカーの中の1種以上
の分散相が含まれていると好ましい。これらの分散相の
内、Li2O,MgO,Cr2O3,NiO,SiO2,Y
2O3及び希土類金属の酸化物の中の1種以上が焼結体全
体の0.05〜5重量%含有している場合には、靭性,
強度,耐摩耗性の向上及び易焼結性の点から好ましく、
特にLi2O,SiO2,Y2O3及び希土類金属酸化物
は、焼結過程時に、低融点の液相を生じさせて焼結の促
進に寄与し、焼結後に、例えば5Al2O3・Li2O,
3Al2O3・2SiO2,5Al2O3・3Y2O3の化合
物を生成して耐摩耗性の向上に寄与し、MgO及びNi
Oは、焼結過程時に、アルミナの粒成長抑制作用をし、
焼結後には、スピネル構造として存在して強度の向上に
寄与し、Cr2O3は、Al2O3に固溶し、結晶性及び硬
さの増加、並びに耐摩耗性の向上に寄与するので好まし
い。
律表の4a,5a,6a族金属,Siの炭化物,窒化
物,硼化物,酸化物,希土類金属(Sc,Yを含む)の
酸化物、Li,Mg,Niの酸化物及びこれらの相互固
溶体、並びにこれらからなるウイスカーの中の1種以上
の分散相が含まれていると好ましい。これらの分散相の
内、Li2O,MgO,Cr2O3,NiO,SiO2,Y
2O3及び希土類金属の酸化物の中の1種以上が焼結体全
体の0.05〜5重量%含有している場合には、靭性,
強度,耐摩耗性の向上及び易焼結性の点から好ましく、
特にLi2O,SiO2,Y2O3及び希土類金属酸化物
は、焼結過程時に、低融点の液相を生じさせて焼結の促
進に寄与し、焼結後に、例えば5Al2O3・Li2O,
3Al2O3・2SiO2,5Al2O3・3Y2O3の化合
物を生成して耐摩耗性の向上に寄与し、MgO及びNi
Oは、焼結過程時に、アルミナの粒成長抑制作用をし、
焼結後には、スピネル構造として存在して強度の向上に
寄与し、Cr2O3は、Al2O3に固溶し、結晶性及び硬
さの増加、並びに耐摩耗性の向上に寄与するので好まし
い。
【0012】また、分散相として、MgO,CaO又は
希土類金属の中の1種以上の安定化剤を1〜5モル%添
加させた安定化ジルコニア及び/又はジルコニアが焼結
体全体の50体積%以下含有していると、焼結体の靭性
及び強度向上が顕著になることから好ましい。
希土類金属の中の1種以上の安定化剤を1〜5モル%添
加させた安定化ジルコニア及び/又はジルコニアが焼結
体全体の50体積%以下含有していると、焼結体の靭性
及び強度向上が顕著になることから好ましい。
【0013】さらに、分散相として、周期律表の4a,
5a,6a族金属の炭化物,窒化物,ホウ化物及びこれ
らの相互固溶体の中の1種以上が焼結体全体の50体積
%以下含有していると、硬度及び耐摩耗性の向上が顕著
になることから好ましい。
5a,6a族金属の炭化物,窒化物,ホウ化物及びこれ
らの相互固溶体の中の1種以上が焼結体全体の50体積
%以下含有していると、硬度及び耐摩耗性の向上が顕著
になることから好ましい。
【0014】以上の分散相は、分散相の1部又は全部が
ウイスカーでなる場合、特に平均径0.5〜5μm、ア
スペクト比3以上の炭化ケイ素,炭化チタン,窒化チタ
ン,炭窒化チタン及びホウ化チタンの中の1種以上のウ
イスカーでなる場合には、従来からウイスカーの効果と
いわれている架橋効果,クラック迂回効果及び引き抜き
効果が高くなり、その結果靭性の向上が顕著になること
から好ましい。
ウイスカーでなる場合、特に平均径0.5〜5μm、ア
スペクト比3以上の炭化ケイ素,炭化チタン,窒化チタ
ン,炭窒化チタン及びホウ化チタンの中の1種以上のウ
