JPH0687393U - マストローラ用軸受 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フォークリフト等の荷役機械に使用される。
シール機能を有しながら、外輪の強度が確保できるもの
とする。 【構成】 マストローラ用軸受Ａは、軸受外輪２がマス
ト２３に転接するローラ２４となる転がり軸受形式のも
のである。この軸受Ａにおいて、軸受内輪１と外輪２と
の間の隙間を蓋するシール５を、内輪１側に取付ける。
シール５の取付けは、内輪１の外径面に形成したシール
取付溝１ｂにシール５の内径部を圧入状態に嵌合させる
ことにより行う。シール５は外輪内径面２ｂに対して接
触するものとしても、非接触のものとしても良い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、フォークリフトやスタッカクレーン等の昇降案内用マストに使用 されるマストローラ用軸受に関する。

【０００２】

【従来の技術】

フォークリフトにおいては、図５および図６に示すように、フォーク２１の取 付けられた昇降枠２２と、伸縮式のマスト２３を構成する昇降マスト部材２３ａ とにマストローラ２４が取付けられている。このマストローラ２４には、図７に 示すシール付深溝玉軸受２５が一般に使用され、その外輪２７を昇降マスト部材 ２３ａまたは固定マスト部材２３ｂに転接させる。外輪２７には、外周にリング 状の被覆（図示せず）を設け、その被覆でマスト部材２３ａ，２３ｂにさせる場 合もある。

【０００３】 軸受２５は、内輪２６と外輪２７との間に転動体２９およびその保持器２８を 介在させ、両側にシール３０を設けたものである。シール３０は芯金入りのゴム 材等からなり、外輪２７の内径面に加工されたシール取付溝３１に圧入状態に取 付けられて内径部が内輪２６のシール溝３２に接触する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このように外輪２７にシール取付溝３１を設けていると、この溝３１ の部分が応力集中のため強度の点で劣ることがわかった。即ち、外輪の強度が著 しく低下し、軸受の長寿命下の点で問題があった。

【０００５】 この考案の目的は、シール機能を有しながら、外輪の強度が確保できるマスト ローラ用軸受を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 この考案は、軸受外輪がマストに転接するローラとなる転がり軸受形式のマス トローラ用軸受において、軸受内輪と外輪との間の隙間を蓋するシールを、内輪 側に取付けたものである。すなわち、内輪の外径面にシール取付溝を設け、この 溝にシールの内径部を取付ける。

【０００７】

【作用】

この構成によると、外輪にシール取付溝が形成されないため、外輪内径面の強 度の低下が防止され、シール付きでありながら、外輪の割れに対する強度を開放 型と同等に得られる。内輪にはシール取付溝が形成されるが、内輪は内径側から ローラ軸で支持され、またマストとの転接による力が直接に加わらないため、シ ール取付溝の形成に伴う強度低下が問題とならない。

【０００８】

【実施例】

この考案の一実施例を図１に基づいて説明する。このマストローラ用軸受Ａは シール付深溝玉軸受からなり、内輪１と外輪２の間に転動体３およびその保持器 ４を設け、内輪１と外輪２の間の隙間を蓋するシール５を両側に設けてある。

【０００９】 シール５は、芯金５ａとこれを被覆したゴムまたは合成樹脂等の弾性シール材 ５ｂとからなり、内輪１の外径面に軌道溝１ａの両側で形成した環状のシール取 付溝１ｂに、内径部を圧入状態に取付けてある。シール５の外径は、外輪２の内 径面２ｂよりも若干大径に形成し、内径面２ｂに弾性的に押付け状態に接触させ てある。外輪内径面２ｂは、平坦な円筒面となる。

【００１０】 図２は、このマストローラ用軸受Ａのマスト２３への使用例を示す。マスト２ ３および昇降枠２２は、図５，図６と共に前述した構成のものである。マストロ ーラ用軸受Ａの内輪１は、昇降枠２２に設けられたローラ軸６に圧入し、その段 面６ａと止め輪（図示せず）で固定してある。外輪２は、それ自体でマストロー ラ２４の全体を構成し、溝形の昇降マスト部材２３ａの両フランジ間に若干の隙 間をもって介在する。

【００１１】 図３は、このマストローラ用軸受Ａのマスト２３への他の使用例を示す。この 例では、マストローラ用軸受Ａの外輪２の外周にリング部材７を嵌合させ、止め 輪８で固定してある。外輪２とリング部材７とでマストローラ２４が構成される 。

【００１２】 このマストローラ用軸受Ａは、これらの使用例のようにマストローラ２４とし て使用される。この場合に、外輪２にはシール取付溝が形成されないため、外輪 内径面２ｂの強度低下が防止され、密封性を確保しながら外輪２の強度が開放型 と同等に得られる。内輪１にはシール取付溝１ｂが形成されるが、内輪１は内径 側からローラ軸６で支持され、またマスト２３との転接による力が直接に加わら ないため、シール取付溝１ｂの形成に伴う強度低下が問題とならない。

【００１３】 図４は他の実施例を示す。この例は、シール８を外輪内径面２ｂに対して非接 触としたものである。シール８はリング状の金属板からなり、内輪１のシール取 付溝１ｂに内径部のカール部分で圧入状態に固定する。シール８の外径部は、外 輪内径面２ｂとの間にラビリンスシールを構成する。このように構成した場合も 、前記実施例と同様にシール機能を得ながら、外輪２の強度が確保できる。

【００１４】 なお、前記各実施例はマストローラ用軸受Ａが玉軸受である場合につき説明し たが、ころ軸受の場合にもこの考案を適用することができる。また、この考案は 、フォークリフトに限らず、例えばスタッカクレーン等、昇降案内用のマストを 使用する荷役機械一般に適用することができる。

【００１５】

【考案の効果】

この考案のマストローラ用軸受は、内輪にシール取付溝を形成し、軸受内輪と 外輪との間の隙間を蓋するシールを内輪側に取付けたため、シール機能を有しな がら、外輪の強度を確保することができ、軸受の寿命向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例にかかるマストローラ用軸
受の部分断面図である。

【図２】そのマストローラ用軸受のマストへの使用状態
例を示す水平断面図である。

【図３】同マストローラ用軸受のマストへの他の使用状
態例を示す水平断面図である。

【図４】この考案の他の実施例にかかるマストローラ用
軸受の部分断面図である。

【図５】フォークリフトの概略側面図である。

【図６】同フォークリフトのマスト部分の水平断面図で
ある。

【図７】従来のマストローラ用軸受の部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１…内輪、１ｂ…シール取付溝、２…外輪、３…転動
体、４…保持器、５…シール、８…シール、２３…マス
ト、２３ａ…昇降マスト部材、２４…昇降枠、Ａ…マス
トローラ用軸受

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸受外輪がマストに転接するローラとな
   る転がり軸受形式のマストローラ用軸受において、前記
   内輪の外径面にシール取付溝を設け、前記内輪と外輪と
   の間の隙間を蓋するシールを前記シール取付溝に取付け
   たことを特徴とするマストローラ用軸受。