イスカーでなる場合には、従来からウイスカーの効果と
いわれている架橋効果,クラック迂回効果及び引き抜き
効果が高くなり、その結果靭性の向上が顕著になること
から好ましい。
【0015】本発明の焼結体は、従来の板状晶アルミナ
粒と、アルミナ粉末と、必要に応じて分散相を形成する
出発物質を用いて、従来の粉末冶金法としての混合粉砕
工程,粉体成形工程,焼結工程を経て得ることができる
が、次の方法で行うと板状晶アルミナの大きさの制御、
焼結体の緻密性、焼結性の改善及び製造コスト上からも
好ましい。
粒と、アルミナ粉末と、必要に応じて分散相を形成する
出発物質を用いて、従来の粉末冶金法としての混合粉砕
工程,粉体成形工程,焼結工程を経て得ることができる
が、次の方法で行うと板状晶アルミナの大きさの制御、
焼結体の緻密性、焼結性の改善及び製造コスト上からも
好ましい。
【0016】すなわち、本発明の板状晶アルミナ含有焼
結体の製造方法は、Li,Na,K,Rb,Cs,Al
の弗化物及びこれらの相互固溶体の中の1種以上の弗化
物の混在したアルミナ及び/又はアルミナ水和物の粉末
を含む出発物質を粉末成形体とし、該粉末成形体を15
00℃以上の温度で焼結する方法である。
結体の製造方法は、Li,Na,K,Rb,Cs,Al
の弗化物及びこれらの相互固溶体の中の1種以上の弗化
物の混在したアルミナ及び/又はアルミナ水和物の粉末
を含む出発物質を粉末成形体とし、該粉末成形体を15
00℃以上の温度で焼結する方法である。
【0017】本発明の製造方法における弗化物は、出発
物質中に0.1〜10重量%を添加し、焼結時に液相を
生じさせて、出発物質中のアルミナ及び/又はアルミナ
水和物から板状晶アルミナを晶出させる役割をし、その
後気化又は飛散されるものである。この弗化物は、具体
的には、例えばLiF,NaF,KF,RbF,Cs
F,AlF3を挙げることができ、特にKFが融点(8
60℃)及び沸点(1505℃)と低いこと及び易水溶
性で安価であることから好ましい。
物質中に0.1〜10重量%を添加し、焼結時に液相を
生じさせて、出発物質中のアルミナ及び/又はアルミナ
水和物から板状晶アルミナを晶出させる役割をし、その
後気化又は飛散されるものである。この弗化物は、具体
的には、例えばLiF,NaF,KF,RbF,Cs
F,AlF3を挙げることができ、特にKFが融点(8
60℃)及び沸点(1505℃)と低いこと及び易水溶
性で安価であることから好ましい。
【0018】本発明の製造方法において、出発物質とし
て用いるアルミナ又はアルミナ水和物は、具体的には、
例えばα−Al2O3,β−Al2O3,γ−Al2O3,χ
−Al2O3,Al2O3・H2O(ベーマイト),Al2O
3・3H2O(ギブサイト)を挙げることができる。この
アルミナ又はアルミナ水和物は、平均粒径1μm以下の
微粒粉が好ましく、特に平均粒径1μm以下のγ−Al
2O3を用いると、板状晶アルミナの生成率が高くなるこ
と、板状晶アルミナの粒形制御も容易であることから好
ましい。
て用いるアルミナ又はアルミナ水和物は、具体的には、
例えばα−Al2O3,β−Al2O3,γ−Al2O3,χ
−Al2O3,Al2O3・H2O(ベーマイト),Al2O
3・3H2O(ギブサイト)を挙げることができる。この
アルミナ又はアルミナ水和物は、平均粒径1μm以下の
微粒粉が好ましく、特に平均粒径1μm以下のγ−Al
2O3を用いると、板状晶アルミナの生成率が高くなるこ
と、板状晶アルミナの粒形制御も容易であることから好
ましい。
【0019】本発明の製造方法において、1500℃以
上の温度で焼結する工程は、出発物質でなる粉末成形体
を直接焼結温度である1500℃以上の温度に加熱して
もよいが、弗化物の融点より20〜200℃高い温度で
一度保持し、さらに弗化物の沸点前後の温度で保持する
と板状晶アルミナの生成率が高く、かつ焼結体中に弗化
物の残留もなく緻密な焼結体が得られやすいことから好
ましい。
上の温度で焼結する工程は、出発物質でなる粉末成形体
を直接焼結温度である1500℃以上の温度に加熱して
もよいが、弗化物の融点より20〜200℃高い温度で
一度保持し、さらに弗化物の沸点前後の温度で保持する
と板状晶アルミナの生成率が高く、かつ焼結体中に弗化
物の残留もなく緻密な焼結体が得られやすいことから好
ましい。
【0020】
【作用】本発明の板状晶アルミナ含有焼結体は、アルミ
ナの40体積%以上の板状晶アルミナがウイスカーの効
果といわれているクラックの迂回効果、架橋効果,引き
抜き効果を最大限に発揮させる作用をしている。また、
本発明の板状晶アルミナ含有焼結体の製造方法は、弗化
物の含有した出発物質が焼結過程時に板状晶アルミナを
晶出し、得られた焼結体の易焼結性と緻密性を高めてい
るものである。
ナの40体積%以上の板状晶アルミナがウイスカーの効
果といわれているクラックの迂回効果、架橋効果,引き
抜き効果を最大限に発揮させる作用をしている。また、
本発明の板状晶アルミナ含有焼結体の製造方法は、弗化
物の含有した出発物質が焼結過程時に板状晶アルミナを
晶出し、得られた焼結体の易焼結性と緻密性を高めてい
るものである。
【0021】
【実施例1】板状面の平均径が1.2μm、平均径/平
均厚さの比が11でなる板状晶のα−アルミナ結晶を8
0体積%含有したアルミナ粉末(以下、DA1と表
示)、板状面の平均径が2.5μm、平均径/平均厚さ
の比が5.6でなる板状晶のα−アルミナ結晶を90体
積%含有したアルミナ粉末(以下、DA2と表示)、平
均径0.7μm、平均アスペクト比35のSiCウイス
カー(以下、SiC(w)と表示)、平均粒径0.3μ
mのα−アルミナ(以下、A1と表示)、平均粒径0.
8μmのCr2O3、平均粒径1.1μmのDy2O3、平
均粒径0.03μmのMgO、3モル%のY2O3、を含
有した平均粒径0.03μmの安定化ZrO2(以下、
3Y−Zと表示)及び平均粒径1.1μmのTiCの各
粉末を用いて表1に示す配合組成に秤量し、これをウレ
タン内張したステンレス製ポットにメタノール溶媒とア
ルミナ製ボールとともに装入し、所定時間混合粉砕(8
〜48時間)後、乾燥し混合粉末とした。次いで、カー
ボンモールドに混合粉末を充填した後、ホットプレス
(以下、HPと表示)焼結する場合、又は混合粉末に5
重量%のパラフィンワックスを添加した後、1 ton/
cm2の圧力で成形し、真空中、400℃で脱ワックス
し、これを常圧焼結もしくは常圧焼結後Ar中熱間静水
圧処理(以下、HIPと表示)する場合に分けた。焼結
雰囲気は、本発明品6及び比較品4がH2中、本発明品
7及び比較品5がAr中、他は大気中にて焼結し、他の
焼結条件は表1に併記した。
均厚さの比が11でなる板状晶のα−アルミナ結晶を8
0体積%含有したアルミナ粉末(以下、DA1と表
示)、板状面の平均径が2.5μm、平均径/平均厚さ
の比が5.6でなる板状晶のα−アルミナ結晶を90体
積%含有したアルミナ粉末(以下、DA2と表示)、平
均径0.7μm、平均アスペクト比35のSiCウイス
カー(以下、SiC(w)と表示)、平均粒径0.3μ
mのα−アルミナ(以下、A1と表示)、平均粒径0.
8μmのCr2O3、平均粒径1.1μmのDy2O3、平
均粒径0.03μmのMgO、3モル%のY2O3、を含
有した平均粒径0.03μmの安定化ZrO2(以下、
3Y−Zと表示)及び平均粒径1.1μmのTiCの各
粉末を用いて表1に示す配合組成に秤量し、これをウレ
タン内張したステンレス製ポットにメタノール溶媒とア
ルミナ製ボールとともに装入し、所定時間混合粉砕(8
〜48時間)後、乾燥し混合粉末とした。次いで、カー
ボンモールドに混合粉末を充填した後、ホットプレス
(以下、HPと表示)焼結する場合、又は混合粉末に5
重量%のパラフィンワックスを添加した後、1 ton/
cm2の圧力で成形し、真空中、400℃で脱ワックス
し、これを常圧焼結もしくは常圧焼結後Ar中熱間静水
圧処理(以下、HIPと表示)する場合に分けた。焼結
雰囲気は、本発明品6及び比較品4がH2中、本発明品
7及び比較品5がAr中、他は大気中にて焼結し、他の
焼結条件は表1に併記した。
【0022】
【表1】 こうして得た本発明品1〜7及び比較品1〜5のそれぞ
れの焼結体を下記の条件で調べて、それぞれの焼結体の
特性を表2に示した。
れの焼結体を下記の条件で調べて、それぞれの焼結体の
特性を表2に示した。
【0023】板状晶アルミナの測定は、焼結体を研摩及
びポリシング後、大気中,1500℃−1時間でサーマ
ルエッチングを行い、走査型顕微鏡で観察し、板状晶ア
ルミナの全アルミナに対する割合、板状晶アルミナの最
大寸法及び最小寸法を求めた。
びポリシング後、大気中,1500℃−1時間でサーマ
ルエッチングを行い、走査型顕微鏡で観察し、板状晶ア
ルミナの全アルミナに対する割合、板状晶アルミナの最
大寸法及び最小寸法を求めた。
【0024】硬さの測定は、5kg荷重によるビッカー
ス硬度計で、抗折強度は、JIS規格の3点曲げ試験方
法により、破壊靭性値は、IF法により求めた。
ス硬度計で、抗折強度は、JIS規格の3点曲げ試験方
法により、破壊靭性値は、IF法により求めた。
【0025】
【表2】
【0026】
【実施例2】平均粒径0.05μmのα−アルミナ(以
下、A2と表示)、試薬1級の弗化カリウム,弗化セシ
ウム,弗化アルミニウム及び実施例1で用いた各種の出
発物質でもって、表3に表す配合組成に秤量した。表3
の本発明品8〜14の内、本発明品9及び14は、混合
粉砕時の溶媒をメタノールとし、他は蒸留水を用い、全
て24時間混合粉砕した。また、焼結時の昇温及冷却迄
の炉内雰囲気は、表3の本発明品14のみN2雰囲気と
し、他は大気中で行なった。さらに、焼結温度に昇温す
る途中に、表3に併記した温度及び時間で保持した(本
発明品11は、途中保持せず)後、表3に併記した温度
及び保持時間で焼結した。
下、A2と表示)、試薬1級の弗化カリウム,弗化セシ
ウム,弗化アルミニウム及び実施例1で用いた各種の出
発物質でもって、表3に表す配合組成に秤量した。表3
の本発明品8〜14の内、本発明品9及び14は、混合
粉砕時の溶媒をメタノールとし、他は蒸留水を用い、全
て24時間混合粉砕した。また、焼結時の昇温及冷却迄
の炉内雰囲気は、表3の本発明品14のみN2雰囲気と
し、他は大気中で行なった。さらに、焼結温度に昇温す
る途中に、表3に併記した温度及び時間で保持した(本
発明品11は、途中保持せず)後、表3に併記した温度
及び保持時間で焼結した。
【0027】
【表3】 こうして得た本発明の焼結体を実施例1と同様にして調
べて、表4に焼結体中の板状晶アルミナ及び焼結体の諸
特性を示した。
べて、表4に焼結体中の板状晶アルミナ及び焼結体の諸
特性を示した。
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】本発明の板状晶アルミナ含有焼結体は、
表2における同一組成成分である本発明品1〜3と比較
品1〜2、本発明品5と比較品3、本発明品7と比較品
5との対比から明らかなように、硬さが少し高く、抗折
強度が3〜67%向上し、かつ破壊靭性値が15〜45
%も向上するという顕著な効果がある。
表2における同一組成成分である本発明品1〜3と比較
品1〜2、本発明品5と比較品3、本発明品7と比較品
5との対比から明らかなように、硬さが少し高く、抗折
強度が3〜67%向上し、かつ破壊靭性値が15〜45
%も向上するという顕著な効果がある。
【0030】また、本発明の板状晶アルミナ含有焼結体
の製造方法は、焼結過程時に板状晶アルミナが晶出され
るために緻密で、かつ板状晶アルミナの分散性に優れた
焼結体が得られること、並びにこの方法で得られる焼結
体は、例えば表2と表4の同一組成成分である比較品
1,2に対する本発明品9から明らかなように抗折強度
が83〜94%も向上するという顕著な効果がある。
の製造方法は、焼結過程時に板状晶アルミナが晶出され
るために緻密で、かつ板状晶アルミナの分散性に優れた
焼結体が得られること、並びにこの方法で得られる焼結
体は、例えば表2と表4の同一組成成分である比較品
1,2に対する本発明品9から明らかなように抗折強度
が83〜94%も向上するという顕著な効果がある。
Claims (6)
- 【請求項1】 50体積%以上のアルミナを含む焼結体
において、該アルミナの40体積%以上が板状晶アルミ
ナでなることを特徴とする板状晶アルミナ含有焼結体。 - 【請求項2】 上記板状晶アルミナは、板状面と厚さで
構成されており、該板状面の平均径が1〜50μmで、
かつ該板状面の平均径/平均厚さの比が3〜50でなる
ことを特徴とする請求項1記載の板状晶アルミナ含有焼
結体。 - 【請求項3】 50体積%以上のアルミナを含み、残り
周期律表の4a,5a,6a族金属,Siの炭化物,窒
化物,硼化物,酸化物,希土類金属の酸化物、Li,M
g,Niの酸化物及びこれらの相互固溶体、並びにこれ
らからなるウイスカーの中の1種以上でなる分散相と不
可避不純物とからなる焼結体において、該アルミナの4
0体積%以上が板状晶アルミナでなることを特徴とする
板状晶アルミナ含有焼結体。 - 【請求項4】 上記板状晶アルミナは、板状面と厚さで
構成されており、該板状面の平均径が1〜50μmで、
かつ該板状面の平均径/平均厚さの比が3〜50でなる
ことを特徴とする請求項3記載の板状晶アルミナ含有焼
結体。 - 【請求項5】 上記ウイスカーは、平均径0.5〜50
μm、アスペクト比3以上の炭化ケイ素,炭化チタン,
窒化チタン,炭窒化チタン及びホウ化チタンの中の1種
からなることを特徴とする請求項3又は4記載の板状晶
アルミナ含有焼結体。 - 【請求項6】 Li,Na,K,Rb,Cs,Alの弗
化物及びこれらの相互固溶体の中の1種以上の弗化物の
混在したアルミナ及び/又はアルミナ水和物の粉末を含
む出発物質を粉末成形体とし、該粉末成形体を1500
℃以上の温度で焼結して得られる焼結体が50体積%以
上のアルミナを含み、該アルミナの40体積%以上が板
状晶アルミナでなることを特徴とする板状晶アルミナ含
有焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4026220A JPH0687649A (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4026220A JPH0687649A (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0687649A true JPH0687649A (ja) | 1994-03-29 |
Family
ID=12187312
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4026220A Pending JPH0687649A (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0687649A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6143678A (en) * | 1997-06-26 | 2000-11-07 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Sintered alumina-based ceramics and process for producing same |
WO2017209096A1 (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 株式会社白石中央研究所 | 炭酸カルシウム焼結体の製造方法 |
CN114057505A (zh) * | 2021-12-13 | 2022-02-18 | 西安邮电大学 | 一种多孔片状氧化铝框架的制备方法 |
CN115093204A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-09-23 | 襄阳聚力新材料科技有限公司 | 一种熔炼球化剂、孕育剂用中性炉衬材料 |
-
1992
- 1992-01-17 JP JP4026220A patent/JPH0687649A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6143678A (en) * | 1997-06-26 | 2000-11-07 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Sintered alumina-based ceramics and process for producing same |
US6383963B1 (en) | 1997-06-26 | 2002-05-07 | Ngk Spark Plug Co., Ltd | Sintered alumina-based ceramics and process for producing same |
WO2017209096A1 (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 株式会社白石中央研究所 | 炭酸カルシウム焼結体の製造方法 |
JP2017214238A (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 株式会社白石中央研究所 | 炭酸カルシウム焼結体の製造方法 |
CN109195929A (zh) * | 2016-05-31 | 2019-01-11 | 株式会社白石中央研究所 | 碳酸钙烧结体的制造方法 |
CN114057505A (zh) * | 2021-12-13 | 2022-02-18 | 西安邮电大学 | 一种多孔片状氧化铝框架的制备方法 |
CN115093204A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-09-23 | 襄阳聚力新材料科技有限公司 | 一种熔炼球化剂、孕育剂用中性炉衬材料 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20000912 |